【モー娘。矢口の問題疑惑写真】

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789書いた人

――――― 3時間後

燃え尽きた・・・
解答用紙が回収されるのを見送りながら、殆ど放心状態。
こんなに精神を集中した3時間が、私の人生にあったんだろうか。

審判概論の小論文は、ちゃんと書けたと思う。
【審判三準則における相互関係について論じた上で、
それを踏まえて理想とされるべき審判を、実例を交えた上で論ぜよ】・・・だったかな?
のんつぁんが問題を出してくれた所だから、まあ・・・どうにかなった範囲。

問題はなぁ・・・一般推論。
飯田さんみたいに自分の感性でストレートに正解には辿り着けないから、
なるべく私の感性と違う答えを書くようにしたけど、それがどう出るやら。

とにもかくにも、もう勉強しないでいいってことにはホッとする。
790書いた人:03/09/23 20:29 ID:aJo/Mz0d

試験場の出口で振り返って、あのお爺さんに会釈をしておいた。
空手でも何でも同じ、取り敢えず礼儀は大切にしなくっちゃ。

さぁて・・・・・・家帰ったら、何食べようかなぁ?
色んなことを考えて、とにかく試験のことを頭から忘れ去ろうと努力。
お餅かなぁ? でもお寿司でもいいよねぇ・・・のんつぁん誘って、どっかに食べにいこっかなぁ?
頭を使いすぎたから、とにかくお腹が空いてる。

あれ?

ボーっとしながら歩いている私の目に、私と同じくらい周囲から浮き立った人が止まった。
遠目で後ろ姿だけど、すらっと背が高くて長い髪の・・・まあ、女の人だろう。
あれで実は男でした、って言われたら詐欺だ。
ラグビー型で一級受けてたって人かなぁ?
早足で颯爽と会場から出て行くその人の顔、ちょっと見たいなぁ、と歩き出そうとした瞬間。

「・・・こぉ〜ん〜のぉ〜ちゃん!!」
791書いた人:03/09/23 20:29 ID:aJo/Mz0d

ッ!!
後ろからの突然の大声と、背中をバンッと叩かれる感触。
痛いって言うよりは、もう驚いて何がなんだか。

う〜んっと・・・なんで? なにが? どうしたの?
恐る恐る振り返ると、後ろには少し私よりもちっちゃな色の黒い女の子。
街中で出るから気を遣ったんだろう、いつもとは違って後ろ髪を二つに分けて垂らしている。

「紺野ちゃん、お疲れ様!」

目をキラキラと輝かせて、のんつぁんがニッコニコと微笑んでいた。

「え・・・? あれ? 何やってんの?」
「へへへ・・・あのねぇ、紺野ちゃんがもう終わるかなって思って、待ってたの」
「そうなんだぁ・・・ありがと。あのさ、どっか食べに行かない? お腹減っちゃって」
「そのつもり」

もう一度会場の出口に目をやると、とっくにあの人はいなくなっていた。
でもあの人のおかげで変な緊張しなくて良かった・・・もう姿の見えないあの人に、心の中でお礼を言った。
792書いた人:03/09/23 20:30 ID:aJo/Mz0d


「でね・・・その問題がちょっと自信ないんだぁ・・・それとも一つ、数学の所もなんか微妙かなぁ」

のんつぁんが安倍さんに教えてもらったと言うお店に向かって、二人で夕暮れの街を歩く。
試験が終わった開放感で、さっきから私ばっかり喋りっぱなし。
のんつぁんは私の言葉を、ずっと笑って聞いてくれる。

「85%正解すれば全員合格なんだけど、多分私が気付いてない間違いとかもあると思うし、
だから合格できたか、ちょっと自信無いんだよねぇ」
「そっかぁ・・・でも紺野ちゃん、お疲れ様でした」

そう言うと立ち止まって、のんつぁんはぺこりと頭を下げた。
その仕草が少し滑稽。
一瞬、なんでのんつぁんがそんなことをしたのか分からずに、首を傾げてしまう。

「みんなさぁ、紺野ちゃんには感謝してると思うよ」

その言葉に頷くと、昨日のみんなからのメールのことを話した。

「そっかぁ・・・ってかよっすぃ〜、あの人何を・・・」
「まぁ、でも緊張感解けたから良かったよ」

私の言葉で、のんつぁんの苦笑が少し軽やかなものになったように見えた。
793書いた人:03/09/23 20:32 ID:TCZ42v/R

お店に着いた私たちはウエイトレスからメニューを奪い取ると、穴があくように見つめる。
ふふふ・・・・・・脳味噌にカロリー使いまくったから、今日は親の仇のように食ってやるんだから。
店員さんに「すいません・・・もう材料の方が」って言わせるのが、実は密かな夢だ。
未だにドラゴンボールでしかそんなシーン見たこと無いけど。

「うーんと、カボチャのサラダ美味しそう・・・でもこっちのサラダも食べたいなぁ」
「両方頼んじゃえば?」
「そうしよっか?」

店員さんは私たちのオーダーを必死にメモしながら目を丸くしていた。
「食べれるの?」って思ってるんでしょ?・・・・・・食べるよ。

店員さんが行った後、のんつぁんがトイレに立った。
その隙にバッグの中からもう一度問題用紙を取り出して、眺める。
食事の時くらいは思い出したくないけど、でも気になるもんなぁ・・・
794書いた人:03/09/23 20:33 ID:TCZ42v/R

『あの問題は間違った』って思い出せるようなテストは点数がいい。
・・・って言ってたのは、誰だったかな?
なんでも自分がどこが出来て、どこが出来なかったかをしっかり覚えていられる位、余裕があったし集中もしていたから、ってことらしい。
確かにそうかも知れないけどなぁ・・・今回の試験は内容が内容だけに、この法則がそのまま使えるのか疑わしい。

のんつぁんはここまでの道すがら『絶対受かってるよ』って言ってくれたけど、それもどうだか。
私に気を遣ってくれたのかも、って言うのが抜けきれない。

あぁぁあぁ・・・もういいや、忘れよう。
こんなこと、さっさと食べて忘れてしまおう。
のんつぁん、早く帰ってこないかなぁ・・・トイレのほうに、思わず首を伸ばす。
丁度のんつぁんがトイレから出てきたところだった。
私に片手を上げると、ニコニコとこっちに向かってくる・・・・・・と、途中で止まった。

「あれぇ?いーださん、何やってんですか?」
795書いた人:03/09/23 20:33 ID:TCZ42v/R

え? いーだ? いーださん? って・・・飯田さん?
慌ててのんつぁんの所へパタパタと駆け出すと、飯田さんがパスタを前に口をぽかんと空けていた。

「のんちゃんと紺野・・・・・・どしたの?」
「紺野ちゃんの試験終わったら、一緒にお食事しようと思って、私が誘ったんですよぉ」

胸を張ってのんつぁんが答える。もう先輩だもん、って言い張ってるみたいに。
飯田さんはその様子に目を細める。

「そうかぁ・・・偉いね」
「で、いーださんは何やってたんですか?」
「え? 圭織?
近くまでお買い物に来たんだけど、なっちがこのお店良いよって教えてくれてたの思い出してね。
ちょっと寄ってみようかな、って思ったの」

凄い偶然。
おんなじお店に同じ時間に入ってるなんてなぁ。
796書いた人:03/09/23 20:34 ID:TCZ42v/R

「折角だから圭織と一緒に食べよっか?」

飯田さんはにこっと笑うと、私たちの反応にお構いなしに席を立つ。
いつだったかカラオケを断っちゃった時は凄く飯田さんがブルーになっちゃったから、今回は断れないなぁ。
のんつぁんもそれは分かっているみたい。

「私たちまだお料理来てませんから、こっちに移りますよ」

そう言ってのんつぁんは私に頷く。
797書いた人:03/09/23 20:35 ID:H5Ngm0+h

荷物を取りに席に戻った時に、のんつぁんが私に囁いた。

「多分ねぇ・・・いーださん、紺野ちゃんが心配だから近くまで来たんだよ。
だってさ、買い物してた、って言ってたのに、全然荷物無かったじゃん」
「そういやそうだねぇ・・・でも携帯に電話くらい入れてくれれば、いいのになぁ」
「照れてたんじゃないの?」

確かにさっき、飯田さんは微妙なはにかんだ顔をしてた。
そっかもねぇ。
結局その後、飯田さんとのんつぁんとお食事をして。
いつも見れない二人が見れて、また少し得した気分。

お店を出たときには、もうすっかり試験のことは忘れていた。
・・・・・・まあ、やることはやったんだからね。待ってみますか。