【モー娘。矢口の問題疑惑写真】

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719書いた人

「ちょっと・・・どういうこと?ちゃんと話して欲しいべ」

安部さんに促されて飯田さんは再び席につく。
まだ興奮覚めやらぬように、飯田さんは大きい目をますます見広げて唇の端を上げていた。
その光景の異様さに藤本さんもいつの間にか、自分の席に戻っていた。

「つまりね・・・・・・」
「「「「「つまり!?」」」」」
「誰かがさ・・・・・・とればいいのよ。審判の資格!」

人さし指を立てて、天下を取ったように飯田さん。
まるでもう、まこっちゃんの脅威がなくなったみたい。

「できればねぇ・・・・・・小川よりも上の資格の方がいいかな?
あいつ2級でしょ?なら、準1級とか1級を取ればいいのよ」

その言葉でみんなの目がキラキラと輝き始めた。
石川さん・・・・・・さっきまであんなに沈み込んでたのに、
手まで組んで飯田さんを見つめないで下さい。キショいから。
でもただ一人だけ、矢口さんは神妙な顔のまま。
720書いた人:03/09/17 01:47 ID:BKBm+TtJ

「でもさぁ・・・・・・」
「何よ?矢口。まさか圭織のこのスペシャルな案に、文句でもあるって言うの?」

妙なハイテンションのまま、今にも踊りだしそうに身体をくねらせる飯田さん。
矢口さんは眉間に皺を寄せて、口を尖らせた。

「その資格さぁ、誰が取んだよ?」
「え?そりゃ・・・誰か」
「圭織さぁ・・・英検とか漢字検定の準1級って、めちゃくちゃ難しいんだぜ?
そんな頭の持ち主が、モーニング娘。にいると思ってんの?」
「あぅ」

再び固まる私たち。
そうなのだ。
アイドルをやりながらで、学校の勉強でさえ追いついていない私たちがそんな資格取れるわけ無い。
学校を出ちゃった年上組に至っては、もっての外。
しかも相手にするのは訳が分からない「審判」の資格。
それなりの脳味噌が・・・多分必要だ。
721書いた人:03/09/17 01:48 ID:BKBm+TtJ

そんな中、一人腕を組んで自信満々の様子で安倍さんは目を細めた。

「そんなら、圭ちゃんにやってもらうべ。どうせ今、ヒマっしょ?」
「・・・・・・安倍さん、酷すぎですよ?保田さん、もうモーニング娘。じゃないんですからぁ」
「なんで?圭ちゃんだって、元モーニング娘。っしょ?」
「いや・・・石川の言うとおりでしょ。
それにそんなに『ヒマ』にアクセント置くなよ、圭ちゃん聞いたら泣くぜ?」
「そうかなぁ・・・・・・圭織はどう思うのよ?」
「私はさぁ・・・やっぱり、モーニング娘。の中で解決したいなぁ、って思うの」

飯田さんの目は、この一週間で見たことが無い、とても優しい目をしていた。

「だって卒業した後にまで、いろいろ迷惑かけるのなんて、何か心配させちゃいそうだし・・・
もし頼んだとしたら、圭ちゃんや裕ちゃん、喜んでやってくれると思うよ。
でも、それに甘えてばっかりってのもさ」
「・・・・・・そっか・・・そだよね」

安倍さんの言葉に、何人かが一斉に頷く。
722書いた人:03/09/17 01:49 ID:BKBm+TtJ

「あぁ!!・・・・・・・・・ふふふ」
「どうしたん?のの。
急に気味の悪い含み笑いしないでや」
「なぁに?のんちゃん・・・何か良い案でも出たの?」
「あのさぁ・・・・・・ピッタリの人がいること、いーださんもみんなも、忘れてるんだよ。
ちゃんとその資格が取れるくらいの頭の持ち主!!」

「誰!?」「そんなんいたか?」「やっぱなっちだべさ」
色んな反応が返ってきて、のんつぁんは少し照れたように顔を赤らめた。
それでもその反応に満足げに、大きく微笑み返す。
723書いた人:03/09/17 01:50 ID:BKBm+TtJ

でも私はといえば、嫌な予感が全神経から発せられていた。
もし私に妖怪アンテナがあったら、頭に乗ってるオヤジの眼球を突き刺さん勢いで、
この嫌な雰囲気を察知しているはず。

やっばいよ・・・・・・さっきからずっと、のんつぁんは私を見てニコニコしていたもん。
多分、恐らく、いや絶対・・・・・・

「みんな忘れたの?一番頭がいい人がいるでしょ?」
「頭がいいヤツ?」

お願い、のんつぁん・・・・・・もうこれ以上、私を痛めつけないで。

「岡女で一位の・・・・・・紺野ちゃん!!」
            「無理!絶対無理!!」

のんつぁんが私の名前を口にしたと同時に、私は立ち上がって絶叫。
私のあまりの剣幕に、のんつぁんは勿論、他のみんなもビクっと肩を震わせる。
724書いた人:03/09/17 01:51 ID:BKBm+TtJ

・・・・・・行ける!!

このままなら、逆切れで押し通せる!!
脳内シナプスは某航空宇宙局のスパコンよりも早く、そんな答えをはじき出す。
みんなが呆気に取られてる、今がチャンス!

「岡女の問題とあの資格の試験とじゃ、多分問題の傾向が違いますって!!
あの問題は中学生だった私やまこっちゃんが上位で当たり前なんです!
つまり今まで慣れ親しんできた問題だからこそ、あんなにいい成績が取れたわけで。
覚えてますよね?私の英語。
やっぱり中学入ってから本格的に習った英語は全然出来てなかったんですよ、私。
ってことはあんなにいい成績を取るには、ちっとも時間が足りないわけで、
その辺考えても、やっぱり私を資格を受ける代表に据えるというのは、
判断の謝りで、全く状況の読み方が甘い、そんなんだと思うんですッ!!」


・・・・・・言い切ったぁ!!
なんだろう、この胸を満たす満足感。
心の中の審判団は、全員が10点満点を記録。
モーニング娘。に入って丸二年、初めて「完璧」だった気がする。
725書いた人:03/09/17 01:52 ID:BKBm+TtJ

私は腰に手を当てて、みんなを自慢げに見渡した。
さぁ私のこの完璧な論証に、反論してみてください!
みんなどんな畏敬の眼差しで私を見てくれているのか、と思いきや。

「紺野ちゃん・・・うぅ、酷いよ」
「うちらが、何したって言うん!?」

目尻に涙をいっぱい溜めて、真っ赤な目で私を見上げるのんつぁんと加護ちゃん。
え?なんで泣いてるの?

「紺野ぉ!!あんた、言っていいことと悪いことがあるでしょ!!
同じ中学3年生なのに最下位争いしてた、のんつぁんとあいぼんが可哀想でしょ!」

あぅ
思わぬ事態に口がパクパクする。
多分すっごく上手く金魚のマネが出来ているに違いない。

完璧に言い負かせたと思ってた13人は、今は私を睨みあげている。
うわぁ・・・藤本さんが睨むと、めちゃくちゃ怖いんだけど。
ちょっぴり某半島で北に位置する国の気持ちが分かったりして。
周りが敵だけって、こんな感じなんだなぁ・・・
726書いた人:03/09/17 01:53 ID:BKBm+TtJ

「決めた!!紺野には、絶対にあの試験の準一級、受けてもらうから」

飯田さんが言い終わらないうちに、満場一致の拍手が湧き上がる。
ちなみにこの場合、私の票というものは用意されていないみたい。

「あのぉ〜」
「何か文句あんの?」

取り敢えずしてみた反論も、「ねぇ、笑って」の時の数百倍怖い飯田さんの目付きで封じ込まれる。
魚類までなら、あの目付きで石にできるんじゃないだろうか。

「文句はぁ・・・・・・ハァ、無いです」

結局私の返事はこれしかないのだ。
策士策に溺れる、だったっけかなぁ?
会議を終えて思い思いのことを始めるメンバーを見ながら、私はまた一つ賢くなっていた。