382 :
書いた人:
モーニング娘。に入ったのが4月の12日。
もうすぐ一か月になるけど、あっという間だった。
気がついたら歌のレコーディングも、プロモのさつえいも終わってた、って感じ。
今日は『うたばん』の、初めての出演の日。
「あれま!ののぉ〜、まぁ〜た前髪分けちゃってる。
こないだまでは、ちゃあんと垂らしてたのに・・・・・・分けない方がいいべ」
「あぅ・・・・・・」
楽屋でなっちゃんにつかまって、前がみをくしでもどされる。
分けた方がイイのになぁ・・・・・・
カガミをじっと見ながら、なっちゃんはお人形遊びをするみたいにていねいにもどしていく。
「ほぉら!ちゃんと鏡見てごらん!こっちの方が良いっしょ!?」
とっても満足そうななっちゃん。
でもなぁ・・・・・・やっぱり、分けた方がイイ。
前がみを全部ストレートに下ろすと、なんだかすっごく子どもっぽくなるからイヤだ。
383 :
書いた人:03/07/28 22:04 ID:IdlvmprB
なっちゃんが行ってしまったすきに、いつもみたいにかみをもどしてしまった。
うん、やっぱりこっちのほうが大人っぽく見えるよね。
小声でよし、とつぶやくと、カガミごしに亜依ちゃんと目が合った。
「のの、なんでそっちの方がイイん?」
亜依ちゃんはさっきのを見てたようで、私のところにツツツ・・・・・・とよって来る。
「だってさぁ・・・・・・みぃんな大人なのに、
なんだか私だけ子ども子どもしてるの、いやなんだもん」
あ
言った後に失敗に気付く。
亜依ちゃんだっておんなじことを気にしてるんだ、ってことわすれてた。
大体亜依ちゃんの方が私より少しだけ年下だ。
384 :
書いた人:03/07/28 22:05 ID:IdlvmprB
すぐに亜依ちゃんがしょんぼりした顔になる。
「そんなん言うたら、ののよりうちのほうが子どもっぽいやん」
「そんなことないもん!
亜依ちゃんしっかりしてるし、ちゃんと思ったこと言えるし・・・・・・」
これはホントに思ってること。
別に亜依ちゃんをなぐさめたくって言ってるわけじゃない。
それでも亜依ちゃんは、その気持ちに気付いてくれない。
「のののウソつき!」
「ホントに思ってるもん!」
「あ〜、ほら。のんちゃんもあいぼんも止めなさい、ね」
私たちが大声を出しているのに気づいたのか、飯田さんが止めに入ってくれた。
亜依ちゃんとこんなケンカをするのはいつもだけど、いっつもすぐに仲直りできる。
385 :
書いた人:03/07/28 22:06 ID:IdlvmprB
「あんたたちもねぇ〜、入ってしばらくはなんだか落ち着いた感じだったのに。
やっぱりそーいうケンカするんだねぇ」
飯田さんはうんうん、とうなずいて一人でなっとくしてる。
そうなのかなぁ?
私も亜依ちゃんも、合宿の時からこんなんだったのに。
そう言えば私はずっと前がみ分けてるのに、なっちゃんは『この間までは垂らしてた』と言っていた。
なんでだろう?
よく分からない。
386 :
書いた人:03/07/28 22:07 ID:IdlvmprB
――――――――
モーニング娘。に入って、いくつも番組に出させてもらったけど、
やっぱり初めての番組は上がる。
あっという間に収録は終わってしまった。
ほとんどまともにしゃべれなかったなぁ・・・・・・
でもごっちんが怒ってなくてよかった。
目の前でふうせんがどんどんふくらむから、ついつい手を伸ばしちゃったけど。
終わった後、『まあ、あれはあれで面白かったからいいよ』と言ってた。
なかざーさんには『もっと自分から前出て行かんとダメ』と怒られてしまった。
でも、亜依ちゃんと私がすっごく落ち込んじゃったから、すぐに笑顔にもどってくれた。
387 :
書いた人:03/07/28 22:09 ID:IdlvmprB
帰り道、亜依ちゃんにバイバイして電車を乗りかえる。
一人で電車に乗って、私はちょっと考えごと。
中澤さんはお説教の最後に言っていた。
『辻も加護も、ついこないだまでもっと前出て喋れてたのに、どうした?』
そうだったっけ?
ついこの間のことなのに、ほとんど覚えてない。
収録の前になっちゃんが言ってた、『この間までは前髪垂らしてたのに』って言葉。
それと飯田さんが言ってた、『あんまりケンカしなかった』ってことも。
やっぱり今まで、私はボーっとしすぎてたんだなぁ。反省。
もうすぐミュージックステーションにも出る。
今度は生だから、もっとしっかりしなくちゃいけない。
亜依ちゃんも私も、子どもだからって甘えてばっかりいられないんだから。
よしッ!
と気合を入れたら、
考えるのに必死で降りる駅を乗りすごしてしまったことに気付いた。