プッチモ二

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116mmndk代理
「晴れた日の夜に外に出たいって言うから」
「車の近くの壊れたソファーに二人で座った」
「息が白くなる位寒い夜だったな」
「りかは星ってものが見たかったみたいなんだ」
「でもりかは目が見えない」
「だから私に聞いてくるんだ」
「キラキラしてる?いっぱい見える?って」
「けど星なんて全然見えなかった」
「灰色の不気味な雲しか見えなかった」
「なんて答えていいかわからないから」
「曇ってきちゃって見えないよとだけ言った」
「そしたらりかはちょっと寂しい顔をした」
「りかがそんな顔を見るのがいやだったから」
「私は違う話しようと思った」
「何でりかは星が好きなんだ?って聞いた」
「さっきまでの悲しい顔が嘘みたいに笑顔になった」
「まるでこの質問をして欲しかったみたいだった」
「私はホッしてりかの笑顔を眺めた」
「あのね、あたし生まれた時から目が見えないのと言いながら」
「りかは斜め上を向いた」

117mmndk代理:03/06/10 00:57 ID:g+0omguY
「3歳の時ねママがあたしの手を握って言ったの」
「ママはこれから海に帰ってそしてお空のあるお星様って言う素敵なモノになってりかの事をいつも見てるから良い子にしてるのよって泣きながら言ったの」
「それからママはもう息をしなくなった」
「小さい頃の事ってあんまり覚えてないけどその出来事だけははっきり覚えてるの」
「だから嬉しい事や悲しい事があった日はこうしてママに会いに来るの」
「あたしの世界はいつも真っ暗なんだけどママって呼ぶ暗闇の中がキラキラ光るの」
「きっとお星様ってこんなのかなって思うんだ」
「あたしがね、お星様を好きな訳はママだからだよ」
「もし願いが叶うなら一度だけでいいから本物のお星様が見たいのってりかは答えた」
「話してる時の横顔がとっても可愛くって思わず抱きしめそうになった」
「恥ずかしくって出来なかったけどね」
「話し終わったりかは寒そうに肩に手を当てた」
「私は横に置いていた鉄の杖を持って立ち上がりりかの手を引いて」
「車へと帰った」
「りかはいつもの様にこの日も水だけ飲んで寝た」