【新スケバン刑事〜少女武闘伝〜】

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サキはセーラー服の中から胴に巻いたウエイトを外した。
うずくまっている間にリストバンド、足首のバンド、太腿のバンドをすばやく外す。
靴を脱ぎ裸足になる。

「このウエイトが無かったら、完全にやられていた……」

胴に巻いたウエイトには約2キロの砂鉄が仕込んである。
ヨーヨーの衝撃はその砂鉄を通してもかなりのものがあった。
鈍い痛みが胸に残っている。

「あのヨーヨーをまともに受けたら、今度こそ終わりね……」

専用の特殊グローブをはめ、ヨーヨーを握る。

身軽になったサキはすくっと立ち上がった。
手にしたヨーヨーを彼女に向け、睨みつける。

「天王洲高校1年B組麻宮サキ。
またの名を7代目”スケバン刑事”
なんの因果か母娘そろってマッポの手先。
だがな、母親より名前と共に受け継いだ熱い血と、代紋入りのこのヨーヨーが
世の中に巣食う悪党を許せないんだよ」

サキは右足を前に出して、腰を軽く落とした。
左手を引き、正拳突きで右拳を前に出す。

「エイヤッ!」
拳と共にヨーヨーを向ける。
仕掛けてある小さなスイッチを押すと、ヨーヨーの片面が開いた。
そこに現れたのは「桜の代紋」
サキはすぐに蓋を閉じ、ヨーヨーを握った。

「この拳の餌食になりたいのなら、前に出な!!」

彼女はサキの姿をじっと見ていた。
眉をひそめ、目を閉じる。
それまでの無表情な顔が、少しだけ変わったような気がした。
そしてゆっくりと口を開いた。

「私のヨーヨーを受けても無事だなんて、運がいいわね」

「お前は誰だ?」

「私の名はナンバー5、麻宮サキ、死んでもらう!!」

ナンバー5がそう叫んだと同じに、ヨーヨーが飛んで来た。
サキよりもヨーヨーさばきは上手い。
あの、ソフトボールの投法で投げられるヨーヨーには要注意だ。
なかなか間合いに入れない。
顔面めがけて飛んで来るヨーヨーを間一髪でよける。
チェーンが伸びきってヨーヨーが一瞬停止した瞬間をサキは狙った。
手刀で叩き落す。
間を空けずに間合いに入る。
左の正拳突きが決まった。
しかしナンバー5は後方にジャンプして、拳の威力を半減させる。
瞬時にそれをやってのけるナンバー5はやはり強い。

既にナンバー5の手元にはヨーヨーが戻っている。
ナンバー5は構えた。
ガッチーン

ナンバー5のヨーヨーが手から離れた瞬間、別のヨーヨーが飛んできた。
ぶつかり合った2個のヨーヨーは火花を散らす。
五代陽子のヨーヨーだった。

「なつみ!!」

ナンバー5と名乗ったその少女は、五代の声にも何も反応しない。

「なつみ、生きてたの!」

陽子は再びヨーヨーを構えた。
2対1になり形勢が不利と見たナンバー5は、身を翻した。

「待って!!」

五代が叫んだが、その姿はあっという間に夜の闇に消えてしまった。

「あの”ナンバー5”っていった女性は何者ですか?」

サキは五代に訊いた。
五代は逃げ去った”ナンバー5”を呆然と見ている。

「あのヨーヨーは私とそしてあなたが持っているヨーヨーと同じものよ……」

「じゃあ、あの人は?」

「そう、彼女も私たちと同じ「麻宮サキ」を名乗った「スケバン刑事」……
このヨーヨーを手にした5人目の戦士よ……」
新スケバン刑事〜少女武闘伝〜
第三話
「最大の敵・”ナンバー5”登場!!」

終わり

次回予告

サキの前に現れた最大の敵”ナンバー5”はかつて5代目スケバン刑事だった安倍なつみだった。
再びサキ達の前に現れた”ナンバー5”の前に里沙が倒され、麻琴も謎の少女たちによって倒されてしまう。
果たして最大の敵”ナンバー5”に立ち向かうサキの運命は?

次回 新スケバン刑事〜少女武闘伝〜
第四話「対決2人のサキ!!」

乞うご期待

「この拳の餌食になりたい奴、前に出な!!」

というキャスティングでドラマ化きぼ〜ん