【新スケバン刑事〜少女武闘伝〜】

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サキはそう思った。

(何処で見たんだろう?)

そうこうしているうちに、周りの生徒は高橋の目に釘付けになっていた。

「これから皆さんは、私の言う指示に従います。
いいですね?」

「はい……」

生徒たちは一斉に答える。
高橋の目を見た生徒たちは、彼女の術にかかったかのようになっている。

(もしかしたら、彼女が催眠か何かをかけて無意識を操ってるのかもしれない……)

生徒たちを見回し、成果に満足したかのように高橋は頷いた。

「では今日はこれで終了です。
ありがとうございました」

「ありがとうございました……」

サキも術にかかっているフリをして、他の生徒たちと一緒にそう答えた。

その後の授業は、いつもと変わりなく行われた。
生徒たちにとっては、特別何かが行われたという意識は無いようだ。
きっと、本当に単なるリラクゼーションの時間が設けられただけと思っているのだろう。

しかしあの目は、何かしら特別な能力のようなものを感じる。
サキは太腿に差した画鋲のおかげで、なんとか意識を保つ事ができたが、そうでなければ彼女も他の生徒たちのようになっていたかもしれなかった。
(高橋愛……いったい何者なんだろう?)

授業が終わってサキはビルを出た。
少し離れたところに五代の車が停まっている。
サキは辺りに人がいないのを確め、すばやく中に乗りこんだ。

「どうだった?」

そう問いかけた五代に、サキは高橋愛の話をした。

「高橋愛……何かありそうね、早速調べてみましょう。
できればその彼女の写真も撮りたいわね。
しばらくここで張り込んで見ましょう」

そんな2人の乗るBMWをビルの窓から見つめる少女がいた。
ナンバー5だった。
彼女は車の人影を確認すると、ニヤリと笑みを浮かべた。

数時間が過ぎ、あたりはすっかり暗くなってきていた。
しかし、ビルから高橋達が出て行く気配は無い。
黙ったまま2人は「ウルフ英会話教室」を監視を続けた。

その時だった。

いつの間にか一人の少女が車の前に立っている。
彼女は車のフロントガラスに向けて、手にした何かを投げた。

ビシッ!

一瞬にしてフロントガラスがヒビだらけになる。
2人は車を飛び出した。
「何者!!」

サキは叫んだ。
その少女は何も言わない。
サキは飛び掛った。
突き、蹴りの連続攻撃。
しかし、彼女は上手くそれをさばく。

(強い……)

暗がりでその少女の顔は見えない。
サキは横に走った。
彼女も後に続く。

もう一度彼女の懐に飛び込もうとするが、彼女の手から投げられた物がそれを阻んだ。
唸りを上げるその武器

銀色のヨーヨー……

彼女は両手を前で重ねて大きく振りかぶった。
左足を力強く前に踏み出し、右腕が大きく後方に回転する。
丁度ソフトボールの投法。
腰のあたりからものすごい勢いでヨーヨーが飛んで来る。

ギュルルルルルッ!

あまりのスピードに目測を誤ったサキは、胸にまともにそのヨーヨーを受けてしまった。
「し、しまった……」

あまりの衝撃の強さに、サキはその場にうずくまった。
ナンバー5はゆっくりとサキに近づく。
街灯の明かりが彼女の顔を照らす。
その顔を見て五代は叫んだ。

「な、なつみ……!?」

続く……