黒髪石川について

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462辻っ子のお豆さん ◆Y4nonoCBLU
「お父さんが!お父さんが目を覚ましたの!」

泣きそうな声でトメコから電話がかかってきたのは、卒業を間近に控えた土曜日の夜。
もうトメコとは会えないかもしれないと思っていたから、
一徹が目を覚ましたことと相まって、その電話の喜びは二重に感じた。

「明日は特別にお休みもらったの。お見舞い行こうよ。のんとあいぼんも呼んだよ」
「行く!」

即答した。
僕とトメコとのんとあいぼんと…みんなで一徹に会いに行く。
まるであの頃の、家族みたいだねと言われたあの頃に戻れるみたいで胸が躍った。
(ううん、きっと戻れる。またトメコと前みたいに…)
(のんとあいぼん、元気にしてるかなぁ。二人とも喜ぶだろうなぁ)
(嗚呼、明日が待ち遠しい)

興奮してその日はなかなか寝ることができなかった。
それでも翌朝はパッと目覚め、勢いよく家を飛び出した。
東京へと向かう電車の中も、ワクワクとドキドキで落ち着かない。
一徹が入院しているという大病院の最寄り駅に降りると、懐かしい声が聞こえた。