前スレ
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1033129809/ 620-665 の続きです。
えと 小説タイトルですが『協奏曲』としようかと思います。
深い考えはなかったのですが,
はじめにクラシック音楽の大曲みたいな章分けをしたので,
この際「辻と矢口の協奏」という意味で。
036-037 第3楽章 1 前章とのブリッジ
038-043 第3楽章 2 洗いっこ(会話主体のポップ小説調のテンポで)
044-050 第3楽章 3 矢口の知恵袋(軽快な速さで)
051-058 第3楽章 4 クリック&スクロール(最終フレーズに向けて次第に強く)
**TY035
矢口がトイレに行っている間,辻はベッドの端に座っていた。
性愛に目覚める前段階にあった辻は,
実は人間の「排泄」という仕組みに人一倍興味がある。
排泄音が聞こえるのではないか。
辻はトイレの方向に聴覚の注意を向けたが,
バスルームの水道の音にかきけされている。
やがて5分が経つが,矢口は出てこない。
辻にとって,“5分”の意味は大きい。
それは,“うんこ”を意味するからであった。
矢口は小柄で細身だが,よく食べる。
辻の空想の世界では,実際は先ほど洋式便座に座ったというのに,
空想の世界では小さな尻が和式便器にまたがっていた。
おなら,するんだろうな。
「すごい音,びっくりしちゃった」なんちゃって。
それから,ぶりんこぶりんこ。
辻の脳内で,バナナのような太いうんこがもりもりと排泄されていた。
(や。なに考えてんだろう,わたし)
辻は自らの心拍音を聞いた。
**TY036
矢口が戻ってきたとき,しかも照明のスイッチを入れ,
ベッドルーム全体が明るくなってしまい,すぐ目を合わせることができなかった。
「お風呂,もうちょっとだから」
矢口も,元の椅子に腰掛けて,机の上の小物入れから,爪切りを取り出した。
そして「あ。」と何か思いついたように辻を見て,
「たまってたら,先に入ってて。すぐ行くから」
え! 一緒に入るの?
顔を上げ,はい,と笑って立ち上がった。
「髪留め,どれでも好きなの使っていいよ〜」
「は〜い」
浴室に向かう辻の背後で“ぱちん”“ぱちん”という音が聞こえた。
お風呂上がりのほうが軟らかくて切りやすいのになあ。
矢口はきれいに伸びた爪を,惜しげもなく切り落とした。
取っ手の裏のヤスリで爪の先をまるめ,その先で自らのほほをなぞった。
(ん。ギザギザ残ってないな)
矢口は,ぶどうジュースを飲もうとして,カラであることに気づき,
くすり,と笑った。
**TY037
「希美,洗いっこしよか」
矢口が入ってきた。
辻はカラーゴムを使って,髪の毛を頭のてっぺんで一つに束ねていた。
ポニーテールよりももう少し上の位置で留めているため,
ちょうど昔のサムライのようだ。
両耳が露出して,うなじの辺りは少しほつれている。
前髪は相変わらず額全体を覆っていた。
「ん? もう洗っちゃっ...た?」
湯船につかる辻に尋ねると,まだだと言う。
普通洗う前に入らないものだが。
根はまじめで悪気はないが,常識もない。
こういう部分の積み重ねが,「辻うざい」と言う加護の態度にも
つながっているのだが,本人は気づいていない。
いちいち指摘すると,小姑みたいになるし。
それに辻好きの人は,そういう部分まで含めて辻を好きだと言い,
辻嫌いは「だから嫌いだ」と言う。
結局矢口は辻が好きだった。
59 :
ひょ:03/04/05 17:20 ID:VvR42Z6f
**TY038
「じゃーんん!!」
と矢口が手を見せた。
ナイロンよりもうちょっと柔らかそうな,ボディタオル地の手袋をしていた。
100円ショップで売ってた,泡立てて使うんだって,まだ使ってないけど。
「面白そう」
「でしょう」
と言うが,実は一回使って面白くなかった。
しかし辻の感性には合うと思ったし,辻と一緒なら面白いかも,と思った。
「じゃあ希美,座って」
辻は立ち上がると,床の上に“ぺたん”と座り込んだ。
「あっ...」
矢口は重ねて絶句する。
「...椅子......」
辻はえへへ,と笑って,この方が楽なんです,家ではいつも,と答えた。
「ばかっ!!」
怒気をはらんだ矢口の声に,辻の背筋がびくっと伸び上がった。
おそるおそる振り返ると,呆れた声で,椅子,と言った。
辻は,自分が何を怒られたのかがさっぱりわからない。
「あのね」
きっぱりくっきりとした口調で矢口が説諭し始めた。
「女はそうやってぺったり座るんじゃないの。
大事なところから,バイ菌入るんだからね。
本当に病気になるんだよ。
この椅子,抗菌だけど,それでもわたしはいつも
先にシャワーの一番熱いのかけて,殺菌して...」
60 :
ひょ:03/04/05 17:21 ID:VvR42Z6f
**TY039
(そんなんだから,希美のまんこ臭いんじゃない!)
「わかった?」
そんな恐いもんだとは思わなかった。
辻が,こくんこくんとうなずいた。
「じゃあ,そっち向いて座って」
辻が椅子に座るころには,矢口の口調はもう穏やかだった。
矢口がボディシャンプーのボトルを押して,
タオル手袋を“なむなむ”してすりあわせ,泡をたてた。
矢口の手が,辻の上半身全体をこすっていく。
必要な部分は強く,敏感な部分は優しく。
「希美,また感じてきた?」
「えへへ。そんなことないですよう」
「手ぇ,伸ばして」
矢口がごしごしと腕をこする。
「お客さん,ええ脂乗ってますなぁ」
「これでも気にしてるんですよ!」
「気にしてたら,お菓子やめると思うけどなぁ」
「それはそれ! これはこれ!」
矢口が辻の腕を上げ,脇の下をのぞきこんだ。
「こっちはまだ全然生えてないね」
「やん。腋毛なんて。このまま生えなくていいです」
「わたしは生えたよ」
「うそー」
辻の視線が,“たわし”のような矢口の股間を見る。
(ほんとなんだろうな......)
**TY040
「剃ってるんですか」
「昔はね。 ちょっと伸びるとちくちくして」
矢口が腕を上げて,脇を見せた。
「でね。さぼってたたときに,丁度男の部屋でぇ,Hな雰囲気になってきて」
「彼氏さん...ですか?」
「違うよ。なんか成り行きで...」
腕を降ろして,お話モード。
「え〜っ まりさん..付き合ってなくても ヤっちゃうんですか」
「何だよわるいかよ〜
なんか かっこよかったし あたしも ヤりたくなっちゃって」
「きゃ〜」
「で 男の風呂で髭剃り借りて あわてて 脇剃ってたら
ほら ここんところ」
と言って矢口はまた右肘を上げて,脇の下を指さした。
「傷..わかるかなぁ?」
「え〜...どこですかねぇ」
「ま,とにかく血だらけよ。血だらけ」
「イタタタタ...」
へへへと矢口が笑う。
**TY041
「それじゃあ,その日はヤらなかったんですね」
普段ならワイ談なんかに入って来れない辻が,
今日は好奇心に目を輝かせて,「ヤる」だの「する」だの言っている。
(なんだ やっぱり興味あるんじゃん)
と矢口は思う。
「『ヤる』って...何を?」
「えっ?」
乗って来たところで,不意にカウンターを入れる。
「や...その」
辻の言葉が止まり,もじもじとしてしまう。
「ねぇ。ヤったか?って..なにを?」
「いや。 あの〜〜れすね。 はい〜」
辻の頭の中では「せっくす」という言葉が次々沸いて来るのだが,
いざ口に出そうと思うと,なぜだか言葉にならない。
「せっくす。せっくす。せっくす」と単語を思い浮かべるたびに,
心臓が「どっきん。どっきん。どっきん」と鳴る。
「えへへ〜」
と照れ笑いを浮かべるだけになってしまう。
「えへへ〜」
矢口が辻の照れ笑いを真似,それからこう言った。
「しちゃった。」
「わー しちゃったんだー」
拷問から解放されて,また元気にしゃべる辻。
**TY042
「ま,脇ぃ 見られなきゃいいんだっ てんで,上ぇ 着たままでね。」
「わーっ」
辻は手で顔を隠す。
「希美ぃ今,想像したでしょ」
辻は首を横に振った。
実際は半分ほどまで想像したが,具体的には性行為自体を知らないのである。
「やぐちさん 何人くらい経験あるんですか」
「えっ」
今度は辻が仕掛けてきた。
「そ.う.ね〜」
以前数えたことはあったが,もう随分前のことだし,
第一その時既によくわからくなっていた。
矢口は辻の背中をこすりながら,言った。
「ま,あんたの今までの生理の回数よりか 絶対多いね」
「こう見えても わたし 早かったですよぅ」
「見ぃ栄っ張り〜」
矢口は辻を後ろから抱くような形で,手を辻のまな板胸にあてた。
「生理が早いコの胸じゃぁないやね」
「これから大きくなるんですぅ」
辻が口先をとがらせて言う。
**TY043
矢口は辻の胸を撫でまわす。
「揉んだら大きくなるかもよ」
「えっ...やぐちさんは 揉まなかったのれすか」
「こら〜」
矢口は辻のわき腹を突付いた。
「やっ ダメ そこ」
辻がくすぐったそうに身をよじった。
「弱点めっけ」
矢口は更にわき腹を攻める。
「ちょ ちょ ちょっ...」
「いい感じ?」
「や。ちょっ..くす ひゃっ く.くすぐったいです〜」
矢口はやめない。
辻が笑いとも叫び声ともつかない声をたてる。
「やめてほしかったら なんでも言うこと聞くか?」
「や.やめ..ひっ。な..なんでも聞きます」
辻がうなづいた。
「よーーし」
**TY044
「じゃあ立て膝になって,脚開いて」
辻が椅子から尻を浮かせると,矢口は椅子を浴室の隅に置いた。
それから,タオル手袋をはずした。
ボディシャンプーのボトルポンプを押して,片手に液を乗せた。
「大事なところ洗うからね」
両の掌を合わせて,泡を作った。
「ん。もちょっと脚開いて」
辻の“もも”は,まさに“ふともも”だった。
「いや。恥ずかしいです...」
「約束したもん」
「あっ...」
辻が小さく声を立てた。
矢口の右手が背後下方から,つまり尻の側から侵入して,
“大事なところ”に触れようとしたからだ。
一方矢口は,ごく軽くであるが驚いていた。
口先をすぼめて「ほぅ」の形をし,そして一人で納得した。
辻の“大事なところ”は,予想よりも前のほうに,
といっても実際はそう何センチも違う話ではないのだが,
とにかく矢口自身と対比すれば,幾分前に付いているようなのだ。
**TY045
矢口の頭の中で,男の声がした。
『後ろつきだよな』
そう言われたのは一度ではない。
『後ろからのほうが挿れやすい』
『そうなの...?』
『後ろのほうが好きだろ』
それは半分当たりだった。
精神的につながりを確認したいときは,
向き合ってしたほうが深く感じることができた。
しかし,純粋に肉体としての快をむさぼりたいときには,
後ろから動物のようにつながったほうが,理性を失って鳴くことができた。
「希美って 前つきなんだね」
思わず矢口は口に出したが,辻には全く意味がわからなかった。
**TY046
矢口は,一旦右手を抜くと,辻の腰に手を沿えて,
「おしり,降ろしていいよ」
辻は膝頭とつま先を床につけたまま,かかとの上に尻を乗せた。
矢口は,右手を辻の腰からまわして,前方から性器に触れなおした。
辻は同時に,背中に矢口の胸が押し付けられたのを感じた。
それほど大きな胸ではないが,背中の肌を通して,
その柔らかさと弾力を感じることができる。
ボディシャンプーの泡のぬめりで,“ぽよん”とした感触が移動するのが,
くすぐったいような気持ちいいような,なんともおかしな感じがした。
矢口の手は,すべすべぽってりとした外側の部分を静かになぞった。
まるで“中華まん”の皮のようだと,矢口は思った。
ただ,まんじゅう生地と違って,
肌の中は,まだまだ堅い芯があるようで,包み込むような柔らかさがない。
そのかわり,毛の感触は,この上なく柔らかかった。
矢口自身のそれは,言ってみればスチールウールのたわしだ。
切って剃って,先を焼いているが,
手入れすればするほど,たわしの毛は硬くなる。
それに比べたら,辻のわずかばかりの恥毛は,
シルクや真綿が嫉妬するかと思うほどの柔らかな繊維だった。
繊維と肌をなぞりながら,矢口の指は“われめ”を探しあてた。
**TY047
「あっ...そこは」
「ん?」
矢口が尋ねると,
「そんな汚いところ,触らないでください」
「ばか」
矢口が辻の右耳にささやく。
「‘のの’の体に汚いところなんてないよ」
辻は,恥ずかしかった。
そしてくすぐったかったし,
もうひとつ,名づけようのない甘いうずきを感じていた。
3種類の感覚が同時並行して辻の精神を流れている。
「ちゃんと洗えば汚くなんてないよ」
人一倍臭いという事実を知れば,深く傷つくに決まっている。
矢口は慎重に言葉を選んでいった。
「“弱酸性”がね」
「えっ?」
「いいんだって」
「はぁ...」
辻はあいづちをうつが,実際は何の話題なのだかよくわからない。
**TY048
「この中」
矢口は辻の“われめ”に中指をすべりこませた。
「あっやっ」
「この中,弱酸性なんだって」
矢口の指がゆっくりと辻の“われめ”の中をなぞる。
「ばい菌が死ぬようになってるの。だからセッケンじゃダメなの」
辻は学校の授業を思い出した。
『〜〜セッケンはアルカリ性だ。アルカリと酸は中和して中性になる〜〜』
かっこよくて人気のあった萩原先生(特別出演)が言ってたっけ。
憧れていた萩原先生を思い浮かべたために,
先生の手が股間を触れているような錯覚をおぼえ,全身がかぁっと熱くなった。
半開きの口から,熱のこもった吐息を洩らした。
「あれ? 希美,感じてきちゃったの?」
「えっ...? そんな...言えません」
矢口はまた吹き出しそうになる。
辻はうそがつけない性格だから,
都合の悪い質問が図星のときは「言えません」と答える。
辻の「言えません」は「はげしく同意」みたいなものなのだ。
**TY049
「へぇ〜 それならそれでいいけど」
言いながら矢口は,
目の前にある辻の乳首がぷっくりと体積を増してきたのを見ていた。
そして,口を辻の耳元に近づけて言った。
「ここにね,“ひらひら”したところあるでしょ」
「は..はい...」
「このすきまにね,オリモノの残りなんかが残っちゃうから」
矢口は“ひらひら”の裏表をそっとなぞる。
「んっ...ハァっ」
「希美ぃ,感じてないで人の話聞きなさい」
「だ,だって..ひっ...う,動かさないでくらさい」
「聞いてんの?」
「あ,は,はい。お,おりものって...なんですか」
「生理じゃないときにシミになったりするでしょう」
「え? あ,おしっこじゃないんですか」
辻がまたしても無知な驚きを口にすると
「おしっこだと思ってたの? あんた...」
矢口もまた何度目かの絶句。
**TY050
知らない辻が悪いのか,教えなかった周囲が悪いのか,
いや この年頃の子なんて,案外みんなこんなものかな。
「その残りかすがね,カビが生えたりするんだよ」
「やだ〜」
辻は,パンやおもちに生えるアオカビを想像して,
自分の排泄器の中に青緑の斑点ができているのを想像して,
気持ちが悪くなった。
「だからね,セッケンだと,中性になっちゃって,
ばい菌が増えやすいんだって」
「へぇ〜」
辻は,矢口がまたひとつ
大人の女としての生活豆知識を伝授してくれたことに感謝した。
矢口は“ひらひら”のさらに内側に指をすべらせ
胎内へと続く深い洞穴の入り口にたどりついた。
「で,男とHするようになったら」
矢口の指が処女の証を壊さないよう,入り口の周りを静かになぞる。
「は,んっ」
辻が小さく鳴いた。
「そしたら中まできちんと洗うんだよ」
「は,はいっ...」
**TY051
話しながら矢口は,
少し指を動かしただけで感じている辻を見て,
かわいいな,と思った。
それで矢口は,最も敏感な突起の下にそっと触れ,
静かに撫で上げていった。
「あっ,あっ,あっ...」
辻の中で星が瞬いた。
ぴくっ,と上半身が小さく動いた。
「か〜わいいんだぁ〜」
それは,語りかけるというよりは感嘆の独り言に近かった。
**TY052
人間は,意図的な動作に対して対象が反応するときに,
人間としての原始的な欲望が満たされ,しかも更にかきたてられる。
心理学で「操作動機」と呼んでいるものだ。
たとえば,楽器に触れると,音が鳴る。
奏でたいメロディを思いながら,楽器に触れ,
思った通りの曲が弾ければ,とても楽しい。
楽しいからまた,音色を聞きたくなり,また楽器に手を掛ける。
今の矢口がそうだった。
辻のへその下側から矢口の手がもぐりこんでいて,
やわらかい鍵盤に触れると,全身の共鳴版が小さく振るえ,
吐息に混じって仔犬のように細く,辻が鳴く。
矢口はそっと,“われめ”の外側のふっくらしたところに指を置く。
軽くゆっくりと左クリック,右クリック,左クリック,右クリック。
「はぁ...はぁ...」
と半開きの口から,音のない息をもらす。
矢口がスクロールボタンに触れる。
「んんっ...」
鼻に息を抜いて,静かに鳴く。
**TY053
矢口の左手が,泡で“ぬめぬめ”とすべる辻の胸を撫で始めた。
「感じてきたでしょ」
斜め下から矢口が見上げると,
辻は下唇を軽く巻き込んで口を閉じ,眉間にわずかに力を寄せて
「うん...」
と小さく返事をした。
矢口がぴったりと体を寄せてきた。
辻の背中で,“ぽよんぽよん”とした感触が押し付けられる。
しかも“ぽよんぽよん”の先には,
シャーペンの後ろの消しゴムみたいなものがついていて,
それがボディシャンプーの泡ですべって辻の背中を柔らかく刺激する。
左手は,辻の小さなふくらみの周りを,
大して力も込めずに,泡ですべるままに移動している。
右手は,“われめ”の外側よりももっと外側で,
触れるか触れないかの距離感を保って静かに往復している。
背中も胸も“あそこ”も,くすぐったいんだか気持ちいいんだか,
わからないくらいの微妙な感じ。
**TY054
辻の背中で,
矢口の“消しゴム”が“つーっ”と上がってきたと思ったら,
次の瞬間耳元で声がした。
「もっと強いのがいいんでしょ」
言うやいなや,左手の指が乳首を“ころころころ”と転がした。
「あっあっあっっっあはっんっ...」
言葉で答えるより先に,体が答えてしまった。
「くっ...は..ん。んんっ...」
矢口は右手も少し力を強くした。
“われめ”の左右を同時に連続クリック。
その振動が,辻の股間で最も敏感な突起にも伝わっていった。
「あはっ...あっ...はんっ..んんっ」
辻の背すじが,猫背気味になった。
「やっ..あっ...や.やめ...あっ。あし..あしが...」
「ん?」
矢口が少し動きを緩めて問う。
「あ,足が“がくがく”して...」
確かに,つま先に重心がかかるためにつらそうだった。
矢口は椅子を差し出した。
矢口自身の場合は,椅子に座ると,性器を前から触れるのは難しい。
しかし,辻の場合は,浅く腰掛ければ,十分に前から触れることができた。
**TY055
姿勢が安定した分,辻は“触れられること”に集中できるようになった。
矢口は触れる力を強めていたが,
辻の体が刺激になれてきたことと,泡のぬめりが手伝って,
少しも“痛い”と感じることはなかった。
“ぬめぬめ,ぬめぬめ”と,
矢口のいろいろなところが,辻のあちこちを這っていた。
それぞれ別個の粘液性の生き物のように感じられた。
どこもかしこも気持ちいい。
時には「あんあん」と声を立て,時には静かに息だけをして,
しかしどの瞬間においても,辻は気持ちいいと感じていた。
「どんな感じ?」
「ん...なんか ぼーっとしちゃう...」
「もっと気持ちよくしてあげよっか」
「えっ...?」
(“もっと”気持ちいいことがあるの???)
**TY056
矢口は,中指をスクロールボタンの下にあてがい,
ダブルクリックの要領で小刻みな振動を,
人差し指と薬指で作った。
「あっ,あは.んんっぐっぐ...くはぁ.んあんあんっっあ〜ん」
辻の声が浴室の中で反響する。
振動自体はさっきと同じなのに,中指のせいでじかに体の真央に響く。
辻は息をするタイミングもなかった。
矢口の中指から発せられる“電気”に感電しているようなものだ。
ただ耐えるしかなかった。
「あはっ..あはっ...ぐっぐっんっ...んはぁっ」
とはいえ,もちろん耐えるべき感覚は,苦痛ではない。
辻は“気持ちいい”に耐えていた。
飛んでいってしまいそうな理性をつなぎ留めることに耐えていた。
そしてこのまま自分がおかしくなってしまうのではないか
という不安に耐えていた。
矢口は辻の反応を楽しみながら,
時折指や唇の動きに緩急と強弱をつけた。
「ひっ..ひんっ...やっ..あっあっあっ」
辻の声が初めよりも“2#”ばかり高くなっている。
辻の股間では“くちくち”と粘液が音を立てていた。
矢口の右手の小刻みな動きが,ささやきながら耳を甘噛みする唇が,
次第に辻の筋肉を緩めていく。
「だめ...で,でちゃう。お願い..」
「何が出るって?」
「お,おしっこ,出ちゃい..そう...」
「出しちゃっていいよ」
**TY057
いったい何が出るのか,矢口自身,見たくなってきた。
ただ単に「いきそう」ということを尿意と誤認しているのか,
はたまた本当におしっこが出るのか,
それともウワサで聞いた潮吹きなのか。
女性の体に関する知識を,自分自身に関してしか知らない矢口は,
このまま辻がどうなるのかを,見たくてたまらない。
矢口は左手を胸から離すと,
背中の下にまわし,腰骨の辺りをなではじめた。
下半身に感覚を集中させるためだ。
右手はてのひらで,へその下,性器の上の,
すこしこんもりと盛り上がっているところを強めに圧迫した。
「ひっ..や。いやっ...で,出ちゃう,出ちゃう」
「いいよ,出しちゃいなって」
「んっ...いやっいやっ...ひん.ん.......」
辻の声が途切れた。
矢口の右手が手首ごと“ぶるぶる,ぶるぶる”と振るえ,
室内には“くちくち,くちくち”という音だけが響いた。
「あ゛あ゛あ゛...」
辻の声帯が収縮し,濁音交じりの息を吐いたとき,
膀胱括約筋が弛緩して,尿道口が開いた。
**TY058
“しょろろろ..ろろろ...”
黄ばんだ温水が,宙に弧を描いて流れて行った。
アンモニアと,動物のメスの匂いが混ざって漂った。
辻の精神は身体を離れて拡散した。
ひとに排泄を見られた羞恥心で,
心が壊れるのを防衛する本能が働いたのだった。
矢口は矢口で,満足だった。
どうも「いった」とは違うようだし,
話に聞く「潮」とも違うようなのだが,
だからといって,少しも“汚い”とは思わなかった。
むしろ神々しく,尊いものにさえ見えた。
矢口にとっても,また大きなカタルシスだった。
辻の精神が元の場所に戻ってきたとき,体のほとんどの泡が流されていた。
矢口が右手で足をなでながら,
左手はシャワーを持ってその辺りを流していた。
「‘のの’先に上がってて。すぐ行くから」
「あ。は,はい...」
「ベッドでもっと気持ちいいこと教えてあげるよ」
矢口の唇がほほに触れ,“ちゅ”っと音をたてた。
(第3楽章完)