チャリ…パキッ…
一歩踏み出すたびにガラスの破片が足元で割れる、
スニーカーでよかった。。。洒落たサンダルなんかじゃ十歩とも歩けないだろう。
取りあえず自分達が目覚めた場所へと戻ったが
携帯の光じゃ、物を探すには弱すぎる、
何かもっと・・・
「っんぁ?」
しゃがんで拾い上げてみた。
「ライター!」
オイルは三分の一くらいしかなかったが、
それで十分だった。
[シュボッ」
あたりの闇を吸い込むように、炎の光はあたりを照らし出した。
ひびの入った天井、ガラスの散らばる車内、
そして足元の、ひきづられたような血の跡・・・
息を飲むとはこういう事か、
心臓が落ちそうな感覚があった。
ライターの光は容赦なく、その先のものまでも浮き彫りにする。
こんな短時間で、なぜ忘れられていたのだろう?
ちょうどののが挟まれていた近くに転がる『それ』は
うつ伏せになって、地面を見つめていた。