弘明がやさしいが少しおどおどした笑みを見せる横で、美貴は凛とした雰囲気を
漂わせている。
「裕子さんって美人ですねぇ」
「いきなり名前で呼ぶなんて中澤さんに失礼じゃないか」
「ありがとう美貴さん、藤本さんお気になさらないでください。
仕事で15歳の子に裕ちゃんなんて呼ばれたりしてますから」
和やかな会話の中、裕子の耳にはかすかにブーンという音が聞こえて続けていた。
(なんだろう?藤本さんのほうから聞こえる小さな音・・・携帯のバイブかな?)
「へ〜そうなんだ、私より若い子達と仕事ってテレビのお仕事も大変ですね」
弘明よりも積極的に美貴は話し掛けてくる、まるで美貴に面接されているかのよう
だ。
「美貴ちゃん、お父さんと中澤さんの邪魔をしちゃあダメでしょ」
「でも、家に合わない人に来て貰ってもね、お父さん」
「そうやって、この前も・・・あ、ごめんなさいね、中澤さんホホホ・・・」
つづく
「後は、お二人でゆっくりお話されるといいわ」
「そうね稲葉の奥様、美貴ちゃんお父さんを中澤さんと二人にしてあげましょ」
「は〜い、じゃあ、伯母さん洋服買いに連れてってよ〜」
美貴は少し不満そうながらも、伯母さんたちと供に部屋を後にする。
「す、すいません、躾が行き届いていなくて」
「いいんですのよ、元気出いいお嬢さんじゃないですか」
二人になってからも裕子の耳にかすかに聞こえるブーンという音・・・
「藤本さん、携帯電話鳴ってませんか?」
「え、私のですか? いえ・・・ち、違うようです」
「あれ、じゃあ私のかな? あれ?電源切ってある」
「気のせいじゃないですか? ここの庭に出れるそうですよ、どうですか、ご一緒に
?」
「あ、きれいなお庭、ぜひ」
つづく
二人でよく手入れされた庭に出ると、薔薇が美しく咲き、やさしい風が頬をなで、二
人はの間にはお互いの好意が満ちていた。
心地よい時間の間にも、裕子の耳に聞こえつづける小さな音
(・・・!え?もしかして・・・)
「中澤さん、どうかしましたか?」
「い、いえ」
(や、やっぱり・・・この音は・・・バイブレーターのモーター?)
2年前・・・
「なんだ、これは!」
「なにって、バイブレーターよ」
「こんなものを、おまえは変態か?」
「今は軽いSMはあたりまえよ、ほら雑誌にも」
「なんだって、おまえは縛られたり、鞭で打たれたりしたいのか?」
「そうよ、あなたのSEXじゃ満足できないの」
「出て行け、俺は変態じゃないんだ!」
パーーーン!
夫は私の頬に平手打ちを喰らわせると、結婚以来はじめての快感が頬の痛みで呼び起
こされ、女芯はとめどなく愛液をあふれされたが、夫は二度と私に向き合ってくれずに離
婚、それ以来私は性癖を・・・いえ、性欲さえも封印していた・・・
つづく