あらすじ
第一話
ゼティマの下部組織、函館の「サタン帝国」が何者かに壊滅された。
ゼティマ北海道支部から怪人ザリガニアンが駆け付け、「敵」をおびき出す事に成功する。
しかし目の前に現れたのは「ライダー」ではなくカゲスター(ユウキ)とベルスター(ソニン)だった。
二人は必殺技を繰り出しザリガニアンを倒すが、ゼティマ正規怪人の強さに驚く。
北海道の組織が「支部」であることを知った二人は本部があると思われる東京を(走って)目指す。
あらすじ
第二話
夜、津軽海峡を進む連絡船の上で「蛙怪人」の襲撃を受けたユウキ。
影が無いため変身できず苦戦するユウキだったが、ソニンの怪力に助けられ、
カメラのフラッシュを使い変身、撃退した。
その後ユウキとソニンはこれまでのことを思い出していた。
ソニンは記憶を無くしたまま街中で暴れているところを謎の政府組織に捕獲され、
そこで少しずつ記憶を取り戻した後脱走した。
生まれ故郷の高知に戻り記憶を取り戻すソニン。
しかし16歳で東京の大学に進学した後の数年間の記憶はどうしても戻らない。
高知の家族は家ごと消えていた。しかも周りの誰も自分のことを覚えていない。
危険を感じたソニンは東京に戻る。
ソニンは東京で監視役(新米)の後を尾け、ゼティマの施設とは知らずに研究所跡に入り込む。
逆に怪人たちに見つかり追いかけられてしまう。その逃走中にユウキと出会う。
ユウキはこの山に姉に関する手がかりを探しに来ていた。
ユウキの姉真希は、バイト先の研究所で事故に巻き込まれ死亡した。
ユウキはその死に不審を持っていた。この山で真希を見たという噂が広がっていたのだ。
成り行き上二人で逃げ出したが、山道でバランスを崩し谷底で高圧電線に触れてしまった。
そのショックで「カゲスター」と「ベルスター」が誕生した。
変身した二人は怪人を撃退した。
第三話(前編)
津軽から東京に(走って)到着した二人はユウキの家族の墓参りに向かう。
(ユウキの家族は、母が真希の調査に深入りした為に何者かに殺されてしまった)
墓参りの後、ソニンは政府機関の研究員に出会い研究の協力を求められる。
ソニンは自分が実験材料にされると思い断る。
その後、その研究員が何者かに連れ去られた。ソニンはそれを追いかける。
それをさらに辻と安倍が追いかける。
ユウキはソニンと分かれ一人で歩いていたとき、バイクに乗った姉を目撃した。
カゲスターに変身し、走って追いかける。
それを目撃したひとみと梨華がさらに追いかける。
全員が一つの「合流ポイント」に向かっていた。
カゲスター 〜東京進出編〜「後編」
港に近い工業地帯の閉鎖された廃工場・・・
工場の大きな扉が少し開いていた。中は空っぽで、取り壊しを待つだけのようだ。
建物の中にはバイクが一台停まり、その横にハカイダーがいた。
マキは工場に着くとすぐ変身したようだ、誰かを待っている様子だった。
銃を構え「臨戦態勢」といった感じである。
そこへタイヤの音を鳴らしながら黒いワンボックスが入って来た。
「来たか・・・」
ワンボックスが工場の中で止まり、中から初老の男を連れた戦闘員とカメレオン男が降りて来た。
「連れてまいりました」
ハカイダーは軽く舌打ちをして言った。
「しくじったな!」
「は?」
カメレオン男は驚いた様子で言った。
「後ろを見ろ!尾けられているぞ!」
カメレオン男が振り返ると、ソニンが扉の間から工場の中を覗いていた。
「あいつは?・・・」
カメレオン男はさらに、別の人影に気が付いた。ハカイダーの方をじっと見ている・・・
「・・・ハカイダー様こそ、あいつに尾けられたのでは?」
「バカめ、私はわざと尾けさせたのだ・・・」
ハカイダーはニヤリと笑い、顔を上げ扉の人影に向かい大声で言った。
「追ってきているのは分かっていたぞ、キカイダー!今日こそ貴様を・・・」
ハカイダーはそこまで言って言葉を止めた。
「貴様・・・何者だ?・・」
「カゲスターだ!」
ちょうどその頃・・・
「ちゃんと普段から整備をしないからよ!」
珍しく梨華が言葉を荒げていた。
「おかしいな・・・」
工場から数キロ手前の道端。
ひとみは突然停止したサイドマシンのエンジン部を覗き込んでいた。
「こっちれすか?」
「いや・・こっちだよ!」
一方辻と安倍は工場から数百メートル手前でソニンを見失っていた。
「交差点で赤信号なのに止まらないんだもの・・」
「あの女の人、車を弾き飛ばしながら走っていったのれす・・」
「ユウキ!何やってるのよ!」
突然工場内に現れたカゲスターを見て、ソニンは驚いた様子で声をかけた。
「ソニンさん!?・・・さっき姉ちゃんがいたんだよ!それよりソニンさんこそどうしてここに?・・・」
「あの車を追って来たんだけど・・」
「気付いていなかったのですか・・・」
二人の様子を見ていたカメレオン男がハカイダーに向かい、少し呆れたように言った。
「黙れ。・・・キカイダーではないのなら私は手を出さん。やれ。」
ハカイダーがそう言うと、建物の奥から大勢の戦闘員が現れた。
「くっ!・・」
ソニンは大勢の戦闘員を見て、とりあえず目の前の数人を倒し、建物の外に走って行った。
「逃げる気か?」
戦闘員がそれを追いかける。
「数が多すぎる・・・」
外の警備室の建物に逃げ込むソニン。後ろから数人の戦闘員が追って来る。
警備室の中で何かが光った。
「ガチャン!」
戦闘員が警備室のドアの前まで来た時、ドアを破ってベルスターが出てきた。
ベルスターは戦闘員をなぎ倒すと再び工場へ走って向かった。
警備室の中では、ソニンがフラッシュ付きの使い捨てカメラを持ったまま眠ったように倒れていた。
ベルスターが工場の中に戻るとカゲスターが奮戦していた。
戦闘員の数はさっきより多くなっている。
「遅いよ、ソニンさん!」
「ごめん!」
ベルスターはそう言うとスピードを生かし、次々と戦闘員を倒していく。
しかし倒しても倒しても戦闘員が現れる・・
「ひょっとして敵のアジトに飛び込んじゃったのかな?」
カゲスターが戦闘員を倒しながら、少し疲れた声で言った
「そうかもね・・」
ベルスターも少し息が上がってきていた・・・・
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保全:03/03/31 13:48 ID:QJelAJOI
∩)●´З`(∩ <あっちょんぶりけ!
「こっちれす!」
物音を聞きつけ、ようやく辻と安倍が工場に着いた。
「あれは?・・」
安倍と辻が中を覗きこむと、「赤い体に不気味な大きな目をした怪人」と
「ミニスカートの女性」が戦闘員と闘っていた。
「は、恥ずかしくないのれすかね、あの人・・」
「どうしよう、仲間割れかも知れないし・・」
安倍は状況が掴めず、助けに入るべきかどうか躊躇していた。
中を見渡すとハカイダーの姿が目に入った。そしてその脇では初老の男が戦闘員に捕まっていた。
「ハカイダーがいるのれす!」
辻が叫んだ。
「どうやら向こうが『悪者』みたいだね。それに『敵の敵は味方』って言うし・・」
「・・・よし!2人を助けるわよ!」
「わかったのれす!」
「変・・・・・身ッ!!!」
「これで、50・・いや60人だっけ?」
「70人よ・・」
相当疲れた様子で背中越しに会話をするカゲスターとベルスター。
かなりの数を倒したはずだが、まだ戦闘員が2重3重に周りを取り囲んでいる。
たとえ戦闘員を全部倒したとしても、まだ黒い怪人と爬虫類のような怪人がいる。
さらにいつの間にか蟹のような怪人まで現れていた。
「さすがにまずいかな・・」
ベルスターがそう思ったとき、戦闘員の輪の外側が騒がしくなった。
騒ぎがする方を見ると、戦闘員の輪が崩されて行く。
戦闘員の人波を掻き分け、ストロンガーとライダーののが二人の前に現れた。
「くそっ!」
ベルスターは突然目の前に現れた昆虫のような怪人を見て思わず身構えた。
「新手の怪人」が業を煮やして飛び込んできたのかと思ったのである。
「助けるのれす!」
ライダーののが叫んだ
「あなた達もゼティマと戦ってるんでしょ?」
ストロンガーが2人に言った。
「え?」
「話は後で、とにかく行くわよ!」
そう言うとストロンガーとのライダーののは戦闘員と闘い始めた。
「ライダー!どうしてここに!」
ハカイダーが叫んだ。
「ライダー?この2人が?」
カゲスターとベルスターはその名前に聞き覚えがあった。
今まで倒してきた怪人たちが口にしていた名前、「ライダー」。
「戦っているのは自分達だけではない」と何度も勇気付けられた。
一度は合ってみたかった。
まさかこのピンチの時にこんな所で出会えるとは!
「行くよ!」
「おう!」
すっかり息を吹き返したカゲスターとベルスターは戦闘員の群れに向かっていった。
数分後、周りを取り囲んでいた最後の戦闘員が倒された。
もうこれ以上戦闘員の数は増えなかった。
残りは男を捕まえている数人と、3人の怪人だけであった。
「その人を放しなさい!」
ベルスターが叫んだ。
「・・・あなたは、ひょっとしてソニンさんですか?」
捕まっている男がベルスターに話し掛けた。
「・・・・そうです。」
「やはり・・では、あなたに見ていただきたいものがあります」
そう言うと男は戦闘員に掴まれている両腕に力を入れた。
「あれは?・・」
男の両腕のコートが焼け、煙が上がった。
「ギャア!」
戦闘員がたまらず手を離した。
男が手を振り回すと戦闘員が倒された。
手の先にはナイフのような大きな爪が生えていた。
「貴様!」
それを見た蟹の怪人「カニカブラー」が男に襲い掛かる。
男はその攻撃をサッとよけると、初老とは思えないスピードでソニンの所へ走ってきた。
「その体はいったい・・・」
ソニンは男の姿をみて絶句した。
手はナイフ。腕は発熱体。胸と腹は半魚人のような鱗が生えている。
改造人間には違いないが、改造方法が場所によってバラバラである。
「私は何でも自分で試してみないと気が済まない性質でして・・」
男は自嘲しながら言った。
「見て下さい。これが今の我々の力です・・・我々にはあなたの力が必要なのです」
「私の力って・・・教えて下さい。私は何者なんですか?」
ソニンが聞いた。
「あなたは元ゼティマの研究員です。ちょうどこの工場の地下で、改造人間の研究をしていたのです」
「そんな・・・嘘でしょ?!」
「くくく・・・ますます気に入ったぞ」。
工場の地下深く、その様子をモニターで見つめる男がいた。
プロフェッサー・ギルである。
「・・是非貴様を我々の仲間にしてやる。ハカイダー!なんとしてもその男を連れて来い!」
ギルは無線でハカイダーに命令を伝えた。
「わかりました・・・」
ハカイダーが顎で合図を送ると、カメレオン男とカニカブラーが4人に襲い掛かった。
カメレオン男はライダー2人に襲い掛かる。
突然カメレオン男の姿が消えた。周りの景色と同化したのだ。
しかもスピードが速い、背後、側面から攻撃を仕掛けてくる。
ライダー2人が気配を感じてパンチ、キックを繰り出しても既に間合いの外だ。
ライダーののとストロンガーは翻弄され、身動きが取れなくなっていた。
カゲスターとベルスターは2人がかりでカニカブラーを取り押さえようとした。
しかし強力なパワーに振り回されてしまう。
しかも硬い甲羅に阻まれて攻撃が全く効かない。
カゲスターは片腕で軽く放り投げられた。
地面に叩きつけられたカゲスターは、体勢を立て直し立ち上がろうとした。
その時、あの黒い大型バイクが目に入った。
「このバイクは・・・」
その横を見るとハカイダーが立っていた。
ハカイダーは、自分はまるで関係無いといった様子で闘いの様子を見ている。
「おい!このバイクに乗っていた女はどこへ行った?」
カゲスターはハカイダーに問い掛けた。
「それは私のバイクだ。」
ハカイダーが言った。
「いや、女が乗っていたはずだ、後藤真希という女性に聞き覚えはないか?」
「・・・もちろん知っている」
「どこにいる!」
「私の名だ。私の名前はハカイダー・マキ。昔の名前は、後藤・真希」
カゲスターはそう言われてハカイダーの姿をしっかりと見た。
黒い体で銃を持ち、頭には脳が浮かんでいる。
戦闘員や怪人を顎で使い、拉致までさせる悪の組織の怪人。
これがあのやさしかった姉なのか?・・・
「う、嘘だああああー!!」
カゲスター、いやユウキの悲痛な叫び声が工場に響いた・・・