64 :
名無し天狗:
>>58の末尾を少々修正の上で
>>59から
まず、ボロボロになったユキの皮膚を、勤めを果たせずして敢え無い最期を遂げた
谷一族のくノ一のそれを移植することで再生する。
臓器物や骨にも同様の処置が成された。そして、いよいよ動植物の細胞移植に差し掛かる。
彼女に与えられた能力は「鷹」であった。
これらの様々な過程を経て、手術に費やすこと実に十日。
あとは、最大の難関・化身能力の組み込みのみとなった・・・。
その頃、時を同じくして、血車党でも化身忍者製造の手術が行われた。
一度は出陣を決意した骸丸ではあったが、どうせ邪魔者を葬るなら化身忍者の力を使おうと考えたのだ。
秘伝の書の解読には骸丸があたり、それを元に執刀を進める。
こちらの化身忍者は、「うつぼ」の能力を持つものであった。
その間にも、血車党の下忍たちによる無差別殺戮が行われていた。
罪無き人々が次々と彼らの凶刃に斃れていく・・・。
幕府や奉行所も彼らを捕らえようと手を尽くすが、風のように現われて風のように去ってゆく
血車党の神出鬼没ぶりに常に翻弄されて手も足も出ぬ有様であった。
やがて血車党の方も十日掛けて化身忍者「毒うつぼ」を完成させ、野望達成の障害となる敵・
美浜五木家と谷一族を討伐すべく、今度こそ出陣した!!
65 :
名無し天狗:03/03/24 03:54 ID:zhwgSABd
江戸へ向かって進軍する血車党の一団。行く手を遮る者を悉く蹴散らし、
道中に於いてもやはり破壊と略奪と殺戮の限りを尽くした。
そうして彼らが江戸まであと数里のところに差し掛かった・・・その時!
「な、なんだあれは!?」
「骸丸様、また邪魔者が。今度は一人です!」
「何だと!?」
彼らの前に一つの人影が立ちはだかったのである。
街道のド真ん中で腕を組んで仁王立ちのその人影は、江戸に侵入せんとする血車党を強く睨み据える。
やがて、人影は彼らに向かって声高にこう言い放った!
「無法の限りを尽くす血車党の悪鬼ども!ここから先へは行かせぬぞ!!」
その声は女・・・しかも血車党、特に骸丸にとっては聞き覚えのある忌わしい声である。
「ば、馬鹿な・・・貴様はあの時の五木の女狐!?生きておったのか!!」
狼狽する骸丸。無理も無い。目の前にいる女は確かに息の根を止めた筈のユキであった。
彼女の最後の手術は奇跡的に成功したのだ!
「貴様らの悪行を懲らしめるため、地獄の淵から舞い戻ってきたのだ!!
貴様らの命運、最早これまでと知れ!覚悟!!」
一度は自分を殺しかけた仇敵・血車党を前に、ユキは復讐の刃を構える・・・
脳裏を駆け巡る様々な想いを胸に!
66 :
名無し天狗:03/03/24 04:11 ID:zhwgSABd
「おのれ・・・小癪な小娘め!今度こそ地獄へ送ってくれるぞ!!
者共、やってしまえ!!」
怒り心頭に達した骸丸の号令を受けて、次々とユキに斬り掛かる血車党の下忍たち。
だが、当然ながら彼らの攻撃は全てユキにかわされる。しかも今度は、化身手術で身に付いた、
常人以上の技能によってである。彼らは瞬く間に皆返り討ちと相成った。
この光景を目の当たりにして、なおも苛立った骸丸は、江戸攻略のために用意した
「毒うつぼ」をユキに差し向けた。
「まさか・・・こ奴らも化身忍者を完成させたのか!?」
ユキは一瞬当惑したが、先手必勝とばかりに「毒うつぼ」に挑み行く。
だが、「毒うつぼ」は“完全体”であった。化身手術で蘇ったとは言え、今のユキの姿は
通常といささかも変わっていない。忽ちにしてユキは劣勢に追い遣られた。
「く・・・手強い!この上は・・・・・・!!」
このままでは勝てぬと悟ったユキは、手にした刀を逆手に持ち、空いている左手のひらを
刀の峰に添えた。そして片膝をついてしゃがむと、両眼を閉じて強く念じ始めた。
67 :
名無し天狗:03/03/24 11:29 ID:gXpCwAZ0
緊迫した空気がその場に立ち込める。
血車党の面々は全く隙の無いユキの凄まじいまでの殺気の前に、皆動けずにいた。
あの骸丸さえも・・・。
凍りつくまでの静寂が周囲を支配し、僅かな時が流れた。
やがて・・・・・・
「吹けよ、嵐・・・。」
ユキの呻くような重い声が聞こえた。
「嵐・・・」
まるで呪文を唱えるように、ユキはなおも呟く。
そして・・・・・・!
「・・・嵐!!」
そう叫ぶや、ユキはクワッと眼を開き、おもむろに立ち上がった!
「とぉーぅりゃあああぁぁぁーーーーー!!!」
と言う気合諸共、手にした刀を元のように持ち替え、勢い良く背中の鞘に収めた!!
・・・その瞬間!!!
バチバチバチバチ・・・・・・!!!ユキの身体を電流のような衝撃が駆け巡った!!
ユキの刀の鍔鳴りが彼女の脳神経を刺激し、化身の作用が働き始めたのだ!!
程なくして彼女の身体中から無数の鳥の羽が飛び出し、その身を覆う!!
68 :
名無し天狗:03/03/24 12:33 ID:XcLBo1vv
>作家ご一同様
突然かつ勝手ではありますが、都合により4月上旬くらいまで
執筆をお休みさせていただきます。申し訳ありません。