舞台は変わって、奥多摩にあるゼティマの前線基地。実は約束の場所である
ホテル跡からはそう遠くない距離にある。むろん少女たちはこのことを知らないが、
このことは敵の罠の悪辣さを改めて認識させることとなるだろう。文字通り、彼ら
は自らの懐に敵を呼び込んで抹殺しようと言うのだから。そして今まさに、この
場所にゼティマの精鋭部隊と言うべき怪人達が集結した。
戦闘員達が来たるべき戦いに備えて忙しく動き回る中姿を現した、毒蛾の改造
人間は言わずとしれたドクガロイド。圭織と圭の二人を死の淵へと追い込んだ
張本人である。
「私がどうやら一番乗りのようですね・・・」
自慢げな口調とともに周囲を見回す。確かにそこにいるのは彼と黒覆面の戦闘員
たちだけであるかに見える。だが、不意に何者かの声がした。
「残念ながら一番乗りはこの俺様だ。ケケケケケ」
声の方向に視線を走らすドクガロイド。だが、そこにあるのは作戦用の電子機器や
モニター類だけである。しかし、声の主の姿が見えないという事実が、聞き覚えの
ある声とともにある改造人間の名を彼に想起させた。
「相変わらず人を食った真似をする男ですね、あなたは。ここでわざわざ姿を隠す
意味がどこにあるというのです・・・カメレオロイド」
「ケケケケケ・・・」
ドクガロイドの言葉に答えるかのように、誰もいないはずのその場所にすうっ、と
浮かび上がる改造人間のシルエット。そしてその姿がはっきりと形になったとき、
そこに立っていたのは大きな目をギョロギョロと動かすカメレオンの姿をした改造
人間だった。彼こそゼティマの改造人間「カメレオロイド」だ。
「聞いたぞドクガロイド。大手柄じゃないか」
「小娘二人、あっけないほど簡単に片づきました。さしもの我々でも、まだ
粒子大のナノマシンなど作ることはできません。そこは少々はったりを効かせた
わけですが・・・それにしても鱗粉でひるんだ隙に打ち込むのは容易でしたよ」
なすすべもなく崩れ落ちる二人の姿を思い出し、怪人は不気味に笑う。
「それよりあなたも大佐・・・いや、暗闇大使様に招集されたクチですか」
ドクガロイドの言葉に長い舌を不気味に蠢かせカメレオロイドが答える。
「まぁな。トカゲロイド達が出張ってくることもあるかも知れんが、奴らを待つ
のは機を失するおそれがある。敵を叩くのは今をおいてほかにない。だから俺たち
だけで小娘どもを片づけちまおうかと考えてるところだが」
カメレオロイドの言うトカゲロイドとは、「ガモン親衛隊」の親衛隊長の
ことである。それはガモン大佐、現在の暗闇大使直属の精鋭部隊の名称であり、
彼は指揮官、つまり二人にとっては直接の上官に当たるわけである。しかし、
彼だけに限らずそれぞれが個別の作戦任務を遂行中である関係上、すべての
配下怪人が直ちに招集に応じられる訳ではない。カメレオロイドは残りの仲間達
が到着するのを待たず、三人だけで少女たちを抹殺しようと考えていたのだ。
その言葉に我が意を得たり、と頷くのはドクガロイド。今や仮面ライダー二人を
倒したことで上機嫌の彼は邪悪な笑みとともに言う。
「残りの連中など恐れるに足らず、ですよ。私とあなたとタカロイド、三人で
十分。トカゲロイド達はともかく、ZXやタイガーロイドの出る幕などない」
「その通りだ。奴らに手柄をくれてやる理由はない。俺たち三人で十分だとも。
ケケケケケ・・・」
そういって二人の怪人は顔を見合わせて笑いあう。やがて二人に遅れること5分、
タカロイドが合流し三大怪人の陣容は整った。
まずは昨日の分
>>464を訂正させてください。
カメレオロイドの言うトカゲロイドとは、「ガモン親衛隊」の親衛隊長を任命
された改造人間である。「ガモン親衛隊」とはガモン大佐、現在の暗闇大使直属の
精鋭部隊の名称でありトカゲロイドはその指揮官、つまり二人にとっては直接の
上官に当たるわけである。
しかし、彼だけに限らずそれぞれが個別の作戦任務を遂行中である関係上、全て
の配下怪人が直ちに招集に応じられる訳ではない。カメレオロイドは残りの仲間達
が到着するのを待たず、三人だけで少女たちを抹殺しようと考えていたのだ。
その言葉に我が意を得たり、と頷くのはドクガロイド。今や仮面ライダー二人を
倒したことで上機嫌の彼は邪悪な笑みとともに言う。
「残りの連中など恐れるに足らず、ですよ。私とあなたとタカロイド、三人で
十分。トカゲロイド達はともかく、ZXやタイガーロイドの出る幕などない」
「その通りだ。奴らに手柄をくれてやる理由はない。俺たち三人で十分だとも。
ケケケケケ・・・」
そういって二人の怪人は顔を見合わせて笑いあう。やがて二人に遅れること5分、
タカロイドが合流し三大怪人の陣容は整った。
同じ頃、ゼティマ日本支部基地内脳改造セクション「レベル4」。麻琴が
記憶を取り戻しそうだということを確信したまゆみは、手元に残されたわずかな
資料を基にその可能性を探っていた。ゼティマの科学者であるはずの彼女がなぜ
組織にとって不利としかいいようのない事実を探求する気になったのか、それは
彼女の組織憎しという思いと、完全な脳改造を施されたはずの改造人間が改造前の
記憶を取り戻すという、奇跡のような事象を解明したかったからに他ならない。
(女の声、そしてあいつ自身の名前・・・閉ざされた扉が少しだけ開いた。
しかし、ゼティマがいつそれを握りつぶすか知れたもんじゃないな)
そんなことを思いながら、手元の資料に目を通してみる。パーフェクトサイボーグ
技術についての断片的な研究資料と、素体である小川麻琴に関する資料。まゆみの
手元にあるそれらはいずれにおいても不完全であったが、それでも何かの糸口を
つかめれば、とまゆみは一字一句逃すまいと隅々に目を通していた。
と、そのとき部屋のドアが突然開き、その音にまゆみは慌てて広げていた資料を
隠す。幸い来訪者にその姿は見られなかったが、開いたドアの向こうにあったのは
彼女にとって招かれざる客の姿だった。
「なぜZXに記憶を与えたりしたのじゃ。ただでさえ電気ショックによる記憶の
混濁など不安定な要素が発生しておるというのに、お前は何かたくらんでるのでは
あるまいな?!」
部屋に入るなりものすごい剣幕でまくし立てるのは幽霊博士である。
「名前くらいいいだろ。信田・・・いや、タイガーロイドにだって名前はある。支障が
あるなら、また私が消去してやるさ」
相手をするのも面倒だと言わんばかりの口調で言うと、まゆみはさも何事も
なかったかのように机の上を片付け始める。もちろん、先ほどまで食い入るように
見ていた資料を隠すためだ。しかし、それでおとなしく帰るような幽霊博士では
ない。まゆみの肩をつかんで無理矢理自分の方へ向かせると、激しい口調で
言い放つ。
「黙れ!菅井や笠木の様になりたいのか?!」
彼女と旧知の間柄にあった二人の科学者の名前を出して脅しをかける幽霊博士。
二人が謎の死を遂げていたことをまゆみは不審に思っていたが、この口ぶりから
すると、どうやら二人を手にかけたのはゼティマだったようだ。
「なるほど・・・そうか、二人を殺したのはやはりお前達だったって訳か」
「加護とお前達がこそこそ育てていたガキどももじゃ!じゃが三人だけ、どうしても
見つからんわい・・・1803,2825,5501はどこにおる?お前達はあの小娘どもを
どうするつもりだったのじゃ?20000人じゃぞ、半端な数ではないわい」
「ちょっと待て・・・お前達は残りの娘を全員殺したのか?!」
まゆみはそう言って幽霊博士の手を力一杯払いのけると、彼女は幽霊博士に
憎悪のまなざしを向けた。