仮面ライダーのの555(ファイズ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
455ナナシマン
 二人がようやくライフステージに戻ったことで、安堵の表情を見せる少女たち。
それは亜依も同じだった。ミカと顔を見合わせて、互いに一瞬笑みを浮かべたが
すぐに二人の顔はまた険しさを帯びたものとなった。

 「実は二人の肺に入り込んだ鱗粉よりも、ナノマシンの方が問題なんです」

 「肺に入った毒鱗粉はそんなに量は多くないねん。これ見てんか?」

 そう言って亜依は、二人の気管、そして肺のスキャン画像をモニタに表示
させる。少女たちの目がモニタに釘付けになる中、ミカが画面中の紫色に染まった
部分を図示しながら言う。

 「この紫色の部分は、毒性を持つ異物が侵入したことを示すものです」

彼女のこの説明で、少女たちはそれが肺に取り込まれた毒鱗粉であることを容易に
理解した。それは肺の面積と比べると2割程度の分布でしかなく、確かに亜依の
言葉通り、取り込まれた量はそう多くないようであった。だが、ミカはナノマシン
こそが問題であるとつげた。それははたしてどういうことなのか。

 「次にこれを見てください」

 ミカが示した新たな画像、それは二人の体内において変身エネルギーを司る
ベルトの周囲と人工心臓、そして電子頭脳のスキャン画像である。

 「点滅してるご飯粒くらいの点があると思います。それが敵のナノマシンです」

ミカの言葉通り、示された各部において集中的にとりついている光る点がある
のが少女たちにもはっきりわかった。

456ナナシマン:03/07/06 20:30 ID:vpBzW5Iu
 「左の方が量が多いですけど?」

 そう言って愛が画像を指さして言う。よく見ると、二点の画像のうち左側に表示
されたものの方が明らかに点滅している点、つまりナノマシンが多いのである。

 「それは保田さんの方やな。二人の位置関係にもよるんやろうけど、飯田さんを
かばった可能性もあるなぁ・・・おばちゃんらしいっちゃそうなんやろうけど」

亜依の一言がなつみの胸にまたも突き刺さる。一瞬画像から目を背けてしまったが
再び視線をあげて目の前の事実と対峙する。しかし判らないのはナノマシンの効力
だ。ドクガロイドは「変身しようとすればエネルギーを放出して死に至る」という
ようなことを言っていたようだったな、となつみは思い返していた。本当にそんな
ことがあり得るのだろうか、そう考えていたその時、彼女の横で不意に声がする。
それは真里だった。

 「これが一体どうなるって言うのさ?」

画像を見ただけでは理解できない点も多いのはやむを得ない話だ。そんな真里の
言葉に亜依が答えて言う。

 「改造人間の変身エネルギーを勝手に放出させたり、体内から破壊したりする
やっかいな代物ですわ。しかも無理に取り除こうとすれば・・・」

 「ナノマシンは自動的に起動して、目的を遂行します。つまり、二人の身体を
内部から破壊するんです。画像をさらに拡大して立体的に詳しく調べてみたん
ですが、このナノマシンは時限式になっているみたいなんです」

恐るべき事実に今ひとつピンと来ないといった様子の少女たち。しかし、二人が
告げたのはあまりにも過酷な現実であった。その言葉の意味を最も早く理解した
のはあさ美だった。
457ナナシマン:03/07/06 20:32 ID:vpBzW5Iu
 「それって・・・体の中に時限爆弾が入ってるのと同じじゃないですか」

 「平たく言えば、そういうことやな」

眉間にしわを寄せ、深刻な面持ちを崩さぬまま亜依は頷いて言った。

 「安倍さんに言った『2日』の期限、それがナノマシンのタイムリミットと
言って間違いないでしょうネ」

約束の日までの時間は、ドクガロイドが仕掛けた死へのカウントダウンだった
のだ。少女たちの心に敵への怒りが燃え上がる。そこへミカがこう付け加える。

458ナナシマン:03/07/06 20:32 ID:vpBzW5Iu
 「ゼティマが人を操る時に使う技術の一つに、コントロール電波を受信する
装置を対象に取り付けるというものがあるんですが、その装置は怪人が発する
電波を受信して始めて機能するんです。多分その技術がこれにも・・・」

 「ということは、どういうことなんれしょう?」

 小首を傾げながら、何とも緊張感のない口調で希美が言う。そんな彼女の
言葉にため息一つついて真里が言った。

 「わかんないかなぁ・・・つまり、怪人を倒せは装置は動かないってこと
でしょ?」

真里はそう言って亜依とミカの方を見る。そして、確信とともに力強い調子で
言った。

 「だったらやるべきことは一つだよ。おいら達の力で、敵の改造人間を
やっつける。それが二人を助ける手だてだよ。そして、裕ちゃんもね!」

真里の言葉に力強く頷く少女たち。彼女たち思いは決まった。仲間の命を救う
ため、少女たちはあえて死地へと赴く決意を固めたのだ。