仮面ライダーのの555(ファイズ)

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41名無し天狗
>37から

所変わって、こちらは五木邸。

血車党の二度に亘る奇襲を受け、それでもユキの無事と密書が我がもとに還ることを信じて待つ
弘繁の姿がそこにあった。既に夜は更けたが、かかる事態に立ち至り決して眠ろうとはしなかった。

「殿、これ以上お待ちになられてはお身体に障りまする。殿におかれましては、暫しお休みの程を・・・。」
「あとは我らが引き受けますれば、ささ、殿・・・。」

孝雄も厳実も、弘繁の身の上を案じて休養を勧める。
厳実の言う通り、屋敷の内外は生き残った家臣一同が交代で常駐していた。
庭先や石畳周辺などには篝火が煌々と焚かれ、辺りを真昼の如く照らしていた。
言うまでも無く、血車党の更なる襲来に備えての臨戦態勢である。
孝雄や厳実も、袴の裾をたくし上げ、裃を取ったあとの小袖に襷を掛け、
頭には鉢巻をキリリと引き締め、敵と刺し違える覚悟を決めていた。
厳実に至っては、槍(先祖伝来の家宝で父の形見でもある)を手に闘志を漲らせている。
だが・・・

「そちたちの志はありがたいがそれはならぬ。」

弘繁は、家臣らの心からの忠義に感謝の念を抱きつつも、孝雄らの申し出を断った。

「何故に!?」
「殿!!」
「そちたちもユキも、余のために一命を投げ出しておると申すのに、余一人が眠っては
 皆に申し訳が立たぬ。それに・・・余はユキを信じておる。だからこそこうして待っておるのじゃ。」
42名無し天狗:03/03/20 23:57 ID:h0Urlepa
「いや、しかしながら殿…お言葉を返すようではござりまするが、
 お見受け致しましたるところ、殿は極めてお疲れのご様子。そこを血車めに突け込まれては
 お命に係わりまする。お辛いでしょうが、ここは美浜のため、如いては日本国のため・・・!!」
「殿!ご懸念、ご無用にござりまする!殿の御身には、何人たりとも指一本触れさせませぬ!!」
「しかし・・・・・・!!」

弘繁主従三人の、こう言ったやりとりが続いていたその頃、五木邸の裏門前では・・・・・・

「・・・本当にまた襲って来るのかのう、血車党は。」
「わしにもわからぬ。ただ我らは、この一命に代えても殿をお守り致すのみ!
 ・・・ん?まさかお主、今になって血車党が恐ろしゅうなったのではあるまいな?」
「ば・・・馬鹿を申せ。血車党ごとき、来れば今度こそ一刀両断!!」
「ハハハハ・・・いや、戯言じゃ、許されよ。」

と、門番の家臣二人が、辛抱し切れず雑談を交わしていた。そこへ・・・

「う・・・ううぅ・・・・・・。」

何やら不気味な呻き声を上げつつ、何者かが力なくよろよろと歩み寄って来たのだ。
その、得体の知れぬ人影の突然の来訪に、先程まで談笑していた門番たちもさすがに
その恐怖に凍りつく。

「!!・・・・・・ゆ・・・幽霊!!??」
「馬鹿な!幽霊などおるものか・・・・・・もしや、血車!?」

門番たちは、咄嗟に抜刀し身構えた。
43名無し天狗:03/03/21 01:52 ID:zaiGa/Vq
「ううう・・・うあぁぁ・・・ぅあううぅ・・・・・・。」
「え・・・ええい、寄るな化け物!!」

恐怖に震え、徐々に追い詰められていく門番たち。
人影はその彼らをよそに、よろめいた足取りでなおも接近する。
だが・・・

・・・・・・バタッ。

人影が突然その場に倒れ伏したのだ。しかし、苦悶の声は止まない。
門番たちは不審に思い、邸内の家臣たちに応援を求めた。

程なく、龕燈を携えた数名の家臣たちが裏門に駆けつけて来た。
そして、倒れている者を龕燈で照らしたその瞬間、彼らは大いに驚いた。

「!・・・こ・・・これは・・・・・・!?」
「ユキ殿・・・ユキ殿じゃ!!誰か、早く殿にご注進を!!」
「心得た!!」

間もなく倒れていた者・・・ユキは邸内に運ばれ、医師の手当てにより一命を取り留めた。
弘繁は、ユキの回復を待ってここまでの子細を尋ねることにした。
44名無し天狗:03/03/21 02:10 ID:zaiGa/Vq
「う・・・・・・?ここは・・・?」

やがて満身創痍で死の間際にあったユキが息を吹き返した頃には、
既に東の空が白んでいた。

「・・・気が付いたかユキ。ここは余の屋敷じゃ。」

弘繁は、ユキが気付くまで彼女の傍を離れず、付きっ切りで看病をしていたのだ。
これまでの心労もあり、弘繁の顔はいささかやつれていた。

「・・・殿・・・・・・う!!」

身を起こそうとするユキ。だが、負傷が完治していない彼女の身体を激痛が襲う。

「おお・・・余り無理を致すな、身体に響くぞ。横になったままでよい。
 ・・・さて、一体どうしたと言うのじゃユキ。これ程までにボロボロになって戻って来るとは・・・。」
「殿・・・面目次第もござりませぬ・・・・・・!」

己の非力を悔やみつつ、ユキは自らが死の手前まで負傷した経緯を話した・・・。