襲い来るアリコマンド達をパンチやキックで叩きのめすスカイライダー。
一方の真里も取り囲む敵を前にして変身の構えを取る。
「変・身、ブイスリャあ!!」
力と技の風車が回る。ダブルタイフーンからほとばしる閃光と共に姿を現した
赤い仮面の戦士、その名は仮面ライダーV3。二人のライダーは群がるアリコマンド
をなぎ倒し、投げ捨てて片っ端からぶちのめす。やはりはなっから雑兵では相手に
ならなかったか、アリコマンド達は折り重なるようにしてのびてしまった。こう
なると、二大怪人が直接戦わなくてはならない。
「やはりここは我々がやらなければならんようだな」
「二人まとめてカッパ巻きにしてくれるっパ、覚悟!」
おのおのが相手を定めて二人のライダーに襲いかかる。ウニデーモンはV3に、
そしてオカッパ法師はスカイライダーに。対する仮面ライダーも受けて立つ。
二大怪人と真っ向勝負だ。
「お前達、生かしては帰さんからな!覚悟しろ」
そう言うやウニデーモンは手にした金棒を振りかざし、憤怒の形相でV3に
襲いかかる。大きく金棒を振り上げ、頭蓋をも砕けよとばかりに振り下ろす
怪人の一撃を右に左に身をかわして避けるV3。と、その時盛んに金棒を
振り下ろしていたウニデーモン、攻め疲れたかついに金棒の重さに負けて姿勢を
崩してしまった。それを見逃すV3ではない。がら空きのどてっ腹にパンチを
たたき込むと、肩車に担ぎ上げてそのまま投げ飛ばした。
「どうだ!」
V3の強烈な飛行機投げで身体を強打したウニデーモン、よろよろと
起きあがると戦意を奮い立たせ、再び金棒を手にしてV3に殴りかかる。
「たかが小娘とあなどったわ。今度こそ死ね、V3!」
大上段から振り下ろす渾身の一撃。しかしこの一撃をV3は白刃取りの要領で
受け止めると、逆に全身の力で金棒を押し戻し、そのまま金棒もろとも怪人を
捻り倒した。ウニデーモンは立ち上がって体勢を立て直したが、対するV3も
怪人の反撃に備えて再び身構える。
「力と技のV3!パワーでもテクニックでも負けないぞ!」
「小癪なヤツめが!捻りつぶしてくれるわ!」
一方、オカッパ法師の「カッパ巻き攻撃」に苦戦を強いられているのは
スカイライダー。自在にのびる巨大な海苔巻きが右に左にと襲いかかり、これを
交わすので精一杯といった風だ。
「海苔が生き物みたいにどこまでも追いかけてくる・・・どうすれば」
「逃げてばっかりではダメっパよ?だったらこれはどうっパ?」
そう言うと、オカッパ法師は例の円盤を呼び寄せる。その正体は巨大なカッパ
の頭の皿なのだ。オカッパ法師は神通力でこの飛行物体を操ることが出来るのだ。
「行け!スカイライダーを押しつぶしてしまえ!!」
猛回転するカッパの皿がスカイライダーに迫る!と、その時だ。
「チェェェスト!!」
いずこからともなく聞こえてきた裂帛の気合いと共に鋭い跳び蹴りが皿を
捉えると、カッパの皿はそのままオカッパ法師の方へと蹴り飛ばされた。
飛んできた皿を神通力で再び制御すると、オカッパ法師は声のする方へ
視線を走らせる。と、そこに立っていたのは稲妻走る青い戦士の姿だった。
「貴様は誰っパ?!」
「自由の戦士、イナズマン!子供達を誘拐して改造人間にしようとする
お前達のたくらみ、許さない!!」
そう言うと素早く怪人の許へと駆けていくイナズマン。一気に距離を詰めると
必殺の稲妻拳法をたたき込む。しかし、イナズマンの攻撃がオカッパ法師に
通じない。打撃を受けた腹の辺りを軽く払うと、オカッパ法師は大笑して言った。
「カーッパッパ!無駄っパよ。水のあるところではカッパは無敵っパ」
「水?」
確かに昔話ではカッパの力の源は水であるが、しかし辺りを見回しても川や
泉がある訳ではない。いったいオカッパ法師はどのようにして力を得ていると
いうのか。
「この一帯には地下水が豊富に流れているっパ。だからワシの力は無限っパよ。
ちょうどいい、神通力で鉄砲水を起こしてお前らみんな押し流してやるっパ!」
何と怪人の力の源は地下水脈だった。水から得る霊力によって、オカッパ法師
は神通力を使っていたのだ。しかも敵は鉄砲水を起こすと言うではないか。
「そんなことはさせない!この力で止めてみせる!」
怪人を指さし、そのまま今度は額の稲妻の様な触角を指さして見得を切ると
イナズマンはその精神力を集中し念力で勝負を挑む。
「どれほどの力か知らぬが・・・やってみるっパ、小娘!」
オカッパ法師が両手で地面を掻くと、怪人の周囲に水があふれ出てきた。
そしてついには間欠泉のように高く吹き上がるまでになり、それはやがて水柱
となって意志を持つかのごとくイナズマンに襲いかかる!しかし、イナズマン
は待っていたとばかりに身構える。
「どうした、逃げないっパ?飲み込まれてしまうっパよ」
イナズマンは逃げない。それどころか、勝機を得たとばかりに天に叫ぶ。
「お前の負けだ、オカッパ法師!超力ッ!稲妻落とし!!」
にわかにかき曇る空、そして轟く雷鳴。かけ声と共に稲妻が走り、電撃は水を
伝ってオカッパ法師を直撃する。
「ウッギャァァァァァ!!」
イナズマンはこの瞬間を待っていた。敵が操る水の力を利用し、自らの放つ
電撃を伝わらせてダメージを与えようと狙っていたのだ。そして目論見通り、
稲妻が怪人を襲う。全身を駆けめぐる電撃、やがてオカッパ法師の頭の皿が
火を噴きだした。頭の皿はカッパの急所、水を失えばその力は弱まる。
「ヒィィッ!熱いっパ、熱いっパ!!皿が、皿の水がぁぁぁ」
たまらず待たせていた空飛ぶ巨大な皿に飛び乗るオカッパ法師。頭上で燃える
炎が髪の毛を焦がし、煙を上げる様が痛々しい。
「いっ、命あっての物種っパよ・・・ここはひとまず退散するっパ」
その姿を見たイナズマンは怪人を指さしてスカイライダーに叫ぶ。このまま敵を
まんまと逃がす手はない。
「あさ美ちゃん!ヤツが逃げるよ!!」
皿に乗ったオカッパ法師は這々の体で逃げようとするが、それを見逃す二人
ではない。お返しとばかりにスカイライダーが身構えると、空に向かって叫ぶ。
「逃がすもんか!スカイターボ!!」
スカイライダーの声に応じ、自動操縦で走ってきたスカイターボ。再び
飛び乗ったスカイライダーは、そのまま空中へと大きくジャンプして怪人を
乗せた皿に突撃する。「スカイターボアタック」の直撃に皿のコントロール
は失われ、振り落とされたオカッパ法師の遙か後方に墜落し爆発した。
そして機を失せずスカイライダーは空中高くジャンプすると、高空から
跳び蹴り一閃、必殺の「スカイキック」を放つ。
「受けてみろっ!スカイキーック!!」
「クワッパァァァァ!!」
体勢を立て直す暇すら与えない必殺の一撃が地上の怪人を襲う。水の力
で神通力を操るオカッパ法師も、ついに爆発四散した。
今回はちょっと久々に子供向け風の話が書きたくて、そこかしこにそれっぽい
描写をちりばめてみました。オカッパ法師の口調も確かこんなのでは無かった
はずですがストーリー上の要求によりこのような形になりました。
また能力についてはテレビ版よりも妖怪色を強くしてます。神通力などの能力
はなかったとは思うのですが、技がカッパ巻き攻撃だけしかないのも何なので
イナズマンとの超能力合戦の相手もかねてパワーアップさせました。ある程度
書き終えた後に気づいたのですが、奇しくもこのカッパの怪人の対戦相手は
ガニモニ。コンビですね、考えてみたら。
なんだかんだでいろいろ書き足してたら予定が延びてしまいました。予定では
明日の終了となります。それにしても、此処まで来るとインターミッションでも
何でもないですね。ホントはただ
>>296のフレーズを書きたかっただけじゃ
ないのかと小一時間(ry・・・って古ぅ。
そうそう、マリダーV3とあややゼティマライダーカワイイ!ですね。
オカッパ法師が倒された今、残るはウニデーモンただ一人。もはや後がない
と知るや、破れかぶれの突撃を試みる。
「かくなる上は・・・V3、覚悟!!」
手にした金棒を力の限りにブン回し、最後の一騎打ちを挑むウニデーモン。
V3も怪人の攻撃に備え、両腕を交差して身構えた。
「さぁかかって来い!オイラは逃げないぞ!!」
腕をクロスしたまま全く微動だにしないV3。真っ正面から敵の攻撃を受け止める
つもりなのか、そのまま腰を少し落として怪人との激突に備える。
「バカめが、避けぬつもりか!ならばお望み通り叩き潰してやるわ!!」
あらん限りの力を込めて、全身全霊の一撃を加えるべくウニデーモンは間合いを
詰めると金棒を高々と振り上げ、全体重をかけて一気に振り下ろす。
「ゴンッ!!」
鈍い金属音があたりに響く。衝撃は金棒を伝わって怪人に確かな手応えを与えた、
はずだったのだが、次の瞬間ウニデーモンは驚くべき光景を眼にする。
「バッ・・・バカな!」
怪人の目に飛び込んできたのは、交差したV3の両腕に当たってくの字に
折れ曲がった、自慢の金棒の変わり果てた姿だった。生身の人間が殴りつけた
のならばまだしも、改造人間の腕力から繰り出された一撃が身体を捉えれば、
さしものV3もただではすまないはずなのだ。だが、ウニデーモンが視線を
落とすと、そこにいたのは紛れもなく仮面ライダーV3だった。
「みたか!26の秘密の一つ、『細胞強化装置』!」
細胞強化装置とは、体内の人工筋肉の強度を倍加させる効力を持つ装置で
あり、筋組織の細胞に働きかけることでV3の全身は鋼鉄よりも固くなるのだ。
そしてウニデーモンは反撃の余力すら失い、身体をぐらつかせて前のめりに
倒れ込む。V3は敵の懐に巧みに飛び込むと、そのまま後方へと倒れ込む。
その勢いのまま相手の腹を蹴り上げ、巴投げの状態でウニデーモンを空中高く
放り投げた。
「いくぞ!V3、ダブルアターック!」
宙を舞うウニデーモンの姿を見やるとV3は立ち上がり、すかさず空中に
飛び上がる。身を翻し、必殺のV3キックをたたき込む二段攻撃、これが
「V3ダブルアタック」だ。落下中のウニデーモンにライダーキックが炸裂
すると、急速落下したウニデーモンは激しく地面にたたきつけられた。
ゼティマの怪人にとどめの一撃を食らわし、戦いは終わったかに見えた。
だが、立ち上る砂煙の中から現れたのは誰あろうウニデーモンだった。
折れ曲がった金棒でかろうじて身体を支え、虫の息の怪人は戦士達に
驚くべき事実を告げる。
「お前達・・・戦いはまだ終わったわけではないぞ・・・」
「まだやる気!?もうそんな力は残ってないはず!」
戦いの予感に身構えるスカイライダー。ウニデーモンはなおも続ける。
「面白いことを教えてやる・・・まもなく我らゼティマに五万年に一度の
節目が訪れる。その節目の年、新たな世界を統べる王となる者が生まれる」
ウニデーモンの言葉に息をのむ戦士達。瀕死の怪人が告げる、新たな世界の王
となる者とは、一体何者なのか。
「日食の日に生まれた二人の娘・・・『世紀王』・・・互いに相争い、その
いずれか一人が世界を統べる王となる。そして、時を同じくして王に仕えるべく
屍の山より出で、人を超えし者達が動き出す・・・古き世界を滅ぼすために」
「『世紀王』って一体なんだよ!世界の王って誰のことなんだよ!!」
真里〜V3の言葉をも意に介さず、断末魔のウニデーモンは言う。
「運命の娘を捜し出せなかったのは無念だが・・・それも遠い話ではない。
聞け、仮面ライダー。我らはZETIMA・・・神に愛されし者・・・」
『世紀王』という謎の言葉を残し、怪人ウニデーモンは大爆発と共に消滅
した。世紀王、それは人を超えし者達を従えた、新世界の王位継承者。そして
日食の日に生まれた二人の運命の娘たち。激しさを増すゼティマとの戦いの
果てに、少女達が見るものは果たして、何か。
インターミッション 「あいつの名は仮面ライダー」 終