仮面ライダーのの555(ファイズ)

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150名無し天狗
どなたの書き込みもないようですので、第34話完結編いかせていただきます。

    第34話「むかし むかし・・・」(完結編)

<これまでのあらすじ>
乱世の時代より越前美浜藩五木家と忍者集団「谷一族」が作り上げ、泰平の世に移った時に
完成した「化身忍者誕生の法」は、人体に動植物の細胞を移植し、脳神経に刺激を与えることによって
化身すなわち変身させることで超人的能力を発揮させるという驚異の秘法である。
その秘伝の書が、倒幕しいては日本征服を目論む悪の忍者集団「血車党」に狙われ、ついには奪い去られてしまった。
美浜五木家に仕えるくノ一(女忍び)のユキは、秘伝の書を奪還せんと血車党を追うが、彼らの卑劣な罠に掛かり
生死の境をさまよう程の重傷を負ってしまう。
苦悩する五木家。だが、その彼らの前に谷一族の頭領・谷の鬼十が現われ、ユキの助命を約束し、蘇生のために彼女を引き取った。
一方、秘伝の書を手に入れた血車党は、それをもとに化身忍者「毒うつぼ」を造り、江戸侵略に乗り出した。
遮るものを蹴散らし、江戸に迫る血車党。だが、その彼らの前に鬼十の化身手術によって蘇生したユキが立ちはだかる。
一進一退の攻防が続く中、ユキは遂に化身の力を駆使する。
「吹けよ嵐、嵐、嵐!!」の声と共にユキが持っていた刀を鞘に収めた瞬間、鍔鳴りの音が彼女の脳を刺激し、
彼女の身体に変化をもたらす!!
151名無し天狗:03/04/12 00:13 ID:dAXNOGUI
>>67から

「ぐ・・・こ、これは一体・・・・・・!!?」

突然の出来事に骸丸は更に狼狽した。
ユキの身を覆う鳥の羽の群れはなおもその数を増し、竜巻となって彼女を守るように回転の勢いを上げてゆく。
それは猛然とした突風となって血車党の面々を襲う。

「・・・!!ま・・・まさか奴は!!?」

羽竜巻に煽られる中、骸丸は何か気づいた。
死の手前にまで追い遣った筈の者がわずかな日数でここまで回復できよう筈がない、と。
間もなく、その骸丸の疑念は現実のものとなった。

砂塵を捲いて、血車党からユキの身を守っていた羽竜巻が止み、羽が全て吹き払われたその時、
ユキの姿はそこにはなかった。代わりにその場に現われたのは、鷹を擬人化したかの如き
異様な風体をした一人の「鳥人」であった。
152名無し天狗:03/04/12 00:51 ID:dAXNOGUI
頭はまさに「鷹」そのもの、その嘴は大きく開かれ、剣道の面のような格子が填っている。
眼光鋭く、嘴同様大きく開かれた両眼の瞼には、あたかも兜の前立てや昆虫の触覚よろしく
鳥の羽が天に向かって左右に伸び、頭頂部は後ろに大きく迫り出して竜の角を思わせる。
後頭部の下半分は赤い鬣に覆われ、獅子を彷彿とさせていた。
また身体の方は、全身を魚類や爬虫類の鱗のように鳥の白羽で包み、
肩口と短い裾がギザギザの段だら状になった赤い衣をその上に纏い、
腰に巻いた黒い帯と衣の両胸には谷一族の紋章「四枚羽斜め十字組」が掲げられている。
そして手首と足首は人間のそれと鳥の脚を合成させたような特異な形状をしていた。
刀を背負ったその「鳥人」の姿は、何も知らずに出会う人から見れば十中八九こう思うであろう。
「化け物」と。
だが、その「化け物」こそが、ユキが己の「人としての」人生と引き換えに谷の鬼十から授かった
彼女の「新たなる力」の証なのだ。化身手術の際に留められた身体の曲線が化身後に残されたかつての彼女の名残である。
「鳥人」と化したユキの獅子吼の名乗りが、悪逆非道の血車党を畏縮させん勢いを持って天地に響き渡る!!

「変身忍者!嵐!!見参!!!」



153名無し天狗:03/04/12 01:28 ID:dAXNOGUI
「な・・・何ぃ!?
 くぅ・・・そうか、貴様も化身の手術を受けておったのか!!
 だがしかし・・・秘伝の書は我ら血車党の手の内にある筈!なのになぜだ・・・!?」
「ハハハハハハ・・・とんだ見込み違いだったようだな!!谷一族には先祖代々口伝によって受け継がれた
 秘法の記憶があるのだ!!貴様らのような付け焼き刃とは違うことを思い知らせてやる!!」

ユキ、いや、嵐の蘇生の理由に納得しつつも困惑の色を隠せない骸丸を笑いつつ嘲り叫ぶ彼女のその声は
ユキの物とは異なっていた。女であることに変わりはないが、嵐の声はユキよりも高く、強く鋭利な刃物のようで、
ユキよりも若干年上の印象をも醸し出している。
だが、彼女は紛れも無く化身手術で嵐となって蘇ったユキなのだ。

「くっそぉ・・・小賢しい小娘め・・・・・・!!ええい構わん!!
 この上は今度こそ貴様の息の根を止め、その上で谷一族を根絶やしにしてくれようぞ!!
 殺ってしまえ、「毒うつぼ」!!!」

いよいよもって怒りに紅潮した骸丸は、「毒うつぼ」に嵐の抹殺を命じた。
「毒うつぼ」は身体に巻きつけてあったうつぼを投げつけて嵐を襲う!