仮面ライダーのの555(ファイズ)

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1ナナシマン
「人が人を超えたとき、目覚めた力が運命を変えた!」

 仮面ライダーのの・辻希美は改造人間である。彼女の宿敵、ゼティマは
世界征服を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーののは人間の自由の為に
ゼティマと戦うのだ!


過去スレ
小説「仮面ライダーのの」
http://teri.2ch.net/mor2/kako/992/992448019.html
仮面ライダーののU
http://choco.2ch.net/ainotane/kako/1000/10006/1000651650.html
仮面ライダーののV
http://choco.2ch.net/ainotane/kako/1004/10046/1004640107.html
仮面ライダーののV3
現在html化待ち
仮面ライダーののX(前スレ)dat落ち中
http://tv2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1035609787/
1 戦いに身を投じた少女達(名称は本編に準じる)

辻 希美  仮面ライダーのの
加護亜衣  仮面ライダーあい
ひとみ   キカイダー
梨華    ビジンダー
マキ    ハカイダー
市井紗耶香 快傑ズバット
保田 圭  仮面ライダーアマゾン
飯田圭織  仮面ライダースーパー1
安倍なつみ 仮面ライダーストロンガー
矢口真里  仮面ライダーV3
紺野あさ美 スカイライダー
高橋 愛  仮面ライダーX
ミカ    ライダーマン
マコト   パーフェクトサイボーグZX
新垣里沙  イナズマン
村田めぐみ バイクロッサーメグミ
大谷雅恵  バイクロッサーマサエ
ユウキ   カゲスター
ソニン   ベルスター
まい    キカイダー01
32 少女達の理解者:03/03/13 10:32 ID:13MuyTlu
※ 名称表記が複数存在する場合は( )内に記しています。

中澤裕子  少女達の保護者的存在だが、現在ゼティマに拉致されている模様
石黒 彩  少女達の母親代わりであり真里の義姉。重傷を負うも現在は回復
稲葉貴子  FBI捜査官。少女達に協力している
アヤカ(木村絢花)  ゼティマから脱走したミカの仲間。彩の主治医だった
斉藤 瞳  めぐみと雅恵の幼なじみであり、何でも屋社長
柴田あゆみ  めぐみと雅恵の幼なじみ。合気道の心得あり
※ 名称表記が複数存在する場合は( )内に記しています。

福田明日香  何者かによって惨殺されたらしいが・・・
りんね(リンネ)  圭織をかばってカイザーグロウに殺された
ダニエル  ミカ達を基地から脱走させ、銃火に散る
チェルシー  同上
エイプリル  同上
あさみ(木村麻美) タックル  ウルトラサイクロンを放って死ぬ
荒井沙紀  暗殺者レッドクイン  復讐に失敗し一斉射撃の前に散る
大木伊吹  沙紀の友人だったが、復讐のために心ならずも殺害
北上アミ   同上
5「ZETIMA」〜ゼティマとは?:03/03/13 10:34 ID:13MuyTlu
 世界征服を企む悪の秘密結社であり、その野望のために日々改造人間や
人造人間を産みだしては尖兵として送り込んでいる。内部組織や配下組織
には判っているだけでダーク、デスター、テンタクル、デルザー軍団、
サタン帝国があり、独立攻撃部隊としてGWS、また東南アジア圏を支配
する支部組織として拳龍会(GWSと拳龍会は外伝のみの登場)がある。
 ちなみにガイゼル総統率いるデスパー軍団とは緊張関係にある。大首領
を頂点に最高幹部は悪魔元帥と思われるが、組織の実体には未だ謎が多い。
6ナナシマン:03/03/13 10:38 ID:UHn/DKoL
 ここで前スレでの訂正です。番外編に登場した「黒龍会」ですが、これを
よくよく調べたところ「拳龍会」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。

 ちょっと見ない間に鯖移転、dat落ちしてしまいましたのでスレ立てしました。
前スレは第34話の途中まで進行しています。順番から行くと次は「アマゾン」
なのですが、実際に話が掲載されたスレッドが5つめであることを踏まえてこの
タイトルにしました。
7 :03/03/13 11:02 ID:JaWhN0OY
@ノハ@
( ‘д‘)<終了

@ノハ@
( ´D`)<なのれす
8名無し募集中。。。:03/03/13 11:04 ID:/A2ndgav
オウルオルフェノク保全
9電気ひ辻:03/03/13 16:51 ID:vaTvdPpI
( ´D`) <おつれす
10名無しんじー:03/03/13 18:38 ID:sWFrOhnn
ナナシマン様お疲れ様です。
鯖移転ですか、参ったな、私が書いていた所も落ちました。
名無し天狗さん、大丈夫ですか?
>ナナシマンさん
ありがとうございます!そしてお手を煩わせて申し訳ありません!!
久しぶりにいい展開が思いついたのでチャットしようとしたら
いきなり「ののX」がdat落ち・・・。折角覚えていたストーリー
(「ののX」でも言いましたが、私は脳内執筆の上でチャットしてます)も
練り直しになり、どうしようかと言うところにこの「のの555」、
本当にありがとうございました。前スレは血車党に捕まった五木の殿様を
謎の影が救い出したところで止まってますが、そこからまた「無い知恵」を絞って
ストーリーを展開させていきますので、改めてよろしくお願いします!!

>名無しんじーさん
ご心配をお掛けしました。お互い大変ですが
がんばっていきましょう。
12テラバイター:03/03/13 19:43 ID:beqKWl6o
スカラベオルフェノク保全。
13名無し募集中。。。:03/03/13 19:45 ID:Bitxeq/M
イヌタクってオルフェノクなんでしょ
14名無し募集中。。。:03/03/13 20:52 ID:UOpmENL4
オックスオルフェノク保全
15名無し募集中。。。 :03/03/14 19:08 ID:ljSo6KT7
田代まさしはタコのオルフェノク
16名無しスター:03/03/14 23:26 ID:kmt/Bp9D
>ナナシマンさん
スレ立て乙です。

保全の直後に鯖移転するんだもんなあ・・
17川o・-・):03/03/15 00:08 ID:BR9XZXoY
川oT-T)<やっと新スレを見つけました
18名無し天狗:03/03/15 01:28 ID:TO0E4O1A

第34話「むかし むかし・・・」

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜

時は江戸、三代将軍家光の治世。
戦乱の頃より“化身忍者誕生の法”を開発していた越前美浜藩・五木家は、
苦心の末にその秘術を完成させたが、その時には既に泰平の世の中となっていた。
時の城主は、日本が再び戦乱の世に逆戻りするのを恐れて封印したが、
反徳川幕府の者たちにとって化身忍者誕生の法は垂涎の的となっていた。
そのうちの一つ「血車党」は、化身忍者誕生の法を狙い、江戸に参勤交代のために下向していた
現美浜藩主・五木治部大輔弘繁と江戸家老・堀内伝兵衛孝雄を襲い、秘術を手中に収めんとした。
だが、窮地に陥った弘繁を、謎の影が救い出した!!
19名無し天狗:03/03/15 01:49 ID:TO0E4O1A

「ぬぅ・・・貴様、何者だ!!」

血車党の指揮官・骸丸(むくろまる)は、千載一遇の機会を奪われて激昂し、
その張本人たる謎の影に己が怒りの矛先を向けた。
だが、影は弘繁を小脇に抱え、骸丸に背を向けたまま、一言も口にしようとしない。

「こら!貴様!我らを愚弄するか!!」

更に苛立つ骸丸。やがてその彼を嘲るかの如く、影はゆっくりと立ち上がり、静かに笑った。
その声を聴き、驚く血車党の面々。

「お・・・女だと!?」

低くかすかな声ではあったが、その声は女のものであった。影…いや、女は弘繁をそっと下ろすと、
骸丸の方を向き、羽織っていた黒布を勢い良く取り去った!!
20名無し天狗:03/03/15 02:27 ID:TO0E4O1A
黒布の下から現われたのは、運動性と機動性に重点が置かれ、見方によっては
妖艶ささえ感じさせる特異な装束姿の女であった。
全身に密着した銀の帷子、その上にこれまた全身に貼りつくようにまとった鎖帷子。
更にその上に、胸から下腹部にかけて黒い晒しを巻き、そのまた上に袖が無く、裾の短い
青い上着を着込み、腕には手甲、脚には脚反を身に着けている。
だが、袴は着けておらず、銀帷子と鎖帷子に包まれた両脚が露わになっていた。
そして、額に鉢金を巻いたその面立ちは、いかなる困難にも挫けず立ち向かうと言う強い決意を
そのまま人相にしたような、凛々しく端整なものである。と同時に、その顔からは慈しみや哀愁をも
感じ取れた。その彼女を見て、弘繁は感嘆した。

「・・・・・・ユキ!!」

ユキと呼ばれた彼女は、実は五木家に仕えるくノ一、すなわち“女忍び”である。
彼女は幼少の砌、両親を野盗に殺され、天涯孤独の身の上となったが、強くなりたい一心で諸国を巡り、
独学で武術の腕を磨いていった。やがて彼女は流浪の末に、“谷一族”なる忍者集団の存在を知り、
彼らの下に弟子入りした。
21名無し天狗:03/03/15 02:30 ID:TO0E4O1A
ようやく再開ですが、今日はここまでとさせて頂きます。
前スレから書いてきましたが、やはり難しいものだと改めて実感しました。
まだまだ未熟なところが多いこんな私ですが、どうか皆様よろしくお願いします!
22 ◆kiWd5P6LfM :03/03/15 07:06 ID:wB+91Ee0
(ё)<ニィニィげt。
          
23( ・e・):03/03/15 15:23 ID:hFyphNM7
( ・e・)<私はオルフェノクになれますか?
24名無しんじー:03/03/15 21:41 ID:nj/En8Gq
25名無し天狗@現在思案中!:03/03/16 03:11 ID:le/mx2Xa
>24名無しんじーさん
ホントだ!奇跡だ!!(大げさ)
情報ありがとうございます!!

よぉーし、俺も頑張るぞぉー!!
26ナナシマン:03/03/16 14:00 ID:wsjLV/uB
 スレ立て以来年度末の追い込みでろくに覗けていませんが、前スレ
前々スレ共にhtml化されたようで何よりです。今日明日には山を越え
そうなので、またお目にかかりたいと思います。

>>名無しんじーさん
 お知らせ頂きありがとうございました。これで全編通して読んで頂ける
んではないでしょうか。

>>名無し天狗さん
 前のスレッドまで読んでいただけるようになったことで、お互いまた新しい
インスピレーションを受ける事が出来るかも知れませんね。

>>保全してくださった皆様
 thx!です。心なしかファイズネタが多いですね。僕自身は誰かをファイズ
として起用することを考えているのですが・・・思案どころです。


27川o・-・):03/03/16 22:55 ID:5Jk9LFXL
川o・-・)<ファイズは1度も見た事がないのでわかりません
28メ・ガルメ・レ:03/03/16 23:06 ID:17kZFADO
ニーガキってオルフェノクなんだろ?
29名無し募集中。。。 :03/03/17 04:16 ID:S5XpY+FM
ニイニイよりまこぷーのほうが怖いな
30名無し募集中。。。:03/03/17 15:45 ID:JrvV6Al7
(ё)

スタティングバイ


コンプリート

( ・e・)
31名無し天狗:03/03/18 03:08 ID:CPM0IAs7
>20から
谷一族に弟子入りしたユキは、一族の頭領・谷の鬼十の指導の下、メキメキと
忍術の腕前を上達させていった。また、女の身で忍びになる以上、女としての恥じらいを
捨てねばならぬことも彼女は覚悟していた。そう、すべては「強くなるため」。この一心で彼女は
あらゆる難行・苦行にも耐えてきたのであった。

入門より二十年後・・・一介のくノ一として心身ともに強く逞しく成長した彼女は師・鬼十の紹介で
越前美浜藩の五木家に仕えることとなり現在に至る。
そして今、自分を召し抱えてくれて、実の娘の如く育ててくれた大恩ある弘繁を
危害が及ばぬ場所へと逃がしたユキは、彼に牙を剥く血車党に対し怒りの刃を向けた!!

「くうぅ・・・猪口才な小娘めぇ・・・・・・!
 えぇい構わぬ、者共、五木諸共この娘から斬り捨ててしまえぃ!!」

怒髪天を突いた骸丸は手下の下忍たちに二人の抹殺を命じた。次々襲い掛かる下忍たち。
彼らは実は、日本中のありとあらゆる流派の忍術の悉くを会得した「日本最強」の忍者群である。
それ故、下忍と言えども侮れない実力と腕前を持っていた。

だが・・・・・・
不思議なことに、その彼らの術と言う術、技と言う技はユキには当たりもかすりもしなかった。
次々繰り出される攻撃を、ユキはあたかも古の牛若丸のように華麗にかわし続けつつ、
徐々に彼らに肉薄していく。その目を見張る程の流麗な動きに呆気に捕られた彼らは、
反撃の隙すらも与えられぬまま一人、また一人と彼女の刃の前に次々と斃れていった。
ユキのこの獅子奮迅の戦いぶりに驚いたのは、それまで意気揚々と指揮を執っていた骸丸も同様であった。
ユキに気を捕られ、人質に捕っていた孝雄らを既に厳実に奪還されたことなど全く気付かぬ程に
骸丸は彼女に戦慄と屈辱と怒りを覚えた。



32ムカデタイガー:03/03/18 14:26 ID:DzmLd2Jf
ニーガキ=バーミア兵オルフェノク
>31から
「まさか・・・日本最強の忍群たる我ら血車党が・・・たかが小娘一匹にここまで手こずるとは!?
 おのれ・・・奴め一体何者なのだ・・・・・・!?
 このままではいかん、者共、一先ず引き揚げぃ!!」

「日本最強」の忍者群の誇りと面子を潰された骸丸は、恨みを呑んで下忍たちに撤退を命じた。
生き残って撤退の命を受けた血車党の下忍たちもまた、無念を抱きつつ次々とその場から姿を消してゆく。

「このままで済むと思うな、必ず秘伝の書を手に入れてみせるぞ!!」

血車党の完全撤退のあと、骸丸の怨恨の声が五木邸の内外に響き渡った。

「血車党か・・・途轍もなく恐ろしい敵に狙われたものよ・・・・・・。」
「殿、お怪我は?大事はござりませぬか?」

思い掛けない強敵の出現に緊迫感を覚えた弘繁の身を案じて、ユキが声を掛ける。

「おおユキ、いつもながら済まぬのう。そなたこそ大事はないか?」
「ご心配には及びませぬ。これもまた臣下たる者の勤めにござりますれば・・・。」
「そうか。いや、よくぞ美浜の危機を救うてくれた。礼を申すぞ。」
「お言葉、忝う存じます。ですが、怖れながら、奴らがこのまま大人しく引き下がるとは
 とても思えませぬ。まだまだご用心が肝要かと存じまするが・・・・・・。」
「うむ・・・然様であったな。」

・・・と、そこへ

「殿!」
34名無し天狗:03/03/20 00:02 ID:3g+V55t4
「・・・・・・!?何事じゃ!?」

弘繁に声を掛けたのは、彼の生き残った家臣の一人であった。

「“例の場所”は危険にござりまする。また彼奴らが襲って来て探り出されるやもしれませぬ故、
 隠し場所をお変えになられた方が得策かと存じますれば…。」

家臣のこの提案に、弘繁は暫し思案した。

「・・・うむ、相わかった。いずれは感付かれる隠し場所じゃ。
 ここは別の、誰にも知られぬような場所に移しておくのも彼奴らを欺く一つの手・・・。」

血車党の再度の来襲を懸念した弘繁は、家臣の提案を採って例の地下迷路に向かった。
その迷路の路面に、化身忍者誕生の法を記した密書が眠っているのである。

やがて、床の間の掛け軸の前に辿り着いた一行。ユキも弘繁護衛のために同行している。
掛け軸を外し、弘繁にしかわからない壁板と出入り口の蓋の継ぎ目を、彼は丹念にこじ開けていく。

そして遂に出入り口が開いた。一行は予め用意した龕燈(がんどう。現代の懐中電灯にあたる)で
内部を照らしながらゆっくりと入っていった。
35名無し天狗:03/03/20 01:01 ID:3g+V55t4
「殿・・・この地下迷路に密書がござるのは承知致しておりまするが、
 一体いずこに・・・?」
「ここじゃよ。」

家臣の問い掛けに笑顔で応ずる弘繁は、入り口を潜ってすぐの路面に脇差の切っ先を突き入れた。
そして、入り口の時同様丹念に床板を開ける。

やがて、袱紗に包まれた一つの巻物が姿を現わした。巻物には例によって封印が成されている。

「さて・・・どこに移せばよいものやら・・・。」

弘繁は改めて次なる隠し場所を思案する。その彼に、同行の孝雄と厳実が提案する。
孝雄いわく
「庭先の石燈篭の下などはいかがにござりましょうや。」
厳実いわく
「いやいや、それではかえって危のうござる。
 殿、床の間の鷹の剥製の中などはいかがにござりましょうや。
 あそこならば、いかな血車党とて気付きますまい。」

そう言ったやりとりが続く中、ユキだけは黙したまま、弘繁に提言した家臣の動きを
注意深く凝視していた。
家臣は何やら、挙動不審のようだ。まさか・・・!
ユキは一抹の不安を感じていた。やがて・・・

「殿、そして方々、ご懸念には及びませぬ。新たなる隠し場所ならば、
 既にそれがしがよき場所を見付け出しましてござりまする。
 それがしにしかわからぬ場所にござりますれば、殿、まずはその一巻、
 まことに僭越にはござりまするが、それがしがお預かり致しまする・・・。」
「何じゃ…それならばそうと早う申せ。して、いずこに・・・?」

密書を家臣に預けつつ、弘繁は彼に期待を込めて問い掛けた。
36名無し天狗:03/03/20 01:39 ID:3g+V55t4
だが、その弘繁への返事は・・・・・・!

「その場所とは・・・血車党にござる!!!」

冷笑と共に家臣は、そう言うが早いか腰の脇差を抜き、弘繁に斬り掛かった!!
弘繁の頭上に迫る凶刃!!
突然の謀叛に孝雄や厳実は主君の眼前に走る!!
だが、彼らより一瞬早く謀叛を察知したユキが風の如く素早く飛び出し、
背負っていた刀を抜くや脇差を遮った!!

「おのれ、よくも殿に・・・血迷うたか!!」

ユキは家臣を鋭く睨み付け、怒りと怨みを込めてそう言い放った。
やがて二人は、激しく剣戟の火花を散らす。
孝雄も厳実も、程なくユキの加勢に入った。

一方、当の弘繁は、家臣の突然の造反に当惑の色を隠せずにいた。

「何故じゃ・・・何故あの者は突如余に歯向かい、密書を敵に渡そうなどと・・・
 もしや!?」
37名無し天狗:03/03/20 02:18 ID:3g+V55t4
「気付くのがいささか遅すぎたようにござるな、五木殿!」

家臣は弘繁に嘲りの一言を吐き捨てると共に、裃・袴などの着衣を脱ぎ払った!
そこにいるのは、最早家臣などではなく・・・・・・驚いたことに、血車党の下忍であったとは!!

迂闊であった・・・・・・。

弘繁は右の拳を強く握り締め、身を右へ捩じらせつつガックリとうな垂れて己が不覚を悔やんだが
最早後の祭りであった。遣る方無さに顔が歪む。

その弘繁を連れて逃れるよう孝雄らに頼み、ユキは血車党の下忍を追う。

「血車党め・・・まさかあの騒ぎのあと下忍を一人、家臣の中に紛れさせていたとはな・・・。
 しかも密書の在り処も知っていたところを見ると、余程入念に探り続けていたに違いあるまい。
 殿のお身の回りの警護を預かっておきながら・・・まだまだ修行が足らぬぞ、ユキ。」

ユキもまた己の未熟さを痛感していた。だが、後悔は先に立たず。
この上はどうあっても密書を取り返す。人一倍責任感の強いユキは、命に代えても秘密を守ろうと
更に速さを増して、逃げる下忍に肉薄する!!
38( ・e・):03/03/20 10:46 ID:m+dHKzh5
( ・e・)<実は私はサイマ獣なのだよ。
39ナナシマン:03/03/20 12:12 ID:fOejcvnh
>>名無し天狗さん
 ゆきどん出てきましたね。頑張ってください。こちらももう少しで仕事が
片づきそうです。
40名無し天狗:03/03/20 13:29 ID:oGXnh4q0
>ナナシマンさん
従来の尺度に合わせるつもりが思い切った長編に・・・・・・。
ダラダラとスイマセン、ホントに。
応援ありがとうございます。今夜も執筆の予定(“あくまで”ですが)です。
41名無し天狗:03/03/20 23:29 ID:h0Urlepa
>37から

所変わって、こちらは五木邸。

血車党の二度に亘る奇襲を受け、それでもユキの無事と密書が我がもとに還ることを信じて待つ
弘繁の姿がそこにあった。既に夜は更けたが、かかる事態に立ち至り決して眠ろうとはしなかった。

「殿、これ以上お待ちになられてはお身体に障りまする。殿におかれましては、暫しお休みの程を・・・。」
「あとは我らが引き受けますれば、ささ、殿・・・。」

孝雄も厳実も、弘繁の身の上を案じて休養を勧める。
厳実の言う通り、屋敷の内外は生き残った家臣一同が交代で常駐していた。
庭先や石畳周辺などには篝火が煌々と焚かれ、辺りを真昼の如く照らしていた。
言うまでも無く、血車党の更なる襲来に備えての臨戦態勢である。
孝雄や厳実も、袴の裾をたくし上げ、裃を取ったあとの小袖に襷を掛け、
頭には鉢巻をキリリと引き締め、敵と刺し違える覚悟を決めていた。
厳実に至っては、槍(先祖伝来の家宝で父の形見でもある)を手に闘志を漲らせている。
だが・・・

「そちたちの志はありがたいがそれはならぬ。」

弘繁は、家臣らの心からの忠義に感謝の念を抱きつつも、孝雄らの申し出を断った。

「何故に!?」
「殿!!」
「そちたちもユキも、余のために一命を投げ出しておると申すのに、余一人が眠っては
 皆に申し訳が立たぬ。それに・・・余はユキを信じておる。だからこそこうして待っておるのじゃ。」
42名無し天狗:03/03/20 23:57 ID:h0Urlepa
「いや、しかしながら殿…お言葉を返すようではござりまするが、
 お見受け致しましたるところ、殿は極めてお疲れのご様子。そこを血車めに突け込まれては
 お命に係わりまする。お辛いでしょうが、ここは美浜のため、如いては日本国のため・・・!!」
「殿!ご懸念、ご無用にござりまする!殿の御身には、何人たりとも指一本触れさせませぬ!!」
「しかし・・・・・・!!」

弘繁主従三人の、こう言ったやりとりが続いていたその頃、五木邸の裏門前では・・・・・・

「・・・本当にまた襲って来るのかのう、血車党は。」
「わしにもわからぬ。ただ我らは、この一命に代えても殿をお守り致すのみ!
 ・・・ん?まさかお主、今になって血車党が恐ろしゅうなったのではあるまいな?」
「ば・・・馬鹿を申せ。血車党ごとき、来れば今度こそ一刀両断!!」
「ハハハハ・・・いや、戯言じゃ、許されよ。」

と、門番の家臣二人が、辛抱し切れず雑談を交わしていた。そこへ・・・

「う・・・ううぅ・・・・・・。」

何やら不気味な呻き声を上げつつ、何者かが力なくよろよろと歩み寄って来たのだ。
その、得体の知れぬ人影の突然の来訪に、先程まで談笑していた門番たちもさすがに
その恐怖に凍りつく。

「!!・・・・・・ゆ・・・幽霊!!??」
「馬鹿な!幽霊などおるものか・・・・・・もしや、血車!?」

門番たちは、咄嗟に抜刀し身構えた。
43名無し天狗:03/03/21 01:52 ID:zaiGa/Vq
「ううう・・・うあぁぁ・・・ぅあううぅ・・・・・・。」
「え・・・ええい、寄るな化け物!!」

恐怖に震え、徐々に追い詰められていく門番たち。
人影はその彼らをよそに、よろめいた足取りでなおも接近する。
だが・・・

・・・・・・バタッ。

人影が突然その場に倒れ伏したのだ。しかし、苦悶の声は止まない。
門番たちは不審に思い、邸内の家臣たちに応援を求めた。

程なく、龕燈を携えた数名の家臣たちが裏門に駆けつけて来た。
そして、倒れている者を龕燈で照らしたその瞬間、彼らは大いに驚いた。

「!・・・こ・・・これは・・・・・・!?」
「ユキ殿・・・ユキ殿じゃ!!誰か、早く殿にご注進を!!」
「心得た!!」

間もなく倒れていた者・・・ユキは邸内に運ばれ、医師の手当てにより一命を取り留めた。
弘繁は、ユキの回復を待ってここまでの子細を尋ねることにした。
44名無し天狗:03/03/21 02:10 ID:zaiGa/Vq
「う・・・・・・?ここは・・・?」

やがて満身創痍で死の間際にあったユキが息を吹き返した頃には、
既に東の空が白んでいた。

「・・・気が付いたかユキ。ここは余の屋敷じゃ。」

弘繁は、ユキが気付くまで彼女の傍を離れず、付きっ切りで看病をしていたのだ。
これまでの心労もあり、弘繁の顔はいささかやつれていた。

「・・・殿・・・・・・う!!」

身を起こそうとするユキ。だが、負傷が完治していない彼女の身体を激痛が襲う。

「おお・・・余り無理を致すな、身体に響くぞ。横になったままでよい。
 ・・・さて、一体どうしたと言うのじゃユキ。これ程までにボロボロになって戻って来るとは・・・。」
「殿・・・面目次第もござりませぬ・・・・・・!」

己の非力を悔やみつつ、ユキは自らが死の手前まで負傷した経緯を話した・・・。
45名無し募集中。。。 :03/03/21 08:51 ID:kq9gHkYJ
ご苦労様ですあげ
46名無し天狗:03/03/21 22:58 ID:S9p+4zVh
数刻前・・・

ユキは化身忍者誕生の秘伝書を奪って逃げた血車党の下忍を追っていた。
野を越え、林を越え、山を越え、谷を越え、川を越え、手裏剣や忍術の応酬と共に
繰り広げられる追跡劇。血車党下忍が隠れ身で抵抗すれば、ユキもまた奇襲で応戦する。

やがて、江戸を離れて秩父の山奥に下忍を追い詰めたユキは、好機到来とばかりに次なる術の構えを取った。

だが・・・!

「ハッハッハッハッハ……よくぞ来た五木の女狐、
 見上げた執念じゃ、褒めてつかわすぞ!」

聞き覚えのある忌わしき声にハッとなり、辺りを見回すユキ。
その彼女の視界に現われたのは・・・!!

「!貴様は・・・あの時の髑髏顔の忍者!!」
「ククク…血車党の骸丸と覚えてもらおうか。
 飛んで火に入る夏の虫、最早袋の鼠と覚悟せぃ!!者共、出ろぉ!!!」

崖の上に現われた骸丸の一声に、周辺の至るところに隠れ潜んでいた
大勢の血車党下忍が一斉に姿を現わした!
彼らは弓矢、短銃、爆裂弾、毒手裏剣、果ては大砲までも携え、
ユキの行動範囲を前後・左右・上下・川の中や地面の下に至るまで
隈なく取り囲んでいた。
しかも彼らは皆遠巻きに攻めるのみならず、
至近距離との二段構えでユキを仕留めようと狙っていたのだ!!

万事休す。これまで優勢に立っていたユキは、忽ち劣勢に追い遣られてしまった・・・・・・。

だが、ユキは決して最期まで希望を捨てなかった。
47名無し天狗:03/03/21 23:22 ID:S9p+4zVh
「それー、掛かれぇ!!」

骸丸の号令一下、血車党の下忍たちは思い思いの武器や術でユキに一斉攻撃を仕掛けた。

邸内同様に回避を繰り返すユキであったが、今回は勝手が違い、ほぼ同時に攻撃が矢継ぎ早にユキを襲う。
ユキは防戦一方がやっとであった。
だが、血車党は彼女に反撃の余裕を決して与えない。
情け容赦なく雨あられと降り注ぐ矢・銃弾・爆裂弾・毒手裏剣・そして砲弾・・・・・・
それでもユキは持てる力を振り絞って回避に次ぐ回避を繰り返して、
密書を奪った下忍への接近を試みる。
しかし、血車党が勿論それを許す訳など無く、更に攻撃の手を強めていく。

やがてユキは、目指す密書に一歩も近づけぬまま血だるまと化した。
動きはすっかり鈍り、立っていることもままならず片膝をつくユキ・・・。
着衣もあちこちが焼け落ち、傷と痣と血にまみれた肌が覗く。
息も乱れ、遂には戦うことはおろか、身動き一つ取れぬほど困憊していた。
48名無し天狗:03/03/21 23:46 ID:S9p+4zVh
・・・無念なれど、ここは一時退くより他に無し。

絶望の渕に立たされたユキに遺された道は、最早それしか残されていなかった。
だが、十重二十重に周囲を血車党に包囲された中をいかに脱するか・・・・・・。

ユキは思案の末、一か八かの賭けに出た。それは・・・

“微塵隠れ”。

だが、大量の爆薬を使い、自爆と見せかけて戦線離脱するこの忍法は、今のユキには危険すぎる。
されどユキには迷っている暇などない。ユキは、万に一つの生還の可能性に賭けた!!

ドゴオオオォォォォ・・・・・・ン!!!

激しい轟音!噴き上がる爆炎!!もうもうと立ち込める噴煙!!
血車党は忽ち大混乱に陥った!!

「ええい、うろたえるな!落ち着いてじっくり捜せ!
 見つけ出して今度こそあの女狐の息の根を止めるのだ!!」

骸丸は事態の収拾をすると共に、下忍らに探索を命じた。
だが、煙に撒かれたこの状態で人一人を捜し出すと言うのは困難である。
混乱は更に激化し、遂には同士討ちを始めてしまう有様であった。
49名無し天狗:03/03/22 00:05 ID:UFbR8cij
暫くして、煙が晴れたそのあとには、既にユキの姿はなく、
その代わり、同士討ちで相次いで命を落とした下忍らの屍が累々としていた。

「おのれ小癪な・・・だが、まぁよい。あの様子ではどうせ長くは持つまい。
 それに、我ら念願の“化身忍者誕生の秘伝書”も手に入った。
 者共、引き揚げるぞ!!」

勝利の悦に入った骸丸は、生き残った下忍らを引き連れて意気揚々と撤退した。

・・・そして、血車党撤退より二刻後・・・

辛うじて死を免れたユキが、爆心地の下から這い出て来た。
命が助かったとは言え、全身隈なく重傷を負った彼女は、最早死人も同様であった。
が、“忍び”としての使命感が、彼女の身体を突き動かしたのだ。

かくしてユキは負傷した身体に鞭打って、事の次第を告げ、密書奪回の失敗を弘繁に伝えるために
江戸の五木邸に向かったのであった。
そして最後の力を振り絞って五木邸に辿り着き、門番に助けを求めようとした時に力尽き倒れた、
と言うのである。
50名無し天狗:03/03/22 00:43 ID:UFbR8cij
「そうであったか・・・・・・いや、そちはよく働いた。大儀であった。
 今はただ、身体をいたわるがよい。」

弘繁は、ユキにねぎらいの言葉を掛けたのち、家臣らを一堂に集めて評定を始めた。
無論、密書奪回の次なる手段についてである。
家臣らはあの手この手の策を練っては議論を交わすが、決定的な意見はなかなか出て来ず、
無常なまでに時が流れた。

そんな中、一人の老いた兵法者が五木邸を訪れた。
門番はすかさず彼を制する。

「待たれい!お主、血車の手の者か!?」
「案ずるな、わしは怪しいものではない!ここの主殿に逢いに来ただけじゃ。」
「・・・殿に、お目通りを願いたいと?」
「然様。貴公らの主殿にこうお伝えすればおわかりになろう。
 失礼ながら、お耳を拝借・・・・・・。」

門番にそっと用件を耳打ちする老兵法者。
その彼の伝言を聞いた途端、門番は驚きの余り狼狽した。

「ハハハハハ・・・そう慌て召されずともよいではござらぬか。
 さ、主殿にお取次ぎ願おうかの。」

老兵法者は、門番のうろたえる様を楽しむかのごとく笑いながら対面の許可を求めた。
51カミソリヒトデ:03/03/22 13:31 ID:9iJWuKBG
このスレは何?ののファイズなのに
ナンデ変身忍者嵐なんだよ。
52名無し天狗:03/03/22 14:12 ID:HE38V0SE
>51
前スレ「ライダーののV3」の“第34話”の続き。
「嵐」も石ノ森作品なんですよね。
いずれ何らかの形で中澤らと合流させるつもりではありますが。

つか、「ライダーのの」シリーズは基本的に“小説スレ”なんですが。
>>1>>24にあるアドレスのサイトに全部目を通しましたか?
53名無し募集中。。。 :03/03/22 16:50 ID:eu4u0wf3
>>52
>51の気持ちもわからんでもないが・・

とりあえずがんがって完結させて下さい
54名無し天狗:03/03/22 19:37 ID:qAgIF6Ug
>53さん
スイマセン。そしてありがとうございます。ようやく折り返しと言った感じです。

>>50から
一方、こちらは五木邸の城主謁見の間。
議論の嵐が渦巻く中、門番からの知らせを受けた家臣が弘繁に注進に及んだ。

「怖れながら殿、火急のご用にござりまする!実は・・・」

来訪者の件の一部始終を弘繁に告げる家臣。
瞬間、弘繁の顔色が変わった。

「・・・直ちに書院にお通し申せ!!“此度の一件”についてもお話しせねばならぬ!!
 孝雄!厳実!そちたちは引き続き評定を進めよ!!」
「はっ!!」

弘繁は孝雄始め家臣らにそう言い渡すと、いそいそと書院に向かうや、
来訪者=老兵法者を迎える仕度を整え、彼を待った。

弘繁の神経に緊張が走る。

程なくして・・・老兵法者が姿を現わした。
弘繁は既に上座を離れていた。

平伏して、老兵法者を迎える弘繁。

「谷の鬼十様。わざわざ遠路はるばる当家に足をお運び頂き、
 不肖五木治部大輔弘繁、誠に恐懼に耐えませぬ!!」
55名無し天狗:03/03/22 20:38 ID:qAgIF6Ug
老兵法者に身をやつしていた谷の鬼十は、自らの弟子であるユキが日頃世話になっていると言うことで
その挨拶のための表敬訪問に来たのだが、邸内の只事ならぬ雰囲気をいささか疑問に感じていた。
まさか、と思い彼は単刀直入に事の核心に迫った。

「・・・何やら邸内が慌しいご様子であるが・・・五木殿、これは何事?」

いきなり本題を切り出され、弘繁はぐうの音も出ない。
隠しても詮方なしと、弘繁は思い切ってその理由を打ち明けた。

「・・・申し訳ござりませぬ!ご貴殿方谷一族と我が祖先が編み出しましたる
 “化身忍者秘伝の法”を血車党なる悪しき忍びの一団に奪われたのみならず、
 当家にて預かりしご貴殿の愛弟子、ユキに大怪我を負わせてしまいましてござりまする・・・!!」
「な・・・何と!?」

涙ながらに己の不徳を鬼十に詫びる弘繁。鬼十もまた甚く驚いた。
が、鬼十はすぐに気を取り直した。

「お嘆き遊ばされるな五木殿。秘伝を奪われたのは確かに残念ではあるが、
 ユキは秘伝を守るために負傷したのでござろう。
 酷な言い方じゃが、それもまた忍びの運命(さだめ)なれば・・・。
 そのユキは今、どうしておるのじゃ?」
「はっ、辛うじて一命を取り止め、今は静かに養生致しておりまする。
 ささ、こちらへ。案内(あない)仕りまする。」

弘繁の案内でユキの眠る部屋に向かう鬼十。
やがて、部屋に着いた彼の目に映ったのは・・・・・・!!
56名無し天狗:03/03/22 22:34 ID:X5UsAekV
「ユキ!!」

そこにあったのは、全身を赤く染まった包帯に覆われた、ユキの痛々しい姿であった。
思わず駆け寄る鬼十。一方の弘繁は、縁側に立ち尽くしたままその凄惨な光景を見るに忍びなく、
痛ましさから目を背けていた。

「ユキ!ユキ!!」

鬼十はユキの傍らに座し、懸命に彼女の名を静かに、だが強く呼び続けた。
やがて目を覚ましたユキは、師の突然の来訪に驚きと戸惑いを感じた。

「・・・お・・・お師匠様・・・これは、一体・・・・・・?」
「おお、気が付いたか。そなたのことで一言挨拶を申そうとこの屋敷に罷り越したが、
 斯様な重大事に立ち至ろうとは思いにもよらなんだ・・・。」
「も、申し訳、ござりませぬ・・・とんだ失態を・・・・・・この次は必ず・・・!」

ユキは名誉挽回を誓うが、鬼十は黙したまま首を横に振った。

「なぜです・・・ぐ!!」

血気に逸るユキをなだめながら、鬼十は諭すようにこう告げた。

「見たところ今のそなたは完膚無きまでに負傷甚だしく、人並みに動けるようになるまで
 おそらく半年以上は掛かろう。その上骨も大分傷んでおるようじゃ。そのような状態では、
 仮に治癒したとしても、再び忍びとして勤められるかどうかわからぬ。下手をすれば・・・
 忍びの道を捨てざるを得ぬことも覚悟せねばならぬ!!」
57名無し天狗:03/03/23 00:47 ID:gsG3j7XU
だが、己の使命感と責任感からユキは反駁した。
今まで師の言葉を真摯に受け留め、従って来た彼女がその師に異を唱えたのは、これが初めてだった。

「お言葉を返すようですがお師匠様・・・自らの勤めを全うせずに、このまま生き恥を晒すのは・・・
 嫌でございます!とても、耐えられません・・・・・・。」

見す見す引き下がるわけにはいかない。そう強く師に訴え掛ける彼女の目には涙が光っていた・・・。

縁側の弘繁もまた、己の不甲斐なさにガックリとその場に崩れ落ち、身辺警護のためとは言え
ユキを危険の矢面に立たせて来た己自身を悔いていた。

「私に・・・もう少し・・・ほんの、僅かでも・・・ちか、ら、が・・・あ、れ・・・ば・・・・・・。」

暫くして、ユキは呻くようにこう呟いたきり、気を失ってしまった。
まだ息が残っているとは言え、明らかにユキは死期を早めてしまっている。
このままではユキの命が・・・・・・!
その時、ユキの心からの訴えと彼女が最後に呟いた言葉を受けた鬼十は、彼女の命を救うため一つの決断を下した。

「五木殿。申し訳ござらぬが、ユキを暫くわしの下に引き取らせてくれぬかの?」

鬼十のその一言に、弘繁は息を呑んだ。

「・・・・・・!いや、しかしながら・・・・・・。」
「存じておる。わしじゃとて出来ることなら他の手段でユキを助けたい。
 じゃが、事ここに至ってはこの手段を以ってユキを救うより他に道は無い・・・。
 そこもとにも手伝うてもらいたかったのじゃが、城勤めに穴を空ける訳にもいくまいて。
 案ずることは無い。ユキはわしにとっても可愛い弟子じゃ。決して悪いようにはせぬ。」

「・・・・・・承知仕りました。では、ユキのこと、よろしくお願い申しまする・・・。」

かくしてユキは、鬼十と、屋敷の外で陰ながら待機していた谷一族の者たちによって彼らの里へと運ばれて行った。
祈るような心持ちでユキ、そして谷一族を見送ったあと、弘繁は再び評定の場へと戻っていった・・・。
58名無し天狗:03/03/23 01:43 ID:gsG3j7XU
一方その頃、血車党の本拠地では・・・

「おかしら様。これなる一巻が、“化身忍者誕生の法”の秘伝書にござりまする。
 何卒、お改めの程を…。」

秘伝書の奪取に成功した骸丸が、“おかしら様”と崇める血車党首領・血車魔神斎に
策成りしことを報告していた。
その骸丸より秘伝書を受け取った魔神斎は、食い入るように秘伝書の内容を熟読していった。

「うむ、確かに紛れも無き秘伝の書。骸丸よ、よくぞ手に入れた!天晴れであるぞ。
 これで我が血車党の野望は達成されたも同然じゃ!!」
「ははーっ。お褒めに預かり、光栄にござりまする。」
「じゃが、唯一見落としておる点があるとすれば・・・・・・美浜の者と、彼の者らと共に
 秘術を編み出したと言う谷一族なる忍びの一族がその秘術を口伝によって記憶しておるかもしれぬと
 言うことじゃ。たとえ秘伝書を奪ったとしても、子々孫々に至るまで言い伝えられては、いずれ我らと
 互角に亘り合う力を付けてしまうかもしれぬ。その前に骸丸よ、秘伝を知るものを残らず全て始末するのだ!!」
「はっ!!!!」

念には念をと、更なる指令を下す魔神斎。骸丸に、新たな緊張が走る。
三たび出陣した骸丸は、失敗の折には死を覚悟して出陣した。
59名無し天狗:03/03/23 02:56 ID:gsG3j7XU
所変わって、こちらは谷一族の隠れ里。

一族とユキ、そして美浜藩の一部の者以外は誰も知らないと言うこの地に於いて、
ユキは今、まさに蘇ろうとしていた。鬼十が一度は使うのを躊躇った「禁断の法」・・・
そう、“化身忍者誕生の法”によって!!

化身忍者誕生の法は、奇しくも二十一世紀の現代に於いて加護博士が開発し、ゼティマが悪用している
改造人間製造技術と驚く程類似していた。ただ、電子技術がまだ存在せず、生体技術のみであることを除けば。
その方法とは、改造人間手術と同様、人間の身体に動植物の細胞を移植し、遺伝子を融合操作することにある。
化身、すなわち変身の原理も脳細胞を刺激し、体内の細胞の配列を組みかえることによって常人を遥かに凌ぐ
力と機能を引き出すと言うものであったが、この手術法を編み出すにあたって彼らが最も頭を痛めたのはこの点であった。
脳は心臓と共に人体の生命の一切全てを司る器官である。それ故に脳に化身の細工をする際には細心の注意が払われる。
当然、紆余曲折や試行錯誤を繰り返しており、その度に試験体となるも大小に関わらず脳手術の失敗から命を落とす者が後を絶たなかった。
こうした数多の犠牲と様々な改善により、困難は克服され、秘術は完成したのである。

だが、運ばれたユキは全身が隈なくズタズタにされている。健全な時でも一歩間違えば確実に死を招くこの手術を今の彼女に施すには
余りにも危険すぎる。下手をすれば、ユキの死は免れない。
それでも鬼十は、愛弟子を救うために執刀を決意したのだ。今となっては、美浜五木家と共に乱世の頃から築き上げてきた血と汗と涙の結晶を
決して無駄にせず、必ずこの手術を成功させると。

秘伝書こそ失ったものの、まだ「彼ら」には口伝による記憶があった。特に谷一族は秘術の大半を考案したので、それらに基づいて手術が
いよいよ施行される。
ゴメン、>>58の最後の一行
「三たび出陣〜出陣した。」は
思いっきり失敗なんでなかったコトにして・・・・・・。
61名無しスター:03/03/23 18:54 ID:8KsVFePW
死神博士がお亡くなりになりました。享年77歳。

黙祷
62名無し天狗:03/03/23 19:46 ID:TQ3DRVTh
>名無しスターさん
私もついさっき知りました。ご冥福をお祈りいたします・・・。
63名無しんじー:03/03/24 01:17 ID:3pi2U6wJ
天本英世氏、数々の特撮作品で活躍された俳優(奇優)さんでした。
心よりご冥福をお祈りいたします。

名無し天狗様
いよいよですね。この先を楽しみにしていますよ。 
64名無し天狗:03/03/24 03:33 ID:zhwgSABd
>>58の末尾を少々修正の上で>>59から

まず、ボロボロになったユキの皮膚を、勤めを果たせずして敢え無い最期を遂げた
谷一族のくノ一のそれを移植することで再生する。
臓器物や骨にも同様の処置が成された。そして、いよいよ動植物の細胞移植に差し掛かる。
彼女に与えられた能力は「鷹」であった。
これらの様々な過程を経て、手術に費やすこと実に十日。

あとは、最大の難関・化身能力の組み込みのみとなった・・・。

その頃、時を同じくして、血車党でも化身忍者製造の手術が行われた。
一度は出陣を決意した骸丸ではあったが、どうせ邪魔者を葬るなら化身忍者の力を使おうと考えたのだ。
秘伝の書の解読には骸丸があたり、それを元に執刀を進める。
こちらの化身忍者は、「うつぼ」の能力を持つものであった。
その間にも、血車党の下忍たちによる無差別殺戮が行われていた。
罪無き人々が次々と彼らの凶刃に斃れていく・・・。
幕府や奉行所も彼らを捕らえようと手を尽くすが、風のように現われて風のように去ってゆく
血車党の神出鬼没ぶりに常に翻弄されて手も足も出ぬ有様であった。

やがて血車党の方も十日掛けて化身忍者「毒うつぼ」を完成させ、野望達成の障害となる敵・
美浜五木家と谷一族を討伐すべく、今度こそ出陣した!!
65名無し天狗:03/03/24 03:54 ID:zhwgSABd
江戸へ向かって進軍する血車党の一団。行く手を遮る者を悉く蹴散らし、
道中に於いてもやはり破壊と略奪と殺戮の限りを尽くした。
そうして彼らが江戸まであと数里のところに差し掛かった・・・その時!

「な、なんだあれは!?」
「骸丸様、また邪魔者が。今度は一人です!」
「何だと!?」

彼らの前に一つの人影が立ちはだかったのである。
街道のド真ん中で腕を組んで仁王立ちのその人影は、江戸に侵入せんとする血車党を強く睨み据える。
やがて、人影は彼らに向かって声高にこう言い放った!

「無法の限りを尽くす血車党の悪鬼ども!ここから先へは行かせぬぞ!!」

その声は女・・・しかも血車党、特に骸丸にとっては聞き覚えのある忌わしい声である。

「ば、馬鹿な・・・貴様はあの時の五木の女狐!?生きておったのか!!」

狼狽する骸丸。無理も無い。目の前にいる女は確かに息の根を止めた筈のユキであった。
彼女の最後の手術は奇跡的に成功したのだ!

「貴様らの悪行を懲らしめるため、地獄の淵から舞い戻ってきたのだ!!
 貴様らの命運、最早これまでと知れ!覚悟!!」

一度は自分を殺しかけた仇敵・血車党を前に、ユキは復讐の刃を構える・・・
脳裏を駆け巡る様々な想いを胸に!
66名無し天狗:03/03/24 04:11 ID:zhwgSABd
「おのれ・・・小癪な小娘め!今度こそ地獄へ送ってくれるぞ!!
 者共、やってしまえ!!」

怒り心頭に達した骸丸の号令を受けて、次々とユキに斬り掛かる血車党の下忍たち。
だが、当然ながら彼らの攻撃は全てユキにかわされる。しかも今度は、化身手術で身に付いた、
常人以上の技能によってである。彼らは瞬く間に皆返り討ちと相成った。

この光景を目の当たりにして、なおも苛立った骸丸は、江戸攻略のために用意した
「毒うつぼ」をユキに差し向けた。

「まさか・・・こ奴らも化身忍者を完成させたのか!?」

ユキは一瞬当惑したが、先手必勝とばかりに「毒うつぼ」に挑み行く。
だが、「毒うつぼ」は“完全体”であった。化身手術で蘇ったとは言え、今のユキの姿は
通常といささかも変わっていない。忽ちにしてユキは劣勢に追い遣られた。

「く・・・手強い!この上は・・・・・・!!」

このままでは勝てぬと悟ったユキは、手にした刀を逆手に持ち、空いている左手のひらを
刀の峰に添えた。そして片膝をついてしゃがむと、両眼を閉じて強く念じ始めた。
67名無し天狗:03/03/24 11:29 ID:gXpCwAZ0
緊迫した空気がその場に立ち込める。
血車党の面々は全く隙の無いユキの凄まじいまでの殺気の前に、皆動けずにいた。
あの骸丸さえも・・・。

凍りつくまでの静寂が周囲を支配し、僅かな時が流れた。
やがて・・・・・・

「吹けよ、嵐・・・。」

ユキの呻くような重い声が聞こえた。

「嵐・・・」

まるで呪文を唱えるように、ユキはなおも呟く。
そして・・・・・・!

「・・・嵐!!」

そう叫ぶや、ユキはクワッと眼を開き、おもむろに立ち上がった!

「とぉーぅりゃあああぁぁぁーーーーー!!!」

と言う気合諸共、手にした刀を元のように持ち替え、勢い良く背中の鞘に収めた!!

・・・その瞬間!!!

バチバチバチバチ・・・・・・!!!ユキの身体を電流のような衝撃が駆け巡った!!
ユキの刀の鍔鳴りが彼女の脳神経を刺激し、化身の作用が働き始めたのだ!!
程なくして彼女の身体中から無数の鳥の羽が飛び出し、その身を覆う!!
68名無し天狗:03/03/24 12:33 ID:XcLBo1vv
>作家ご一同様
突然かつ勝手ではありますが、都合により4月上旬くらいまで
執筆をお休みさせていただきます。申し訳ありません。
69ナナシマン:03/03/24 15:15 ID:bstQssDX
天本英世氏のご冥福を祈りつつ保全です。

>>名無し天狗さん
 了解しました。再開の際はまた宜しくお願いしますね。
 
70川o・-・):03/03/24 22:50 ID:eAEGcmK6
また一人、昭和ライダーの名優が逝ってしまった
71ナナシマン:03/03/25 13:46 ID:9AjJwQY4
>>名無し天狗さん
 昨日は天本氏急逝の報に触れ、思ったような事を書けずにすいません。
いよいよ嵐登場?!だっただけにそのまま一気に行ってくだされば、と思うと
ちょっと残念なのですが、読み手としてもこればかりは無理を言うわけには
いきません。落ち着いてからで結構ですので楽しみにしてます。

>>川o・-・) さん
正直言葉が見つかりません・・・。特撮板の追悼バナーはご覧になりましたか?
72川o・-・) :03/03/26 00:14 ID:bD0BK5Mp
>>ナナシマンさん
さっき特撮板の方に行きましたが、追悼バナーと
真っ黒な壁紙には驚きました。

天本氏の冥福を心から祈ります
73 :03/03/27 00:42 ID:sf1ibFpf
74保全:03/03/27 21:59 ID:6iFaIlVY
「唸れ鉄拳!・・・火龍拳!」
飯田の拳は目の前にあった岩を砕いた。
「凄い!これぞ、岩をも砕くパンチってやつだね。」
その様子を見ていた大谷は言った。
「火を噴け!・・・赤心少林拳!」
柴田が叫ぶ!飯田は梅花二段蹴りを繰り出した。
「おおっ!これこそ鋼も砕くキックだ!」
村田はそう言うと飯田と柴田の方を見た。
今日は少林拳の特訓に大谷と村田も参加していた。そこで飯田は二人に大技を
披露して見せたのだ。そして今度は柴田が二人に自分を攻撃する様に言った。
「稲妻旋風、返し技!」
柴田はそう言うと二人の攻撃をいとも簡単に返して見せた。
そして二人を加え特訓は続く・・・やがて・・・
「本当に凄いや、これならみんなも、いや地球の平和もこの腕で守れるよ。」
少林拳の凄さを見せつけられた大谷と村田が言う。
「うん、もっと修行してみんなで強くなろうよ。エイエイオー!」
飯田がそう叫ぶと残りの三人も続けた。
「エイエイオー!」

特訓はまだまだ続く・・・
75ナナシマン:03/03/27 23:45 ID:1FeddD9V
 私用で鹿児島市内から保全です。
>>74さん
 スーパー1のエンディングですね?こういう一工夫あるネタってなかなか
書けないんですよ。面白かったです。
76保全:03/03/28 23:13 ID:4vPNV+8H
次々に現れる強敵にスカイライダーこと、紺野あさ美は自信を失っていた。
そんな紺野に仲間が激を飛ばす。
「勇敢に戦った友がいた・・・」
安倍はタックルこと、あさみの話を聞かせた。
「私の人生の為に戦ってくれた友がいた・・・」
飯田はりんねの話を聞かせた。
「自由の為に、愛の為に、貴女は何にかけ、何と戦うの?」
友の話を終えた二人は紺野に聞く・・・。
その質問に紺野は静かに答えた。
「・・・私は、たった一つのこの命を、はるかなる愛に仲間にかけて、
 そして死んでいった友の為に戦います・・・そう今はそれでいい・・・
 ごめんなさいもう大丈夫です。そう私だって仮面ライダーだから・・・」
そう言う紺野の目に光が戻った。彼女は戦士としてまた一つ成長したのだ。
77名無しスター:03/03/30 02:03 ID:BwTh7vO5
誰も書き込まないのなら、「後編」行かせていただいてよろしいでしょうか?
とりあえず「前回のあらすじ」を書かないと。
78名無し娘。:03/03/30 11:11 ID:O/I5oyF9
>>77
川o・-・)ノ<がんがってください
79名無しスター:03/03/31 01:47 ID:dm5fS85f
あらすじ
第一話
ゼティマの下部組織、函館の「サタン帝国」が何者かに壊滅された。
ゼティマ北海道支部から怪人ザリガニアンが駆け付け、「敵」をおびき出す事に成功する。
しかし目の前に現れたのは「ライダー」ではなくカゲスター(ユウキ)とベルスター(ソニン)だった。
二人は必殺技を繰り出しザリガニアンを倒すが、ゼティマ正規怪人の強さに驚く。
北海道の組織が「支部」であることを知った二人は本部があると思われる東京を(走って)目指す。
80名無しスター:03/03/31 01:49 ID:dm5fS85f
あらすじ
第二話
夜、津軽海峡を進む連絡船の上で「蛙怪人」の襲撃を受けたユウキ。
影が無いため変身できず苦戦するユウキだったが、ソニンの怪力に助けられ、
カメラのフラッシュを使い変身、撃退した。
その後ユウキとソニンはこれまでのことを思い出していた。

ソニンは記憶を無くしたまま街中で暴れているところを謎の政府組織に捕獲され、
そこで少しずつ記憶を取り戻した後脱走した。
生まれ故郷の高知に戻り記憶を取り戻すソニン。
しかし16歳で東京の大学に進学した後の数年間の記憶はどうしても戻らない。
高知の家族は家ごと消えていた。しかも周りの誰も自分のことを覚えていない。
危険を感じたソニンは東京に戻る。
ソニンは東京で監視役(新米)の後を尾け、ゼティマの施設とは知らずに研究所跡に入り込む。
逆に怪人たちに見つかり追いかけられてしまう。その逃走中にユウキと出会う。

ユウキはこの山に姉に関する手がかりを探しに来ていた。
ユウキの姉真希は、バイト先の研究所で事故に巻き込まれ死亡した。
ユウキはその死に不審を持っていた。この山で真希を見たという噂が広がっていたのだ。

成り行き上二人で逃げ出したが、山道でバランスを崩し谷底で高圧電線に触れてしまった。
そのショックで「カゲスター」と「ベルスター」が誕生した。
変身した二人は怪人を撃退した。
81名無しスター:03/03/31 01:51 ID:dm5fS85f
第三話(前編)
津軽から東京に(走って)到着した二人はユウキの家族の墓参りに向かう。
(ユウキの家族は、母が真希の調査に深入りした為に何者かに殺されてしまった)
墓参りの後、ソニンは政府機関の研究員に出会い研究の協力を求められる。
ソニンは自分が実験材料にされると思い断る。
その後、その研究員が何者かに連れ去られた。ソニンはそれを追いかける。
それをさらに辻と安倍が追いかける。

ユウキはソニンと分かれ一人で歩いていたとき、バイクに乗った姉を目撃した。
カゲスターに変身し、走って追いかける。
それを目撃したひとみと梨華がさらに追いかける。

全員が一つの「合流ポイント」に向かっていた。
82名無しスター:03/03/31 02:26 ID:dm5fS85f
カゲスター 〜東京進出編〜「後編」

港に近い工業地帯の閉鎖された廃工場・・・

工場の大きな扉が少し開いていた。中は空っぽで、取り壊しを待つだけのようだ。
建物の中にはバイクが一台停まり、その横にハカイダーがいた。
マキは工場に着くとすぐ変身したようだ、誰かを待っている様子だった。
銃を構え「臨戦態勢」といった感じである。

そこへタイヤの音を鳴らしながら黒いワンボックスが入って来た。
「来たか・・・」

ワンボックスが工場の中で止まり、中から初老の男を連れた戦闘員とカメレオン男が降りて来た。
「連れてまいりました」

ハカイダーは軽く舌打ちをして言った。
「しくじったな!」
83名無しスター:03/03/31 02:29 ID:dm5fS85f
「は?」
カメレオン男は驚いた様子で言った。

「後ろを見ろ!尾けられているぞ!」

カメレオン男が振り返ると、ソニンが扉の間から工場の中を覗いていた。
「あいつは?・・・」

カメレオン男はさらに、別の人影に気が付いた。ハカイダーの方をじっと見ている・・・

「・・・ハカイダー様こそ、あいつに尾けられたのでは?」
「バカめ、私はわざと尾けさせたのだ・・・」

ハカイダーはニヤリと笑い、顔を上げ扉の人影に向かい大声で言った。
「追ってきているのは分かっていたぞ、キカイダー!今日こそ貴様を・・・」

ハカイダーはそこまで言って言葉を止めた。


「貴様・・・何者だ?・・」

「カゲスターだ!」
84名無しスター:03/03/31 02:31 ID:dm5fS85f
ちょうどその頃・・・

「ちゃんと普段から整備をしないからよ!」
珍しく梨華が言葉を荒げていた。
「おかしいな・・・」
工場から数キロ手前の道端。
ひとみは突然停止したサイドマシンのエンジン部を覗き込んでいた。


「こっちれすか?」
「いや・・こっちだよ!」

一方辻と安倍は工場から数百メートル手前でソニンを見失っていた。
「交差点で赤信号なのに止まらないんだもの・・」
「あの女の人、車を弾き飛ばしながら走っていったのれす・・」
85名無しスター:03/03/31 02:37 ID:dm5fS85f

「ユウキ!何やってるのよ!」

突然工場内に現れたカゲスターを見て、ソニンは驚いた様子で声をかけた。

「ソニンさん!?・・・さっき姉ちゃんがいたんだよ!それよりソニンさんこそどうしてここに?・・・」
「あの車を追って来たんだけど・・」



「気付いていなかったのですか・・・」
二人の様子を見ていたカメレオン男がハカイダーに向かい、少し呆れたように言った。

「黙れ。・・・キカイダーではないのなら私は手を出さん。やれ。」


ハカイダーがそう言うと、建物の奥から大勢の戦闘員が現れた。
86名無しスター:03/03/31 02:41 ID:dm5fS85f
「くっ!・・」

ソニンは大勢の戦闘員を見て、とりあえず目の前の数人を倒し、建物の外に走って行った。
「逃げる気か?」

戦闘員がそれを追いかける。
「数が多すぎる・・・」
外の警備室の建物に逃げ込むソニン。後ろから数人の戦闘員が追って来る。
警備室の中で何かが光った。

「ガチャン!」

戦闘員が警備室のドアの前まで来た時、ドアを破ってベルスターが出てきた。
ベルスターは戦闘員をなぎ倒すと再び工場へ走って向かった。

警備室の中では、ソニンがフラッシュ付きの使い捨てカメラを持ったまま眠ったように倒れていた。
87名無しスター:03/03/31 02:43 ID:dm5fS85f

ベルスターが工場の中に戻るとカゲスターが奮戦していた。
戦闘員の数はさっきより多くなっている。

「遅いよ、ソニンさん!」
「ごめん!」

ベルスターはそう言うとスピードを生かし、次々と戦闘員を倒していく。
しかし倒しても倒しても戦闘員が現れる・・

「ひょっとして敵のアジトに飛び込んじゃったのかな?」
カゲスターが戦闘員を倒しながら、少し疲れた声で言った

「そうかもね・・」
ベルスターも少し息が上がってきていた・・・・
88保全:03/03/31 13:48 ID:QJelAJOI
∩)●´З`(∩ <あっちょんぶりけ!
89名無しスター:03/04/01 01:32 ID:njsJxg24
「こっちれす!」

物音を聞きつけ、ようやく辻と安倍が工場に着いた。
「あれは?・・」
安倍と辻が中を覗きこむと、「赤い体に不気味な大きな目をした怪人」と
「ミニスカートの女性」が戦闘員と闘っていた。

「は、恥ずかしくないのれすかね、あの人・・」
「どうしよう、仲間割れかも知れないし・・」

安倍は状況が掴めず、助けに入るべきかどうか躊躇していた。
中を見渡すとハカイダーの姿が目に入った。そしてその脇では初老の男が戦闘員に捕まっていた。

「ハカイダーがいるのれす!」
辻が叫んだ。
「どうやら向こうが『悪者』みたいだね。それに『敵の敵は味方』って言うし・・」

「・・・よし!2人を助けるわよ!」
「わかったのれす!」


「変・・・・・身ッ!!!」
90名無しスター:03/04/01 01:35 ID:njsJxg24

「これで、50・・いや60人だっけ?」
「70人よ・・」

相当疲れた様子で背中越しに会話をするカゲスターとベルスター。
かなりの数を倒したはずだが、まだ戦闘員が2重3重に周りを取り囲んでいる。
たとえ戦闘員を全部倒したとしても、まだ黒い怪人と爬虫類のような怪人がいる。
さらにいつの間にか蟹のような怪人まで現れていた。

「さすがにまずいかな・・」

ベルスターがそう思ったとき、戦闘員の輪の外側が騒がしくなった。
騒ぎがする方を見ると、戦闘員の輪が崩されて行く。
戦闘員の人波を掻き分け、ストロンガーとライダーののが二人の前に現れた。

「くそっ!」
ベルスターは突然目の前に現れた昆虫のような怪人を見て思わず身構えた。
「新手の怪人」が業を煮やして飛び込んできたのかと思ったのである。


「助けるのれす!」
ライダーののが叫んだ
91名無しスター:03/04/01 01:40 ID:njsJxg24

「あなた達もゼティマと戦ってるんでしょ?」
ストロンガーが2人に言った。

「え?」

「話は後で、とにかく行くわよ!」
そう言うとストロンガーとのライダーののは戦闘員と闘い始めた。

「ライダー!どうしてここに!」
ハカイダーが叫んだ。

「ライダー?この2人が?」

カゲスターとベルスターはその名前に聞き覚えがあった。
今まで倒してきた怪人たちが口にしていた名前、「ライダー」。
「戦っているのは自分達だけではない」と何度も勇気付けられた。
一度は合ってみたかった。
まさかこのピンチの時にこんな所で出会えるとは!


「行くよ!」
「おう!」
すっかり息を吹き返したカゲスターとベルスターは戦闘員の群れに向かっていった。
92名無しスター:03/04/01 01:44 ID:njsJxg24
数分後、周りを取り囲んでいた最後の戦闘員が倒された。
もうこれ以上戦闘員の数は増えなかった。
残りは男を捕まえている数人と、3人の怪人だけであった。

「その人を放しなさい!」
ベルスターが叫んだ。

「・・・あなたは、ひょっとしてソニンさんですか?」
捕まっている男がベルスターに話し掛けた。

「・・・・そうです。」
「やはり・・では、あなたに見ていただきたいものがあります」

そう言うと男は戦闘員に掴まれている両腕に力を入れた。
「あれは?・・」

男の両腕のコートが焼け、煙が上がった。
「ギャア!」

戦闘員がたまらず手を離した。
男が手を振り回すと戦闘員が倒された。
手の先にはナイフのような大きな爪が生えていた。
93名無しスター:03/04/01 01:50 ID:njsJxg24
「貴様!」

それを見た蟹の怪人「カニカブラー」が男に襲い掛かる。
男はその攻撃をサッとよけると、初老とは思えないスピードでソニンの所へ走ってきた。

「その体はいったい・・・」
ソニンは男の姿をみて絶句した。
手はナイフ。腕は発熱体。胸と腹は半魚人のような鱗が生えている。
改造人間には違いないが、改造方法が場所によってバラバラである。

「私は何でも自分で試してみないと気が済まない性質でして・・」
男は自嘲しながら言った。

「見て下さい。これが今の我々の力です・・・我々にはあなたの力が必要なのです」

「私の力って・・・教えて下さい。私は何者なんですか?」
ソニンが聞いた。

「あなたは元ゼティマの研究員です。ちょうどこの工場の地下で、改造人間の研究をしていたのです」
「そんな・・・嘘でしょ?!」
94名無しスター:03/04/01 01:57 ID:njsJxg24
「くくく・・・ますます気に入ったぞ」。

工場の地下深く、その様子をモニターで見つめる男がいた。
プロフェッサー・ギルである。

「・・是非貴様を我々の仲間にしてやる。ハカイダー!なんとしてもその男を連れて来い!」
ギルは無線でハカイダーに命令を伝えた。

「わかりました・・・」
ハカイダーが顎で合図を送ると、カメレオン男とカニカブラーが4人に襲い掛かった。

カメレオン男はライダー2人に襲い掛かる。
突然カメレオン男の姿が消えた。周りの景色と同化したのだ。
しかもスピードが速い、背後、側面から攻撃を仕掛けてくる。
ライダー2人が気配を感じてパンチ、キックを繰り出しても既に間合いの外だ。

ライダーののとストロンガーは翻弄され、身動きが取れなくなっていた。
95名無しスター:03/04/01 02:03 ID:njsJxg24
カゲスターとベルスターは2人がかりでカニカブラーを取り押さえようとした。
しかし強力なパワーに振り回されてしまう。
しかも硬い甲羅に阻まれて攻撃が全く効かない。
カゲスターは片腕で軽く放り投げられた。

地面に叩きつけられたカゲスターは、体勢を立て直し立ち上がろうとした。
その時、あの黒い大型バイクが目に入った。

「このバイクは・・・」
その横を見るとハカイダーが立っていた。
ハカイダーは、自分はまるで関係無いといった様子で闘いの様子を見ている。

「おい!このバイクに乗っていた女はどこへ行った?」
カゲスターはハカイダーに問い掛けた。
「それは私のバイクだ。」
ハカイダーが言った。

「いや、女が乗っていたはずだ、後藤真希という女性に聞き覚えはないか?」
「・・・もちろん知っている」

「どこにいる!」
「私の名だ。私の名前はハカイダー・マキ。昔の名前は、後藤・真希」

カゲスターはそう言われてハカイダーの姿をしっかりと見た。
黒い体で銃を持ち、頭には脳が浮かんでいる。
戦闘員や怪人を顎で使い、拉致までさせる悪の組織の怪人。
これがあのやさしかった姉なのか?・・・

「う、嘘だああああー!!」

カゲスター、いやユウキの悲痛な叫び声が工場に響いた・・・
96名無しスター:03/04/02 02:12 ID:KifKS25G

「うおおっ?」
ライダーののは後ろから突き飛ばされた。
「うわっ!」
ストロンガーはいきなり足をすくわれ転倒した。
カメレオン男はいやらしい攻撃をしつこく仕掛けてくる。
幸いにしてパワーは無い。
一方的に攻撃は受けるがほとんどダメージは無かった。

突然、カメレオン男の攻撃が止んだ。
「どこへ行った?」
あたりを見回すライダーののとストロンガー。

「しまった!」
いつの間にか男の姿が消えていることに気が付いた。

「ソニンさん!」
男の叫び声がした。ちょうどカメレオン男が男を連れて工場の奥へ行こうとしているところだった。
97名無しスター:03/04/02 02:17 ID:KifKS25G

「待て!」
追おうとするライダーののとストロンガー。しかしその前にカニカブラーが立ちはだかった。

「どけ!」
「このぉ!」
しかしカニカブラーの硬い甲羅はライダーの攻撃にすらもビクともしない。

「ソニンさん!我々の力は、技術は所詮こんな程度です!」
「黙れ!」

カメレオン男が口を塞ごうとするが、男はその手を押しのけて続けた。
「我々に協力して下さい!我々は本気で、命がけでこの国を守りたいのです!
 どうか私の代わりに研究所の部下達を導いてやって下さい!」

「で、でも私には何も記憶が・・・」
ベルスター、いやソニンは返答に困った。自分に一体何が出来るのか・・

「あなたなら大丈夫です!・・・頼みましたよ。」
「貴様いいかげんに・・・」
カメレオン男が手で男の顔を覆った。

「フン、貴様らに協力するぐらいなら・・・」
その時、轟音と共に男の体が爆発した。
98名無しスター:03/04/02 02:19 ID:KifKS25G

「あっ!」
「・・・自爆した?」

男の体は粉微塵に吹き飛び、カメレオン男だけがその場に倒れていた。
ベルスターとライダーののは呆然とその様子を見ていた。

「うっ・・・」
ストロンガーは思わず目を伏せた。友人の死を思い出したのかもしれない・・

「ちっ!」
カニカブラーはそのスキを突いて3人に泡を吹いた。

「うわあ!」
「なんなのれすか?これは?」
泡が顔面に張り付き視界がさえぎられる。しかもなかなか剥がれない。

「4人対2人じゃ分が悪いか・・」
カニカブラーはそう言って後ろを振り返った。

「ハカイダー様、失敗です。引き上げましょう・・」
見るとカゲスターとハカイダーが何か話していた。
99名無しスター:03/04/02 02:22 ID:KifKS25G

「姉ちゃん・・姉ちゃんなの?どうしてそんな姿に・・・」
信じられないといった様子でハカイダーに話しかけるカゲスター

「『姉ちゃん』?・・・お前は誰だ?」
「ユウキだよ!弟のユウキだよ!姉ちゃん!」

「弟?ユウキ?・・・」


「『ユウキ』・・・ううっ!」
ハカイダーは突然頭を抱えて苦しみ始めた。

「やっぱり!・・・姉ちゃんなんだろ?姉ちゃん!」

「貴様!何をしている!」
背後からカニカブラーが大きなハサミでなぎはらった。
カゲスターは真横にすっ飛び、工場の壁に叩きつけられた。

「ハカイダー様!大丈夫ですか?」
「ぐうう・・・」

ハカイダーは頭を抱えたまま膝を付き、座り込んでしまった。
100名無しスター:03/04/02 02:26 ID:KifKS25G

「邪魔をするなー!」
カゲスターは立ち上がり猛然とカニカブラーに向かって行った。

「フン・・・・」
カニカブラーはカゲスターのパンチを胸の甲羅で軽く受け止める・・・つもりだった。

「ガコォン!」

ものすごい衝撃音が工場内に響いた。
「うおぉぉ・・・」
カニカブラーは2、3歩後退し、うめき声を上げた。

「貴様・・いったい・・」
さっきとはまるでパワーが違う。
カゲスターは次々とカニカブラーにパンチを浴びせる。
そのたびに凄まじい激突音が響く。
カニカブラーは反撃するが、軽く受け止められてしまう。
さっきは一撃でふっとばしたはずの相手である・・・

べスルターはその様子を、やっと剥がれかけた泡の下から見ていた。
「強い・・・」
これがカゲスターの本来の力なのか?・・・

「ミシィ!ベキッ!」

だんだんパンチの音が鈍くなっていく。カニカブラーの甲羅にヒビが入ってきたのだ。

「とどめだ!・・カゲパンチ!」
「グアアァァ・・・」

ついにカニカブラーはがっくりと膝を付き、その場に倒れこんだ。
101名無しスター:03/04/02 02:32 ID:KifKS25G
カゲスターは振り返ってハカイダーの方を見た。

「姉ちゃ・・」

「危ない!」
ベルスターが叫んだ。

ハカイダーがこちらに銃を向けていた。
弾丸が発射される。
カゲスターはギリギリのところでそれをかわすと少し距離を取った。

「姉ちゃん?・・・」
さっきとはハカイダーの様子が違う。無言で2発目が発射された。



「ふう、ヒヤヒヤさせよって・・・」
プロフェッサー・ギルはホッとした表情でモニターを見ていた。

「『肉親の声』というのはなかなか厄介なものじゃわい」
手元には「緊急用」と書かれたスイッチがあり、それが「ON」になっていた。

「悪魔の笛」を応用した強力な電波で服従回路<イエッサー>を作動させ遠隔操作していたのである。
102名無しスター:03/04/03 02:13 ID:whJbuW59
カゲスターはハカイダーの攻撃を避けながら違和感を感じていた。
動きが単調なのだ。まるで出来の悪い機械のような・・・

「ひょっとして・・」
カゲスターは一気に距離を詰めた。
マントを外しハカイダーの頭からすっぽりと被せた。

「カゲスター・電波遮断幕!」
そして後ろへ回り込み、両腕でハカイダーを抱きかかえた。

「姉ちゃん!・・・俺だよ!ユウキだよ!」
カゲスターは背後からハカイダーに語りかけた。

「う・・・ううう・・・うああああ!!」
ハカイダーはマントの中で再びうめき声を上げ、苦しみ始めた。

「姉ちゃん!」
「ユウキ?・・ユウキ・・・ユウキ・・・・・」
「そうだよ!」

ハカイダーの中で、今まで決して思い出せなかった幼い頃の記憶が少しだけ甦ってきた。
自分が友達と遊んでいる。
公園だろうか?景色はぼんやりとしてよく分からない。
友達の顔もピントがずれたようにはっきりしない。・・・
自分の後ろに小さい影がある。

あれは誰だろう・・・。

そして、自分はいったい誰なのだろうか・・
103名無しスター:03/04/03 02:14 ID:whJbuW59

「う、くそっ・・・」
カニカブラーが目を覚まし、むっくりと起き上がった。
甲羅のヒビはすっかり元通りになっていた。
カニカブラーはゆっくりとカゲスターに近づいていく。

「あれを見てくらさい!」
「なんて奴!」
ライダーののとストロンガーは驚いた様子で言った。

「気を付けて!」
ベルスターが叫んだ。

まだ3人は視界が完全に回復していない。
それを見たカゲスターはハカイダーを腕から放し、カニカブラーに向かう。
ハカイダーはマントに包まれたまま倒れこみ、そのまま動かなかった。
再びカゲスターとカニカブラーが対峙する。
結果は同じだった。カゲスターが一方的に追い詰める。

「でも、一体どうして・・・」
ベルスターはカゲスターの変わりように驚いていた。
ユウキも今まで手を抜いていた訳ではない。必死に闘って来た。
しかし、少なからず迷いがあった。
それが今、姉と出合ったことでその迷いが吹っ切れたのである。
104名無しスター:03/04/03 02:17 ID:whJbuW59

一方ハカイダーはマントの中で記憶の壁と戦っていた。
霞のようにぼんやりしていた記憶が、ユウキの声のせいか一部分だけはっきりして来た。

いつも自分の後ろにいた影のような人物。
その影は自分のことを「お姉ちゃん、お姉ちゃん」と呼ぶ。

「お姉ちゃんのことは僕が・・・」
影がしゃべる。ユウキの顔だけがはっきりして来た。自分にそっくりな、
まるで生き写しの・・弟。

気が付くとマントの中でいつの間にか変身が解け、後藤真希の姿になっていた。
そうだ、自分には弟がいた。弟の名前は・・・・

「ユウキ、また生意気言って・・・」

記憶の中の幼い自分が弟に話し掛けた・・・




「ユウキ・・・ユウキなの?」

真希は立ち上がってマントを払いのけ、カゲスターに向かって叫んだ。

「ユウキ!」
105名無しスター:03/04/03 02:20 ID:whJbuW59

突然の懐かしい姉の声にカゲスターは驚いて振り向いた。

見ると姉が昔のままの姿で、泣きそうな顔をしてこちらを見ている。

「姉ちゃん!」
「グォォ!」
カニカブラーはチャンスとばかりにハサミを振り上げる。

「邪魔だぁ!」
カゲスターは振り向きざまカニカブラーに強烈なパンチを見舞った。

その一撃で、カニカブラーは十数メートル後ろに吹っ飛んで倒れた。
胸に大きな穴が空いていた
106名無しスター:03/04/03 02:24 ID:whJbuW59

「今だ!」
倒れたカニカブラーに対し、ストロンガーとベルスターは同時に動いた。

「エレクトリックファイアー!」
ストロンガーの必殺技が衝撃波となって地面を走る。

ところが衝撃波がカニカブラーに到達する直前、間に割り込む人影があった。

「これで終わりよ!ベルトマホーク!」
カニカブラーにトドメを刺そうと走りこんだベルスターだった。

「危ない!」
ストロンガーが声を上げる。
その声に振り向くベルスター。そこにエレクトリックファイアーが直撃した。

「きゃああああ!」

強力な電気ショックを受けたベルスターは悲鳴を残し、まるで煙のように姿を消した。

「き、消えた?」
目の前で起きたことを呆然と見つめるライダーののとストロンガー。



そこへ銃声が響いた。
107名無しスター:03/04/03 02:29 ID:whJbuW59

銃声の方を見るとカゲスターが脇腹を押さえて立っていた。

カゲスターは真希の姿を見た後、振り返ってカニカブラーを倒した。

しかし再度振り返った時、目の前に立っていたのは真希ではなくハカイダーであった。

「ね・・姉ちゃん。」
ハカイダーの足元にはカゲスターのマント、「電波遮断幕」が落ちていた。

真希がマントから顔を出した瞬間、再び強力な電波がハカイダーを操っていた。


「あの電波を遮るとは・・・しかしもう安心じゃわい」
プロフェッサー・ギルはモニターを見ながらホッとした様子でつぶやいた。

「トドメを刺せ・・」
もう一発銃声が響いた。今度は弾丸がカゲスターの右胸を直撃した。

「ぐうっ・・姉ちゃん」

カゲスターはよろよろとハカイダーに近づく。

ハカイダーは無言で銃を向けさらに引き金を引く・・
108名無しスター:03/04/03 02:35 ID:whJbuW59

「しまった、弾切れか!」
プロフェッサー・ギルがモニターの前で叫んだ。

ハカイダーは空になった銃の引き金を繰り返し引き続ける。
電波による操作はあまり複雑な動きは出来ないようだ。

慌ててプログラムを切り替えようとするギル。
しかしそれより早くカゲスターはハカイダーに抱きつき、マントを拾い上げると頭から被った。

マントの中でもがく2人。
しばらくすると2人とも動かなくなった。

マントの中では再び変身の解けた真希にカゲスターが抱きついていた。
109名無しスター:03/04/03 02:40 ID:whJbuW59

「姉ちゃん・・・痛いよ・・」
真希は目の前のカゲスターの姿に驚いたが、さっきの事を思い出して話しかけた。

「ユウキ?あなたはユウキなの?」
「そうだよ・・姉ちゃん・・」

「これは・・私がやったの?私がユウキを撃ったの?」
「・・丈夫だよ・・・大丈夫だよ・・」

「教えてユウキ!あなたは私の弟でしょ?私は・・・いったい誰なの?」
「姉ちゃん・・・姉ちゃんは」

「私はどうしたらいいの?教えて、ユウキ!」
「大丈夫だよ、姉ちゃんのことは・・・」

「ユウキ!しっかりして!」
「姉ちゃんのことは俺が守・・・・」


そこでカゲスターの言葉は途切れた。
110名無しスター:03/04/03 02:44 ID:whJbuW59

「ユウキ?・・」
次第にカゲスターの体の影が薄くなっていく・・

「待って、行かないで!私を一人にしないで!お願い、ユウキ!」
カゲスターの体が消え、同時に2人を包んでいたマントも消えた。


「うっ・・・」
マントが消えた瞬間真希は、一瞬苦しそうな顔を見せた。
しかしすぐ無表情になると立ち上がり、工場の奥へ歩き出した。

「待つのれす!」
それを見たライダーののとストロンガーが駆け出した。
「グァァ!!」
そこへ復活したカニカブラーが立ち塞がった。
「まだ生きていたのれすか?」
「あんた、しつこいわよ!」

真希は振り向きもせず工場の奥に姿を消した。
111名無しスター:03/04/03 02:50 ID:whJbuW59
ザ・カゲスター 〜東京進出編〜 後編 完

つづく
112名無し募集中。。。:03/04/03 21:11 ID:NTZ7pP0m
ユウキの身に何が?!
113ナナシマン:03/04/03 21:35 ID:DscxxzIu
>>名無しスターさん
 お疲れ様です。スリリングな展開で、今後がすごく気になります。姉弟
の運命の行方は果たして?って感じですよね。今回のお話の方は一応
一区切りついた形になるんでしょうか?それともまた次回が?楽しみ。

114保全:03/04/03 23:17 ID:OCIbKD/Z
海辺に佇む小さな墓標・・・
そこに、口笛を吹きながらやってくる女性の姿があった。
彼女の名は、安倍なつみ、仮面ライダーストロンガーである。
「あさみ、この前ね、不思議な人達と会ったんだよ・・・」
安倍は、先日出会った二人の戦士の話を始めた。そこに眠るのはあさみ。
仲間のタックルである。電波投げを得意としウルトラサイクロンで散っていった
大切な仲間・・・。ストロンガー、タックル、二人の望みはひとつ。
日本の、そして世界の平和を守る事である。
「私もまだまだ頑張るよ」
安倍はそう言うとその場を去っていった。
悪の集団ゼティマを倒す為、安倍は、仮面ライダーストロンガーは今日も戦う!

名無しスター様
おつかれっした!後藤姉弟の悲しみ、続きに期待です。
115名無しスター:03/04/04 01:57 ID:dADTgMjp
>112
ベルスターの心配もしてあげて・・・(w

>113-114
まだまだ続く予定です。でも書き貯めた在庫が切れたし、
キリが良いし一旦終わりにしました。

本当は「後編」より「中編」にすべきだったかも・・・
116ナナシマン:03/04/04 19:24 ID:vypAhu8H
>>保全さん
 EDネタイイ!ですね。短い中にもストーリー性があって、歌詞と情景がマッチして
ます。

 5月5日埼玉は逝けそうにないので、三井グリーンランドの「英雄伝説」を見に
逝こうかと思います。彼処のヒーローショーはGW期間中のゲストが豪華で、確か
一昨年は藤岡弘氏や宮内洋氏などが来たりしたんですよね。今年は誰かな?
117保全:03/04/04 22:26 ID:EI3+a4Gy
( ´D`)( ‘д‘) 1・2・ライダー、ダダダ ジャンプ!
(〜^◇^) [^д^]  3・4・ライダー、ダダダ キック!
川’ー’川( `.∀´) 5・6・ライダー、ダダダ パンチ!
(●´ー`)川o・-・)  7・8・ライダー、無限の力!

そろそろネタ切れ。次はOPで行こうか。
私の正体も既にバレてるとは思いますが、しばらくはこれで行こう。
ところでここの鯖は落ちるとhtmlされないと聞きましたがそうなると
この先どうなるのでしょうか?このスレは読めなくなっちゃうのかな?
ナナシマンさん、前に言ってた話は期待しちゃっていいのでしょうか?
もしそうならお願いがあるのですが。
118ナナシマン:03/04/05 12:58 ID:viXPeHO+
 「過去ログをまとめて読めるようにする」という件でしょうか?
一応そのつもりで編集中ですが、もうしばらくかかりそう、というのが現状
です。万一落ちてしまった場合、「●」があればこの鯖でも落ちたログが
読めるのか、その点が少し気がかりではあります。そのために買った●
なのに使えなければ意味無いですしね。

119ナナシマン:03/04/05 13:13 ID:viXPeHO+
>118
 上記の疑問について自己解決できたっぽいです。今の鯖になってから小説総合スレ
で「落ちた」と報告されていた小説スレを過去ログから見る事が出来ました。

 名無し天狗さんの再開まで少し間があるようであれば、今晩あたり一話行かせて
いただければと思うのですが。


120ナナシマン:03/04/05 20:20 ID:cnyh5Gii
と、言うわけで(?)話が無いのもアレですのでちょっとはじめさせて頂きます。
既に書き上がってる話ですので手早く終わらせます。
121ナナシマン:03/04/05 20:20 ID:cnyh5Gii
第36話 「走れ、まい!妹たちの許へ」


 時は遡って、舞台は札幌市内。町はずれの古寺、「木菟寺」の本堂。
この地に眠っていた人造人間「キカイダー01」まいは、妹であるひとみと梨華の
危機を察知して甦った。しかし、今の彼女には妹たちの許へ駆けつける術がなかった。
彼女に刻み込まれたプログラム−人間で言うなら「心の声」と言うべきか−は「妹たち
を救え」と叫ぶが、まいはこの世界の事についてまだ何も知らない。それでも、まいは
心の声に従い行動を開始しようとしていた。全てはまだ見ぬ妹たちのために。

(いつまでもここにいたって、何も変わらない・・・判らない事ばかりだけど、
始めなきゃ・・・!)


 すると、本堂の外から誰かが入ってきた。それは一人の老僧であった。彼はまいの姿
を認めると彼女のそばへと近づいてきた。今まで見た事もない人間の姿に一瞬怪訝な
表情を浮かべるまいに対して老僧は言った。
122ナナシマン:03/04/05 20:21 ID:cnyh5Gii
 「ようやく目が覚めたか、キカイダー01。いや、今はまいと呼んだ方が良いかの。
儂はお前の身柄を預かっとった者じゃ」

 「私を?預かっていた?」

 「そう。儂は人呼んで『風天和尚』・・・本当の名はとうに忘れてしもうた。
それよりまい、お前に見せたいものがある」

 そう言って老僧〜風天和尚はまいに手招きする。「自分について来い」という意味
なのだと理解できたまいは和尚の姿の後をついて行く。こうして、二人はやがて寺の
裏にある池へとやってきた。


 「加護からお前の事を任されたとき、一緒に預かった物をここに隠してある。
ちょっと待っとれよ・・・」

 そんな事を言いながら、和尚は池の近くに立っている石灯籠の前に立つ。灯籠
には昼間にもかかわらず灯がともっており、しかもそれは風に揺れても消えること
なく燃え続けている。そして彼は灯籠の屋根の部分へおもむろに手をかけると、
それをそのまま回転させた。すると突如轟音と共に池の水が見る間に縁の方へと
吸い込まれ、瞬く間に干上がってしまった。
123ナナシマン:03/04/05 20:21 ID:cnyh5Gii
 まいはその様子をただ黙って眺めていたが、風天和尚はそんなまいに目もくれず
唐突に石灯籠の屋根を外すと、灯籠の中に手を突っ込んだではないか。そこには
当然、煌々と燃えるろうそくがあるのだ。

 「あっ!!」

 思いがけぬ彼の行動に声を挙げるまい。風天は「瘋癲」に通じ、それは「精神
状態が正常でない事」を意味する。だとすれば、彼の振る舞いも彼の異常さ故かと
思われたが、実はそうではなかった。

 「さすがにお前も驚いたようじゃの。心配するな、この炎は立体映像じゃ。熱源
感知センサーをも欺く微弱な電波を発しとってな。大事なものはこれで隠しておる」

 そして、和尚は彼の言う大事なもの、立体映像の炎に隠された何かを手で
探り当てた。それはいわばスイッチのような物で、指にその感覚を感じた彼は
迷わずそれを押す。すると干上がった池の底に円形の割れ目が入ったかと思うと、
次の瞬間池の底は丸く抜け落ちてゆっくりと沈んでいった。

 「妹たちのところに行きたいんじゃろう?足が無ければどうにもならん」

 「脚ならちゃんと二本生えてるのに・・・」

 「はっはっは。良いか、人間は乗り物の事をしばしば足と言うのじゃ。こりゃ
お前が旅に出る前に少し教育をしてやらねばならんのぅ」

 和尚はそう言って笑う。そんな彼の顔を不思議そうに眺めていたまいだった
が、やがて池の底から現れた物の正体を知って再び素っ頓狂な声を挙げる。
124ナナシマン:03/04/05 20:28 ID:iI+gdXyF
 「和尚・・・これは?!」

 そこに姿を現したのは、白いボディに赤と青のストライプが走り、真っ赤な
「01」のロゴが入ったサイドカーだった。その形状はキカイダー・ひとみの
サイドマシンとよく似ていた。

 「これがお前の足、『ダブルマシン』じゃ。このマシンで行けないところは
ないと言って良い。地上での最高速度は500q。陸海空、そして宇宙。何でも
ござれじゃ。」

 「それだけのスピードなら、明日にでも妹たちの所にたどり着けます!」

 「まぁ待て。事はそう単純ではない。いいか、昼日中からそんな高速で道路
を走れば警察に捕まってしまうじゃろ?そうでなくとも人目につくわい」

 そんな事を言いながら、和尚はまいが人間達の中で生活する上の心得を
教えた。妹たちが同じ運命の元に集った少女達と生活する上で学んだ事を、
彼女は一人の老僧から教わったのだ。しかし、それはごく初歩的な事でしか
ない。

 「後は経験がお前を育てていくじゃろう。たとえ『良心回路』を持たない
お前でもな」
125ナナシマン:03/04/05 20:29 ID:iI+gdXyF
 そう、キカイダー01・まいには「良心回路」が備わっていない。
キカイダー・ひとみやビジンダー・リカに先駆けて作られた彼女の最優先事項
それは姉として二人を守ることだった。それはまいにとっての至上命題であり
疑問や躊躇が入り込む余地などあり得ない。
 良心回路は機械をより人へと近づけたが、その反面機械に人と同じく苦悩や
葛藤を与えた。妹たちを守るべく生まれたまいにとって、それは使命を遂行
する上で不必要な感情と言えた。


 やがて二人は再び本堂へとやってきた。本堂にたどり着いて初めてまいは
気づいたのだが、中を見渡すと構えや手にした仏具の違う仁王像が10体前後、
まいを隠していた仁王像を囲むように配置されている。和尚はそれらを見渡した
ところで、まいにこんな言葉をかけた。

 「よいか、迷い無き者だけが真実へと至る事が出来るのじゃ。人は迷いや
悩みがあるが故に苦しまなければならぬ。己が本来成すべき事を見失う」

 風天和尚の言葉に、まいはただ黙って頷く。彼はなおも言葉を続けたが、
やがて「良心回路」に話が及んだときの事だった。

 「まいよ、お前の父である加護博士は妹たちに迷いの種を植え付けたのと
同じじゃ。本来、機械に『心』は要らぬ!機械を動かすのはプログラム、
そしてプログラムとは0と1の数列の産物よ。人ですら『心』を捨てた
この世に、何の因果で機械が『心』を持たねばならぬ!!」

 大喝する老僧の気迫に、人造人間でありながら圧倒されそうになるまい。
しかし、直後風天の口調は急に穏やかになった。
126ナナシマン:03/04/05 20:30 ID:iI+gdXyF
 今日はここまで。多分今日を含めて3日間ほどになりますが、宜しくおつきあい
いただければと思います。
127保全:03/04/06 00:39 ID:RHQizSB5
ナナシマン様
おつかれっす。ただ今ネタの準備中。
私が何者かは、既にお解かりだと思いますが、お願いを聞いて頂きたく。
実は羊で一つお話を書いているのですが、もしよろしければ
保存屋さんをやるときオマケで乗っけて貰えないですか?
自分でやれるほど知識も無く、何処かにお願いしようかと考えていた時
そう言えばナナシマンさんがそんな事言ってたの思い出したので。
出来ればで良いので、お考えいただけるなら誘導します。

01の続編ですね。期待します。あれ?
128ナナシマン:03/04/06 19:51 ID:QqwEQcEy
 「じゃが・・・儂は見とどけたくなった。妹たちの身を案じて目覚めた、
お前の『心』が本物であるか否かをな」

 「私の・・・『心』?」

 「左様。加護とつんく、二人は確かに天才じゃった。儂も仏道に入る前は
科学者の端くれでな。加護の残したお前の設計図を元に儂もまた人造人間を
作った」

 そう言うと和尚は近くにあった走馬燈に手をかけると、それを力一杯横に
ずらした。すると、二人を取り囲むように配置されていた仁王像が次々と
真二つに割れ始めたではないか。

 「人の心を狂わせる科学という怪物と決別するために仏道に入った儂
じゃったが、彼らの才能には正直嫉妬した。そして儂が生み出したのが
これじゃ!」

 割れて砕け散っていく仁王像。そしてその下から現れたのは、まいの
もう一つの姿、キカイダー01にそっくりな人造人間の姿だった。次々と
姿を現す人造人間達。だがその目にはまだ光は宿っていない。

 「真の人造人間が目覚めた今、模造品が存在する意味はない!残念じゃが
科学者として、儂はお前の父を超える事は叶わなかった」
129ナナシマン:03/04/06 19:51 ID:QqwEQcEy
 「よいか、まい。良く聞くのじゃ。お前が甦ったのと時を同じくして、
動き出す者達がおる。その者達の名は『シャドウ』、人の世に巣くいて
人心を惑わし、悪へ向かわす地獄の使者じゃ」

 「シャドウ・・・」

 「そしてその者達を統べるは『ゼティマ』!妹たちの敵、この二つの名を
忘れるな!そして、ダブルマシンを駆って『加護生化学研究所』を目指せ!」

 まるで何かに急かされたかのように叫ぶ風天和尚。まいは最初それが何故
なのか理解できなかった。だが、次の瞬間。

 『ウィィィィィン・・・』

 『・・・ィィィィィィン・・・』

 小さな駆動音が聞こえてきたかと思うと、人造人間達の目に次々と光が
宿る。その様子を目にしたとき、和尚の脳裏によぎったのは悪の影だった。

 「チィッ、思いの他早く勘づきおったわい・・・シャドウめ!!」

老僧の声に呼応し、彼の視線を追うまい。二人の視線の先に、何者かの「影」
があった。
130ナナシマン:03/04/06 19:52 ID:QqwEQcEy
 「風天和尚、残念だがその人造人間を行かせるわけにはいかん」

 その「影」の正体は二人のいる本堂の中からは暗くて判らなかったが、
ただ一つ大きな目だけが二人を射るように爛々と輝いている。謎の敵を目の前に
して、風天和尚は人造人間達に命令を下した。

 「シャドウめ、まいに手を出すでない!戦え、ゼロワン!」

 彼の声に呼応し、次々と謎の敵に向かって歩を進める人造人間−ゼロワン。
ゆっくりと歩み寄る人造人間達は一言も発することはない。彼らはまいの身に
危機が迫った時、寺ごとまいの痕跡を消し去るために準備しておいたものだった。
だがそれは単なるコピーに留まらず、風天和尚にかつての科学者としての情熱を
かき立てる存在であった。叶うならば良心回路を解明し、まいやひとみ、梨華を
超える人造人間を作りたかった。プログラムを超える「心」を与えたかった。
 しかし、結局のところ彼は二人の天才を超える事は出来なかった。機械に心は
要らない、そう語る彼の言葉は裏を返せば機械に心を与えられなかった彼自身の
心の叫びだったのかも知れない。

 あくまでも定められた標的に対し黙々としてその歩みを止めないゼロワン。
不意に額の部分に光が集約されたかと思うと、透明な頭部カバーがまるで
レンズのようにハレーションを起こす。そして次の瞬間、それは強烈な熱光線と
なって発射された。謎の敵は体をかわしてこの熱光線「サンライズビーム」を
回避したが、標的を外した熱光線は本堂の屋根を吹き飛ばし辺り一面をなぎ払う。
古寺はこの光線で一瞬にして炎をあげて燃え始め、そして二人は炎の中で敵の
正体を知ることとなった。
131ナナシマン:03/04/06 20:02 ID:QqwEQcEy
今日はここまで。明日には終わる予定です。

>>保全さん
 お話承りました。とはいえ僕自身も特に知識があるというわけではなく、言わば
「よく判るホームページの作り方」程度のものでしかありません。(それ以下かも)
そんな感じなので、「来たら読める」程度のものしか出来ないと思いますが、それ
でよろしかったらお願いします。
132保全:03/04/07 01:00 ID:TdaWVCw+
ナナシマン様
とりあえず読んでみて下さい。ご検討いただた後よろしくです。
尚、お返事は下記の現行スレにいただけますか?これ以上はスレ汚しになりそう
なので、よろしくお願いします。
http://tv2.2ch.net/ainotane/kako/1033/10334/1033425565.html
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1047550726/l50
133ナナシマン:03/04/07 19:57 ID:ZRun1bIq
 炎の中に立つ謎の敵。それはまるで西洋の騎士のような甲冑姿だった。しかし、
顔面のひさしの部分から覗くのは異様なほど巨大な眼球。この奇妙な姿をした者は
まさしくシャドウの差し向けた刺客だった。

 「お前はシャドウが差し向けた破壊ロボットか!サンライズビームの直撃を
かわしたところを見ると相当の手練れじゃな?」

 「冥土の土産に教えてやろう。俺は『シャドウナイト』。ゼティマに仕え
シャドウを統べる者だ」

 そう言ってシャドウナイトは炎をものともせず二人の元へと近寄ってくる。
そんな彼を遮ってゼロワン達が行く手を阻むが、シャドウナイトは目から発する
眼力光線で次々とゼロワンを破壊する。まいは和尚の手を引き敵の手から
逃れようとしたのだが、彼はその手を振り払う。

 「まい!儂に構わず行け!!妹たちを救うのじゃ!」

 「でも・・・和尚は・・・」

 「儂の事は良い!事態は一刻を争うのじゃぞ!?急ぐのじゃ、まい!!」

 炎の中で叫ぶ風天和尚。それでもまいは和尚を救おうと炎の中へと飛び込もう
とした。だが、寺の梁が焼け落ちて二人を分かつと、やがて彼の姿は逆巻く炎の
中に消えていった。和尚を置いていくわけには行かなかったが、ここまで炎の
勢いが強いともう彼を救い出す事は出来そうにない。炎と煙をかいくぐって
池のある裏庭へと飛び出したまいは燃える本堂に背を向け、ダブルマシンに
またがるとエンジンを始動した。
134ナナシマン:03/04/07 19:57 ID:ZRun1bIq
 『ブロロロロロ・・・』


 「ハッ、もしや逃げられたか?!」

 外から聞こえたエンジン音に、シャドウナイトが振り返る。彼のそばでは
未だ活動を続けるゼロワンが、額からサンライズビームを放ち寺を徹底的に
破壊していた。辺り構わずビームを放ち、味方に誤爆しようとも一向に
動じないその姿は、どちらが破壊者なのか判らなくなるような光景である。
その壮絶な修羅場の中シャドウナイトが辺りを見渡すと、まいだけでなく
風天和尚の姿もまた既になかった。

 「風天和尚・・・小賢しい真似をしてくれるわ!」

そう言うや、シャドウナイトは主を失ってなおビームを放ち続ける人造人間に
裏拳一閃、頭部を吹き飛ばして完全に破壊した。

 「あの人造人間を放っておいては、後に災いを残す事となろう。室蘭や函館
の件もある。禍根はあくまで絶つべし、だ」

 やがて本堂の壁を蹴り破って外に出たシャドウナイト。彼はダブルマシンが
走り去って行ったと思われる方向をしばらく見つめていた。
135ナナシマン:03/04/07 19:58 ID:ZRun1bIq
 燃える木菟寺を後にして、まいはただひたすら走り続ける。風天和尚が
示した目指すべき場所は「加護生化学研究所」。心に刻み込んだ戦うべき敵の
名は「シャドウ」、そして「ゼティマ」。ダブルマシンを駆ってまいは南を
目指す。まいはまだ知らない。自分が立ち向かうべき悪の巨大さを。彼女が
出会うであろう、同じ運命の元に集いし少女達の事を。

 しかし、まいは何者も恐れない。苦悩や葛藤を心に持たない彼女は、同時に
悪と戦う事を躊躇したりはしない。たとえ妹達を案じる心がプログラムの産物、
人によって作られ与えられた心であったとしても、抱き続ける今がそれを確かな
ものに変えていく。それを「成長」と呼ぶならば、風天和尚が見届けたかった
のはまさしく、まいが経験を重ね成長していく姿ではなかったか。


 (ひとみ、梨華。必ず行くから待っていてね。悪のある所必ず現れ、悪の
行われる所必ず行く。それが私・・・)

 「キカイダー01!」

長い髪を風になびかせた少女の声が、北の青い空に吸い込まれていった。



第36話 「走れ、まい!妹たちの許へ」 終
136ナナシマン:03/04/07 19:59 ID:ZRun1bIq
 他の作者さんの話を本格的に引き継いだのは、実は今回が初めてだったり
します。本当なら名無し1号さんがご自身の思い通りに書かれるのが一番
良いのかも知れませんが・・・。ともあれ、僕の話はまたの機会に。

137ろぼらいだ:03/04/08 12:32 ID:P4i14tIA
1週間ほど前に見つけて一気に読ませていただきました。
はっきりいいますと、仮面ライダーで見たことがあるのは
1号2号(夏休みの再放送)と、RX(3、4歳のころ)だけです。
知識は平成モノ以外は名前と風貌ぐらいしかありません。
それでもオモシロイデス。
そこで、リクしてみたいのですが、以前名無し天狗さんも書かれていましたが、
配役は誰でもよいので是非RXやシャドームーンを出してください。
長々とスイマセン…

138名無し募集中。。。:03/04/08 22:31 ID:WTXB1LBE
>137
 作者はハッキリと言わないだろうけど、出るんじゃないかな?
期待してみていいんじゃないか。

139名無し募集中。。。:03/04/09 13:52 ID:IchC7Mb+
シャドームーンはミキティのイメージだな。
とするとブラックは松浦か。
この二人ってまだ使えたっけ?
(つうか、みんな若いねえ)
140名無し募集中。。。:03/04/09 14:56 ID:KKD0AvZm
>139
 まだ起用はされてないし、使えるっちゃ使えるんじゃないのかな。
それにしてもミキティは王蛇といいシャドームーンといい、悪役っぽい
イメージぴったりだな。仮に戦隊ネタなら、バイオハンターシルバ
あたりがぴったりかも知れない。
141名無し募集中。。。:03/04/09 17:17 ID:na7rJkzQ
>>139
その二人ならまだいないみたいだし
光太郎と信彦のように兄弟みたいに(みたいに、と言うか義理の兄弟だけど)
仲がよくてもおかしくないと思う。
それで拉致→改造→ブラックサン、シャドームーンに。っていう感じ。
BLACKヲタでスマソ。
142名無し天狗:03/04/10 20:18 ID:zkAusOHK
作家ご一同様
ようやくゴタゴタしてたのが一段落しました。20日近くもの間、ご迷惑をお掛けしてしまい
まことに申し訳ありませんでした。
お怒りはごもっともの上こういうことを言える立場じゃないことは重々承知していますが、
引越し&新機種で改めてご厄介になります。

>名無しスターさん&ナナシマンさん&保全の皆様
申し訳ございませんでした。私が至らないばかりに苛立たせるような振る舞いをしてしまったことを
深く反省いたします。本当にお詫びのしようがございません。

もし、お許し頂けるのでありますならば、お詫びの意味もこめて
第34話の完結編を書かせて頂きたいと思うのですが・・・。
143名無しんじー:03/04/10 21:00 ID:ROPKElV6
たまにはこっちで書いてみる。

名無し天狗様
ん?別に誰も怒っている様には見えませんが?
私は続きに期待してみる人。
引越しだったんですか?それなら
( ‘д‘)ノ[≡][≡]vv←引越し蕎麦2つ持ってきたで!
144名無し天狗:03/04/10 21:23 ID:zkAusOHK
>名無しんじーさん
ありがとうございます、わざわざスイマセン!
完結編は近いうちに必ず!
145139:03/04/10 21:39 ID:DVCo7uSf
書いといてなんだけどブラックはよく知らないのです。
どなたかプリーズ。
146名無し天狗:03/04/10 23:03 ID:zkAusOHK
>142でも書きましたが、もし次の方がいらっしゃらないようでしたら
時間の余裕があるときにでも第34話の「完結編」に取り掛かろうと思うのですが・・・
いかがでしょうか?
147名無し:03/04/11 02:06 ID:vo/WQBtf
完結編、加護しくキボン。

.〆⌒ヽ
( ‘ д‘)<誰がハゲやねん!!
    ∪l| ||
    @ノハ@
       ペシッ!!
148名無し募集中。。。 :03/04/11 21:24 ID:SZS5iSe6
あげ
149名無し募集中。。。:03/04/11 22:10 ID:WlSlT1jQ
保全。
150名無し天狗:03/04/11 23:54 ID:QHLrDlbY
どなたの書き込みもないようですので、第34話完結編いかせていただきます。

    第34話「むかし むかし・・・」(完結編)

<これまでのあらすじ>
乱世の時代より越前美浜藩五木家と忍者集団「谷一族」が作り上げ、泰平の世に移った時に
完成した「化身忍者誕生の法」は、人体に動植物の細胞を移植し、脳神経に刺激を与えることによって
化身すなわち変身させることで超人的能力を発揮させるという驚異の秘法である。
その秘伝の書が、倒幕しいては日本征服を目論む悪の忍者集団「血車党」に狙われ、ついには奪い去られてしまった。
美浜五木家に仕えるくノ一(女忍び)のユキは、秘伝の書を奪還せんと血車党を追うが、彼らの卑劣な罠に掛かり
生死の境をさまよう程の重傷を負ってしまう。
苦悩する五木家。だが、その彼らの前に谷一族の頭領・谷の鬼十が現われ、ユキの助命を約束し、蘇生のために彼女を引き取った。
一方、秘伝の書を手に入れた血車党は、それをもとに化身忍者「毒うつぼ」を造り、江戸侵略に乗り出した。
遮るものを蹴散らし、江戸に迫る血車党。だが、その彼らの前に鬼十の化身手術によって蘇生したユキが立ちはだかる。
一進一退の攻防が続く中、ユキは遂に化身の力を駆使する。
「吹けよ嵐、嵐、嵐!!」の声と共にユキが持っていた刀を鞘に収めた瞬間、鍔鳴りの音が彼女の脳を刺激し、
彼女の身体に変化をもたらす!!
151名無し天狗:03/04/12 00:13 ID:dAXNOGUI
>>67から

「ぐ・・・こ、これは一体・・・・・・!!?」

突然の出来事に骸丸は更に狼狽した。
ユキの身を覆う鳥の羽の群れはなおもその数を増し、竜巻となって彼女を守るように回転の勢いを上げてゆく。
それは猛然とした突風となって血車党の面々を襲う。

「・・・!!ま・・・まさか奴は!!?」

羽竜巻に煽られる中、骸丸は何か気づいた。
死の手前にまで追い遣った筈の者がわずかな日数でここまで回復できよう筈がない、と。
間もなく、その骸丸の疑念は現実のものとなった。

砂塵を捲いて、血車党からユキの身を守っていた羽竜巻が止み、羽が全て吹き払われたその時、
ユキの姿はそこにはなかった。代わりにその場に現われたのは、鷹を擬人化したかの如き
異様な風体をした一人の「鳥人」であった。
152名無し天狗:03/04/12 00:51 ID:dAXNOGUI
頭はまさに「鷹」そのもの、その嘴は大きく開かれ、剣道の面のような格子が填っている。
眼光鋭く、嘴同様大きく開かれた両眼の瞼には、あたかも兜の前立てや昆虫の触覚よろしく
鳥の羽が天に向かって左右に伸び、頭頂部は後ろに大きく迫り出して竜の角を思わせる。
後頭部の下半分は赤い鬣に覆われ、獅子を彷彿とさせていた。
また身体の方は、全身を魚類や爬虫類の鱗のように鳥の白羽で包み、
肩口と短い裾がギザギザの段だら状になった赤い衣をその上に纏い、
腰に巻いた黒い帯と衣の両胸には谷一族の紋章「四枚羽斜め十字組」が掲げられている。
そして手首と足首は人間のそれと鳥の脚を合成させたような特異な形状をしていた。
刀を背負ったその「鳥人」の姿は、何も知らずに出会う人から見れば十中八九こう思うであろう。
「化け物」と。
だが、その「化け物」こそが、ユキが己の「人としての」人生と引き換えに谷の鬼十から授かった
彼女の「新たなる力」の証なのだ。化身手術の際に留められた身体の曲線が化身後に残されたかつての彼女の名残である。
「鳥人」と化したユキの獅子吼の名乗りが、悪逆非道の血車党を畏縮させん勢いを持って天地に響き渡る!!

「変身忍者!嵐!!見参!!!」



153名無し天狗:03/04/12 01:28 ID:dAXNOGUI
「な・・・何ぃ!?
 くぅ・・・そうか、貴様も化身の手術を受けておったのか!!
 だがしかし・・・秘伝の書は我ら血車党の手の内にある筈!なのになぜだ・・・!?」
「ハハハハハハ・・・とんだ見込み違いだったようだな!!谷一族には先祖代々口伝によって受け継がれた
 秘法の記憶があるのだ!!貴様らのような付け焼き刃とは違うことを思い知らせてやる!!」

ユキ、いや、嵐の蘇生の理由に納得しつつも困惑の色を隠せない骸丸を笑いつつ嘲り叫ぶ彼女のその声は
ユキの物とは異なっていた。女であることに変わりはないが、嵐の声はユキよりも高く、強く鋭利な刃物のようで、
ユキよりも若干年上の印象をも醸し出している。
だが、彼女は紛れも無く化身手術で嵐となって蘇ったユキなのだ。

「くっそぉ・・・小賢しい小娘め・・・・・・!!ええい構わん!!
 この上は今度こそ貴様の息の根を止め、その上で谷一族を根絶やしにしてくれようぞ!!
 殺ってしまえ、「毒うつぼ」!!!」

いよいよもって怒りに紅潮した骸丸は、「毒うつぼ」に嵐の抹殺を命じた。
「毒うつぼ」は身体に巻きつけてあったうつぼを投げつけて嵐を襲う!
154名無し天狗:03/04/12 01:40 ID:dAXNOGUI
一先ずここまで。続きは明晩に・・・。
155名無し天狗:03/04/12 03:45 ID:dAXNOGUI
ちなみに「嵐の声」は
「仮面ライダー(1st)」の蜂女の声(沼波輝枝女史)のイメージです。
156名無し天狗:03/04/12 12:25 ID:F6ytP7SX
今晩の予定でしたが、多少進めます!

>>153から

「毒うつぼ」の操るうつぼは嵐の身体に絡みつき、締め上げようとするが、
嵐は慌て怯むことなく、絡みついたうつぼを引き剥がして「毒うつぼ」に投げ返した。
と同時に、嵐は背の刀―名を「ハヤカゼ」と言う―を抜き放ち、「毒うつぼ」に斬り掛かる。
だがそこへ、卑劣にも血車党の下忍たちが十人程「毒うつぼ」の前に現われ、嵐を遮った。
彼らはかつてユキを血祭りに上げた時のように、嵐に一斉攻撃を仕掛けてきた。
しかし化身忍者・嵐となって蘇った今のユキは、もうあの頃のユキではない。
化身手術によって得た「人智を超える力」を存分に発揮し、次々襲い来る凶刃の雨を掻い潜る。
やがて、嵐は優勢に立った。そして・・・!

「嵐・旋風斬り!!」

ハヤカゼを携えた右手、そして左手を水平に構え、十字のような形を取るや、
嵐は両脚の親指の爪先を軸にして(前述にもあるが、嵐の手足は人間のそれと
鳥の脚を融合させたような形状をしている)、刃の方向に向かってその身をまるで
独楽か竜巻の如く勢いよく回転させ、下忍たちに肉薄していった。
突然のことに当惑した彼らは、皆反撃の隙を与えられぬまま一人残らず無残な屍を晒していった。
かつてのユキも、手も足も出ぬまま生死の境を彷徨ったのだから、彼らにとっては
因果応報と言えるだろう。

かくして邪魔者を蹴散らした嵐は、改めて「毒うつぼ」と対峙する。
「毒うつぼ」もまた、下忍の刀を拾って構えた。
静かな中にも凄まじいまでの殺気を漲らせ、二人は睨み合う。
157名無し天狗:03/04/12 13:01 ID:F6ytP7SX
程無くして、周囲に激しい剣戟の音が響き渡った。
嵐・「毒うつぼ」、両者共に駆け出し、互いの刃を打ち合わせていたのだ。
一進一退の攻防。斬り結ぶこと数十回。両者は互いに譲らず、凄絶な斬り合いを展開した。
だが、谷一族の確かな口伝の記憶による化身手術によって造られた嵐と、
奪った秘伝の書を頼りに俄仕込みの手術で造り上げた血車化身忍者とでは格が違う。
徐々に嵐は、戦いを自分に有利になるよう進めていった。そして「毒うつぼ」の僅かな隙を突き、
止めの一太刀を浴びせんと上段の構えを取る!
だが、「毒うつぼ」も負けてはいない。嵐が刀を上段に振り被った瞬間を狙っていたのか、
突如大きく口を開け、そこから何やら怪しい煙を噴き出したのだ!
咄嗟に煙をかわす嵐。彼女にかわされた煙は、そのままその背後にあった血車党の下忍の亡骸に降りかかった。
次の瞬間・・・・・・!

下忍の亡骸がドロドロに溶け落ち、骨も残さず蒸発したではないか!!
「毒うつぼ」の口からの煙には、人体を溶かす猛毒が含まれていたのだ!!

接近戦は不利と読んだ嵐は、「毒うつぼ」との間に一定の距離を取る。
慎重に攻撃の機会を窺う嵐。形勢は、瞬く間に逆転した。
二人の位置から遠く離れた大木の影では、この戦況を見ていた骸丸がほくそ笑んでいる。
158名無し天狗:03/04/12 22:25 ID:npJmGbA2
嵐は「毒うつぼ」の毒煙攻撃をかわすのに精一杯で、なかなか反撃の糸口を見出せないでいた。
だが、劣勢に追い遣られつつも嵐は冷静に「毒うつぼ」の様子を常に観察していた。
見ると、「毒うつぼ」は毒煙を吐く際に頭上の触角を注意しながら動かしているようだ。
どうやら触角を動かすことによって煙の量や毒の濃度を調節しているらしい。
嵐は「毒うつぼ」の弱点を看破した。あの触角を断ち切れば「毒うつぼ」は自分で煙を調節出来ずに
自滅するのではないか、と・・・。
そして嵐は勝負に出た。

「忍法・羽隠れ!!」

術の名を高らかに宣言し、人差し指を立てた右手を天にかざす嵐。
瞬間、彼女の身体から、化身の過程同様に無数の鳥の羽が噴き出し、縦横無尽かつ
規則正しく飛び回りながら「毒うつぼ」の視界を遮った。
嵐のこの目くらましに「毒うつぼ」は怯み、狂ったように刀を闇雲に振り回すが、
彼は完全に嵐を見失っていた。
一方、当の嵐は、敵の出鼻を挫いた隙に上空高く舞い上がり、間髪入れず急降下した。
一瞬の出来事に大木の陰に潜んでいた骸丸は慌て、「毒うつぼ」に撤退の指示を出そうとしたが時既に遅し。
無論、そのような悪あがきを嵐は許しはしない。うろたえる敵を無視して急降下中の彼女は、
眼前に迫る「毒うつぼ」の触角目掛けて正義の刃を振るった!!

「ギャアアアアアァァァ・・・・・・!!!!」

この世の物とは思えぬ身の毛もよだつような恐ろしい悲鳴を上げ、頭頂部を押さえて
蹲り、苦悶からその場に転げ回る「毒うつぼ」。その彼のすぐ傍には、
嵐の一閃によって削ぎ落とされた彼自身の二本の触角が落ちていた。
苦しみ、よろけながらも「毒うつぼ」はなおも立ち上がるが、最早万策は尽き果てていた。
改めて撤退の指示を出す骸丸に従い、彼は再起を図るべく戦線を離脱した。
触角を失ったとは言え、化身忍者としての能力はすべて死んだわけではなかった。
「毒うつぼ」は骸丸に連れられ、死に物狂いで全力疾走する。
159名無し天狗:03/04/12 22:54 ID:npJmGbA2
「・・・!?逃がさんぞ!!」

もうこれ以上の犠牲は出したくない。許すまじ血車党!
嵐は逃げる敵を一喝するや、天まで届けよと口笛を吹いた。
程無くして、現代の競馬の競走馬のような覆面を被った一頭の馬が嵐の下に馳せ参じて来た。
現代の速度に換算して時速五百キロで疾走したであろうこの馬こそ、谷の鬼十が嵐=ユキを
助ける伴侶として彼女に与えた忍馬・ハヤブサオーである。
嵐はハヤブサオーの背に跨ると、逃げる「毒うつぼ」と骸丸の後を全速力で猛追した。
間も無く嵐は彼らに追いついた。驚いた骸丸は、命惜しさから「毒うつぼ」を残して早々に退散。
この時点で、「毒うつぼ」の命運は決した。
ハヤブサオーから降りた嵐に、玉砕覚悟で猛然と突っ込む「毒うつぼ」。
彼に残された、最後の決死の抵抗であった。
だが、嵐は動じない。今ならば容易に倒せる、その自信が彼女にはあったからだ。
やがて嵐はハヤカゼを構えると、明鏡止水の心境でゆっくりと刃をかざしていく。
その先には、西に僅かに傾きかけた太陽が彼女に加勢するかの如く暖かくも強い光を放っている。
やがて、その日の光がハヤカゼの刃を介して「毒うつぼ」の両眼を強く、鋭く射抜いた!!

「・・・・・・!!!」

強烈な日の光をまともに受け、「毒うつぼ」はまたも怯んだ。そこへ今度は嵐が「毒うつぼ」に突進する!!
そして・・・・・・!!

「秘剣!影うつし!!」

嵐は必殺の名を叫び、擦れ違い様に破邪顕正の一太刀を「毒うつぼ」に浴びせた!!
160名無し天狗:03/04/12 23:22 ID:npJmGbA2
斬られた「毒うつぼ」は痛みを感じなかった。
そればかりか彼は、自分の身に何が起きたのかわからぬまま、斬られたことも気づかず
反撃に転じようとするが、嵐の方へ振り返ったその瞬間、へその辺りを境に上半身がぐらつき、
そのまま大地へと転げ落ち、残った下半身もその場に崩れるようにして倒れた。
そして、醜い屍と化した「毒うつぼ」は、ジュクジュクと不気味な音を立てながら溶け、
遂には完全に消滅した。
変身忍者嵐=ユキは、その初陣を見事な勝利で飾ったのだ。

だが、勝利の余韻に浸る彼女の頭上に、他ならぬあの骸丸の声が響く。

「おのれ嵐!今回はこのくらいにしておいてやるが、これで済んだと思うなよ!!
 化身忍者誕生の秘伝書は、既に我ら血車党の手の内にあることを努々忘れぬことだ!!
 これからももっともっと強力な化身忍者を造り出し、必ずや貴様と、貴様に関る者全ての
 息の根を止めてやる!!首を洗って待つがよい!!!」

その憎々しげな声に、新たなる闘志を燃やす嵐=ユキであった。

翌日・・・・・・

ユキは五木家に帰還し、血車党の江戸侵略阻止を報告すると共に、秘伝書奪還までの間
暫く藩を離れる旨を告げた。
初めは多少の当惑を見せていた藩主・弘繁であったが、ユキの「秘伝の書を取り戻し、
必ず戻って参ります。」と言う誓いを耳にし、快く彼女を送り出したのであった。

くノ一ユキ・・・変身忍者嵐の真の戦いの火蓋は、ここに切って落とされた。
だが、彼女自身、そして血車党にとっても、「運命を大きく左右する事態」が待ち受けていようことを
まだこの時の彼女たちは知らない・・・・・・。

   第34話「むかし むかし・・・」ようやく完!!
161名無し天狗:03/04/12 23:30 ID:npJmGbA2
色々とトラブルがございましたが、やっと「嵐」初登場編終了でございます。
皆様、ご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんでした。この場を借りて
心よりお詫び申し上げます。
また暫くは読み手に戻りますが、嵐と中沢軍団、血車党とゼティマのそれぞれの
合流話も、またいいのが思いついたら筆を執らせて頂きます。
では、長い間本当にありがとうございました!!
マスオの国から@2003〜帰郷〜
マスオ降臨中!!!!!!!!!!!!!!!jjjjjjjjjjjjj!!!!!!!!!!!!!!!

                      /⌒ヾ⌒ヽ.
                     /   丿  ..ヾ
                   /   。 人    )
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     三 ̄ ̄ ̄ ̄\    / ) と   /
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    | (6    つ  | /  ..  / / どうやら!!!!!!!!!!
     |    ___ |/   . /  <俺は増殖するらしい!!!!!!!
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 シコ  \___/   /   /
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 シコ  ( ) ゚ ゚/\ゝ 丿.../
      \ ヽ、 (  /  ⊂//
        \ ヽ / ⊂//
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マスオの国から@2003〜帰郷〜
マスオ降臨中!!!!!!!!!!!vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv!!!!jjjjjjjjjjjjj!!!!!!!!!!!!!!!

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164名無し募集中。。。:03/04/13 03:52 ID:0Ti0ee+b
>>161
165名無し募集中。。。:03/04/13 06:55 ID:hLpl5jM/
>>162-163
邪魔
166名無し募集中。。。:03/04/14 00:49 ID:INFd/Hd3
保全
167ナナシマン:03/04/14 07:59 ID:ZNCe0tKK
登場怪人名鑑ライダーののX編

ハンマーデスパーU
 地上へ脱走した里沙を追ってやって来たハンマーデスパーは任務に失敗。処刑
されそうになるが再度機会を与えられて強化改造されて復活した。頭部全体が一つ
の大きなハンマーの形だったTと異なり、頭部に1対のハンマーか付いている。
最後はイナズマンフラッシュに敗れる。

キバイノシシ
 函館に存在していた下部組織「サタン帝国」の怪人。何者かに叩きのめされた
姿で発見され、サタン帝国解散を通告しに来たザリガニアンに対して身の危険を
覚え抵抗を試みたものの、吸血ハサミ攻撃であっけなく殺されてしまった。

ザリガニアン
 サタン帝国解散を通告しキバイノシシを始末した後、帝国を壊滅させた謎の戦士を
求めて殺人を繰り返していた。ハサミで相手の血を吸い、殺害する能力を持つ。謎の
戦士〜カゲスターとベルスターのダブル車輪で倒されたが絶命には至らず、ユウキに
「マキ」の情報を伝えようとしたところで自爆装置が作動、抹殺された。

蛙怪人
 津軽海峡を渡る連絡船上でユウキとソニンを襲撃した。変身できないユウキを窮地に
追い込むが、逆に生身のハズのソニンに手ひどく痛めつけられ、結局はカゲスターの
カゲファイヤーで海の藻屑と消える。
168ナナシマン:03/04/14 08:02 ID:ZNCe0tKK
ジーザスタウン治安部隊
 科学者グルジェフに統治された実験都市「ジーザスタウン」の治安を守る兵士達。
白いプロテクターと銃器で武装している。

ドラゴンキング
 ゼティマ東南アジア圏支部「拳龍会」の歌舞伎町支部を任されているオオトカゲの
改造人間。古代の超兵器「空飛ぶ火の車」を操り最終決戦に臨むが、バイクロッサー
のブレイザーカノンによって撃墜されてしまった。

地獄谷五人衆
 サタンホークを筆頭にヘビンダー、ゾゾンガー、ストロングベア、クレージータイガー
の五怪人を総称してこう呼ぶ。彼らは暗殺拳法「ゼティマ拳法」の使い手であり、通常
の改造人間よりも実力的には上。再生怪人軍団を率いて地獄谷で戦ったが、死闘の
末に全員倒された。

カイザーグロウ
 ゼティマの重鎮にして拳龍会の総帥、テラー・マクロが魔神の血を浴びて化身し
不死身の力を得た姿。スーパー1達を追いつめたが、儀式の折に舞い込んだカラスが
止まった肩口が血に染まっていなかったために急所となり、最後はスーパーライダー
月面キックによって倒された。

クモナポレオン
 クモの怪人。自らが「あの女」と呼ぶ人物の捜索を任務としていたが、その途中で
愛たちと遭遇し交戦。必殺技「蜘蛛の巣ジャングル」で一度は勝利を収めたものの、
マーキュリー回路によってパワーアップを果たしたXライダーの真空地獄車で敗れた。
169ナナシマン:03/04/14 08:03 ID:ZNCe0tKK
バッタ男
 ゼティマの改造人間と見て間違いないが従来の改造人間に見られるような知性は
無く、動物的本能むき出しで行動する。特別な武装はなく、爪で引っ掻いたり刺したり
する程度の技しか持たない。最後はライダーののキックで倒された。

獣人大ムカデ
 十面鬼の刺客として日本に送り込まれた獣人。巨大ムカデに姿を変えて相手に
巻き付き、徐々に体力を奪う戦法を得意とする。十面鬼の来日に備えて食料の血液を
集めるべく赤ジューシャを従え献血車を襲撃。駆けつけたアマゾンとの戦いにおいて
大切断で敗れた。
170ナナシマン:03/04/14 08:14 ID:ZNCe0tKK
>>名無し天狗さん
 テレビシリーズのカラーっていうんでしょうか、変身時代劇もの(?)独特の雰囲気が
そのまま活字になったみたいでした。もしかしてこの作品、かなり思い入れのある一作
なのでは?ともあれお疲れ様でした。
171名無し天狗:03/04/14 12:59 ID:6sfzBsL2
>ナナシマンさん
思い入れ・・・別にこれといってそう言うわけでもないんですが・・・。
何せ放送を全く見てませんでしたし、資料などから「多分こうだろう」と解釈し、
その上で私風の味付けをした、と言った感じです。
改めて、お詫びとお礼を申し上げます。
172名無し天狗@お詫びと訂正:03/04/14 22:09 ID:LTMFSBmT
以前「ののX」で書いたユキの過去・・・
「谷一族に入門して二十年」とあるのは「十年」の誤りでした。
お詫びして訂正いたします・・・。
173いち読者:03/04/14 22:58 ID:6KdJbnlq
>>171-172
なんかお詫びばっかりしてますね(w
作者さんはデンと構えて「さあ読め」と言っていればよいと思いますが。
174名無し天狗:03/04/14 23:38 ID:LTMFSBmT
>173さん
従来の尺度にする筈が長編になり、その上ダラダラしちゃったし、
あまつさえ一方的な途中休止をしちゃったわけですからねぇ・・・。
175名無し募集中。。。:03/04/15 07:22 ID:oOoaKWjN
中澤ねーさんを早く自由にしてあげて!!
176名無し募集中。。。:03/04/15 20:03 ID:QC7CJAdk
保全
177保全:03/04/15 22:20 ID:zIcYJtQE
迫り来るぜティマの戦闘員、Xライダーこと高橋は囲まれていた。
「私はX、Xライダー!父が作ったカイゾーグだ!」
高橋はそう言うと変身の構えをとった。
「鉄より強い、音より早い、変身!Xマスク、パーフェクター!
 ・・・間違えた、大変身!」
掛け声と共に、高橋の姿が銀色へと変わった。
と次の瞬間、戦闘員が襲い掛かって来る。だがXライダーの敵ではなかった。
「父の願いが私の血に、いつまでも叫んでいる。悪い奴らに負けるなと・・・
 私は負けない」
Xはそう言うと次々に敵を倒して行く。
全ての敵を倒し終え変身が解けた。
「私はX、Xライダー・・・」
高橋は静かにそう言うとその場を立ち去った。

名無し天狗さま
おつかれっした。いち読者さんのおっしゃる通り気にする事は無いと思います。
別に誰が怒っている訳でも無く、なんと言っても私より上手い!
って事でこの話は終わりにしましょう。
次回作も期待しています。
178保全:03/04/15 22:33 ID:yTyqapsY

          |     |/ _t__ \|
          |     |  (( ) )  |
          |      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      ∬´◇` ∬ ←コノスレデモワタシハホウチナノ
        (∩∩)───────────────
      /
    /

179ナナシマン:03/04/16 17:44 ID:mKkHUn6y
 「ZX編再開!」って言ったらまるで「仮面ライダーSPIRITS」のようですが(w、
僕で良ければ話を進めさせて頂きたく思います。その中でねーさんも自由の身
になれば良いのですが・・・でも今思いついたばかりの事ですから話すら考えて
ない状態です。そんな訳ですので、ご希望の方居られましたらご遠慮なさらず
お申し付け下さい。

180名無し天狗:03/04/16 19:48 ID:OT0c87HY
>ナナシマンさん
是非!・・・でも大丈夫でしょうか?
本来の「ZX」の作者さんが何て言うか・・・。
181ナナシマン:03/04/16 21:06 ID:qD8HmnJO
>>名無し天狗さん
 僕としても、ホントは名無し1号さんに書いて頂くのがベストだと思います
し、1号さんのが読みたいんです。ただ、話が半年以上進まないのも
ちょっとどうだろう、と思うところもあったのは確かです。
 あれからまた少し考えたのですが、ストーリーを進めると言う点について
は保留という形にするべきかもしれませんね。その上で「その頃二人は〜」
的なスタンスで登場させた方が良いように思います。それにしても、マコ
半年放置は可哀想・・・実は本名が「まこと」なので、最近妙に小川に
シンパシーを覚えるんですよね。(w
182名無し天狗:03/04/17 12:14 ID:kcuLchn0
>ナナシマンさん
タハハ・・・。

>作家ご一同様
何気に稲葉や石黒も放置されとりますが・・・。
183名無し募集中。。。:03/04/18 19:45 ID:kdG/kv/M
超力稲妻落とし保全
184名無し天狗:03/04/19 22:27 ID:Jdg4+EwU
今のところ36話までか・・・。
185保全:03/04/19 22:48 ID:Oa4Uiysc
なんだか少し、萎みぎみですね。
ここは私の出番かな?
もし誰も無い様なら、いんたーみっしょんを一発行きますが?
186山崎渉:03/04/19 22:55 ID:6Mi1enm4
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
187名無し天狗:03/04/19 23:04 ID:cJfkz4Ka
>185さん

 お 願 い し ま す ッ ッ ッ !!!!!


>186
お前邪魔。
188名無しんじー:03/04/19 23:59 ID:3TZghSL4
んだば、稲葉さん再び!  

  いんたーみっしょん「うちが稲葉や2」

アメリカ合衆国の某所、ここにはかつて「スーパー1」こと、飯田佳織が
在籍していた研究所があった。既に廃墟と化したこの場所に人影があった。

「こら思ってたより酷いな。もっとも生き残りも圭織だけやしな」

そう言ったのはFBI捜査官「稲葉貴子」である。稲葉はゼティマの起こした
事件現場に手がかりを求め、やってきたのだ。

「これだけの破壊活動・・・何度見ても慣れる物ではないですな」

そう言ったのは稲葉のツレの男性、名を「斉藤大吉」と言った。
そう彼は、バイクロッサーの拠点「ペガサス」のお隣
「ハローワーク商会」の会長であり、そこの現主である瞳の父親でもあった。

「これじゃ何の役にもたたんか、何か手がかりでもあればと思ってたんやが」

稲葉はそう言いながら瓦礫の中を歩いていた。
散乱する機材、焼けた書類、役に立ちそうな物は見当たらなかった。
189名無しんじー:03/04/20 00:18 ID:ZnI8NCNU
「あまり期待はしとらんかったけど、斉藤さん、引き上げましょう」

稲葉は大吉にそう言うと現場を後にしようと目線を右側に移す。
すると稲葉の目に焼けていないファイルの姿が飛び込んで来たのだ。
稲葉はすぐにそのファイルを拾い上げ広げる。

「これは・・・」

ファイルの最初のページには「V・JET」と記されている。
稲葉はその書類に目を通し始めた。

「バイク・・・か?」

書類はVジェットと呼ばれるモンスターマシーンの設計図であった。

「何でこんな大事なもんが放置されとるんや?」

実は、この研究所にはまだ当局の捜査が入っておらず、稲葉と大吉は
ゼティマ襲撃後初めて現場に足を踏み入れた人間であったのだ。
190名無しんじー:03/04/20 00:31 ID:TyGnidBj
「情報難民とでも言うんか?どうやらろくに調査も入っとらんみたいやな。
 まったく、うちには何の情報もくれんのやから。現場荒らしてもうたがな」

稲葉はそう言いながらファイルを背負っていたバックに入れた。

「稲葉さん、良いんですか?勝手に書類持ち出して・・・」

「かまへん、調査にも来ない様な連中に、このファイルの価値は解らん」

その後しばらく現場を漁ったが、これと言って何も出てこなかった。
ほとんどが破壊され、燃えてしまった様だ。

「よっしゃ、斉藤さん今度こそ引き上げるで」

そう言って2人が現場を後にしようとした時であった。

「人間か?ここで何をしている?」

2人の前に黒ずくめ集団が立ちはだかった。
191名無しんじー:03/04/20 00:48 ID:To6DqxO3
「ふっ・・・お前らゼティマやな!・・・斉藤さん!」

稲葉はそう言うと懐から拳銃を抜き、大吉に渡した。

「何故解った?貴様ら何者だ?」

「アホか?そんなかっこして、人間か?なんて聞くやつ等、他におれへんやろ」

「くそ!FBIだな。生きては返さんぞ!」

どうやら怪人はいない様だ、ここにいるのはゼティマの戦闘員だけである。

「お前らみたいな雑魚やったら、うちでも十分倒せるっちゅうねん」

稲葉はそう言うともう一つ拳銃を取り出し放つ、稲葉の放った銃弾は
次々に戦闘員を打ち抜いて行った。

「稲葉さん、やりますな。どれ私も・・・」

大吉も稲葉を見て負けじと戦闘に参加した。戦闘員とは言っても今いるのは
調査が担当の奴等ばかりの様だ。一応銃で武装はしている物の射撃の腕は
イマイチで、銃撃戦に慣れていないのがバレバレであった。
192名無しんじー:03/04/20 01:02 ID:i7PETwyj
銃撃戦もそう長くは続かない、稲葉と大吉は次々戦闘員を打ち倒し勝利した。

「なんや、歯ごたえない連中やな」

稲葉と大吉は屍と化した戦闘員をそのままに現場から立ち去った。
場所は変わって、稲葉のオフィス、2人は持ち帰ったファイルを調べていた。

「こらごっついマシンやな、最高時速1340KM?嘘やろ!」

次々に解るマシンの性能に2人とも驚きを隠せない、それほどこのVジェットは
素晴らしいマシンなのであった。

「ヘンリー博士の意思、しっかり受け取ったで。これは間違いなく渡るべき
 人物に届たる。博士、安心してや」

稲葉はそう言うと、後輩の石井を呼び出し、早速データ編集を始めた。
このデータは後に飯田の手に渡る事になるのであった。

   いんたーみっしょん「うちが稲葉や2」  終わり!
193名無しんじー:03/04/20 01:15 ID:9SCZqJn0
思いつきで書いたので、設定とはズレがあるかも知れないです。
まあ、放置されてる稲葉さんを思い出していただければ幸いです。

ZX編・・・うーん、難しいですね。もっともこのスレは本来リレーですよね?
だったらそれを引き継ぐのもアリの様な気もしますが、どうでしょう?
望ましいのは、名無し1号さんをはじめ、初期の作者さん達が
来てくれる事だとは私も思いますが・・・
194山崎渉:03/04/20 02:10 ID:PUOWzPy8
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
195バラのタトゥの女:03/04/20 09:13 ID:QmgnkiZS
>182
パセパセロゾグヂザ
196名無し天狗:03/04/20 09:59 ID:ygYJpuyh
どなたか>195さんの通訳を・・・。
197名無し募集中。。。:03/04/20 12:14 ID:jJgaxDyo
>>196
「われわれもほうちだ」。
198名無し天狗:03/04/20 13:45 ID:y6V3zmts
>195,>197

・・・・・・そうでした・・・。
199ゾル大佐:03/04/21 12:27 ID:lJuriLAC
>195
 そんな事言ってたら我々も(r

200ナナシマン:03/04/21 12:32 ID:lJuriLAC
 いい加減このネタ引っ張るのやめます。(w
 ZX編についてのご意見ありがとうございました。本スレの性格を考慮した上で
二人の出番を作っていこうと思います。今日辺りから書き出しますので、その際
はよろしくお願いいたします。


201ナナシマン:03/04/21 12:33 ID:lJuriLAC
>200
こちらに書き込むのは明後日以降になります。
202名無しんじー:03/04/21 20:28 ID:KNxhDOvd
オイラが放置かい!(w
とまあ、それはどうでもいいのですが、ホント作者さん達は何処に居るのやら。
白い名無し娘。さんは狩にいるみたいだけど、他の人達は解らないですね。
私もしばらくあっちに力を入れようと思います。なにやら小説総合スレで
いろいろ話が出てるみたいですし、気合を入れないとマズイかも。
何かあれば言っていただければこちらに来るのでよろしくです。
203名無し天狗:03/04/21 21:49 ID:fbLcJEnf
>名無しんじーさん
スイマセン!Vマシン(=Vジェット)誕生秘話ありがとうございます!!
そうですか・・・狩板に(ですよね)・・・。
何かあればその時よろしくお願いします。
204名無し募集中。。。:03/04/22 13:34 ID:MzON1RtQ
前にいしよしキカイダー書いたものです。
あまり参加もしてない上に、今もちょっと他のほうで手一杯で参加できそうにないのですが、
スレはずっとチェックしてますので皆さん頑張ってください。

>白い名無し娘。さんは狩にいるみたいだけど
よろしければスレ教えていただけますか? 狩の小説は見つけにくくて。
205ナナシマン:03/04/23 00:14 ID:jSKG86/U
>202
 ストーリーについてきちんと書こう、と思うようになったのは名無しんじーさん
の言葉ありき、です。リレーという形式である以上、それをできる限りつないで
いくのが書き手のつとめじゃないだろうか、と思いまして。すべてを引き継ぐ
ことはできないでしょうけれど前の話を引き継ぎ、次に繋がるような話にしたい
と思ってます。


206ナナシマン:03/04/23 00:17 ID:jSKG86/U
>205
 お話についての感想は後ほど。ネット用のノートPCがいつ死んでもおかしくない
状況で、さっき再インストールを終えたばかりなんです。
207ナナシマン:03/04/23 00:34 ID:u9VwhlO0
>204
お久しぶりです。力不足ながらどうにかやっております。余裕ができたら、またこちらに
いらしてくださいね。


 
208ゴトー:03/04/23 00:53 ID:mXDFAB4T
( ´ Д `)>>204んぁ、ここにリンク貼っちゃっていいのかな?
V3スレの600〜650辺りをみて貰えば解るよ。
209名無し募集中。。。:03/04/23 01:18 ID:7ZD3TGHs
>>204
リンクは見つけたんですけどスレ自体がなくなってるみたいですね。
今もどこかで書かれてるのかな?

>ナナシマンさん
原作(MEIMU版?)に近い01、かっこよかったです。
普段の里田さんは電圧低そうだけど、変身すると太陽電池で充電されるのかなと勝手に設定を考えたりしました。
あ、それと良心回路なしというところも個人的にうれしかったりします(w

時間が取れればまた参加したいです。そのときはよろしくお願いします。
210ゴトー:03/04/23 01:37 ID:OfP9fKbY
( ´ Д `)>>209んぁ、今は5から6になってるよ。
        たぶん狩の一覧の上の方にある筈だから探してみてね。
 
211名無し天狗:03/04/23 18:18 ID:tQiEt8c4
>ナナシマンさん
いよいよ今日からですね。素晴らしい作品期待してます!
私も、嵐編の第2弾の構想に取り掛かろうと思っています。
もっとも、彼女や血車党はまだ江戸時代に居るままなんですが・・・。
彼女らの現代への渡航(これは確定済み)を書くには、
ちょっとワガママかつ他力本願なこと言うようですが、
「キカイダー01」の平賀源内を巡るエピソードと、ゲームの「アジト3」の
嵐と某獅子忍者(笑)の開発可能イベント(いずれもシャドウのタイムマイン計画)
を元にしたいモンで・・・。
212名無し天狗:03/04/23 18:20 ID:tQiEt8c4
タイム「マイン」じゃなくタイム「マシン」でしたね。
スイマセン・・・。
213ナナシマン:03/04/23 21:06 ID:u9VwhlO0
第37話 「記憶」

 ゼティマの最高幹部、悪魔元帥の手によって誕生した究極の改造人間、
「パーフェクトサイボーグZX」。全身の99パーセントに改造手術を
施され、まさに全身が武器とも言えるこの恐るべき敵によって希美と亜依の
ダブルライダーは深刻な命の危機に陥ってしまった。
 二人の身を案じて駆けつけた圭織とあさ美〜仮面ライダースーパー1と
スカイライダーの思わぬ戦闘力の前にさしものZXも撤退を余儀なくされた
が、それは最強の刺客が彼女たちの前に立ちはだかった瞬間だった。

 二人の仮面ライダーの連係攻撃によって少なからずダメージを受けたZX。
不覚を許したその瞬間、脳裏によみがえったのは何者かの声だった。

・・・・・マコ・・ト
・・・・・・マコト・・
・・・

「『マコト』・・・一体誰のことだ・・・そしてあの声は・・・」

 愛機「ヘルダイバー」を駆って基地を目指すZXは、戦いの最中に聞こえた
声のことを思い返していた。聞いたことのないはずの声、しかしどこか懐かしさ
さえ感じる声。その声とともに彼女の脳裏にこびり付いた「マコト」という名は
容易に消えそうになかった。
214ナナシマン:03/04/23 21:07 ID:u9VwhlO0
 ZXの戦況は逐次基地の司令室に伝えられていたため、今回の戦果は当然
居並ぶ幹部たちの知るところであった。別室でたくらみを巡らしていた幹部たちの
思惑をよそに一人この光景を満足げに眺めていたのはゼティマ最高幹部、
悪魔元帥その人であった。

 「フフフ・・・見たか、ZXの力を。飯田圭織と紺野あさ美のデータが万全だった
なら、あの二人をも屠り去れたろうに」

 白面に刻まれた赤い隈取りが、彼の邪悪な笑みをいっそう際だたせる。
そんな元帥の言葉を傍らで聞いていたのは、元帥配下の幹部「幽霊博士」。
パーフェクトサイボーグZX誕生に関わった一人である。

 「試運転としては上々の成果と言えますな・・・小娘二人、おそらく生きては
おりますまいて」

 精気を感じさせない、名の通り幽霊のような顔に屈折した笑みが浮かぶ。
しかし、元帥はこの結果に決して満足はしていないようだった。

 「だが我らに盾突く者達はまだ残っておる。大首領様も今回のことはさぞ
お喜びであろうが、無論これに満足されるお方ではない。儂もしかりよ」
215ナナシマン:03/04/23 21:08 ID:u9VwhlO0
 「そして今回のデータは、新たな戦士へと受け継がれる。もう一体の
パーフェクトサイボーグ、『タイガーロイド』だ。儂は先ほど気になる報告を
受け、大首領様にもそれをお伝えした」

 元帥の言葉に、その「報告」の内容を察知した幽霊博士は言う。

 「もしや・・・脳改造のことでは」

 「耳が早いな、その通りだ。万一ZXに記憶が戻るようなことがあれば
始末してもよいと仰せだ」

 「しかし、もう少しデータの採集が必要ですぞ」

 想像以上の戦果を挙げたとはいえ、ZXはまだプロトタイプである。完成の
ためのサンプルデータは十分とは言えない。未完成のまま開発をうち切る事を
許さないのは、やはり科学者の性であろうか。しかし、その点は元帥も承知
していた。

 「判っておるわ、『記憶が戻れば』と言うておろう。ZXが帰還次第、洗脳の
強度をさらに高めよ」

 「ははっ。直ちに」

 そう言うや幽霊博士は悪魔元帥に一礼し、彼の前から姿を消した。
216ナナシマン:03/04/23 21:08 ID:u9VwhlO0
 やがて帰還を果たしたZXは変身を解き、ヘルダイバーと共に暗い格納庫に
佇んでいた。その横顔は、先ほどまで恐ろしい改造人間だったとは思えない
ほどのあどけない少女のそれだった。

 「あの声が呼んでいたのは誰だ?そして声の主は・・・判らない」

 ZXは一人呟くと、謎の声の事を思い返していた。しかし、彼女の記憶を
いくら紐解いてみてもその答えは導き出せそうにない。

 とその時、彼女に秘められた超感覚が異変を告げる。格納庫の入り口付近
に人の気配を感じたZXは手近にあったスパナに手を伸ばすと、気配のする
方向に向かって投げつけた。

 「誰だ!」

 声と共に放たれたスパナは回転しながら気配のする方向へと飛んでいった
が、直後その方向から「パシッ」という乾いた音が聞こえると、闇の彼方
から何者かが姿を現した。
217ナナシマン:03/04/23 21:11 ID:u9VwhlO0
 「せっかく出迎えに来てやったのに、随分な挨拶じゃないか」

 暗闇から姿を現した、黒いスーツを着た大柄な女。彼女は手にしたスパナ−
ZXの手から放たれたものだが−を容易く飴のように曲げると床に放り捨てた。
二人だけの格納庫に響く金属音。その音に一瞬ZXの表情が歪むと、そのまま
彼女は体勢を崩して跪いてしまった。

・・・・・・マコト・・
・・・・・・マコト・・

 「ぁうっ!また・・・また『あの声』がっ・・・!!」

 「どうしたっ?!」

 うめき声を上げてうずくまる少女。ZXの頭の中に響くのはまたも「あの声」
だった。不意の金属音が引き金となって発生した電子頭脳のノイズに苦しめられる
ZX。その瞳には激しい動揺の色が浮かぶ。それは脳改造によって失われたはずの
感情であった。その様子に女は慌ててZXの元へ駆け寄ったが、それを手で制した
ZXは辛うじてヘルダイバーに掴まると、ゆっくりと立ち上がった。痛みに顔を
しかめながら、ZXは女に言う。

 「私は大丈夫だ・・・それより聞きたいことがある、タイガーロイド」
218ナナシマン:03/04/23 21:12 ID:u9VwhlO0
 今日はここまでです。いろいろお話ししたいこともあるのですが、
野暮用が入りましたので明日にさせてください。
219名無し天狗:03/04/23 21:16 ID:tQiEt8c4
>ナナシマンさん
更新ありがとうございます。続きを楽しみにしてますので
無理なさらずに・・・。
220名無し募集中。。。:03/04/24 08:51 ID:vfv1m+nn
「ゲロ ゲロ ゲロ ゲロ」
「来たな! ゲロゲロゲロゲ」
「そのばっくり開いた毛穴の汚れごとお前を消しさってやる!」
「チャ−ミ− クリ−ン!」
「ゲロゲロ― ゲ・・・ ロ・・・ ケ・・・メ・・・ッ」 どさっババババボーン!
221名無し天狗:03/04/24 21:46 ID:CS7UAujk
>220
・・・・・・ハァ( ゜Д°)!!??
222 :03/04/25 02:39 ID:7ZiopFEo
223川o・-・):03/04/26 14:44 ID:hF/opDg6
川o・-・)<ほ〜ぜ〜ん♪ 从*・ 。.・从<ほ〜ぜ〜ん♪
224ナナシマン:03/04/26 20:23 ID:S4yxlueM
 一方、ZXの戦果に幹部たちがわき返っているのを尻目に、一人別室で
その戦いぶりを憮然とした表情で眺めている一人の男がいた。彼は戦いの
一部始終を見届けたところでモニターを切ると、忌々しげに呟いた。

 「儂には判っておったわ。当然の結果だとな」


 と、そこへ彼を訪ねてきた者がいた。ノックの音と共に部屋の中に入って
きたのは一人の改造人間だった。顔には長い触角と巨大な複眼、体には
密集した体毛と毒々しい色彩の羽を持つこの改造人間は、ゼティマの怪人
「ドクガロイド」である。

 「大佐がこちらだと伺ったもので、お顔を拝見したく・・・」

 欧州での作戦行動を終えて帰還した旨を報告するために男の許を訪れた彼
だったが、その時この改造人間は自らが「大佐」と呼ぶ男の怒りの矛先を
よもや自分に向けられようなどとは思ってもいなかったことだろう。大佐と
呼ばれたその男は立ち上がるやいきなり声を荒げ、ドクガロイドの喉元に
掴みかかった。

 「貴様に質問するッ!我が忠実なる僕ならば容易く答えられる質問だ!!」
225ナナシマン:03/04/26 20:24 ID:S4yxlueM
 突然のこの出来事は、ドクガロイドにとっては全く身に覚えのないこと
だった。それもそのはず、有り体に言えば単なる「八つ当たり」なのだ。
部屋の中は薄暗く大佐の姿を視認することは難しかった。数キロ先の物や
闇の中まで見通せる能力を持つ改造人間であっても、常にその能力を
全開にして目視している訳ではない。ドクガロイドはエレクトロアイの
出力を上げて男の姿を確認しようとしたのだが、それさえも許さぬ
凄まじい力で男はドクガロイドの首を締め上げる。

 怪人は自分の身の丈、体格が相手よりもいくらか上回っている事を知って
いるが、それでも男は怪人の首を片手で掴んだまま容易くつり上げてみせた。
首を絞められているドクガロイドは満足に喋ることすらできない。

 「ぐっ・・・何をっ」

 「貴様は黙って質問に答えれば良い!」

 男の狂気じみた視線が首つり状態でぶら下がる改造人間へと注がれる。
そして彼は言った。

 「貴様らの生みの親は誰かッ?!」

 「たっ・・・大佐、あなたですッ!」

 「ふむ、ならば聞く!パーフェクトサイボーグの技術・・・神の理は
誰の手になるものか、貴様ァ言ってみろッ!!」

 「ガッ・・・ガモン大佐ですッ!!」
226ナナシマン:03/04/26 20:25 ID:S4yxlueM
 息も絶え絶えになりながら、男の質問に答える改造人間。彼の答えに
一応納得したのか、男〜ガモン大佐は邪悪な笑みを浮かべる。

 「うむ!よろしいィィィッ!!」

 そう大喝するや大佐は片手で怪人をぶん投げると、ドクガロイドは
そのままモニターに叩きつけられた。衝撃とともに無数に走る亀裂。
そして刹那の後、それは火花とガラス片の雨となって倒れ伏した怪人の
上に降り注いだ。
 やがて這々の体で大佐の足下にたどり着いたドクガロイドは、その時
初めて彼の姿を確認できた。彼の知るガモン大佐は軍服に身を包んだ、
いかにも軍人然とした出で立ちであった。だが、今日の大佐は何かが
違っていた。マントを羽織り、長い触角のような飾りのついた大きな
三角形の兜を被ったその姿に、彼はある人物の名を思い出した。

 「そのお姿は、まるで地・・・」

 何かを言いかけてハッとしたドクガロイドは思わず口をつぐむ。
将軍は彼が何を言いかけたかを瞬時に察知した。

 「そうか、貴様もそう思うか。それほどまでに似ておるか・・・!」

 「いや、決して悪気があったわけではッ!」

彼が言いかけたのは、大佐が最も嫌う男の「名前」であった。
227ナナシマン:03/04/26 20:26 ID:S4yxlueM
 「これは言わば儂からの奴への仕返しなのだ、ドクガロイドよ」

 「仕返し、とは?」

 ガモン大佐の言葉に、おそるおそるその意図を尋ねるドクガロイド。
どうにか持ち直し、ヨロヨロと立ち上がってきた彼に将軍はこう言った。

 「儂が秘密裏に開発中していたパーフェクトサイボーグが、なぜ
悪魔元帥の手に渡ったか?考えられるのはただ一人・・・ダモンよ!!」

 「もしやその方は・・・」

 怪人の言葉を軽く鼻であしらうと、ガモン大佐はその口元を邪悪に
歪ませ、さらにおぞましい笑みを湛えて言い放った。

 「またの名を地獄大使ッ!間違いなく奴の謀(はかりごと)よ!!」

 ガモン大佐は、地獄大使がパーフェクトサイボーグ開発の技術を盗み、
それを悪魔元帥に売り渡したと踏んでいる。己の手柄欲しさであれ、
はたまた自分を陥れるためであれ、ダモンならばそれくらいのことは
やりかねない、とガモン大佐は思っているのだ。
 実はガモン大佐と地獄大使ことダモン将軍は、双子の兄弟でありながら
互いに憎みあっていた。それ故にガモン大佐は地獄大使と間違われる
ことを非常に嫌う。彼の前で「地獄大使」の名前は禁句なのである。
だが、その彼がなぜ憎き男と同じ姿をして立っているのか、ドクガロイド
には理解できなかった。
228ナナシマン:03/04/26 20:30 ID:oqZkbVvJ
 しかし、そのことを切り出す前に大佐は怪人の抱いた疑問を、恨みに
満ちた言葉で氷解してみせた。彼は過去を振り返り、こう語る。

 「これまで儂は奴の陰に隠れ、暗闇の中で雌伏の時を過ごしてきた。
奴の名を耳にする度に、幾度腑の煮えくりかえる思いをしたか知れぬ。
だが、もう儂はあの男の陰ではない。奴も儂の存在を黙殺することなど
できんだろう」

 「?!」

 「儂が表舞台に立つ以上、奴もまた儂の名前を聞く度に儂と同じ思いを
する事になるのだ・・・そうだ、思いついたぞ。『暗闇からの使い』に
ふさわしい、儂の新しい名を」

 「新しい名前?」

 ガモン大佐がゼティマ大幹部の一員として彼らの前に姿を現すに際し、
思いついた新しい名前。それは自分を日陰の存在へと追いやった憎き
ガモン将軍〜地獄大使にとっては屈辱的な響きを伴う名となった。そして、
彼はその名をドクガロイドに告げた。

 「奴が地獄大使ならば・・・儂は『暗闇大使』とでも名乗ろうか!」

 そう言ってガモン大佐、いや暗闇大使は大笑する。その禍々しい高笑いは
部屋中に響き渡った。    
229ナナシマン:03/04/26 20:32 ID:oqZkbVvJ
 ネット接続に使用していたノートPCが遂に逝ってしまわれまして、そのため
更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。後輩にPCを借りての今回の更新
ですが度々借りることもできなさそうで、次回更新は連休で帰省する水曜日に
地元のカフェから、と言うことになりそうです。連休以降は新しいノートPC
でこれまで通りのペースで更新できますので、今後はこのような事態はないと
思います。

 暗闇大使は実写版では確か地獄大使の従兄弟という設定だったと思うのですが、
二人の顔が瓜二つ、ということであれば従兄弟よりも双子の兄弟の方が自然では
ないかと思い、独自の解釈をしています。


>>名無し募集中。。。さん
 実はと言うと、01は原作版とご指摘のコミックス「キカイダー02」以外に
見たことが無かったりします。あとはOVA版を聞きかじりで少し知ってる程度
ですし、実写版の知識もさほどあるわけではありませんでしたが、もったいない
お言葉ありがとうございます。

>>名無し天狗さん
 上記程度の知識ですので、平賀源内の話も含め連休中に情報収集させてください。
ただ、時空を超える手段はタイムマシンだけとは限りませんよ・・・バダン勢が
出てきたことで、今後あの「装置」なんかが登場するかもしれません。その点に
ついてはご要望に添える形にするつもりです。
 「アジト3」は先輩に勧められたんですけど、その当時PS持ってなかったので
プレイしてないんですよ。欲しいソフトだったので、この機会に購入しようと
思ってます。
230ナナシマン:03/04/26 20:43 ID:oqZkbVvJ
>>227
開発中していた・・・って。「開発していた」です。失礼いたしました。
231川o・-・) :03/04/27 22:26 ID:Ce6JgSWM
( ´ Д `)<ほ〜 从 ‘ 。‘从<ぜ〜 从VvV从<〜ん
232名無し天狗:03/04/28 10:12 ID:fnuBqhmq
>ナナシマンさん
話数失念ですが平賀源内を巡るエピソードは・・・
「ビッグシャドウはギルハカイダーに「タイムマシンで江戸時代に飛び、平賀源内を
 さらって来い」と命じた。渋々と命令に従うギルハカイダー。シャドウは源内を誘拐し、
 自軍の科学陣の一員にしようと目論んでいるのだ!選りすぐりのシャドウマンによる
 シャドウ忍者隊と共に江戸時代へと渡航し、源内の探索がてらに江戸庶民を血祭りに上げる
 ギルハカイダー。そのシャドウの悪巧みを知ったイチローとマリは、彼らを追って江戸時代に飛んだ!」
・・・と言った内容です。
あと、バダン部署登場、んで、「あの装置」・・・その手がありましたか。
でも嵐対血車党は現代に持ち越しは決まってますので、そこへどう持って行くかは
お任せします・・・。(エラソーでスイマセン・・・)

P.S.ドクガロイドは今は亡き「テレビランド」でのコミカライズでは女性として描かれてましたが、
ドクガロイドの性別はどっちなんでしょう?
233川o・-・) :03/04/28 23:01 ID:kq4kz6jk
ノノ*^ー^)<「仮面ライダーSPIRITS」のドクガロイドは、おかまっぽい
234名無し天狗@保全!:03/04/29 19:01 ID:OhRWK2EF
ひょうひょうと荒野を渡る風。
その中を一人行く者がいた。
そう・・・仮面ライダーののである。
胸中を駆け巡る数多の悲しみを噛み締めて
彼女は一人、今日も戦う。
されど、彼女は決して一人ではなかった。
戦場で心を通わせ合った友、
二度とその土を踏めぬであろうふるさとに残した友・・・。
「られ(誰)も失いたくない・・・
 一人れも多く護ってみせるのれす!
 らって・・・あたしは仮面らいらー(ライダー)らから!!」

・・・決意も新たに、ライダーののは死地に赴く!!


・・・うっわー、すげぇヘタ・・・。
235名無し募集中。。。:03/04/29 21:47 ID:lVemrBOX
>>234
「ロンリー仮面ライダー」の一番?
236名無し天狗:03/04/29 22:05 ID:OhRWK2EF
>235さん
その通り。
237名無し天狗@保全も兼ねて:03/04/30 19:12 ID:M4rVnKYz
>ナナシマンさん
>232のP.S.ですが・・・
「ここでの」ドクガロイドの性別はどっちなのかってコトでスイマセン・・・。
238ナナシマン:03/04/30 22:00 ID:k7RcnKRH
 「私に聞きたいこと?」

 ところ変わって、再び格納庫の中。突如襲ってきたノイズと、またも
聞こえてきたあの不思議な声。ZXは我が身を案じて駆け寄ってきた女〜
タイガーロイドに抱いた疑問をぶつけてみる。答えは期待できなかったが、
この不可解な感情を解消するには、他に選択肢がなかったのだ。

 「『マコト』って・・・誰のことだ?」

 「お前・・・」

 「マコト」、その言葉を耳にしたとき明らかに女の表情が変わった。動揺の
あまり二の句の継げないタイガーロイドに対し、ZXはなおも問いただす。

 「お前には『信田美帆』と言う名前がある。なのにどうして私にはそれが
ない?名前だけじゃない、記憶だって・・・自分が何者なのか、それが
私には判らない・・・」

 「それは任務で必要だからだ。この名前だって本物かどうか判らない。私は
タイガーロイド、そしてお前はZX。それで十分じゃないか」
239ナナシマン:03/04/30 22:01 ID:k7RcnKRH
 「お前には『信田美帆』と言う名前がある。なのにどうして私にはそれが
ない?名前だけじゃない、記憶だって・・・自分が何者なのか、それが
私には判らない・・・」

 「それは任務で必要だからだ。この名前だって本物かどうか判らない。私は
タイガーロイド、そしてお前はZX。それで十分じゃないか」

 質問の答えをはぐらかしたような女の口ぶり。そんな態度に、先ほどまで
苦悶の表情を浮かべてうずくまっていた少女とは同じ人物とは思えないほどの
力で、タイガーロイドー信田美帆と呼ぶべきかも知れないーの肩を掴んで
激しく揺さぶるZX。

 「教えてくれ、私は一体誰なんだ?何者なんだ?!」

 「『記憶』ならば組織が与えてくれる・・・お前の存在も何もかも組織が
与えてくれるじゃないか」

 「教えて!誰なの?!どうして私は空っぽなの・・・?」

 その腕がやがて力無くしなだれ、膝を折ると少女は嗚咽の声を上げる。
そんな彼女の言葉を聞いても、美帆はただ押し黙っていた。
240ナナシマン:03/04/30 22:01 ID:k7RcnKRH
 それからZXは美帆に連れられてメンテナンスルームへと向かっていた。
先刻彼女を襲った電子頭脳のノイズは収まり、彼女自身も落ち着きを取り戻した
が、このような事態が度々起これば任務に支障を来すことは間違いない。まだ
少しおぼつかない足取りのZXの肩を抱き、すれ違う者に少女の表情を悟られぬ
よう美帆は着ていたジャケットで顔をすっかり覆い隠しゆっくりと歩を進めて
いたが、その途中で一人の改造人間と行き会った。

 「これはこれは・・・二人仲良くどちらへお出かけかな?」

 全身をびっしり覆う羽毛、そして自らの能力を誇示するかの如くのびた翼。
鷹の能力を持つ改造人間「タカロイド」である。

 「ZXをメンテナンスルームへ連れて行くところだが、何か?」

 鬱陶しげに答える美帆。そんな彼女の態度に、意地の悪い笑みを口元に
浮かべてタカロイドは言う。

 「それなら俺が代わりに連れて行ってやろう」

 「結構だ。私がやる」

 「遠慮するこたぁないだろう、仲間じゃねぇかよ」

些末な押し問答に辟易した美帆は、聞こえよがしに悪態をついてみせる。

 「『仲間』などと・・・薄気味の悪いことを言う!」

 美帆は相手の言葉が決して善意から出た物ではないということを知って
いた。普段から自分たちがどう思われているかも承知していた。
241ナナシマン:03/04/30 22:05 ID:k7RcnKRH
 「ケッ。言っとくが俺たちはまだお前らのことを信用している訳じゃないぜ。
いくらお前ら二人が・・・」

 と、何かを言いかけた怪人の口を、握りつぶさんばかりの勢いで掴む美帆。
格納庫での少女の姿がその脳裏に浮かぶと彼女の力はさらに増し、強烈な力で
くちばしを締め上げられたタカロイドは苦悶の表情を浮かべる。そこへ美帆は
こう言い放つ。

 「命が惜しかったら余計なことは言うんじゃない、タカロイドッ!」

 「ウギィィィィッ!!」

 その言葉とともにくちばしを掴む手にはさらに力がこもり、怪人は声に
ならない悲鳴を上げる。そんな姿に一瞥くれたところで、美帆はタカロイドの
くちばしから手を離す。

 「わ、判った、判ったよ。早くそいつを連れて行きな!」

 息も絶え絶えな怪人を尻目に、二人は再びメンテナンスルームへと歩き出す。
別れ際、美帆は壁にもたれて荒い息をつくタカロイドに一言こう言い残した。

 「物わかりのいい奴が一番長生きする・・・覚えておくと良い」
242ナナシ:03/04/30 22:15 ID:k7RcnKRH
 時間の都合で今日はここまでとさせて頂きます。なんかバダン怪人の
扱いが悪いような(w。
 いろいろお話したいところなのですが、そこはまた次回に。明日一日
明けて金曜日にお目にかかりたく思います。
243ナナシマン:03/04/30 23:31 ID:gZsY3A3k
 思いがけず用件が早く済んだので、場所移動して書き込み中です。
話のほうは実はまだ書けていませんので、不在の間に書き込んで
くださった方にお返事します。

>>名無し天狗さん
 平賀源内ってホントに平賀源内なんですね。実は服部半兵みたいな
子孫ノリの人だと思ってたんです。お話のほうはご要望に沿うべく
展開させるつもりです。ドクガロイドの性別については、実はこの時は
まったく考えてませんでした。
 
>>川o・-・) さん
 僕も「SPIRITS」のイメージしかないんです。なのであの
イメージで。おカマっぽいというか、フェミニンな感じというか。
実家に帰ったらテレビ版のビデオを借りて見てみるつもりです。

>>名無しんじーさん
 レス遅くなりました。いつもながらストーリーに対する観察眼に
本当に驚かされます。実は大吉さんの存在が何気に気になっていた
ので、今回貴っちゃんとのコンビで登場という展開にひそかに
喜んでたりしました。

>>名無し募集中。。。さん
 「ロンリー仮面ライダー」は断片的にしか聞いたことがないので、
今度探してみます。
244名無し募集中。。。:03/05/01 01:11 ID:iBtOT73v
マシュ-TV出演の保田の左腕には
アマゾンの「ギギの腕輪」ヨロシク
腕輪がありましたな…

245名無し天狗@保全も兼ねて:03/05/01 22:48 ID:OQLD87GP
今日の「ムコ殿2003」に治部大輔殿が・・・。
246ナナシマン:03/05/02 23:44 ID:kIwwpEo2
 メンテナンスルームは基地の最深部、地下のある一角にあった。そこは通常の
戦闘員や怪人などといった一般の改造人間が立ち入ることのない、ZXや美帆
らパーフェクトサイボーグのための専用区画であった。ゼティマはこの区画に
技術者や科学者を集めて作業に従事させていた。そこには、白い全身スーツの
科学技術専門員、通称「白戦闘員」に混じって彼らを指揮する一人の女性の
姿があった。男勝りの口調でその場にいた白戦闘員に指示を飛ばし、ある時は
自分が実際に器具を手に見本を示している。

 「先生、コイツを診てやってほしいんだけど。」

 「だぁれ?」

 信田の声に振り返ったその女性は一見科学者らしからぬ風貌であったが、
風貌信田が声をかけるまでは的確に指示を出しながら作業を指揮していた。

 「あぁ、お前か。で、どうした?」

 まるでたった今信田の存在に気づいたかのごとき口ぶりであったが、信田
は特に腹を立てる様子もない。彼女〜夏まゆみはいつもそうなのだ。そんな
彼女に信田はZXを引き合わせる。顔を隠していたジャケットを取り、ZX
は初めてまゆみの前に姿を見せた。
247ナナシマン:03/05/02 23:48 ID:kIwwpEo2
「うちにこんな子いたっけ?」

 あっけらかんと言い放つまゆみに、一瞬唖然とした表情を浮かべる
信田、そしてZX。

 「うそだって。気にするな」

 そう言って舌を出して笑うまゆみ。実は彼女は二人の執刀後にこの部署
に配置され、信田〜タイガーロイドのメンテナンスを受け持ったことは
あるものの、二人の改造には直接携わってはいなかった。しかし、配置の
後に必要な資料はあらかた手に入れ、手元に持っていたので二人の素性に
ついても大筋で知っているのだ。

 まゆみは信田を返すと、ZXを伴って専用のメンテナンスポッドがある
部屋へと向かう。その途中、彼女はZXに戦いのこと、ダメージに関する
ことを聞く。それは医師が患者に問診するように続けられたが、まゆみは
やがてZXの電子頭脳に起こった「奇跡」とも言うべき現象を知ることに
なる。ちょうど二人がメンテナンスルームへとたどり着き、ポッドに身を
横たえたZXが格納庫で起こった出来事を語った時のことだった。
248ナナシマン:03/05/02 23:52 ID:kIwwpEo2
 二人がたどり着いたのは科学者たちが「レベル4」と呼ぶ脳改造を行う
区画だった。そこにこれから使用する器具、脳改造専用のメンテナンス
ポッドが配置されている。それは人間一人が身を横たえて入ることの
できる大きなカプセル状の機器で、入ると同時に主として頭部へと機器が
自動的に配置されて脳改造、および電子頭脳のメンテナンスを行ったり
するものである。
 ZXがその中にその身を横たえると、当然のごとく脳改造のための
さまざまな機器が自動的に作動してその姿を現し、彼女の頭脳に連結
されていく。だが、まゆみはすぐには作業を開始しなかった。ZXの
ダメージの詳細を知りたくなったのだ。彼女の任務よりも、科学者と
しての好奇心のほうが勝ってしまったまゆみはその時の様子を根掘り
葉掘り聞き出していく。

 「それで、あんたはその直後どうなったの?」

 「声を聞いた・・・女の声だった。『マコト』って」

 電子頭脳に走るノイズ、そしてその直後に聞いた謎の声。何者かが
呼ぶその名は「マコト」。ZXの言葉にまゆみは驚き、そのあまりに
身体の震えすら覚えた。肌があわ立つほどの衝撃は、彼女にある言葉
を引き出させた。

 『なんて事なの・・・奇跡だわ。それが本当ならこの子は』

 彼女の知る範囲において、脳改造に干渉するほどの強いノイズ
というものは存在しないものだった。そして、そのことはまゆみに
「本来ならあり得ないこと」を想起させる。脳改造からの脱却と
いう、奇跡。翻れば、完全な脳改造を終了して人間性を取り戻した
例などというのは皆無であった。
249ナナシマン:03/05/03 00:03 ID:xIS1tk/4
 今日はここまで。明日ないし明後日に今回の話は終了です。
特別の予告もなく夏先生を出してしまいましたが、もし登場させる
予定の作者様がおられましたら申し訳ありません。

>>244さん
 「マシュー」は「スナックゆかり」のあたりから見ました。僕も
実は彼女のあのファッションに軽い驚きを覚えた一人です。

>>名無し天狗さん
 「ムコ殿」まったくチェックしてませんでした。そういう意味では
見ておくべきだったかもしれません。チョトがっく死。

250名無し天狗:03/05/03 09:31 ID:P6mLdoRg
>ナナシマンさん
僕は「ムコ殿」を終盤45分しか見てなかったので詳細はつかめていませんでしたが、
治部大輔殿はその日の回のゲストでした。
251ナナシマン:03/05/05 03:18 ID:kQhgro/i
 「悪魔元帥は、私が戦い続ければ記憶を、私の存在のすべてをくれると
いった。でも、私はまだ何も貰ってはいない」

 俯いたままポツリと呟くZX。今の彼女には冷酷な殺人マシーンとして
でなく、自らの出自に悩む一人の少女としてそこにいた。

 「いい?ZX、いや『オガワ』!ゼティマを信じちゃだめ!ヤツらが
あんたに記憶をくれるなんて・・・そんなことは絶対にないから!」

 「・・・それは、どういう」

 まゆみがZXに告げた名は「オガワ」。少女が自分の記憶の断片を
手に入れた瞬間だった。


 「よく聞いてオガワ。あんたの記憶を、あんたの全てを奪ったのは
ゼティマそのものなんだよ!」

 「・・・そんな」

 「記憶がほしいなら一つだけあたしがあげる。あんたの本当の名前は
オガワ・マコト。『小川麻琴』だ」
252ナナシマン:03/05/05 03:41 ID:kQhgro/i
 「小川はもともとゼティマの改造人間要員として連れて来られたの。
そして、素養テストを優秀な成績でパスしてコッチに回されてきた。」

 実は同じ時期に、麻琴だけでなく多くの少年少女がゼティマによって
拉致されていた。若く優秀な素体を育成するべく組織は対象を綿密に
調査した後それは実行に移された。目をつけた対象は登下校や外出の際
などに徹底的にマークして接近し、「体力測定」などと称して本来の
意図を隠したまま素養テストを行っていた。そしてその条件にかなう
少年少女たちが、将来の尖兵となるべく強制的に集められて教育される
のである。
 麻琴はそのテストにおいて優秀な成績を収めたが、当時はその能力を
生かす場といえば「怪人」となるための改造手術を受ける以外には無く、
さりとて手術に幼い身体が耐え得るとは考えられなかったため、麻琴は
「優秀な候補者」のまましばらくの間放置されていたのである。
 しかし時が経ち、ZX計画が持ち上がったときに再び彼女の名前が
クローズアップされ、かくして麻琴はパーフェクトサイボーグという
全身兵器の殺人マシーンとなってしまったのだ。

 しかし、なぜかまゆみの手元には麻琴に関する資料は殆ど残されて
いなかった。紛失したのか意図的に隠されたのか定かではなかったが、
まゆみが唯一知り得たのは麻琴の本名だけだった。まゆみはそのことを
麻琴に告げた上で、一言こう付け加えた。

 「実は改造人間に関する研究資料を持ったまま、組織を脱走した女が
一人いるんだ。もしかしたら、その女が小川のデータも持ってるかも
しれない」
253ナナシ:03/05/05 03:49 ID:kQhgro/i
 しかし、そんな二人の会話を物陰で盗み聞く一人の男がいた。誰あろう、
幽霊博士その人である。二人のパーフェクトサイボーグに与えられた新たな
指令を伝えるために、そして彼もまたZXのメンテナンスをまゆみに依頼する
ためにこの区画にやってきたのだ。だが、彼がそこで耳にしたのは組織に
とって好ましからざるやり取りだった。

 「ドクター・夏・・・余計なことを吹き込みおって。神の器に曇りが
差してしもうたわい」

 裏切りとも取れるまゆみの言動。それを見届けた彼は、自らの方針を
転換せざるを得なくなった。場合によってはZXが自分たちの敵になる
可能性がある、と考えたからだ。

 「データ収集など悠長なことを言うてはおれぬ。すぐにでもZXを抹殺
せねば後に憂いを残す」

 二人に気取られぬよう、部屋を後にする幽霊博士。そして彼が向かった
のはもう一方のパーフェクトサイボーグ、信田美帆ことタイガーロイドの
ところだった。
254ナナシマン:03/05/05 03:59 ID:kQhgro/i
 そして、幽霊博士は部屋を訪ねるなりいきなり美帆に対してこう
切り出す。

 「タイガーロイドよ、お前に新しい指令が下されることになった」

 ZXをメンテナンスルームへと送り届けた後、美帆は与えられた
自室にいた。パーフェクトサイボーグの一人である彼女は、言わば
幹部待遇の身であり、作戦上必要とあれば求めるものはほとんど
手に入れられる。この個室もその一つであり、美帆は作戦行動の無い
日、基地においては殆どこの部屋にいた。

 「指令?」

 「そうだ。タイガーロイド、お前はZXと共にこの女を連れてくる
のじゃ。こいつは組織の秘密情報を持ち出しただけでなく、あの
仮面ライダーどもの精神的支柱として存在しておる」

 そう言って幽霊博士は、美帆に一枚の写真を手渡した。そこに
写っていたのは金髪にカラーコンタクトをした、20代後半の
日本人女性の姿だった。

 「この女の名は中澤裕子。ただ裏切り者として処刑するのは
勿体ないわい。ライダーどもを抹殺するための餌にしてやるの
じゃ」
255ナナシ:03/05/05 04:04 ID:kQhgro/i
 やがて、幽霊博士は美帆を伴ってある場所へと向かった。そこは、麻琴が
収容されたのとは別の区画にあるメンテナンスルームだった。二人の姿を
認識した自動ドアが開くと、幽霊博士と美帆は部屋の奥へと消える。

 「このたびの作戦に当たって、念のためお前にも再調整を施す必要が
ある」

 幽霊博士はそう言って、不気味な笑みを浮かべながらメンテナンス用
のポッドに入るよう促した。この機械に入れば、自分の脳・・・意識や
記憶は組織の思うままに操作される。そのことは彼女自身も理解していた。

 「私は過去はすべて捨てた身だが?まだ信用できないか」

 そんな美帆の言葉にも、幽霊博士は納得しようとはしない。あくまでも
洗脳のレベルを上げ、より強い記憶操作を施そうというのだ。

256ナナシマン:03/05/05 04:05 ID:kQhgro/i
 「信用できぬ訳ではないが念には念を、じゃ。さぁ、横になれ」

 その言葉に美帆は観念してメンテナンス用ポッドの中に横たわる。軽く
瞳を閉じると自動的にポッドの蓋が閉じ、あっという間に美帆の頭の周囲
に様々なケーブルが伸び、接続されていった。

 『信田美帆・・・タイガーロイド。お前達の人間くさい『絆』など、
組織には不要のものよ。ただ務めは務めじゃ。せいぜいその絆とやらで
ZXを導き、護ってやるがよい。しかし、場合によっては容赦なく・・・
消せ』

 まるで暗示でもかけるかのように、ポッドの中に横たわった美帆に囁く
幽霊博士。しかし、何かを思い直したか、さらにこう続けた。

 『いや、むしろZXの記憶が戻りかけている今をおいて、機会は他に
ない。任務を終えたら即座に殺せ。お前達はもう元の二人ではない
のじゃからな・・・』

 かくして再び施された強度の洗脳によって非情な任務を刷り込まれた
信田美帆〜タイガーロイド。今や彼女は、裕子を拉致するだけではなく
ZX抹殺さえも何の躊躇なくやってのける冷酷な改造人間となったのだ。

257ナナシ:03/05/05 04:20 ID:kQhgro/i
 そして作戦は決行され、中澤裕子はゼティマの手に落ちた。囚われの
裕子を乗せて走る美帆の車を、ただ一人待つ麻琴〜ZX。峠道を見下ろす
高台の上に、愛機ヘルダイバーと共にたたずむ彼女は、自らの失われた
記憶を求めて揺れ動く少女では無かった。何かを求めるその視線には再び
険しさと怪しい光が宿り、彼女の目から涙は消えた。少女は自らの記憶の
断片を手に入れ、心の空隙をわずかに埋めることができたが、その空隙は
戦いによって手に入る物でしか埋めることはできない。悪魔元帥は麻琴に
戦い続ければ記憶と存在のすべてを与えると約束したが、それは悪魔元帥
の手によって果たされる約束ではなく自らの手で勝ち取るものなのかも
知れない。しかし、不幸にも麻琴が抱く自らの記憶への渇望は、邪悪な
たくらみのために利用され、踏みにじられようとしていたのだった。

第37話 「記憶」 終
258ナナシマン:03/05/05 04:29 ID:kQhgro/i
 予定を過ぎてしまいましたが、今回の話はこれで終了です。補足的な要素の強い
内容で、時間軸としてはあまり進展させていません。次回からはPCも変わって、
コンスタントに内容の更新ができると思います。お付き合いいただきありがとう
ございました。
259名無し天狗:03/05/05 09:43 ID:mPByclaT
>ナナシマンさん
お疲れ様でした。ZX、いや、小川麻琴の「消された過去」が徐々に見えてきましたね。
彼女の中澤軍団加入が今から楽しみです。ですが新たな謎が・・・。
麻琴の「姉」とは?また、夏まゆみがなぜゼティマのメンバーになっていたのか?
信田美帆の過去とは?・・・など、興味津々です。この続きもまた楽しみです。

・・・「嵐」はまだ、骨組みすらもなってません・・・。
260名無し募集中。。。:03/05/05 23:52 ID:X3i4dJ+c
卒業記念 part1よりコピペ (スレ汚しスマソ)

( `.∀´)/ <アーーマーーゾーーン!
261名無し天狗@保全!:03/05/07 15:09 ID:64DjJZo8
「レッツゴー!ライダーキック(ライダーののVer.)

迫るゼティマ 地獄の軍団
我らを狙う 黒い影
世界の平和を 守るため
ゴー ゴー レッツゴー
輝くマシン
ライダー(ジャンプ!)
ライダー(キック!)
仮面ライダー ののライダー
ライダー ライダー

迫るゼティマ 悪魔の軍団
我が友狙う 黒い影
世界の平和を 守るため
ゴー ゴー レッツゴー
真紅のマフラー
ライダー(ジャンプ!)
ライダー(キック!)
仮面ライダー あいライダー
ライダー ライダー

迫るゼティマ 恐怖の軍団
我が街狙う 黒い影
世界の平和を 守るため
ゴー ゴー レッツゴー
緑の仮面
ライダー(ジャンプ!)
ライダー(キック!)
仮面ライダー ののあいライダー
ライダー ライダー
262ナナシマン:03/05/07 20:32 ID:il+Mtf4g
 夕べようやくこちらに戻りました。あまり高いスペックではありませんが
ネット用新ノートも入手し、今まで通りの環境に戻りつつあります。

 圭ちゃん卒業の日とその前日、地元で開催されたヒーローショーを取材を
かねて見に行ったんですが、単なるアクションショーかと思っていたらむしろ
「大っきいおともだち向け」の内容でかなり熱かったです。

 ライダーキャラはファイズとカイザとオートバジン(ファイズの可変バイク。
ショーではバトルモードのロボット形態が異様に身軽でした)、龍騎ライダー
だけでしたが(別日程で歴代ライダー集合編が公演されたようです)イナズマンの
登場シーンでは「イナズマンは、新人類帝国と戦う自由の戦士である」というあの
フレーズが当時の音源を使用して流れ、またキカイダー登場シーンではちゃんと
ギターをかき鳴らしながらジローっぽい人が現れたり、悪魔の笛が聞こえてきて
「ダークに生まれし者はダークに帰れ」のせりふが入ったかと思えば宇宙刑事3人
(ジャンプするときにちゃんと「翔!」と叫んで飛ぶのがたまりません)が必殺技
で敵を倒すシーンではとどめのシーンのBGMが流れたりと、見せ方のつぼを心得た
内容でした。そのうちこの公演の内容に想を得た特別編をやらせていただければと
思っています。
263ナナシマン:03/05/07 20:35 ID:il+Mtf4g
>>名無し天狗さん
 今回の話、実は結構悩みました。罠のまっただ中に飛び込むライダーたち、
戦いのさなかによみがえる記憶・・・といった構想があったのですが、僕がやって
しまっていいものかどうかちょっと判断が付かなかったんです。それで決着は次回
以降に持ち越し、という形をとりました。嵐の方も楽しみですが、あまりご無理
なさらぬようお願いしますね。それとOPネタ、すごい直球なんですけど今まで
なかった分とても新鮮です。


>>名無し募集中。。さん
 |дT)ノ・・・。



 実は今日になって一部二重カキコやHN間違いがあったことに気づきました・・・。
いつもとは違う環境での更新とはいえ、まことに失礼しました。
264名無し募集中。。。:03/05/09 10:25 ID:nH+FdNcn
ちょっと待てよ?
石ノ森作品は何も変身して巨悪と戦うモノばかりじゃないはず・・・。
265名無し募集中。。。:03/05/09 21:06 ID:bg6JJVGN
みんな忙しいのかなぁ・・・
下がりすぎなんで一旦ageます。
266名無し娘。:03/05/09 21:53 ID:XkbXwBOX
>264
 確かにそうなんだろうけど、それを是とするのはちょっと趣旨に反するね。 もうすでに変身ヒーロー
ものとしてスレッドの趣旨はできあがっているから。

267名無し募集中。。。:03/05/09 22:58 ID:uU7rcxVc
>>265
(ry
268名無し募集中。。。 :03/05/09 23:47 ID:YrATbWLP
>>264
じゃあ日本経済とかについて娘。小説で語ってみましょうか?
269264ですが・・・。:03/05/10 00:13 ID:YZFj7tcD
>>266-268
イヤイヤイヤイヤ、私が言いたかったのは
中華魔女やポワトリン、シュシュトリアンなどと言った
いわゆる「フジの日曜朝9時モノ」もライダーのので使えないかなぁ、と思っただけで・・・。
ホラ、小規模だけど一応悪と戦ってるんだし・・・。
270名無しスター:03/05/10 13:11 ID:zW2O5Nu4
石ノ森作品ですらない私の立場が益々なくなりますがw
271264ですが・・・。:03/05/10 14:14 ID:xwG/1TML
>270
ゴメン、でもあなたのは完全に馴染んでるから心配しないで・・・。
272ナナシマン:03/05/10 18:33 ID:K4H69wn0
 なぜ「HOTEL」は話題にすらなりませんか?(w
 「美少女仮面ポワトリン」とか中華魔女シリーズ、密かに好きだったんです
けどね。個人的にはやってみたいなぁ、とか思ったり。

( ^▽^)<愛ある限り戦いましょう!命、燃え尽きるまで!!
273名無し天狗:03/05/10 22:10 ID:XLcN/0h1
>ナナシマンさん
HOTELがなぜ触れられないか・・・
それは多分内容的には限りなく「日常」に近いからじゃないでしょうか?
ちなみに種を明かせば>>264と言うのは実は私でして、「フジの日曜朝9時モノ」も
ひょっとしたら、などと期待を持っちゃったりしちゃったたわけでして・・・。
申し訳ありません、お騒がせしてしまって・・・。(うわ〜、絶対怒ってるよ・・・)
274保全:03/05/10 22:48 ID:0iZOTO/2
川o・-・)<「星は何でも知っている。ナイルも何でも知っている。」

魔法少女シリーズは難しいんだよね。前に「ナイルなコンコン」を
考えたけど途中で挫折しました。
更にちょっと前にも「美少女仮面アヤヤ」も挫折したし
どう絡めたら良いのやら・・・どう考えても弱いからなぁー。
275名無し募集中。。。:03/05/11 00:14 ID:L6r/IWXr
009は?
276ナナシマン:03/05/11 14:49 ID:YBjB1Pnd
 急ぎなのでレスが雑多ですいません。
>273>274
 変身しないで事件を解決する必要に迫られ、一部のメンバーが仮の
姿としてそのキャラクターを名乗る、という手が一番最初に思い浮かび
ました。外伝的な要素が強くなるかもしれませんが、日曜朝シリーズ
ネタはなんだか面白そうですね。

>275
 「神々との戦い」「天使」編は興味のあるところです。


277名無し募集中。。。:03/05/11 16:33 ID:KNB+uagH
>>275
ピース時代の9人から話広げれば面白そうだね(・∀・)!!
278名無しスター:03/05/13 00:11 ID:Hx9NsSs+
もうすぐ出来るよー
保全
279川o・-・) :03/05/13 22:49 ID:azNEsyoC
从#~∀~#从<中華魔女やポワトリン、シュシュトリアンは全然しらんわ
       ちなみに>>274とは別人やで
280ソノラブーマ :03/05/14 18:49 ID:mnTBNhd4
オルフェノクはいつになったら出るんだよ。
早くファイズ編を書いてくれ。
281ナナシマン:03/05/14 21:34 ID:4v2BCFOa
 保全をかねて取り急ぎレスのみ。
>278
 続きが非常に気になっていたところですので楽しみにしてます。
>280
 現在のスレは第1期〜2期の昭和ライダーが中心ですが、目下特別編を
準備中です。そちらの方は「本当の意味での『のの555』」になるかと
思います。本編とはキャスティングも異なる予定です。本編への555(&
913)投入も個人的には考えていますが、キャスティングについては未定
です。
282名無し娘。:03/05/15 21:10 ID:akR16o0z
マターリと保全。
283名無し天狗@保全!:03/05/16 00:02 ID:Ykbm8cCy
「戦え!仮面ライダーV3」(ライダーののVer.)
唄・矢口 真里/コーラス・ミニモニ。

赤い赤い 赤い仮面のV3
ダブルタイフーン 命のベルト
力と技の 風車が廻る
父よ 母よ 我が義姉(←アネ)よ
風の唸りに 血が叫び
力の限り ぶち当たる
@敵は地獄の ゼティマ軍
 戦う正義の 仮面ライダーV3

青い青い 青い車のV3
ハリケーンジャンプ 空飛ぶマシン
車輪と羽が 怪人倒す
父よ 母よ 我が義姉よ
風の唸りに 血が燃えて
命の限り 討ち倒す
(@・繰り返し)

白い白い 白いマフラーV3
空に羽ばたく 2枚の翼
正義と愛が 世界を守る
父よ 母よ 我が義姉よ
風の唸りに 血が騒ぎ
体の限り 打ち向かう
(@・繰り返し)
284名無し募集中。。。:03/05/16 16:10 ID:Iy2gfZZ8
高橋=猿の特質を持つオルフェノク
285 :03/05/17 23:15 ID:KNUFOP9x
286名無し募集中。。。:03/05/18 22:46 ID:z16gWAGE
他のメンバーはどのオルフェノクになるんだろう。
なっちは豚のオルフェノク?
287名無し天狗@保全!:03/05/18 23:14 ID:OlFLbCxh
作家さんカムバック!!!
288名無しスター:03/05/19 00:40 ID:6Dg2Q/KT
スマソ、ちょっと待って・・・
289ナナシマン:03/05/19 08:48 ID:Ffz1NcaP
インターミッション 「あいつの名は仮面ライダー」

 世界征服をもくろむ悪の秘密結社、ゼティマ。これまで数々の計画を
仮面ライダーに阻まれてきたこともあって、その行動は日を増すごとに
大胆、かつ凶悪になりつつあった。そして彼らは将来改造人間の素体と
なるべき健康な子供を集めるため、白昼堂々と幼稚園バスをジャックする
暴挙にでたのだ。

 「このバスは我々ゼティマが乗っ取った・・・ってコラ!そこのチビ、
泣くんじゃない!!」

 車内にあふれる子供たちの鳴き声。これがデスターの犯行ならば今頃
アジトは魔神ゴーラがはき出すダイヤであふれんばかりなのだろうが、
今回の作戦を担当したのはゼティマ正規軍の怪人「ウニデーモン」。
体表に生えた鋭いトゲ、そして頭の角。虎縞の腰巻きを履いたその姿は
昔話の鬼の様にも見えるが、彼はウニの改造人間である。

 「俺はこんな事のために日本に来たんじゃないぞ、クソッ!」

 一人悪態をつく改造人間。バスを乗っ取ったのは彼とゼティマの秘密
工作員「アリコマンド」の一団だったが、彼らもまた子供たちの扱いに
苦慮していた。アリコマンドの一人が、小さな女の子と共にウニデーモン
の前に歩みでた。

 「ウニデーモン様、この女の子がトイレに行きたいと・・・」

 「そんな事この俺が知るか!!」

 怒鳴りつけた直後、眉間に痛みが走るウニデーモン。もっとも改造人間に
偏頭痛というものがあるのかどうかは、定かではなかったが。
290ナナシマン:03/05/19 08:49 ID:Ffz1NcaP
 「そういや前にもこんな事なかったっけ?」

 風を切って走るスクーター、そしてそれを駆る少女は一人呟く。視線を
落とすと、計器類のそばにある液晶パネルにメールの着信を示す表示が
あった。そのそばにあるスイッチを押すと、メールの本文が表示される
仕組みになっている。少女は持ち合わせた超感覚で事件を察知し、さらに
その詳細をメールで知ったのだ。

 『ヤグチサンエ ヨウチエンバスジャック ハッセイ ツジ』

 「矢口さん『え』じゃなくて『へ』だろぉ・・・小学生かよ」

 そう言ってメールの誤字に一人ツッこむ矢口真里。彼女は改造人間で
あり、仮面ライダーV3として人類の自由のために戦っている。しかし
アルバイト帰りの彼女は生化学研究所からマシンを乗り換える暇もない
まま、ジャックされた幼稚園バスを追っているのだ。愛機「ハリケーン」
ならバスの追跡など造作もないことだが、スクーターのスピードなど
たかが知れている。いざとなればV3に変身し、ホッパーを使って捜索
することも考えたが、今はとにかくバスを見失わないよう、可能な限り
全力で追跡しようと真里はスクーターを飛ばす。やがてスクーターは
街を抜けて郊外へ至り、そして人里離れた山奥へと向かう。おそらく
目指すはゼティマの前線基地であろう。
291ナナシマン:03/05/19 08:50 ID:Ffz1NcaP
 程なくしてバスは前線基地のある、とある山の中にたどり着いた。
基地の施設は巧妙にカムフラージュされており、一目見ただけでは
そこに建物や施設があるなどとは、誰も思いはしないだろう。しかし
バスが鬱そうと茂る木立の前に停車するや木々は次々と消失し、代わり
に無骨な鉄の門が姿を現す。高度な科学力が可能にしたホログラムが
この基地を人目から隠していたのだ。

 「こんな山奥にまで基地を作っていたなんて・・・ゼティマめ」

 幼稚園バスが門の向こうに消えていく様を見届けた真里は、再び
ホログラムによって隠された秘密基地の入り口近くを入念に捜索して
いたのだが・・・。


 「ちくしょー!オイラ捕まっちまったよ」

 それは真里が基地の入り口近くまで接近した、数分後のことだった。
292ナナシマン:03/05/19 08:50 ID:Ffz1NcaP
 夜勤明けなのでこれからちょっと寝ます。続きは後ほど。
293名無し天狗:03/05/19 10:49 ID:QCfojIDP
>ナナシマンさん
待ってましたよぉ〜〜〜!!(歓喜号泣)
続き期待してますんで、無理せず頑張ってください!!!
294ナナシマン:03/05/19 19:41 ID:VHkyNm8W
 ホログラムに消えた秘密基地の入り口。侵入の手がかりを求めて、
手探りであちこちを調べて回る真里の姿は一見すると確かに不審な印象を
与えたことだろう。しかし、その姿を発見したのは以外にも基地の中の者
たちではなく、基地の外にいた一人の改造人間だった。

 「おぜうさん・・・何してるっパ?」

 「悪いヤツの秘密基地を探してるっパ・・・って、え?!」

 背中越しに聞こえる、聞き覚えのない声。思わず振り返ると、そこに
いたのは円盤のようなものに乗った、ザンバラ髪のカッパだった。

 「ややっ!お前は矢口真里っパね?ここで何をしてるっパ?!」 

 真里の姿を見つけたこのカッパ、実はゼティマの改造人間である。
その名も「オカッパ法師」。カッパの力を持つ怪人なのだ。

 「ああっ、もう見つかったか!こうなったら・・・変ッ身!」

 かけ声と共に腰に現れたベルトに輝くダブルタイフーン。このまま
変身の構えを完成させればV3に変身できるのだが、その時だ。

 「そうはさせないっパよ!くらえ、『カッパ巻き』!!」

V3、と真里が言いかけたその時、全身に巻き付いたのは真っ黒く
太い帯のようなものだった。それはまるで意志があるかのごとく、
真里の体を締め上げ、その力を奪っていく。

 「ちくしょー!なんだコレ?!」
295ナナシマン:03/05/19 19:42 ID:VHkyNm8W
 「抵抗しても無駄っパよ。その海苔は滅多なことでは切れたり
しないっパ。ワシと一緒に来てもらおうか」

 かくして囚われの身となった真里は、オカッパ法師に連れられて
秘密基地の中へと連行された。と、そこに待っていたのはバスジャック
実行犯ウニデーモンだった。しかし、二人の姿にはまだ気づいていない
ようで、基地の中にいたアリコマンドに何かの指示をしている。真里を
拘束したオカッパ法師は、異変に気づかぬウニデーモンの頭を小突いて
こう言い放つ。

 「ウニデーモン、貴様何やってるっパ!基地の周囲をとんでもない
ヤツが嗅ぎ回ってたっパよ」

 「これはオカッパ法師、待たせてすまなかった。で、どうした?」

 基地の周囲に発生した小さな異変、しかしこういう事を見逃すと計画の
破綻につながる。オカッパ法師は捕らえた真里をウニデーモンの前に
突き出した。

 「どうしたもこうしたも、こいつを見るっパ」

 「貴様は矢口真里!なぜここが判った!?」

 「此奴のこと、バスの後を付けてここまで来たに違いないっパ。ワシの
カッパ巻きでどうにか動きを封じておるが・・・うかつだったっパね」

 こうして真里は海苔巻きにされたまま、子供たちと一緒に牢獄の中に
投じられた。このままでは、彼女がゼティマの改造人間たちによって処刑
されるのも時間の問題だ。
296ナナシマン:03/05/19 19:43 ID:VHkyNm8W
 幼稚園児や保母らが投獄された牢の中に新たに放り込まれる小柄な
少女の姿。その姿をみた子供たちはまたもすすり泣く。すべての望みが
潰えたかに思えたその時だった。

 「・・・ヴオオオオオーン・・・」

 微かにであるが、どこからか聞こえてくる爆音。それは間違いなく
ライダーマシンの爆音であった。真里の超聴覚がその音を捉えると、
彼女は子供たちにこう言った。

 「ねぇみんな、外から何か聞こえない?」

そんな彼女の言葉に、一人の男の子が目を真っ赤にしたまま、鼻を
ひくつかせながら言う。

 「何にも聞こえないよ。こんなところには誰も来てくれないよ」

 そんな男の子の言葉に、真里は優しく語りかける。

「ねぇ君、聞こえない?ほら、あのマシンの爆音が!」

 「えっ?」

 するとどうだろう、その男の子の耳にも気のせいかライダーマシンの
爆音が聞こえるような気がしてきた。大地のとどろきと、風のうなりを
伴って聞こえるその爆音は、マシンを駆る戦士の熱い血潮の高鳴りの
ごとく子供達の心に響いていた。
297ナナシマン:03/05/19 19:55 ID:q4mI0C2b
 秘密基地を目指して走るライダーマシン。それはスカイライダー、
紺野あさ美の駆る「スカイターボ」だった。真里からの連絡が途絶えた
ため、その身を案じた彼女は新垣里沙とともにその姿を探していたのだ。

 「里沙ちゃん、ホントにこっちでいいの?」

 「絶対大丈夫だって。声が聞こえるの。誰かが呼んでる、私たちのこと」

 自由の戦士イナズマンとして超能力に目覚めた里沙は、真里と子供達の声を
感知してとらわれている場所を探り出していた。彼女の言葉に確かな手応えを
感じたあさ美は、スカイターボのアクセルを全開にすると、走りながら変身の
構えを取る。

 「スカイ、変身!!」

振り落とされないように必死にすがりつく里沙の身体をも包み込む激しい閃光。
そして、その中から現れたのはスカイライダーの姿だった。疾走するマシンは
街を、そして山を駆け抜けて秘密基地のすぐそばまでたどり着いた。

 「里沙ちゃん、石とかいっぱい当たって痛いかも知れないけど我慢してね?」

 「え?うそ、何?!」

 スカイライダー〜あさ美の突然の言葉に訳がわからない里沙。しかし、そんな
少女のとまどいを余所に仮面ライダーは愛機の前輪を勢いよく持ち上げ、所謂
「ウイリー走行」の状態になった。

 「しっかり掴まっててね・・・『ライダーブレイク』!」

 「キャーッ!!」
298ナナシマン:03/05/19 19:56 ID:q4mI0C2b
 「みんな伏せて!!」

 外で何が起ころうとしているのか、それを瞬時に察知した囚われの真里は園児
たちを床に伏せさせると、自らもまた姿勢を低くしてその瞬間に備える。そして
次の瞬間、鉄格子で隔てられた牢獄前の壁に亀裂が走ると轟音と共に砕け散った。
前輪の超振動発生装置「HVG」で発生させた超振動であらゆるものを打ち砕く
体当たり技「ライダーブレイク」で壁をぶち破ったのだ。
 崩れ落ちる瓦礫と舞い上がる砂塵の彼方から姿を現したのは、まさしく愛機を
駆って子供たちを救いにやってきたヒーローだった。その姿に、子供たちの歓声
が上がる。

 「お姉ちゃん、あれが仮面ライダー?!」

 「そう、あいつが仮面ライダー!」

 真里の言葉に大きく頷いて答える仮面ライダー。そして里沙をその場に残すと
スカイライダーは車体を翻して、怪人たちの姿を追う。真里もまた、里沙の念力
の助けを借りて海苔巻きから脱出すると、後を任せてスカイライダーの後を追った。


 「おのれ仮面ライダーめ!またも我らの邪魔をする気か」

 基地の外で新たな作戦行動を開始しようとした矢先、二人の姿を認めた怪人
たちが叫ぶ。その声に応じてアリコマンドたちが周囲を取り囲む。スカイターボ
から降りて身構えるスカイライダー、そしてカッパ巻きから脱出した真里もまた
鋭い視線で敵の機先を制する。ここにライダーと怪人たちの戦いの火ぶたが
切って落とされた。
299ナナシマン:03/05/19 19:57 ID:q4mI0C2b
 主題歌ネタの短編のつもりが、結局いつものサイズになってしまい
ました。明日には完結の予定です。
300名無し天狗:03/05/19 21:07 ID:PzeWrfdN
>ナナシマンさん
スゴイ!もうサイズは気にしてません!どのような運びになるか楽しみ!!
301名無し募集中。。。:03/05/20 03:14 ID:D5dQ7QtV
      \⌒/
     ( O│O)
     >( ^◇^) <仮面マリダーV3ぃー!
     (ノ=◎◎=つ
      (_)_)

おもろいです!  がんばってください。
302名無し募集中。。。:03/05/20 03:23 ID:D5dQ7QtV
松浦や藤本の名前が無いですが、ニセライダーとかでどうでしょう?

あ〜や〜や〜

       ノノハヽ
      从 ‘。‘)
     と=つと=つ
      | | |
      (__)_)

ア〜ヤ〜ヤ〜
        ノノハヽ
  ノノハヽ 从 ‘。‘)  ノノハヽ
  从 ‘。‘)       从 ‘。‘)
        ノノハヽ
  ノノハヽ 从 ‘。‘)  ノノハヽ
  从 ‘。‘)        从 ‘。‘)


       \⌒/  ピキ〜ン!
      ( O│O)  
      从 ‘。‘)
      (ノ━◎━つ  
       (_)_)
303名無し募集中。。。:03/05/20 09:14 ID:EdDe7hqo
>302
BLACK(→RX)とシャドームーンの予感。
304ナナシマン:03/05/20 19:13 ID:bqL6K6I+
 襲い来るアリコマンド達をパンチやキックで叩きのめすスカイライダー。
一方の真里も取り囲む敵を前にして変身の構えを取る。

 「変・身、ブイスリャあ!!」

 力と技の風車が回る。ダブルタイフーンからほとばしる閃光と共に姿を現した
赤い仮面の戦士、その名は仮面ライダーV3。二人のライダーは群がるアリコマンド
をなぎ倒し、投げ捨てて片っ端からぶちのめす。やはりはなっから雑兵では相手に
ならなかったか、アリコマンド達は折り重なるようにしてのびてしまった。こう
なると、二大怪人が直接戦わなくてはならない。

 「やはりここは我々がやらなければならんようだな」

 「二人まとめてカッパ巻きにしてくれるっパ、覚悟!」

おのおのが相手を定めて二人のライダーに襲いかかる。ウニデーモンはV3に、
そしてオカッパ法師はスカイライダーに。対する仮面ライダーも受けて立つ。
二大怪人と真っ向勝負だ。
305ナナシマン:03/05/20 19:14 ID:bqL6K6I+
 「お前達、生かしては帰さんからな!覚悟しろ」

 そう言うやウニデーモンは手にした金棒を振りかざし、憤怒の形相でV3に
襲いかかる。大きく金棒を振り上げ、頭蓋をも砕けよとばかりに振り下ろす
怪人の一撃を右に左に身をかわして避けるV3。と、その時盛んに金棒を
振り下ろしていたウニデーモン、攻め疲れたかついに金棒の重さに負けて姿勢を
崩してしまった。それを見逃すV3ではない。がら空きのどてっ腹にパンチを
たたき込むと、肩車に担ぎ上げてそのまま投げ飛ばした。

 「どうだ!」

 V3の強烈な飛行機投げで身体を強打したウニデーモン、よろよろと
起きあがると戦意を奮い立たせ、再び金棒を手にしてV3に殴りかかる。

 「たかが小娘とあなどったわ。今度こそ死ね、V3!」

 大上段から振り下ろす渾身の一撃。しかしこの一撃をV3は白刃取りの要領で
受け止めると、逆に全身の力で金棒を押し戻し、そのまま金棒もろとも怪人を
捻り倒した。ウニデーモンは立ち上がって体勢を立て直したが、対するV3も
怪人の反撃に備えて再び身構える。

 「力と技のV3!パワーでもテクニックでも負けないぞ!」

 「小癪なヤツめが!捻りつぶしてくれるわ!」
306ナナシマン:03/05/20 19:14 ID:bqL6K6I+
 一方、オカッパ法師の「カッパ巻き攻撃」に苦戦を強いられているのは
スカイライダー。自在にのびる巨大な海苔巻きが右に左にと襲いかかり、これを
交わすので精一杯といった風だ。

 「海苔が生き物みたいにどこまでも追いかけてくる・・・どうすれば」

 「逃げてばっかりではダメっパよ?だったらこれはどうっパ?」

 そう言うと、オカッパ法師は例の円盤を呼び寄せる。その正体は巨大なカッパ
の頭の皿なのだ。オカッパ法師は神通力でこの飛行物体を操ることが出来るのだ。

 「行け!スカイライダーを押しつぶしてしまえ!!」

猛回転するカッパの皿がスカイライダーに迫る!と、その時だ。

 「チェェェスト!!」

 いずこからともなく聞こえてきた裂帛の気合いと共に鋭い跳び蹴りが皿を
捉えると、カッパの皿はそのままオカッパ法師の方へと蹴り飛ばされた。
飛んできた皿を神通力で再び制御すると、オカッパ法師は声のする方へ
視線を走らせる。と、そこに立っていたのは稲妻走る青い戦士の姿だった。
307ナナシマン:03/05/20 19:15 ID:bqL6K6I+
 「貴様は誰っパ?!」

 「自由の戦士、イナズマン!子供達を誘拐して改造人間にしようとする
お前達のたくらみ、許さない!!」

 そう言うと素早く怪人の許へと駆けていくイナズマン。一気に距離を詰めると
必殺の稲妻拳法をたたき込む。しかし、イナズマンの攻撃がオカッパ法師に
通じない。打撃を受けた腹の辺りを軽く払うと、オカッパ法師は大笑して言った。

 「カーッパッパ!無駄っパよ。水のあるところではカッパは無敵っパ」

 「水?」

確かに昔話ではカッパの力の源は水であるが、しかし辺りを見回しても川や
泉がある訳ではない。いったいオカッパ法師はどのようにして力を得ていると
いうのか。

 「この一帯には地下水が豊富に流れているっパ。だからワシの力は無限っパよ。
ちょうどいい、神通力で鉄砲水を起こしてお前らみんな押し流してやるっパ!」

 何と怪人の力の源は地下水脈だった。水から得る霊力によって、オカッパ法師
は神通力を使っていたのだ。しかも敵は鉄砲水を起こすと言うではないか。
308ナナシマン:03/05/20 19:20 ID:c6jnvIT0
 「そんなことはさせない!この力で止めてみせる!」

 怪人を指さし、そのまま今度は額の稲妻の様な触角を指さして見得を切ると
イナズマンはその精神力を集中し念力で勝負を挑む。

 「どれほどの力か知らぬが・・・やってみるっパ、小娘!」

 オカッパ法師が両手で地面を掻くと、怪人の周囲に水があふれ出てきた。
そしてついには間欠泉のように高く吹き上がるまでになり、それはやがて水柱
となって意志を持つかのごとくイナズマンに襲いかかる!しかし、イナズマン
は待っていたとばかりに身構える。

 「どうした、逃げないっパ?飲み込まれてしまうっパよ」

イナズマンは逃げない。それどころか、勝機を得たとばかりに天に叫ぶ。

 「お前の負けだ、オカッパ法師!超力ッ!稲妻落とし!!」

にわかにかき曇る空、そして轟く雷鳴。かけ声と共に稲妻が走り、電撃は水を
伝ってオカッパ法師を直撃する。

 「ウッギャァァァァァ!!」

 イナズマンはこの瞬間を待っていた。敵が操る水の力を利用し、自らの放つ
電撃を伝わらせてダメージを与えようと狙っていたのだ。そして目論見通り、
稲妻が怪人を襲う。全身を駆けめぐる電撃、やがてオカッパ法師の頭の皿が
火を噴きだした。頭の皿はカッパの急所、水を失えばその力は弱まる。
309ナナシマン:03/05/20 19:21 ID:c6jnvIT0
 「ヒィィッ!熱いっパ、熱いっパ!!皿が、皿の水がぁぁぁ」

 たまらず待たせていた空飛ぶ巨大な皿に飛び乗るオカッパ法師。頭上で燃える
炎が髪の毛を焦がし、煙を上げる様が痛々しい。

 「いっ、命あっての物種っパよ・・・ここはひとまず退散するっパ」

その姿を見たイナズマンは怪人を指さしてスカイライダーに叫ぶ。このまま敵を
まんまと逃がす手はない。

 「あさ美ちゃん!ヤツが逃げるよ!!」

 皿に乗ったオカッパ法師は這々の体で逃げようとするが、それを見逃す二人
ではない。お返しとばかりにスカイライダーが身構えると、空に向かって叫ぶ。

 「逃がすもんか!スカイターボ!!」

 スカイライダーの声に応じ、自動操縦で走ってきたスカイターボ。再び
飛び乗ったスカイライダーは、そのまま空中へと大きくジャンプして怪人を
乗せた皿に突撃する。「スカイターボアタック」の直撃に皿のコントロール
は失われ、振り落とされたオカッパ法師の遙か後方に墜落し爆発した。
 そして機を失せずスカイライダーは空中高くジャンプすると、高空から
跳び蹴り一閃、必殺の「スカイキック」を放つ。

 「受けてみろっ!スカイキーック!!」

 「クワッパァァァァ!!」

 体勢を立て直す暇すら与えない必殺の一撃が地上の怪人を襲う。水の力
で神通力を操るオカッパ法師も、ついに爆発四散した。
310ナナシマン:03/05/20 19:26 ID:c6jnvIT0
 今回はちょっと久々に子供向け風の話が書きたくて、そこかしこにそれっぽい
描写をちりばめてみました。オカッパ法師の口調も確かこんなのでは無かった
はずですがストーリー上の要求によりこのような形になりました。
 また能力についてはテレビ版よりも妖怪色を強くしてます。神通力などの能力
はなかったとは思うのですが、技がカッパ巻き攻撃だけしかないのも何なので
イナズマンとの超能力合戦の相手もかねてパワーアップさせました。ある程度
書き終えた後に気づいたのですが、奇しくもこのカッパの怪人の対戦相手は
ガニモニ。コンビですね、考えてみたら。

 なんだかんだでいろいろ書き足してたら予定が延びてしまいました。予定では
明日の終了となります。それにしても、此処まで来るとインターミッションでも
何でもないですね。ホントはただ>>296のフレーズを書きたかっただけじゃ
ないのかと小一時間(ry・・・って古ぅ。

 そうそう、マリダーV3とあややゼティマライダーカワイイ!ですね。

311ナナシマン:03/05/21 22:16 ID:dDbpg9Ju
 オカッパ法師が倒された今、残るはウニデーモンただ一人。もはや後がない
と知るや、破れかぶれの突撃を試みる。

 「かくなる上は・・・V3、覚悟!!」

 手にした金棒を力の限りにブン回し、最後の一騎打ちを挑むウニデーモン。
V3も怪人の攻撃に備え、両腕を交差して身構えた。

 「さぁかかって来い!オイラは逃げないぞ!!」

腕をクロスしたまま全く微動だにしないV3。真っ正面から敵の攻撃を受け止める
つもりなのか、そのまま腰を少し落として怪人との激突に備える。

 「バカめが、避けぬつもりか!ならばお望み通り叩き潰してやるわ!!」
 
 あらん限りの力を込めて、全身全霊の一撃を加えるべくウニデーモンは間合いを
詰めると金棒を高々と振り上げ、全体重をかけて一気に振り下ろす。

 「ゴンッ!!」

鈍い金属音があたりに響く。衝撃は金棒を伝わって怪人に確かな手応えを与えた、
はずだったのだが、次の瞬間ウニデーモンは驚くべき光景を眼にする。
312ナナシマン:03/05/21 22:17 ID:dDbpg9Ju
 「バッ・・・バカな!」

 怪人の目に飛び込んできたのは、交差したV3の両腕に当たってくの字に
折れ曲がった、自慢の金棒の変わり果てた姿だった。生身の人間が殴りつけた
のならばまだしも、改造人間の腕力から繰り出された一撃が身体を捉えれば、
さしものV3もただではすまないはずなのだ。だが、ウニデーモンが視線を
落とすと、そこにいたのは紛れもなく仮面ライダーV3だった。

 「みたか!26の秘密の一つ、『細胞強化装置』!」

 細胞強化装置とは、体内の人工筋肉の強度を倍加させる効力を持つ装置で
あり、筋組織の細胞に働きかけることでV3の全身は鋼鉄よりも固くなるのだ。
そしてウニデーモンは反撃の余力すら失い、身体をぐらつかせて前のめりに
倒れ込む。V3は敵の懐に巧みに飛び込むと、そのまま後方へと倒れ込む。
その勢いのまま相手の腹を蹴り上げ、巴投げの状態でウニデーモンを空中高く
放り投げた。

 「いくぞ!V3、ダブルアターック!」

 宙を舞うウニデーモンの姿を見やるとV3は立ち上がり、すかさず空中に
飛び上がる。身を翻し、必殺のV3キックをたたき込む二段攻撃、これが
「V3ダブルアタック」だ。落下中のウニデーモンにライダーキックが炸裂
すると、急速落下したウニデーモンは激しく地面にたたきつけられた。
313ナナシマン:03/05/21 22:17 ID:dDbpg9Ju
 ゼティマの怪人にとどめの一撃を食らわし、戦いは終わったかに見えた。
だが、立ち上る砂煙の中から現れたのは誰あろうウニデーモンだった。
折れ曲がった金棒でかろうじて身体を支え、虫の息の怪人は戦士達に
驚くべき事実を告げる。

 「お前達・・・戦いはまだ終わったわけではないぞ・・・」

 「まだやる気!?もうそんな力は残ってないはず!」

 戦いの予感に身構えるスカイライダー。ウニデーモンはなおも続ける。

 「面白いことを教えてやる・・・まもなく我らゼティマに五万年に一度の
節目が訪れる。その節目の年、新たな世界を統べる王となる者が生まれる」

ウニデーモンの言葉に息をのむ戦士達。瀕死の怪人が告げる、新たな世界の王
となる者とは、一体何者なのか。
314ナナシマン:03/05/21 22:17 ID:dDbpg9Ju
 「日食の日に生まれた二人の娘・・・『世紀王』・・・互いに相争い、その
いずれか一人が世界を統べる王となる。そして、時を同じくして王に仕えるべく
屍の山より出で、人を超えし者達が動き出す・・・古き世界を滅ぼすために」

 「『世紀王』って一体なんだよ!世界の王って誰のことなんだよ!!」

真里〜V3の言葉をも意に介さず、断末魔のウニデーモンは言う。

 「運命の娘を捜し出せなかったのは無念だが・・・それも遠い話ではない。
聞け、仮面ライダー。我らはZETIMA・・・神に愛されし者・・・」


 『世紀王』という謎の言葉を残し、怪人ウニデーモンは大爆発と共に消滅
した。世紀王、それは人を超えし者達を従えた、新世界の王位継承者。そして
日食の日に生まれた二人の運命の娘たち。激しさを増すゼティマとの戦いの
果てに、少女達が見るものは果たして、何か。



インターミッション 「あいつの名は仮面ライダー」 終
315ナナシマン:03/05/21 22:23 ID:spueCMHB
 今夜は取り急ぎ更新のみ。お話ししたいこともあるのですが、
それはまた明日。なかなか予定通りに終われず、申し訳ありません。
316ナナシマン:03/05/22 21:12 ID:ZMzRX4M7
 ブラックネタはそろそろ何かの形で仕込んでおきたくて入れてます。でも、ちょっと
ウニデーモン喋らせすぎの感もありましたか。

>>名無しスターさん
 続きが気になるラストでしたので楽しみにしてますよ。

>>名無し天狗さん
 お待たせするつもりはなかったんですが、仕事で忙殺されてこの有様です。
ブラックネタは本編に続きますよ。

>>301さん
 ありがとうございます。もしお時間ありましたら、またAA見せてくださいね。

>>303さん
 登場への布石の一つは打ったつもりですが、いかがでしたでしょうか?
今後どのように料理して頂けるかドキドキものです。


317名無し天狗:03/05/22 22:40 ID:qteA8yZ5
>ナナシマンさん
お疲れ様でした。最高です!これでインターミッションとはもったいない・・・。
いっそのこと、本編に組み込んでみては?折角ブラックの切っ掛けもできたことですし・・・。
・・・ともあれ、次回に期待してますのでお身体にお気をつけてムリなさらずに・・・。
318名無しスター:03/05/25 02:30 ID:kYuwoIeS
>>82-111の続きです
かなり長くなりますがお付き合い下さい。
319名無しスター:03/05/25 02:32 ID:kYuwoIeS
廃工場の外の警備室。
その中で上半身を壁にもたれかかるようにソニンが倒れていた。
手にはベルスターに変身する時に使った「使い捨てカメラ」を持っている。

「う、うう・・」

なにかにうなされている。
夢の中だろうか、ベルスターが目の前に立ってこっちを見ている。
ベルスターは何も言わず振り返って歩き出した。
ベルスターの姿がどんどん遠くなる。
ソニンは動くことが出来ず、声も出せない。
しだいに姿が見えなくなっていく。

「・・・ま、待って!」
声が出たのと同時に目が覚めた。

「今のは?・・変な夢・・」
「うっ・・・」

立ち上がろうとしてよろめいた。頭がボーっとする。体がまるで自分の物ではないようだ。

「ここは・・・昔来たことがある気がする・・・」
ソニンは警備室の中を見回した。

「そうだ、昔ここに連れてこられて、その後・・・」
いつもは霞がかかったように思い出せなかった部分がどういうわけか徐々にはっきりしてきた。
320名無しスター:03/05/25 02:34 ID:kYuwoIeS

ソニンは16歳の時に飛び級で東京の大学に進学した。
大学での成績も極めて優秀だった。

ある日、その頭脳に興味を持ったある教授に誘われ、研究室に出入りするようになった。
そして研究を手伝う傍らで試しに書いた論文が認められ、学生の身分のままで
その研究室の研究員になったのである。

その論文とは「電磁波や特殊な電流で生物の筋力が強化される」というもので、
ソニンはこれを病人やけが人のリハビリに応用できないか研究を続けていた。
そして動物実験が終了し、いよいよ臨床試験という時に何者かに連れ去られた。
その時にこの「警備室」を通ったような気がする。


記憶を頼りに壁の一部を叩いてみた。すると隠し扉が開いて通路が現れた。
「やっぱり・・・」

しかし通路は数メートルで無くなっていた。コンクリートで埋められていたのだ。
「この先に牢屋があって、その先に研究室が・・・」

さらに記憶が甦ってきた。
321名無しスター:03/05/25 02:35 ID:kYuwoIeS
連れ去られたソニンは謎の組織の研究室で渋々研究を始めた。
その研究が悪用されている事は薄々感づいていたが、どうしようも無かった。

家族を人質にとられていたのである。他の研究員も同じだった。

しかし・・・・充実した研究施設。優秀な研究員達。何より豊富な「実験材料」。
悪用されることも忘れ、ソニンは次第に研究に没頭していった。
人体実験が行われている事も知っていたが、被験者が「死刑囚」という説明を受け、
無理矢理納得する事にした。何しろ研究は今までにないペースで進んでいる。それが嬉しかった。

そして人体実験を重ねるうちに徐々に感覚が「麻痺」していった。

これも他の研究員と同じだった
322名無しスター:03/05/25 02:37 ID:kYuwoIeS
ソニンの技術は改造人間を作るのには適さなかったが戦闘員クラスの「強化人間」を
低コストで、安定して量産するのに都合が良く、組織から重宝された。

ソニンはなるべく人体実験には立ち会わなかった。
いくら相手が「凶悪な犯罪者」とは言え、自分の研究の為に人が死ぬのを見るのは気分が良くなかった。
しかし実験結果の検証は自分でやった。実験が成功した時は強化した人間を見るのが嬉しかったが、
失敗した時は死体が相手であり、非常に辛かった。

そしてある実験の検証の時、ソニンは異変に気付いた。被験者の「死刑囚」が若い女性だったのである。
「この人はどんな凶悪な犯罪を犯したんだろう・・・」

死体を検証しながらソニンはつぶやいた。
「え?知らなかったの?」

それを聞いた同僚の研究員が驚いた様子で言った。
「どういうこと?・・・」
323名無しスター:03/05/25 02:39 ID:kYuwoIeS
その日の夜、その研究員はソニンを「材料置き場」に案内した。

そこでは鉄格子の中に子供から老人まで大勢の人が囚われていた。
ソニンはその光景に愕然とした。
この人たちがどういう経緯でここにいるのかは聞かなくても分かった。

自分と同じように連れ去られて来たのだ。

「じゃあ・・私のやって来たことは・・」
いや、本当は分かっていた。実験のたびに死刑囚が都合よく集まるわけがない。
しかしそう信じていないと気が狂いそうだった。

その思い込みが何人もの罪のない人を殺した・・・

「・・・仕方ないだろ。」
打ちひしがれるソニンを見て研究員が声を掛けた。

「研究に協力しないと、俺や、俺たちの家族も・・・」
研究員は自分に言い聞かせるように続けた

「俺たちに出来る事は慎重に研究を続けて、なるべく実験の失敗を無くすことだけだよ・・」

ソニンは何も言わなかった。
324名無しスター:03/05/25 02:43 ID:kYuwoIeS
次の日からソニンはますます研究に没頭していった。
しかし人体実験は行わなくなった。動物実験は行うが、人体実験はなるべく避けた。
組織から促されると危険性の低い実験だけを行った。
傍目からは、結果が出ず、研究が停滞しているように見えた。

同僚の研究員達は身の危険を感じ、組織にアピールする為の人体実験を提案した。
しかしチーム主任のソニンは首を縦に振らなかった。

そんな状態が半年近く続いた。
「そろそろ何か成果を上げなければチームの存続、下手をするとメンバーの生命にかかわる」
組織が圧力をかけてきた。

ソニンは全く新しい人体実験を提案した。
強化レベルを「戦闘員」から「中堅怪人」に引き上げる画期的な技術だった。

ソニンは半年間の研究で、ギリギリ人間が耐えられるラインを見極めていた。

「これはすばらしい!」
この計画書を見た組織の幹部はすぐに人体実験を行うように命令した。

「ちょっと待って下さい。この技術には自信があります」
ソニンが幹部に言った。

「?、だったらすぐにでも・・・」
「失敗する事は有り得ません、それに私はこの実験にすべてを掛けています。」

「だからどうした?」
「私が被験者になります」

ソニンの体に電極が付けられ、実験が始まった。
325名無しスター:03/05/25 02:45 ID:kYuwoIeS
ソニンは実験の直前に今までの研究資料をすべて処分していた。

「自分を強化して怪人並のパワーを手に入れ、鉄格子を破壊し、の中の人たちと
 研究員と人質をを解放して逃げる」
これがソニンの計画だった。

実験は成功した。
強力な電流で強化されたソニンは怪人並のパワーを得た。

しかし記憶と人間としての本能を失った。

記憶を失ったソニンは研究所内でただ暴れ回るだけであった。
すぐに捕まり、怪人用の牢獄に入れられた。

計画は失敗した。
326名無しスター:03/05/25 02:51 ID:kYuwoIeS
今日はここまでですー。
>325あたり、少し日本語が変。寝よう・・
327名無しスター:03/05/26 00:48 ID:D1EhF4Si
「ここからが・・・よく思い出せない・・」

実験の後から病院(政府の研究所)までの間の記憶がはっきりしない。
音のない、短い映像だけが細切れに浮かび上がってくる。
これを元に想像するしかない・・・

実験後、自分は牢獄に入れられた。
幹部が自分に対して怒鳴っている。何を言っているか分からない、
おそらく研究資料を処分したことについてだろう。

拷問も受けたが強化された体には効かなかったらしい。
薬物による記憶回復処理も行われたが効果が無かったようだ。

そして暴れ回る。とにかく暴れ回る。

手を焼いた幹部が対怪人用の銃が向ける。しかし別の幹部がそれを制止する。
研究資料を処分した今、あの技術はソニンしか知らない。おかげで殺されはしなかったようだ。

しかし怪人の扱いに慣れているゼティマをもってしてもソニンには手を焼いた。
そしてついに放り出された。
必要ないと捨てられたのか、記憶が戻ったら連れ戻す気だったのか。それは分からない。
328名無しスター:03/05/26 00:55 ID:D1EhF4Si
ここまで思い出したが、何か大事なことを忘れている。

「・・・そうだ!家族は?人質になっていた家族は・・・」
脳裏に両親・姉・兄の顔が浮かんだ。

そのとき突然また記憶の一部がフラッシュバックのように甦ってきた。

ソニンの前に連れ出される兄。
兄を指差し、何事か自分に語りかける幹部。
何を言っているか大体想像がつく。

「・・・いやだ・・」

自分の記憶から目をそらそうとする。しかし次から次へと思い出してしまう。

拷問を受け、苦痛に歪む兄の顔。

「やめて・・嘘よ・・・」

大きな音と共にバタリと倒れる兄。
自分はそんな兄をおそらく無表情で見ている。

「やめて・・・やめて・・・」

続いて姉が、そして父が・・・
恐怖に震え、自分に助けを求め、悲鳴を上げ倒れていく。

「いや・・こんなのいや・・」
329名無しスター :03/05/26 01:00 ID:D1EhF4Si
最後に母が連れられてきた。
母は自分の姿を見ると戦闘員の手を振り払い、泣きながら抱きついてきた。

何を言っているのか分からない。だかきっと
「自分は死んでもいい、この子だけは助けて」
と言っているのだ。

戦闘員が母を引き離そうとする。しかし母は人間とは思えない力でソニンにしがみつく。

そして自分はそんな母を・・・力任せにふりほどいた・・・ 

母は壁に叩きつけられそのまま動かなかった。
幹部はそんな自分を睨みつけ何か一言言い残し、去っていった。



「いやああああああああ!!」

ソニンは警備室の中で狂ったように声を上げた
330名無しスター:03/05/26 01:07 ID:D1EhF4Si
どうして急に記憶が甦ったのか・・・
思い当たるのはストロンガーの電撃である。
自分は電流を体に流す事で強化し、記憶を無くした。
逆に強力な電流を受ける事で記憶が戻る事も有り得る。

ベルスターとソニンは一心同体である。ベルスターが受けたダメージはソニンに伝わる。
これはカゲスターも同じだ。
もちろん100%伝わる訳ではない。怪人の攻撃を生身の人間が受けたらひとたまりも無い。
何割か何%か、とにかくダメージは低く伝わる。

しかしカゲスターやベルスターが耐え切れない程のダメージを受けたとしたら、
本人も無事では済まない。
331名無しスター:03/05/26 01:08 ID:D1EhF4Si
警備室の隅で、ソニンは膝を抱え泣き続けていた。

「どうして・・どうして思い出してしまったの・・」

「思い出せないまま死んでしまえば良かった・・・」

「自分が余計なことをしなければ父さんも母さんも・・・なのに自分一人だけ行き残って・・」

「もう生きていても仕方が無い・・」

「・・・ユウキ」
ソニンの脳裏にユウキの顔が浮かんだ。

「そうか、ユウキも家族を殺されて一人・・・」

「いけない!」
突然ソニンは立ち上がり、部屋に転がっていたインスタントカメラを拾い上げた。

「ユウキはまだ中に残って闘ってるんだ、助けに行かないと!」
ソニンは自分に向けてフラッシュを光らせた。

「影よ、伸びろー!」
332名無しスター:03/05/28 00:58 ID:11MN83YV
「こっちかな?」

梨華とひとみが走って工場の敷地に入ってきた。
数キロ手前で故障したサイドマシーンを放置して、
わずかな音を探知しながらやっとここまで走って来たのだった。

「あの建物から聞こえるわ!」
「待って!」

工場に向かって走り出そうとした梨華をひとみが制止した。
工場の扉の前に人がいた。ソニンだった。

「ゼティマの人間か?」
「・・・違うみたいだけど」

ソニンはカメラを持ったままフラフラと歩いていた。
時折立ち止まると足元の影に何かブツブツとつぶやき、そしてまた歩き出し工場の中に消えて行った。

「・・・行こう」
梨華とひとみはソニンの後を追ってそっと歩き出した。
333名無しスター:03/05/28 00:59 ID:11MN83YV
「開けるのれす!」
ライダーののは工場の奥の扉に手をかけ、力任せに開けようとしていた。
しかしビクともしない。

「どきなさいよ!」
ストロンガーはカニカブラーに攻撃を仕掛けるが、相変わらず堅い甲羅に跳ね返されていた。

「くそっ・・」
一旦距離を取ったストロンガーがふと扉の方を見るとそこにソニンが立っていた。

「あなたは?・・・」
ストロンガーが声を掛けようとすると、奥からライダーののが言った。

「さっき走ってた女の人れす!」

ソニンは無表情で歩いていた。手にはカメラを持っている。
よく見るとよほど強く押したのか、カメラのシャッターのあたりが大きく変形していた。

「ひょっとしてさっきのミニスカートの人は、あなた?・・・」
ソニンは黙ってうなずくとカニカブラーに向かって歩き出した。
334名無しスター:03/05/28 01:02 ID:11MN83YV
念のため数メートル手前で立ち止まった。なにしろ電撃を受けて以来体の調子がおかしい。
記憶は戻った、しかし変身出来なくなった。ひょっとしてパワーも無くなっているかも知れない・・・

立ち止まったソニンは辺りを見回した。しかしカゲスターの姿がない・・・嫌な予感がした。

「カゲスターは?」
カニカブラーに話しかけた

「誰だそれは?あの赤い奴か?奴なら・・・」
カニカブラーはハカイダーのバイクのあった方をちらりと見て言った。

「・・・死んだよ、ハカイダー様に撃たれてな。」

ソニンはカッと頭に血が上った。拳を振り上げ「思い切り」カニカブラーに殴りかかった。

パンチを繰り出す途中、急に腕が重くなった。拳が何かに押さえられるようだ。
「えいっ」と力を入れると、ようやくフッと軽くなった。

そしてその拳はカニカブラーに触れることはなかった。
335名無し娘。:03/05/28 21:02 ID:WR2q9lkB
お、始まってるよEEカゲスター。ガンガッテ。
336名無しスター:03/05/30 00:24 ID:wbcBWUwK
>>335
はーい、頑張ります。

昨日は出来上がった直後(深夜)に人大杉だったので書き込まずに寝てしまいました。
337名無し天狗:03/05/30 00:44 ID:eErQL07j
>名無しスターさん
久しぶりに来ました&見ました!トラブルにめげずに、ムリせずFight!
338名無しスター:03/05/30 00:51 ID:wbcBWUwK
パンチを出した瞬間、ソニンの視界からカニカブラーが消えた。

「く、くそっ!」
慌てて周りを見回すがどこにもいない。

「どこに・・・」
ストロンガーとライダーののが耳を押さえて倒れているのが目に入った。
よく見ると工場のガラスが全部割れていた。

「一体?・・・」

もう一度正面を見ると、足元にカニカブラーの「足」があった。
・・・正確には「膝から下の部分」が転がっていた。

「これは・・?」
339名無しスター:03/05/30 00:52 ID:wbcBWUwK
ひとみはその瞬間を高性能な機械の目で見ていた。

人間の目にはソニンがいきなり爆発したように見えただろう。
ソニンがパンチを出した次の瞬間、拳の先は亜音速に達し、空気の渦が拳を押し戻そうとしていた。
そして拳が加速を続け音速を突破した瞬間、一気にスピードが上がる。

衝撃波(ソニックブーム)が発生し、ソニンの拳が届く前にカニカブラーを粉微塵に吹き飛ばした。
至近距離で戦車砲の直撃を受けるに等しい。いくら強固な甲羅でもひとたまりも無い。
衝撃波の直撃を免れた足だけが吹き飛ばされずに転がっていた。

数メートルの距離で衝撃波を受けたライダーののとストロンガーはたまらず倒れこんだ。


ソニンは電撃で記憶を取り戻した。
変身は出来なくなった。
そしてパワーは更に強力になっていた
340名無しスター:03/05/30 00:55 ID:wbcBWUwK
「私がやったの?・・・」
カニカブラーの足を見つめながらソニンが言った。

「・・・そうだ!ユウキ!」
ソニンは再び周りを見回した。やはりカゲスターの姿はない。

「そうだ・・テント・・公園!・・」
ソニンは振り返って走り出そうとした。

次の瞬間、右足が膝まで地面に埋もれていた。
足を抜き、もう一度走りだそうとする、すると今度は反対の足が地面に突き刺さる・・・
まるで田植え前の田んぼを歩くように、コンクリートの地面を穴だらけにしながら前に進む。

「パワーを制御できないんだ・・・」
梨華がその様子を見てつぶやいた。

「くっ・・・・」
ソニンは少し落ち着いて、そろそろと走り出した。

氷の上をツルツル滑るような動きを一瞬見せたあと、猛スピードで動き出し、
瞬く間に梨華とひとみの横をすりぬけて行った。
341名無しスター :03/05/30 01:04 ID:wbcBWUwK
「ま、待て!・・」
ひとみが追いかけようとしたのを梨華が制止した。

「2人を助けないと・・」
梨華はストロンガーに駆け寄る。

「でも・・」
ひとみは迷っていた。

「大丈夫よ、摩擦で溶けたアスファルトとか、止まりきれずに壊れた建物を
 辿っていけば追いかけられるから」

梨華がそう言った後、外からソニンが出したであろう衝突音が連続して聞こえた。
「そうだね・・・」

ひとみがライダーののに駆け寄ろうとした時、後ろでひときわ大きな音が響いた。

「また音速を超えたみたい・・・」
342名無しスター:03/05/30 01:08 ID:wbcBWUwK
ソニンは、加速する・止まりきれず壁や塀を突き破る・また走り出す・・
そんなことを何度か繰り返しながら、ちょっと遠回りをして公園にたどり着いた。
気のせいか、さっきより少しパワーが落ちて来ているようだった。

「ユウキ!」
公園に着いたソニンは大声でユウキの名前を呼んだ。しかし返事が無い。
急いでテントの前に向かう。

「・・・ユウキ・・・」
テントの前でカメラを持って倒れているユウキの姿が目に入った。

「ユウキ!しっかりして!」
ソニンはユウキを抱き起こそうとしてギョッとした。
肋骨がバラバラに折れていた。脈が無い、呼吸も無い・・・
顔を下に向けると口と鼻から大量の血が流れ出た。

「・・・ユウキ!」
急いで、、しかしパワーを調整しながら慎重に人工呼吸を施した。
ところが息を吹き込んでも肺が膨らまない。どうやら折れた骨が肺に刺さっている。
それでもソニンは心臓マッサージと人工呼吸を続けた。
343名無しスター:03/05/30 01:16 ID:wbcBWUwK
「う・・・」
「ユウキ!」

しばらくして、奇跡的にユウキの意識が戻った。

「ユウキ、大丈夫?」
「・・・ソニンさん・・姉さんに会えたよ・・・」

「そう!良かったね!私も・・記憶が戻ったの。あと家族の消息も・・・」
「・・・じゃあこの旅も終わりだね・・・俺、ソニンさんと一緒に旅が出来て本当に楽しかった・・・」

「何言ってるの!あんたはあいつらから姉さんを取り戻すんでしょ!
 最後まで付き合うわよ!だからしっかりして!」

「俺・・ソニンさんのこと・・・」

「・・・・・・・」


「本当の・・・姉さんみたいに・・・」


「ユウキ!」
344名無しスター:03/05/30 01:17 ID:wbcBWUwK


「・・・ソニンさん・・・どこ?・・」

「ここよ!」



「・・・ソニ・・・・・」



「姉・・・・・・・母さん・・・」

「ユウキ!・・・」

ソニンは人工呼吸を続けた・・・
345名無しスター:03/05/30 01:20 ID:wbcBWUwK
「・・・こっちよ!」

「足跡が消えたのれす・・」

しばらくして公園に辻達4人が到着した。

「あ、あそこ!」
梨華がソニン達を見つけ、駆け寄った。


「・・・亜衣ちゃんを呼んで!早く!」
二人の様子を見た安倍が叫んだ。
数分後、無線で呼ばれた加護が駆けつけた。

加護は機材を取り出し、テキパキとユウキの体を調べ始めた。
その間もソニンは無言でマッサージ・人工呼吸を続ける。
しばらくして加護は手を止め、ソニンの顔を覗き込んだ。
346名無しスター:03/05/30 01:26 ID:wbcBWUwK
「医学の心得は?・・」
加護はソニンに聞いた。

「ある組織で改造人間の研究に関わってました。・・・あなたは?」
「加護博士の孫なんやけど・・・」

「え!あの『加護博士』ですか?」
ソニンは驚いて一瞬手を止めた。

「そうや、それで・・・その・・」
加護はソニンの顔をじっと見た。
ソニンは加護が何を言おうとしているのか分かっていた。

「もうええよ・・・お疲れさん・・・」
ソニンはその言葉を聞くとマッサージを止め、ガックリと力が抜けたようにうずくまった。

「何をしてるのれすか、早くライフステージに運ぶのれす!」
辻が2人に後ろから声を掛けた。

「のの・・・うちらは科学者や。神様でも悪魔でも魔術師でもないんや」


「・・・死んだ者は生き返らん」
347名無しスター:03/05/30 01:36 ID:wbcBWUwK

「・・・ユウキ・・」

しばらくしてソニンはユウキの体を起こし、抱き寄せた。

「『姉さん』か・・・」


「バカ・・・」


そっと額にキスをし、ユウキの体を抱きしめ続けた。

348名無しスター:03/05/30 01:41 ID:wbcBWUwK

まあ死んじゃったわけだが・・・
これで良かったのかな。
349名無し天狗:03/05/30 02:58 ID:B4tBgyk0
>名無しスターさん
・・・何だか、読んでて切なくなってきました。
このままフェードアウトしてしまうんでしょうか?
それとも、新キャラとして復活するんでしょうか?
350名無し募集中。。。 :03/05/31 22:49 ID:5WdpKPQe
>名無しスターさん
・・・何だか、読んでて切なくなってきました。
このままフェードアウトしてしまうんでしょうか?
それとも、新キャラとして復活するんでしょうか?


351名無し募集中。。。:03/05/31 22:55 ID:s1ezS57B
>350
なぜ>349のコピペ!?
352川o・-・):03/06/01 23:30 ID:kosDujkb
川σ_σ||( `_´)( ‐ Δ‐)ノノ “ З.“)<保全
353白いカラス:03/06/02 20:01 ID:vZz/HyKY
( ´ Д `)<フ・・・保全だ…。
354名無しスター:03/06/02 20:55 ID:8YO55KlH
スマソ・・・
355名無し娘。:03/06/02 22:03 ID:82ETAbrl
衝撃の展開というヤツだね。ラストはどうなるのかな?
356名無し募集中。。。:03/06/04 20:20 ID:3ncjAXHR
さらっと保全。
357川o・-・) :03/06/05 00:21 ID:6Xg/0Hlq
川=‘ゝ‘=||(0゚v゚0)(新メン)川o・-・)从VvV从<保全
358名無し募集中。。。:03/06/05 18:02 ID:JmMYEM0a
>358
 良い機会なので、斉藤美海(みうな)についてのキャスティング案とか
考えてみたらどうよ、と言ってみるテスト

359名無し募集中。。。:03/06/06 17:20 ID:XN7vy6Mn
>>358
カントリーってこのスレじゃ不遇なんだよね。(りんねといいあさみといい)
里田にあわせるならキカイダー00(ダブルオー)かな? 原作にしか出ないけど。
というか、キャスティングなら6期の方が先では? てことでついでに。
平成ライダー、クウガとアギトは予約済みだから……。

道重=龍騎(鏡を持ってるから)
田中=555(ラフな戦い方が)
亀井=ZO(ごめん、余り)

ただ、龍騎はライダーの数多いんで個人的には絡ませたくない。
あるいは

亀井=ザビタン
田中=イビル
道重=ガブラ

とか。(道重ヲタの人スマン)
360名無し募集中。。。:03/06/06 20:44 ID:UU8ZLFO/
 以前作者が龍騎ネタをやろうとしてたけど、読者のリアクションは今ひとつ
だったようだし、龍騎はないかも。
361怪人辞典:03/06/07 20:58 ID:Li9tCJYS
人造人間ゼロワン
 風天和尚によって生み出されたキカイダー01のコピー。和尚の命令に従う程度の
頭脳しか持ち合わせていないが、額から発射する熱光線「サンライズビーム」など
戦闘力は侮れないものがあったと思われる。しかし、結局シャドウナイトによって
すべて破壊されてしまったようだ。

シャドウナイト
 ゼティマ下部組織の一つ、「シャドウ」の大幹部。騎士を思わせる甲冑を纏った
巨大な一つ目のロボットで、その目から発射する光線「眼力光線」が主な必殺技。
キカイダー01・まいの強奪、もしくは破壊を主任務として姿を現したようだが、
風天和尚によってその任務は阻まれた。今後も何かの形でまいの行く手を阻むことが
予想される。

毒うつぼ
 血車党の化身忍者。うつぼを操って相手にからみつかせるほか、口から吐く毒煙
は相手をドロドロに溶かす効力を持つ。頭部の触角が弱点で、これを失うと毒煙を
コントロールできなくなってしまう。最後は嵐の「秘剣・影うつし」の一閃によって
真っ二つになったことすら気づかぬまま絶命。
362怪人辞典:03/06/07 21:01 ID:Li9tCJYS
ドクガロイド
 暗闇大使配下の改造人間。ヨーロッパでの任務を終えて帰還したが、ZXの理論を
横取りされたことに腹を立てた暗闇大使の八つ当たりを受けてさんざんな目に遭う。

タカロイド
 同じく暗闇大使配下の改造人間。後から軍団入りした麻琴と美帆に対して強い
不信感を抱いている。そのため二人を見下した態度を取るが、それが災いして美帆に
シメられてしまった。

ウニデーモン
 鬼の姿をしているが実はウニの改造人間。テレビ版では宝石の力で人間を凶暴化
する力をもっていたが本編では使用しなかった。「世紀王」となるべき娘を捜しに
来ていたと思われる。自慢の金棒を振り回して戦ったが、「ダブルアタック」に
よって敗れた。

オカッパ法師
 ウニデーモンとともに子供集めをしていたと思われる。水から力を得て神通力を
操り、伸縮自在の海苔で相手を海苔巻きにしてしまう「カッパ巻き」攻撃が得意技。
イナズマンとの超能力勝負に敗れて頭の皿の水分を失い逃亡を図るも、最後は
スカイライダーのスカイキックに敗れた。

※ カゲスター編の2怪人は現在進行中のストーリーのため今回は除外。
363名無し募集中。。。:03/06/08 18:04 ID:WVUgmIf2
続きどうなったのか気になるところなんだが・・・・・。
364ナナシマン:03/06/08 18:17 ID:3BToGJP2
 ところで、BLACKのキャスティングは

从‘ 。‘从<君は、見たか、亜弥が〜真っ赤に燃えるのを〜♪
       暗い、闇の、底で〜危険な川VvV从<ワナカヨ!が待つ〜♪
(倉田てつを風に)

と言うことで良いのでしょうか?導入についてはZX編から徐々に
BLACK編への布石が打たれていく予定です。

 そう言えば、対荒ワシ師団長戦でストロンガーが出したとされる
「水中エレクトリックファイヤー」ですが、未見のため技の詳細を
知らないんです。技を出すときの技名の発声なども含め、ご存じの
方居られましたら教えて頂けませんか?

>>360
 ちょうど6期の話が出たのでお聞きしたいんですけど、道重、
田中、亀井の国民投票の時のエントリーナンバーを覚えてらっしゃる
方、併せて情報お待ちしてます。それにしてもキャスティング、鋭い
トコ突きましたね。本編のファイズは6期から決めたいな、と思って
いたところです。
365360:03/06/08 23:00 ID:wL6nN6Ph
>>364
>道重、 田中、亀井の国民投票の時のエントリーナンバー
田中―1803番、道重―2825番、亀井―5501番、です。

>本編のファイズは6期から決めたいな
いっそ、ファイズの三本のベルトに振り分けるという手もありますね。
(三本目は未登場ですけど)
366名無しスター:03/06/10 00:24 ID:8lA2PsII
ほぜん
367名無しスター:03/06/11 01:32 ID:Tz2n1alr
最終話「東京ミッドナイトロンリネス」
368名無しスター:03/06/11 01:34 ID:Tz2n1alr
ユウキの死から1年後

ソニンは靖国神社の境内にいた。
制服姿に身を包み、同じ制服を着た一人の男性を連れていた。
自衛隊とも警察とも違う、黒っぽい制服だった。

本殿を参拝した後、通常あまり人の訪れない裏庭へ向かった。
そこにはまだ新しい、小さな碑があった。

碑には20数個の「印」がある他は何も描かれていない。周りには何の説明書きもない。
その存在を気にする人は誰もいなかった。
ソニンはその前で静かに目をつむり、手を合わせた。

「まだ24歳だったのに・・」
碑に刻まれた真新しい印を見ながらソニンが言った。

「うちの隊員の中では年長の方ですけどね・・・」
後ろにいた若い男が言った。

「26人目か・・・こんなに死なせてしまって。」

「・・・・しかし、この26人の犠牲で数千、いや数万の人が助かったのかも知れません」

「実験中の犠牲者も居るのよ。どっちにしろ私は天国には行けないわね・・・」

「・・・・・」

若い男は黙り込んだ。
369名無しスター:03/06/11 01:36 ID:Tz2n1alr
参拝を終え、神社の参道を歩くソニンに男が話しかけた。

「そういえば3等陸佐への昇進が決まったそうで・・ おめでとうございます。史上最年少の佐官ですね」

「私は陸自の人間じゃないわよ。『首都特別守備隊』の『隊長』。これが私の階級よ」

「守備隊のほとんどは陸自の出身ですし・・なにより今回、守備隊が実質『大隊相当』になったのですよ。
大隊長と言えば陸自の2等陸佐クラスです。」

「小隊が4つしかない『中隊』なのにね・・・」
ソニンはそう言って笑った。

「それでも国内最強の部隊です」
男は自嘲気味にそう言った。

「最強・・・か」
370名無しスター:03/06/11 01:38 ID:Tz2n1alr

ユウキの死の後、ソニンはしばらく中澤たちの家に身を寄せていた。
ユウキの葬儀は親戚が出したが、ソニンは葬式に顔を出さなかった。

全員と何日も話をした。
ソニンもユウキも含め、みんなZETIMAに家族や友人を殺されていた。
そして彼女達のほとんどが改造人間だという事実にソニンは驚いた。
中には「野生児」もいたが・・・

ソニンは安倍と辻からカゲスターの最期の様子を聞いた。
ハカイダーとカゲスターが姉弟だったことに全員が衝撃を受けた。
あまりに酷い運命だった。
仲の良い弟でもためらいなく殺す程の洗脳とは・・・ひとみと梨華は別の不安を感じていた。

ソニンは加護とは特に熱心に何度も話し合った。
お互いに技術を教えあい、特にソニンは積極的に自分の技術を加護に伝えた。
まるで自分の研究を加護に託そうかとしているようだった。

そしてしばらくしてソニンは中澤の家から姿を消した。
371名無しスター:03/06/11 01:42 ID:Tz2n1alr
中澤の家を出たソニンは、まずユウキの墓に行った。

その後、一人で工場に向かった。

狙いはハカイダーである。
うまく彼女を連れ出せれば、加護のところで記憶が戻るかもしれない。
パワーが「あの日」から徐々に落ちていた。行くなら今しかない。
もしダメなら刺し違えても倒す。彼女をユウキの傍へ連れて行く・・


決死の覚悟で単身敵のアジトに向かうソニンだったが・・・

工場はもぬけの空だった。

ソニンは扉をこじ開け、コンクリートの壁を破壊し、壁という壁、床という床を穴だらけにしたが、
抜け道どころか手がかり一つ見つけられなかった。
結局見つかったのはあの時無くした使い捨てカメラと、研究所長のものと思われるバッチだけだった。

地盤沈下して崩壊した工場で一人佇むソニン。そこへ数台の車が乗り込んできた。
車からは見覚えのある男達が降りて来た。
372名無し募集中。。。:03/06/12 20:39 ID:VnAq2Iz0
保全。最終回ってことはスタータンの話はもうないの?
373名無しスター:03/06/13 01:55 ID:hSKoniMS
それから1年・・・

ソニンは最初政府専属の警備員として、たった一人で戦い始めた。

半年ほどして、研究所で強化された隊員を加えて「守備隊」が組織された。
守備隊の隊長は最初は陸自の幹部クラスが就任したが、次々暗殺され、
結局ソニンが隊長に抜擢されることになった。

「・・・それで『Z』の様子は?」
神社の参道でソニンが若い隊員に聞いた。

「情報どおりこちらに向かっています。大した怪人はいないようです」

「今夜には来るわね・・・わかったわ。今夜は私が直接指揮します」
374名無しスター:03/06/13 01:56 ID:hSKoniMS
「来て頂けるのですか?」
男が明るい声を上げた

「第4小隊は今日が初陣でしょ。それとも迷惑だった?」
「とんでもない!隊員たちも喜びます」

「一番喜んでいるのはあなたじゃないの?『副隊長』」
ソニンはいたずらっぽくそう言って笑った。

「いえ・・その・・・」
副隊長と呼ばれている「第1小隊長」は顔を赤らめて黙り込んでしまった。

大きな体に似合わず純情そうだ。ソニンに好意を抱いているらしい。
ソニンの方もこの男を憎からず思っているようだった。
2人の間にちょっと妙な空気が流れ始めた。ソニンはあわてて口調を変えて言った。

「守備隊の『掟』は分かってるわよね」

「・・・はい!」
375名無しスター:03/06/13 01:58 ID:hSKoniMS
守備隊の入隊条件の一つに「天涯孤独であること」というのがある。

改造(強化)を受けるため、任務があまりに危険なため、そして機密保持のため、
隊員は入隊の時に戸籍を抹消され、死亡したことになる。

そして外界との接触は一切閉ざされる。

もちろん恋人を作る事など厳禁である。

結果として守備隊にはZETIMAに家族を殺された自衛隊員が志願する事が多い。
警察からは志願者は少なかった。
事件を揉み消す側なので嫌われるのは仕方がないのだ・・・

守備隊に志願した隊員は研究所で強化され、隊に配属される。
強化のレベルは様々だが、小隊長クラスは怪人で言えば中の下程度。平隊員は下級怪人か戦闘員よりちょっと上のレベルである。

小隊はそれぞれ10人前後で、守備隊全体で50人に満たない。
「最強」と言う割には弱すぎる。

まだ発足してわずか半年だが・・
376名無しスター:03/06/13 01:59 ID:hSKoniMS
「それに・・私には時間が無いの」
今度はつぶやくようにソニンが言った。

「はい・・・・」
『副隊長』は伏し目がちに返事をした。

動物実験を続けていて新たに分かった事がある。
ソニンの技術で強化されたマウスは長生きできなかった。寿命が短くなっているのである。

平均で3分の1。長くて半分。
特にソニンのように無茶な強化をした人間がどれだけ生きられるか、見当もつかない。

「(あと10年か、それとも5年か・・・)」
ソニンには寄り道をしている時間はなかった。
377名無しスター:03/06/14 22:12 ID:6ikgd8Cv
悪ぃ、保全・・
378名無しスター:03/06/16 01:41 ID:sJly6b3p

「それで、前からお聞きしたかったのですが。」
しばらくの沈黙の後「副隊長」がソニンに尋ねた

「何?」

「小隊が取り逃がしたり、撤退した後の怪人はやはり隊長が?・・」
「うーん・・・私の手に負える怪人はね。残りは彼女達が・・・」

「彼女?」
「あ・・・本当は機密事項なんだけど・・」

ソニンは「副隊長」にライダー達の話をした


ソニンは政府の仕事をするようになってから、非公式に何度も中澤たちと接触した。
政府の下で一緒に戦おうと呼びかけた。

しかし彼女達は「自分達の闘いはあくまで私闘」という理由で拒み続けた。
政府の仕事をすれば経済的な苦労はなくなる。
しかし代わりに自由もなくなる。下手をすると政府にいいように使われる可能性もあるのだ。

ソニンもそれを分かっていた。無理強いは出来なかった。
そのかわり給料のほとんどを毎月、匿名で中澤に送金している。
遠慮なく使ってもらっているのか、それともいずれ突っ返されるかは分からない。
そして情報も出来る限り提供している。本当は違法なのだが。
379名無しスター:03/06/16 01:43 ID:sJly6b3p
「そうですか。そんな噂を耳にしたことはありましたが・・・私は正直言いいますと、
今の待遇に不満を持っていました。」

「破格の給料をもらってるでしょ?そりゃ使う機会は無いけど・・・」
「お金の面ではありません。ただ誰にも知られず影のように戦うことが悔しいのです」

「名誉が欲しいの?」
「いいえ。無名のまま死んでいく部下達が不憫だったのです。しかし目が覚めました」

「目が覚めた?」
「我々の戦いは記録に残ります。勝つことが出来ればいずれは評価される時が来るかも知れません。
しかし彼女達は何の見返りも無いのに、そしてそれが語り継がれる事も無いのに、
ただ正義のために命を投げ出しているのですね・・・」

「そうね・・でもきっと彼女達は伝説として人々の心に残る気がする・・・
でも誰にも知られることなく、『Z』と戦って散って行った無名の戦士はきっと他にいくらでもいるわ・・・」

ソニンはそう言って首から下げたロケットを握りしめた。
「副隊長」はその様子を黙って見ていた。

ロケットの中は「弟」の写真だと聞いている。
ソニンが工場で拾ったカメラのフィルムを現像したものだ。
そしてソニンの胸には同じ場所で拾った初代研究所長のバッチが付けられていた。
380名無しスター:03/06/16 01:45 ID:sJly6b3p
2人は人目を避けるように裏口から外にでた。
門の側には2台の黒い高級乗用車が停まっていた。

1台の方から男が降りてきてソニンに声をかけた。
「所長!所長が設計した、新しい実験設備ですが・・」

首都特別守備隊々長兼『Z』対策研究本部付第2研究所長
これが現在のソニンの正式な肩書である。

第2研究所は元々あった研究所とは別に、ソニンのために新しく作られた。
守備隊の仕事をする見返りに、自由に研究をさせてもらっている。

「・・ようやく完成しました。先ほど試運転が終わったところです」
「わかったわ。明日行きます。いつものように最初に私が実験台になりますから・・・」

ソニンはストロンガーの電撃を受けた後、一時的にパワーが上がった。
しかしその後じわじわとパワーが下がり続けている。原因はわからない。
これは誰にも秘密にしていた。
自ら装置の実験台になり、ちょっとずつ強化することで何とか今のパワーを維持していた
381名無しスター:03/06/16 01:48 ID:sJly6b3p
「今夜にでも動かせます、是非今すぐ見に来てくださいよ」
研究員が声を弾ませながら言った。

「残念ですが隊長殿は今夜出撃です。これからブリーフィングがあるので
 守備隊本部に向かわなければいけません」
「副隊長」が遮るように間に入って言った。

「じゃあ本部までうちの車でお送りします。車の中で施設の説明をしましょう・・」
「駄目駄目!本部に行く時はうちの車を使うことに決まってるんだから」

「なんだよ!いつもそっちの車ばっかりじゃないか!うちの所長でもあるんだぞ。
 たまにはこっちに譲ってくれてもいいだろ!」

「隊長殿は好きでこっちの車に乗ってるんだよ!」
「じゃあ直接聞いてみようじゃないか!」

「所長!・・・」
「隊長!・・・」
382名無しスター:03/06/16 01:49 ID:sJly6b3p
「お先っ!」
ソニンは2人の会話を尻目に、本部に向かって走り出した。

「ちょ、ちょっと待って下さい!」
研究員があわてて車で追いかける。

「隊長ぉ!『最高機密事項』が派手に走り回らないで下さぁい!」
猛スピードで走るソニンの後を2台の黒い高級自動車が追いかけて行った。

ソニンは走りながら考えていた。
自分には3つ目標がある。
1つはゼティマの壊滅。
1つは真希の記憶を甦らせ、ユウキの最期を伝えること。
1つは・・・自分の手でカゲスターとベルスターを作りだすこと。

残された時間は少ないかも知れない。

しかしいつの日か自分が「カゲスター部隊」と「ベルスター部隊」を率いてゼティマを壊滅させる事を夢見ている。

「やるぞぉ!」
ソニンはさらにスピードを上げ、東京の街の中に消えて行った。
383名無しスター :03/06/16 02:06 ID:sJly6b3p

東京某所。地下深く。

ここに1年前に引っ越して来たゼティマの研究所がある。
急な移転だったため一時研究が中断していたが、今は何事も無かったように研究を続けている。

ここにハカイダー・真希がやって来た。
体のメンテナンスのためであった。

ボディのメンテナンスと、頭脳・・記憶のメンテナンスを行う。
ゼティマにとって都合の悪い記憶は「封印」される。

何日かに一度行われる、いつものことであった。
研究所の場所が変わっても、やることは何も変わらない。
384名無しスター:03/06/16 02:08 ID:sJly6b3p
記憶のメンテナンスの時、脳につながる端子を抜き差しする。
このとき一瞬昔の記憶が甦る。

真希はいつもこれを楽しみにしていた。
これも何も変わらない。

ただ、「あの日」以来メンテナンスの後必ず涙を流すようになった。
真希にはその理由がわからなかった。
なにか悲しい事でもあったのだろうか。しかしそれが何なのかはわからない。

メンテナンスが終わり、バイクに乗り研究所を後にする。

バイクを運転しながらふと考える

「自分は何のために生まれて来たのだろう・・・」

しかしこれを考え始めるといつも同じ結論に行き着く。

「ハカイダー、殺す!」

取り憑かれたような目をしたまま、真希の運転するバイクは東京の雑踏に消えて行った。


〜終わり〜
385名無しスター:03/06/16 02:11 ID:sJly6b3p
ふう、終わった・・
386名無し募集中。。。:03/06/16 18:33 ID:Cn8bhYmb
 名無しスタータソ乙れす。
今までと毛色の違うストーリーながらたのしめますた。次また何か
書くの?楽しみにしててよいのかな?
387名無し娘。:03/06/16 21:41 ID:MK5QgqW8
 お疲れさんでした。何か完結がめでたくもあり寂しくもあり。
また何か書いてくれるのを楽しみにしてるよ。 
388ナナシマン:03/06/17 22:45 ID:1fQJKwEj
>>名無しスターさん
 完結お疲れ様でした。終始オリジナリティ溢れる内容でもっと続いてくれる
ものだと思っていただけにそれを考えると寂しいな、という気もしますが今は
ただお疲れ様でした、という気持ちです。二つの線は交わることはあったと
しても一つになることはなかった、というのは何か現実的ですらあります。

>>360さん
 遅レスですいません。情報提供ありがとうございます。三本目のベルト、
もしかしたら先日公開された555劇場版のライダーかも知れませんね。装着
適合者については6期に限らず、ストーリーによってはテレビ版みたいに何人
か現れるかも知れません。

>>361さん
 龍騎ネタはすでにいくつか立ってますよね。羊には
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1047449117/l50
そして狩に
http://www.metroports.com/test/read.cgi?bbs=morning&key=1046683655&ls=50
あと特撮板にもあったような気がします。ですから、今となってはここでやる
意味は余り無いように思います。上記のスレは僕もよく見ているスレなので、
龍騎ネタを読みたい方は覗いてみられると良いでしょう。(特に後者は小説スレ
ですので更新楽しみにしてます)
389ナナシマン:03/06/17 22:56 ID:1fQJKwEj
第38話 「決戦前夜・新たな悪の胎動」


(第37話・ZX編のあらすじ)

 パーフェクトサイボーグZXこと麻琴は、仮面ライダーとの戦いの中で
謎の声を聞き、それ以来自らの失われた過去の記憶を渇望するようになって
いた。基地に帰還した後、ふとしたことで再び謎の声を聞いた麻琴は美帆
に連れられて電子頭脳のメンテナンスを受けることになったが、その際に
担当の科学者であるまゆみから記憶をたどる手がかりを得る。まゆみは
基地を脱走した女が新たな手がかりを握っているのではないかと麻琴に
告げた。

 一方、麻琴が記憶を取り戻しつつあることはすでにゼティマ最高幹部
悪魔元帥の知るところであった。悪魔元帥は幽霊博士に、万一の際には
ZXを抹殺せよと命じた。試作段階のZXから必要なデータを採取したい
と抹殺を渋る幽霊博士だったが、偶然麻琴とまゆみのやりとりを立ち聞き
してしまった。組織にとって最悪の事態を予測した彼は、裕子の身柄を
確保した後に麻琴を抹殺するよう美帆を再洗脳する。
 かくして裕子は敵の手に落ち、麻琴は隠された組織の思惑を知らぬまま
合流ポイントへと向かうのであった。
390ナナシマン:03/06/17 22:56 ID:1fQJKwEj
 ZXとタイガーロイドの合流地点は、奥多摩の峠道を見下ろす高台の上に
ある廃墟だった。かつてそこは郊外型のホテルとして建築が進められていた
ものの、バブル崩壊後の不況によって建設は打ち切られ、そのまま放置
されていたものである。見渡せば、壁面には黒いカビのような汚れとともに
ひび割れが幾筋も無惨に走り、地面にはアスファルトを割って雑草が蔓延って
おり、荒れるに任せて捨て置かれたこの建物の境遇を物語っていた。

 さて、タイガーロイドこと信田美帆よりも一足先にこの場所にたどり着いた
ZXこと小川麻琴は、パーフェクトサイボーグのメンテナンスを担当する
科学者、夏まゆみから脳改造セクション、通称「レベル4」で自身の記憶に
ついての断片的な情報を手に入れていた。脱走者の手によって資料の多くは
失われていたものの、唯一明らかになった記憶の欠片、自らの名を手に入れた
麻琴。そしてやがて連れられて来るであろう脱走者の名は中澤裕子。それは
麻琴の記憶の鍵を握るやも知れぬ女の名である。

 『ゼティマを信じちゃだめ!ヤツらがあんたに記憶をくれるなんて、そんな
ことは絶対にないから!』

 不意にまゆみの言葉が脳裏をよぎる。かつて麻琴は、彼女が流した血と
積み重ねたいくつもの犠牲と引き替えに失われた記憶を手に入れる約束を
ゼティマと交わしていた。だが、それは未だ守られることなく現在に至って
いる。
391ナナシマン:03/06/17 22:56 ID:1fQJKwEj
 「あいつらはきっと最初から私との約束を守る気なんてなかったんだ。私が
記憶を取り戻そうとしていることが判れば、私だけじゃなく夏先生まで・・・」


 まゆみの身を案じ、麻琴はある決心を固めた。それはやっと手に入れた記憶の
欠片と、それを与えてくれた恩人の命を守るための決然たる思いだった。

 (私は自分を取り戻すために・・・私を捨てる)

 麻琴はあえて、これから訪れるであろう戦いに際して非常な殺人マシンとして
振る舞うことを決心した。全ては記憶を取り戻しつつあるという事実を隠し通す
ためだ。結局は組織のために己を捨てて戦うことが、己を取り戻す近道である
ことに何ら変わりはなかったが、今ではその動機が根本的に違っていた。
 与えられるのを待っていてはだめなのだ。相手に与える気がないならむしろ
こちらから奪い取らなければならない。そんな思いが、麻琴を再びパーフェクト
サイボーグへと変えたのだ。
392ナナシマン:03/06/17 22:57 ID:1fQJKwEj
 やがて、ひび割れたアスファルトの彼方から自動車のエンジン音が聞こえて
きた。予定どおり、美帆がこの場所にやってきたのだ。車の中に目をこらすと、
人影が二つあるのが判る。助手席に意識を失い、シートにもたれかかっている
女の姿を認めた麻琴は、自分の記憶の欠片を取り戻すチャンスが訪れたことを
感じて期待に胸を高鳴らせた。だが、その高ぶりは決して悟られてはならない。
ついさっき、非情の殺人マシンに徹すると誓ったばかりではないか。そう
思い直し、彼女は愛機ヘルダイバーから降りると冷静を装い、ゆっくりと美帆の
車へと歩み寄る。

 「さすがだな、予定通りだ」

 ドアの近くまで来たその時、麻琴の言葉に応えるように運転席のドアが開くと、
そこから姿を現したのはやはり信田美帆だった。

 「稲葉の名前を出したら簡単に警戒心を解いてくれたよ。楽な仕事だ」

 そう言って美帆は麻琴に微笑みかける。麻琴はまだ、美帆が幽霊博士の「再調整」
を受けて秘密の指示を受けている事を知らなかった。ふと車のほうに視線を向ける
と、開け放たれたドアの向こうに見える女の眉間が微かに動き始めているのに
気づいた。そして瞼がうっすらと開き、やがて艶やかな唇も少しずつ開き始めた。


 「ぅん・・んっ・・・」

不意に漏れた声に、二人は女が意識を取り戻したことを悟った。
393ナナシマン:03/06/17 22:59 ID:1fQJKwEj
 誠に勝手ながら本編始めさせて頂きました。なにせ「ライダーのの」なのに聖誕祭に書き込みがないのも
いかがなものかと思いまして(w
394名無し募集中。。。 :03/06/17 23:13 ID:J0mURndu
>>388
下のアドレスが404デツ
395ナナシマン:03/06/17 23:20 ID:1fQJKwEj
>395
もしかして狩板のやつでしょうか?どうやら狩全体が現在見れなくなってるみたいです。

皆様、永らくご無沙汰してて申し訳ございません・・・。

>名無しスターさん
お疲れ様でした。カゲスター編、ラストはちょっと複雑でしたが、楽しんで
拝読させて頂きました。次回策を楽しみにしてます。
今度は石ノ森ブランドにトライしてみては?

>怪人事典編纂者さん
編纂お疲れ様です。そして、私の「嵐」のキャラも加えて下さりありがとうございます。
これからも化身忍者はTVからの引用とオリジナルとを織り交ぜて出そうと思ってます。

>ナナシマンさん、360さん
BLACKはもともと私がしゃしゃり出てやらかしてしまった「キャスティング予想」で
すでに考えていたんですが・・・やはり同じことを考えてる人がいるみたいですね。
それぞれのイメージにピッタリだし、私はOKですが他の方が何と言うか・・・。
555はじっくり見たことがないので何とも言えませんが・・・あるのであれば楽しみです。
あと、ZX編再開おめでとうございます!楽しみにしてました!!
今後に期待してますのでムリせず頑張ってください!!
397名無し天狗:03/06/17 23:41 ID:UzOJP/vj
今度の「嵐」は“仇討ち”をテーマにしようと思っています。
舞台は、まだ江戸時代初期・三代将軍家光の治世です。
398ナナシマン:03/06/18 19:08 ID:ag/nNoUv
 「気がついたかい?」

 車の中の女にいたずらっぽい笑みを浮かべて美帆は言った。女はまだ自分の身に
起きた出来事や自身の置かれた状況を把握できていないといった風だったが、
それでも強い警戒心を滲ませた目で二人を睨んでいる。

 「心配するな、しばらくは無事でいられる」

 麻琴はそう言って車の中の女をしばらく見つめていたが、やがてきびすを返して
ヘルダイバーを止めた場所へと歩き出した。その姿を黙って見送っていた女は、
今度は美帆の方へと視線を送り、一言悪態をついてみせる。

 「しばらくて・・・どうせ用が済めば殺すっちゅう話やろ?」

 女〜中澤裕子の言葉に美帆は冷淡に言い放つ。

 「お前の態度次第ではそれが早まることになる。一度はゼティマに籍を置いた者
なら、それくらいは判るだろう?」

 美帆は手荒にドアを閉めると愛機を駆るZX共々、前線基地のある山中へと
車を走らせた。
399ナナシマン:03/06/18 19:08 ID:ag/nNoUv
 一方、こちらは悪の秘密結社ゼティマの日本支部。最高幹部悪魔元帥は何者かに
呼び出され、基地の最深部にある神殿にいた。そこは普段は立ち入る者もほとんど
無く、また神殿といっても地底奥深いところにあるため、暗闇に覆われた建物の
全容などを知る余地もない。建造物があることすら疑わしいほどの漆黒の闇が
辺り一面を覆っているのだ。そして何より、ここの住人たちが元帥にとっては
好ましからざる人物達であったから、彼はこのエリアについてはこれまでほとんど
関心を払ってこなかったのだ。

 「この儂を呼び出すとは、一体いかなる用件だ・・・」

 足下を流れる冷気は白いもやのようになって漂い、漆黒の闇をより一層不気味
なものにしている。それは元帥が歩を進めるたびに一瞬散るものの、すぐまた
湧いてきて彼の脛のあたりまでを覆い隠してしまう。まるで小川を歩いて渡る
ように、悪魔元帥はもやの中を行く。


 深い深い漆黒の闇。それは悪魔元帥をしても終わりを知らぬほど続いた。
しかし、その時突然どこからともなく声が聞こえてきた。

 「ようこそ。待っておったぞ、悪魔元帥」

 地の底から響くようなおどろおどろしい声。しかし、元帥にとってそれは
聞き覚えのある声だった。

 「何を勿体付ける事がある・・・いるのは判っているぞ、『三神官』」
400ナナシマン:03/06/18 19:09 ID:ag/nNoUv
所用ありまして今日はここまで。明日またお目にかかりましょう。
401川o・-・) :03/06/18 23:31 ID:dKyZxEnP
川o・-・)<>>394 両方とも普通に見れますよ。狩の方は重いですが。
     三神官キタ━━━━川o゚∀゚)━━━━━!!
402名無し天狗:03/06/19 00:53 ID:+EWx7nJi
>ナナシマンさん
おお!急展開!それからそれから・・・!?
403名無し募集中。。。:03/06/19 11:27 ID:tG5B8dLw
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1049902795/555
555 :名無し募集中。。。 :03/06/19 10:44 ID:meST/X4B
( ´D`)<555

応援sage
404ナナシマン:03/06/19 18:45 ID:0m7gYZDg
 すると、その声に答えるかのように闇の中から声がする。先ほどの声の主とは
違う声だが、また違った禍々しさを持つ闇の住人の声だ。

 「うぬこそ憎まれ口だけはあいかわらずよのう・・・」

 やがて、ローブをはためかせて中空を舞う白い三人組の姿が闇の中に浮かび
上がる。三人は元帥の頭上をくるくると回りながら、ゆっくりとまるで取り囲む
ようにして地上に降り立った。この白いローブの三人組こそがゼティマ大幹部の
最古参、「三神官」である。その姿を認めるや、ろくな挨拶もなしに悪魔元帥は
こう切り出す。

 「最近大首領様のお声を聞かぬが・・・」

しかし彼の言葉は、白いローブを着た一人の男によって遮られた。
405ナナシマン:03/06/19 18:48 ID:0m7gYZDg
しかし彼の言葉は、白いローブを着た一人の男によって遮られた。

 「創世王には御身すこぶるお健やかにてあらせられる。うぬらが無用な手回し
をする必要はない。己が本分を尽くすのだ」

 三神官の長、大神官バラオムは心配無用とばかりに悪魔元帥の言葉を手で
制する。その顔は纏ったローブのフードに隠れ、表情をうかがい知ることは
難しかったが、それでも元帥はお構いなしと言葉を続ける。

 「バラオムよ、大首領様にはあまりお時間がないのであろう。ならば儂が
次なる器を用意して差し上げよう」

 三神官を前にしてのこの言葉。彼らと元帥は組織内部において同格であり
拮抗する存在であったが、三神官は大首領のそばに仕えている分その信任は
厚いと自負している。故に悪魔元帥の言葉は聞き捨てならなかったのか、
三神官の一人ダロムがいきり立つ。
406ナナシマン:03/06/19 18:49 ID:0m7gYZDg
 「控えよ!悪魔元帥!!」

 しかし悪魔元帥もまた、彼ら三人の台頭を許すつもりはない。方や三神官は
あくまで大首領の側仕え。しかし自分は直属の部下であり、組織を預かる身で
あるとの自負がある。こうなると三神官と元帥、互いの面子のぶつかり合いで
ある。

 「いいや、控えぬ。聞くがよい三神官、ZXとタイガーロイド、この二人を
世紀王に据えればよいのだ。作戦が終わり次第、『キングストーン』を移植し
互いに戦わせればよい」

 次期創世王となるべき二人の世紀王を選ぶには、日食の日に生まれた二人の
娘を捜し出さねばならないと伝えられている。そして、継承者の証である二つの
キングストーンをそれぞれに移植するのである。三神官はあくまでもこの慣わし
に拘るが、元帥に言わせれば手近にふさわしい「器」がすでに二つもあるの
だから捜索の必要はない、ということなのである。だが。
407ナナシマン:03/06/19 18:50 ID:0m7gYZDg
 「不遜なり、悪魔元帥!この儀は創世王ご自身が定められた慣わしぞ!
それをうぬはないがしろにする気か!!」

当然の反発である。だが、これにもひるまず元帥はやり返す。

 「黙れ!貴様らこそいたずらに時間を浪費しただけであろう!あの時
ビルゲニアを世紀王に据えておれば、この様なことにはならんのだ!!」

 剣聖ビルゲニア。それはかつて世紀王候補者として名を挙げられながら、
その行いが粗暴であったために3万年前に封印されてしまった一人の男の
名である。

 「ビルゲニアは世紀王の器にあらず!なればこそ我ら三人、あの無法者を
封印したのだ」

 同じように白いローブを身に纏った一人の女が言う。彼女は右の目で過去を、
そして左の目で未来を見ることの出来る預言者、大神官ビジュムである。
 創世王〜大首領が永遠に生きながらえることは、組織の未来永劫の存続に
つながる事であり、故にその継承者たる世紀王の選出は組織の大事と言える。
その意味では彼らがビルゲニアの推挙を取りやめたのは当然の判断だと言えた。
しかし、元帥にとっては彼らの思慮は無駄な時間の浪費でしかない。事実、
封印後の2万年の間、彼らは世紀王となるべき者を見つけ出せないでいたのだ。
そんな三神官に一瞥くれると、悪魔元帥はきびすを返す。そして、去り際に
こんな言葉を残していった。

 「いずれZXがその本領を見せるときが来る。その時こそ、どちらが正しいか
判ろうというものよ」
408ナナシマン:03/06/19 19:11 ID:0m7gYZDg
 去っていく元帥の姿を、黙って見届ける三神官。結局彼らは自らの用件を何一つ
告げることが出来ないまま元帥に去られてしまった。

 「何という暴挙!」

 「何という不遜!!」

 ダロムとビジュム、二人の大神官が顔を見合わせて悪罵の声を挙げる。元帥の言葉は
彼ら三神官の尊厳に泥を塗るに等しかった。元帥の姿はすでに闇の彼方に消え、
白い靄が足下を覆う神殿にはもう三神官以外には誰もいなかった。三神官の長たる
大神官バラオムはダロム、そしてビジュムと顔を見合わせると、憤慨する二人の大神官
に対してこの場は耐えよと説き伏せる。憤懣やるかたなしとの思いを抱きながらも、
三神官達は再び闇の中へと消えていこうとしていた。まずはビジュムが、そしてそれに
続くようにダロム。三神官の白いローブが闇に溶けていく。そして、二人が去ったのを
見届けたかのようにバラオムが神殿を後にする。その時彼の目に映ったのは、人の
背丈ほどの大きさの鍾乳石だった。どのような経緯でそこに生じたか、今となっては
定かでないが、あまりにも不釣り合いなそのたたずまいはさしものバラオムをしても
苦々しいものであった。

 「悪魔元帥よ、うぬの不遜今は目をつぶろうぞ。だが、覚えておくがよい。伝承は絶対
なのだ。それをないがしろにするものは・・・」

 闇の中にあって場違いな存在感を醸し出す鍾乳石。それはゼティマ幹部の中にあって
異質な存在感を放つ、あの男に似ていたというのか。バラオムはおもむろに鍾乳石に
向かって手をかざすと指先から稲妻のような光線がほとばしり、鍾乳石を粉々に
打ち砕いてしまった。

 「やがてその身を滅ぼす・・・我らが新たなる王によってな・・・」

そう言い残すと、バラオムもまた二人の大神官の後を追い、漆黒の闇に消えた。 
409ナナシマン:03/06/19 22:03 ID:AYvlwzwb
取り急ぎお返事のみ。

>402>403
 今回のはあくまで布石の一つというか広げた風呂敷の裾というか、BLACK編に
ついては僕としては少し引っ張って行ければいいな、などと思ってます(w。
 出し惜しみするって訳ではないんですが、他の作者さん方とやるべき話はまだ
たくさんありますし、またBLACKの話ってある意味シリーズの特異点ですから
そこを他の作者さん方がどのように料理されるかも含めてちょっとゆっくりやって
いきたいな、と。

>404
 何かの偶然でもこう言うのは単純に嬉しいですね。どうもです。


 次回、いよいよ悪の魔の手が娘。たちに・・・というところですが、ここでちょっと
お休みをいただきます。実はここから先の話がまだ飛び飛びにしか書けてない
ので、その点でお時間をいただきたくて。あさって土曜にお目にかかります。
410名無しスター:03/06/20 00:19 ID:+sSEs3cl
>>386
>>387
>>388
元々「カゲスター」自体サイドストーリー的な感じだったので、
あまり本編のストーリーには入り込みませんでした。
つーか、怖くて入り込めなかったと言うか。
ユウキが死ぬ(消える)っていうのは最初から考えてました。
これは「現実」と同じなので・・・

で、結局この世界における警察・自衛隊のスタンス、つーか扱いについてダラダラ書いていただけな気がしますが。
ヒーローものでこういう話はタブー、つーか野暮ですなw
「次」については、また新しいキャラを連れて来るより、許されるなら「本編」の方を書いてみたいです。
(ただし設定を好き放題にイジリ倒す恐れあり、ノッてくると自分でも何を書き出すか分からんw)
ソニンについては、機会があったらどなたか使ってやって下さい。

しかし、小説を書いたのは初めてだったのですが・・・シンドイですねえw
411ナナシマン:03/06/21 21:37 ID:yj8eerAI
 程なくして、地下の暗闇から帰還した悪魔元帥。そんな彼を待っていた
のは黒髪の妖艶な女だった。彼女は元帥の幕僚の一人、諜報活動などを
得意とする「魔女参謀」である。

 「三神官のところでございますか?」

 「さすがに鋭いな。いかにもその通りよ。用件など聞かずともいつもの
こと。それこそバカの一つ覚えのようにな」

 「『運命の娘はまだか』、でごさいましょう?」

 もう何度もおなじようなやりとりがあったのだろう。魔女参謀は皮肉
混じりの言葉を笑みと共に言う。悪魔元帥もまた、彼らとのやりとりには
心底辟易している。だからこそ彼は伝承の内容にかかわらず、独自で
世紀王候補を擁立しようと考えたのだ。

 「伝承などに拘っておる場合ではない。あの小娘どもを根絶やしに
せねば組織の安泰はないのだ。二万年余、確かに敵らしい敵は我らには
いなかった。それが今はどうだ?」

 「小娘どものせいで我らの計画は狂うてばかり。歯がゆうございますね」

 「確かに大首領様の御身は第一。だが来るべき時に、主を迎えようにも
城も民もなければ何とする。そこをあの者達は判っておらんのだ。愚かな
ことだがな」

 そう言って元帥は三神官をさんざんに扱き下ろす。そして彼は魔女参謀
にこれから連れられてくる一人の脱走者のことを告げた。
412ナナシマン:03/06/21 21:37 ID:yj8eerAI
 「夕べ儂は幽霊博士に必殺の策を授けておいた。まもなくZX達が
一人の女を連れてくるが、その者を餌にライダーどもをおびき寄せて
抹殺する。だが、それだけでは足らぬ」

 「と、申しますと?」

 「ZXの記憶が戻るやも知れんのだ。科学者共は強烈な電気ショックが
原因だろうと分析しておるが、もしそうならやっかいな娘が二人おる」

 元帥の言う二人とは圭織となつみ、つまりスーパー1とストロンガーの
事である。スーパー1のエレキハンドはZXに記憶を戻すきっかけを与えた
直接の原因であり、一方のストロンガーは電気人間である。この二人が
戦いに参戦するとなれば、ZXを正面に立たせるのは少々躊躇われる
ところだ。元帥の言葉に、魔女参謀は何かを察したか怪しげな笑みと共に
言った。

 「その小娘を消せ、と仰せですね?」

元帥の意を察した魔女参謀は、自ら策をもって圭織となつみの二人を抹殺
しようと行動を開始しようとした。と、その時である。
413ナナシマン:03/06/21 21:38 ID:yj8eerAI
 「話は聞かせて貰ったぞ」

 不意に聞こえてきた男の声。あたりを見回すと、部屋の入り口の影に
何者かの影があった。マントのようなものに身を包み、大きな三角形
の兜をかぶったシルエットは、二人のよく知るある男の名を想起させた。

 「人の話を立ち聞きとは趣味が悪い・・・地獄大使!」

腰につり下げた鞭を素早く手に取り、人影に向かって一撃放つ魔女参謀。
しかし、その影に放たれた鞭は彼女の手に思いも寄らぬ感触を与える。
人影に向かって吸い込まれるように放たれた鞭は直後影に向かって
ぐいぐいと引き込まれて行くではないか。なんと魔女参謀の鞭は命中する
寸前、その影によって受け止められていたのだ。

 「なっ・・・まさか私の鞭を?!」

驚きの声を挙げる魔女参謀。そして影は遂にその正体を現す。

 「そうか、声まで似ておるか・・・全く忌々しい限りよ」

 そして謎の人影は二人の目の前に姿を現した。目の前に現れた男は
どう見ても地獄大使そのものだった。男は掴み取った鞭の先端を手放し
自らの名を名乗る。見覚えのある顔、そして聞き覚えのある声。しかし
その名前は、およそ聞き覚えのないものだった。
414ナナシマン:03/06/21 21:38 ID:yj8eerAI
 「我が名は『暗闇大使』。闇からの使いよ。それより悪魔元帥、小娘の
始末、儂に任せてはもらえぬか?」

 「暗闇大使だと?聞かぬ名だが・・・」

 「ならば以後、見知りおくがよい。それより儂に任すのか、任さん
のか・・・どちらだ?」

 自信たっぷりの笑みを見せる暗闇大使を目の前にして、元帥の胸中に
ある確信めいた思いがよぎる。この男はやる、そんな思いが口をついて
出る。

 「それほどまで言うのならやってみせよ、暗闇大使とやら」

悪魔元帥の言葉に、暗闇大使は邪悪な笑みを浮かべて答えた。

 「フフフ・・・朗報を期待しておけ」
415ナナシマン:03/06/21 22:02 ID:3t3R/BfZ
 そのころ、週末のにぎわいを見せる夜の繁華街。喧噪ときらびやかな
ネオンが通りを彩り、行き交う人々はそれぞれに思い思いの夜を過ごす。

 スナック帰りの会社員の一団が、歩道で立ち話をしている。その脇を
カラオケに向かう若者達が横切る。出勤途中と思われる、金髪の若い女。
どこかのパブの外人ダンサー達が連れだって通りを歩く。その側で客待ち
のタクシーが車道を占有する中を、厳つい高級セダンがゆっくりと
走り抜けていく。

 そんな夜の街で、人混みの中を行く一人の男の姿があった。その
おぼつかない足取りは一見すると深酒のすぎた酔っぱらいにしか
見えず、行き交う人々もそれほど気には止めなかった。やがて、男は
たまたまそばを通りかかった柄の悪い男の肩に、急にしがみついた。

 「なっ、何すんだコラ!放せ!!」

しがみつかれた柄の悪い男は、身なりに違わぬ野太い声を挙げて
その男の腕を払いのけようとする。そして、そんな二人の視線が
合ったその時。

 「ばっ・・・化け物・・・ばけっ、ばけけけけけけぇぇぇぇ」

ろれつの回らぬ叫び声と共に、しがみついてきた男の顔が急激に
土気色に変色すると次の瞬間、あろう事か男はまるで砂か灰のように
あっという間に崩れ去ってしまったのだ。そして先ほどまで男の身体
だったと思われる大量の粉末が、男の着ていたスーツをすっかり
灰色にしてしまった。
416ナナシマン:03/06/21 22:03 ID:3t3R/BfZ
 「おい、おいっ!なっ・・何じゃこりゃあああ!!」

まるで昔の刑事ドラマのような叫び声を挙げる、柄の悪い男。しかし
彼の声さえ、街の喧噪は容易くかき消してしまっていた。
417ナナシマン:03/06/21 22:05 ID:3t3R/BfZ
 ビジュムの目についてですが、あの後よく調べてみたら「右で未来、左で過去」
でした。お詫びして訂正いたします。加えて今日のはペーストミスでちょっと
みっともないです。申し訳ありません。

>>名無しスターさん
 今度是非お願いします。好き放題は僕も似たようなモンですので。(w

418ナナシマン:03/06/23 12:33 ID:BRKXWbXq
 そして翌日。今日も中澤家に平穏な朝が訪れる。ただ一ついつもと
違っていたのは、そこに裕子の姿がなかったことだった。だが少女達は
彼女が敵の手に落ちたなど思ってもいなかった。生化学研究所にこもって
自室で調べられなかった資料を調べているに違いない、とそう思っていた。

 事実、裕子は最近一人で生化学研究所へ向かうことが多かった。日を増して
過酷になっていく少女達の戦いに少しでも力を貸すことが出来れば、そんな
思いで彼女は、脱走の際に持ち出した様々な資料を分析するなどの地道な
作業に、一人従事していたのだ。

 「結局帰ってきませんでしたね・・・」

 焼き上がったばかりのトーストを片手にあさ美が呟く。そのとたん、
コーヒーメーカーから立ち上るコーヒーの香りとはあまりに不釣り合いな
重苦しい空気が朝の食卓に漂う。

 「紺野ぉ、そんなに心配しなくても大丈夫だって。このところなんか
ずっと調べものしてるみたいだからさぁ、夕べもそうだったんだよ」

真里のそんな言葉にも、あさ美の表情は曇ったままだ。
419ナナシマン:03/06/23 12:33 ID:BRKXWbXq
 「私、なんだか悪い予感がするんです・・・」

 そう言うと、あさ美は食べかけていたトーストを置き、やおら立ち上がる
とリビングから飛び出そうとした。が、入り口でなつみと鉢合わせになって
しまった。あわてて飛び出そうとしたあさ美は、真里に言ったのと同じように
不安な気持ちを打ち明けたのだが、

 「どうせまた調べものにきまってるって」

 なんとも気楽な答えが返ってきた。もうこうなったら自分一人でも捜しに
行こう、そんなあさ美の姿を見かけて、食料調達から帰ったばかりの圭が
声をかける。今朝は不猟だったのか、手ぶらでの帰宅だった。

 「どうしたの?浮かない顔して。話だったら聞いてあげるからさ」

そんな圭の言葉に、あさ美は裕子が何も告げずに帰ってこない事への不安を
話す。

 「調べものかも知れないけど・・・でも何の連絡も無いのはおかしいよ」

 「ですよね?だから私、探しに行こうと思ってたんです」
420ナナシマン:03/06/23 12:34 ID:BRKXWbXq
 そんな二人のやりとりに、パトロールの準備を終えて姿を見せた圭織が
加わる。洗面所にいた彼女は、二人の会話の一部始終を聞いていて、
それならと裕子の捜索を提案する。

 「それなら今から探しに行こ?この時間はカオリとなっちの順番でしょ」

 そう言いながら圭織はなつみの方を見やるが、当のなつみはと言えばまだ
パジャマ姿のままだった。

 「はぁ?!ちょっとまってよ」

その口調には、明らかな怒りの色が滲んでいた。
421ナナシマン:03/06/23 12:35 ID:BRKXWbXq
×なんとも気楽
○なんとも呑気
です。訂正いたします。
422ナナシマン:03/06/23 17:49 ID:clF0srMY
今日はここまで。一応明日で今回の話は終了となります。
423名無し天狗:03/06/23 21:24 ID:PuiOqfnG
ハッピーなラストに期待して保全。
424ナナシマン:03/06/24 18:33 ID:A/v5DIdw
∬∬T▽T)<ぎっくり腰やってしまいました。

 マコじゃないんですがホントにやってしまいました。麻琴に申し訳ありませんが、
続きは明日・・・。すいません。
425名無し募集中。。。:03/06/24 18:49 ID:o5+v2rHk
セイリングジャンプ!
426名無し天狗@お見舞い保全:03/06/24 20:51 ID:LOScReCM
>ナナシマンさん
お身体、お大事に・・・。ムリなさらずにマイペースで進めて下さい。
427名無しんじー:03/06/25 00:05 ID:LPqAB/k+
川σ_σ||<ぎっくり腰はしっかり治さないととクセになるらしいです。
     無理はしないでしっかり養生して下さい。そうすれば

川o・-・)<完璧です。そして

( ^▽^)<痛みも、グッチャー!

( ・e・)<お大事に!
428ナナシマン:03/06/25 18:00 ID:YSVbygbL
 その時、部屋の奥から圭が玄関に姿を見せた。彼女の目の前に広がっていた
光景は、明らかに「修羅場」と呼ぶにふさわしいものだった。

 「おはよ・・・って何してんの、この二人」

 あさ美に尋ねても何かあきらめきった顔で首を横に振るばかり。圭は玄関先で
対峙する二人の顔を交互に見比べてみる。圭織となつみ、二人の目がお互いを
睨み付けている。険悪な空気が漂う朝のひととき。

 「朝起きたとき言ったよね?!8時から一緒に商店街方面のパトロール
だって。あと5分しかないのに何で準備してない訳?」

 「いいじゃん、あと5分もあるんだよぉ。それだけあれば準備できるもん」

 「いつも朝の支度に一番時間かかるの、どこのどなたさんでしたっけ?!」

 「うっさいバーカ!なっちに説教する時間あったら、目の下の隈ちゃんと
隠すべさ!だいたいね、裕ちゃんだって辻加護の着替え取りに帰って、また
研究所に行ったに決まってるし」

 まるで子供のような二人の口論に辟易した圭がふと玄関先に視線を移すと、
あさ美が何も言わずに靴を履いて家を出ようとしている。その寂しげな後ろ姿に
あさ美の悲壮な思いすら感じ取った圭は、未だ痴話げんかを続けるなつみと圭織
を大声で怒鳴りつけた。

 「あんた達いい加減にしてよ!紺野の事も少しは考えなって!!」
429ナナシマン:03/06/25 18:00 ID:YSVbygbL
 この時初めて二人の視線はあさ美の方へと向いた。当のあさ美はというと、
突然注がれる三人分の視線におもわず手を止めてしまう。

 「す・・・すいません」

消え入りそうな声でわびるあさ美。心配性な自分の一言で二人がけんかに
なってしまった、そんな思いに駆られてあさ美は一人で裕子を捜しに行こうと
していたのだ。そんなあさ美から事の一部始終を聞いた圭は、優しい微笑と
ともに彼女の頭を軽くなでて言う。

 「そっか・・・辛かったんだね。判るよ、その気持ち。それより」

その時、圭の大きな瞳に映ったのは圭織の顔。事実、裕子を捜しに行こう
と言ったのは彼女だった。

 「圭織、裕ちゃん捜しに行くよ」

言うが早いか圭はすぐさま玄関を飛び出して外へと出て行った。圭織もその
後に続くべくブーツに足を通す。そして身支度が完全に整ったところで
出がけに一言毒づいてみせる。

 「なっちは留守番してて・・・それくらい出来るでしょ?」

 しかしその直後、外にいた圭から「圭織も余計なこと言わないの!」と
たしなめられたことを付け加えておこう。
430ナナシマン:03/06/25 18:01 ID:YSVbygbL
 朝の市街地を疾走する二台のバイク。圭織が駆るブルーバージョンと
圭の愛機ジャングラーだ。やがて二人は繁華街へ入り、さらに路地の裏手へと
滑るように入っていく。そこは街のエアポケットとも言うべき場所であり、
このあたりではしばしばひったくりや暴力事件なども発生している。スナック
や居酒屋が軒を連ねる通りの裏手にあたることから、アルコールとたばこと
ゴミの臭いが独特の空気感を漂わせていた。

 「この辺でつぶれて寝てる・・・何てことあるわけ無いか」

 圭の言うこともあながち無い話ではなさそうだが、通りを一通り流して
みても裕子が酔っぱらって寝ている姿は見つけられなかった。

 「圭ちゃんさぁ、直で生化学研究所に向かった方が良くない?」

 まずは一番可能性の高いところを当たってみた方がよくないか、と圭織は
言う。二人はそのまま巡視経路を軽く流したところで、生化学研究所へと
向かう。
431ナナシマン:03/06/25 18:01 ID:YSVbygbL
 「そういえば裕ちゃんって、のんちゃんたちの着替え取りに行くって
研究所から家に戻ったって言ってたっけ」

 確かになつみは朝そんなことを言っていた、と今頃になって圭織は
思い出した。朝の出来事のせいで、二人ともすっかり忘れていたようだ。

 「そう言えばね・・・ってちょっと待ってよ。じゃあなおさら調べもの
ってこと無いじゃん!あたし夕べから見てないもん。絶対何かあったよ!!」

 「でも着替え渡してから研究所で調べもの始めて、帰れなくなったのかも
知れないし・・・」

 そんな圭織の言葉を、圭は何かに気づいたような表情で否定する。それは
過ちに気づき、何かを後悔しているような表情だった。

 「違う。違うよ圭織。あたし達ってバカだった・・・最近みんながそろう
事ってなかなかなかったけど、いつの間にかそれが普通だと思ってた・・・
パトロールとかバイトとか、みんなそれぞれに都合があるって、その言葉で
片づけてた」

 「・・・え?」

 「でもそうじゃないの。誰か一人欠けても、あたし達の絆は成り立たない。
誰も欠けちゃいけないんだよ。なのに・・・!」


 自分はなぜこんな大事なことに、今に至るまで気がつかなかったのか。
戦いに追われる日々の中で、自分たちの仲間が姿を見せないということ、
そんな小さな異変にも関心を払うことも忘れてしまっていたと言うのか。
圭織と圭の胸によぎる不安と焦燥感は、いまや張り裂けんばかりに大きく
なっていた。
432ナナシマン:03/06/25 18:45 ID:Pr5+TmPW
 生化学研究所へ向かうべく、郊外へ至る道路をひた走る二人。それは
ちょうど橋のたもとまで来たときの事だった。

 遙か前方に立つ怪しい影が二人の行く手を阻む。突然の妨害者が放つ
ただならぬ気配に二人は更にスピードを上げて振り切ろうと試みる。場合に
よっては撥ねてでもこれを退けようとしたのだが、相手は素早く空中へと身を
翻し、橋の欄干に着地する。

 「これはずいぶんなご挨拶ですね、お二人さん」

 すぐさまスピンターンを決めてマシンを停車し、圭織と圭は謎の妨害者と
対峙する。毒々しい極彩色に彩られた羽根を持つ、一見すると蝶か蛾のような
その姿は間違いなく、ゼティマの改造人間だった。

 「まさか裕ちゃんがいなくなったのは、お前の仕業?」

 目の前の相手に対して、強い敵意の眼差しを向ける二人。それも仕方あるまい。
敵にはすでにそれだけの「前科」があるのだ。

 「さぁ。少なくとも私はそのような命令は受けていませんが?」

 「しらばっくれたって無駄だからね!」

圭の口から出たのは、帰って来るべくして帰ってきた言葉。敵はさもありなん、
といった風にしてこの言葉に応えた。
433ナナシマン:03/06/25 18:45 ID:Pr5+TmPW
 「おやおや、とんだ濡れ衣ですよ。まだ私はなんの仕事もしていないと
言うのに」

 「仕事?また何か悪さしようとしてるでしょ!」

怪人の不敵な言葉に圭織がやり返す。だが、そんな彼女に対して、敵は怪しげな
笑いとともに言い放った。

 「いかにもそのつもりでしたが・・・思いがけず手間が省けましたよ」

 「何っ?!どういう意味よ」

そして刺客は自らの名を二人に明かす。彼にとってそれは、死に行く者への
手向けの言葉の変わりなのかも知れない。

 「私の名はドクガロイド。飯田圭織、あなたを殺すよう命じられた者だ。
電気を使うもう一人のお友達がいないのは計算違いでしたが、いずれにしても
あなた達の戦力を殺ぐことが出来れば十分です」 

そう言うや、ドクガロイドの背中の羽根が怪しく蠢くと、直後大きく開かれた。
そしてそこから、大量の粉末が二人めがけて噴出する。
434ナナシマン:03/06/25 18:45 ID:Pr5+TmPW
 突然真っ黒な粉末が目の前で飛び散り、二人の視界と呼吸を阻む。それは
ドクガロイドの羽根から放出されていた。

 「ゴホッ・・・これはっ」

 「息がっ・・・ウッ」

 「どうですか?私の毒鱗粉は。これをまともに吸い込めば改造人間とて
無事では済みませんよ・・・ククク」

 ドクガロイドの必殺武器「毒鱗粉」。この粉末は皮膚に付着、あるいは
体内に侵入することで相手の体力を奪い、やがて死に至らしめるのだ。

 「かっ・・・身体に力が・・入らない」

 「当然ですよ。生身の人間ならば数分で全身の筋肉が弛緩し、呼吸すら
出来なくなるんですから」

435ナナシマン:03/06/25 18:46 ID:Pr5+TmPW
藻掻く二人を目の前に、邪悪な笑みと共にドクガロイドは言葉を続ける。

 「今日は対改造人間用にエネルギー制御を狂わせるナノマシンをスペシャル
ブレンドしています。変身などしようものなら全エネルギーを放出してしまう
でしょう。あなた方の死は時間の問題だ」

 なんとドクガロイドは毒鱗粉の致死力をさらに高めるため、対改造人間
用に用意されたナノマシンを混入させていたのだ。毒鱗粉がじわじわと
体力を奪っていく中、朦朧とする意識を奮い立たせ二人は変身の構えをとる。

 「変っ・・・うぅっ」

 「圭織っ!」

 しかし毒鱗粉はすでに変身するだけの体力を奪っていたのか、二人は構え
を保つ事さえ出来ずによろよろと崩れ落ち、その場に倒れ伏してしまった。
436ナナシマン:03/06/25 18:58 ID:YSVbygbL
 と、その時カブトローを駆ってなつみが二人の危機に駆けつけた。
圭織とのけんかの後、得体の知れない不安に駆られて自分も裕子を捜しに
出かけようとした矢先、超感覚で改造人間の存在を察知したのだ。しかし
彼女が駆けつけた時にはすでに二人は毒鱗粉の餌食となり、怪人の足下に
倒れ伏していた。

 「圭織!圭ちゃん!!何があったの?」

 カブトローから降りるとなつみは二人の側に駆け寄りその身体を抱き
起こす。二人の意識はまだ保たれていたもののすでにその体力はかなり
消耗しており、とても怪人と戦える状態ではなかった。

 「・・・なっち気を付けて・・・あいつの羽根から・・毒鱗粉が」

 「みんなに知らせて・・・絶対裕ちゃんもこいつが・・・」

 とぎれそうな意識を辛うじて保ちながら、震える声で二人はなつみに
告げる。なつみはそんな二人の手を握ると意識を保つように声をかける。

 「二人ともしっかりして!」

 しかし、なつみの言葉に応えるだけの体力がもうないのか、消耗
しきった二人はそのまま気を失ってしまった。体力と変身能力、両方を
奪う恐るべき毒鱗粉の前に二人は為す術もなく敗れ去ったのだ。
437ナナシマン:03/06/25 18:58 ID:YSVbygbL
 「中澤裕子は確かに我々の仲間が預かっています。まだ無事ですから
その点は安心なさい。だがそれも今後のあなた達次第ですがね」

 その時怪人の口から驚くべき言葉が告げられた。夕べから家に帰らない
裕子は、実は敵の手に落ちていたと言うことをこの時彼女は初めて知った
のだ。あさ美の悪い予感は的中していたのだ。あさ美の言葉をきちんと
聞き入れていさえすれば、二人をドクガロイドの攻撃から救うことが
出来たかも知れない。そのことが頭をよぎり、なつみは思わず唇をかむ。
そんな彼女の心を知ってか知らずか、ドクガロイドはさらに無遠慮に
言葉を続ける。

 「あなた達に少し時間をあげましょう・・・二日後の正午、奥多摩の
ホテル跡で待っています。必ず来てくださいよ?」

 そう言うや、毒々しい彩りの羽根をはためかせドクガロイドは高笑いと
共に悠々と飛び去っていく。なつみはただ悔しさをにじませた瞳でその姿を
追うことしかできなかった。

 再び姿を現そうとしているパーフェクトサイボーグZX、それだけに
とどまらず旧来の改造人間よりも強力な敵が少女達の目の前に姿を現した。
与えられた猶予は二日。少女達にとって最大の戦いが訪れようとしていた。



第38話 「決戦前夜・新たな悪の胎動」 終
438ナナシマン:03/06/25 21:53 ID:AFpnBWS4
 このたびはご迷惑をおかけしました。
まだ痛みが残ってますがどうにかいけそうですので更新させて頂きました。
長々とかかってしまって申し訳ありません。今回の話は以上ですが、実は
まだあと2回続きます。
 ZX編はついにZXとライダーが激突です。現在同時進行で書いている
38話の続きとその続き(なんだかややこしい表現ですが)でZX編は
終了となります。復帰次第早く続きを書き上げたいと思います。

>>名無しんじーさん
 最近白髪が一本見つかって軽く衝撃を受けていたところにこの有様でして
なんともはや・・・な感じです。新タンのAAもありがとうございます。

>>名無し天狗さん
 最後にはハッピーエンドになるでしょう。ただその分敵の陰謀の輪郭も
更にはっきりしてくると思います。嵐のほう、できあがったら拝見させて
くださいね。
439名無し天狗:03/06/25 22:46 ID:E8j7etxE
>ナナシマンさん
ご無理なさらずに。ラストに期待します。嵐は「例によって」まだまだ構想中です。
固まり次第執筆に掛かるつもりではいるんですが・・・・・・。
440 :03/06/28 12:43 ID:Rrdb6nLQ
緊急保全
441名無しスター:03/06/29 23:14 ID:KWC+rMiR
落ちそうだ・・
442名無し天狗:03/06/30 02:31 ID:xEBLJD+h
ならば保全。
443ナナシマン:03/06/30 18:42 ID:IIplYf0g
第39話 「決戦!地獄の罠を打ち破れ!」

前回のあらすじ

 自らの記憶を渇望するパーフェクトサイボーグZXこと小川麻琴。ゼティマ
が自分に記憶を与えることはないと知った彼女は、それでも失われた記憶を手
に入れるために敢えて再びゼティマの尖兵となることを選ぶ。そんな彼女は
奥多摩のホテル跡地でタイガーロイドこと信田美帆と合流。囚われの身となった
裕子と共に基地へと帰還する。

 一方、ゼティマ基地では悪魔元帥が組織最古参の幹部「三神官」と対峙して
いた。伝承に基づき大首領の後継者「世紀王」となるべき娘を捜そうとする
三神官に対し、元帥は二人のパーフェクトサイボーグを世紀王にすると言い放つ。
 やがて、帰還した元帥を待っていたのは暗闇大使と名乗る謎の幹部だった。
暗闇大使はZXに記憶を取り戻させるきっかけとなった、電気の力を使う圭織と
なつみの二人を始末すると豪語し、元帥も彼の自信を買い作戦実行を命じる。
 一方、夜の街で突如人間が砂のように崩れて消滅してしまう事件が発生する。
しかし、人々はまだこの怪現象の存在さえも知らなかった
444ナナシマン:03/06/30 18:43 ID:IIplYf0g
 裕子が帰らないことに不安を抱くあさ美はそのことを少女達に告げるが、
真剣に取り合ってもらえない。やがてそれが元になったか、なつみと圭織が朝から
けんかを始めてしまう。居合わせた圭はけんかを仲裁し、ひとまず圭織を連れて
裕子を捜しに早朝の街を走る。その途中、自分たちの仲間の誰一人が欠けても
いけないことに気づいた二人は、強い焦燥感に駆られつつも生化学研究所に
向かってマシンを走らせた。
 やがて二人は敵の刺客ドクガロイドと遭遇。ドクガロイドが毒鱗粉を放つと、
圭織と圭はその毒に冒されてしまった。敵の存在を察知したなつみがその場に
駆けつけた頃には、圭織と圭は手も足も出せないまま倒れ伏していた。
ドクガロイドはなつみに二日後に奥多摩のホテル跡に来いとだけ言い残し、悠然と
その場を去っていったのである。
445ナナシマン:03/06/30 18:43 ID:IIplYf0g
 体力を消耗し、遂に意識を失ってしまった圭織と圭。そんな二人と共に、
その場に取り残されたなつみは一人自らの不明を恥じた。

 「二人の話をもっとまじめに聞けとけば、圭織も圭ちゃんも・・・全部
なっちが悪いんだ・・・」

 だがいつまでも悔やんでなどいられない。彼女がいくら悔いてみたところで
二人をむしばむ毒が消えるわけでもない。事態は一刻を争う。なつみは急いで
止めておいたカブトローのところまで走ると、搭載している無線機で助けを
呼ぶ。早鐘のごとく高鳴る鼓動と喉の渇き、かつて味わったことの無いような
焦燥感、不安と戦いながら彼女は必死に自分たちの居場所を知らせた。やがて
それから間もなくして仲間達が駆けつけ、意識を失った二人とマシンを回収し
帰途についた。
446ナナシマン:03/06/30 18:44 ID:IIplYf0g
痛みもひきまして、今日から復帰いたします。続きはまた明日、ということで。
447ナナシマン:03/07/01 17:42 ID:6RifLSJq
 圭織と圭はすぐさまストレッチャーに乗せられ、あわただしくライフステージ
に搬送される。電話で呼び出されたミカも駆けつけ、二人の到着を待っていた
亜依とともにライフステージの奥へと消えた。

 それから2時間が経過した頃のこと。二人のメディカルチェックが終了した
ことを告げる、少女の声が聞こえた。

 「一応一通り終わったから、みんなちょっと来てもらえる?」

声の主は亜依だった。彼女の言葉に従い、居合わせた少女達はライフステージ
の一角にあるメンテナンスポッドの周りに集る。ポッドの中に視線を移すと、
そこには青い検査服を着た−着せられたと言うべきか−圭織と圭の姿があった。
衣類や皮膚に付着した毒鱗粉を洗浄した後、この服に着替えさせたのだろう。

 「皆サン、ちょっとこれを見てくれませんか?」

 ミカに促されて少女達は目の前にあるモニタを見る。そこには二人の身体を
スキャンした画像が映し出されていた。
448ナナシマン:03/07/01 17:42 ID:6RifLSJq
 「今二人はどうなってるの・・・?」

 なつみが駆けつけた頃、二人はすでにその毒鱗粉によってやられていた。
二人が意識を失い、生死の境をさまよっていることになつみは責任を感じて
いた。彼女の重い口調に何かを察したか、亜依がなつみの肩を軽くたたいて
言う。

 「大丈夫。絶対助かります、二人とも」

しかしそんな亜依の言葉に、うつむいたままなつみは答えることが出来ない。
そして次の瞬間、思い詰めたような表情でライフステージのドアを開けると
一人部屋の外へと出て行ってしまった。

 「安倍さんっ!」

 亜依はなつみを引き留めようとしたのだが、小さな手が彼女の肩を掴む。
それは真里だった。そして真里は自分に任せて欲しいといった表情で亜依
と視線を交わすと、なつみの後を追って駆けていった。
449ナナシマン:03/07/01 17:43 ID:6RifLSJq
 思い詰めたようななつみの表情を思い出しながら、真里は走る。無茶を
しなければいいが、そんな思いと共に一刻も早くなつみに追いつこうと
息を弾ませる。そしてようやく追いついたそのとき、なつみは格納庫の中で
一人カブトローを駆って飛び出そうとしていた。

 「一人でどこ行くのさ?」

真里の言葉にも、なつみは振り向こうとはしない。そればかりか小脇に
抱えていたヘルメットをおもむろにかぶると、エンジンを始動させて今にも
研究所から出て行こうとしていたのだ。

 「誰のせいとか、誰の責任とか・・・そんなの考えるのよそうよ。二人が
聞いたら、きっと悲しむと思う」

 「でも・・・」

 「一人で行って何になるのさ。今のなっちじゃ勝てないよ。強いとか弱い
とかそんなんじゃなくてさ、今みたいな気持ちのままじゃ敵の思うつぼだよ」

 「誰が悪いって言ったらアイツらだよ。だからさ、おいら達で助けよ?」

ヘルメットを取り、真里の言葉に黙って頷くなつみ。目にうっすらと浮かぶ
涙を払って、二人は仲間達の待つライフステージへと戻っていった。

450ナナシマン:03/07/03 17:55 ID:c7MJxO+D
 ファイルが消失してしまいまして、2日ほど更新を休ませていただきます。土曜日から
再会の予定です。まことに申し訳ありません。
451ナナシマン:03/07/03 17:56 ID:c7MJxO+D
>>450
再開、でした。すいません。
452名無しんじー:03/07/03 19:51 ID:OcSwbGZx
ナナシマン様
お待ちしております。

本日本屋さんで以前ナナシマンさんが言ってた「大辞典」みつけました。
・・・勁文社の「全怪獣怪人」の焼き直しかよ!
さすがに買えなかったです。ところで皆さんはNHK出版の
・「すごい科学で守ります!」長谷川裕一著・って読んでます?
ネタ本としてお勧めです。
453 :03/07/05 21:05 ID:FR4lY7Yg
hoze
454 :03/07/05 23:39 ID:3qodIKiR
連続保全
455ナナシマン:03/07/06 20:29 ID:vpBzW5Iu
 二人がようやくライフステージに戻ったことで、安堵の表情を見せる少女たち。
それは亜依も同じだった。ミカと顔を見合わせて、互いに一瞬笑みを浮かべたが
すぐに二人の顔はまた険しさを帯びたものとなった。

 「実は二人の肺に入り込んだ鱗粉よりも、ナノマシンの方が問題なんです」

 「肺に入った毒鱗粉はそんなに量は多くないねん。これ見てんか?」

 そう言って亜依は、二人の気管、そして肺のスキャン画像をモニタに表示
させる。少女たちの目がモニタに釘付けになる中、ミカが画面中の紫色に染まった
部分を図示しながら言う。

 「この紫色の部分は、毒性を持つ異物が侵入したことを示すものです」

彼女のこの説明で、少女たちはそれが肺に取り込まれた毒鱗粉であることを容易に
理解した。それは肺の面積と比べると2割程度の分布でしかなく、確かに亜依の
言葉通り、取り込まれた量はそう多くないようであった。だが、ミカはナノマシン
こそが問題であるとつげた。それははたしてどういうことなのか。

 「次にこれを見てください」

 ミカが示した新たな画像、それは二人の体内において変身エネルギーを司る
ベルトの周囲と人工心臓、そして電子頭脳のスキャン画像である。

 「点滅してるご飯粒くらいの点があると思います。それが敵のナノマシンです」

ミカの言葉通り、示された各部において集中的にとりついている光る点がある
のが少女たちにもはっきりわかった。

456ナナシマン:03/07/06 20:30 ID:vpBzW5Iu
 「左の方が量が多いですけど?」

 そう言って愛が画像を指さして言う。よく見ると、二点の画像のうち左側に表示
されたものの方が明らかに点滅している点、つまりナノマシンが多いのである。

 「それは保田さんの方やな。二人の位置関係にもよるんやろうけど、飯田さんを
かばった可能性もあるなぁ・・・おばちゃんらしいっちゃそうなんやろうけど」

亜依の一言がなつみの胸にまたも突き刺さる。一瞬画像から目を背けてしまったが
再び視線をあげて目の前の事実と対峙する。しかし判らないのはナノマシンの効力
だ。ドクガロイドは「変身しようとすればエネルギーを放出して死に至る」という
ようなことを言っていたようだったな、となつみは思い返していた。本当にそんな
ことがあり得るのだろうか、そう考えていたその時、彼女の横で不意に声がする。
それは真里だった。

 「これが一体どうなるって言うのさ?」

画像を見ただけでは理解できない点も多いのはやむを得ない話だ。そんな真里の
言葉に亜依が答えて言う。

 「改造人間の変身エネルギーを勝手に放出させたり、体内から破壊したりする
やっかいな代物ですわ。しかも無理に取り除こうとすれば・・・」

 「ナノマシンは自動的に起動して、目的を遂行します。つまり、二人の身体を
内部から破壊するんです。画像をさらに拡大して立体的に詳しく調べてみたん
ですが、このナノマシンは時限式になっているみたいなんです」

恐るべき事実に今ひとつピンと来ないといった様子の少女たち。しかし、二人が
告げたのはあまりにも過酷な現実であった。その言葉の意味を最も早く理解した
のはあさ美だった。
457ナナシマン:03/07/06 20:32 ID:vpBzW5Iu
 「それって・・・体の中に時限爆弾が入ってるのと同じじゃないですか」

 「平たく言えば、そういうことやな」

眉間にしわを寄せ、深刻な面持ちを崩さぬまま亜依は頷いて言った。

 「安倍さんに言った『2日』の期限、それがナノマシンのタイムリミットと
言って間違いないでしょうネ」

約束の日までの時間は、ドクガロイドが仕掛けた死へのカウントダウンだった
のだ。少女たちの心に敵への怒りが燃え上がる。そこへミカがこう付け加える。

458ナナシマン:03/07/06 20:32 ID:vpBzW5Iu
 「ゼティマが人を操る時に使う技術の一つに、コントロール電波を受信する
装置を対象に取り付けるというものがあるんですが、その装置は怪人が発する
電波を受信して始めて機能するんです。多分その技術がこれにも・・・」

 「ということは、どういうことなんれしょう?」

 小首を傾げながら、何とも緊張感のない口調で希美が言う。そんな彼女の
言葉にため息一つついて真里が言った。

 「わかんないかなぁ・・・つまり、怪人を倒せは装置は動かないってこと
でしょ?」

真里はそう言って亜依とミカの方を見る。そして、確信とともに力強い調子で
言った。

 「だったらやるべきことは一つだよ。おいら達の力で、敵の改造人間を
やっつける。それが二人を助ける手だてだよ。そして、裕ちゃんもね!」

真里の言葉に力強く頷く少女たち。彼女たち思いは決まった。仲間の命を救う
ため、少女たちはあえて死地へと赴く決意を固めたのだ。
459ナナシマン:03/07/06 21:05 ID:vpBzW5Iu
お待たせしてしまった割に話があまり進められなくてすいません。突然の停電で
データが消えてしまったのが痛いですが、明日からさくさく更新できそうです。

>>名無しんじーさん
 初めて聞くタイトルの本ですが、なんだかおもしろそうなので探してみようと思います。
全怪獣〜は前のやつの焼き直し、というかデータ追加版(平成ライダーとか戦隊もの)
みたいな感じなんですね。さしずめ「平成15年度版全怪獣怪人大百科」と言ったところ
なんでしょうか。でも、三巻組はちょっと・・・中身をよく吟味したいところです。
460名無し天狗:03/07/06 22:19 ID:nNMwqbF1
>ナナシマンさん
トラブルは時として不意に訪れるものです。気にしてませんので
更新がんばってください!(←人のコト言えンのか、天狗!?)

>名無しんじーさん、ナナシマンさん・大辞典の件
私も買いましたが・・・失敗でした。追加分は文面のみでしたし・・・。
461名無しんじー:03/07/07 00:04 ID:uXuRSAjp
>追加分は文面のみでしたし・・・。
そうなんですよね。「全怪獣怪人」を持ってない人なら、買い、だとは
思うのですが、持ってる私としてはちょっと・・・
そこで、「すごい科学」は読んだ事ないならお勧めですよ。
【スパー戦隊シリーズがすべて同一時間軸上に存在すると仮定し、想像力と
 論理を駆使して楽しい考証を展開する。特撮ファンなら「なるほどそうか!」
 と膝を叩く箇所が多い。】(山本 弘 氏談)
「すごい科学で守ります!」は
「バトルフィーバーからメガレンジャー」までを解説。
続編の「もっとすごい科学で守ります!」では
「ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊、仮面ライダー」など
壮大な石ノ森ワールドが展開。買っても損は無いと思います。
462ナナシマン:03/07/07 18:10 ID:W1303hOm
 舞台は変わって、奥多摩にあるゼティマの前線基地。実は約束の場所である
ホテル跡からはそう遠くない距離にある。むろん少女たちはこのことを知らないが、
このことは敵の罠の悪辣さを改めて認識させることとなるだろう。文字通り、彼ら
は自らの懐に敵を呼び込んで抹殺しようと言うのだから。そして今まさに、この
場所にゼティマの精鋭部隊と言うべき怪人達が集結した。

 戦闘員達が来たるべき戦いに備えて忙しく動き回る中姿を現した、毒蛾の改造
人間は言わずとしれたドクガロイド。圭織と圭の二人を死の淵へと追い込んだ
張本人である。

 「私がどうやら一番乗りのようですね・・・」

 自慢げな口調とともに周囲を見回す。確かにそこにいるのは彼と黒覆面の戦闘員
たちだけであるかに見える。だが、不意に何者かの声がした。

 「残念ながら一番乗りはこの俺様だ。ケケケケケ」

声の方向に視線を走らすドクガロイド。だが、そこにあるのは作戦用の電子機器や
モニター類だけである。しかし、声の主の姿が見えないという事実が、聞き覚えの
ある声とともにある改造人間の名を彼に想起させた。

 「相変わらず人を食った真似をする男ですね、あなたは。ここでわざわざ姿を隠す
意味がどこにあるというのです・・・カメレオロイド」
463ナナシマン:03/07/07 18:10 ID:W1303hOm
 「ケケケケケ・・・」

 ドクガロイドの言葉に答えるかのように、誰もいないはずのその場所にすうっ、と
浮かび上がる改造人間のシルエット。そしてその姿がはっきりと形になったとき、
そこに立っていたのは大きな目をギョロギョロと動かすカメレオンの姿をした改造
人間だった。彼こそゼティマの改造人間「カメレオロイド」だ。

 「聞いたぞドクガロイド。大手柄じゃないか」

 「小娘二人、あっけないほど簡単に片づきました。さしもの我々でも、まだ
粒子大のナノマシンなど作ることはできません。そこは少々はったりを効かせた
わけですが・・・それにしても鱗粉でひるんだ隙に打ち込むのは容易でしたよ」

なすすべもなく崩れ落ちる二人の姿を思い出し、怪人は不気味に笑う。

 「それよりあなたも大佐・・・いや、暗闇大使様に招集されたクチですか」

ドクガロイドの言葉に長い舌を不気味に蠢かせカメレオロイドが答える。

 「まぁな。トカゲロイド達が出張ってくることもあるかも知れんが、奴らを待つ
のは機を失するおそれがある。敵を叩くのは今をおいてほかにない。だから俺たち
だけで小娘どもを片づけちまおうかと考えてるところだが」
464ナナシマン:03/07/07 18:20 ID:W1303hOm
 カメレオロイドの言うトカゲロイドとは、「ガモン親衛隊」の親衛隊長の
ことである。それはガモン大佐、現在の暗闇大使直属の精鋭部隊の名称であり、
彼は指揮官、つまり二人にとっては直接の上官に当たるわけである。しかし、
彼だけに限らずそれぞれが個別の作戦任務を遂行中である関係上、すべての
配下怪人が直ちに招集に応じられる訳ではない。カメレオロイドは残りの仲間達
が到着するのを待たず、三人だけで少女たちを抹殺しようと考えていたのだ。
その言葉に我が意を得たり、と頷くのはドクガロイド。今や仮面ライダー二人を
倒したことで上機嫌の彼は邪悪な笑みとともに言う。

 「残りの連中など恐れるに足らず、ですよ。私とあなたとタカロイド、三人で
十分。トカゲロイド達はともかく、ZXやタイガーロイドの出る幕などない」

 「その通りだ。奴らに手柄をくれてやる理由はない。俺たち三人で十分だとも。
ケケケケケ・・・」

そういって二人の怪人は顔を見合わせて笑いあう。やがて二人に遅れること5分、
タカロイドが合流し三大怪人の陣容は整った。

465ナナシマン:03/07/08 20:44 ID:1NA7mI/c
まずは昨日の分>>464を訂正させてください。


 カメレオロイドの言うトカゲロイドとは、「ガモン親衛隊」の親衛隊長を任命
された改造人間である。「ガモン親衛隊」とはガモン大佐、現在の暗闇大使直属の
精鋭部隊の名称でありトカゲロイドはその指揮官、つまり二人にとっては直接の
上官に当たるわけである。
 しかし、彼だけに限らずそれぞれが個別の作戦任務を遂行中である関係上、全て
の配下怪人が直ちに招集に応じられる訳ではない。カメレオロイドは残りの仲間達
が到着するのを待たず、三人だけで少女たちを抹殺しようと考えていたのだ。
 その言葉に我が意を得たり、と頷くのはドクガロイド。今や仮面ライダー二人を
倒したことで上機嫌の彼は邪悪な笑みとともに言う。

 「残りの連中など恐れるに足らず、ですよ。私とあなたとタカロイド、三人で
十分。トカゲロイド達はともかく、ZXやタイガーロイドの出る幕などない」

 「その通りだ。奴らに手柄をくれてやる理由はない。俺たち三人で十分だとも。
ケケケケケ・・・」

そういって二人の怪人は顔を見合わせて笑いあう。やがて二人に遅れること5分、
タカロイドが合流し三大怪人の陣容は整った。
466ナナシマン:03/07/08 20:44 ID:1NA7mI/c
 同じ頃、ゼティマ日本支部基地内脳改造セクション「レベル4」。麻琴が
記憶を取り戻しそうだということを確信したまゆみは、手元に残されたわずかな
資料を基にその可能性を探っていた。ゼティマの科学者であるはずの彼女がなぜ
組織にとって不利としかいいようのない事実を探求する気になったのか、それは
彼女の組織憎しという思いと、完全な脳改造を施されたはずの改造人間が改造前の
記憶を取り戻すという、奇跡のような事象を解明したかったからに他ならない。

 (女の声、そしてあいつ自身の名前・・・閉ざされた扉が少しだけ開いた。
しかし、ゼティマがいつそれを握りつぶすか知れたもんじゃないな)

そんなことを思いながら、手元の資料に目を通してみる。パーフェクトサイボーグ
技術についての断片的な研究資料と、素体である小川麻琴に関する資料。まゆみの
手元にあるそれらはいずれにおいても不完全であったが、それでも何かの糸口を
つかめれば、とまゆみは一字一句逃すまいと隅々に目を通していた。

 と、そのとき部屋のドアが突然開き、その音にまゆみは慌てて広げていた資料を
隠す。幸い来訪者にその姿は見られなかったが、開いたドアの向こうにあったのは
彼女にとって招かれざる客の姿だった。

 「なぜZXに記憶を与えたりしたのじゃ。ただでさえ電気ショックによる記憶の
混濁など不安定な要素が発生しておるというのに、お前は何かたくらんでるのでは
あるまいな?!」

部屋に入るなりものすごい剣幕でまくし立てるのは幽霊博士である。
467ナナシマン:03/07/08 20:46 ID:1NA7mI/c
 「名前くらいいいだろ。信田・・・いや、タイガーロイドにだって名前はある。支障が
あるなら、また私が消去してやるさ」

 相手をするのも面倒だと言わんばかりの口調で言うと、まゆみはさも何事も
なかったかのように机の上を片付け始める。もちろん、先ほどまで食い入るように
見ていた資料を隠すためだ。しかし、それでおとなしく帰るような幽霊博士では
ない。まゆみの肩をつかんで無理矢理自分の方へ向かせると、激しい口調で
言い放つ。

 「黙れ!菅井や笠木の様になりたいのか?!」

 彼女と旧知の間柄にあった二人の科学者の名前を出して脅しをかける幽霊博士。
二人が謎の死を遂げていたことをまゆみは不審に思っていたが、この口ぶりから
すると、どうやら二人を手にかけたのはゼティマだったようだ。

 「なるほど・・・そうか、二人を殺したのはやはりお前達だったって訳か」

 「加護とお前達がこそこそ育てていたガキどももじゃ!じゃが三人だけ、どうしても
見つからんわい・・・1803,2825,5501はどこにおる?お前達はあの小娘どもを
どうするつもりだったのじゃ?20000人じゃぞ、半端な数ではないわい」

 「ちょっと待て・・・お前達は残りの娘を全員殺したのか?!」

 まゆみはそう言って幽霊博士の手を力一杯払いのけると、彼女は幽霊博士に
憎悪のまなざしを向けた。
468ナナシマン:03/07/08 20:47 ID:1NA7mI/c
今日はここまで。明日一日お休みをいただき、続きはあさってに。
469名無し募集中。。。:03/07/09 23:36 ID:KlxUgcc3
このスレ、日数的にそろそろやばくないか?
470名無し天狗:03/07/10 00:35 ID:/rm8Lf4G
保全あるのみ。
471ナナシマン:03/07/10 21:43 ID:g0rxEYsv
 一方の幽霊博士は卑屈な笑みを浮かべてさらに恐ろしいことを言ってのける。

 「小娘狩りは今も継続中じゃ。三人以外は目星もついとる。だが何しろ数が
数だからのぉ、骨の折れる話よ。以前蝙蝠男に命じていた分は邪魔が入ったり
無関係な小娘を殺してしまったこともあるが・・・誤差は予定の範疇よ」

 と、ここで一つ補足をしておかなければならない。少なくともまゆみが加護
博士らとともに「育てていた」のはごくわずかな人数である。20000人と
いうのはあくまでも彼女たちの眼鏡にかなうか否かをはかるべく、ふるいに
かけられたサンプル数にすぎない。言うなれば20000人の少女達は同じ
一つのオーディションを受験したようなものである。
 しかし幽霊博士にとっては予選だろうが最終選考だろうがオーディションを
受けたことが問題なのであって、その候補者ともいうべき少女達全員が殺戮の
対象なのである。

 この事態に至った原因は、加護博士の手からサンプルとなった少女達のデータ
が根こそぎ奪われてしまったことにある。リストを強奪したゼティマは日本侵略
のための工作を進める一方で、こうした少女達を次々と殺していたのである。
蝙蝠男によって引き起こされた連続少女吸血殺人事件もその一環であった。

 「蝙蝠男の事件なら聞いたことがあるぞ。無差別吸血殺人事件として当時
ニュースになったが・・・あいかわらず惨いことをする連中だ、お前達は!」

怒りに肩を震わせて叫ぶまゆみに対して、幽霊博士は悪びれる様子もなく平然と
言った。
472ナナシマン:03/07/10 21:43 ID:g0rxEYsv
 「それだけではない、加護と言う男は口の堅いやつでな。それならと孫娘を
標的にしたこともあったが、まさかあのような形でよみがえってくるとは
思わなんだ・・・我らが築いたクローン技術まで流出しておったとはのぉ」

 「先生のお孫さんまで狙ったのか、お前らはっ!この人でなしめ!!」

 真里がかつて連れ去られた吸血殺人事件、そして希美が改造人間となるきっかけ
となったあの火事も、ある一つの目的のために引き起こされたものだった。しかし、
この悪の秘密結社はなぜそこまでこれらの少女達を執拗に標的にしていたのか。
その答えは、幽霊博士自身がまゆみへの詰問という形で提示した。

 「あの小娘どものうちの誰かが2つの『ギア』を持っているに違いない。加護か
つんくめが送りつけたに決まっておるわい!」

 「先生やつんく君まで手にかけて・・・そこまでしてあれが欲しいのか」

 「いかにも・・・あれは新世界の王にこそ相応しい。しかし他者の手に渡れば、
その者は世紀王、ひいては創世王の敵となるであろう。何者がキングストーンを
継承するかは知らぬが、その時にギアが敵の手にあっては困るのじゃよ」

そして、ひとしきり話し終えたところで幽霊博士は一つ息をついて言った。

 「さて、もうおしゃべりはいいじゃろう。夏まゆみ、儂はお前さんを買って
おったが・・・残念な事じゃ」


473ナナシマン:03/07/10 21:46 ID:g0rxEYsv
 今日の分はここまで。また明日お目にかかります。

>>469さん
>>名無し天狗さん
n日ルールというやつでしょうか・・・小説系にはやりづらくなりましたね。
474名無し天狗:03/07/10 22:50 ID:0Cl3/AJf
>ナナシマンさん
まったくです。ですが今は明日を楽しみにしてます。
475名無し募集中。。。:03/07/10 23:13 ID:qlIjDY0Y
そろそろというか丁度121日ルール適用開始くらい
これからは一日一保全しないとヤヴァイね
476名無し募集中。。。:03/07/10 23:15 ID:qlIjDY0Y
リロードせずに書き込んじゃった・・・更新途中じゃなくてよかった・・・・

更新乙です
477ナナシマン:03/07/11 22:30 ID:XbTNx9c0
 冷酷な笑みとともに、にじり寄る幽霊博士の両手がまゆみの首へと伸びる。と、
その時である。

 「待ちな!」

 不意に聞こえてきた女の声に振り返る幽霊博士。部屋の入り口に立っていたのは
誰あろう、信田美帆だった。美帆はあっという間に二人との距離を縮めると強引に
幽霊博士を自らの方へ向き直らせ、彼の両手を掴むや力任せにひねりあげて動きを
封じる。

 「う・・腕がっ、腕がっ!!はっ、放せっ!!」

 幽霊博士は必死に抵抗して脚をばたつかせ、美帆の身体に蹴りを入れるがまったく
通じる気配はない。さらに美帆は腕をひねり上げたまま、幽霊博士をゆっくりと
持ち上げる。腕だけで宙づりになり、苦痛に顔をゆがめる幽霊博士。その腕は美帆の
怪力によって有らぬ方向に曲がっている。やがて美帆はそんな彼に一瞥くれると、
その手をゆっくりと離して言う。
478ナナシマン:03/07/11 22:30 ID:XbTNx9c0
 「その先生は私が預かる。幽霊博士、文句はないな」

 「ハァハァ・・・きっ、貴様ぁ、何のつもりだ?!」

 幽霊博士は腰から崩れ落ちて荒い息をつき、めちゃくちゃにされた両腕を
見つめている。そんな彼を見下ろすように、美帆が彼の眼前に立つ。

 「儂の腕を、腕をどうしてくれる!」

 「唾でもつけてろ、そんなもの・・・ライダーの首と比べれば安いもんだ」

全く反対方向に曲がってしまった両腕を力無くぶら下げたまま、恨めしそうに
美帆の顔を見る幽霊博士。その視線が美帆の視線と交錯する。

 「儂の施した『再調整』は完璧のはずだっ・・・よもや貴様裏切る気か?!」

 「心配しなくても私は今度の戦いで小娘どもとZXを殺す。しかし、それは
私の流儀でだ。他の奴らには手出し無用と伝えておけ。先生、あんたは私と
来てもらおうか」

 そういうと美帆はまゆみとともに踵を返して部屋を去っていった。後を追った
ところで破壊された腕では何をすることも出来ない。幽霊博士はただ、まゆみと
美帆の二人を口汚くののしるだけで精一杯だった。
479ナナシマン:03/07/11 22:32 ID:XbTNx9c0
 所用ありまして今日はここまでとなります。少なくてすいません。
と、ここで唐突ですがスマートブレイン社長のキャスティング募集です。ご意見
お聞かせください。
480川o・-・) :03/07/11 22:52 ID:fVDu83Vv
ハロプロに関係がある男性陣は
まこと、たいせー、はたけ、吉澤、山崎社長ぐらいか
高山厳はまだ出てないか?
481名無し天狗:03/07/11 23:24 ID:e+Swwj0u
>480さん
高山厳氏なら以前、私の「変身忍者 嵐」で
五木家側用人・高山源五右衛門厳実(たかやま・げんごえもん・よしざね)として
登場させましたが・・・・・・。
482名無し天狗:03/07/11 23:30 ID:e+Swwj0u
>481続き
>480さん
厳実のフルネームは「ののX」スレの>601をご参照下さい。
483名無しスター :03/07/11 23:56 ID:Sq5/fLx9
>>481
「先祖」だから大丈夫では?>高山厳

私もカゲスターの時に男性陣が少なくて苦労しました。
結局「男」だの「隊員」だので誤魔化しましたがw
484名無し募集中。。。:03/07/12 00:04 ID:a0sNtTJo
敵役?だし、モデルなしでも良い気はしますが(幹部連中と同じ扱いですね)
それよりスマートレデ(ry
485名無しんじー:03/07/12 00:12 ID:uYCqtJWu
確かに男性陣って少ないですね。
私の場合それ程苦労はしなかったですね。大吉や弁慶はそのままだし
上原さんとかアニキとかあまりハロプロとは関係ないキャラが多いし
ところでスマートブレインって何ですか?迂闊にも知らないのです。
486名無し募集中。。。:03/07/12 16:51 ID:ufusnthT
>>485
ファイズに出てくる
敵の組織というか会社。
487名無し天狗:03/07/12 21:27 ID:gQArJjiG
>483名無しスターさん
なるほど、その手がありましたか。それなら「嵐」におけるハロプロ演歌陣と
「真ライダー」におけるハロプロ演歌陣を「先祖と子孫」で結びつけることができますね。
・・・ただ、高山氏を厳実の子孫として出すなら、できれば善玉の方が・・・。
488ナナシマン:03/07/12 23:50 ID:fd4AD6pt
 一方そのころ、加護生化学研究所では少女たちが圭織と圭の容態を見守って
いた。あれから半日近くが経過したが、なお二人の意識は戻らなかった。
なつみはその間中、ポッドの中で眠る二人の姿を見つめていた。何も事情を
知らぬ者がみれば、二人が直面している生命の危機など想像もできないだろうが
間違いなく二人は後一日と十数時間で死ぬかもしれないのである。

 「ごめんね・・・なっちのせいで」

そう言って、なつみは静かにその手をポッドのキャノピーに添える。眠る友の
姿に、戦いへの決意を強くした瞬間である。と、その時だ。

 『コンコン・・・』

 「えっ?」

強化ガラスの向こうから聞こえた小さな音。それは意識を取り戻した圭が、
ポッドの中からガラスを叩く音だった。その音に気づいたなつみはポッドの
中をのぞき込むと、圭がキャノピーの自動ロックのあたりを指さしてなにやら
訴えているように見えた。その仕草の意味を理解し、たなつみはすぐさま
ポッドの周囲を見回してコンソールを探し当てると、ロックを解除して
ポッドを開いた。意識が戻ったからといって体力の戻っていない圭のポッドを
開くことがよいことなのかどうか、そんなことを判断している暇はなつみには
なかった。
 やがてゆっくりと開く強化ガラスのキャノピーの向こうから姿を見せたのは、
少し疲れたような表情を見せながら体を起こした圭の姿だった。

 「誰のせいでもないって。そこまで気にする事じゃないよ」
489ナナシマン:03/07/12 23:54 ID:fd4AD6pt
 「無理しちゃだめだよ、圭ちゃん!まだ休んでなきゃだめだって」

 ポッドから出て立ち上がろうとする圭の肩に手を添え、再び横になるよう
促すなつみ。圭はそんななつみの言葉に気丈に笑顔で答えると、彼女の肩に
添えられたなつみの手に、そっと自らの手を重ねて言う。

 「あのね、こんな時になんだけどさ、これだけは聞いて欲しいんだ」

 「何・・・何なの?急にあらたまって」

突然の圭の言葉に不思議そうな表情を見せるなつみ。やがて圭はそんな彼女
を諭すように優しく語り始める。

 「自分の仲間とか絆、っていうの?そういうのもっと大事にしなきゃ
ダメだよ。今のなっちのこと判ってくれるの、きっとみんなだけだよ。
それをもっと大事にしようよ」

 「うん。でもさぁ、圭織だって・・・」

 「まぁ圭織も言い過ぎっちゃそうだけど・・・でもやっぱり自分の悪い
ところは改めなきゃ。今度の事が片づいたらさ、二人でよく話してみたら
いいよ・・・」
490ナナシマン:03/07/12 23:55 ID:fd4AD6pt
と言いかけたところで突然咳き込む圭。肺に進入した鱗粉が呼吸を妨げた
のだろうか。やがて咳が収まり、落ち着きを取り戻したところで圭は再び
言葉を続けることができるようになった。

 「それとね、裕ちゃんがいなくなったのは間違いなくゼティマの仕業
だよ。私たちを襲った奴らの仲間が攫ったって。でもね、絶対一人で
戦おうなんて思っちゃだめだからね?みんながついてるんだから・・・
私と圭織は一緒には行けないけどさ」

 「うん・・・」

圭の大きな目がなつみの顔を見つめている。その視線には戦いの時に見せる
野獣のような鋭さとは違う、暖かさと優しさが宿っている。この瞳を裏切る
事はできない、となつみは感じていた。

 程なくして、自分の言葉が伝わったと感じた圭は自らの意志で再び身を横たえて
しばしの眠りにつく。やがて、ポッドに起きた異変を知った他の少女が駆けつけたが
そのころには圭はすっかり眠ってしまっていた。駆けつけた少女たちになつみは
圭が意識を取り戻したことと、彼女の言葉を伝えた。その言葉に少女たちは、戦い
に向けての決意を新たにする。そして、その中にはひとみと梨華によって見いだされた
新たなる仲間、新垣里沙の姿もあった。かくして、少女たちにとって激動の一日が
終わろうとしていた。タイムリミットはあと1日。
491ナナシマン:03/07/12 23:59 ID:fd4AD6pt
 今日の分はここまでです。明日一日泊まりの仕事が入っていまして、続きは明後日
と言うことになります。総合スレによるとこのスレも危険期に入っているとのことで、
保全いただいた皆様には大変感謝しています。

 それとキャスティングについてのご意見ありがとうございます。まだ登場については
後になると思いますのでどのような形で反映できるか判りませんが、ご意見を参考に
させていただきたく思っています。



492名無し募集中。。。 :03/07/13 23:30 ID:C3fsBPzt
保全
493ナナシマン:03/07/14 19:00 ID:VFV/Px89
 その翌日。しかし、翌日とはいっても一体今何時なのか定かではない。
朝なのか、それとも夜なのか、地下牢の囚人にそれを知るすべはない。
囚われの身となった裕子は今まさにそこにいた。そこは鋼鉄製のドアが
自分の目の前にある以外は、周囲を分厚い壁に囲まれた独房であった。

 裕子は攫われた時のそのままの格好でそこにいた。抵抗することに
疲れたのかそれとも何かの薬を注射されたのか、独房の片隅で毛布に
くるまり、うずくまって眠っていた。彼女はこのアジトに連れてこられた
ときから、自分が少女たちをおびき寄せるための餌に使われることを
察していた。どうにかしてそのことを知らせたかったが、今のところ
それはかなわないまま彼女はここに囚われていた。

 こんな独房の中で時間のことを考えるのは、意味のないことかも
しれない。自分を囮に使うつもりなら、少なくともその時までは殺しは
するまい。そんなことを考えながら、裕子は軽く瞳を閉じただけで眠りに
落ちてしまったのだ。そうして数刻たったころの事だった。
494ナナシマン:03/07/14 19:01 ID:VFV/Px89
 「ガタン、ギギィィィ〜ッ」

 鍵の開く音と、重い金属音とともにゆっくりと扉が開く。その音に
目が覚めたか、裕子はゆっくりと身を起こして扉の方を見る。通路の照明
に一瞬目がくらみ、まぶしさに目を細めた裕子の視線の彼方に、異形の者を
伴なった一人の少女の姿があった。やがて少女よりも先にその異形の者が、
独房の中に足を踏み入れると裕子の眼前に立ち、高圧的な口調で言った。

 「立て。ZX様が直々にお見えになった。お前に用件がおありだそうだ」

 「ZX?誰やの、それ・・・?」

頭をかきながら、大あくび一つ。その姿を見ている異形の者−おそらく
ゼティマの改造人間だろうが−はあきれたように言った。

 「お前に選択権はない。ぐずぐすするな、さっさと起きろ」

 「うっさいなぁ・・・判ってるてぇ」

異形の者に促され、ゆっくりと立ち上がる裕子。そして通路へと彼女が
出た時、一人の少女が彼女の元へ近づいてきた。

 「中澤裕子だな・・・聞きたいことがある」

それは裕子とパーフェクトサイボーグ、麻琴が初めて遭遇した瞬間だった。
495ナナシマン:03/07/14 19:02 ID:VFV/Px89
 そして二人はゆっくりと歩き出した。二人きりで通路からエレベータに
乗り込み、そのまま二人は地上へ出た。裕子はこの瞬間、時間という概念を
再び取り戻した様に感じた。まるで何年かぶりに、暗闇から解放されたような
気がした。木漏れ日の差す林の中を、心地よい風が吹き抜ける。詳細な時刻は
判らなかったが、だいたい昼ぐらいだろうな、と裕子は察しをつけてみる。
 
 それにしても、ZX〜麻琴の行為は誰の目から見ても不自然なものだった。
聞きたいことがあると言って、彼女は裕子をあろう事か外へと連れ出した。
しかも途中で伴の者に人払いを命じ、二人だけでここまできたのだ。裕子は
周囲を横目で見回してみたが、林の中にいるのは自分と目の前の少女だけ。
緊張感とともに思わず手に力が入る。拳を固め、静かに上に上げようとした
その時、不意に自分の先を行く少女が言葉を発した。

 「逃げたければ逃げてもかまわない。今は私一人だ」

 (感づいとったんか・・・こいつ?!)

かざした拳をゆっくりとおろす裕子。少女〜麻琴はなおも裕子の方を振り向く
事なくこう言った。
496ナナシマン:03/07/14 19:02 ID:VFV/Px89
 「いや、逆に私の話を聞けばお前は逃げるのをやめるかな・・・」

麻琴の言葉に思わず裕子の口元がゆるむ。

 「あんたこそ話を聞いたら用済みや言うて、あたしの事消すんとちゃうの?」

 「・・・それはない。お望みならば考えるが」

 「えっ?!」

振り向きざまに麻琴の口から発せられた、およそ悪の尖兵のものとは思えぬ意外な
言葉に裕子の思考が一瞬止まった。
497ナナシマン:03/07/14 20:10 ID:VFV/Px89
本日はここまで。また明日お目にかかります。
498オートバジン:03/07/14 23:48 ID:D6Qaz+OQ
オートバジンが
バイクから戦闘ロボット形態へ変形するアイデアは、ウィングマンからの
パクリでしょうか?

ウィングマンが連載されていた当時に少年だったスタッフがいるのだろうか?
499山崎 渉:03/07/15 14:18 ID:wvd1F0tF

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
500サイドバッシャー:03/07/15 20:54 ID:pplyZqL7
>>498
 サイドバッシャーの変形形態ってどう見てもロボコップのED−209
だよな。
501ナナシマン:03/07/15 22:51 ID:0dhFMC9H
 「それ、本気で言うてんの?」

 「お前しだいだと言っている。それより、話を聞いてくれるのか?」

 疑いのまなざしで麻琴を見つめる裕子、しかしそんな彼女に投げかけられた
少女の瞳は、驚くほど真剣な眼差しであった。裕子は一つため息をつくと、
麻琴の目を見つめ返して言う。

 「あんたの言うとおりやね・・・逃げようと思ってたけど」


 しばしの沈黙の後で、麻琴がこう切り出した。

 「組織の研究資料を持ち出した脱走者というのは、お前か?」

その言葉に裕子は黙ってうなずく。麻琴はさらに続けて言う。

 「パーフェクトサイボーグについての資料は、その中にあったか?素体に
なった者の名前や素性はどうだ?!」

 「ファイルZX・・・『ZX計画』の資料のこと?」

「ZX計画」の名を冠したその資料こそ、自分の求めていた出自の証となりうる
ものかもしれない。麻琴の胸は期待に踊る。だが。

 「あれはあくまでも技術資料やった。パーフェクトサイボーグを誕生させる
ための理論や技術は網羅されとったけど、改造された個人を特定できる資料なんて
たぶんゼティマは残さへんよ。第一、必要ないもの」
502ナナシマン:03/07/15 22:52 ID:0dhFMC9H
 「嘘だ、先生はお前なら知っているかもしれないと・・・」

 「誰が言うたか知らんけど、個人を割り出せる手段なんてあるわけないやん・・・
ゼティマの改造人間は所詮奴らの捨て駒なんや。かわいそうな話やけどな」

 まゆみは脱走した女、つまり裕子なら出自につながる手がかりを持っているかも
しれないと言った。一方、裕子は組織がそのようなものを残すはずはない、と言う。
だが、それは組織の実態を知る者なら少し考えてみれば判ることである。そもそも
改造人間を目的遂行のために使い捨てにするような組織である。捨て駒に素性など
必要ないではないか。しかし、麻琴は今までそれに気づかなかった。ならはまゆみ
までもが自分を欺いているというのか。いずれにせよ真実に至るのは容易ではない。
麻琴は一旦この話題を切り上げようと考えてこう言った。

 「そうか・・・。それともう一つ聞きたいことがある」

 「何やの?」

 「人は死を最も恐れると言う。お前は恐ろしくないのか・・・?もしかしたら
明日、死ぬかもしれないのだぞ」

 この事については麻琴でなくとも疑問に思うのは当然であろう。自分の命をねらう
組織によって囚われているにもかかわらず、裕子の表情や立ち振る舞いには恐怖と
いうものが感じられないのだ。殺されるかもしれないと言うのに、言われるがままに
麻琴の後を付いてきただけでなく、彼女と話までしているのである。それも、脱走の
意志を翻してまで、だ。
503ナナシマン:03/07/15 22:53 ID:0dhFMC9H
 「・・・怖ぁない言うたら嘘になるなぁ。けど信じてるもん、あの子らの事」

 裕子はそういって笑ってみせる。かたや麻琴にはその感情が理解できなかった。
いぶかしげに裕子の顔を見ながら麻琴は言う。

 「仮面ライダーの事か?私はお前があの少女たちの精神的支柱だと聞いたが」

 「むつかしいこと言うのな、あんたは・・・それは違うよ。あの子たちにあたしが
支えられてるって事。あの子たちがおらへんかったら・・・」

 「お前自身の存在はない、とでも言うのか?」

麻琴の言葉に頷くと、裕子はさらに言葉を続けた。

 「・・・そうかもしれんね。それが『絆』っていうのかも」

 「絆・・・だと?」

 愛や友情、そういった生ぬるい感情は麻琴や他の改造人間たちにとっては不要な
感情、いやそれ以上の忌むべきものである。だが、裕子はそれこそが人の力だと
言う。彼女の言葉とともに力強い視線が麻琴へと投げかけられる。
504ナナシマン:03/07/15 22:56 ID:0dhFMC9H
 「そう。人間の持つ、根元的な本当の強さ。あんたと会ってみるまで、あの子ら
との戦いは絶対避けなあかんて思ってたけど、戦ってみた方がいいかも知れない。
そして感じてみたらいい。人間の本当の強さを」

目の前にいる相手は、囚われる前までその存在を危惧していた最強の刺客であった
はずだ。しかし、裕子は麻琴に対して少女たちと戦うべきだとまで言い放ったのだ。
麻琴はその意図を量りかねているのか、怪訝な表情とともに言った。

 「お前・・・あいつらが勝つと思うのか?」

 「うん。信じてるから」

 裕子から帰ってきたのは、少女たちを信じる強い心に支えられた言葉だった。
決して飾り立てられたものでも、名文として残るような言葉でもなかったが、
何よりも強い力を伴って麻琴の心に入り込んだようだ。しばしの沈黙の後、麻琴が
口にすることができたのはたった一言だけだった。

 「・・・おしゃべりの時間は終わりだ、中澤裕子。戻るぞ」

ぶっきらぼうな口調の中にも戸惑いの色は隠せない。裕子はあえて何も言わず、
麻琴に従って再び地下のアジトへと戻っていくのであった。


−そしてついに、決戦の日がやってきた。

505ナナシマン:03/07/15 22:57 ID:0dhFMC9H
 実は最近転勤を控えていまして、準備のためまとまった話が書けない
状態です。落ち着いたらもっとドバッといけるんですけど、もうしばらくは
細切れっぽい状態が続くと思います。申し訳ありませんが、今しばらく
おつきあいください。

>>村上社長キャスト案
 あれからいろいろ考えてみたんですが、ハロプロ男性陣でイメージに合う
人が正直いませんでした。川o・-・)さんや名無し天狗さんに名前をあげて
いただいただけにちょっと申し訳ないところではあるのですが、結果的に
>>484さんのが最適かも知れません。

>>名無しんじーさん
 女所帯、というか娘。所帯のハロプロモチーフだけに男性キャラクタの
キャスティングがまずもって難しいですよね。

>>名無し天狗さん
 実は「真」のヤツをやったとき高山厳氏も出す予定だったんですが、
スポーンと忘れてました(w。Z対幹部の一人としてキャスティングして
いたんですけど・・・。それと全怪獣怪人、名無しんじーさん共々なんだか
掴ませてしまったみたいで申し訳ないです。もっと情報をリサーチしてれば。
506ナナシマン:03/07/15 22:58 ID:0dhFMC9H
>>川o・-・)さん
 山崎社長については僕も起用しようかと考えていたシーンがあります。
「555」本編で村上社長に会社を乗っ取られた社長が登場したのですが、
そこに出そうかと(w。

>>484さん
 特別編を書いていたんですけど、その中では石川をスマートレディに
してました。でもデータが消えてしまったんですよね。(涙

>>名無しスターさん
 特定しない方が逆に想像できることもあるというか、あの話ではその
特定されていないという事が逆にストーリー中で理想的に機能していた
と思います。人物にメリハリが効いて。

>>オートバジンさん
 「ウィナルド(&U)」でしたっけ。桂正和の漫画ではウイングマン
が一番好きでした。そういえば小学生の頃、学校の文化祭の作品で
市販のノートを切って「ドリムノート」を作って出してたヤツがいました。
507名無しんじー:03/07/16 00:28 ID:uebqEmn8
ナナシマン様
私は怪獣怪人は買ってないです。ご安心下さい。

今日久々にウイングマンを引っ張り出して読みました。
「ウイナア」から「ウイナルド」・・・
あの頃のアニメで「モスピーダ」でしたっけ?そんなのがあった気がするけど
あっちの方が後かな?どっちにしてもあの頃はそんなので
溢れかえっていた気がするのです。
あの頃の少年は、今ちょうど555のスタッフになって・・何だかナー!(w
508名無し天狗:03/07/16 09:38 ID:E1nVZLwG
>ナナシマンさん、名無しんじーさん、オートバジンさん
バイクロボと言えば、「シャ○ゼ○オン」の「リ○シ○キ」や「ザ○ーガー」の
「マシーン○ボー○ー」がありましたね。さすがに「ザ○ー○ー」を見たと言う人は
555のスタッフにいないかもしれませんが、「○ャン○リ○ン」を見たと言う人なら
いるかもしれませんね。

ナナシマンさん、マイペースでガンバ!
私の「嵐・第2章仇討ち編」も、部分的ではありますが、案が浮かびかけてきたところです。
でも完成はまだまだまだ先・・・早くユキ(と血車党)を21世紀に送りたいものです。
509名無し募集中。。。:03/07/16 11:13 ID:hYwJ/dn8
>>505

>>村上社長キャスト案
ココリコの田n(ry
510名無し募集中。。。:03/07/17 09:46 ID:yzvRSTxq
( ´ Д `)<510
511名無し天狗:03/07/17 11:46 ID:Fq2IiiG3
>509
誰でもいいってわけじゃなかろーに・・・。

>510
そう言えば・・・江戸時代後期に飛んだのってギルハカイダーだったんだよなぁ・・・どーしよ。
512ナナシマン:03/07/17 18:31 ID:QOQ/P80q
−そしてついに、決戦の日がやってきた。

 敵が指定してきた奥多摩の廃墟にやってきた少女たち−なつみ、真里、愛。
あさ美、そして亜依と希美。ひとみ達は圭織と圭の様子を見てもらわなければ
ならなかったため、研究所に残っていた。
 刻々と近づく戦いの予感が全身を走る。見上げれば、前日の晴天が嘘の
ような鈍色の空に黒雲が立ちこめていく。張りつめた空気の中、高まっていく
闘志、そして友への思い。しかし憎き敵は未だに姿を現そうとはしない。約束の
時間、正午を少し回ったこの時間になっても、風のざわめきが木々を揺らす
ほかは何の物音も聞こえてはこない。

 「あいつら・・・まぁた何か悪巧みしとるにきまってるがし」

 「何を企んでいようと関係ないよ。罠があるって事も覚悟はしてる。
それでもおいら達はやらなきゃならないってこと」

 周囲を見回しても敵の姿はない。真里と愛が言葉を交わす一方で、他の
少女たちも一様に敵の姿を探す。と、その時である。

 「あれ何?!」
 なつみが指さした方、鈍色の空に突如描き出される謎の紋様。空中を走る
閃光によって最初は大きな円が描かれ、その内側に三角形や得体の知れない
文字が描き出されていく。やがて完成したそれは奇妙な意匠として空中に
現れた。

 「あれは・・・魔法陣?!」

あさ美が驚きの声を上げたその直後のこと。魔法陣の中心から空間が裂け、
その亀裂からゆっくりと三人の異形の者達が舞い降りてきた。

513ナナシマン:03/07/17 18:31 ID:QOQ/P80q
 突如として現れたこの異形の者達は、時空間を越えて転送されてきたとでも
いうのか。ゼティマの科学力はすでに時空をも支配するまでになったというのか。
計り知れないその科学力。事実、敵の改造人間達は空中に突如現れた魔法陣の
彼方からやってきたのだ。「時空魔法陣」と呼ばれる空間転送技術によって。

 「いいねぇ。立派にヒーローしてるじゃねぇか、お嬢ちゃんよォ。あえて敵の
まっただ中に自分から飛び込むとはなァ・・・」
 
少女達を見るなり口を開いたのはタカロイド。自慢の翼はまだたたんだままだが
手にした長刀の刃にも劣らぬ鋭い視線で少女達を睥睨する。

 「だが、残念ながらそういう奴が最初に死ぬ。お前たちのような奴らがな」

 長い舌を口から出し入れしながら、不気味に嗤うのはカメレオロイド。そして
二人を引き連れてやってきたのは極彩色の翼をもつ毒蛾の改造人間。圭織と圭の
命をもてあそぶ憎き敵、ドクガロイドだ。

 「あれからお友達の容態はいかがですか?まぁ、助かるとは思えませんがね。
クックックッ・・・」

その言葉になつみが怪人達の前に歩み出ようとするが、そんな彼女を真里が制止
する。しかし、その真里の視線もまた怒りに満ち、目の前の敵をとらえていた。

514ナナシマン:03/07/17 18:32 ID:QOQ/P80q
 ちょうど同じ頃。少女達が辿ってきた同じ山道を一台のバイクが走り抜けて
いく。銀色のマシンは二人の少女を乗せたまま、猛スピードで少女達と同じ、
山中のホテル跡を目指して疾走していた。

 「・・・ねぇ、なんでこんな山道走ってるの?」

 少しおどおどしながら、少女はバイクを駆るもう一人の少女の服を必死に
掴みながら尋ねる。

 「しょうがなかろうもん、こっちの方向に反応があるんやき。しかも反応が
一つじゃなくていくつもあるから・・・急がんと」

そう言うと、もう一人の少女はアクセルを全開にしてマシンを走らせる。
程なくして二人は、正邪対峙するホテル跡にたどり着いた。

515ナナシマン:03/07/17 18:32 ID:QOQ/P80q
 二人は茂みの奥に隠れて少女達のやりとりを見ていた。先ほどまでバイクを
駆っていた少女は、にらみあう少女達と三人の異形の者へ目をこらす。しかし
その姿をはっきりと肉眼でとらえて確認するや、少女はしまったという表情を
見せる。そしてこんな言葉が彼女の口をついて出てしまう。


 「あれ、ヤツらじゃないじゃん。これはうちらには関係ないかも」

 「よく見たら女の子達も知らない人たちだし、それにあんな奴らとは戦え
ないよ・・・れいな、帰ろうよ」

後ろに乗っていた内気そうな少女も関わり合いになりたくないといった風で
ある。すでに身をかがめたままで後ずさり、そそくさとその場を立ち去ろうと
している。だが、そんな彼女の肩をれいなと呼ばれた少女の手が掴む。

 「待ちなよ、さゆみ・・・もう少し様子を見よう。そうだ、アレ取って。
何かの時に要るかもしれんけんさ」

さゆみと呼ばれたその少女は、黒いアタッシュケースをれいなに手渡す。
れいなはすぐさまそれを手元に引き寄せると、身をかがめたまま藪の外を
見つめていた。
516ナナシマン:03/07/17 18:39 ID:QOQ/P80q
 昨日は送別会が入ってしまったので予定外にお休みしてしまいました。都合今日は
二日分と言うことになります。続きはまた明日。「ココリコ田中」で思い出して投入した
田中ですが、博多弁はちょっと難しいのでステレオサイズの九州弁になってしまい
ました。何せ熊本県民なのでその点は申し訳ありません。

>>名無し天狗さん
 個人的にはその回へのフリとして「ワルダー」を投入しようかと考えていたのですが
「ギルハカイダー」でしたっけ。思案どころですね。

>>509さん
 似てるっちゃ似てる。(タモリ風)もう少しなんかツンツンしてる感じですが。

517名無し天狗:03/07/17 19:55 ID:ORbH9pqu
>ナナシマンさん
新キャラ登場の予感・・・期待してます!
なるほど、「ワルダー」か「ギルハカイダー」ですか・・・
ワルダーなら嵐も相手にとって不足はないでしょう。
とりあえず私が「嵐・第2章」を書かないと、ってことですね。
頑張って現在構想中(本当に)ですので・・・。
518名無し募集中。。。 :03/07/18 00:07 ID:oIRqspl5
田中がイヌタクで、道重がプニかケー太郎ポジションか?
519名無し募集中。。。:03/07/18 01:39 ID:rW5+r1hJ
>>518
555は九州スタートだったしね。とすると亀は……。
520名無し募集中。。。:03/07/18 11:29 ID:5n6UfffV
カイザカイザ!!
521ナナシマン:03/07/18 18:36 ID:oyc2Gjsd
>>518
一応それで行きたいんですけどね。亀井カイザと道重プニの三角関係とか
面白いかなとも思ったんですけど、そう言う話が書けるかどうか・・・(w。
何せ萌え要素の欠片もない作者ですので。

今日で39話終わらせるつもりだったんですが、ちょっとどうしても教えて
いただきたいことがありまして、ここでお伺いできればと思います。そのうえで
更新は明日、と言うことにさせていただきたく思います。

 教えていただきたいこと、といいますのは「予告編のシメの台詞」なんです。
龍騎だったら「戦わなければ生き残れない!」ですが、クウガとアギトが何
だったかな、と思いまして。555もよく聞き取れなかったので、もしご存じの方が
いらっしゃったら教えていただけませんか?


522ナナシマン:03/07/18 21:42 ID:xae2qPrw
 と、ここでちょっと注釈を。田中・道重・亀井の三角関係がどーたら、というところ
ですが、
 
ノノ〃^ー^)<あいつ(从*・ 。・从)は俺の母親になってくれるかも知れない女なんだ!
     (でしたっけ?555本編より)

というシーンがありまして、そういうのとかやるのかな、と思ったんですよね。
(注:仮面ライダー913こと草加雅人は、事故死した母親の面影をヒロイン・園田真理
に求めてるっぽい)ただ今のところこのお話でのポジションは啓太郎(菊池啓太郎:
クリーニング業を営む青年。555側の人)っぽいですが。

ちなみに>>518さんのは特撮板での通称?でして、プニが園田真理、イヌタクは555こと
乾巧(いぬい・たくみ)、草加雅人(くさか・まさと)は音読みの当て字で創価とか
書かれてたことがあります。ケー太郎は啓太郎ですね。

 それよか馬(ホースオルフェノク/木場勇治:オルフェノクでありながら人間を襲う
ことを拒否し、555を刺客と誤解して憎んでいるライバルキャラ)どうしましょ、馬!


>>名無し天狗さん
 その前に実はキカイダーチームを合流させなきゃいけないかもしれません。果たして
今頃まいはどこを走っている事やら。新キャラは・・・もうバレバレですね(w。
あと「シャンゼリオン」はもうDVDボックス出たんでしたっけ。ほすぃ。

523名無し募集中。。。 :03/07/18 21:56 ID:Rzv/0Uwj
>>521
クウガはなかったような気がします
アギトは「目覚めろ、その魂」
555は?わかりません。
どうもあまりお役にたてないようで
524ナナシマン:03/07/18 22:26 ID:xae2qPrw
>>523さん
 ああ、なるほど。だからクウガのがどうしても思い出せないんですね。助かりました。

525 :03/07/18 23:42 ID:8jGZJSY/
>>524
確か「OPEN YOUR EYES TO THE NEXT 555」 だったような・・・。
あんま自信ないけど(w
526名無し募集中。。。:03/07/19 00:34 ID:l+sr8FUo
馬を出すとなると蛇と鶴も欲しいところ。しかしそれだと駒が足りない。
555はまだこれからどう転ぶかわからないので難しいところ。
草加が死んで、馬が913になる展開もないとは言い切れないし。
三角関係はおいておいて、無難にしておくのが良いのでは?

余談ですが、オルフェ側に当てはめるなら
馬=亀井、蛇=田中、鶴=道重かな。で、プニが石川と。
527名無し天狗:03/07/19 04:06 ID:p7CkfuAs
「殿」の55歳のバースデーコンサートの模様がDVDとビデオになったそうです。
(遅れて情報が入ってくる地域に住んでるもので・・・)
528ナナシマン:03/07/20 00:01 ID:kSshwjct
 すぐそばの茂みで二人の少女が動きを見せている一方で、少女達は突如現れた
3人の改造人間と対峙していた。

 「裕ちゃんはどこだよ!連れてきてるんじゃないのかよ!?」

 「まぁ待ちな。中澤裕子はそこにいる」
 
 そう言ってタカロイドが指さした先は、廃墟と化したホテルの屋上。真里の
視線がその場所を見つけ出したとほとんど同時にタカロイドが軽く指を鳴らすと、
物陰から裕子を伴った黒服面の戦闘員二人が姿を現した。後ろ手に縛られた姿の
裕子は、屋上から少女達の姿を見つけて叫ぶ。

 「やぁぐちぃぃぃ〜!早く裕ちゃんのこと助けに来てぇぇぇ!そしたら
お礼のチューを・・・」
 
そう言いかけたところで戦闘員がたまらず口をふさぐ。本来なら、今はもっと
緊迫した場面だったはずだが・・・少女達への信頼の強さの現れ、と思うべき
なのだろうか。きりりと真一文字に結ばれた少女達の口元が思わずゆるみ、
小さな笑い声さえ漏れる。

 「元気なのが判ったから嬉しいけど・・・チューはいいよ、チューは」
529ナナシマン:03/07/20 02:04 ID:7XHs4ayS
 戦場に一瞬訪れる弛緩した空気。真里は裕子の言葉に対して、うつむいたまま
答えることしかできなかった。思いがけず涙より先に出てきたのは、やはり
ため息だった。しかし、それは一番聞きたかった言葉なのかも知れない。そう
思うと、彼女の心にあるのはもはや先ほどの「覚悟」と呼ぶべき感情では
なかった。必勝の決意を込めて裕子の耳にも届けとばかりに真里は叫ぶ。

 「みんなで裕ちゃんを取り戻すぞ!!」

 「おーっ!!」

そして少女達は敵そっちのけで突然円陣を組むと、6人一人一人が手を差し出し、
みんなでその手を重ねる。その中で、ひときわ大きな声でなつみが叫ぶと、他の
少女達も一斉にそれに答えた。

 「がんばっていきまーっ!」

 「しょい!!」

 一方、まるでスポーツの大会に臨む部活動生のような少女達の仕草を鼻で笑う
のはゼティマの改造人間達だ。

 「なぁにやってやがるんだか・・・どうする?」

 「もうしばらく待ってあげましょう、二人とも。チークタイムまでにはまだ
時間がありますからね。ククククク」

戦いに臨む少女達の胸に、熱い炎が燃えあがる。仲間達の笑顔を取り戻すために、
世界を脅かす悪の野望を打ち砕くために。強い瞳に希望と闘志を宿した彼女たちの
前に敵はいない。

第39話 「決戦!地獄の罠を打ち破れ!」 終
530ナナシマン:03/07/20 02:06 ID:7XHs4ayS
【次回予告】

-OPEN YOUR EYES TO THE NEXT 555-

 「悲しみの果てにこそ、私の求めるものがある・・・!」
 
 ついに火ぶたを切る6人ライダー対怪人軍団。突如現れた謎の戦士、そして再び
姿を現したパーフェクトサイボーグZX。善悪入り乱れての戦いの果てに待つものは
はたして何か?! 

 「うちらはもう誰の涙も見たくない。見ててや、のの・・・うちの『超変身』!!」

※ 次回は明後日火曜日の更新です。
531ナナシマン:03/07/20 02:09 ID:7XHs4ayS
 以上で第39話完結です。今までにないほどの長さになってしまい申し訳ありません。
次回の話は一つの区切りとなるであろうエピソードですので、久々に次回予告を復活
させてみました。

>>525さん
 早速使わせていただいてます。情報提供ありがとうございました。

>>526さん
 正直僕もそんな話は苦手ですし、たぶんできないと思うんです。いつも通りの感じに
なることでしょう。

>>名無し天狗さん
 たしかNHKかなんかでやったヤツでしたっけ。五木氏のビデオとして発売されるので
しょうか・・・?


532ナナシマン:03/07/20 02:11 ID:7XHs4ayS
 以上で第39話完結です。今までにないほどの長さになってしまい申し訳ありません。
次回の話は一つの区切りとなるであろうエピソードですので、久々に次回予告を復活
させてみました。

>>525さん
 早速使わせていただいてます。情報提供ありがとうございました。

>>526さん
 正直僕もそんな話は苦手ですし、たぶんできないと思うんです。いつも通りの感じに
なることでしょう。

>>名無し天狗さん
 たしかNHKかなんかでやったヤツでしたっけ。五木氏のビデオとして発売されるので
しょうか・・・?
533ナナシマン:03/07/20 02:13 ID:7XHs4ayS
二重カキコになってしまいました・・・Air H”初導入だったんですけどあんまり電波が
安定しなくて・・・。フテ寝します(w。
534ヴィンセント:03/07/20 09:22 ID:0ToBkyr1
こんな朝からはじめまして。
狩板で龍騎のお話書いてますヴィンセントです。
どうぞよろしくお願いします。

早速なんですが・・・間違ってます。(ぉ
555の予告編のシメの台詞と言いますか、最初のセリフは、
「Open your eyes for the next Φ's」です。
東映の公式ページにも記載されています。
535名無し天狗
>ナナシマンさん
次回、大いに期待してます!
「殿」のコンサートのビデオですが・・・去年モー娘。が「殿」&「美浜の江戸家老」と組んで
リリースしたクリスマス企画CDが「演歌」のコーナーに置いてあった店もあったという
前例がありましたからねぇ・・・。