225 :
Pちゃん:
しばらく無言のまま、安倍と後藤は歩きつづけた。
ある路地の曲がり角まできて、ふいに安倍が足を止める。
「?どーしたの?」
「・・・ここ。なつかしいね」
安倍が足を止めたそこは、小さな古びたゲームセンターの前。
ほとんど人もおらず、埃をかぶったゲーム機だけが無機質な音を立てている。
後藤は目を細めた。
「そっかぁ。よくここでプリクラ撮ったりしたっけ」
「そうそう。このプリクラ機なんだよね」
226 :
Pちゃん:03/05/26 21:41 ID:beCUTi6n
それはもう、何年も前の古い機種で。
でも全く変わってない。あの頃のまま。
(でも・・・私たちは、変わってしまった)
(楽しかったな、あの頃は。ずっとみんなでいられると思ってた)
「あのね・・・ごっつぁん」
胸が張り裂けそうな思いで安倍が切り出す。
安倍の目は潤んでいた。後藤の前で涙を見せるのは、初めてかもしれない。
「・・・・なっち・・・?」
まっすぐ後藤の瞳を捉えたその目は、とても思いつめたようで・・・それでいて強い。
後藤は思わず圧倒された。それは数年前の安倍なつみ、そのものだった。
227 :
Pちゃん:03/05/26 21:42 ID:beCUTi6n
「・・・本気なの・・・?それ・・・」
震える声で聞き返す後藤に、安倍は大きくうなずいた。
「私も矢口も、本気だよ」
「でも二人だけじゃ―――」
「梨華ちゃんもいる。6期の亀井って子もいれるつもり。よっすぃーは・・・まだ保留だけど」
「でも・・・・そんなの、無謀すぎる・・・!!」
安倍から聞かされた計画。新生モーニング。
つんくも事務所も・・・メンバーすら裏切るその計画。
上手くいく筈がない。たった4人(もしくは5人)で、どう戦うというのか。
「確かに・・・私たちだけじゃ無謀かもしれない」
「でもごっつぁん。あんたがいれば・・・奇跡が起こるかもしれない。あの時みたいに」
(かつて娘。のエースと呼ばれた後藤真希・・・)
(私が唯一認めたライバル・・・あんたがいれば―――)