亀井絵里はどうよ

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63小説【いじめられっこエリたん】
まるでサッカーボールでも蹴るかの様に、藤本さんの蹴りが私の肩を打ち込みました。
その激痛は、じわじわなぶり遊んでいた新垣さん達のものとは比べ物になりません。
(痛い痛い痛い…怖い怖い怖い…本気?本気だ!本気で私を…)
さらに藤本さんのグーが顔面目掛けて振り下りてきたのです。
その拳は寸前で止まりました。もし当っていたら頭ごと吹き飛んでいたかもしれません。
恐る恐る見上げると、高橋さんが藤本さんを後ろから押え込んでいたのです。

「ミキティ、顔はまずいって。一応売り物やよ」
「あ〜ん、だからおめぇは甘えんだよ高橋。こんな奴関係ねーよ」
「ちょっと考えねや。テレビに青アザ晒して、どんな記事や噂立つかわからんが」
「階段から落ちたって事にすりゃいい。前にもイキナリ怪我したボケいただろ」
「ちょっと、あさ美のこと馬鹿にすると許さんよ」
「あんだ高橋、お前俺に逆らう気か?」
「先輩は私やよ。藤本」

私の目の前で意外な火花が激しく散り始めました。
(喧嘩するなら、もうちょっと向こうでお願いしますぅ〜)
64小説【いじめられっこエリたん】:03/02/18 17:41 ID:WP1B/AS8
「ちっ!」

睨み合いの末藤本さんは、高橋さん次いで私にガンを飛ばし、部屋を出て行きました。
その後も、部屋にはしばらくの沈黙が続きました。

「あーあ、白けつんたの。行こ行こ」

やがて高橋さんは、そう言い残して部屋を出て行きました。
その後に他の皆も続きます。れいなもさゆみも私に目をくれようともしません。
扉は私を残してピシャリと閉まりました。
破れかけた服。激痛の残る肩。未だ残る震えと恐怖。絶望だけの明日。

「どうして、どうして、こんなことになっちゃたんだろ…」

薄暗い部屋の隅で、私はたった一人日が落ちるまで泣き続けました。
差し伸べられる手はありません。優しく励ましてくれる人もいません。
孤独なモーニング娘。亀井絵里14歳。
恐ろしいことに、この出来事はまだほんの始まりに過ぎなかったのです。