亀井絵里はどうよ

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530作者エリ
「いつのまに練習しとったんや。ずるいでぇ〜」
「ほんとにいい歌れすね。愛ちゃん上手いのれす」

加護と辻と高橋は、先ほどの唄について談笑していた。
三人が揃えばミニモニのムードで話がつきない。エリは一人黙っていた。
(センターに相応しいのは私じゃない。どんなに努力しても…)
落ち込むエリに向けて、高橋は言った。

「亀井ちゃん。勝負しない?新曲のセンターを掛けて」
「え?」
「みんなの前で歌うの。そしてどっちが相応しいか判定してもらう」

エリは言葉がでなかった。さっきの練習だけでほぼ結果は見えている。
辻と加護は止めるどころか、乗り気でおもしろそうと騒いでいる。
もうエリは泣きそうになっていた。恥をかくだけである。
娘みんなの白い眼に囲まれる自分の姿が頭に浮かんで離れない。
逃げ出したかった。嫌ですと言いたかった。
負けを認めてセンターを譲ってしまいたかった。だけど言えなかった。

「よし、じゃあ明後日の昼休みにね」
531作者エリ:03/04/03 12:43 ID:pG+rjx/O
翌日、高橋vs亀井の話は、ソロ活動中の藤本以外の娘全員に駆け巡った。

「さすが高橋さん」
「ウフフ…エリの負けっぷり見るのが楽しみね」
この話を聞いて喜んだ道重と田中。

「そういうことなら、なっちもやるべさ!」
「あのねぇ。どうせ新モニが奪うんだから、センターなんてどうでもいいっしょ」
「そういやそうだべ。どうでもいいべ」
うっかり意気込むなっち。それを抑える矢口。

「愛も思い切ったことするわね」
「でもこれで亀も終わったな。一応見に行くか?」
まるで他人事の様に語る小川と新垣。

「よっすぃー!よっすぃーはどっちに賭ける?」
「え、うーん。じゃあ高橋」
「いまのところ、賭け率は10:0で愛ちゃんなのれす」
「いやそれ賭けになってないじゃん!」
ギャンブル辻加護と意外と堅実な吉澤。
532作者エリ:03/04/03 12:44 ID:pG+rjx/O
「石川さん、唄の勝負ですって」
「ちょっと何でそこで私の名前出すのよー、紺野!」
どっちもどっちの石川と紺野。

(みんな、どうかしてる。こんなの間違ってる。何でこんな事になっているの?)
唯一人、リーダーの飯田だけが事の深刻さに気づいたのである。
(そうだ、つんくさんに言って、止めてもらおう)
仕事の合間をみて飯田はつんくの元へ向かった。

「おお、なんや飯田。珍しいな、どうしたんや急に」
「聞いてください!つんくさん!」
「そない目くじら立てて、お前あれや、まるでジョンソンやで。あ、言うてもた」
「冗談言ってる場合じゃないんです!高橋と亀井がセンター賭けて勝負するって…」
「なんやて!」
「みんなももうその気で…」
「くそぅ…あいつら勝手に…」
「そうなんです!つんくさん!止めて下さい!」
「…おもろいやんけ!そういうの大好きやで。よっしゃ!俺も見に行こ」
「え?」
つんく動く。