亀井絵里はどうよ

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518>>499訂正
「まさか貴方まで参加するとはね。驚いたよ」
「それはこっちのセリフですよ、福田さん」

線路沿いを並んで歩く二人。後藤真希と福田明日香である。
一緒に帰ろうと福田が後藤を誘ったのだ。
二人きりでこんな風に話すのは初めてのことであった。

「なっちとマリッペ、相当悩んでたみたい。昔とは変わった…」
「……」
「ねぇ、後藤さん。貴方こんな無謀な計画が本当に成功すると思ってる?」

福田の確信を突いた質問に、後藤は驚きを見せた。
同じ疑問を後藤も持っていたからだ。だけど、それでも参加したのは…

「わかりません。だけど何かしなくちゃいけない…って思います」
「ナニカ…ね」
「正直、ソロになって良かったのか、わからなくなってます。もしまだ私が…」
「わかるよ。私も何千回何万回と考えてきた。もし…って」

(もし私があのときモーニング娘をやめていなかったら?)
519作者エリ:03/04/02 07:21 ID:a600vZ6T
☆ノハヽ
ノノ*^ー^) <一行変えただけで違和感なくなった
520作者エリ:03/04/02 09:59 ID:ai69xOQt
「…ああそうだ。7月20日。頼むぜお前ら…」
「亀井絵里を犯っちまえ!」

携帯の電源を切る。藤本の唇は紅い笑みをこぼしている。
ふいに後方で人の気配がした。高橋だった。不安気な面持ちをしている。

「今、どこに掛けてた?」
「さあね?もうお前等には関係ねえ。俺は俺のやりたい様にやる」
「藤本!あんた何考えてるの?」

問いには答えない。藤本は薄く笑みを浮かべたまま去っていった。
高橋は胸騒ぎがして仕方なかった。
会話の内容は聞くことができなかったが、藤本は明らかに何か企んでいる。

「高橋さん…」

藤本が消えた代わりに、出てきたのは田中と道重であった。
この二人もまた最近の不穏な空気を感じ取っていた。
それで高橋の元へ頼りにきたのだ。
521作者エリ:03/04/02 09:59 ID:ai69xOQt
「上の人達、特に安倍さんや矢口さん。この所ナニカおかしくありません?」
「飯田さんはソロのお仕事が増えて、あまり顔を出さなくなったし…」
「小川さんと新垣さんは厄介事にはもう関わりたくないって、何もしなくなったし」
「あいつ、最近辻さん加護さんにくっついてるから、手出しづらいし…」
「藤本さんは怖いし、紺野さんは何考えてるかよくわかんないし…」
「私たちが頼れるのはもう高橋さんしかいないんです」

モーニング娘内を駆け巡る最近の不穏な空気は、高橋も感じ取っていた。
新人の二人に言われることにより、その迷いは確信へと変わる。
(その原因の中心にいるのは…。全部あいつだ。亀井絵里!)
(亀井さえいなくなれば、元のモーニング娘に戻るんだ!)

「安心して、田中ちゃん。道重ちゃん。私がなんとかするから」
「はいっ!」

高橋愛は決意を秘めた顔つきで歩き出した。
ついにエリはモーニング娘現エースを本気にさせたのだ。
522作者エリ:03/04/02 10:00 ID:ai69xOQt
新曲発表の日は近づいていた。今夜もエリは居残り練習をしていた。
いつもの様に辻と加護が隣にいた。そこへ高橋が足を踏み入れた。
エリに一瞬緊張が走る。辻と加護は何事かと歌を止め、そちらに注目した。
高橋は何気ない顔で歌いだした。新曲のセンターパート、エリのパートである。
エリが毎晩練習している曲である。そのエリの声に乗せてきたのだ。

「聞ぃ〜きたぁ〜い〜〜声が〜あ〜る〜♪」
「聞ぃ〜きたぁ〜い〜〜声が〜あ〜る〜♪」

エリは驚いた。あの高橋が隣で同じ唄を歌っているのだ。
いや同じじゃない。全然違う。自分の唄とは全然違う。エリは思った。
胸が打ち震えていた。感動している自分がいた。
初めてこの曲をデモで聴いたあのときの感動だ。
自分の声で決して表現できなかった感動を、隣の人物が表しているのである。
エリは歌うのを止めた。自分の声が耳障りにすら聞こえた。
辻と加護の表情も変わっていた。エリと同じ感想を持ったに違いない。
エリの声でなくこの声で、この最高の名曲を世の皆に届けたいと。
いじめではない。高橋はその実力でエリを追い込んだ。