亀井絵里はどうよ

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464作者エリ
藤本が辻を見下ろした。辻はその目をまっすぐに見つめ返している。
できる限りの笑顔を作り藤本は言った。

「亀井ちゃんに話があるんだけどいい?辻ちゃん」
「ここで話せば?」

辻も引かない。藤本の眉間にしわが寄った。
(上等だよ。前々からムカついてたんだ、このアホ面にはよぉ)
(食うことと腕力以外何のとりえもねえくせに、先輩面してやがる)
(いっちょ前にこのミキティ様と闘る気か?俺に勝てると思ってんのか?)
(いざとなったら加護は高橋に任せるとして、俺とこのガキのタイマンか)
(喧嘩は力じゃねえ…場数だ。最初にワンパン顔に入れりゃ泣き出すだろ…)
(やるか…)

藤本の気配の質が変わった。室内に緊張が走る。
加護が…高橋が…そしてエリも、息を飲んで成り行きを見守る。
そしてまさに藤本が拳を握り締めかけたその時、奴は来た!

「おっはー!」
465作者エリ:03/03/29 23:01 ID:hwF9iHj8
ノーテンキな馬鹿声が室内に響き渡った。緊張の糸がプツリと切れる。
辻の顔に笑みが戻っていた。辻は藤本を尻目に大声でその名を呼んだ。

「よっすぃー!!」
「おう、吉澤ひとみ復活イエーイ!で、みなさんお揃いで何遊んでんの〜?」

それまでの空気とあまりに場違いなテンションだった。
皆の顔に笑みが浮かぶ。藤本も握りかけた拳を戻す。
(辻だけならともかく…こいつが一緒となると…クソッ)

「遊んでるんじゃないよ。新曲の練習してるの!もう!」
「あれぇ?よっすぃー。なんか痩せてへんかぁ?」
「いやぁ腹壊して、昨日までずっと下痢ってたからさぁ…。アッハハハハ」

吉澤のその話で辻加護は爆笑しだした。エリも口元を手で隠し微笑んだ。
いつのまにか藤本と高橋は逃げるように部屋を去っていた。

「コラー!亀井〜!お前まで笑うなー!」
「えーだってぇー吉澤さん汚いんですもん!アハハ…」

エリに、久しぶりの笑みが戻った瞬間である。