室内は、一瞬にして凍り付きました。
破れかけの服で床に転がる私。
そんな私を足蹴にする新垣さん。
私を取り囲んで見下ろす小川さんと高橋さん。
離れた場所で嘲笑を浮かべるれいなとさゆみ。
石川さんは入り口の所で、笑顔のまま固まっていました。そして…
( ;^▽^)<見なかったことにしましょ。
扉は閉まり、遠くへ掛けていく石川さんの足音だけが後に残りました。
「あいつで良かったわあ。飯田や吉澤は正義感ぶってうるせえから」
高橋さんがクスリと笑って、また私に冷たい視線を向けました。
まるでエースは私一人で十分だと言わんばかりの眼で。
石川梨華は動揺していた。
まさか娘内でいじめが行われているなんて、夢にも思わなかったから。
(かわいそうな亀井ちゃん。きっとセンターの件で皆に妬まれているのね)
(わかるわぁ。チャーミーもこの美貌のせいで幾多の妬みを受けてきたもの)
(だけど暴力はよくないわね。なんとかしないと駄目…)
(ああ、こんなときに他の先輩メンは皆お仕事中だし…私一人じゃちょっと…)
そのとき廊下の向こうから、石川と同い年のあの人が声を掛けてきました。
「よぉアニメ声。何公衆の面前で一人変顔してんだ?」
「あらぁ、その憎たらしい口振りは3次オーデ予選落ちのミキティじゃない。オホホホ…」
「よーし喧嘩売ってんな。グーで殴っていいか、おい」
「やめて!チャーミー暴力反対!今五期六期のいじめを止める方法思考中なんだから」
「なにぃ!?いじめだぁ!そいつぁ聞き逃せねえ話だなキショ女。よーし俺に任せろ!」
「え、ほんと?そうね貴方も同期だし。こういう野蛮な事は野蛮女が適任ね」
「うん。五期六期シメたら次お前殺すから、糞でもして待ってろ」
「しないよ。(うーん、私って親切)」
この親切が、亀井絵里を更なる悪夢に陥れることになるとは、石川は知る由もなかった…