305 :
作者エリ:
「やだ」
一言、辻さんはそれだけ言って私の差し出した手を払い除けた。
まるで汚い乞食を軽蔑するかの如く見下した眼で見下ろしながら…
そして加護さんは、まるで私のことが見えない様に無視をして…
「ほら、のの。行くで〜。ミキティもれいなちゃんとさゆみちゃんもおいで〜」
「お、おお」
「はい、御一緒します!」
「おなかぺこぺこになっちょー」
まさか?私の名前だけ呼ばれなかった?そんな…そんなはずは…
あの辻さんと加護さんに限って、そんなことするはずが…
私はもう一度、確かめる様に加護さんに聞いた。
「あの…私は…」
「なんや?お前は呼んでへんで」
306 :
作者エリ:03/03/13 17:03 ID:LAv76XSy
扉は閉められた。残ったのは私と、無造作に転がるボールだけ。
私はまた泣いてしまった。まだ涙が出るなんて思いもしなかった。
何処かで信じていたんだ。辻さんと加護さんだけは絶対いじめはしないって。
「グスッ…ヒックウェッウェッ…グスッ…」
もう誰も信じられる人はいない。誰も私を助けてくれる人はいない。
同期は全員敵になってしまい…
五期も全員、紺野さんまでいじめに加わり…
リーダーの飯田さんは私がいじめていると誤解をしたままだし…
安倍さんと矢口さんは、私のいじめを酷くするばかり…
石川さんは見なかったことにして、逃げていってしまう。
吉澤さんは食べ過ぎて寝込んで、今日はレッスンお休みしてるし…
最後の砦、辻さんと加護さんまでが私をシカトし始めた。
15人の大所帯の中で味方は誰一人いない。いじめはエスカレートするばかり…
「やめたい…もうセンターなんか…モーニング娘なんか…やめちゃいたい…」