亀井絵里はどうよ

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283作者エリ
(私は卑怯者だ)
(見て見ぬふりして、自分だけ無関係を装っている)
新曲レコーディング開始の翌日、今日は新曲のダンスレッスン開始日であった。
紺野あさ美は昨日に引き続き、また一人黙々と自主練習を続けていた。
そのすぐ横では、いじめグループ6人に囲まれた亀井がまた泣いている。

「エリちゃ〜ん、今日は練習させてやるよ」
「ほら、早く踊んねや。うちらが指導してあげるで」
「い、嫌…」
「早く踊れっつってんだよ!この亀!」

新垣に蹴られて、亀井は小ホールの床に身を崩した。
白いふとももが床を擦り、キュッと音がした。
他の皆は長袖ジャージなのに、何故か亀井一人だけTシャツにブルマ姿であった。
朝、田中と道重が亀井のジャージを盗み取り、代わりに置いた物である。
そんな恥ずかしい姿で、踊りを強要させているのだ。
しかし紺野にそれを止めることはできなかった。
亀井を庇う真似をしたら、自分まで目を付けられるかもしれないからだ。
284作者エリ:03/03/11 12:56 ID:SgY68j4a
「高橋さーん。こんなのありましたー」

その無邪気な声は道重さゆみのものであった。
彼女は籠の様な物を押していた。中にはバレーボールの球がたくさん入っていた。
それを見た藤本や小川は顔を輝かす。各々無造作にボールを手にする。

「亀井ドッジボールはじめー!」

藤本はそう言って、絵里目掛けて思い切りボールを投げつけた。
ボールは絵里の右肩に命中し、絵里は悲鳴を上げてまた縮こまった。
それを合図に四方八方から、エリ目掛けてボールが投げ込まれる。

「やめて…やめ…」
「ほらほらー!踊れ踊れ!アハハハ!」

やがてボールの一つが、紺野の足元にまで転がってきた。そこで藤本と眼が合ってしまう。

「おう、紺野!お前も見てないで、投げろよ」