亀井絵里はどうよ

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263作者エリ
藤本と別れた後もしばらく、石川は一人座って悩み続けた。
そのせいでレコーディングにも集中ができなかった。
もっともたいしてパートもないので、なんとかごまかすことができたが…。
さっきの藤本の言葉が頭の中でリフレインし、【絆の唄】がちっとも頭に入らなかった。
(御払い箱…奇麗事じゃ…出る杭は…)
スタジオを出た所で石川は、二人の先輩に呼び止められた。

「石川、ちょっといい?」

安倍なつみと矢口真里だった。
なんだろうと思いながらも、石川はそのまま二人に付いていった。
人気の無い控え室に鍵を閉め、三人だけになった。二人の雰囲気がいつもと違った。
やがて、安倍なつみが口を開く。そこで石川は衝撃の話を聞かされる。

「梨華ちゃん。あんたはモーニング娘。に必要だから…」
「この話は誰にもしないで。それで一晩じっくり考えて返事を聞かせてね」

二人のあまりの話に、石川はもう言葉も出なかった。
264作者エリ:03/03/10 12:38 ID:Zrx32gDb
(HO~ほら行こうぜ♪)
(ピースピース♪)
スタジオの屋上で、石川は懐かしい唄を口ずさんだ。
(あの頃は楽しかったなぁ)
(いじめ…潰し合い…分割…事務所への反抗…)
(いつからこんなことになっちゃったんだろ?モーニング娘はどうなるんだろ?)
(もうわかんないよ私…どうすればいいのか…わかんないよ)
石川の頬に、夕焼けに照らされた涙が伝い落ちた。声を押し殺して泣いた。

「おしりぃ〜!」
「キャッ!」
「ニャハハハ、梨華ちゃん隙ありー!」

急にお尻を引っぱたかれて石川は悲鳴をあげた。
振り返るとそこには、二匹の小悪魔が天使の笑みでじゃれあっていた。
石川は何故かそのとき、あの頃のモーニング娘を感じた。
(この二人なら…)