亀井絵里はどうよ

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172小説【いじめられっこエリたん】
破れた服を隠す為、春なのにジャンパーを着込んで家路へと着きました。
家族に見られない様に、そそくさと自分の部屋へ駆け込むつもりでした。

「ただいまぁ」
「遅かったわね絵里。お仕事はやっぱり大変なの?」

居間からお母さんの声がした。私は顔を出さず廊下から返事した。

「う、ううん。大丈夫」
「モーニング娘の先輩とは仲良くなれた?」
「うん、みんないい人達ばっかりだから。疲れたからもう寝るね」
「おやすみなさい絵里」

私は無言で階段を駆け登り、部屋の鍵を掛けジャンパーを脱ぎました。
もう着れない洋服と、使えないバックをごみ箱に捨てました。
下着姿のままベットに飛び込み、そのまま声を出さずに泣き崩れました。
傷と痣がジンジンと痛みを増してゆく。泣いても泣いても、涙は溢れ出てきました。
173小説【いじめられっこエリたん】:03/02/26 12:11 ID:xQJ0LSk9
朝がきた。もう仕事に行きたくなかった。
でも今日は新曲のレコーディング開始日。センターに選ばれた私が休むことはできない。
それに家に居ても、母さん達に変な気遣いをさせるだけだ。
私は重い足を引きずり家を出た。破かれてもいい古びた私服を選んで。

「おはよーございます」

スタジオに入る。久しぶりにモーニング娘。15人全員が顔を揃えた。
流石につんくさんやスタッフ達の前では、いじめの雰囲気など誰も出さない。
表面だけの和やかなムードのまま、新曲のデモテープが渡されました。
「ひょっこり」に続く待望の新曲で、私達6期にとってはデビュー曲にもなります。
それは「仲間達の絆」をテーマにしたつんくさん会心のバラードでした。
私は感情移入し過ぎて、気が付くと泣いてしまっていました。
辺りを見渡すと、どうやら先輩達も同じで、肩を震わせています。
(こんな素敵な唄…私なんかがセンターでいいの?)
多分、そう思ったのは私だけではないでしょう。
飯田さんや安倍さん矢口さん等、昔からのメンバーは顔色を変えていました。