48 :
ユデタマゴ:
「はーい、お疲れ様でしたー。」
スタッフの声と共にメンバーが一斉にスタジオを出る。
「矢口ぃ、今から飯食いに行かんかー。」
「あぁ、裕ちゃん。ゴメン、今日はカンベン。」
ご飯なんか食べに行く気分になれる訳が無かった。
さっきからあの男が、辻の髪をスンスン嗅いでいるのだから。
「なんで他の人には見えないかなぁ。」
矢口の呟き声が聞こえたらしく、男は矢口の隣につけた。
「…さっき赤いチョウチョって言ったよね。
やっぱし、僕のコートも赤色に見えるのかな。」
「赤じゃなかったら、何色だって言うのよ。」
「そうか…。……じゃあ、ちょっとずつ教えようかな。
君にしか僕が見えない秘密を。それが今日ここへ来た目的でもあるからね。」
「えっ…。」
矢口は思わず普通のトーンで声を上げてしまった。
が、さっきからぶつぶつ独り言を言っているように見えるのか、
メンバーはたいした反応を示さなかった。
49 :
ユデタマゴ:03/02/16 01:46 ID:AL53YxUi
オイラに教えるためって…、一体。
矢口の混乱はますます深まっていくのみだった。
「なぁ、矢口。飯食べに行かへんのって、その人と関係あんの?」
中澤の目線は明らかに、男の方に向けられていた。
「えっ、えええ!?…裕ちゃん、見えんの?」
「はぁあ?何言っとんの?」
「どうもはじめまして。そうなんですよ。
ちょっと今日ラジオのことで矢口さんかりますね。」
男はしゃあしゃあと言ってのけた。
「あれ、ニッポン放送の方ですか?圭織知ってる?」
「ううん。初めて見た。」
「あー、そうですよね。この間まで地方で働いてたんで。
申し遅れました、山田です。」
「え、えええ?」
急な展開に矢口の脳がついていける訳が無かった。
なにしろ、今度はあの男が見えているのだ。メンバー全員に。
いつの間にか、男のコートは紺色になっていた。
「じゃ、そういうコトで。矢口さん、焼肉でいいですよね。」
「あ、は、はいっ。」
矢口にできるのは、この男に着いて行くことだけだった。
50 :
書くよ:03/02/16 01:50 ID:AL53YxUi
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