1 :
ash:
ココリコミラクルタイプのモーヲタはホントに居んのか?
2 :
名無し募集中。。。:03/01/20 11:51 ID:n5+U4tsF
ぁゃゃかわいいよぁゃゃ
いないよ。あれじゃキチガイじゃんか。オーバー過ぎ。というか、全くモーヲタでない所から始まってるから、
あのキャラつくりは。
BUBKAに出てるビバ彦氏ならあのくらいやりそうだが、さすがにそうはいないだろう。
少なくとも公共の場で大声で騒いだりはしないはず。あれがモーヲタだと思われたら、ハッキリ
心外だよ。
5 :
名無し募集中。。。:03/01/20 15:19 ID:sKhXYnlo
ここはネタにマジレスするスレですか?
6 :
名無し募集中。。。:03/01/20 15:22 ID:IqrlYI/W
いるよ。コンサ前の会場近くのファミレス行ってみると、
あんな話を大声でしてる連中が大勢いるから。
>>6 かなりイヤだな、それは。ヲタとしては落第ですね。
8 :
名無し募集中。。。:03/01/20 16:52 ID:79cH2abL
志村けんのバカ殿様みたいなヤツは本当にいたのか?
9 :
名無し募集中。。。:03/01/21 05:02 ID:y8b9TfaN
>>8 いたよ。お裁き前のお白州とか言ってみると
「じいや」「たしろ〜」って大声で言ってる連中大勢いるから。
10 :
名無し募集中。。。 :03/01/21 05:51 ID:CMNoGu4o
ココリコが司会だった「モーヲタvsあゆヲタ」とは別か
_, ,_ プハー
川 `ー´ 川y-~~ <良スレの予感♪
12 :
名無し募集中。。。:03/01/21 06:34 ID:ZJ37T7Ic
もーヲタの中でも、やっぱり悪質な奴は目立つからね(∴◎∀◎∴)
見た目も行動も。
コンサート前は特に盛り上がってるからひどいよ。
娘。のライブはヲタ以外に普通の女の子も多いから、その子達から見たら
まさしくミラクルタイプなんだろうな。
>>14 みんなあーいうのだと思われてるのはやはりイヤだ。いくら笑いのため
とは言えむかつくけど。ココリコもヤッシーも好きだが、あれは笑えない。
16 :
32:03/01/21 09:10 ID:83oRutvW
田中レイナが、自分を変えたいからモームスなりたい、みたいな事言ってたけど、一番変わらないといけないのは… モーヲタだったりして。
17 :
名無し募集中。。。:03/01/21 15:04 ID:fc+cVn4v
「ふつうのイスラム教徒がテロリスト扱いされていい迷惑」みたいなもんだな
18 :
名無し募集中。。。:03/01/21 15:07 ID:H9uZKYHo
>>17表現が過激だにゃ(ワラ
しかしまあ、そんなもんか・・・
「最近の若者は」って十把一絡げにされんのと同じじゃろ?
19 :
なっち定食:03/01/21 15:48 ID:Vk5S8HbF
おい おせちー、なんだい たこあげー
23 :
山崎渉:03/01/28 14:12 ID:Lb9JAYho
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
25 :
名無し:03/02/04 15:45 ID:8AHEr22S
古き良き…?
26 :
sage:03/02/08 00:05 ID:Ym+5IMvx
FMVなんてしょぼいパソコン
使ってんじゃねーれすよ。と。 @ノハ@
∋oノハヽo(‘д‘ ) まぁサムソンはハロモニ推奨やしなのの者
( ´D`)/ ⌒i
_(__つ/日本サ/i |_
\/ムソン / ヽ⊃
27 :
hage:03/02/08 00:07 ID:Ym+5IMvx
FMVなんてしょぼいパソコン
使ってんじゃねーれすよ。と。
@ノハ@
∋oノハヽo(‘д‘ ) まぁサムソンはハロモニ推奨やしなのの者
( ´D`)/ ⌒i
_(__つ/日本サ/i |_
\/ムソン / ヽ⊃
29 :
名無し募集中。。。:03/02/10 22:39 ID:Jm7A2+HV
あはは
ほんとはね…
ずっと…
32 :
test:03/02/15 20:18 ID:gyjaO7Zi
てst
テスト
てすと
小説書きます
(どうしよう…)
石川梨華は緊張に体をこわばらせていた。
場面は九回裏、ツーアウト二塁三塁。スコアは0−1、一点のビハインド。
たった一本のヒットで、相手の九分九厘の勝ちを奪うことができる、絶好の機会である。
しかし、石川はそれをまったくチャンスとは思えなかった。
それどころか、ベンチの中澤監督が動き、代打を告げることをひたすら待ち望んでいた。
(自分の力は当てにできない…相手の守備の乱れを期待して、セーフティバントでもしてみよっかなぁ…
成功すれば、逆転は出来ないけど、ののにつなげるよね…)
ライトスタンドの応援が、応援に見えない。暴力的などら声、狂ったように翻る大きな旗、自分を脅迫している。
もしここで凡退しようものなら、またその瞬間から辛さが増す。針のむしろはいつまで続くのか。
石川は不安と未来のおそろしさにうち震えた。中澤監督を見る。動かない。
それどころか、石川を恫喝するような視線を送っている。
(もうどうしようもないのか…)
相手投手はバッターボックスに入らない石川を怪訝そうに見つめている。
(もう、どうにもならない)
意を決して、石川は左バッターボックスに歩を進めた。
途中でベンチから出て来てから一度もバットを振っていないことを思い出す。
慌てて二度、三度とスイングするが、とても落ち着くことはできない。
だが、もう逃げることはできない。断頭台への行進も終わりに近づいた。
相手投手がセットに入る。
石川は足が震えた。ネガティブなことしか考えられない。
(明らかなボール球なら、バットを振らなくてすむ…)
期待は無残にも打ち砕かれた。白球はまっすぐにミットへ吸いこまれる。
外角低め。とても手を出せない。
(147キロ!?なんで九回裏にこんなスピードが出るの?無理だよ…)
息つく間もなく第2球。今度は高めに外れた。しかし以前として素晴らしい豪速球が続く。
今の石川にはそれを見逃すことしかできない。
呆然と立ちつくすその表情には諦念が色濃く現れ、戦意を完全に喪失していた。
(これはあかんな)
打撃コーチのオマリーは敏感に石川の心情を察した。
(彼女はうちの中心打者になってもらわなければ困る逸材。
喝入れに行くしかないな)
オマリーはバッターボックスの石川へと歩み寄った。
「石川、ちょっと」
「はい…」
「おまえ、びびっとるやろ。あかんで、そんなんじゃ。相手はすごいピッチャーやろ。
おまえもきちんと気合入れてかからな打たれへんで。とにかくフルスイングしろ。
出会い頭でもなんでもええ、とにかく思いきり行け!」
「はい…」
石川は弱々しい返事をすることしかできなかった。
オマリーコーチ必死の檄も、彼女の心を奮い立たせることは不可能だった。
第3球。フォークを低めに落とされて手も足も出ずに空振り。
第4球。高めのストレート、見送って三振。
今日もチャンスで凡退…
ファンは、こうしたことが一度であれば選手を責めたりはしないだろう。
チャンスで打てないということが日常茶飯事となれば容赦なくこき下ろし、罵詈雑言を浴びせる。
石川もその例に漏れず、すさまじい野次を浴びた。
(しかたないよね…私が悪いんだもん)
ベンチに戻った石川は、恐る恐る中澤監督、その他のチームメイトの顔を盗み見た。
だれも一様に無表情だ。野球というのは団体競技である。
敗戦の責任は一人のものではない。だから特定の選手を責めたりはしない。
しかし、大きなミスを犯した選手に対して心穏やかでいられるわけではないのだ。
石川はそれが全部わかっていた。そして、今日のバスも一人寂しく座席に座らなくてはならないことも。
石川は寮の自室に戻るなり、倒れこむようにし、うつ伏せにベッドへ横たわった。
電気はつけない。つける気分ではない。暗闇が私の心と同調し、ここだけは一人の心地よい空間を作ってくれる。
「石川梨華 右投左打 内野手 背番号7」
「K大在学中にリーグ新記録となる26本塁打を放ち、強豪ハローズにドラフト自由枠で入団」
「走攻守三拍子そろったスラッガー候補。1年目からハローズの強力打線の中軸になれるか!」
シーズン前の評判ほど当てにならないものはない。
石川は確かにオープン戦では結果を残した。そして、晴れて開幕戦に名を連ねることができた。
しかし、ふたを開けてみれば…
もうシーズンも半ばを過ぎようとしている。夏場の苦しい時期にさしかかっている。
石川は…打率二割をそこそこ過ぎたところ。期待された長打力も発揮できず、ホームランは未だ0。
これではスタメン落ちもやむなしというところであるし、そうした方が彼女もどれだけ気が楽であろう。
だが、中澤監督は彼女を執拗にスタメンで使いつづけた。つんく♂GMの意向があるのかもしれない。
とにかく、開幕当初の打順三番からは降格されて六番にはなったものの、試合には出続けさせられた。
「いまごろ、みんなはどうしてるんだろう?」
石川は、同期入団の仲間を思い浮かべていた。
加護亜依…
奈良の名門C学園から自由枠で入団。
甲子園優勝の立役者となった、遊撃手で三番打者。
足はさほど速くないものの、随所にセンスの良さを見せるアベレージヒッターである。
他球団なら即レギュラーとなってもおかしくないほどの実力者ではあるが、
ハローズには大スター、後藤真希がショートに座っているのでスタメンは難しい。
球団としても育成を目指しているので、二軍に一番を打っている。
(あいぼんはわたしよりも打てそうな気がするけどなあ。わたしなんかがレギュラーになってるんじゃ、
ほんと申し訳ないよ…)
吉澤ひとみ…
石川と同じリーグ、R大の外野手でドラフト四順目指名。
四年時に素質が開花して、プロ入りすることができた、パワーヒッターである。
大学最後のシーズンでは、石川を抜いて本塁打王となった。
しかし、まだまだプロのスピードに順応するには時間がかかりそうだ。
二軍で四番を打っている。
(よっすぃ〜どうしてるのかな。よっすぃ〜と一緒にプレーしたかったよ…
わたしもまだまだ一軍なんて無理だよ)
辻希美…
東京の無名高、I高からドラフト五順目で入団。
典型的なパワーヒッターで、高校通産65本塁打。
本来なら二軍で力をつけるはずだったが、ファーストのレギュラーである市井が故障したため、
一軍にあげられた。そこでめきめきと頭角をあらわし、ついには下位ではあるがレギュラーを獲得した。
一軍の七番打者であり、打率こそ二割五分ほどであるが、すでに二桁の本塁打をマークしている。
(ほんとののはすごいよ。わたしなんて…はじめからレギュラーなのに)
「石川?」
ドアの向こうから声が聞えた。
「はい!!」
石川は慌てて答えた。聞き覚えのある声だ。というか、いつも聞いている声である。
「入るぞ」
稲葉ヘッドコーチがドアを開け、部屋に入ってきた。
「なんや、真っ暗やないか。電気つけるぞ」
なんだろう…責められていることにはなれている石川は、身構えることはなかった。
諦念とともに時間が過ぎ去るのを待つ気しかなかった。
「ちょっと、重い話をする」
「はい、覚悟はできています。」
「非常に残念なことだが、あしたから二軍に行ってもらう」
「…はい?」
信じられなかった。確かに一軍で場性を浴びせられることは嫌だ。
でも、レギュラーであるということは一種の矜持になっていたのだ。
矜持と言うよりも、安心だろうか。
どんなに成績が悪くとも、一軍にいることはできる。
それが石川の唯一の心の支えにあっていたのである。
「一軍から落ちるということや。悔しかったら、また戻って来い。
監督も、選手のみんなもおまえの力を信じている。こんなもんじゃないはずやろ?」
「…はい…」
残り少ない自信は打ち砕かれた。これから…二軍の生活がまっている。
日頃彼女を威圧している観客たちも、これからはもういない。
だが、それは良いことなのか?
「心の整理がつかないかもしれないけど、とりあえず二軍で思いきりプレーして来い」
「わかりました」
石川は蚊の泣くような声で返事をした。
稲葉コーチはそれが聞こえたのかどうかわからないが、部屋から去っていった。
(はじめから、一軍なんて無理だったのかな?)
なにしろ、一軍のスタメンは実力者ぞろいだ。
一番レフト 松浦亜弥 .325 2本 23打点 25盗塁
二番セカンド 保田圭 .276 0本 12打点 7盗塁
三番ライト 飯田圭織 .267 11本 35打点 2盗塁
四番ショート 後藤真希 .315 21本 54打点 10盗塁
五番キャッチャー安倍なつみ .292 15本 42打点 0盗塁
六番サード 石川梨華 .203 0本 11打点 0盗塁
七番ファースト 辻希美 .255 16本 26打点 3盗塁
八番センター 柴田あゆみ .289 2本 13打点 9盗塁
市井沙耶香 .301 11本 32打点 19盗塁
(あきらかに、わたしの名前だけ浮いてる…)
市井が復帰すれば、おそらくは辻がサードに回る。そうすれば石川のポジションはなくなる。
(市井さんが復帰したのかなあ。なら、わたしは…)
石川は予感がした。もう二度と一軍に上がれない。
今シーズンは、もうダメなんだ。
私は、もうだめなんだ…
部屋の明かりが、かすんで見えた。すでに光は闇の対義語ではない。
明るかろうが、暗かろうがわたしに救いはない。もう、壁を作るだけの理由はないのだから。
規制UZEEEEEEEEEE!!!!!
石川以外の背番号とか書き忘れました。
加護 → 右投左打 背番号48
吉澤 → 右投右打 背番号51
辻希 → 右投右打 背番号68
松浦 → 右投両打 背番号8
保田 → 右投右打 背番号4
飯田 → 右投右打 背番号15
後藤 → 右投左打 背番号50
安倍 → 右投右打 背番号22
柴田 → 右投左打 背番号43
まいったなあ…ピッチャーどうしよう
とりあえず四期が入ったくらいの時期で考えているので、
コマが足りないのです。
あ、矢口がいなかった!
とりあえず矢口はピッチャーです。
ガンガレー!!
>>50 声援ありがとうです。処女作ですので、悪いところは指摘してくださいませ。
ジリリリリ…
目覚ましが鳴る。石川は寝ぼけ眼をこすった。
そう、一軍と二軍では生活リズムが異なる。
前者では主にナイターだが、後者はデーゲームである。
試合に体調のピークを持っていかなけばならないので、調整のしかたが違うのだ。
いきなり二軍行きを宣告された石川には、まだそれができていない。
試合開始は一時…急いで準備をして、練習に参加しなくては。
「はあー、なんだか複雑だよね」
きのうまでの眩いばかりの舞台は用意されていない。
閑散とした球場で、自分のためだけにプレーするのである。
ふたたび一軍を目指して。
二軍の試合場は寮のすぐそばである。
徒歩で行ける距離であり、大抵の選手は自転車か、歩いていく。
石川も、徒歩で球場に向かった。
今日の試合相手は、ホリーズの二軍である。
ハローズの一軍は現在リーグ首位を守っているが、二番手にいるのがホリーズだ。
歴史あるチームであり、厚い選手層を誇っている。
石川は依然として気分が晴れないまま、球場に入る。
グラウンドに出ると、二軍とは言えホーム球場であるために、観客は比較的多い。
皆の視線が自分に集まっているように感じる。無理もないであろう。きのうまで一軍にいたのだ。
ふたたびプレーッシャーを感じる。
「梨華ちゃーん」
吉澤と加護が、ダイヤモンドの中から石川の方へ近寄ってくる。
「あいぼん、よっすぃ〜、元気だった?」
つとめて明るく振舞おうとする石川。
「うん、元気だった。けっこうもうプロのスピードには慣れたわ。まだ二軍やけどな」
少し誇らしげに加護が言う。明るい笑顔。
そうだよ、わたしなんかよりもずっと慣れているよ、実力も上なんだよ。
石川はそう言いたかったが、止めておいた。
自分が情けないのもあるし、仮にもきのうまで一軍だった自分が言うと、嫌味に聞こえるのを恐れたからだ。
「ケガはないんだけどねえ。まだまだ打てないよ〜。プロのピッチャーはすごいね」
話している内容は決して明るいものではないが、吉澤も朗らかに笑う。
あれ?二人ともなんでこんなに明るいんだろう。
石川は不思議に思った。プレッシャーとかないせいなのかなあ。
二人とも期待されて入団したわけで、未だに一軍に上がれていない。
それなのに、なんでこんなに気楽なんだろう。疑問とともに、少しの怒りが頭をもたげてきた。
「ふたりともさあ、なんでそんなに軽いの?」
「え?」
二人が声をそろえて聞き返す。
余りにも意外な言葉に、少々面食らったようだ。
本来なら、活発な加護など文句の一つも言い返そうものだが、
予想だにしなかった石川の発言に、呆気に取られているのかもしれない。
「わたしたち、期待されてハローズに入ったわけでしょ?もっと責任感を持って試合に臨まなきゃ。
そんなにお気楽に野球やってたんじゃ、指名してくれた球団に申し訳ないよ」
「そんなんゆうたかて、はじめから即戦力って言われてたわけやないやろ?
わたしたちはここで力をつけることが大切やないの」
「そうだよ。梨華ちゃんは期待されてたかもしれないけど、わたしたちはまだ
とても一軍に上がれるレベルじゃない」
「そうだけど…」
そうだけど…でもどこか割りきれない。
石川は、自分のストレスをぶつける相手として二人を選んだに過ぎなかった。
もちろん、それは無意識のことで、彼女自身はそれに気づくことはないだろう。
石川ができなかった、自然体で野球に取り組むということを二人が容易に果たせていたから、
癇に障ったのかもしれない。
「じゃ、練習に戻るから」
そっけなく加護が言い放ち、ダイヤモンドへ去る。
「あ、ごめんね。わたしも守備ににつかなきゃ」
吉澤も、さっきまでの笑顔は消え、石川から離れていった。
石川は、二人の機嫌を損ねたことを薄々わかっていた。
しかし、たとえそれがわかったとしても自己嫌悪に陥るだけであることもわかっていた。
だから、意識ではそれを頑なに認めようとはしない。
フリーバッティングの順番が来るまで待とう…
今、バッティングケージに入っているのは加護である。
右に、左に器用に打ち分けており、打球の速さも見事なものだ。
加護がスイングするたびに、観客からはどよめきの声が上がる。
石川の番が来たようだ。
きのうまでの憂鬱さから、少し解放される。
いくらなんでも一軍にいたんだから、ここにいる人たちよりは上なんだ。
きっと、お客さんもわたしの打球に歓声をあげつつ、見入るはずだ。
バッティングピッチャーが球を放る。
石川はフルスイングする。
打球はピンポン玉のように場外へ消え去る。
しかし…以外と観客の反応は冷淡だった。
確かに良い打球を飛ばせば、感心したような声は聞える。
だがそれらはいずれも小さく、とても加護のときのようなものではない。
よく聞くと、ときには野次のようなものさえもある。
なんで!?
石川は信じられなかった。
私は一軍のレギュラーだったんだし、ここいいる誰よりも良い打球を放っているのに。
なんで!!
やる気は怒りに変わる。
もっと遠くへ飛ばしてやる!!
気合の入ったスイングは素晴らしい飛距離を生むが、
単に力だけの打棒ではきちんと球を芯で捉えられない。飛距離も落ちる。
石川が遠くへ飛ばそうと力めば力むほど、打球は前に落ちてゆく。
悪循環に陥っている。
石川はそれに気づいていたが、だからと言って逸る心を抑えられない。
怒りは止まない。
もっと、わたしを誉めてよ…
心の中では、かすかに感じていた。
一軍だろうが二軍だろうが、結果を残せない者がよい扱いを受けるわけがない。
加護とわたしの声援の差はそれだ。
一軍であれだけ醜態を晒したんだから、いくらフリーバッティングを頑張ったところで、ダメなんだよね。
心が萎えかけたる。だが、一度火がついた石川の闘志はそれを許さない。
体が火照り、ひたすら白球を遠くへ飛ばそうと力む。
とにかく、うっとおしい観客だけは感心させてやる!
それが、わたしのプライドなんだ。
だから、試合で度肝を抜くような打球を飛ばしてやる!!
なんで!?
石川は信じられなかった。
私は一軍のレギュラーだったんだし、ここいいる誰よりも良い打球を放っているのに。
なんで!!
やる気は怒りに変わる。
もっと遠くへ飛ばしてやる!!
気合の入ったスイングは素晴らしい飛距離を生むが、
単に力だけの打棒ではきちんと球を芯で捉えられない。飛距離も落ちる。
石川が遠くへ飛ばそうと力めば力むほど、打球は前に落ちてゆく。
悪循環に陥っている。
石川はそれに気づいていたが、だからと言って逸る心を抑えられない。
怒りは止まない。
もっと、わたしを誉めてよ…
心の中では、かすかに感じていた。
一軍だろうが二軍だろうが、結果を残せない者がよい扱いを受けるわけがない。
加護とわたしの声援の差はそれだ。
一軍であれだけ醜態を晒したんだから、いくらフリーバッティングを頑張ったところで、ダメなんだよね。
心が萎えかけたる。だが、一度火がついた石川の闘志はそれを許さない。
体が火照り、ひたすら白球を遠くへ飛ばそうと力む。
とにかく、うっとおしい観客だけは感心させてやる!
それが、わたしのプライドなんだ。
だから、試合で度肝を抜くような打球を飛ばしてやる!!
二重カキコソマソ
保全
60 :
:03/03/01 01:05 ID:ovdYNlm4
age
61 :
匿名:03/03/03 11:52 ID:F8VLiJl8
小説すごく面白いです。次の書き込みが今から待ち遠しいです。
できれば今夜未明から明日朝にかけて更新します。
最近忙しいので微妙ですが…
>>61 読者さんがいると嬉しいものですね。ありがとうございます。
やっぱり今回は無理そう…
明日には必ず…
試合の時間が近づく。
バッティングや守備の練習をしていた選手たちが、だんだんとベンチへ集まってくる。
石川は、ロッカーで一人佇んでいた。
(そろそろ、オーダーが発表されるころかな…)
プロに入ってから、試合前は、石川はいつもロッカールームで一人ぼっちだった。
確かに同期の辻や仲のよい柴田、年齢の近い後藤などがチームにいたが、話をすることはなかった。
彼女たちが石川を嫌っていたわけではない。
石川はうざったい性格と言われることはよくあったが、決して疎まれる方ではない。
むしろ大勢の人から信頼を寄せられ、慕われることが多かった。
成績不振から、石川は壁を作っていたのだ。ひたすら卑屈な雰囲気を醸し出し。
自分は余りにも不甲斐ないプレーを繰り返し、しかもそれはまったくよくならない。
ネガティブになりすぎていた。
自分の心の殻にこもり、そこから出ることができなくなっていた。
ロッカールームを、自分の殻にしていた。
二軍の一試合目でも、同じ場所に石川はいる。しかし、その意味合いはだいぶ違った。
いつものように、うつむいてはいない。彼女のなかには、炎が生まれていた。
大学時代、スタープレーヤーとして野球に取り組んでいた頃とは、異なる感情であった。
紛れもなく負から生じた情動であったが、それは確実に石川の頭を上げさせていた。
石川は、ゆっくりとロッカーを後にした。
ベンチには、すでに平家監督が姿をあらわしていた。
「おう、石川。今日からよろしくな。頑張れよ」
「はい」
短い返事に力が込められていた。昨日までの蚊の泣くような声ではない。
中澤と仲のよい平家は、石川についていろいろ聞いていた。
もちろん、悪いイメージを抱いていた。
元気がない、悩みすぎる、プレッシャーに弱い、自信がない、等々…
しかし目の前の人間は、想像の中の石川とは違うようだ。
「じゃあ、今日のオーダーを発表する」
平家は、明朗な、張りのある声で言った。
「一番、ショート 加護」
加護が小さくうなづく。まるで当然と言わんばかりに。
いくら二軍と言えど、高卒新人がレギュラーを取れるほど甘くない。
しかし、加護はいとも簡単にそれを成し遂げた。
「二番、レフト 村田」
村田は、柴田と同期のユーティリティープレイヤーである。
意外性のある打撃が持ち味であるが、安定した成績が残せないため、二軍暮らしが続いている。
三番、センター 吉澤」
(あれ、よっすぃ〜が三番?)
吉澤は二軍では四番のはず。まさか…
「四番、サード 石川」
以前の石川であれば、逃げ出したい気持ちになっていただろう。
任される役割が重いほど、自分のかく恥は酷くなる。ダメージも大きくなる。
重責に心が萎える。
しかし、今は心に炎が燃えさかっている。
(打順なんか関係ない。自分の力を見せつけるだけ)
石川は、初めて自分の中に生まれた感情に、身を任せていた。
とにかく二割そこそこの打率だろうと、わたしは一軍のレギュラーだったんだ。
二軍のみんなとは別格なんだ。観客がわたしに注目しないなんておかしい。
あいつらの目を覚まさせてやる。
すでに、石川の耳には平家の声など聞えていなかった。
自分の鼓動を聞き、そこから生み出される衝動だけを感じていた。
今日、ハローズは先攻である。
すなわち、一人走者が出れば早く一回の表に石川の打席が回ってきてしまう。
相手チームが、守備につく。先発投手はゆっくりとマウンドまで歩いていく。
そして、ベンチから勢い良く加護が飛び出す。
一回、二回素振りをしてから、加護は左バッターボックスへ入った。
「プレイボール!!」
審判の声がかかる。
加護のバットが一閃した。
内角高めの速球をきれいにはじき返したライト前ヒット。
観客席からは大きな歓声が上がる。
石川の炎へ、よりいっそうの薪がくべられた。
今のうちは、せいぜいその程度のことに騒いでおいてね。
わたしは呆気に取られるくらいのプレーを見せてあげるから。
次打者の村田は、きっちりとバントを決める。加護は二塁に進んだ。
得点圏で吉澤である。
彼女はいまひとつ確実性がなく、プレーが荒っぽい。
守備も雑だし、バッティングも振りまわすだけなので高打率を残せない。
しかし、そのパワーは本物だ。
同期の辻とともに右のスラッガー候補として育成されている。
グシャッ!
ボールが潰れるような音がする。
本物の強打者が放つ打球には、乾いた音など発さない。
それこそボールが壊れるような、暴力的な音色を放つ。
吉澤のスイングからは、確かにそういった音が聞えていた。
しかし、ボールはなかなかダイヤモンドの中に飛んでくれない。
そしてファールを続けているうちに追いこまれ、低めの変化球にバットは空を切る。
だが、吉澤のパワーに、期待料も込みで観客たちは声援を送る。
ついに石川に打席が回ってきた。
状況は、得点圏にランナー、しかも自分は四番。
そして、ホーム球場での試合。
三振だけはしたくない。
以前の彼女ならそう思うことだろう。
そして、空振りを恐れるあまり、ボールを当てにいってしまう。
もちろん、そんなスイングでは快打が生まれることはない。
三振は減るが、凡ゴロの山、そして観客の野次の雨あられ。
それが石川の陥っていた、悪しきパターンだった。
石川はおもむろに左バッターボックスへ歩を進めた。
相手投手は必死である。結果を残さなければ一軍に上がれない。
絶不調であった石川に打たれたら、イメージが悪いに決まっている。
一軍が遠のく。
厳しい攻め。それしかなかった。
初球、内角に切れこむカットボール。
この球種は、打者の手元で小さく曲がるため、ジャストミートするのは非常に難しい。
それどこか、キレが良ければ、たとえ打者に球種がわかっていたとしても簡単に空振りを奪うことができる。
魔球といって良い。
石川は、躊躇なくバットを振りぬいた。
スイートスポットを外れ、バットの根元にボールが衝突する。
手のひらに大きな衝撃が伝わり、両手がしびれる。
(ひさしぶりだなあ、この感覚)
少しいとおしげに、腕を見る。
そう、一軍にいたときはいつも、フルスイングなどしなかった。
三振しないことだけ考え、ボールに優しくバットを当てていただけだった。
打球は一塁線をはるかに外れ、フェンスに当たっていた。
まだこの打席は続く。まだ思いっきりスイングできる。
まだ、わたしの打球を見せ付けるチャンスができる。
第二球。石川の少しもけれんみのないスイングに、ピッチャーは少し怯えているようだ。
腕が振れておらず、外角にストレートが外れる。
つまんないの…)
ストライクゾーンに球が来てくれなければ、強い打球を飛ばすことは難しい。
逃げの姿勢になりつつある相手投手からは、ストライクが来るか怪しい。
大きな心境の変化であった。
一軍で、多くのスポットライトを浴びてプレーをしていたときは、いつもストライクがくることを恐れていた。
ボールが四つ続き、ストレートのフォアボールになることを望んでいた。
しかし、今は違う。
そんなのつまらない。だって、打てないもの。
観客たちに、わたしの打球が見せられない。
度肝を抜くことはできない。そんなのつまらないよ。
(いいや、少しくらいボール気味でも打っちゃお)
石川は、ハイボールヒッターである。つまり、高めの球に強い。
だから、少しくらいボール臭い球でも、高めに来れば長打にすることができる。
ピッチャーは間を長く取り、なかなか投げてこない。
二塁にうるさい加護がいるのだから、当然警戒の必要があるだろう。
しかし、石川には、自分との勝負を恐れるがための逡巡にしか見えなかった。
石川は相手を完全に見下していた。
事実、相手投手は石川の凄まじい速さのスイングに恐れをなしていた。
もし、バットに当たれば容易にスタンドまで運ばれてしまうだろう。
そうすれば、自分の一軍昇格もますます遠ざかってしまう。
それは避けたい…
でも、逃げてフォアボールというのもイメージが悪い。
厳しいコースを攻めて、結局ストライクを奪えずに歩かせるというのなら、
そんなに減点はされないかな…
確かに、責めた結果の四球なら、価値がないわけではない。
しかし、それを逃げ道にするのはやはり心で負けている証拠だ。
石川は、相手が逃げていることがはっきりと感じ取れた。
(ふふ…)
とにかく、自分は相手をのんでいるんだ。
勝負は対等じゃない。自分に有利なんだ。
第3球。だいぶ前の球から時間が空いた。
内角高め、かなり体に近いところ。
プロの投手の球なら、当たれば命にかかわることもあるコース。
完全に高めのボール球である。
しかし…石川は思いっきりバットを振った。
球場にいた誰もが、打球を見失った。
そして一瞬後、だれもが思った。
(外野フライか…)
ハローズは失望の気持ち、相手チーム、特に投手は安堵の気持ちとともに。
高すぎる。スイングによって生み出されたエネルギーは、ボールを遠くではなく、空高くへ運んだ。
いくらなんでもスタンドまでは届かないだろう。
しかし、どんどん打球は伸びる。
ライトがバックしつづける。
打球はまだ落ちてこない。青空に見える白い点は、少しも大きくならない。
そしてそのまま、球場の中には落ちてこなかった。
場外ホームラン。
石川は打席から一歩も動かなかった。
石川の弾道は、典型的な放物線で、俗に言う、天性のホームランアーティストなのだ。
ジャストミートした打球は上に上がる。一見外野フライのようでも、スタンドまで届くのだ。
ましてや、この打席はベストのスイングで球を捉えられた。
ホームランになるのは当たり前だ。走る必要なんてない。
ただ打球の伸びを見るのを、楽しんでいればいいのだ。
大学時代は、よくこうしてバッターボックスで打球の行方を見ていた。
懐かしい感覚だった。
スタープレーヤーであったときの自信がよみがえってきた。
石川がボックスに入ったときに全く声援を送らなかった観客たち。
今も、石川への声援は聞えない。
しかし、それは彼女が賞賛に値しないバッターだからではない。
賞賛する表現が見当たらないほどのバッターだったからである。
石川には、はっきりそれが感じ取れた。
完全に自分の思い通りにことが運んだのだ。
観客に力を見せつけられたことも嬉しかったが、
やりたいことがその通りにやれたことに、悦びを感じていた。
チームメイトたちも全く声がなかった。呆気に取られた表情をしていた。
ただ、平家だけが少し笑みを浮かべ、ダイヤモンドを回る石川の後姿を見つめていた。
バッターボックスは、石川のスパイクの後がはっきり残り、土が深くえぐれていた。
ふう、つかれた。
今日はここまでです。
75 :
代打名無し:03/03/06 01:29 ID:cLNtHRWF
更新乙です。
76 :
匿名:03/03/11 11:29 ID:lzSWkXqZ
新しいレス宜しくおねがいします。
明日辺り更新予定です。
できなかったらスマソ
梨華ちゃ〜ん、ナイスバッティング!!」
吉澤が声を掛ける。ベンチのチームメイトたちから、異口同音に石川への賛辞が告げられる。
それは、仲間としての喜びを分かち合おうとする行為というより、
むしろ素晴らしいプレーが見られたことに野球人としての感謝のようだった。
石川は、ひたすら歓喜の上で満たされていた。
スタープレーヤーだった頃に戻っていた。
いや、そのときとは少し違う。
大学の頃は、活躍することなんか日常だった。
頭一つ抜けたプレーをするのが当然で、いちいち喜んだりしなかった。
自分のパフォーマンスに満足せず、常に上を目指すこと、
また仲間たちと勝利を勝ち取るということが野球をやる動機になっていた。
しかし、今の石川には単純な、衝動とでも言うべき激しい喜びが体を支配していた。
自分のステータスうを全て失ったとき。
自分の能力の小ささを知ったとき。
そのときの記憶が、石川の心を原始的なところまで押し戻していた。
だから、理知的な意識を全て取り払い、ただひたすら喜びに体を任せることができたのだ。
やった、やったよ。
あんなに遠くまで飛んだ。
手に残った感触が気持ちいい!!
「自分、やるやないか。次もたのむで」
軽快な関西弁が石川の耳に届く。
さっきまで石川に抱いていた悪い感情が消えたのであろう、加護が肩を叩きながらいう。
「うん、何回でも返してあげるよ」
石川は久しぶりに軽口を叩いた。
まさか、こんなことが言える日が来るとは…
自信を回復した?
いや、そうではない。もともと自信などがあったからいけなかったのだ。
それがわかった。
(いつもプレーを楽しまなきゃだよね)
いちいちいろいろなしがらみを考えていては、なにも楽しくない。
結果も伴なわない。
なにも気にせず、自分のできることをすればよい。
自分のできること…それは…
ただひたすら強い打球を放つこと、ボールを遠くへ飛ばすこと。
私の売りはそれなんだ。
少しくらい打率が落ちたって、三振したりしてもいい。
石川は、目の前の暗雲が晴れた気がした。
これからは全ての打席でホームランが打てそうな気さえした。
その試合、石川は四打席目が回ってきたところで、代打を告げられた。
二軍の試合ではよくあることである。
彼らの目的は、確かにリーグ優勝を遂げることであるが、
それ以前に若手を育成したり、実績のある選手が調整するという役割もある。
石川はもう結果を出した。これからはまだ目に見える活躍をしていない選手の出番なのだ。
第二打席。
内角の直球に詰まってセカンドフライ。
第三打席
真ん中高めにすっぽ抜けたカーブにタイミング合わず、三振。
結果だけ見れば、三打数一安打二打点。
だがそれ以上のものを得られた。
第三打席、三振をした。
以前の石川なら、三振と聞くだけで心がふるえ、落ち込んでしまっただろう。
しかし、三振してもただ今日は楽しかった。
自分のバットの風切り音、それを聞くだけで心が沸き立った。
チームメイトたちのプレーに一喜一憂し、全力で勝利を願った。
今までの石川になかった姿勢である。
試合を楽しめるようになっていた。
はあ、それにしても今日は久しぶりにホームラン打ててよかったな)
石川は、寮に戻ってからもうきうきしていた。
興奮が冷めやらなかった。
もう夜の八時。
普段ならナイターがもう佳境に入っているころであるが、今日は移動日であるため
ハローズの試合はない。それどころか、一軍の選手がみな延性に出掛けた後なので、
寮はいつもより人が少なく、やや閑散としている。
(飲み物でもかいにいこ)
石川は、自室を出て自動販売機の元へ向かった。
寮の廊下には誰もいない。
自動販売機は、トレーニングルームの側にある。
ウェイとトレーニングの設備から雨天練習場まで完備された、充実の設備である。
ギシ…ギシ…
微かな物音がウェートトレーニングルームから聞えてくる。
(なんだろう?)
石川はあまりウェートトレはしない。
素振りによって筋肉を鍛える方が自然であり、効率が良いと考えているからだ。
しかし、興味はある。だれかトレーニングをしているなら、教えてもらうのもいいかな。
試合の高揚した気分から、いつもよりも積極的になっていたのかもしれない。
そっとドアを開ける。
「よっすぃ〜じゃない!」
「あ、梨華ちゃん」
そこにいたのは吉澤であった。
思えば、入団当初より、吉澤の身体はかなり厚みを増していた。
もともと身長が高く恵まれた身体をしていたが、一回り大きくなった感じだ。
きっと自分から、こつこつ筋トレをやってきたんだろうな。
やっぱりなんにもしなかった私は間違ってるのかな。
昼間の試合、吉澤の打席が脳裏をよぎる。
たしかになかなかボールはバットに当たらない。
しかし、その迫力はどうだ。
空振りをしただけで、ボールがミットに入る前に、ベンチにまでバットが空を切る音が聞えるのである。
それだけ、スイングスピードが速いということである。
そして、当たればボールは砕け散るような音を立てて遠くへ旅をする。
「よっすぃ〜、ウェートってどうやるの?」
石川は、少し曇り始めた空から目をそらし、吉澤に尋ねた。
自分のやり方は、あるはずである。
しかし、吉澤の破壊力万点のスイングを見たら、それが間違っているのではないかと危惧を抱いた。
いや、抱いていることには気づかなかったのかもしれない。
ただ、その徴候を自らで悟りたくないため、心のなかへ意志を閉じこめておくことをやめたかったのだろう。
「うん、じゃあ軽く教えてあげるよ。でも、トレーニングコーチにちゃんと教わらなくちゃダメだよ」
吉澤は優しい。雰囲気を変えようとつとめて明るく言った。
石川のほんの少しのかげりを見ぬいたのかもしれない。
石川は自室に戻り、考えこんでいた。
(わたしの練習のやり方ってあってるのかな)
些細なことですぐに悩んでしまうのが悪いくせ。
自分のことはわかっている。
だが、本当に些細なことで悩んだりはしない。
それが本当に取るに足らないようなことかわからないから悩むのだ。
回りの人は、きっとそんなことにすることないよって言ってくるだろう。
でも自分じゃそうなのか分からない。
優柔不断…優しいっていう字は、自分に厳しくないってことなのかな…
石川の思考はいろいろなベクトルに揺れていた。
悩むのは悪いくせ。そんなの分かってる。
でも、あれこれ考えちゃうんだ。
そう言えば、あいぼんもずいぶん身体が厚くなったな…
やっぱりウェートトレしてるんだろうか。
わたしもしたほうがいいのかな。
でも、いままでそんなのしたことなかった。
柳のような腰を保っていたからこそ、遠心力、回転で遠くまでボールを運べるんだ。
身体が太くなってしまったら、その分そういうメリットはなくなるんじゃないかな。
結論は出ない。
軽い袋小路に入ってしまったようだ。
(あれ、買ってきたお茶、どこ置いたっけ)
ひとまず、考えるのをやめ、一息つこうとする。
辺りを探す。ない。
範囲を広げる。あった!!
ドアのすぐ側に置きっぱなしにしておいたのだ。
プルトップを持ち上げ、飲み口を空ける。
石川の今の心境と正反対、小気味良いプシュっという音が鳴る。
肝心の中身は…いつのまにか温くなってしまったようだ。
買ったときは、「つめたい」の所にあったものだから、キンキンに冷えていた。
でも、いまは外気のせいか、その冷たさを失っていた。
それでも、石川は一気に飲みほした。まるでふたたび心地よい冷たさを取り戻すかのように。
今日はここまでです。スレ移動しててびっくり。
DAT落ちかと思ってあせった…
乙
87 :
名無し募集中。。。:03/03/19 23:01 ID:ds1hfoKa
ageま〜す!! J
.. //
__ ( ^▽^) 从//
(__二⊂]..7⊂ ) ‘ 、' > カキーン
\\ \y (−∂/ W N
\ 丿\ \ V
(__(___),,
88 :
名無し募集中。。。:03/03/20 02:39 ID:egTksogd
age.ま〜す!! J
. //
__ ( ^▽^) 从//
(__二⊂]..7⊂ ) ‘ 、' > カキーン
\\ \y (−∂/ W N
\ 丿\ \ V
(__(___),,
ちょっと修正
89 :
名無し募集中。。。 :03/03/31 00:13 ID:lMXxY9Pl
age.ま〜す!! J
. //
__ ( ^▽^) 从//
(__二⊂]..7⊂ ) ‘ 、' > カキーン
\\ \y (−∂/ W N
\ 丿\ \ V
(__(___),,
90 :
名無し募集中。。。:03/04/01 23:41 ID:UovyHDVB
最近更新ないですねえ…
とりあえず保全
連載期待sage
92 :
名無し募集中。。。:03/04/08 17:11 ID:YIjcJPXc
. ageま〜す!! J
. //
__ ( ^▽^) 从//
(__二⊂]..7⊂ ) ‘ 、' > カキーン
\\ \y (−∂/ W N
\ 丿\ \ V
(__(___),,
戻って来い、テムヂン!!
93 :
名無し募集中。。。:03/04/08 17:13 ID:3N1S9l2I
阪神〜〜〜☆age
94 :
ディカブラッド拓哉 ◆0WTAKU.unk :03/04/08 18:02 ID:jx5BNicD
ほぜむ
すな
てst
98 :
山崎渉:03/04/19 23:01 ID:PCCn7KBb
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
99 :
山崎渉:03/04/20 02:13 ID:R17+Sv0U
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
第100号ほーぜん
小説の続きはこないものか...
シーズン開幕したんだから戻ってきて欲しいが…
103 :
山崎渉:03/05/03 00:25 ID:Br9/Fu2n
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
104 :
てst:03/05/03 19:44 ID:KXiEoy/x
105 :
名無し募集中。。。:03/05/04 03:44 ID:0tJCO/W3
ishikawanomankonametai
106 :
名無し募集中。。。:03/05/04 09:14 ID:4gTBJvUV
ishikawawnomannkottekurosou
107 :
tuduki kibon:03/05/04 22:41 ID:Pv40bmsJ
ageま〜す!! J
//
__ ( ^▽^) 从//
(__二⊂]..7⊂ ) ‘ 、' > カキーン
\\ \y (−∂/ W N
\ 丿\ \ V
(__(___),,
戻って来い、テムヂン ◆3W8/115E2k!!
108 :
98:03/05/06 04:04 ID:KGA4ZLjb
109 :
98:03/05/08 19:56 ID:d5+csvcq
うたばん 19:55:15〜
110 :
保全:03/05/11 04:23 ID:Vh4X3DZ0
ageま〜す!! J
//
__ ( ^▽^) 从//
(__二⊂]..7⊂ ) ‘ 、' > カキーン
\\ \y (−∂/ W N
\ 丿\ \ V
(__(___),,
戻って来い、テムヂン ◆3W8/115E2k!!
111
112 :
プリンスひつじ ◆jdkESOaq/s :03/05/12 11:53 ID:opNhyXzQ
こういう乗っ取り系嫌いです
113 :
名無し募集中。。。:03/05/13 23:11 ID:gISOzKbi
ageま〜す!! J
//
__ ( ^▽^) 从//
(__二⊂]..7⊂ ) ‘ 、' > カキーン
\\ \y (−∂/ W N
\ 丿\ \ V
(__(___),,
戻って来い、テムヂン ◆3W8/115E2k!!
お久しぶりです。まさかまだこのスレが残っていたとは…
これまで多忙で更新できませんでしたが、一段落ついたので続きを書こうと思います。
115 :
98:03/05/14 22:03 ID:P4/QaSlh
!
作者イラッシャッタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!!!!!
楽しみにしてます!!
翌日の試合。石川はまた4番を告げられた。
しかし、昨日のホームランの感触は覚えていない。
それよりも、自分のバッティングスタイルに関する疑念が鎌首をもたげていた。
石川のフォームは、いわゆるテークバックの大きいスイングである。
始動のタイミングはどうしても早くなる。
だから、ストレート待ちで極端に遅い変化球が来てしまうと、タイミングが合わずに
泳いでしまうことがよくあった。
しかし、このようなスイングは体重移動が大きく行えるため、
ボールに大きな力をぶつけることが出来る。
石川の長打は、このダイナミックな体重移動に負うところが多かったのである。
前日の試合に見た吉澤のスイングはちょっと違った。
後ろの動きが少ない。始動が遅いのである。
メジャーリーグで良くあるフォーム。
こういうスイングは身体の動きが小さいので、ボールを遠くに飛ばすには
絶対的な筋力量が必要である。
吉澤の筋力トレーニングは、そのためであろう。
二人のスイングは根本的にスタイルの異なるのである。
吉澤の場合は、始動を遅らせることが出来るので、その分ボールを見極める時間が長くなる。
それゆえ、タイミングを狂わされても修正する余地が生まれるのである。
確かに力は必要であるが、確実にボールをミートできる可能性が増すのだ。
「あいぼん、今日の先発どういうピッチャーなの?」
データを収集するのは悪いことではない。むしろ必要な行為であろう。
相手を知ればそれだけ攻略が容易になるからだ。
しかし、それはとりもなおさず相手に自分を合わせることにもなってしまう。
データに縛られ、自分のスタイルを貫けなくなってしまう諸刃の剣でもあるのだ。
石川の剣は、確実に自分を傷つけていた。
自らのスタイルに疑問が生じてきたからこそ、結果が欲しくなっていた。
自信も持って物事を行っているときは、たとえ好結果が出なくとも落ちこむことはない。
結果を求めすぎるということは、安心を他所に求めるがゆえであることがある。
今の石川は、そうだった。
「そうやなあ、二軍のエースって感じ」
加護は軽快に言葉を転がす。
しかし、少し含みがあるようで、表情に少しの茶目っ気がある。
石川はのってみる。
「エース?」
「そうや。でも一軍に上がると打たれてばっかりで、結果を残せへんねん」
「じゃあけっこういいピッチャーなんだ」
なるほど。そういう人っているよね。プレッシャーに弱いっていうか。
…わたし?
いや、そうじゃないよ。昨日チャンスでホームラン打ったもん。
「うん。球速いし、変化球もかなり切れるで。ごっついあいてやな」
加護はこともなげに言う。
石川は、大仰に受けとめる。
「そっか…」
「なにしけた顔してんの。わたし、順番だから行くわ」
加護は、バッティングケージの中に消える。
石川の順番はまだ先だ。
辺りを見渡す…吉澤。
「よっすぃ〜!」
「あ、梨華ちゃ〜ん」
ちょっとおどけた調子で言う。
わたしの不安を見ぬいた?
元気づけようとしているの?
それは穿ちすぎというものであろう。
自分でもそれくらいはわかる。しかし、不安の物は不安である。
森羅万象はいずれも意志を持って自分に向かってくるように思えてならなくなるのである。
「…」
石川は、言葉を飲みこむ。
ここでスイングの仕方を聞いたところで、今日の試合では生かすことは出来ない。
むしろ、迷いが生じてまたろくでもない結果しか残らない。
新たな話題を探す。
「今日のピッチャー、いいみたいだね」
「うん。でも、梨華ちゃんなら平気でしょ。昨日のホームラン、すごかったなあ…
いつかあんなのわたしも打ってみたいよ」
「…」
ふたたび言葉を飲みこむ。
石川の手に入れたいものは、吉澤の打球音だった。
まるでボールを破壊せんばかりの音。
そして辺りに漂う焦げ臭い匂い。
テークバックの大きなスイングから放たれた長打は快音を残す。
だが、吉澤のようなフォームなら、ボール潰れるような音がする。
いままでに出会ったことがないタイプであった。
吉澤はアマチュア時代、決して今のようなフォームではなかった。
石川と同じカテゴリーに属す、後ろの大きな振り方であった。
だが、みごとに変身し、あとは打球をダイヤモンドのなかに飛ばせばよいだけになっている。
そうすれば、理想的なホームランバッターになるであろう。
どんなボールも確実に捉え、しかもそれが長打になるのだ。
そんな打者はなかなかいないし、活躍はまず間違いない。
石川は、その象徴である打球音が欲しかった。
しかし、まだ結果が出ていない。それゆえ、吉澤に言うのを止めた。
なんとなく悔しかったし、謙遜にしか聞えないことを憂えたのである。
吉澤は言葉を続ける。
「そうそう、トレーニングコーチにウェート教えてもらうように頼んでおいたよ。試合のあとにでも挨拶いきなよ」
迷いに拍車をかけるようであった。
確かに知りたいことではあるが、今は頭に入れたくない。
たとえ、一片の要素であろうとも、それを想起させる言葉は鼓膜に届かせたくなかった。
だが、石川の器官はそれを紛れもなく明瞭に捉えていた。
残酷であろう。しかし、それは同時に吉澤の優しさでもあるのだ。
口約束は多い。だから、実行されない企図は多い。
吉澤は昨日の約束をこの上なく忠実に守ったのである。
だがそれは、かえって石川を追いこむものであるのだ。
「…ありがとう!うれしい」
自分の気持ちは気取られなかったか。
いや、勘のいいよっすぃ〜なら気づいたかな。
ちょっと返事に詰まったもの。行為を無駄にしちゃったかな。
石川は、それを埋め合わせるようにハイテンションで吉澤に話し掛けた。
そして、吉澤はそれに応えた。
二人の気持ちは少し乖離していたかもしれない。
けれども、端から見ると仲のよい二人が楽しそうに談笑しているようにしか見えなかった。
石川の順番になった。ケージの中で少しの間目をつぶる。
生まれ変われるかな…
迷いを捨てる。自分のフォームで打つ。
簡単なことのようで難しい。
打球を飛ばすたびに、疑いが大きくなる。
今のフォームでも、確かに遠くまで飛ぶ。でも、実戦で役立つのは吉澤の方ではないか?
思えば、練習なんか打てて当たり前。打ちやすいように投げているんだから。
せっかく昨日感じたいい感触は消えてしまったのか。
形ばかり気にする選手は、実力の最大値を本番で出すことは出来ない。
わかってるよ、そんなこと。
試合が始まる。
やっぱり文章を書くのは楽しいですね。
書きたいことが溜まっているので、いっぱい書きます!
ビーフィーターウマー!
執筆?の後の酒は美味い!!
おお、帰ってきましたか。
なかなかにおもしろいので期待してますよ。
読めない漢字もあるが…(w。
あと、このスレも来週から毎日保全が必要ですが…
作者読者が必死に保全しないと結構きついですぜ。
保全sage
てむぢんがんがれ!ほぜむ
たぶん明日からこのスレもn日ルールが適用されるため、一日一保全が
必要になると思います。
…だが、こういうスレに↑のような警告をしたおかげで
毎日保全されるようになったスレを見たことがない
129 :
98:03/05/21 14:24 ID:hOem/3nl
ほぜむ
130 :
98:03/05/22 04:31 ID:X0YxF4P9
131 :
128:
なかなかやるな