誰だ?
と聞こうとして、口を開いたが喉がかすれて声が出ず
ヒューッと、乾いた音だけが漏れた。
「まぁまぁ落ち着け。ちょっと狭いが中で話そうや。
いろいろ聞きたい事もあるだろうし、聞かなきゃいけない事だって
その倍はあるからな。」
食えない笑い方だ…
取りあえずは、話しを聞くしかないのだろう。
再び部屋に入り、ベットに腰を下ろした。
「ん、ほれ、水飲むか? 安心せぇ
毒なんて盛ったりしてへんから。」
差し出された500mlのボトル詰めの水を、半分ほど飲み干した。
毒は・・・本当に入ってないようだ。
水を飲んで、少し深く息をしたら、少し頭が晴れて来た
「だ、、、、誰だ…・?」
さっき言えなかった言葉を口にする。
「そうやな!先に自己紹介しとこか!」
そういうと男は、ポケットから名刺を取り出し、差し出しながら続けた
「俺の名前は[つんく♂]!一応この会社の社長をやってる。」
「会社?」
「あぁ…そうか。
ここは君…あ〜、吉澤って呼んでいいな?
で、吉澤の学校から1キロほど離れた場所にある、ぼろい製鉄会社の地下や。」
クールに…何考えてんだか知らないけど、クールに、落ち着いて。
大丈夫。相手のペースにはさせない!
「や、矢口さんはどこにいるの?」
聞きたい事…本当にいっぱいある。
そぅ、先ずはこの質問でいい、こんな目にあっている直接の原因…
「矢口か?あいつは今、また別の事をしている。
吉澤…あいつを責めんでやってな。
あいつはただ俺の命令に従っただけやから…」
って事は、全部こいつのせいって訳か…OK。的が一つになった。
後は俺を連れて来た目的…・。
「何で…俺をここに連れて来たの?」
するとつんく♂は困ったような苦笑いをした
「駄目やで!女の子が[俺ぇ]なんて言ったら!
もっとかわいらしく行こうや!せっかくの美人が台無しやで…・」
と、そこまで言って俺の目線を確かめた
俺の目は、しっかりつんく♂の目を。
つんく♂はため息を一つして、急にまじめな顔をして言った。
「吉澤。お前ロボット操縦しないか?」
51 :
THE・地蔵 ◆jizouMjYBU :02/12/17 23:31 ID:kPXm+7FA
(数秒の沈黙)
( ´,_ゝ`)プッ
今度はこっちが苦笑いだった。
いい年こいたおっさんが…・・女子高生拉致って
ロボ操縦の誘い!?
[俺を操縦しろ!!]とかならまだしも(駄目だな…)
………ロボット…………・
なんだか少しだけ、心にゆとりが持てた来がした。
そして、どうやらそんな苦笑いをしている俺を見てつんく♂は、
[こいつはロボット操縦できんのが、嬉しくてしょうがないんや!]
と、勝手な解釈をしたらしく、
「ほ〜、物分かりがいいみたいやな!どれ、ちょっくらホンモン見せたろか!?」
といって自分について来るよう手で合図した。
「ぁ、待って!」
「なんや?まだ聞きたい事が?」
「うん。…なんで、俺だったの…・?」
それを聞くとつんく♂は隣のSPと思われる人に
「ちょっと、[アレ]出してくれへん?」
と頼んだ。 するとそのSPは、持っていたセカンドバックの中から
一枚の紙を取り出し、つんく♂に渡した。
「吉澤。これに見覚えないか?」
ん…?なんだ…?
目を細めて観察してみる。
「…・っあ!」
そこにあったのは、いつだったかのアンケートだった。
何か違和感を感じた…あのアンケート。
「それ、あんた等がやったの?」
「これも矢口を生徒会長にさせた理由の一つや!
これを見て大体の目星を付けて、次ぎはそいつを肉眼で監視。
それで見事、俺のアンテナに引っ掛かった奴がこうしてここに呼び込みを受けるって訳だ!」
あぁ…あの時のおっさん達はこいつらだったのか…
しかもスカウトされたのは俺か…梨華ちゃん…残念(?)だったたね…。
「まぁ今まで俺のアンテナに入って来た奴で、才能の無い奴はいなかった。
お前も含めてな…。 きっと音楽かなんかのプロデューサーになってたら、俺
成功してたんじゃないかって時々思うわ…はは!」
俺もそう思う。他人事ながら、出来ればそうしてほしかったよ…
ぁ、俺が巻き込まれてんだから他人事じゃないか…
そんな考えを見透かしたかのようにつんく♂は続けた
「でも俺は、ロボットを作ってみたかった!平和を守る、正義のロボットを…な。」