吉澤鉄筋系。

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256THE・地蔵 ◆jizouMjYBU

とんとん拍子で話しが進められてしまい、
つんく♂の居場所も聞けなかった俺は、単身エレベータで
1階に向かった。

一階に着くと、そこにはもうロボットの姿はなく、
だらしなくコードが垂れ下がっているだけだった。

「誰もいない…帰ったのかな?」

その時、出入り口付近で何やら
怒鳴り合うような声が聞こえて来た。

「…なんだろ?」

興味をそそられ近づいて見ると
何人かの警備員の制服を着た男達が、
誰かを両脇で抱え込んで、引っ張って来ているようだった。

先頭を歩いている警備員に見覚えがあった。

「歩部さん!!」

257THE・地蔵 ◆jizouMjYBU :03/04/04 00:26 ID:3kdLIHL5

思わず叫んでしまう。
歩部さんも俺に気づいたらしく
軽く手を挙げた。

「なんかあったんですか?」

がっちり誰かを捕らえている二人の警備員に
なんとなく気まずさを覚えたので、
歩部さんだけに聞こえるよう、小声で聞いた。

しかし歩部さんはそんなの気にするでもなく
単調に答えた。

「ちょっとした問題があったんだYO
でもヨシザワには全く無カンケ〜イ!
ささ!お帰りDEしょう?お急ぎアルネー。」

最後の方で中国人になったのはいいとして、
歩部さんは明らかに作った笑顔を見せていた。

258THE・地蔵 ◆jizouMjYBU :03/04/04 00:27 ID:3kdLIHL5

…辞めていく人間として
この会社の【裏】というか…大人な部分は
あまり見たく無かったので、俺としては
知らない奴が羽交い締めにされようが何されようが
知らん振りしてさっさと帰りたかった…

そう、今思えば帰れば良かったんだ。
少なくともこの時点ならまだ、帰れた。
もしかしたらそのままここを辞められていたかもしれない。

でも見ちゃったもんは仕方ない……(よなぁ?)

にっこりと、いびつな笑いを見せている歩部さんの後で
二人がかりで羽交い締めにされていたのは、
黒髪の少年…虚ろな目をした少年…

「…小川…くん?」