吉澤鉄筋系。

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163THE・地蔵 ◆jizouMjYBU

帰りはいやにスムーズだった。
俺の時間の感覚が変だっただけかもしれないが
これで最後になるであろうロボットの操縦を存分に楽しんだ。

格納庫に入れる入り口が一つしかないため
先に黒帯が収納され、その後、壁に肩をぶつけながらも
ようやく格納庫に収める事ができた。

[プシュゥゥゥゥ]

腕を締め付けていた鎧が取れて、久しぶりに自分の手を見られた気がして
すこし清々しくおもった

「首輪とベルトを外して降りてこい。」

田代の声に従いベルトを外し、
ちょっと手間取ったが座席と繋がっている首輪も外れた。
これでやっと、尖がり帽子と別々になれ訳だ…

いつの間にやら尖がり帽子の首は、俺が降りられるように
五階の搭乗口まで伸びていた。

164THE・地蔵 ◆jizouMjYBU :03/01/19 02:32 ID:gYy+Y88w

降りたらすぐにみんながいるものだと思っていたが、
そこには人はほとんどおらず、数人の作業員と
缶ジュースを持った加護ちゃんだけだった。

「よっすぃ〜!おつかれ。はいこれ!」

「ありがと。」

「えへへ…じゃあよっすぃ〜、みんな待ってるから。
司令室に行こう!」

そうだ…つんく♂さんに言わなきゃ…辞めます!って…

そう思いながらも、なんだか心のどこかで躊躇している自分がいる事を
このときにはうすうす気づいていた・・・

「ん?どしたの?よっすぃ〜」

「あ〜…ううん。何でもない。
司令室ってどこなの?」

取りあえず言うんだ、こんな危険な事…続けてなんてられない!

165THE・地蔵 ◆jizouMjYBU :03/01/19 02:33 ID:gYy+Y88w

「中央エレベーターの一番下だよ。
えっと、50階だね。」

そう説明しながら加護ちゃんはエレベーターの[↓]ボタンを押した。
すぐにドアが開き、俺達を招き入れる。

「でもすごいなぁ…」

ボタンが押されドアが閉まると同時に、加護ちゃんが
ため息交じりに話し始めた。

「え、何が?」

「よっすぃ〜がだよ!今日知ったばっかで
あんなに軽々と動かしちゃうんだもん…。
私なんてコクピットに座るまでにも丸まる一週間
講習受けてたんだから…。」

「でも、俺なんか何にもしなっかたよ!マジで!
ただネズミに押し倒されてただけ…」

そこで加護ちゃんは吹き出した、
俺もつられて笑い出す、
少し曇りかけていた加護ちゃんの笑顔が元に戻ったので
俺は内心ほっとした。

166THE・地蔵 ◆jizouMjYBU :03/01/19 02:34 ID:gYy+Y88w
「にしても…あの途中から来てくれた…黒帯だっけ?
カッコよかったな〜!あれこそ正義のヒーローだね!」

「うん。凄いんだよ!紺野ちゃんは!」

「紺野ちゃんって言うの?あれに乗ってたの、」

「うん、紺野あさみちゃん。私がここに来たのが三年前で、
紺野ちゃんはちょうど一年後に入って来た4人目なんだけど、
とにかく凄いの!私なんてバンバン抜いて、
思った通りにロボットを動かして…
あーゆーのを天才って呼ぶんだよ!」

スゴイ誉めちぎりようだなぁ、あとで合えるかな?

「それに比べて私は…ちっとも上達しないよ…」

また笑顔が無くなりかけたので慌てて話題を振る、
なぜだかこの娘には、ずっと笑顔でいて欲しい…

「っていうか三年も前からここにいるの!?」

「うん、そうだよ。別に私の[大耳]はあんまり筋力とか関係ないから。
あ、もう着くよ。」

[ピーン]

例の効果音が鳴り、ドアが開いた。

[パチパチパチパチ…]

間の抜けた一人の拍手で、俺は迎え入れられた。