しばらくただただ真っ直ぐ歩くのに集中していたが
オペーレーターだろうか?女の人の顔が、右上の通信用画面に映し出されて
俺の注意が移った。
「敵の姿が見えますか?そろそろ近いですよ。」
髪の長いその女性に言われて、俺は首を左右に向けて回りを見渡す、
俺が首を曲げるたびに、尖がり帽子の頭が同じ方向に曲がる。
頭部にコクピットがあるハズなのに、顔と一緒に座席が回転するわけではなく
連動して動いたのはスクリーンなどがついている壁だけだった。
恐らく、座席のある床は、胴体と直結していて
その上に頭がかぶさって出来ているのだろう…
「ホントに帽子だな。こりゃ…」
今気づいたが、回りは背の高いビル街だった
「ロボットの戦闘って、ここまでゆっくりした.ものなのか…?」
それを聞いてか再び通信が入る
「半径1`のどこかに確実にいます。
レーダーの設備が完璧じゃないので
確認するまで位置までは特定できませんが…」
_
「そんなアバウトに言われて / /
/ /
. / / ○)
/ . \. _
/ /\/ ◆ ノ ノ
. / / ノ ノ
/ / ノ ノ
~~ ~~~~
とたんに体が座席ごと浮く感じがして、
俺を載せた三角帽子はうつ伏せに倒れた。
幸いコクピットは衝撃などに強く作られてるらしく
地面に激突してもショックを吸収され揺れる程度で済んだ。
「っく…後ろ…?」
「目標を外部カメラにて確認。組み分け、哺乳類
種族名[ハツカネズミ]」
言い終わると同時に画面の女性の顔が消え
男が…田代が映った
「先ずは立ち上がれ吉澤。」
立ち上がる・・?
えっと…、手で地面を押して…
そうだ、足を…
っと、急に目の前のメインスクリーンが一瞬暗くなった
「なに?
う、うぁ!!?」
巨大ネズミのしっぽが三角帽子の頭をしっぽでたたき上げたのだ。
強烈な振動が走り、俺は背もたれにしこたま頭をぶつけた。
「いってぇ…!!」
再び地面に投げ出された
早く立ちあがらなきゃ…
「手で胴体を起こして…空いた隙間に膝を入れて、爪先と手の力で…」
三角帽子がゆっくりと立ち上がる
「よし、じゃあ今度は少し敵との間合いを取れ。
その機体は元々接近戦向きじゃないし、
片腕じゃどう考えても分が悪い。」
俺はすぐに、敵に背を向けて走りだした
歩いたり走ったりと言う操縦は一人前に出来るようになったな…
300mほど離れてなずみの方に向き直る、こっからだと全身が見えた
体長30mは余裕でありそうな巨大すぎるデブネズミが
俺の方を恨めしそうに睨み付けていた
「吉澤、椅子の右側面についてる赤いボタンを押せ」
「ん?…これか?」
[パシュッ]
座席の回りの手が届く範囲のあちこちの位置に
ナイフやピストルなどの取っ手と思われる物が
勢いよく飛び出て来た。
「それがそいつの今の所の付属できるフル装備だ
さっきも言ったとうり今はそれを全部を持ってるわけじゃない、
って言うかそいつが完成してても重くて全部を持っていけるわけじゃないがな・・・」
試しに近くにあったハンドガンを引き抜いてみた、
しかしそれには銃口はなく、手に持つ所と
引き金だけが間抜けにあるだけの物だった。
「こんなんで撃てるのか?」
「コクピットのそれは、あくまで発射ボタンに過ぎないからな
ライフルとかが、先端まであったら邪魔でしょうがないだろ?」
「なるほどね…」
一人で感心しながらそのピストルもどきを
目線の位置に持って来てみた、
すると三角帽子の手に持っているハンドガンが
メインモニターに映った。