>>71続き
『めずらしい性質とめずらしくもないけんか』
・・・・・
それ以来、マコの暮らしはとても具合良くなりました。
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∬´◇` ∬ ♪
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食べ物に事欠くことは無いし、雨つゆをしのぐ屋根はあるし、そしてなによりもよい友達がたくさん
できました。
マ〜コちゃん!> @ノハ@ ノノハヽ§ノヽ§∋o/ハヽo∈
(‘д‘ )川’ー’川(・e・ ) (´D` )
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〆〃ハ
∬∬*´) デッヘッヘ・・・
( )
(__(_)
ところが、近所の人達にとってもこの子が来たことが大変な幸運だったことが、だんだんわかってきました。
マコがとても役に立ったのです。マコのところには、入れ替わり立ち替わり、みんなが訪ねて来ました。
ノ从~\ヽ ノノハヽヽ ノハヽ ノハヽヽ
( ‐Δ‐) (0⌒ v.⌒0) ( `_´) 川σ_σ|| ノハベ
( ) ( ) ( ) ( ) (´◇` ∬
人 Y 人 Y 人 Y 人 Y ( )
((( し(_) し(_) し (_) し(_) (__(_)
でも、どうしてでしょう?
マコがものすごく頭が良くて、何を相談されても良い考えを教えてあげられたからでしょうか?
慰めてほしい人に心にしみる言葉を言ってあげられたのでしょうか?
〆〃ハ
∬ ´◇`) / < 数学が無矛盾である限り数学は自らの無矛盾性を証明できない
/ つ
┳━━━┳
┃┌─┐┃
┃│ │┃
┃└─┘┃
┣━━━┫
違うのです。こういうことについてはマコは他の子と同じ程度のことしかできません。
するとマコは、特別歌が上手だとか、楽器がいまうとか、踊りだとかの特技があったのでしょうか?
♪ 〔〕
♪ ♪ 〆〃ハ |||o
〆〃ハ ∬´◇`)||| ノハベ
∬ ´◇`)〜♪ ( つ/|||ゝ (( (´◇` ∬∩ ))
( つ¶() > / へ゜> ⊂ )
いいえ、これも違います。
小さなマコにできたこと、それは相手の話を聞くことでした。
なあんだ、そんなこと、と皆さんは思うでしょうね。でも、本当に「聞く」ことの出来る人は、
めったにいないものです。その点でマコは、素晴らしい才能をもっていたのです。
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― (m) ─
目
ノハヽヽ
( `・ゝ´) ノハベ
(つへ、ヽ、 (´◇` ∬
ゝ,へ__)__) (∩∩)
マコは、ただじっと座って注意深く聞いているだけです。その澄んだ黒い瞳は相手をじっと
見つめます。すると相手は、自分のどこにそんなものが潜んでいたかと驚くような考えが、
すうっと浮かび上がってくるのです。
マコに話を聞いてもらっていると、どうしてよいかわからずに思い迷っていた人は、
急に自分の意志がはっきりしてきます。
・・・・・・・!
ノハヽヽ
〆〃ハ (0゜-゜0)
∬ ´◇`) ( )
(∩∩) (__(_)
引っ込み思案の人は、急に目の前がひらけ、勇気が出てきます。
よ〜し
(ノ^^\)
ヽ^∀^ノ
( ) ノハベ
| | | (´◇` ∬
(_)__) (∩∩)
不幸な人、悩みのある人には、希望と明るさがわいてきます。
まだまだ まだまだや・・・
ノ从~\ヽ
从~∀~#从
〆〃ハ ⊂⊂ )
∬ ´◇`) | | |
(∩∩) (__(_)
こういうふうにマコは人の話が聞けたのです!
・・・・・・
ある日のこと、2人の村人が円形劇場のマコを訪ねてきました。
2人は隣同士に住んでいるのに殺し合いになりかねないほどのけんかをして、口をきかない
仲になっていました。
ノハヽヽ ノハヽヽ
(0`〜´)---☆---(`.∀´ )
(⊃ ⊃ ⊂ ⊂)
//> > < <\\
(_)(_) (_)(_)
まわりの人に勧められて、不承不承マコのところにやってきたのです。。
ハヽヽ ノハヽヽ ノハヽヽ
^▽^)∩)) フン(^〜^0) ( `.∀´)フン
) ( ) ( )
人 Y 人 Y
((( し(_) し(_)
ひとりは、マコの部屋の壁にカボチャの絵を描いてくれた左官屋のケイです。
ノハヽヽ
(`.∀´ ) 絵は得意よっ!
( )
もう一人は、ヒトミという名前で、町はずれで居酒屋を営んでいます。
ノハヽヽ
(0^〜^) YO〜!
( )
2人が離ればなれに座ってにらみ合っているのを見て、マコは石の舞台の端に腰掛けることにし、
かわるがわる眺めました。
ノハヽヽ ノハヽヽ
(0`〜´) (`.∀´ )
(つへ、ヽ、 //⊂)
ゝ,へ__)__) (__(__ へノ
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ノハヽノハ
(`∬≡∬´)
( )
〈 ̄ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
〉 ヘ |
そしてどういうことになるか、待つことにしました。
2人は長いこと座っていましたが、そのうちケイが立ち上がって言いました。
アタシは帰る!でもね、マコ、あいつはこのとおり強情なんだ
なんのためにアタシがこれ以上待つ必要がある?
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∨
いいともさ、さっさと帰っちまえ
俺は悪いことをした奴とは仲直りなんぞしねえからな!
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∨
ノハヽヽ ノハヽヽ
( `.∀´) (`〜´0)
⊂ ) 〆〃ハ ⊂ )
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(_)__) (∩∩) (__(_)
悪いことをした?もう一度言ってみなさいよ!
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∨
ああ、何度でもいってやらあ!
お前は年増で顔が怖いから面と向かって本当のことを言える奴はいねえと思ってやがる。
だが俺は言うぞ!さあこっち来て俺を殺しゃいいだろ!
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∨
ノハヽヽ Fuck! ノハヽヽ
(#`.∀´)∩ ! ε= (`〜´0)
(⊃ ) ノハベ ( )
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(_)__) (∩∩) (__(_)
∧
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まったく殺っときゃよかったよ。けどね、マコ、あいつがどんな嘘つきかこれでわかったろ。
アタシはただあいつの襟首ひっつかんで酒場の水桶につっこんでやっただけだ。
あんな水桶じゃ、ネズミだって溺れっこないわよっ。
こうしてすさまじい言い合いが続きましたが、マコにはさっぱり飲み込めません。
けれどそのうち、ケイがヒトミを水桶につっこんだのは、ヒトミが客の前でケイの横っ面を
ひっぱたいたせいだとわかりました。
ところがそれは、ケイが店の食器を全部叩き割ろうとしたからだと言うのです。
ノハヽヽ ノハヽヽ : ノハヽヽ ノハヽヽ
∴(`.∀´(⊂≡(`〜´0) : (0;^〜^) ( `.∀´)ミ
(⊃ ⊃ ( と) : (⊃ ⊃ ( ⊃ −−−−\_Σ
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○
o
〆〃ハ
∬ ´◇`) ナルホド・・・
(∩∩)
そんなことするもんですか!アタシはつぼをたった一つ壁に投げつけただけよ。
それだって元々ヒビの入ったシロモノじゃない。
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∨
それにしても、とにかく俺のつぼだ。あんなことする権利はお前には無いんだ!
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∨
ノハヽヽ ノハヽヽ
(#`.∀´) (`〜´0)
⊂ ⊃ 〆〃ハ Σ⊂ )
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(_)__) (∩∩) (__(_)
ところが、ケイに言わせると、それは当然の仕返しで、ヒトミがケイの左官屋としての
名誉を傷つけたのが悪いのだ、というのです。
「お前は昼間から飲んだくれてるから壁もまっすぐにできねえ、羊の絵もまともに書けねえ、
ピサの斜塔はお前のひいじいさんの作ったものだからな」とこうぬかしやがったんだ!
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∨
バカだなケイ、ありゃただの冗談じゃないか!
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ノハヽヽ ノハヽヽ
( `.∀´)=3 (^〜^;0)
( つと) ノハベ ⊂ ⊃
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結構な冗談だわね。そんな冗談でアタシが笑えるかい!
ところがこの冗談もその前のケイの悪ふざけのお返しだったのです。
ある朝、ヒトミの店のドアに真っ赤な字で
┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃
┃ ┃
┃(能無しは 酒場のおやじにしかなれず) ┃
┃ ┃
┃ ヴュア ニヒツ ヴィルト ヴィルト ヴィルト ┃
┃ ┃
┃ ┃
と落書きがしてあったそうです。ヒトミにしてみれば、冗談どころではありません。
今度は二人はどっちの冗談のうほうがマシかをむきになって言い争いましが、しばらくすると口をつぐみました。
・・・・・ ・・・・・
ノハヽヽ ・・・・・・ ノハヽヽ
(;`.∀´) (^〜^;0)
(∪ ∪ ノハヽヽ ∪ ∪)
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マコは大きな目で2人を見つめています。
内心では自分たちのことを笑っているのかな?悲しんでいるのかな?
2人は急に、鏡をつきつけられたような気がして恥ずかしくなりました。
・・・そうね、なにも店のドアに書くことはなかったわね。
お前がたかが1杯のぶどう酒を断りさえしなきゃあんなことはしなかったんだ。
アタシはいつだってちゃんと金は払ってるんだ。あんなあしらいをうけるいわれは無かったんだぞ。
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無いもんか!聖シノダミホの件を忘れたか?ホ〜ラ、顔色が変わった。
あの件じゃ俺にまんまといっぱい食わせやがったからな。
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ノハヽヽ ノハヽヽ
( `.∀´) ? (`〜´0)
( つと) 〆〃ハ ⊂ )
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いっぱい食わせた?まるっきりさかさまじゃないの!
その事件というのはこうです。
ヒトミの酒場には聖シノダミホの絵が壁にかけてありました。
ある日のこと、ケイはこの絵をほめて、譲ってくれと言い出したのです。
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│( ) │
│T&C │
│ガタメキラ │
└────┘ イイ! ・・・・・
ノハヽヽ ノハヽヽ
∩( `.∀´) (^〜^0)
( ) ( )
するとヒトミはうまいこといって、ケイのラジオと交換する話にもっていきました。
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目
ノハヽヽ ノハヽヽ
( `.∀´) (^〜^0)
( ) (つと )
/
[゚゚□]
\__ __/
○
・・・OK・・・ o
ノハヽヽ ノハヽヽ
( `.∀´) (^〜^0)
( つと) ⊂ ⊃
ところが絵をはずしてみると、絵の裏に1枚のお札が入っていることがわかったのです。
!!
ノハヽヽ ノハヽヽ
Σ( `.∀´) Σ(^〜^0)
( ⊃[1000]⊂ )
ヒトミはケイに、その金は交換の話に入っていなかったものだから、こっちによこせと
要求しました。そしてケイがいやだと答えたので、それなら酒を売るのもお断りだ、と宣言
したのです。これがけんかのはじまりでした。
(^〜^0)・・・なあ、今だから正直に言ってくれよケイ。−前からあの金のことを
知っていたのか?
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( `.∀´)当たり前さ。そうじゃなくてどうしてあんな交換を承知するかい。
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(`〜´0)じゃあ騙したのはお前だってことも認めろよ!
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( `.∀´)なぜ?じゃお前は本当にあの金のことをしらなかったの?
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(^〜^0)知らなかった。誓ってもいい
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ノハヽヽ ノハヽヽ
( `.∀´) (^〜^0)
( ) ノハヽヽ ( )
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(#`.∀´)そう!するとやっぱりアタシを騙そうとしてたのね。そうでなきゃあんな
絵なんぞでアタシのラジオをまきあげるなんて考えられないじゃない、え?
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(´〜`0)・・・お前はどうして金のことを知ってるんだ?
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( `.∀´)あの2日前に、ある客がお供えにってあそこに札を入れるのを見てたのさ
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(^〜^0)・・・大金だったのか・・・?
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( `.∀´)アタシのラジオの値段より、多くもなし少なくもなし、ってところさ。
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(´〜`0)すると俺達のけんかのもとは・・・
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ノハヽヽ ノハヽヽ
( `.∀´) (´〜`0)
( ) ノハヽヽ ( )
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た か が 切 り 抜 き の 聖 シ ノ ダ ミ ホ だ け っ て こ と か !
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ノハヽヽ ノハヽヽ
( `.∀´) (^〜^0)
( ) ノハヽヽ ( )
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すると突然、二人は同時に声をあげて笑いはじめました。
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ノハヽヽ ノハヽヽ
(((( `.∀´)))) !? ((((^〜^0))))
(⊃⊂) ノハヽヽハヽヽ (⊃⊂)
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それから2人はマコのところに来て、彼女の肩に腕をまわし
ありがとう!!
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ノハヽヽ ノハヽヽ
( `.∀´) ノハヽヽ(^〜^0)
( ⊃∬´▽`∬⊂ )
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と言いました。
2人が帰っていった時、マコは長いこと手をふって見送りました。
ふたりの友達がまた仲良くなったことに、マコはとても満足していました。
〆〃ハ
∬ ´▽`)ノ ))
(∩∩)
〈 ̄ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
〉 ヘ |
さあ、これでもやっぱり、人に耳を傾けるなんてたいしたことないと思う人がいますか?
そういう人は、マコのようにできるかどうか、一度試してみることですね。
(つづく)