「何か今日のいちーちゃんなんかヘンだったな…ただいまぁっ」
「おかえりー。」
「店行かないの?」
「まだ昼なんですけどー。」
「あ、そっか。」
私は自分の部屋へとかけ戻ってベッドにかばんを放りなげて自分も倒れこんだ。
『うごぉぇあ?!』
「えぇぇぇぇ?!」
私は寝ていたからだを起こしてベッドに座った。
『きぃつけてくださぃよぉ…』
「あっ!あはごめん、あははは」
『早いんですね、今日はお仕事はないんですかぁ?』
「さっき行ってきたでしょ。ってか…あんたと話すために帰ってきた。」
『あぁ…そうだったんですか…おおきに。』
「…関西の子なの?」
『そうです、奈良県からぁ、…わけあって東京に出てきたんです』
「ふぅぅぅぅん。で、どうして私のとこに?どうしてそんなに小さいの?」
『わかんないんですけど…けどうちはししょぉの事知ってました。』
「…?」
『後藤真希さん、モーニング娘。のエースですやん?』
「え、エースかはわかんないけど…。」
『にっぽ〜んの未来は♪ですやん?』
「あんた…、何者?」
『うちはぁ、加護亜依12歳。奈良で普通に学校行ってて普通にテレビのモー娘。とかも
知ってて、普通に…。よぉわからんのですけど、ここにきたら、ここにきたらちっちゃくなってました。そいで、ししょおにあっていました。』
「…わからん。」
『ですよねぇ、ほなもん、よぉうちもわかりませんわ。』
「うー。」
『でもここにいるのもきっと何かの縁だし、仲良ぉしてくださいよ。』
「…よくわかんないけど、いっか。じゃ、握手ね。」
こうして、わたしとララ(もとい加護)は人差し指と、小さな右手とで握手を交わした。
奈良県の中学生だった加護。
なぜか小さくなって私の部屋に出てきた。
未だにわからないことがたくさんだけれど、加護もあんまりわかっていないみたいなので
とりあえず仲良くしてみようと思った。
『なぁ、ししょぉ』
加護が小さな手で私をパシパシたたく。
「ん?」
『あんなぁ、うちのこと誰にもいわんとってな。』
「え!?なんで!?」
私は市井ちゃんにメール作成中だったので焦った。
『…人疑うみたいで悪いんやけど、自分でもおもうんやけど、うちなんかおもろいやん?』
「…は?」
『いや、なんか人間なのにちっこくて。そやから色んな人に知れたら色々面倒なことに
なると思うんや』
「面倒?」
『ししょぉってクールに見えてただの天然やったんやな…ま、とにかく
いわんとって!お願い〜』
「…わかったぁ…よくわかんないけど承知した。」
『おおきに。さ、交流を深めましょぉ〜!!』
加護は大きく手をあげた。
それから私たちはいろんな話をした。
加護の家族のこと。私の家族のこと。
加護の学校でのこと、私の娘。でのこと。
私は色々話してるうちに加護が娘。にいたら楽しいだろうなと思った。
『でな、うちが…ししょぉ聞いてる??』
「それよ!」
『!?』
「なんで師匠なの?なんか聞こうと思っててど忘れして気持ち悪かったのよ!」
『なんで怒るねんっ!いやぁ、何かな、後藤さんみたらししょぉ!って感じがしてん!』
「意味わかりまへんな。」
『真似すんなや〜、うちもわからへんけど、ふふふ。』
「ふふふ。」
加護との話は寝る前までつきなかった。
加護が私の枕のとなりで小さな寝息をたてるまで。