「なっ…なに?!」
『ししょ♪こんにちはぁ』
目の前にあらわれたソレは人の形をしていて、ちゃんと声もでてて。
昔可愛いってゆってた、キキララのララに似ている気がする。
私は親指と人さび指をひらいてソレの横にあてた。
10cmくらい…?
『なんやねん!』
「あ、いや…。そりゃこっちのセリフ…。」
『あ、すんません、じゃあ自己紹介から♪亜依っていいます☆』
は?ララじゃねぇの?
『なんで自分がこんなにちっちゃいのか、なんでここにいるかは良くわかんないんですけど、でも多分ししょぉに会うために来たっぽいんで今日からお世話になります。よろしくお願いしまぁすっ!』
ララはそう言って手を<敬礼っ>の位置にあてた。
「…?????????」
わかんない。
なんだかわけわかんない。
そうだこうゆう時は寝よう。
寝たら見えなくなるかも。
そうだよ、幻覚だ。
今日あんなびっくりな事があったから疲れてて幻覚見るんだ。
「…おやすみなさい。」
『ああっ、ちょっ、ししょぉ〜…』
ちゅんちゅん。
すずめの鳴き声がする。
カーテンの間から朝の日差し。ちょっとまぶしいけれど目をひらく。
「ふあぁぁぁ」
『おはようございますっ☆』
……。
「ぐぅぅ。」
『寝ないでくださぃっ』
「…今何時、」
『9時半ですけど』
「っっ!お母さん!なんで起こしてくれなかったの!!!やばい!遅れるっっ」
『あっ、あの、』
「よくわかんないけど、話は後で聞く!」
『ししょ…』
いったいなんなんだよぉ!
新メンバー募集だし、部屋になんかいるし、遅刻するし!!
スタジオについたときは汗だくではぁはぁいっていた。
「ごっちん、おせぇよ〜」
「あ、やぐっつぁん!疲れたよぉ〜」
「メイクしろよぉ〜。」
たわいもない話で今日も始まったってゆう気分になった。
「あのさ、やぐっつぁん。」
「なに??」
「…や、なんでもない。」
「忙しいんだからよぉ〜」
危うく私はララのことをいいそうになった。
一瞬考えて多分キ○ガイ扱いされるの間違いなしだと思ったから、やめた。
「お願いします〜…ぐぅ。」
「後藤〜、寝てない??」
「ねっ、寝てないよ〜…。」
しばらく無言でメイクをしてもらうわたし。
隣にいるのはいちーちゃんだ。
やっぱりララの事言おうと思ったけど、やっぱりやめといた。
本当に気のせいかもしれないし、朝急いでたし。
昨日はイロイロ考えがごちゃごちゃしてたからかもしれないし。
そういえばなに考えてたんだっけ…?
あぁ、そうだ。増員のことだ。
「後藤?やっぱ寝てんでしょ。器用だな、目ぇ開けたまんま…」
「寝てないよっ!起きてるってば!」
「…なんで怒るの…」
いちーちゃんはちょっとムッとしたみたいだった。
「あ、ごめん…。」
「…新メンバーの事?」
さすがいちーちゃんだ。
「私さぁ、後藤がはいってきたとき自分から教育係になったじゃん。」
「うん。」
「ちょっと目立ちたかったのもあったんだけど。」
ちょっとじゃないだろ。
「ねぇ、後藤。新しい子が入ってきても後藤よりもすごいってーか…
なんかそうゆう子ははいってこなさそうだよ。なんかそんな気がする」
「なんでわかんの?」
「それはねぇ…私が後藤の教育係だからだよ、だから後藤が沈んでるときには
後藤を励ますのさ!それも仕事だからねぇ。」
・・・・・・。
アリガトウ、
照れくさくていえなかったけど。
「後藤も新メンバーが入ったら先輩になるんだぞ。」
「うん。」
「しっかりしないと私目はなせないじゃない。」
「え?」
「ほら、前向いて!」
「あ、うん…」
いちーちゃんに促されてメイクのために前を向く。
いちーちゃんの顔がちょっと難しい顔になったのを、わたしはちゃんと見ていた。