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237『考える娘。』 ◆SAKUgUdd02
やっ…、気持ちわるいよぉ!
「きゃっ、いやぁぁ…」
サトシさんの手が私のスカートの中に入って来る。
「もぉいやぁぁぁ…やめてくださ…ぃ…」
もうダメ。
こんな事するんじゃなかった。
お金はたくさん入るけどそんなんじゃない。

初めては好きな人としたかったな…。
「あいぼん、可愛いなぁ…」
サトシさんの左手が胸に近づいてきた。
パパママごめんなさい。
ごめんなさい…。
238『考える娘。』 ◆SAKUgUdd02 :03/01/31 13:19 ID:mjlHi8yp
「お待たせいたしました〜、オレンジジュースジョッキで〜す。」
へ…?
「たっ…頼んでないぞ!」
「あっ、それは失礼しました、サービスです、どうぞ!」
バシャアッ!!
店員はジョッキの中身をサトシさんにぶちまけた。
「うわっ…つめっ…何するんだぁっ!」
「警察に電話致しますよ?料金払って退店してくださいますか?」
「…くっ…クソッ!」
「毎度ありがとうございました〜♪」
どうなってるの…?
店員がお札をひらひらさせながらこっち側に振り返った。
「ごと…さ…」
239『考える娘。』 ◆SAKUgUdd02 :03/01/31 13:21 ID:DT91T9lX
なんで後藤さんが…?
「あんた何やってんの?」
「あ、あの後藤さんは…」
「バイト。みりゃわかるでしょ?ここでてよ、掃除するから。あ〜あ怒られちゃうよ。」
「…助けてくれたん…ですか?」
「別に、エロおやじが嫌いなだけ。」
そう言っていったん部屋を出るとモップとバケツを持って戻ってきた。
「あの…」
「会計すんだから帰れば?」
「…はい…」
どうして私なんか助けたんだろう。
どうしてあんなにけなしてたのに助けたんだろう。
私は頭の中でよく整理出来ずに混乱していた。
240『考える娘。』 ◆SAKUgUdd02 :03/01/31 13:22 ID:DT91T9lX
「あ、矢口さんとこ…」
私はカラオケを出て矢口さんちに向かった。
アパートの前に見覚えのある顔があった。
「梨華ちゃん…。」
「加護…」
「ごめん、私今日失敗しちゃって稼げなかったの、だから貸す事が出来なくて…」
「いいの、いいの加護。ごめんね迷惑かけて、ごめん。私矢口さんとも彼とも縁切る事にしたの。けど…ここに来たら動けなくなっちゃったから…。」
「…私、矢口さんところ行くけど一緒に行く…?」
「…加護…ありがとね」

241『考える娘。』 ◆SAKUgUdd02 :03/01/31 13:23 ID:DT91T9lX
ぴんぽん♪
”だれー?”
ドアの向こうから矢口さんの声がする。
「加護です。話があってきました。」
カチャ。
「入っていいよ。…石川…」
「こんにちは。」
「今日いないよ、アイツ。」
「うん…もうこの仕事やめるね。」
「…ふ〜ん。アドレスかえときな。」
「わかった。加護ありがとね、じゃあ行くね」
「梨華ちゃん…。」
私は何もかける言葉が見つからずに名前を言うだけだった。
「石川!」
矢口さんの声に梨華ちゃんは振り返った。
「悪かった、アイツとは本当なんでもないから」
梨華ちゃんは何も言わずに無理矢理作った笑顔で返した。そして階段を降りて私に手を振った。
多分仲良かった2人なんだろうな。私は胸が痛んだ。

242『考える娘。』 ◆SAKUgUdd02 :03/01/31 13:23 ID:DT91T9lX
「で?加護はなんだったの?中入りなよ。」
「おじゃまします…」
私は矢口さんの部屋に入った。
部屋にはたくさんのアルミホイルみたいなのと小さい薬瓶みたいなのがたくさんおちていた。
「これ…?」
「石川に聞かなかった?」
覚せい剤…。
私は下を向いた。
「もう駄目なんだよねこれがないと。オイラ金はあるから買っちゃえるんだよね。アイツとも本当なんでもないんだ。石川にオイラの事聞いて金持ってると思ったんだろ。だからオイラんとこ来たんだ。」
矢口さんは聞きもしないのに話をしだした。
「でさぁ、アイツの持って来たクスリにオイラもはまっちゃったわけ。金食うけど今はないと無理。」
「はぁ…」
多分梨華ちゃんに話せなかった事を私に話したんだ。本当は梨華ちゃんに聞いてほしくて考えてたんだ。
私はなんとなくだけどわかったから、いつか梨華ちゃんに話してあげようと思った。

243『考える娘。』 ◆SAKUgUdd02 :03/01/31 13:25 ID:BoJ0qkoC
「ごめんごめん、加護はなんだった?」
「私…あの、梨華ちゃんもやめたんで悪いとは思うんですけど…」
「やめるの?そっかぁ、じゃあアドレスかえときなよ。うん。」
何に うん だかよくわからないけど矢口さんは頷いた。
「でもなんで?」
「あの…サトシさんが手を出したってゆうか…。」
「はぁ?駄目じゃん。退会だね、あのおっさん。」
「すいません…」
「なんであんたが謝るの?カモはまだまだいっぱいいるんだ。大丈夫だよ、」
矢口さんの手が瓶に伸びる。
「はい…」
「加護はオイラみたいになっちゃいけないよ。もう行きな。」
矢口さんはそう言うと瓶から煙を吸い込んだ。
「…ありがとうございました、お世話になりました。」
私は矢口さんの家をでた。