そのあとののと別れて、
私は自分の部屋でメールをしていた。
『あいぼんちゃんはどんな女の子なの?
私はシステムエンジニアといってパソコンの仕事をしています。』
どんなって…。
私はどんな女の子なんだろう。
頭は普通より少し悪くて
顔は十人並。
スポーツあんまり得意じゃないし、
何かがすごく得意ってものもなくて。
中学のとき少しだけののとバレーをやったけど、
先輩がこわくてやめちゃったり。
何事もあんまり長続きしない、今の生活に嫌気がさして
くさってる女の子?
『普通の女の子で〜す♪
システムエンジニアなんてすごいですね!^^ 』
システムエンジニアってなんだろ。
その後も順調にメールは続いて、
ついに今日会うことになった。
初めてなので矢口さんがついてきてくれるらしい。
矢口さんは仲介人みたいな役らしくて
結婚紹介所みたいなもんではないかな?と私は理解した。
おじさん→矢口さん→女子高生
みたいに女子高生と遊びたいおじさんが矢口さんのところに誰かを紹介してもらいに行くんだろう。
矢口さんは自分も援助交際をしてるに加えて仲介人だから
かなりもうけてるはず。
私は今になってこの間ののが話した事をようやく理解しはじめた。
今、私は学校も終わって矢口さんを駅で待っているところだった。
学校帰りの人たち、仕事帰りの人たち、ティッシュを配る人たち、
駅に住む人たち。
イロイロな人でごった返す街は、私の地元とは違う匂いがする。
こうゆう時、私はののに会いたくなる。
「加護!ごめんよっ。」
明るい声と共に矢口さんが手をあげてこっちに向かって歩いてきた。
「これからどこ行くんですか?」
「普通のファミレスだよ、加護のパパは金もってないからね」
「パパ?私の?」
「あぁ、あんたら無垢だねぇ。あんたにお金を出してくれる人の事。サトシさん。」
「ほぉ…」
あんたらってゆうのはののも入ってるんだろう。ののも同じ事を聞いたんだ多分。
「ふふ。」
「何笑ってんの?キモッ。着いたよ!」
ここに…。いるんだ。
「リマちゃん?」
どこか所在なさげに一人の中年男性が私たちの席の前にたった。
「そうです。サトシさんですか?座って下さい。」
矢口さんに促されてサトシさんは腰をおろした。
「こちら、サトシさん。OK?」
「はい。」
「で、こっちがお相手のあいぼんです。契約は手を出さない事。守れない場合はうちの会員から抜けていただきますので。」
「承知しております。」
「じゃあ紹介金1万お願いします。」
紹介金?!そんなものもとってるのか…。
サトシさんは1万円を矢口さんに手渡した。
「毎度!じゃあおいらはここで、後は二人の好きなように。ここじゃ周りの目が気になると思うよ、じゃあに〜」
そうゆうと矢口さんは店をでて私とサトシさんだけが取り残された。
普通のオジサンだ。
パパよりは年寄りだけど…。
「こ、ここ出ようか」
おじさんは上ずった声で伝票と上着を持った。
「ご馳走様でした。」
店をでてカラオケに行く事にした私たちは変なツーショットで歩き出した。
「やっぱり若い子はカラオケが好きなんだね、うん。今日は練習して来たからちょっと披露しちゃうよ」
オジサン一人しゃべってる。
カラオケに入るのは好奇の目で見られないから。だって外から見えないもん。
「アッ!カラオケあった」
「あ、本当だね。入ろうか」
入る時少し店員さんにジロジロ見られたけど、私は恥ずかしくて顔をあげられなかった。
「お部屋ご案内致します。」
曲を一生懸命探すオジサン。
よく見ると少しはげてる。あと汗かいてる。
気が弱そう。
自分で自分が信じられないのと同時に私は妙に自分が冷め切っているふりをして慣れてますオーラをだすよう努めた。
「あいぼんちゃんは何歌ったりするの?あゆとかかな?」
「私は…サトシさん先に歌ってください。」
「じゃあGLAY練習してきたから!」
ぴぴ!
〜♪〜♪〜♪
うまくもない歌を聞いてキャッキャッしてる自分に少し腹がたった。
その後自分も普通に歌をいれたり歌ったりして2時間とゆう時間は結構あっとゆうまだった。
「また、会ってくれるかな?」
「はい、楽しかったです」
ニコリ
「よかった…これ今日のお小遣い。無駄遣いしないようにね。今日は初めてだからサービス」
「ありがとう…」
私の手の中に4万円が振り込まれた。