「あいぼん!つぎはあそこ!」
そういってののは近くのデパートを指差した。
「ののこないだここで服かったから、あいぼんもかお!」
あんまり乗り気じゃない。
やっぱり後に残るものはこわい。援助交際って犯罪でしょう?
「のの、私はいいよ。」
ののは一瞬説得しようとしたみたいだったけど、私の気持ちがなんとなくわかったらしく
「じゃああいぼんはみててね、ごめんね」
と言った。
「これとこれとこれとこれと…。」
ののはちゃんと見ずにかごにいれている。
見てるだけっていっても、見てるとほしくなる。
あ、このオーバーオール可愛いな…。
このかばんも可愛い。学校にいいかも…。
「…あいぼんも欲しいものあるの?」
「…ううん!早くかいなよ!」
「あ、ごめんね。あとこれも。」
ぽいっぽいっぽいっ。
見てないみたいだけど可愛い服いれてる。
ののセンスいいから。
あ、あのオーバーオール…買うんだ。
ぽいっぽいっぽいっ。
「…こなもんかな、これお願いします。」
店員さんが驚いている。
「ありがとうございます。」
ぴっぴっ。1つずつレジに通している。
「9万6千円になります。」
「あ、足りないや、」
えへへ、ってののが笑った。
大きい袋をよいしょよいしょかついでいたから私も1つ持ってあげた。
「こんくらいなら、2回カラオケ行くだけだよ。」
ののがボソッと言った。
口の中が渇いた、ゴクリと音をたててつばがのどを流れた。
「本当になんにもしなかった?カラオケだけだったの?」
「ののは嘘ついてないよ。よっ!」
ののはずりおちてくる大きな袋を持ち直した。
「ふぅ。さすがに買いすぎたね!自転車に乗るかなぁ。」
「そうだね。」
頭では全く違うことを考えていた。
服が気にせず買える。
今までの私にありえないステータス。
ののは手に入れてる。
高校に入ったらおしゃれになるって決めてた。
ののだけおしゃれになっちゃう。
置いてかれる。
私は、そんな事をする自分よりも、
ののについてゆけない自分の方が恥ずかしかった。
明日またののと会う約束をした。
ののとリカちゃんに会う約束を。