「よっすぃさん、これからどこに行くか決めて良いですか?」
「どうぞ、けれどご両親の近くにはいけません、あなたの遺体が近くにあるので…。」
「それじゃ意味ないじゃん!!」
「すみません、決まりなんです。」
なんでよぉ…彼氏もいないのに、家族に会えないなんて・・・。
「わかった…でもじゃあ他の人はどこへ行ったりするの?」
「…そうですね、昨日亡くなった5歳の女の子は遊園地で遊んでいました!」
「ごっ…5歳の子と一緒にしないでよっ…」
「すっすいません…」
「あなたいくつなんですか?」
「僕は16の時、交通事故で死んでそのまま天使になりました。」
「…私は17歳。一度彼と遊園地なんていってみたかったの。いいわ遊園地に行きましょう!」
「遊園地…でももう10時ですよ、開いてますかね…」
「今日はクリスマス…なのよ、オールナイトしてるとこあるよ!」
「じゃあ探してみましょうか。」
「私も飛べるの?」
「背中を見てください」
そこには。
よっすぃ君に比べると小さいけれど羽根があった。
もしかしてと思って頭をさわってみると、わっかの手応え。
「わぁ…すごい…」
「じゃあ行きましょう、1・2の3!」
よっすぃ君の掛け声で私はその場所から飛び出した。
「綺麗…。」
少し人よりうえからみる景色は、クリスマスのイルミネーションきらきら。
夜の黒映えてとても綺麗。
眼を細めるとどの光も星型にひかった。
「天使は毎晩こんな空を見られていいね。」
「そんなんばかりじゃないよ…」
「着いたっ!ここがオールナイトしてる遊園地!」
「何から楽しみますか?並ばなくても乗れますよ、霊体ですから」
「そういえばそうよね、…最初は、観覧車!」
「あ。こんにちは」
よっすぃが羽根の大きな人に会釈をした。
「あの人も…天使?」
「そう、後ろにいるのが今日死んじゃった子じゃないかな?」
私はさっきの天使をながめた。
その後ろの子も。小さい、幼稚園ぐらいかな、まだ小さいのに。可哀相。私もだけど。
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age:02/12/29 19:31 ID:UyBCRNi4
age
「じゃあのりましょ〜♪」
私達は観覧車に乗った。さっき飛んだ時に見た夜景が見えた。
「よっすぃ君…よっすぃ君はどうやって天使になったの?」
「僕は、死んだ時天使に誘導されて、その時色々、本当に色々死ぬ間際なのに色々学んだんだ。だから天使に」
「ふ〜ん…あ、4級とかって…」
「さっきすれ違った人は2級天使。どれだけ人を誘導してるかなんですけど。僕も今日あなたをきちんと誘導出来たら3級になれるんです!」
「へぇ…よっすぃ君は嬉しいのね。私自分が死んだの今も実感出来ないけど悲しいわ」
「あ、す、すいません」
「冗談!こうなる運命って生まれた時から決まってたのよ!ふふ、タダで遊園地楽しめチャッたし!」
そういうとよっすぃ君がホッとした顔を見せて、私もホッとした。
「次は?」
「メリーゴーランド♪」
「メルヘンチックなんですね。」
「いいじゃないのよ。最後に来た時は恥ずかしくて乗れなかったから記念に!」
私達はそういってメリーゴーランドを目指した。
「あの人も…?」
メリーゴーランドにはおばあさんと小さい子と天使。(1級らしい)
「話し掛けてみてもいいの…?」
「大丈夫ですよ。」
私はおばあさんの傍に寄った。
「こんにちは。」
「あらあらこんにちは?誰だったかしら?」
「いえ、あの知り合いじゃないんです。あの、どうして遊園地に…?」
「この子とねぇ…一緒にいたかったからだよ。」
そういっておばあさんは傍らの子供さんを一瞥した。
「少しだけ思い出が欲しかったんだよ、この子も生まれ変わって私の事は忘れてしまう、けどそれは嬉しい事さ。だから今だけ。ここでこの子との思いで作り」
「ばぁさん、そろそろ時間がきちまった。」
「そうですか、なっちゃん行くよ〜。お姉さん、あと少しの時間楽しんでね。」
「あっ…」
そこには一瞬光の泡ができてやがて消えた。
そんなの…かなしすぎない?私自分の事を忘れてしまうなんて…。
何で?
すれちがう天使と幽体達はみんなわらって…
どうしてわらっていられるの?だって死んじゃったのに…。
「石川さん、石川さん!」
「!やだもう私何考えてんだろう」
−お知らせします、まもなく閉園です。お知らせします。まもなく閉園です−
「終わり…?」
「場所を変えましょう、夜が明けたらあなたも消えてしまう。」
ぁぁ…そうかもう私終わってしまうのね…。
「友達にサヨナラがいいたいわ。」
「かしこまりました。」
私達は一通りサヨナラを言った後、病院の近くに来た。
「もうすぐ夜が明けます。あなたを天まで連れていくための一応の確認をします。」
「ハイ。」
お父さん
お母さん…
ううん、考えない。
次の命を楽しんでやる!
ポジティブポジティブ!
「石川」
ドキドキ
「梨奈」
え?
「今なんて…」
「石川梨奈さん」
「わ、私石川梨華…」
「えっ?!けど確かにあの場所であの時間…」
「でも私石川梨華なのよ。」
「えぇぇ?!」
その瞬間。
からだがいきなり重くなって。
意識がなくなった。