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（　・ｅ・）

(´･ω･`)

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　　　　ノ　.+ ＼___＿＿＿＿＿＿______.＼ 　　　　　　　　|｜　　|￣￣｜　　
　　　〈 . ＼　　ﾉ＋　+　　＋ 　＋　+　 ＋ ヽ、 　　　　　｜|　／￣￣ /
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(´�D｀　)＜そうれすね
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌUU￣￣￣ｌ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ◎＝＝◎　≡　ｶﾞﾗｶﾞﾗ

　　　　　　　　　　　　＠ノハ＠
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　　　　　　　　　　　　O┬O　)
　　　　　　　　　　　 ◎┴し -◎ ≡　ｷｺｷｺ　　　 ノハヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(´�D｀　)＜そうれすね
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌUU￣￣￣ｌ
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　　　　　　　　　　 ◎┴し -◎ ≡　ｷｺｷｺ　　　 ノハヽヽ
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￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

　　　　　＠ノハ＠｜
　　　　　（　‘д‘）Φ＜でも、ののが急に勉強するなんてほんま驚いたで
　　　　／￣〇―￣旦￣／｜
　　　｜￣￣￣￣￣￣｜　｜
　　　｜　　　　　　　　　｜　｜

∋oノハヽo∈
　 (　｀�D´)＜ののはおりこうになるとここにちかうのれす！

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜この心がけや良し！
　　　　　　　　いっしょにがんばろな。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜へい！

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜それにしても、紺野ちゃん遅いな

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｽｺｯ　＠ノハ＠
川ｏ･-･)ノ＜遅れました。　　　　　　　　　Ξ卍‘д‘）

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜イタいやないかぁ　紙の手裏剣やけど

川ｏ･-･)ノ＜すみません。　さあ、お勉強始めましょう。……で、何をやるんですか？

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜何にしようかぁ。ののはどんなのがやりたいんや？

再開ｷﾀ━━━(ﾟ∀ﾟ≡(ﾟ∀ﾟ≡ﾟ∀ﾟ)≡ﾟ∀ﾟ)━━━━!!!!!!!!!!

ナカヌキヤ…ｗ

　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　：
川ｏ･-･)＜（今日のことは絶対忘れない。…だって辻さん、加護さんと三人で図書館に
　　　　　　　いけるなんて思いもしなかった。それに辻さんの悲しいけど大切な思い出
　　　　　　　話をきけたんだもん)
　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　：　　　　　　

……
　　　　　……

∋oノハヽo∈
　 ( *´�D｀)＜……

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜なんや、やっぱりか。やっぱり何も考えてなかったんか。ただ
　　　　　　　勉強するってだけやと困るのは教えるほうやで。まあ、
　　　　　　　うちが教えられるもんなんて限られとるけど…

∋oノハヽo∈
　 ( *´�D｀)ゞ＜てへてへ。いっしょにべんきょうしてくれるならなんでもいいのれす！

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜そういわれてもなあ。あさ美ちゃんは何がええと思う？


川ｏ･-･)ノ＜そうですね〜。これはどうですか。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「柳亭記」？　柳亭種彦……うち、全然知らんわ、この人。この本も…


川ｏ･-･)＜私も詳しくないです。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜じゃあ、やめとくか〜

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜……
　　　　　　　(あいぼんもあさ美ちゃんも知らないご本…)

∋oノハヽo∈　ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ
○(　´�D｀)○＜それ、それにするのれす。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜え、でも、これつまらんと思うで。

∋oノハヽo∈
　 (　｀�D´)ノ＜いいのれす！　それにするのれす！

川ｏ･-･)＜加護さん、それ読んでみましょう。わたしも興味ありますし。

∋oノハヽo∈
　 (　｀�D´)ノ＜あさ美ちゃんもああいってるのれす。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜そうか。じゃあ、読もうか。

∋oノハヽo∈
　 (∩´�D｀)∩＜わあい

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜(どうせ、途中で音を上げるやろ…)
　　　　　　　じゃあ、どないしよう。


川ｏ･-･)＜加護さん、加護さんが朗読したらどうでしょうか。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜え、うちが読むの？　(それはしんどいわ。あさ美ちゃん自分が読みたく
　　　　　　　ないだけなんちゃうんか？)

川ｏ･-･)＜わたし、加護さんの声が好きなんです。

＠ノハ＠
（*‘д‘）＜そうか？

川ｏ･ｰ･)ｂ＜24ｈTVのナレーション最高でした。

＠ノハ＠
（*‘д‘）＜ふーん。……じゃあ、最初はうち読むわ。

川ｏ･ｰ･)＜…

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ほな、いくで、のの。覚悟した方がええで

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜へい！

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ｺﾞﾎﾝ、「
　　　　　　巻之上　〇田植うた
　　　　　　苗代にかかり早苗をひきて、篠簀(あしか)になふ　禾担(おふこ)をさしてになひつつ、
　　　　　　田づらにゆきてくばりいだす早乙女のうけとりて植る田歌ぞおもしろき。

∋oノハヽo∈
��(； ´�D｀)＜……

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「
　　　　　　　雨降らねども日でり笠、雨ふる時はひぢ笠や、かつぐ袖笠いとせはし、
　　　　　　　世わたる業とすげの笠、すそは田水におりひたりぬれにぞぬるるばかりなる。

∋oノハヽo∈
　 ( |||´�D｀)））＜あ、あいぼん、なんの本なのれすか。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜(案の定や。さあ、やめにしよう)……やっぱり、つまらんやろ。

∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜さいこーにつまんねーのれす。とっととやめるのれす。


川ｏ･-･)＜いえ、ご両人、続けましょう。

＠ノハ＠
（；‘д‘）
∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜え

川ｏ･-･)＜読んで行ったら、きっと面白くなってきますよ。最初が肝心だと思います。
　　　　　　今の部分だって、なかなか面白いみたいですよ。

∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜あいぼん、おもしろかったれすか

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜まあ、意味はわかるけど……(あさ美ちゃんは何を考えとるんや？)


川ｏ･-･)＜田植えをする早乙女たちの歌う歌が面白い、その内容は
　　　　　　雨が降らなくても日よけの笠をかぶり、雨が降るときは袖を頭にかざして
　　　　　　笠代わりにする…といった感じで…ね、辻さん、なかなか面白いでしょう

∋oノハヽo∈
　 ( |||´�D｀)））＜(つ、つまんねーのれす…)


川ｏ･-･)＜さ、加護さん、ずんずんいってください。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜駄菓子かし…


川ｏ･ｰ･)ｂ　ｸﾞｯ

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜(な、何や？)

川ｏ･ｰ･)ｂ＜……

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜……お、おう。ほな、続けるで

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜……

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ｺﾞﾎﾝ、「
　　　　　　　歌は国により、ことばは所によるとかや。近江の国風に、「　雨は降るともなよ、
　　　　　　　いそいそ蓑笠もなよ、いそいそいはぬなよ、恋し君にだにあふとならばいそいそ
　　　　　　　手にとる早苗もすててゆかまし、いそいそ穂に穂かさなれ、いそいそ目出たし
　　　　　　　目出たし千歳楽や万歳楽」　とうたふて田うゑわたしよろこぶとかや


川ｏ･-･)＜いそいそがいい感じですね。

＠ノハ＠
（；‘д‘）
∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜え


川ｏ･-･)＜さあ、加護さん、続けて

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「
　　　　　　　丹波の国風の歌に、「　春の頃より我をやに通ふ殿ごのあれどなよ、人に忍べば
　　　　　　　かくしかくしてかたらぬ」　などさてうゑわたしてあがるとき手ごとに持ちたる早苗
　　　　　　　うちふりて、「　早苗もおくてもしげるくら田にさかえて、秋のみのりは穂に穂なびきて
　　　　　　　心のままにをさめてつくもかさねて　一粒(いちりふ)や万倍二粒や万倍」　


川ｏ･-･)＜丹波は「山陰道に属した一国。現在の京都府中部と兵庫県北東部」。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜あさ美ちゃん、それ何や。


川ｏ･-･)＜「講談社学術文庫　古語辞典　佐伯梅友・馬渕和夫編」です。小さくていいんですよ。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜ふ、ふーん。(この娘、本気や。本気で勉強する気やで。どうする、のの！)

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜こごじてん……


川ｏ･-･)＜今のは「いちりゅうやまんばい、にりゅうやまんばい」が歌っていて気持ち
　　　　　　よさそうですね

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜……

川*･-･)＜……
　　　　　　はぁ、昔も恋を歌ったんだなぁ…どうも、江戸時代の恋というと文人が
　　　　　　とりあげる分、粋とか通とか、遊女が先に来る感じなんですけど
　　　　　　まあ、恋愛という概念がなかったとかどこかで読んだことがありますけど
　　　　　　……そんなことはないんですよね。あ、男の人はどうか知りませんけど、
　　　　　　女はずっと恋をしてきたと思います。

＠ノハ＠
（；‘д‘）
∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜……


川ｏ･-･)ノ＜あ、でも、田舎では露骨なところもありますよね〜

＠ノハ＠
（；‘д‘）
∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜え？


川ｏ･∀･)　ｱﾋｬ

＠ノハ＠
（；‘д‘）
∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜あさ美ちゃん……


川ｏ･-･)ノ＜さ。加護さん、続けて！

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「
　　　　　　　　日はてりにてらしてあつさはたへがたきに、蛭といふ虫の田の中にありて人の足に
　　　　　　　　とりつき血をすひ、くろふ、その形ち覆盆子《ふくぼんし》の如くあかくなりて蓑毛の
　　　　　　　　如く見ゆるなり。このくるしみのなかよりもおもしろき歌うたふ事、籠の鳥のいろ音
　　　　　　　　おもしろくさえづるにたとふべし。


川ｏ･-･)＜「覆盆子」というのはいちごのことを言っているようですね。漢方薬にもあるらしいんです
　　　　　　が…。辻さん、蛭を見たことありますか。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ひるれすか。見たことあるのれす。川にみどりいろのナメクジみたいのが泳いで
　　　　　　　いたのれす。しょうがっこうのとき、それでだんしにおどされたのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜へえ。ののはそんなことあったんか。うちは実物は見たことないで。テレビでは
　　　　　　　見たことあるんやけど…映画とか。


川ｏ･-･)＜蛭の出る映画ありましたね。スタンド･バイ・ミー。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜そや。あれ、キショかったで。ののもあの映画見たことあるやろ。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜三田のれす。ののはひるに血ぃすわれたら、ぶったおれちゃうのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜うちもや、のの。


川ｏ･-･)＜でも、今の本文では、苗を植える乙女の足に血を吸っていちごのように赤く
　　　　　　なった蛭が蓑――あの、保田さんの子泣き爺がしょっているやつですね。
　　　　　　のようになっている、と言っているのですから……

＠ノハ＠
（；‘д‘）
∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜それはこわいのれす…


川ｏ･-･)＜そうした苦しさを紛らわせるために歌を歌うのだと柳亭さんは思っている
　　　　　　ようですね。……

＠ノハ＠
（；‘д‘）
∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜……


川ｏ･-･)＜じゃ、加護さん、続きをお願いします

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「
　　　　　　　　あまりのことのくるしきにせめて歌になぐさむらん　「春の小田に生《まれ》し
　　　　　　　　蝌蚪(かへるこ)そだちあがりて、ながき草葉になかくれそよ、蛇のはむかも
　　　　　　　　しらぬ草葉にかくれそよ」などうたひつれて田草をとるもくるしや、麦の穂を
　　　　　　　　こきしき、むしろへいれ、わかき女房あまたいでたるが、かしらのうへ
　　　　　　　　うつくしう赤き前だれ紐ながく、唐棹といふ物にて歌をあわはてこれをうつ
　　　　　　　　所もあり。


川ｏ･-･)＜蝌蚪(カト)はおたまじゃくしだそうです。唐棹は、カンフー映画のヌンチャクの
　　　　　　棒の長くなったような奴ですね。あれで脱穀すると。歌に合わせて打つんだ〜
　　　　　　あ、加護さん、どうぞ

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「「
　　　　　　　君をまつ夜は夏の夜なれど、いとどねられもせぬは物うしいよあけかねて」
　　　　　　　これのとのごはやれ目出たいとのご松の緑の末ながくいよさかえひさしや
　　　　　　　いよ久しかれ」など歌ひ連れたる声うるはしうして歌のことばはあづま歌にて
　　　　　　　ひなびたりければ催馬楽にもあらで又おもしろし。


川ｏ･-･)＜当時も今の時代劇のように歌っていたのでしょうかねえ…催馬楽は「
　　　　　　古代歌謡の一種。もと畿内の民の民謡だったが、平安時代に宮廷・
　　　　　　貴族の間に採り入れられ、雅楽ふうに編曲された」中略「そぼくな
　　　　　　恋愛の歌など、いきいきとした民衆の気持ちの反映している
　　　　　　歌詞が多い」とのことです。あづまうたは万葉集、古今集にある
　　　　　　東国人の歌。万葉集では信濃・遠江以東、古今集では伊勢以東…。　　　　　
　　　　　　ここでの正確な意味はちょっとわかりかねますね。　　　　　

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「
　　　　　　　　麦のつき臼といふ物にいれて臼つき歌をうたふてつくも又おかし。
　　　　　　　　「我は田面に夏草なれや、いよ人にひかれて又すてらるるいよ
　　　　　　　　　すてらるる」


川ｏ･-･)＜……

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜？


川ｏ･O･)＜我は田面に夏草なれや、いよ人にひかれて又すてらるるいよすてらるる

∋oノハヽo∈
��(； ´�D｀)


川ｏ･-･)＜あ、すいません。悲しい歌だなぁと思いまして…

∋oノハヽo∈
　(； ´�D｀)＜そ、そうれしたか

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「
　　　　　　　　さて又これを箕(み)といふ物にいれて風にまかせて糠を飛《ば》せ、麦ほしの
　　　　　　　　むしろにいれて日に干す、さしもいとなみはくるしけれど俵にいれてつみたる
　　　　　　　　はいとにぎやかにおぼゆ。
　　　　　　　　　右小野於通の筆、洛東知恩院にありとぞ　」

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜やっと、一つが終わったで。


川ｏ･-･)＜やっぱり加護さんの朗読はいいです。完璧です。

＠ノハ＠
（*‘д‘）＜そうか？　うちは読んでるだけやから、楽は楽や。

川ｏ･-･)＜で、最後なんですけど、小野於通というのは、浄瑠璃の起源に関わる
　　　　　　人物で、「伝説の才媛」なんだそうです。織田信長の侍女にもなった
　　　　　　ことがあるらしいですよ。「我は田面に…」の歌がそうなんですかね。
　　　　　　ちょっとわからないですが…。常盤津、清元とかの一節でしょうか。
　　　　　　となると、若い娘達が歌っている歌のイメージで考えるのは間違いかも
　　　　　　しれませんね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜織田信長、うち知っとるで。ののも織田信長は知っとるやろ。いくらなんでも

∋oノハヽo∈
��(； ´�D｀)＜…… (あいぼん、なんれののにふるんれすか！)えーと、えーと

∋oノハヽo∈
　(； ´�D｀)＜……徳川家康しゃんは日本人れすよね

＠ノハ＠
（；‘д‘） ＜……う、うん(あちゃー…のの、スマン)

∋oノハヽo∈
　(； ´�D｀)＜知ってるのれす。たしかせんごくの人……れす

＠ノハ＠
（；‘д‘）ノ＜そや、戦国時代の英雄や(ふー……)

川ｏ･-･)＜……今の「田植うた」どうでした。けっこう、面白かったと思うんですが。

＠ノハ＠
（；‘д‘） ＜う、うん。たしかになぁ。蛭の話とか、けっこう、なんていうか、えぐいな。


川ｏ･O･)＜我は田面に夏草なれや、いよ人にひかれて又すてらるるいよすてらるる

　＠ノハ＠
�煤i；‘д‘） ＜(な、何や)

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ (ふふふ…あいぼん、びっくりしてるのれす)


川ｏ･-･)＜物悲しいですね〜

＠ノハ＠
（；‘д‘）
∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜……

川ｏ･-･)＜ささ、先は長いです。急ぎましょう。時間もないですし。加護さん。

＠ノハ＠
（；‘д‘） ＜……う、うん

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜(……はらへったのれす)

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「
　　　　　　　　〇三浦浄心卒年【(これは注や)附、三浦為春の事】
　　　　　　　三浦五郎左衛門茂正、法名浄心、正保元年甲申三月十二日卒、法号[
　　　　　　　川ｏ･-･).｡oO(あ、加護さんうまく呼吸を入れるなぁ。やっぱり思ったとおり
　　　　　　　加護さんの朗読は川ｏ･∀･)ｲｲ！)
　　　　　　　称陽院定誉浄心居士]、葬所[東叡山内普門院｛(これは割注や)柳亭曰
　　　　　　　(うん、これは何て、読むんや。――いわくでも、もうすでもいいんじゃない
　　　　　　　でしょうか。私は「まうす」で、もうすでいいんじゃないかと思いますが。――
　　　　　　　じゃあ、もうすで統一するで)
　　　　　　　法号浄土宗、葬所天台宗、故ある事なるべし}

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「浄心著述目録
　　　　　　　　北条五代記十巻｛寛永板画無し、万治板画入《り》、万治板は脱文あり｝
　　　　　　　　見聞軍抄　八巻　　　　そぞろ物語｛聞書集の抄録｝　一巻｛寛永板｝
　　　　　　　　順礼物語　三巻｛はじめ画なし。後に画を加ふ。又名所和歌物語と
　　　　　　　　標題をあらため六冊に綴《り》分けたるあり

　　　　　　　以上四種印本　以下写本
　　　　　　　　聞書集｛一名江戸物語｝　十巻　　　　猩々舞　一巻
　　　　　　　　武徳全書　一巻　　　　　茶呑話(ﾊﾞﾅｼ)｛茶の湯の話なり｝　二巻
　　　　　　　　鳥獣鱗集　二巻　　　　

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「　
　　　　　　　　　周曰
　　　　　　　三浦長門守為春著[大笑記]【写本】　一冊慶長十五年＜川ｏ･-･)(西暦
　　　　　　　1610年ですね＞九州の紀行にて法橋昌■≪これはむずかしい漢字やな
　　　　　　　王偏に碌の右部や、読みはロクやな≫の跋《バツ》あり、同時の人にて名を
　　　　　　　相似たり、ことに順礼物語は書名のひとしければ同作とおもひあやまりしが
　　　　　　　別人なり、両家とも今連綿。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ふー、今回は早かったで、漢字が多かったけど。


川ｏ･-･)＜最後の今連綿というのは、血統が続いているということでしょうかね。
　　　　　　まあ、この章段は私たちにはまだ早いようです。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜……(すでに早い遅いの問題やあらへん)

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ (きょうはおべんとうがあるのれす。なかみはなんれしょうか)

川ｏ･-･)＜次は…何でしょうか、加護さん

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜うん？　次は「　〇芋の定価」や


川;ｏ･-･)＜い、芋の定価…ですか。辻さん、芋の定価ですよ！

∋oノハヽo∈
　 (　´ρ｀)＜芋？


川;ｏ･-･)＜……

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜のの、もしかして寝てたんか、今

∋oノハヽo∈
　 (；｀�D´)ノ＜寝てなんていないのれす！　しっけいなのれす。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜そうか……(いや、寝ててもしゃあないで。つい責める口調になってもうた)


川ｏ･-･)＜さ、加護さん。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜お、おう

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「　〇芋の定価
　　　　　　　天明寛政の頃童、毬つく歌に「　いもいもいもいも芋屋さん、お芋は一升いくらぢゃへ、
　　　　　　　二十四孝でござります、十六羅漢に負《け》さんせ」　と歌ひしは、おふよそ二十四文が
　　　　　　　一升の定価にて時としては十六文にも売る事のありし故なり。文化の頃になりては
　　　　　　　二十四文でござりますのみうたふは、十六文に買《ふ》事なければなり。天保のはじめより
　　　　　　　三十二文でござりますと歌ひ、天保九年の春より六十四文でござりますと歌ふ。一升の
　　　　　　　価、百余銭になりたれども、語路のわろきゆゑか、それをばうたひしを聞かず。
　　　　　　　菱川師宣の画本『月並《み》の遊び』、八月の條に「　月千金芋一升や十五文」　といふ
　　　　　　　発句を載《せ》たり。此冊子[貞享元年]の印本なり｛元禄の年号あるは後年に改めたるなり｝。
　　　　　　　当時は十五文が芋一升の定価にてありしなるべし。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜今度も一気にいったで。
　　　　　　　

川ｏ･-･)＜……天明は西暦1781-1788、寛政は1789-1800です。文化は1804-1817です。柳亭記は
　　　　　　　文政9年(1826)以降の成立ということですから(ただここでは天保1830-　の記述がありま
　　　　　　　すね)、大体五十年前を思い出しながら、書いているわけですね。今、戦前戦中の生活を
　　　　　　　懐古するのに似ていますね。戦中といえば、やはりサツマイモでしょうか。ここでの芋も
　　　　　　　サツマイモのようです。ちなみに石焼芋のルーツは寛政年間に生れたらしいです。

川ｏ･-･)＜芋といえば……

川ｏ･-･)＜『柳樽余稿　川傍柳』（天明元年）に

　　　　　　　　　いもを売る娘二百が元手也

　　　　　　という句があります。二百文を元手に口説くという意味だと思っていたんですが、
　　　　　　いずれにせよ、安く見られてるわけですね。

川ｏ･-･)＜ただ、芋売というのは吉原詞で、百姓の客を嘲って言った言葉らしいです
　　　　　　から、別の解釈も成り立つかもしれません。

　　　　　　　　　いもうりと言って新造どくづかれ
　　　　　
　　　　　　これはちょっとよくわからないですが、いもうりが百姓だとして、新造
　　　　　　――「新造」というのは、『講談社学術文庫　江戸語辞典』（前田勇編）によると
　　　　　　「�@吉原語。自分の部屋を持たず、姉女郎に附属している妹女郎。禿（かむろ）
　　　　　　＜�煤i　‘д‘）…＞から引込禿となり、十四、五歳に至れば姉女郎の尽力で
　　　　　　新造となる。姉女郎に客の重なった時は、その名代（みょうだい）として
　　　　　　客の部屋に行く。ただし肉交は許されぬ。（後略）�A岡場所語。年増女郎に対して
　　　　　　年の若い女郎。（後略）�B十三、四〜二十歳の娘。眉を剃らず白歯の娘。
　　　　　　年増の対。（後略）」で……
　　　　
　　　　　　�Aの岡場所で、馴染となった客が百姓だと、新造を先輩女郎たちがねたみをこめて
　　　　　　毒づくというような意味だと思うんですが、どうでしょうか。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜うん、そやなぁ。

∋oノハヽo∈ｺｯｸﾘｺｯｸﾘ　
　((　´ρ｀))＜……　　　　　　　　　　　　　

川ｏ･-･)＜そうすると、先ほどはサツマイモなのではないかといいましたが、芋というと
　　　　　　一般的に里芋を表すらしく、間違っていたかもしれません。というか、今は
　　　　　　里芋としか思えません。サツマイモを略す場合は「さつま」であったようです。

川ｏ･-･)＜……

川*･-･)＜……恥ずかしい……

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ええねん、そんなこと。（ちゃんと聞いてなかったしな……）

川*･-･)＜サツマイモの意味に間抜けという意味があったらしいですが、今の私がまさに
　　　　　　サツマイモですね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜サツマイモにはそんな意味もあるんか。

川ｏ･ｰ･)＜はい。辞書によると。

川ｏ･-･)＜まあ、芋客というと、サツマイモの略で、薩摩藩士の遊客のことらしいですが…

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜（……どないやねん！）


川ｏ･ｰ･)＜……芋といえば、芥川龍之介の「芋粥」という作品が有名ですね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜あ、芥川龍之介って。


川ｏ･-･)＜はい。ハロモニのクイズで、写真が出ましたね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜そや。どうしても思い出せんかってん


川ｏ･-･)＜飯田さんが「外人？」と言ったのにみんなが受けて

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜うん、あれ師匠が大爆笑しとったで。楽しかったわ……。

∋oノハヽo∈
　 (　´ρ｀)＜芋粥……

川ｏ･-･)＜その芥川龍之介の作品「芋粥」は元となった話があって、『今昔物語集』の
　　　　　　巻二十六「利仁ノ将軍カリシ時従京敦賀将行五位語第十七《ﾄｼﾋﾄﾉｼｮｳｸﾞﾝ
　　　　　　ﾜｶｶﾘｼﾄｷ　ｷｮｳﾖﾘ　ﾂﾙｶﾞﾆ　ｺﾞｲｦ　ｲﾃﾕｷﾀﾙｺﾄ》」。また、『今昔物語集』に
　　　　　　後れてできた『宇治拾遺物語』に同文的同話があります。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜どんな話なん？　読んだ気もするんやけど


川ｏ･-･)＜簡単に言うと、ある低い身分の男が、残り物として与えられた芋粥を食べて
　　　　　「飽きるまで食べてみたい」と言ったのを聞いた主人が男を騙し、京から遠路
　　　　　越前敦賀（愛ちゃんの出身地福井県の）まで連れていき、芋粥を食べさせます。
　　　　　ところが、様々な経験をした男は大量の芋粥を見ただけでおなかいっぱいに
　　　　　なってしまい、ちょっとしか食べられませんでした。――といった感じの……

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ふーん、読んだことあるようなないような。

川ｏ･-･)＜まあ、そこでの芋粥はヤマノイモらしいんですが。ジネンジョですね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜とろろか…。

∋oノハヽo∈ ｸﾜ
　 (　｀�D´)

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜な、何や!?

∋oノﾉハヽヽo∈
　(｀�D´≡｀�D´)＜とろろ！　どこれすか、とろろ！

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜とろろなんてないで、のの。

∋oノハヽo∈ ｸﾜ
　 (　｀�D´)＜あいぼん、あさ美ちゃん、かくすなんてずりーのれす。さっさとだすのれす！

川;ｏ･-･)
　＠ノハ＠
　（；‘д‘）＜ほんまにないんや。ここは図書館やで。

∋oノハヽo∈
　 (　｀�D´)＜……

∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜……

∋oノハヽo∈
　 ( |||´�D｀)＜……はらへったのれす。

川;ｏ･-･)＜……まあ、そんな感じの話なんですが。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜ふーん、で、その話の肝はどこにあるん？　何か、わざわざ芥川龍之介さんが
　　　　　　　小説にする必要があったんかなって、話聞いただけやと感じるんやけど。


川;ｏ･-･)＜え？　まあ、かなりかいつまんでいるので。原話にしても、なかなか味わいが
　　　　　　あるし、芥川龍之介…さんの小説にしても、いかにも近代的な小説ですし。

∋oノハヽo∈
　 (　｀�D´)＜……

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜どんな感じに変わったんやろか。


川;ｏ･-･)＜じゃあ、ちょっと待っててください。本を探してきますんで。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜あさ美ちゃん、ごめんな　　　　　　　　　　　いえ＞〜川ｏ･-･)ノ

∋oノハヽo∈
　 (　｀ρ´)＜……

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜ｱﾁｬｰ、もう寝とるやん。

∋oノハヽo∈
　 (　ﾟ�Dﾟ)ﾊｯ!

∋oノハヽo∈
�� (　´�D｀)＜いけねーのれす。ねむっちゃったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜おなかすいたのれす。あいぼんはすかねーれすか。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜まだ１1時やで。……うちもすいたけど。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜やっぱり、あいぼんはのののりかいしゃれすね〜
　　　　　　　　れも、あさ美ちゃんはいつまでやるつもりなんれしょうか。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜はっきりいってページ数から言ったら、まだ全然やで。ほら。

∋oノハヽo∈
　 ( |||´�D｀)））＜…はぁ

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜でも、あさ美ちゃんもきりのいいところで、昼飯にするんちゃう？

∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜そうれすね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜お、戻ってきたで。　　　　　　　　　　　　　　　　お待たせしました〜＞(･-･ｏ川〜

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜早いやん


川ｏ･-･)＜はい。ある棚は知っていたんで。ほとんど取るだけでした。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜そうか。（……一人でこの図書館にきたんやろか）


川ｏ･-･)ノ＜え〜と、それで芥川の『芋粥』ですが、こんな感じです。テキストは
　　　　　　　『新潮日本文学10　芥川龍之介集』ですね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「
　　　　　　　　元慶の末か、仁和の始めにあった話であろう。どちらにしても、時代は
　　　　　　　　さして、この話に大事な役を、勤めていない　」

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ふーん。普通に読める小説やな。


川ｏ･-･)＜はい。比較していくと、どういうふうに加工したかがわかって面白いですね。　　　

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜あさ美ちゃんはやったんか？


川ｏ･-･)＜いや、読んだときにちょっとやってみただけです。たとえば、最後の豪華な芋粥の
　　　　　　ところだと『今昔物語集』（岩波書店『日本古典文学大系25　今昔物語集　四』）では
　　　　　　「
　　　　　　「　奇異（ｱｻﾏｼ）」　と見居たる程に、五■＜角+斗の字です　ｺｸ＞納釜（ﾅﾊﾉｶﾅﾍ）
　　　　　　＜五石（ｺｸ）を入れるほどの釜という意味らしいです＞共（ﾄﾞﾓ）五つ六ほど、掻持来
　　　　　　（ｶｷﾓﾃｷﾀﾘ）て、俄（ﾆﾊｶ）に杭共を打《ち》て、居（す）へ渡しつつ、「　何の■＜米偏
　　　　　　+斤　ﾚｳ（りょう）＞ぞ」　と見《る》程に、白き布の襖（ｱｦ）と云《ふ》物着て、中帯
　　　　　　して、若やかに穢気无（きたなげな）き下衆（げすの）女共の、白く新《らし》き桶に、
　　　　　　水を入《れ》て持来（ﾓﾃｷﾀﾘ）て、此（ｺﾉ）釜共に入（ｲ）る。＜いれるということですね＞

　　　　　　「　何ぞの湯湧すぞ」と見れば、此（ｺﾉ）水と見（ﾐｼ）は、味煎（ﾐｾﾝ）也けり。
　　　　　　＜「アマヅラの煎汁で、当時砂糖の用をなすものとして珍重された」＞
　　　　　　亦（ﾏﾀ）若き男共、十余人許（ﾊﾞｶﾘ）出来（ｲﾃﾞｷﾀﾘ）て、■＜衣偏+去　ｿﾃﾞ＞より
　　　　　　手を出して、薄き刀の長やかなるを以（ﾓｯ）て、此の暑預（ﾔﾏﾉｲﾓ）を削《り》つつ、
　　　　　　撫切（ﾅﾃﾞｷﾞﾘ）に切る。早（ﾄ）ふ　、暑預粥（ｲﾓｶﾞﾕ）を煮る也（ﾅﾘ）けり。
　　　　　　見《る》に、可食心地不為（ｸﾌﾍﾞｷｺｺﾁｾｽﾞ）、返（ｶﾍﾘ）ては踈（ｳﾄﾏ）しく成《り》ぬ。
　　　　　　さらさらと煮返して、「　暑預粥出来にたり」　と云へば、「参らせよ」とて、
　　　　　　大きなる土器（ｶﾊﾗｹ）して、銀の提（ﾋｻｹﾞ）の＜一の脱字があるらしいです＞
　　　　　　斗納許（ﾄﾅﾊﾊﾞｶﾘ）なる三四つ許（ﾊﾞｶﾘ）に汲入（ｸﾐｲﾚ）て持来たるに、一盛（ﾋﾄﾓﾘ）
　　　　　　否不食（ｴｸﾊ）で、「飽きにたり」と云へば、極（ｲﾐｼﾞ）く咲（ﾜﾗﾋ）て集《ま》り居て、
　　　　　　「　客人（ﾏﾗﾌﾄ）の御徳（ﾄｸ）に＜｢おかげで」＞、
　　　　　　暑預粥食《ふ》」など云ひ嘲り合へり　」

　　　　　　とあるんですが…

川ｏ･-･)＜『芋粥』でこの部分に相当するのは

川ｏ･-･)＜ちょっと長いですけど…
　　　　　　「
　　　　　　　殆ど周章に近い驚愕に襲われて、呆然と、周囲を見廻した。広庭の所所には、
　　　　　　　新しく打ったらしい杭の上に五■＜角+斗の字です　ｺｸ＞納釜(ごくのうがま)を
　　　　　　　五つ六つ、かけ連ねて、白い布の襖(あお)を着た若い下司女が、何十人と
　　　　　　　なく、そのまわりに動いている。火を焚きつけるもの、灰を掻くもの、或いは、
　　　　　　　新しい白木の桶に、「あまずらみせん」を汲んで釜の中へ入れるもの、皆芋粥を
　　　　　　　つくる準備で、目のまわる程忙しい。


川;ｏ･-･)＜……ｺﾎﾝｯ!　すいません。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜?

川;ｏ･-･)＜「
　　　　　　　釜の下から上る煙と、釜の中から湧く湯気とが、まだ消え残っている明け方の
　　　　　　　靄《もや》と一つになって、広庭一面、はっきり物も見定められない程、灰色の
　　　　　　　ものが罩(こ)めた中で、赤いのは、烈々と燃え上がる釜の下の焔ばかり、眼に
　　　　　　　見るもの、耳に聞くもの悉《ことごと》く、戦場か火事場へでも行ったような
　　　　　　　騒ぎである。五位は、今更のように、この巨大な山の芋が、この巨大な
　　　　　　　五■＜角+斗の字です　ｺｸ＞納釜の中で、芋粥になる事を考えた。そうして、
　　　　　　　自分が、その芋粥を食う為に京都から、わざわざ、越前の敦賀まで旅をして
　　　　　　　来た事を考えた。考えれば考える程、何一つ、情け無くならないものはない。
　　　　　　　我が五位の同情すべき食欲は、実に、この時もう、一半を減却してしまった
　　　　　　　のである。

川;ｏ･-･)＜……ｳﾞﾝ、ｳﾞｳﾞﾝ、すいません。まだあります。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜………
　　　　　　　いや、もうええで。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜……


川;ｏ･-･)＜え。いや…

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜今のは今昔物語集のえーと、「返（ｶﾍﾘ）ては踈（ｳﾄﾏ）しく成《り》ぬ。」までやろ。


川;ｏ･-･)＜はい……

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ここまででも、ずいぶんちゃうやん。…うーん、やっぱり最後の方の違いが
　　　　　　　はっきりしとるなぁ。今昔物語集だと、「見《る》に、可食心地不為
　　　　　　　（ｸﾌﾍﾞｷｺｺﾁｾｽﾞ）、返（ｶﾍﾘ）ては踈（ｳﾄﾏ）しく成《り》ぬ。」だけなのが、
　　　　　　　こんな風になるんやからな…

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ごいという人はばかれすね〜。そんなごちそうがあるのにたべられないなんて
　　　　　　　　ばかれすよ。ののだったら、ごくのうがまの一つや二つちょろいのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜のの……、「ごくのうがま」わかっていっとるんか。(…いや、ののだったら
　　　　　　ひょっとして…?　いやいや、一石＝180リットル、五石で……無理や!!!)

非常に勉強になりますた。
「芋粥」などを読んでない方は
ttp://www.aozora.gr.jp/にでも行くと宜しいかと。

川ｏ･-･) ＜……(>>61さん、ありがとうございます)

川;ｏ･-･)＜……


川*･-･)＜わたし、この話見てたら、何だかおなかがすいてきちゃいました……
　　　　　　まだ早いんですけど。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜えっ?　あさ美ちゃん、おなかすいちゃったんれすか。―-実はののもれすよ！

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜うちもや。


川ｏ･-･)＜わたし、この辺調べておいたんですけど、麦とろごはんを出しているところが
　　　　　　あるんですよ。バス乗りますけど、行きますか？

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ほんまか。――よっしゃいこか、のの！

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜へい、いきましょう、あいぼん！

川ｏ･-･)
　＠ノハ＠
〜（　‘д‘）
　∋oノハヽo∈
　 〜(　´�D｀)＜たのしみれす〜


川ｏ･-･)＜あ、すいません。ちょっといいですか。せっかくなんで、この本を借りていこうかな
　　　　　　と。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜…れも、じてんしゃじゃいけないところなんれすか？


川ｏ･-･)＜はい、いけますけど、坂の上みたいなんで疲れるかな〜と思って。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜は〜、そういうことれすか。めんどくせーので、バスでいいれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜うん、暑いしな。

　　　　　　　　　　　　　　　　〜　バスの中　〜
川ｏ･-･)＜よっこらせ。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜うわっ。あさ美ちゃん、何や、そのリュック！


川ｏ･-･)＜どうせ、すぐ返すので、借りられるだけ借りてきました。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜何の本れすか。


川ｏ･-･)＜とりあえず、とろろということで、かの有名な『東海道中膝栗毛』を借りてきました。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜聞いたことあるなぁ。弥次さん、北さんの奴やろ。…それに、麦とろごはんが
　　　　　　　出るん。


川ｏ･-･)＜はい、丸子の宿のとろろ汁です。

川ｏ･-･)＜それじゃあ、その部分を読んでみますね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜いや、ええわ。うちが読んであげるわ。ナレーションもっとうまなるように
　　　　　　　練習や。


川ｏ･-･)＜本当ですか！　やった！

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あいぼん、はやくよんれくらさい。気になるのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜え〜と、『東海道中膝栗毛』の二編の下やな(小学館　日本古典文学全集49)
　　　　　　　「
　　　　　　　　足をはやめてほどなく丸子の宿(しゅく)にいたる。ここにて支度せんと茶や《屋》
　　　　　　　　へはいり　
　　　　　　　　北八「　コウ飯をく《食》をふか。爰《ここ》はとろろ汁の名物だの」
　　　　　　　　弥ニ「　そふよ、モシ、御ていしゅ、とろろ汁はありやすか」　
　　　　　　　　ていしゅ「　ハイ、今できず」
　　　　　　　　　弥ニ「　ナニ、できねへか、しまった」　
　　　　　　　　ていしゅ「　ハレ、じっきにこしらへずに。ちいとま《待》ちなさろ」
　　　　　　　｛ト、にはかに、いも《芋》のかは《皮》もむかずして、さっさっとおろしかかり｝　
　　　　　　　　てい主「　おなべ、ヤノヤノ、このいそがしいに、あによヲしてゐる。ちょっくり
　　　　　　　　　　　　　こいこい」　

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜
　　　　　　　「
　　　　　　　｛ト、けは《険》しくよ《呼》びたつるに、うらぐち《裏口》よりこごと《小言》を
　　　　　　　　いいながらくるは、女房と見へ、かみはおどろのよふにふりかぶりたるが、
　　　　　　　　せなかにちのみ子をせをひ、わらぞうりひきずり来《た》り｝
　　　　　　　　「　今、弥太ァのとこのおんばァどんと、はなしよヲしてゐたに、やかましい
　　　　　　　　　人だヤァ」
　　　　　　　　ていしゅ「　アニ、ハイ、やかましいもんだ。コリャ、そこへお膳をニぜん
　　　　　　　　こしらへろ。ヱヱ、ソレ、前垂(まえだれ)がひきずらァ」　
　　　　　　　　女房「　おまい箸のあらったのゥしらずか」　
　　　　　　　　ていしゅ「　アニ、おれがしるもんか。　コリャ、ヤイ、そのはしよヲよこせヤァ」

∋oノハヽo∈ ｸｽｸｽ
　 (　´�D｀)＜あいぼん、何か読み方が…


川ｏ･-･)＜あのぅ、何でしたっけ、……そうだ、志村けんさんのひとみばあさんになってます

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ふふ、その方がおもろいやろ。　　　

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「
　　　　　　　　女房「　これかい」
　　　　　　　　てい「　ヱヱ、はしで、いもがすられるもんか。すりこ木のことだは。コリャ
　　　　　　　　　　　扨《さて》、まごつくな。その膳へつけるのじゃァないは。ここへよこせと
　　　　　　　　　　　いふことよ。ヱヱ、らちのあかない女だ」
　　　　　　　｛ト、すりこ木をとってごろごろといもをする｝
　　　　　　　　女房「　ソレ、おまい、すりこ木がさかさまだ」
　　　　　　　　てい主「　かまうな。おれが事より、うぬがソリャ、のりがこげらァ
　　　　　　　　　　　　　＜川ｏ･-･)「汁に入れる青海苔」ですね＞」
　　　　　　　　女房「　ヤレヤレやかましい人だ。コノ、又、がきやァ、おんなじよふにほへらァ」
　　　　　　　　　＜川ｏ･-･)＜背負っている子供が同じように泣くということですね＞
　　　　　　　　てい主「　コリャ、摺鉢(すりばち)をつかまへてくれろ。　ヱヱ、そふもっちゃァ
　　　　　　　　　　　　　すられないは。おへないひゃうたくれめだ」
　　　　　　　　　＜（　‘д‘）＜頭注に「おへない」が「手に合わない。どうもならない」、「ひやう
　　　　　　　　　　たくれ」が「人を罵る語」とあるで＞
　　　　　　　　女房「　アニ、こんたがひゃうたくれだ」
　　　　　　　　　＜川ｏ･-･)＜こんたはこなた(此方)で、目下や同輩に使う代名詞だそうです。
　　　　　　　　　　あんたとかおまいさんって感じですかね＞
　　　　　　　　ていしゅ「　イヤ、このあまァ」
　　　　　　　｛ト、すりこ木をふりまはして、立《ち》かかりしが、とろろ汁にすべって、どっさりと
　　　　　　　　ころぶ｝

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜あ、とばしてしもた。もう一回読むで。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜仕方のないあいぼんれすねぇ

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「
　　　　　　　　ていしゅ「　イヤ、このあまァ」
　　　　　　　｛ト、すりこ木でひとつ くらはせると、女ぼう《房》やっきとなりて｝
　　　　　　　　「コノやらう《野郎》めは」
　　　　　　　｛ト、すりばちをとってなげると、そこらあたりへとろろがこぼれる｝
　　　　　　　　てい主「　ヒャァうぬ」
　　　　　　　｛ト、すりこ木をふりまはして、立《ち》かかりしが、とろろ汁にすべって、どっさりと
　　　　　　　　ころぶ｝
　　　　　　　　女房「　こんたにまけているもんか」
　　　　　　　｛ト、つかみかかりしが、これもとろろにすべりこける。むかふ《向こう》のかみさま
　　　　　　　　かけてきたり。
　　　　　　　　「　ヤレチャ、又見たくでもないいさかい《諍い》か。マァ、しづまりなさろ」
　　　　　　　｛ト、りゃうほう(両方)をなだめにかかり、是もすべりころんで｝
　　　　　　　　「コリャハイ、あんたるこんだ」
　　　　　　　｛ト、三人がからだ中、とろろだらけに、ぬるぬるして、あっちへすべり、こっちへ
　　　　　　　　ころげて、大さわぎとなる｝
　　　　　　　　弥ニ「こいつははじまらねへ。さきへいかふか」
　　　　　　　｛ト、おかしさをこらへて、ここをたちいで｝
　　　　　　　　北八「とんだ手やいだ。アノとろろ汁でいっしゅよみやした」

　　　　　　　　けんくは《喧嘩》する夫婦は口をとがらして鳶(とんび)とろろにすべりこそすれ

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ここまでやな。最後のセリフの手やいは、頭注に「連中」とあるで。北八の一首に
　　　　　　　ついては、「「とろろ」は鳶の鳴声。合わせて鳶をいう小児語。狂歌は、「口を
　　　　　　　とがらす」から「鳶」を出して、「とろろ」汁に続けたもの」…　　　　　　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜おもしろかったのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜へんな言葉がいっぱいやったな。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜けっきょくとろろ汁たべてないんれすね。にょうぼうはすりばちをなげて
　　　　　　　　もったいないれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜いや、でもこんなところはまずいんちゃうか。皮をむかないのがどんな味なんか
　　　　　　　は知らんけど。


川ｏ･-･)＜このとろろ汁にはだし汁でなく、白味噌を混ぜるらしいんですが、当時のある
　　　　　　本にはジネンジョはいいのだが味噌が悪くて食べられたもんじゃないだと
　　　　　　書かれているらしいです。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜(……だと?)

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーっ！あさ美ちゃんもなまっているのれす！


川ｏ･-･)ゞ＜えへへ。失敗です。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜お、次や

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あー、ののが押すのれす

　　　　　　　　　　　　　　　　ｽｺｯ　ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ　次とまります
川ｏ･-･)ノｻｯ　　　　　　　　　Ξ卍■

∋oノハヽo∈ﾋﾞｸｯ
��(；´�D｀)＜！


川ｏ･-･)＜ふふふ

∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜あさ美ちゃん、さすがなのれす

　　　　　　　　　　　　〜再び図書館〜

∋o/ハヽo∈ ﾎﾟﾝ
　 (* ´�D｀),∩))　おいしかったのれすぅ〜♪
　　/　　 ⌒ヽ 　　
　（人＿__つ_つ 　

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜行儀悪いで、のの。
　　　　　　　…しかし、まさかおかわりするとは思わんかったで。
　　　　　　　恥ずかしかったわ。…しかも、あさ美ちゃんまで…。驚いたわ。


川ｏ･-･)ノ＜完璧ですっ

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あさ美ちゃん、麦とろろおいしかったれすね！


川ｏ･-･)＜はい！ 絶品でした

＠ノハ＠
（；´д｀）＜……　(何か似とるんや、この二人)

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜もう！ほんとはあいぼんもおかわりしたかったくせにぃ

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜あ、あほなこと言うなや！　　

∋oノハヽo∈ ﾃﾍﾃﾍ
　 (　´�D｀)
　　川ｏ･ｰ･)＜……　　　　

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜さ、あさ美ちゃん、続きやるんやろ。まさか、お店であんなに本を見せられると
　　　　　　　思わんかったで。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜えー、もうちょっとお話するのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜いや、こういうんは勢いも大事や。
　　　　　　　ほな、いくで、のの、あさ美ちゃん。次は……〇不入計やな
　　　　　　　「　〇不入計
　　　　　　　　武州荏原郡不入計村｛他国にも此《この》村名ありて或は計を斗に作ると云々｝
　　　　　　　　いりやまず村とよめり。按《あんずる》に恵空編[節用大全]、[以行姓氏]の部に
　　　　　　　　入不読と記ていりやまずとかなをつけたり。算《かぞ》ふるを読といふは古言
　　　　　　　　なり。計も又■＜たけかんむり+弄　「かぞふ」です。もともとはこちらが算の
　　　　　　　　正字で、算が異体字でした＞ふる《かぞふる》意なり。さればいりやまずは
　　　　　　　　いれよまずの音便、かぞへいるる程にもなき小村といふ義なり。伊庭氏、曰《く》
　　　　　　　　和名抄に余戸とある即《ち》是《これ》なり。戸は家なり。一村に■＜たけかんむり
　　　　　　　　+弄＞へ《かぞへ》いれべき程にもあらず余りし家ある所をいひしなり。

川ｏ･-･)＜あ、そうだ。あそこのパソコン使ってインターネットでしらべてみましょう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
川ｏ･-･)＜どうやら、不入斗という地名は今でも残っているようですね。
　　　　　　横須賀市には不入斗町、千葉富津市、市原市に不入斗という地名が見られます。

∋oノハヽo∈ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ
((　´�D｀))＜あ。でんわれす。ちょっとかいだんのところまでいくのれす。
　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　：
∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜もしもし。りかちゃんれすね。今図書館だからきるのれす。じゃあ。


（　＾▽＾）＜ちょっ、ちょっ、ちょっとまってよー。のの〜勉強がんばってる? 寝てたりしてない?
　　　　
∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ねるわけねーのれす。じゃあ、そゆことれきるのれす。


（　＾▽＾）＜あ゛ー、ちょっとま゛ってー。…あーあ。わたしもいきたかったな♪

（　＾▽＾）＜で、今どんなお勉強してるの?

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜今はよこすかのいりやまずというちめいについてやってるのれす

（　＾▽＾）＜あら、横須賀?
　
　　　　　　　横須賀の変な地名って言ったらやっぱり「逸見（へみ）」よね〜。
　　　　　　　口に出して言って御覧なさい。アクセントは「み」につけるのよ。
　　　　　　　思わず吹き出しちゃうでしょ〜？ｳﾌﾌ｡

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そういえば、りかちゃんはよこすかしゅっしんらったのれす。
　　　　　　　　へみなんて、おかしいれすねぇ。れも、りかちゃんひとりでうけてるのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜図書館の中で電話してたら迷惑やで、のの。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜りかちゃんれす。かわりますか?

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜うん。――あ、りかちゃん?　うん?　うん。よこすかのいりやまず。それは
　　　　　　　かくかくしかじか　うん、うん。ほなまた。

　　　　　　　少し調べてから、また電話くれるそうや。　もどろ。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜あさ美ちゃん、ただいま。


川ｏ･-･)＜おかえりなさい。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜りかちゃんからの電話やった。いりやまずについて少ししらべてくれるそうや。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜……それじゃあ、次行くで
　　　　　　　「　〇今一所　今一方
　　　　　　　　源氏乙女の巻に
　　　　　　　　「　うちならしに御前をわたらせてと定め給ふ、す《捨》つべうもあらず、
　　　　　　　　とりどりなるわらはべ《童》、やうだいかたちをおぼしわづらひて、今一ト所
　　　　　　　　《いまひとところ》の料をこれより奉らばやなど笑ひ給ふ。」　

　　　　　　　　五節の舞処のうちならし下ざらひに御前をわたらせて見給ふ、どれといへど
　　　　　　　　捨《つ》るやうなるはなくとりどりなる童のすがたといへるなり。童といへど
　　　　　　　　さまでにをさなきにはあらず、それをきかせんとて此《この》すゑに

　　　　　　　　「　例の舞姫どもよりはみな少しおとなびつつ」　とあり。

川ｏ･-･)＜えーと、『源氏物語』の引用がありました。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜あー、やっぱり『源氏物語』やったんか。


川ｏ･-･)＜谷崎潤一郎という作家が現代語訳しているので、その人の訳を読みます。

　　　　　　中央公論社の『潤一郎訳　源氏物語　巻二』です。
　　　　　　「今一ト所《いまひとところ》の料をこれより奉らばやなど笑ひ給ふ」の部分、
　　　　　「『いっそ付添いをもう一組この中から差し上げたいくらいだ』などとお笑いになります」

川ｏ･-･)＜五節の舞ひ姫というのは「五節を舞う舞姫。大嘗会《だいじょうえ》には公卿から
　　　　　　ふたり、殿上人・受領《ずりょう》から三人、毎年の新嘗会《しんじょうえ》には公卿
　　　　　　からふたり、殿上人・受領からふたり、舞姫を差し出すならわしであった」
　　　　　　
　　　　　　五節は「�@昔、朝廷で、大嘗祭（おおなめまつり）・新嘗祭（にひなめまつり）に
　　　　　　行われた､五人の舞姫による舞樂。十一月の二度目の丑の日から寅・卯・辰の
　　　　　　四日間にわたるもので、初日は五節の舞姫による「張台の試み」、第二日は
　　　　　　「殿上の淵酔（ゑんずい）」と、夜、舞い姫の「御前の試み」、第三日は「童女
　　　　　　御覧（わらはごらん）」、第四日は「豊の明かりの節会（せちゑ）」などの儀が
　　　　　　行われた。�A「五節の舞ひ姫」の略」ということです。　　　　　

川ｏ･-･)＜引用部分は、源氏が舞姫を出すことになって、舞姫に付き従う童を選んでいる
　　　　　　ところです。みんなかわいいので源氏は悩み、…で、訳の言葉になっていると。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜優雅な話やな〜


川ｏ･-･)＜源氏物語は読んだことないんですけど､ちょっと柳亭記の後半は、谷崎さんと
　　　　　　解釈が違っているみたいですね。だって、谷崎さんは舞姫が例年より大人びて
　　　　　　いるとしているのに、柳亭さんは「童といへど」という風に書いてますから。
＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ふーん、どっちが正しいんやろな

川ｏ･-･)＜わたしにはわからないですけど。。。岩波書店の文庫版「源氏物語(ニ)」山岸
　　　　　　徳平校注の該当部分を引用しますと。

　　　　　　「
　　　　　　　五節のまゐる儀式は、いづれともなく、心々に、ニなくし給へる。「　舞姫のかたち、
　　　　　　　大殿＜源氏のことだそうです＞と、大納言殿とは、すぐれたり」 と、（人々は）
　　　　　　　めでののしる。げに、いと、をかしげなれど、巨々（ここ）しう美しげなる事は
　　　　　　　猶、大殿には（大納言のは）えおよぶまじかりけり。（源の舞姫は）ものきよげに
　　　　　　　今めきて、そのものとも見ゆまじう仕立てたる様体（やうだい）などの、ありがたう、
　　　　　　　をかしげなるを、かう、ほめらるるなめり＜めりは…ようだということですよね
　　　　　　　なるめり→なんめり→なめり＞例の舞姫どもよりは、皆、少し大人びつつ、
　　　　　　　げに、心殊なる年なり」


川ｏ･-･)＜ところどころ、山岸さんの注（）をいれて読んだんですけど、文脈からもここは
　　　　　　童のことは言っていないような……　　　　　

∋oノハヽo∈ 　ﾌﾞﾙｯ　
　((　´�D｀))＜あ、きっとりかちゃんかられす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜かしてみ。りかちゃん? しらべてくれたんか? ぱぱっと頼むで

（　＾▽＾） ＜うん。じゃあ、かんたんに。

　　　　　　　 横須賀の場合、「いれよまず」説はかなり有力ね。
　　　　　　　　ttp://members.jcom.home.ne.jp/u2hazam/dictionary/a.htm　に　　　　
　　　　　　　　＞この地は昔、穀物が取れなかったため、租税を免れていたことからこの地名になったそうである。
　　　　　　　　という記述があるから「いれよまず」になったみたいね。
　　　　　　　　地名として今残っているのは大森のケースとは違う「いれよまず」だからかな？
　　　　　　　　
　　　　　　　　ちにみに紹介したページに私の事も書いてあってドッキドキ♪

　　　　　　　　じゃあ、みんなお勉強がんばってね♪

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜りかちゃん、ありがとな。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜わーい♪　りかちゃんがしらべてくれたのれす。


川ｏ･-･)＜「かぞへいるる程にもなき小村といふ義なり」というのには、そんな事情も含まれ
　　　　　　ていたんですね……

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜運動施設が多いんか…リンク先の写真を見ると、何かのんびりできそうなところ
　　　　　　　みたいやな。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、あべしゃんの名まえの感じが部になっているのれす。これはちょっと
　　　　　　　　いただけないのれす。


川ｏ･-･)＜あと……大森の場合は……そうかもしれないですね。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜？

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜……

ｸｿｽﾚ

保守

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜それじゃあ、続き読むで。
　　　　　　　「
　　　　　　　　川柳点に「盆踊音頭とりはもういける」といふをも此ところは解すべし、今ひと
　　　　　　　　ところの料とは、おめかけにあげたらよからう《よかろう》とて笑ふ也。七十一
　　　　　　　　番職人歌合枕売の詞《ことば》に「今一ト《ひと》方（かた）ももちてひそかに
　　　　　　　　めし候へ《そうらえ》」とあり、此ひそかとあるにこころつけて見るにあひ寝する
　　　　　　　　長枕か、さなくても交臥に用ある事必せり。今一ト所今一ト方事を、ふくみて
　　　　　　　　あらはにいはざる詞なり。」

川ｏ･-･)＜川柳点というのは柄井川柳（からいせんりゅう）の選評のことで、今の川柳という
　　　　　　のはこの人の名前から来ているんですけど､江戸時代に流行した付合――
　　　　　　これは、575があれば77を、77があれば575をつけるというもの――には点者とい
　　　　　　う選評の専門家がいて、その中でも川柳の選評はずば抜けて人気があった
　　　　　　そうです。

川ｏ･-･)＜それにしても。。。
　　　　　　この柳亭さんの解説は本当でしょうか
　　　　　　わたし……

川*>-<)＜恥ずかしいです！

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜？
　　　　　　　　なんれれすか、あさ美ちゃん

＠ノハ＠
（*‘д‘）＜たしかに「めしそうらえ」てなんか露骨やな〜

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜？
　　　　　　　　「めしそうらえ」ってどういういみれすか
川ｏ･-･)
　＠ノハ＠
　（*‘д‘）＜それはつまり……
　　　　　　　　召し上がれちゅうことや

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜？　なにをれすか

　＠ノハ＠
　（*‘д‘）＜……
　　　　　　　それは……おめかけをやんか　　　　　　　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜？　おめかけってなんれすか

　＠ノハ＠
　（*‘д‘）＜…… ののは知らなくてもええことや

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ふーん……


川ｏ･-･)＜でも、谷崎さんの訳ではけっしてそんな意味はないようですね。柳亭さんが
　　　　　　まさか誤解しているというわけでもないだろうから、当時はそういう解釈が
　　　　　　成り立っていたんだろうと思えます

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜せやなぁ


川ｏ･-･)＜ちなみに音頭とり（おんどうとり、また、おんどとり）は、盆踊りなどでうたいだしを
　　　　　　うたうひとのことだそうです。それとおめかけを持つことがどんな関係を持つのか
　　　　　　わからないですが、何かそれによって箔がつくといった意味でもあるんでしょう
　　　　　　か。。。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜
　　　　　　　じゃあ、次いこか

　　　　　　　次は「整の大字」や。
　　　　　　　「　○整の大字
　　　　　　　　奉納富ヶ丘八幡宮於宝■＜止(上)+冉（下)　ｾﾞﾝ＞（前カ）　七間六間文字
　　　　　　　　　　　整　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山城国京
　　　　　　　　宝永四丁亥歳九月吉日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　井上氏孝次謹書之
　　　　　　　この大字を書《き》たる刻板に彫りて人にあたへたるなるべし、如此《かくの
　　　　　　　ごとく》ちいさき紙に摺《すり》たるが今たまたま伝《わ》る。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜此大字今も神庫に納てある…納てある……？
　　　　　　　あさ美ちゃん、これ（歟)なんて読むん？


川ｏ･-･)＜これは「か」ではないでしょうか。疑問や反問を表す助字で、わたしは感覚的に
　　　　　　ふつうに「か」と読んでますけど、どうなんでしょうか。。。と、こんな感じの「か」

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜むずかしいかんじれすね〜

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ふーん、そうかぁ。なんであえてそこだけ漢字にするんやろ。
　　　　　　　…そいじゃあ、あらためて読むで

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜此大字今も神庫に納てある歟《か》。安永四年＜1775年＞に上覧ありしとぞ。
　　　　　　　此字を鳳巾＜これは凧でええんやな。川ｏ･-･)＜はい、いかのぼりともいう
　　　　　　　みたいですね＞にうつしたるが昔深川にておこなはれ、後は江戸中に
　　　　　　　うつり､天保＜1830-1843＞の今に至りてなほあり。
　　　　　　　童は誤《り》て東文正ととなへ鳳巾売もその誤りを知らず、整　如此書《き》たる
　　　　　　　も見ゆ。昔より童の口ずさび、蘭の字を詠《よみ》たる歌に「 さうこうやはたち
　　　　　　　がかどにもんたててとうやひがしやらんやあららき　」
　　　　　　　おなじことをかさねていひしなり。これも柬＜川ｏ･-･)＜これはｶﾝ･ｹﾝ　えらぶ＞
　　　　　　　を東とあやまる。束を東に作るに同じ
　　　　　　　」

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜これはここで終わりや


川ｏ･-･)＜「整」の字の大きいのを凧に書いたなんて初めて聞きましたね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜うん。「今に至りてなほあり」やから。いつなくなったんやろ。それともまだ
　　　　　　　どこかで生きてるとか？

川ｏ･-･)＜さあ、どうなんでしょう。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜・・・（それより、ののはいかのぼりが気になるのれす。れもばかにされそうで
　　　　　　　　　　　うっかりいえないのれす)

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜最後の歌はなんかややこしいな


川ｏ･-･)＜漢字に直すと
　
　　　　　　　　　　　　　　　川ｏ･-･)φｶｷｶｷ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　川ｏ･-･)/□　こうでしょうか　　　　　　　
　　　　　　　草冠や廿が門に門たてて東や東や蘭や蘭

　　　　　　つまり、蘭の漢字の構成のことを言っているんですけど､蘭の中は柬が
　　　　　　正しいんですよね。今は一般に東ですけど。。。で、整も東文正の三つの字で
　　　　　　間違って書いていたんですね。この本を見ると、漢字は「如此書たる」のところ
　　　　　　 整の字そのままですけど、本当はそのようにかかれてたんじゃないでしょうか。

川ｏ･-･)＜と、思ったら、ここに平成五年発行の「日本随筆大成」がありますよ。ここでは
　　　　　　この整の束の部分が東になってますね。右の部分は文ではないですが

川ｏ･-･)＜こればっかりは版本を見ないとわからないですね〜

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜昔の本で、変な字とかあるもんな〜漢字でもないやつ。異体字もあるし。
　　　　　　　それを全部活字にするんやから印刷する人も大変やな。


川ｏ･-･)＜ありますね〜　いくつかの崩し字が定型化したというか、知らないと絶対に
　　　　　　読めないものですよね。「より」とか、「候べく候」とか。「より」なんかは活字の
　　　　　　本にも出てきますね。合字というんですけど、「こと」「とも」「麿」とかもそうです
　　　　　　ね。明治・大正までの辞書は「こと」を合字で書いているものが多いですね。
　　　　　　昭和初期もそうなのかな？　ちょっとわからないですけど。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ふーん。で、「麿」はひょっとして「麻」と「呂」が合わさったやつか？


川ｏ･-･)＜はい、そうです。もう終わっちゃいましたけど、ハロモニ劇場の「文麿」「悪麿」
　　　　　　さまも「麿」を使ってますね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜でも、ひらがなにしてもカタカナにしても今じゃあ使われない字があるなんて
　　　　　　　不思議やなぁ


川ｏ･-･)＜そうですねぇ

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜そば屋の看板によく書いてある「そば」の字だって、「楚」は「そ」でわかるに
　　　　　　　しても、「者」が「は」とは思わんもんな〜。しかも「者」は「む」にしか見えへん
　　　　　　　で。だから「楚む゛」って何やって子供のころ、いつも思うとったがな。
　　　　　　　でも、あれも立派な仮名やったんやろ。


川ｏ･-･)＜変体仮名ってやつですね。二葉亭四迷の「浮雲」ってあるじゃないですか。
　　　　　　あれの明治の本のコピーを見たことがあるんですが、活字なのに変体仮名が
　　　　　　含まれてて、とっても変な感じでしたよ。たとえば「何々に」という場合の格助
　　　　　　詞「に」の変体仮名ではたいてい「尓(爾)」のくずしたのを使うんですけど、「浮
　　　　　　雲」でも使われてるんですよ。ふつうの「仁」の「に」と一緒に。ほかも「た」は
　　　　　　「多」「す」は「春」「し」は「志」といった具合です。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜最初に「よし、この漢字を使って、この漢字はもう使わないようにしよう」と決め
　　　　　　　た人はすごいな。ずっと使われてきた字を捨てるんやから。まあ、一人じゃない
　　　　　　　やろうけど。新聞社とか印刷関係の人と偉い人が話し合って決めたんやろうなぁ｡
　　　　　　　結局、いまじゃあ残っていても看板ぐらいやで。「と」が「登」、「か」が「可」、
　　　　　　　「お」が「於」、とかこんな感じか？あと、「め」が御免の「免」やな。


川ｏ･-･)＜あと、「の」が「乃」とか。おばあちゃんの名前にもありますよね。「志乃」とか
　　　　　　あれも昔だと、漢字ではなくて仮名のニュアンスなんですよね、きっと。
　　　　　　それと、取捨選択の基準ですけど、たしかに理由はあるはずですよね。可能の
　　　　　　「可」なんかは、加えるの「か」より使われていたようにおもうんでけど、「の」を
　　　　　　小さくしたような字体でまぎらわしいからやめたんですかね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜はァ、そやなぁ。今では旧字体、旧仮名遣いというのもあるやん。あれも、すご
　　　　　　　い決断やで。GHQの指示ってほんまかいな。


川ｏ･-･)＜あ、それ聞いたことあります。テレビの番組で見ました、たしか。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜読みにくいからいかんいうことやったら、ちゃうで。たしか、その当時でも日本
　　　　　　人の識字率は世界中でトップクラスやったはずや。


川ｏ･-･)＜難しい字はたしかに覚えにくいですけど､何か昔の文化や人から遠ざかった
　　　　　　ような寂しさもありますね。でも、それを言ったら、中国や韓国はその上を
　　　　　　いってますからね

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜中国の簡体字はしっとるけど、韓国も漢字使ってたん？


川ｏ･-･)＜ハングルも1444年にできてましたけど、主流は漢字漢文だったはずです。
　　　　　　韓国独特の書き下し文というのがあって、日本と同じあるいはそれ以上に
　　　　　　漢字を使っていたはずなんですけど､今は看板に漢字を使っちゃいけないとか
　　　　　　政策であって、若い人には自分の名前の漢字も知らない､かけないという人も
　　　　　　いるらしいですよ。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜そら、思い切ったことしたな〜


川ｏ･-･)＜よしあしはわからないですし、その国の方針で、別に勉強したければすればいい
　　　　　　という話かも知れないんですけど。。。字はおろか、言葉も失った国もあります
　　　　　　よね。。。結局は記号なんですよね、漢字もハングルも仮名も。漢字を使わずに
　　　　　　ひらがなだけで書いたら読みにくくて仕方がないとかいう人もいますけど、慣れ
　　　　　　ればアルファベットと同じ漢字に読めるようになるかもしれないし。。。専用の
　　　　　　文字をつくればいいだけの話かもしれないし。ただ。。。昔とあんまり字体が
　　　　　　変わってなくて、昔の人の使っていた字を現代の人の読むことができるってい
　　　　　　うのがちょっとだけしあわせなんじゃないかな〜って思うんですよ｡そういう意味
　　　　　　で旧字体と旧仮名遣いの廃止は必要だったのかな〜っと思いますね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜うーん、旧漢字と旧仮名遣いを使い続けてたらなんて考えたこともないわ。
　　　　　　　でも、たしかにたいして困らなかったかも知らんわ。戦前までちゃんと使って
　　　　　　　先進国やったわけやし、その字を使っちゃいけないという理由はないな〜
　　　　　　　画数が多いといっても、行書草書略字を使えばいいだけの話やし、実際使っ
　　　　　　　てたし。うーん。。。記号か〜まあ、逆に言えば無理に前に戻る必要もない
　　　　　　　んやな。


川ｏ･-･)＜そうですね。。。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜やっぱりすごい決断や。政府が文字を決めるいうんわ。戦後はどさくさで
　　　　　　　決められちゃったんやろか。学者さんとかは猛反発やったんやろな。


川ｏ･-･)＜そうですね〜　終戦の気分というのはわからないですけど、ひょっとしたら、
　　　　　　戦前の文化というものがやけくそ気味に軽んじられていたというのと同じ
　　　　　　流れなんですかね

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜・・・

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜？　さっきからどないしたんや、のの。元気ないで。眠いん歟。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そうゆうわけではないんれすけろ…(いかのぼり……のののこのぎもんは
　　　　　　　はれることはあるんれしょうか)

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜ほな、次いこか

∋oノハヽo∈
Σ(　´�D｀)

＠ノハ＠
（　‘д‘）？

∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜い、いや、なんでもないのれす

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜次は「○善の綱【附、足の綱】」や

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜…（あいぼん…)

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「　○善の綱【附、足の綱】
　　　　　　　　仏を開帳するとき、善の綱といふ物を掛《く》る事仏説にては絶《え》てなし。
　　　　　　　　無下《むげ》に近き事ならんと或《ある》人いへり。予、仏学にくらければしか
　　　　　　　　るや否やは知らず。されども無下に近き事にもあらず


川ｏ･-･)＜…そんなに最近のことでもないということですね

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜「■＜土+蓋　アイ　土ぼこりという意味の字です＞嚢抄《あいのうしょう》十七
　　　　　　　　巻｛塵添本三十■＜川ｏ･-･)うーん、これはかすれて読めませんね＞丁オ}
　　　　　　　　「数万人結縁とて善の綱に取付《き》て渡し奉る云々」
　　　　　　　　
川ｏ･-･)＜ここの「結縁《けちえん》」というのは古典によく出る単語ですよね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜せやなぁ。たしか源氏物語にも出とるで


川ｏ･-･)＜ちょっと待っててください。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〜川ｏ･-･)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(･-･ｏ川〜

川ｏ･-･)ﾉ■　＜適当に仏教の辞典持って来ました。とりあえず、例の古語辞典には、
　　　　　　　　　「(名・自動》[仏語]仏道修行の道にはいり、成仏・得道の因縁を結ぶこと。
　　　　　　　　　　仏道修行により仏と縁を結ぶこと」　とありますね。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ぶっきょうれすか。。。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜…何か、ののがそんな言葉使うと不思議な感じがするなぁ

∋oノハヽo∈ ﾑｯ
　 (　｀�D´)ノ＜あいぼん、それどういういみれすか

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜いや、別に深い意味はないで。うちが仏教いうてもおかしいやろ。まあ、あさ美
　　　　　　　ちゃんが変わっとるんやな。


川;ｏ･-･)＜えっ。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜いや、ごめん。変な意味やないで。ただ、うちらの知らんようなこといっぱい
　　　　　　　知っとるやん？すごいな、普通知らないよ、てそういう意味。変な意味やないよ。


川;ｏ･-･)＜はぁ

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜えっと、持ってきた辞典にはなんて書いてあるんや？

川ｏ･-･)＜『模範 仏教辞典』（昭和7年6月15日初版発行　大文館書店)の方は
　　　　　　「ケツ(チ)エン　結縁　ゆかりをむすぶこと。仏菩薩が世を救はんが為に先づ《ま
　　　　　　ず》衆生に関係をつけ給ふこと。又は衆生が仏道を修行せんが為に先づ仏･法・
　　　　　　僧に因縁関係を結ぶこと」　これは、最初の方がちょっと違いますね。

　　　　　　次に『仏教学辞典』(昭和30年6月8日初版発行　法蔵館)は
　　　　　　「仏道に縁を結ぶこと。即ち《すなわち》、ただちに修行しさとりに至ることができ
　　　　　　　なくても、他日必ず果たすことのできる機縁を作ること(後略)」
　　　　　　これも微妙に違いますね。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜縁を結ぶということをちょっと詳しく書いてるな。


川ｏ･-･)＜はい。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜仏道と縁を結ぶっていうのもすごいな。成仏とか得道とか、そんなに大事やっ
　　　　　　　たんやろか。昔って一言で言ってしまうと簡単やけど、精神的なところって
　　　　　　　理解しようにも簡単にはできひんのやないやろか。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜でも、ののもよくかぞくでおはかまいり行くのれす


川ｏ･-･)＜私もよく行きます。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜そういえば、うち娘。になってから全然いってへんわ。昔から何かあのお墓の
　　　　　　　雰囲気が嫌なんや。お供え物とかしてあって、その食べ物が――饅頭とか
　　　　　　　パンとか、でも、そうそうお墓参りなんてできないやろ、で、その食べ物が腐って
　　　　　　　たり、カラスに食べられたりしてんねん。それを見るのが嫌やねん。本当はお
　　　　　　　寺の人が…寺男《てらおとこ》やったっけ。そういうお手伝いの人が片付ける
　　　　　　　もんなんやろけど


川ｏ･-･)＜今は寺男とは言わないと思いますけど、お寺に行くと大体作業着のおじさんっ
　　　　　　て見かけますよね。ああいう方はどういうつながりで掃除したりしてるんでしょう
　　　　　　か。ボランティア？　檀家さん？ それとも雇われてるんですかね？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはいちどふじさわのあるお寺にいったことがあるのれす。ゆうめいな人
　　　　　　　のおはかがあるというのれ、ひとりでいったのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜え、ののがひとりで？　何のために？　いつ？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜せいかくにはひとりでいくことになっちまったのれす。
　　　　　　　　あれはあついなつの日だったのれす。。。ののはまだ小学生れした。


川ｏ･-･)＜……(辻さん、遠くを見る目だ)

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜もう、そのゆうめいな人のなまえはわすれちまったのれす。レポートをかけと
　　　　　　　　先生がクラスを何個かの班でわけて、一学期のおわりに何をするかきめさせ
　　　　　　　　たのれす。ののの班は六人らったのれすが、みんなではなしあったけっか
　　　　　　　　そのふじさわのえらい人のおはかにいくことになったのれす。そのえらい人は
　　　　　　　　たしかえどじだいの学者さんだったのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜へ〜

morningmusume.dream.com ：02/12/12 00:12 ID:O4pLZuqq
モーニング娘。とハロー！プロジェクトより新垣里沙が卒業します
モーニング娘。の一員として、ＴＶ出演やコンサートで、活動してきた
新垣里沙が、来年のお正月コンサートをもちまして、卒業する事になりました。
彼女は新たなフィールドで音楽を通して自分の可能性に挑戦していく予定です。
今まで温かく応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。
新垣里沙の今後にご期待ください。

　　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののたちはえきでまちあわせしてたんれすけろ、その日、ののいがいの人
　　　　　　　　がこなかったのれす。

　　＠ノハ＠
Σ（　‘д‘）＜な、なんでや

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののの班にいたあるおんなの子と、ののはそのときけんかしていたのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜…

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あのころ、ののは今よりもっともっとごうじょうればからったのれす。
　　　　　　　　こどもらったのはしかたないんれすけど。。。。そのおんなの
　　　　　　　　子には好きなおとこの子がいたのれす。…そのせいで

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜……のの、もうちょっと詳しく頼むわ

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜…その子はクラスで人気があって、とってもかわいくって、あたまがよくって
　　　　　　　ののも大好きらったのれす。ののとはずっとおなじクラスでふたりはなかよし
　　　　　　　れした。おいもほりとか、なしがり、くりひろい。えんそくではいっつも
　　　　　　　手をつないでいっしょにおいもをほって、なしをもいらのれす。あ、いちごもつみ
　　　　　　　ましたね〜　ののはいちごにれんにゅうをかけるのがらいすっきなのれす。
　　　　　　　あさ美ちゃんはいちごだめれしたね。

　　　　　　　おかいものにもよくいって…なんじゅっかいもしぶやにもいったのれす。ぷりくらを
　　　　　　　いっしょにとってセンターがいのマックでなんじかんもしゃべったのれす。
　　　　　　　あ、かんさいれはマクドれしたね、あいぼん。その子はしぶやなら知らない
　　　　　　　ところがなくて、その子につれられてののははじめてしぶやにいったのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜…(文子さんやないんや)

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ちっちゃいころはののはいっつもその子についていっていもうととよくまちが
　　　　　　　　われたのれす。
　　　　　　　　いそぐとき、その子はよくののの手をひっぱっていってののはひっしれ走り
　　　　　　　　ました。ののもそのときはあしがおそかったんれすけど、その子はあしが
　　　　　　　　ながくてクラスれも二ばんめにせがたかかっのれあしがとっても早かった
　　　　　　　　のれす。そのときはほんとうにののははしっていることをわすれてころばな
　　　　　　　　いことだけをかんがえていたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ころんじゃった日はおうちにかえってから、どうやったらころばないかいっしょう
　　　　　　　　けんめいかんがえたのれす。それでコツをつかんだんれすけろ、顔をあげな
　　　　　　　　ないでじめんをみるんれす。そんで、さかをのぼる感じでじゅうしんをうしろに
　　　　　　　　おいていくようにして、つないでる手はときには引き、ときにはおすようにする
　　　　　　　　んれす。そうすると、ころばないんれすよ。じぶんがどっち向いてるかわから
　　　　　　　　なくなるのがあれなんれすけろ。。。
　　　　　　　　
　　　　　　　　その子はののがころぶとよくこういったのれす。「ののちゃんてどんくさいね」
　　　　　　　　その子はなんでかぜったいにそういったのれす。ののは「ごめんねなになに
　　　　　　　　ちゃん」、あ、その子はあーちゃんっていったんれすけろ、「ごめんね、あー
　　　　　　　　ちゃん」っていったのれす。それもあいことばみたいにぜったいにそういった
　　　　　　　　のれす。

　　　　　　　　あーちゃんはよく、「ののちゃんてかわいいね」ともよくいったのれす。そうい
　　　　　　　　ってからののをだきしめるのれす。ののはねーちゃんにもそういうことをされ
　　　　　　　　たことがないのれ――そのころねーちゃんはもうあくの道にかたあしが入っ
　　　　　　　　ていたのれす――とってもはずかしかったのれす。小学校1・2年生のと
　　　　　　　　きはきょうしつでもいきなりそういってだきついてきて、ののは赤くなって
　　　　　　　　なにもいえなかったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはあーちゃんとけんかするなんてかんがえたこともなかったのれす。
　　　　　　　　でも、その一ヶ月まえくらいに、あーちゃんから夜、電話がかかってきた
　　　　　　　　のれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜どんな電話や。て、その話は小学校のいつの話なん？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜しょうがっこう四年れす。その電話は十時すぎにかかってきたので、ののは
　　　　　　　びっくりしたのれす。ののはもうねていておかあさんがおこして電話に出たら
　　　　　　　あーちゃんれした。あーちゃんからの電話がそんな時間にかかってきたのは
　　　　　　　はじめてれす。あーちゃんはこういったのれす。「のの、これから外でれる？」
　　　　　　　って。ののはそれが外からの電話だってわかったので「どうしたの？」って
　　　　　　　聞いたのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜そ、そしたら？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そしたら、だいじなキーホルダーをなくしたからさがしてるんだっていったのれ
　　　　　　　　す。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜AHみたいな話やな。でも、小学校四年生やろ。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんがたいせつにしてたキーホルダーは犬なんだかねこなんだか
　　　　　　　　わからないおもちゃがついているやつらったんれすけど、のののきおくが
　　　　　　　　たしかならばしょうがっこう二年か一年のころからランドセルにつけていた
　　　　　　　　ものれした。「どうしてなくしちゃったの？」ってののは心配になってきいた
　　　　　　　　のれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜あーちゃんはなんて答えたの？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜「落とした｣って。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜で？


∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜いけるわけねーらろーなのれす。あのころは夜はお化けがでたのれす。のの
　　　　　　　もよくお化けをみたのれす。お化けはサラリーマンだけでじゅうぶんなのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜あー、あののののうちに出たというサラリーマンの幽霊のことやな。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜へい。――ことわったら、あーちゃんは「じゃあいいよ。ののとはもう絶交だか
　　　　　　　ら。もうつきまとったりしないでよ」といって電話をきっちまいました。

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜はー

　

ﾁｮﾄ､ｱｷﾃｷﾀﾖ｡

キチガイがいっぱいいるなー

保

これには前スレのようなものがあるのでしょうか？

>>127
前スレはついこないだdat落ちしてしまったんです。
それで職人さんが最初から貼り直してるところです。

>>128
親切にどうも。
あまりに突拍子もない内容なので、
何か前フリのようなものがあったのかと思いました。

川ｏ･-･)＜……(>>128さんありがとう。>>129さんそういうわけです。それとこれからもっと
　　　　　　　　　　突拍子もないものになります）

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そのつぎの日、あーちゃんは学校に来なかったのれす。せんせいの話だと
　　　　　　　　びょうきだということだったんれすけど、そのまま一週間くらい学校にこなかっ
　　　　　　　　たのれす。ののはのののせきにんだとおもって毎日ないて、夜も電話し
　　　　　　　　たんれすけどあーちゃんのお母さんがちょっとまっててといってからよびに
　　　　　　　　いって「電話にでたくないらしいから」と戻ってくると電話をきられちまいました。
　　　　　　　　おうちにもいったんれすけど、あーちゃんはあってくれなかったのれす。あん
　　　　　　　　な悲しい思いは生まれてはじめてれした。ないてもないても、涙があふれて
　　　　　　　　くるのれす。八段アイスよりも、やきそばよりもたいせつなものがあることを
　　　　　　　　しったのれす。まあ、そのときは八段アイスはしらなかったんれすけど。。。
　　　　　　　　なみだでまくらが浮くってひょうげんがあったとおもうんれすけど


川ｏ･-･)＜ああ、古典ではよく使われますね。たしか江戸期の表現にもよく使われてます
　　　　　　ね。今思い浮かばないですけど、涙で袖がかわくひまもないというところから
　　　　　　さらに誇張して、
　　　　　　
　　　　　　逢《ふ》までの形見とてこそとどめけめ涙にうかぶもくづ成けり

　　　　　　これは恋人が裳を形見としておいていったのに対しての古今集の和歌ですが、
　　　　　　なみだの「なみ」ともの「もくづ」でかけているわけです。で、裳も涙に浮かぶと。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜さすがになみだでまくらがうくようなことはなかったれすけど、まくらがぬれて
　　　　　　　とってもつめたいのれす。頭を左にしたり右にしたりしてたんれすけど、しまいに
　　　　　　　はハンカチで目をおさえるようにしてなみだが流れないようにしたのれす。
　　　　　　　でも、なみだはとまらなかったのれす。のののからだじゃないみたいに。
　　　　　　　こえがもれるのもおさえたのれす。
　　　　　　　
　　　　　　　なんれ、あーちゃんはきゅうにあんなことをいうんらろー。ぜっこうなんてできる
　　　　　　　わけねーのれす。ののにはあーちゃんにあんなことをいえねーのれす。あー
　　　　　　　ちゃんもいえねーはずなのに。でもあーちゃんはいったのれす。ののがなにをした
　　　　　　　っていうんれすか。ののはあーちゃんがののをちょっとしたにみてることをしっ
　　　　　　　ていたのれす。れも、あーちゃんはひとりっこだからおねえさんになりたいのか
　　　　　　　なっておもってがまんしていたのれす。ののはあーちゃんがののの頭のうえに
　　　　　　　ひらべったい石をおいておさえているような、そんなたいどをとっていてもがま
　　　　　　　んしたのれす。
　　　　　　　それでもののはあーちゃんが好きだったのれ、それでもへいきだったのれす。
　　　　　　　あーちゃんがののをだきしめるとき、ののはあーちゃんのきもちをかんじたの
　　　　　　　れす。あーちゃんにはののがひつようだったのれす。それがぬいぐるみや
　　　　　　　にんぎょうをだきしめるのとおなじきもちだったとしても、ののはあーちゃんの
　　　　　　　そういうぶぶんをみてきて、じぶんがあーちゃんにとっていちばんたいせつな
　　　　　　　ともだちなんだと感じていたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはばかでこどもだったのれす。そのとき、ののはあーちゃんに絶交って
　　　　　　　　いわれてただ悲しくてないたのれす。
　　　　　　　　なみだってなんれれきてるんれしょう。ののは目からあふれてくるなみだが
　　　　　　　　じぶんの――なんてゆうか…たましいのようにおもえてきたのれす。こころの
　　　　　　　　なかで丸くぴかぴかしてるたましいがみずみたいになってばちゃばちゃこぼ
　　　　　　　　れてまくらやハンカチにすいこまれていくのれす。そのたましいはなんれ
　　　　　　　　れきてるんれしょう。そのときのののには、あーちゃんといっしょにすごした
　　　　　　　　時間とあーちゃんへののののきもちらったのれす。ののはなみだがあふれ
　　　　　　　　だしてくるのをそれがなくなっていくことのように感じたのれす。
　　　　　　　　れも、なみだはとまらないのれす。みずとちがってとめることもできないの
　　　　　　　　れす。らって目にせんしたらいたいのれす。

　　　　　　　　ののはあーちゃんとお話できないことをかんがえてまた新しいなみだを
　　　　　　　　ながしたのれす。ののはあーちゃんのところへとんでいって、あーちゃんの
　　　　　　　　こころをからだをぱかっとあけてとりだしてから前のととっかえたくなったのれす。
　　　　　　　　ののはいっしょうけんめいむかしのことをおもいだしたのれす。
　　　　　　　　ののにとってのあーちゃんをいっしょうけんめいかんがえたのれす。
　　　　　　　　あいぼん、ふしぎそうな顔してますれろ、ののもそうやってかんがえること
　　　　　　　　もあるのれす。

　　　　　　　　でも、そのときはなみだをながしすぎて目のうしろのほうがいたいんれすけろ、
　　　　　　　　そこからびりびりいろんなかんがえが出てきてのののあたまをしびれさせ
　　　　　　　　ちまうのれす。あたまのずきずきするいたみがそのままのののかんがえ
　　　　　　　　だったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そのうち、ののはからだもふらふらになっちまったのれす。かぞくが心配して
　　　　　　　学校をやすめといったほろれす。歩いててめまいがして、きづくとみちばたに
　　　　　　　つったってんのれす。そんなときはののは考えごとをしているのれす。
　　　　　　　のののあたまはあんまりかんがえごとにむいていなかったのれす。
　　　　　　　のののあたまのなかのちっちゃいののが考えごとをするとかんたんに
　　　　　　　とまっちまうのれす。みちばたでも学校でもののはやっぱりむかしの
　　　　　　　ことをかんがえるのれす。いろんなものにあーちゃんとのおもいでがつまって
　　　　　　　いたのれす。その思いでがほんとうに目に見えるのれす。学校から十分ぐらい
　　　　　　　のところにこうえんとみちのあいだにはさまれて、三角形のかたちをした
　　　　　　　あきちがあったんれすけど、そこはみちがわに鉄のいたのへい、こうえん
　　　　　　　がわに柳の木がうえられてて、まわりからみえなくなっててののとあーちゃん
　　　　　　　はふたりでしゃがんでからひみつのおはなしをいっぱいしたのれす。
　　　　　　　あーちゃんはいろんなことをしってて、あの子はだれだれが好きだとか、
　　　　　　　あの子ははやってるあのぶらんどのふくをもってるけど恥ずかしくてまだ
　　　　　　　きれないんだとか、いろいろおしえてくれるのれす。
　　　　　　　ののはぼんやりしててあんまりあーちゃんの話にきょうみがなかったんれす
　　　　　　　けろ、あーちゃんのひみつっぽいはなしかたのせいであーちゃんのはなしをきく
　　　　　　　のがとっても好きだったのれす。ひみつのおはなしのとき、あーちゃんは
　　　　　　　柳のえだをちぎってはっぱをむしっていくのがくせだったのれす。
　　　　　　　ののは柳のはっぱがあつさでだらっとしてじっとしてるのを見て、その下に
　　　　　　　ちっちゃくなってるののとあーちゃんをほんとうに見たのれす。のののかおを見
　　　　　　　るととっても楽しそうらったのれす。あーちゃんとそうすることもないのかと
　　　　　　　思うとまたなみだがにじんできたのれす。いろんなところにそういうのが
　　　　　　　あったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜なみだをながしすぎるときもちがからっぽになるのをあいぼんもあさ美ちゃん
　　　　　　　もしってるれしょう？
　　　　　　　いっぱいひっくひっくってするからのどがいたいし、ごはんも三ばいしか
　　　　　　　たべれなくなったし、ののはホントにびょうきになっちまったみたいにやせこけ
　　　　　　　ちまったのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜……

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れ、一週間ぐらいしてあーちゃんは学校にきたのれす。ののはさけびだしたい
　　　　　　　　のをこらえて、「あーちゃん大丈夫らった？」ってきいたのれす。ののは声が
　　　　　　　　ふるえて足のさきからあたまのてっぺんまでぶるぶるきそうになったのれす。
　　　　　　　　のののそのひとことに一週間の涙をかけていたのれす。れも、口をでるとき
　　　　　　　　からそれはのののものではないような感じだったのれす。

　　　　　　　　そしたら、あーちゃんは少しののを見てからなにも答えないでぷいっとむこう
　　　　　　　　むいていっちまったのれす！ あーちゃんは目がののがすきなはるのうみの
　　　　　　　　なみのきらきらしたやつみたいにとってもきれいらったのれすけど、そのとき
　　　　　　　　はサラリーマンのゆうれいよりもこわい、つめたい、真っ暗な目れした。
　　　　　　　　ののはいきなりなみだが目にたまったのれす。それからむねがどきどきした
　　　　　　　　のれす。そしたらからっぽのこころにべつのきもちがぶわっとでてきたのれす。
　　　　　　　　とってもあついあさだったのにののはそれでさむけがしたのれす。
　　　　　　　　それはとっても楽しみにしてた大好物のたべものをこれからたべるという
　　　　　　　　ときにとられるときのいかりとおなじくらいのいかりれした。

　　　　　　　　れも、そのときのはもっといっぱいいろんなものがつまってるいかりらったの
　　　　　　　　れす。ののががまんしてきたものがはれつしてふきだしたのれす。
　　　　　　　　のののなかのあーちゃんへのきもちがなみだとどっかにいっちまって、
　　　　　　　　誰かがそこにそっとのののがまんのつまったふうせんをおいたのれす。
　　　　　　　　それでふうせんをわったはりは……あのときのあーちゃんの目れす。
　　　　　　　　ののは自分がこわくなったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜…

∋oノハヽo∈
　 (　｀�D´)＜あんなことをいってあやまってもおかしくないくらいなのにいきなり絶交って
　　　　　　　いってののを無視したのれす。ののをなんらとおもってるんれすか！
　　　　　　　ののはてしたじゃいなのれす！ きんぎょのうんちじゃないのれす！
　　　　　　　あんなじかんに外にでられるわけねーのれす。ののをためしたんれすか？
　　　　　　　ののはあーちゃんが好きらったのれす。大好きなともだちとしてれす。
　　　　　　　ののがあーちゃんを好きなのをわからなかったんれすか？　ののがあーちゃん
　　　　　　　のことをすきなのはてしたとしてじゃないのれす。れもあーちゃんは
　　　　　　　ちがったんれすね。あーちゃんのそのたいどはほんとうにぜっこうするというこ
　　　　　　　とをいっているのれす。いいんれすね！ ののはあーちゃんのこときらいにな
　　　　　　　っちゃうんれすよ！
　
　　　　　　　あのときののはあーちゃんのせなかにむかってそう叫びたくなったのれす。
　　　　　　　くやしくてくやしくてないてることもわからなかったのれす。
　　　　　　　加藤くんっていうませた男の子がいたんれすけろ、
　　　　　　　その子が「うわー、辻がないてるぞ」ってばかな声でいったのれはじめてない
　　　　　　　ていることに気づいたのれす。ののは加藤くんのおなかにあやかしゃんにやった
　　　　　　　百倍くらいの力でパンチを入れてやったのれす。加藤くんは「う゛っ」っていって
　　　　　　　うずくまって、おかしいったらありゃしねーのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんはそれからずっと話してくれなかったのれす。ののはおこったり、
　　　　　　　　かなしんだりでとってもいそがしくてやっぱりつかれちゃったのれす。
　　　　　　　　…ののはけつらんをせまられたのれす。

　　　　　　　　あーちゃんにどんなかおを見せて、どんなことばをかけるかということれす。
　　　　　　　　ののにもそのままにしてはいけねーということがわかったのれす。あーちゃん
　　　　　　　　はべつのともだちと話しててののを見て笑うのれす。そういうとき、ののは
　　　　　　　　くやしいんれすけろ、どうすればいいかわからなくてうつむいたのれす。
　　　　　　　　ののはしあわせらったんれすね〜。らってそんな思いをしたのはほんとに
　　　　　　　　はじめてらったのれす。あたまの中では、「あーちゃんひどい！」っていって
　　　　　　　　脳みそがまっかっかになってるんれすけろ、もとの色にもどす方法がわから
　　　　　　　　ねーのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜おうちだったら泣くのれす。泣いて泣いて涙をながして、またあたまを空っぽ
　　　　　　　　にしようとするのれす。それでのののからだがこわれたっていいのれす。
　　　　　　　　それくらいのつらさだったのれす。それでしんじゃうならしんじゃうのれす。
　　　　　　　　れも、自分がしんじゃうことを考えるのってどんなことよりも涙が出るんれす
　　　　　　　　よね〜。
　　　　　　
　　　　　　　　ののはあーちゃんとのことじゃなくて、自分のためにこのことをおわらせなく
　　　　　　　　ちゃいけねーと思ったのれす。ののはもう自分がどうなるのかわからなくて
　　　　　　　　こわかったのれす。ののの中に新しいたましい――ちがうのれす、たまごが
　　　　　　　　できたのれす。そのたまごにはのののこころのあかちゃんは入っていない
　　　　　　　　のれす。もっとなんかべつの…こわい、くらくて、うみの底にいる魚みたい
　　　　　　　　な、グロ…グロ、（川ｏ･-･)＜…グロテスクですか？)、そう、グロテクスな
　　　　　　　　やつのこどもらったのれす。たまごがかえったら、ののはもうほんとうに
　　　　　　　　ののじゃいられないような気がしたのれす。ののもおんなじようにグロ
　　　　　　　　テスクになるにちがいねーのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、それからいっしゅうかんくらいして、ののにはべつの、新しいおともだち
　　　　　　　　ができたのれす。げんきのいい女の子と、まえからよくはなしてた男の子れ
　　　　　　　　した。ののがやせこけて、ほっぺたをがいこつみたいにしてぼおっとしてると、
　　　　　　　　そのふたりが話しかけてきたのれす。「辻さん、最近元気ないね。ドッジボー
　　　　　　　　ルで遊ばない？」そういった女の子のほうは男の子にまじってあそんでる子
　　　　　　　　だったのれす。

　　　　　　　　男の子は女の子にも男の子にも好かれてる、ちょっときざな男の子らったの
　　　　　　　　れす。ののは「だるいからいいれす」っていったんれすけど、「いいからいこうよ」
　　　　　　　　ってふたりはむりやりののを外につれだしたのれす。次の日もふたりはやす
　　　　　　　　みになるとののをどこかにつれていこうとするのれす。れも、ののは教室を
　　　　　　　　出て、広いばしょにでるとあーちゃんを見なくてすむから、だんだん顔に涙の
　　　　　　　　川のあとをかんじなくなっていったのれす。きっとお日様の光で涙のもとが
　　　　　　　　じょうはつしたのれす。つらかったことをのりこえるためにはやっぱりわすれ
　　　　　　　　るしかないんれしょうか？

保

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜それがきっかけれ、男の子のほうは、女の子よりもののにべったりくっつくよう
　　　　　　　　になったのれす。ののはちょっとびっくりしてたんれすけど、男の子はあー
　　　　　　　　ちゃんと同じで同じ年の子よりもませてて、のののほんとにすきなことは
　　　　　　　　あーちゃんよりもしってたかもしれなかったのれす。いっぱいおもしろい話を
　　　　　　　　してくれたのれす。おいしいすし屋さんのこと、おいしいパン屋さんのこと、
　　　　　　　　南の国のおいしい果物のこと、北の国のおいしいさかなのこと。。。
　　　　　　　　それと、その子は杉本さんといっしょれ釣りがしゅみらったのれす。ののも
　　　　　　　　なんとなくその子と長く話してるのは変なふうにみられるというのはわかっ
　　　　　　　　たんれすけろ、女の子のほうがたまにそこに入ってくれるので、なんとなく
　　　　　　　　おしゃべりをしたのれす。

確かに突拍子もない展開（揶揄しているわけではありません）ですね。
これからはこっそりROMります。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはあーちゃんが公園のひみつのお話で、その男の子のことを話していた
　　　　　　　　のをおもいだしたのれす。聞いてたときはそんな興味はなかったのれすけど、
　　　　　　　　あたまのなかのちっちゃいののがそのことを教えてくれたのれす。
　　　　　　　　あーちゃんの話ではその男の子が好きなおんなのこが五人はいたのれす。
　　　　　　　　ののはすきとかそういうきもちはぜんぜんわからなかったのれすけろ、
　　　　　　　　それがすごいことらと感じていたのれす。ふたりの小学校四年のときって
　　　　　　　　どうれしたか？ やっぱり誰か好きな人がいたんれすか？
　　　　　　　　ののはそういうのはもっとおっきくなったら、とだけ思ってて誰々は誰々が
　　　　　　　　好きだときいても、誰々はオムライスが好きだ
　　　　　　　　というのと同じにしかかんがえられなかったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、まわりはちがったのれす。

　　　　　　　　ののはそれからちょっとしてあーちゃんに話しかけられたのれす。ののは
　　　　　　　　またあたまの中をまっかっかにして「なんれすか？」ってなんとか勇気を
　　　　　　　　だして、とげをいっぱいつけていったのれす。
　　　　　　　　れも、その声はさいこ〜に裏返っていたのれす。「のの、ちょっときてくれる？」
　　　　　　　　あーちゃんがののにいうことをきかせるにはそれだけでよかったのれす。
　　　　　　　　ののがどんなことばをつかっても、あーちゃんみたいにあーちゃんにののの
　　　　　　　　いうことをきかせることはできなかったのれす。ののは先生にしかられにいく
　　　　　　　　みたいなきもちであーちゃんのうしろをついていったのれす。あーちゃんは
　　　　　　　　ののを花だんにつれていったのれす。花だんにはサルビアとかメランポジ
　　　　　　　　ウムとか咲いててとってもきれいだったのれす。あーちゃんはののとちがって
　　　　　　　　ちょうどあさ美ちゃんみたいなふにゃっとした感じの、子供のみたいな、天使
　　　　　　　　のみたいな、やわらかい髪だったのれすけろ、あつかったので汗でべったり
　　　　　　　　おでこに髪がはりついていたのれす。「ののちゃん、この前のことおぼえてる
　　　　　　　　よね」あーちゃんはとっても静かにいったのれす。ののはむごんでうなずいた
　　　　　　　　のれす。「のの、わたしがあのキーホルダーだいじにしてたのしってる
　　　　　　　　でしょう？ わたしあれなくしたとおもったとき、心臓がとまりそうになったんだ。
　　　　　　　　いっしょうけんめい二時間以上さがしてなかった。それでののならきて
　　　　　　　　くれていっしょにさがしてくれると思ってでんわしたんだ」とあーちゃんはさび
　　　　　　　　しそうにいったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、れも、それでいきなり絶交はないのれす！ 「でも、十時になんて出られ
　　　　　　　　ないよね。わたしも考えたんだけど、ちょっと言いすぎたかなって。ののと話
　　　　　　　　せないとやっぱりさみしいから」
　　　　　　　　れも、れも、それじゃあなんれののをむししたんれすか？ ののはもうこれ以上
　　　　　　　　ながれないってくらい涙をながしたんれすよ。たましいをいっぱいいっぱいこ
　　　　　　　　ぼしたんれすよ？ あーちゃんもいっしょらったんれすか？ れも、いっしょらった
　　　　　　　　ら、むしなんてしないはずれす。あんなこわい目をしないはずれす。去年
　　　　　　　　あーちゃんと追いかけられた犬の目よりもこわかったんれすよ？ ののはそう
　　　　　　　　思って、なにも答えなかったのれす。ずっとずっと黙ってたのれす。ののは
　　　　　　　　サルビアにむしがはりついているのをみたのれす。ニジュウヤホシテントウ
　　　　　　　　らったのれす。あいぼん、あさ美ちゃん、しってる？ ニジュウヤホシテントウ。
　　　　　　　　テントウムシなんれすけろ、黒いホシがいっぱいあるのれす。あれが、赤い
　　　　　　　　サルビアの花を揺らすのをみていたのれす。ニジュウヤホシテントウはオレ
　　　　　　　　ンジっぽいあかなんれすけろ、ちょっと目を離すとそのまま赤い花にとけこ
　　　　　　　　みそうなのれ危なっかしいのれす。虫の足はなんれあんなほそいんれしょう
　　　　　　　　ね〜。あんなのかみさまがいじわるしてくろうさせてるのれす。
　　　　　　　　――ののはそれをちょっとちゅういしてみていたのれす。

保

田

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そしたら、しくしく泣いてる声がきこえたのれす。あーちゃんがないていたのれ
　　　　　　　　す。女の子っぽい感じで、気がつよくて誰よりもきれいだったあーちゃんがな
　　　　　　　　いていたのれす。れも、暑いのに泣くから涙よりも汗のたまのほうがいっぱい
　　　　　　　　あーちゃんの顔にころがっていたのれす。
　　　　　　　　「のの、ごめん…ごめんね！ ほんとうにたいせつなキーホルダーだったんだ
　　　　　　　　よ？ ののはしってるでしょ？」そういうのれす。今までののをいもうととして見
　　　　　　　　て、子分みたいにしてたあーちゃんがないてののにあやまるのを見て、のの
　　　　　　　　はさすがにぐらっときたのれす。れも、あのときの目……。ののは石になった
　　　　　　　　のれす。なんれしたっけギリシャの？

川ｏ･-･)＜メデューサですか。ゴルゴンと三姉妹で、ポセイドンに求愛されたのをアテナが
　　　　　　嫉妬して化け物に変えたという―

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そう、めどぅされす。あのときの目はめどぅさの目らったのれす。ののはあの
　　　　　　　　ときの目を思い出して、ぐらっときたののの心をわけもわからずささえていた
　　　　　　　　のれす。すごい雨の中ではしらをささえるピースのPVみたいなかんじれす。
　　　　　　　　れも、PVとちがってみんなはいなくてののは一人れ子どもれした。ののは
　　　　　　　　どんな顔をしていたんれしょうか。ののにははじめてのことばっかりで、自分
　　　　　　　　の顔がどんななのかぜんぜんそうぞうがつかなかったのれす。

　　　　　　　　らって、こんなきもちのときはどういうひょうじょうだってこと、いちいち鏡を
　　　　　　　　みないでもわかるものなのれす。人の顔を見たり、ときどき似たような気持ち
　　　　　　　　の自分の顔を見たりしたきおくがあるかられす。れも、そのときのののは
　　　　　　　　そんなきもちはむずかしすぎてしらねーのれす。ののの顔はひょっとしたら
　　　　　　　　へびのべろみたいにあおくなっていたかもしれないれす。ののの目はもう
　　　　　　　　なにもみれなくなったのれす。サルビアもメランポジウムもニジュウヤホシ
　　　　　　　　テントウも見えなくなったていたのれす。ののにはあーちゃんを許せない
　　　　　　　　ののがもうのののしってるののじゃなく思えたのれす。

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんはいうのれす。。。

「のの…おこってるの？ ……でも、わたしもつらかったんだ。ののがきてくれなかったとき、
　わたしにはだれもともだちがいないんだって思った。わたしにはこういうときたよれるしん
　ゆうがいないんだって。ホントはあの夜、おかあさんにしかられていえをおいだされたの。
　
　でも、どこにもいけないからいろんなところをあるいたんだ。あのこうえんにもいったよ。
　おっきな黒のラブラドールがいていいこいいこしてあげたんだ。すごくかわいかったよ。
　ののもいればよかったのになって思った。それから、しょうてんがいにいってゲームセ
　ンターにいって、それから、またこうえんにいって、それで神社にいったの。ののとも
　むかし何回かいったことあるよね。こうみんかんのとなりにある。すごくこわかった。
　わたしはさそい込まれたの。かぜがもうじゅうのうなり声みたいだった。一本だけ電気が
　ついてて、その下にかけていったんだけど白い光の中はまわりをくらやみの網にしたの。
　網のそとにはいっぱいおばけがいたよ。

　――わなだったの。わたしはスカートのポケットに手を入れた。とっさにたいせつな
　キーホルダーをお守りにしようと思って。そしたら、なかったの。ののはわかる？ よるの
　くらやみのわなにはまった気持ち。光のしたの地面をいっしょうけんめい見たんだけど
　あるわけないよ。だってわなだったんだから。

「わたしはすぐにのののことをかんがえた。ののと手をつないでいればだいじょうぶなのに。
　いっぱい勇気がでてくるのに。いままでだってずっとそうだったよ。わたしがどんなにのの
　に助けられたかわかんないよ。わたしがかなしむことはののと手をつなぐことだし、わたし
　がよろこぶことはののをだきしめることだったんだよ。わたしは何十分も迷ってから、目を
　つむって走って神社を出たの。いろんな声がきこえてきた。でも、そのときわたしのうしろ
　にはころびそうになりながらいっしょうけんめいついてくるちっちゃなののがいたんだ。かわ
　いいかわいいわたしのののがいたんだ。

　わたしは神社から出たらキーホルダーをさがした。見つけたらののにまっさきに電話しよ
　うと思ってた。わたしおかしくないよね。だってののだってわたしのことそういうふうにおも
　ってくれるでしょう？ たいせつなものなくしたら、ののだってわたしのこといちばんたよ
　りにおもってくれるよね？ 見つけたら、いちばん最初にほうこくしてくれるよね。そうだ
　よね？ でも、キーホルダーは見つからなかったの。2時間もさがしたんだよ。一人で。
　わたしはあしが地面にめりこんで、からだが夜にすけていくのを感じてた。このままきえ
　てなくなっちゃうのかなってすごく不安になったの。がんばったけど、それでもわたし
　ないちゃった。

「だって誰かが泣け泣けっていうんだもん。そういうときってあるでしょう。でも涙をながすと
　そういっていた声たちはどこかにいなくなっちゃうの。そしたら泣いた子の涙だけが残るの。
　風のつよい夜子どもがおうちの外でながす涙には夜のくろがしみこんでいるんだ。
　それでくろい涙は子どもをどこかにつれさっていくあくまをよぶの。あくまはどこからでも
　そのさびしい、冬の野原のにおいみたいな涙のにおいをかぎつけて、はなとかくちびると
　かのやまをのぼってくだるときの涙の小さな足音をききつけてやってくるの。
　そいつがきたとき子どもは気をうしなっててもう何もわからない。そのときの子どもはもう
　大人には見えないからひとりで誰にもしられないうちにつれさられていくの。わたしも
　もう少しでそうなるところだった。

「でもわたしは見つけたんだ！ぽつんてひかってるこうしゅう電話。わたしはまいごの子どもが
　母おやを見つけてはしっていくときみたいにおこりりながらよろこんで電話にはしってった。
　わたしはそのときののに来てもらうことだけ考えてた。ののの笑顔で、ののの声でわたし
　は今までのこわかったことを忘れられる。。。

　ののはいうの。「ののはちっともこわくねーのれす」わたしはののに「ほんとはこわいくせに」
　っていうの。

でもこうしゅう電話のガラスの箱のなかにはいったとき、わたしはそれができないことだって
気づいた。もう10時だった。ののがこんな時間におうちをでられるわけがないって。
…ごめんね、ほんとにめちゃくちゃな電話だったよね。でも、わたし、わたし……

わたし、ガラスに映ってるわたしの顔をみせられた。いっしゅん、だれの顔かわからなかっ
た。おばあさんみたいな顔。わたしやっぱりあくまにつれさられたんだって思った。
気づかないだけで、わたしはもうみんなのいるところには戻れないんだ。わたしはもう
あくまのなかまなんだ。神社のあかりのしたでみていたいっぱいのおばけの目はわたしが
なかまになったことをしってたんだ。みんないつかわたしのこと忘れちゃうの? ――もういい
や。わたしはつかれた顔をじっと見て、ふっとそう思ったの。

でもでも……。ののもわたしのこと忘れちゃう? わたしが突然いなくなったらののはかな
しんでくれる？ わたしをさがしだしてくれる? わたしはまたとじこめられたみたいだった。
ううん、こんどはわたしがわたしをこころの中にとじこめれたの。そうするしかなかった。
だってののがもしかなしんでくれなかったら? ののがわたしのためになみだをながしてく
れなかったら? わたしはこわくなって、大声を出してこころの声がきこえないようにしたかっ
た。

とってもこわかったの! 電話する? でも電話して、なんていうの? ののがいけないっていった
ら、わたしのこころはどうなっちゃうの。わたしはほんとにひとりぼっちだった。誰もわたしを
みつけだしてくれない。。。わたしを頼りにしてくれる人もわたしが頼りにする人もいない。
わたしなんて、もういなくていいんだ。

のの…のの、ののだけなの。ののだけだったの! わたし、受話器をとった! 神さまにお願い
した、生まれてはじめて。のの…、電話にでたとき、わたしのこえはののの耳にどう聞こえ
た? わたしはのののこえを聞いたときに、泣き出したいのにこころが凍ったみたいになって
た。なんで? ののなんてだいっきらい!ってこころの中でさけんだの。ののなんてののなんて
……。

わたしのこころで汚いことばがいろんな人のこえでとびまわってはねかえってしみこんだ。
わたしは口からそれがでそうになるのをすごくがまんした。でもわたしの口から信じられな
いことばがでたの。「絶交」……。

のの…。ののはじぶんのこころがじぶんのものじゃないって感じたことがある? わたしは
それからじぶんのこころをなくしたの。わたしは別人だったの。信じられる? うそだと思って
る?

　

一日一保

　　

謹賀保全

　

保保保保

　

保♪

「…信じてくれなくていいよ。だって、わたしだってまだぜんぶは信じてないんだもん。わたし
はやっぱり誰かにこころをうばわれたんだよ。でも、ののには今の気持ちはしんじてほし
い。わたしはこころをとりもどしたの。わたしにとってののがどれだけ大事かってこと、わた
しはやっときづいたの。わたしばかだったよね。なんで、ののにあんなことしてたんだろう。
わたしをどう思った? 嫌いになったよね。とうぜんだよね。でも、わたしは…わたしはののの
ことが好きだから、のののことが大好きだから…わたしを許してほしい。まえみたいに一緒
にかえって、一緒に渋谷にいっていろんなお話をしたい。だめ? 許してくれない? 許してくれ
なかったら、わたし……わからないの。

――許してほしいの!! おねがい! のの! 許して! わたしがばかだったの! 許して、ねえ?
のの! ああ、なんであんなことしたんだろう? ののわたしわかんないの。ねえ信じて!
わたしは別の人だったの。あんなことののにできるなんて、わたしじゃないもん、わたしじゃ
ないもん。。。のの、ごめん、ごめん!

…

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜…そしたらうわーんって、ほんとにあーちゃんはなきだしたのれす。ののは
　　　　　　　　ふしぎれした。あーちゃんのことばは一つ一つことばだったのれす。わけわか
　　　　　　　　んねーれすけど、どんなことばだって一つ一つがいみがあるとおもうんれす
　　　　　　　　けろ、そこにきもちみたいなものがのっかってるれしょう。
　　　　　　　　こうしてほしいとかこうしたいとかいうきもち。それがそのときのあーちゃんの
　　　　　　　　ことばにはなかったのれす。ののはそう感じたのれす。ことばはのののこころ
　　　　　　　　の中でくるくる高いそらの上のいっぱいのたこ――いかのぼりみたいにとおく
　　　　　　　　でまわってるのれす。あーちゃんのことばは白いこうしゃと花だんの花と、
　　　　　　　　暑い夏の空とおんなじみたいらったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんはいっぱいしゃべっているのになにもいっていないのといっしょだっ
　　　　　　　たのれす。おかしいれすね。ののは夏のお空もお花も好きなのれす。れも、
　　　　　　　ののはときどきおもうのれす。それはののの片思いなのらって。ののの気持ち
　　　　　　　にこたえてくれることはないのれす。こたえてくれたとおもっても､それはののの
　　　　　　　思い込みなのれす。いっつもそうおもってるわけじゃないれすよ。ただ……
　　　　　　　そうおもうときってないれすか? そんなときってきっとこころの火がきえかかって
　　　　　　　るときなのれす。こころにすきまかぜがぴゅーってふいて、火がちっちゃくなって
　　　　　　　るのれす。明るくてぽかぽかしてたちっちゃなお部屋はすぐに暗くさむくなるのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そんな気持ちってどんなときになるんれしょうか。あのときはあーちゃんが冷
　　　　　　　　たくしたから? それともはじめからののがいじわるな性格をしてるから? のの
　　　　　　　　にはわかんねーのれす。れも、そういうきもちになったときってどうしよーもね
　　　　　　　　ーのれす。それにこどもらったんれす。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんはちょっとくうそうが好きれした。れも、そのときのはなしはちいさ
　　　　　　　　いころにもどったようれした。ののはあーちゃんがそんなふうに話すのをこわ
　　　　　　　　くかんじたくらいれした。どうしちゃったの、あーちゃん?って感じれす。あーち
　　　　　　　　ゃんはうたをうたってるみたいれした。
　　　　　　　　ちいさいころのあーちゃんにもどっていっしょうけんめいうたをうたってるのれす。
　　　　　　　　れも、音の聞こえないうたれす。あーちゃんはどんなきもちなんらろー。
　　　　　　　　ののはそうおもったのれす。ののの気持ちからいかりが消えたわけれはない
　　　　　　　　のれすけろ、ののはあーちゃんのさくらの花びらみたいな唇とか、涙で星が
　　　　　　　　いっぱいきらきらしてる目とか、あーちゃんのなかの本当のあーちゃんをみつ
　　　　　　　　けだそうとしてニジュウヤホシテントウを見てるのとおなじ気持ちで見ていた
　　　　　　　　のれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんは泣いてる。れも、あーちゃんはほんとうにはんせいしてるんれしょ
　　　　　　　　うか。――はんせい? ののはあーちゃんにはんせいしてほしいんれすか?
　　　　　　　　ののはただ前みたいにいっしょにわらってあそびたいだけれす。あーちゃん
　　　　　　　　があのとき、あんなでんわをしてこなかったらこんなことにはならなかったの
　　　　　　　　れす。
　　　　　　　　あーちゃんはほんとうにキーホルダーをさがしてたんれすね。あーちゃんは
　　　　　　　　そのキーホルダーがなんれそんなにだいじなのかはなしてくれなかったれ
　　　　　　　　すね。ののにもはなしてくれなかったあーちゃんのひみつ。そうら、そうれす。
　　　　　　　　あーちゃんは人のひみつはいっぱいしりたがるのにじぶんのことをしられる
　　　　　　　　のをとってもいやがっていたのれす。ののにははなしてくれたっていいれし
　　　　　　　　ょう? ののはあーちゃんのきげんが悪くなるのがいやでそういうことはできな
　　　　　　　　かったのれす。今もそうれす。あーちゃんは泣いてるけろ､ほんとうのことを話
　　　　　　　　してない気がするのれす。ののはやっぱりあーちゃんのいちばんの親友なの
　　　　　　　　れす。あーちゃんの気持ちをあーちゃんのいっぱいの友達の中でいちばんよ
　　　　　　　　く感じてしってるのれす。それがのののいちばんのじまんれすよ。むねをはっ
　　　　　　　　てみんなにいえることれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃん、あーちゃんのほんとうのきもちをおしえてほしいのれす。ののを
　　　　　　　　ほんとうに親友としてみてくれてるのれすか? なんれ、あんな目をののにぶつ
　　　　　　　　けたんれすか。いっぱい話してくれたけろ、ののにはまだわかんねーのれす。
　　　　　　　　あーちゃん、あーちゃん、ののはあーちゃんが好きれすよ。そんなになかない
　　　　　　　　れくらしゃい。ののもないちまうのれす。ののはここでないちゃいけねーのれ
　　　　　　　　す。ないたら、ののとあーちゃんはほんとうにほんとうの親友にはなれねー
　　　　　　　　気がするのれす。ののはあーちゃんがののにひみつをわけてはんぶんこに
　　　　　　　　するまれ、なかねーのれす。らから、そんなにあやまらないれくらしゃい!
　　　　　　　　ののはあーちゃんのみかたなんれすよ?

test

なんか上手く言えないが旨に迫る独白だ

保全
田
圭

　

　

　

　

藤本美貴、娘。に加入決定！

もうダメポ・・・

東京練馬で総合病院の内科の医師をやっています。
私が勤めている病院のそばには、今をときめくアイドルグループ「○娘」の中のひとりが住んでいました。その子はまだ高校生でして、今から思えば小学生のころから診察しています。
身体は強いほうではなく、今でも数ヶ月に一度はやってきます。小さなころは気にならないのが今は高校生で、しかもアイドルになってしまうと、診察するほうももやや緊張します。
かれこれ１０年くらい、その子の診察をしてきましたから子供の頃から上半身裸になってもらい、診察します。去年でした。風疹になり彼女が病院をたずねてきました。
初回は全身の発疹を見ておきたかったので、カーテンを閉めて全身の発疹をチェックしました。
風疹は陰部の肌の弱いところにもできますから、ほんとうに隅々チェックしました。

もう高校生ですからこちらも緊張しながらも、陰部を指で広げて見ましたが発疹が認められました。そのときふと思いました。医者の目で膣口を見るだけで処女か否かわかってしまい
ます。残念なことに貫通された形跡が見られました。小さな頃から診察してきた思い入れでいつまでも大切にしてほしいと思っていましたが・・小ぶりな胸に軟膏をぬりながら、少し私も興奮してしまいました。

　　　　

　

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののは泣いてたのれす。涙がこそこそ目からでてくるのれす。しゃあしゃあ
　　　　　　　　ってセミがないてたのれす。ぼうっとしてたら、あつさでふらふらしたアカガシ
　　　　　　　　の木がぶったおれてくるのれす。とってもあつかったのれす。れも、ののは
　　　　　　　　なきじゃくっていっぱい体をゆらしたのれす。目をこすって、かたをがくがくさ
　　　　　　　　せて、のどをつまらせたのれす。ののはもうがまんできなくなって、上をむい
　　　　　　　　て大声でないたのれす。「あーちゃんが…」ってなんかいもいっちまったの
　　　　　　　　れす。ことばを続けられなくて。。。
　　　　　　　　――涙がつづけさせてくれねーのれす。ことばはくちからでそうになってから
　　　　　　　　またののの体にもどっていったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののがそのときいいたかったのはきっとグチなのれす。いっぱいいっぱい
　　　　　　　　あーちゃんにいいたいことがあったのれす。ののはのののなかにいるきた
　　　　　　　　ないやつを早くそとに追い出したかったのれす。それがののの体にとけて
　　　　　　　　いくのがいやだったのれす。あーちゃんにいいたいことをぶつければ、のの
　　　　　　　　はまえのきれいなのののたましいを取りもどせるような気がしたのれす。
　　　　　　　　――なんれ泣いてるのかはわかんなかったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そしたら、あーちゃんがいっぽ前に出て、ののの手をつかんだのれす。そん
　　　　　　　　で手をもむんれす。ののもあーちゃんの手をつよくにぎったのれす。ののは
　　　　　　　　あーちゃんにだきしめてほしかったのれす。れも、あーちゃんはなかなかそう
　　　　　　　　しねーのれす。そのまま二人は抱き合わずにないたのれす。「のの、ごめ
　　　　　　　　ん、ごめんね」って何回もいうんれすけろ、ののはそんなことばなんかもうい
　　　　　　　　らなかったのれす。ただ抱きしめてほしかったのに。ののがセミをおどろか
　　　　　　　　せるくらいおっきい声でないたのはそのせいかもしれないれす。なんだかよ
　　　　　　　　くわかんなかったのれす。

　

（＾＾）

（＾＾）

　

　

　

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜…
　　　　　　　　れも、あーちゃんは、ほんとうのあーちゃんはののにまだわるいとおもってる
　　　　　　　　ところがあったのれす。だから、だきしめられなかったのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）＜…

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜それから2日くらいはののはゆめの中にいるみたいにしあわせだったのれす。
　　　　　　　　あーちゃんはとってもやさしくて、まえみたいなちょっとつめたいってところも
　　　　　　　　なくなったようれした。ののはあーちゃんといっしょにいることがどんなことだ
　　　　　　　　ったかをおもったのれす。あーちゃんが笑うときののがいっつもどんな気持ち
　　　　　　　　だったかとか、あーちゃんがののと手をつなぐときのののこころがどれくらい
　　　　　　　　あったまるかをおもったのれす。

　　　　　　　　それはののがいっつもどれくらいあーちゃんといっしょにいて幸せだったかを
　　　　　　　　教えてくれたのれす。大好きなともだちといっつもいっしょにいられることが
　　　　　　　　どれくらい幸せなことなのか、あいぼんとあさ美ちゃんはしってるはずれす。
　　　　　　　　ののはいろんないやな気持ちをあじわったのれす。苦くてとってもまずかった
　　　　　　　　のれす。ののはその味を忘れたわけではなかったのれす。その味を忘れよう
　　　　　　　　として幸せの味をいっぱい味わおうとするのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはなんかなくしたものをとりもどしたみたいに感じたのれす。ののの
　　　　　　　　いかりはどこへいったんれしょうか。ののはそれも忘れようとしていたのれす。
　　　　　　　　あーちゃんのたいどから何かにおってこないかと犬みたいに鼻をひくひくさせ
　　　　　　　　るしゅんかんはあったのれす。れもそんなことよりもそのときは、あーちゃんと
　　　　　　　　前みたいにいっしょにわらって遊ぶことのほうが大事だったのれす。

　　　　　　　　らから、あーちゃんが前みたいに――前よりももっとののにかまってくれると
　　　　　　　　ののはとっても幸せになったのれす。ののをいじめた涙はどこかにいっちまっ
　　　　　　　　たのれす。あんときののはいっしょうないてるかとおもったのれす。涙のあと
　　　　　　　　がそのまましわになっておばあちゃんみたいによぼよぼになっちまうかとお
　　　　　　　　もったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、ののはあーちゃんが好きだったのれす。ののは2日くらい、あーちゃんと
　　　　　　　　いっしょに遊んで､あーちゃんにとってののがどれくらい大事かきづかせてあ
　　　　　　　　げようともおもったのれす。ののがあーちゃんにそうしてるみたいに。

　　　　　　　　ののはあーちゃんを許すとか許さないとかいってたじぶんにはらが立ったの
　　　　　　　　れす。なんれかはよくわからなかったのれす。だって、ののはじぶんがまち
　　　　　　　　がってたとはおもえなかったのれす。ののはなんにもしてねーのれすから。
　　　　　　　　ずっとあーちゃんと一生ともだちでいるんだとおもってたのれす。けんかなん
　　　　　　　　かするとはおもわなかったし､ちゅうがくせいになっても、こうこうせいになって
　　　　　　　　も、およめさんになるときがきても、あーちゃんとは親友のままなんだとおもっ
　　　　　　　　てたのれす。れも、それはののの考えなのれす。あーちゃんもとうぜんそうら
　　　　　　　　とおもってたのれすけど、あの電話はかかってきたのれす。あーちゃんはあの
　　　　　　　　とき、ほんとによるのあくまにあっちまったんれしょうか。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはそのことは考えないようにしたのれす。こわかったというのもあるのれ
　　　　　　　　す。のののしんぞうにはまだあのあーちゃんの目から出たはりがささってた
　　　　　　　　のれすけろ、ののはそのはりをほうっておくことにしたのれす。らって、のの
　　　　　　　　が解くにはあまりにもむずかしいナゾだったのれす。あーちゃんがいっしょう
　　　　　　　　けんめいはなしてくれたときにかんじた、ことばの肌みたいなのをのののま
　　　　　　　　ちがいだってじぶんにいいきかすこともできなかったのれす。あーちゃんの
　　　　　　　　こころのおくにある、ほんとの気持ち。ののはわかってなきゃいけなかった
　　　　　　　　んれしょうか？
　　　　　　　　……いまらったらあそこでいいたいことをいって、あーちゃんとけんかしてた
　　　　　　　　ほうがよかったんじゃないかとおもうんれすけろ。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜……

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはじぶんのこころにあるもやもやしたやつを持ったままで、幸せなきもち
　　　　　　　　を味わったのれす。最初にごうじょうらったといったのはそこなんれす。あー
　　　　　　　　ちゃんがほんとにののにのぞんでたのはまえみたいなののじゃなかったか
　　　　　　　　もしれないのれす。

　　　　　　　　れも、れも、しょんなことわからないのれす！ むずかしすぎたのれす。ののは
　　　　　　　　わるかったれすか？ ののはあーちゃんがまえみたいにののをすきでいてく
　　　　　　　　れたらって思ってただけなのれす。いまれもあのときのののをおもいだすと
　　　　　　　　泣きたくなっちゃうのれす。ののもあーちゃんもかわいそうだったのれす。。。
　　　　　　　　…あんまりなのれす。。。

　

　

これ大好きなんだ・・・

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはいったのれす。ののと仲良くなったおとこの子はすごくもてたのれす。
　　　　　　　鼻がちょっとツンてしててかわいらしくて、目がかっこよかったのれす。うまくい
　　　　　　　えねーんれすけろ。。。とにかく鼻と目が、その子をかわいいとか、かっこいい
　　　　　　　とかゆうふうに思わせるんれすね。――今思うと、やっぱりちょっとませてた
　　　　　　　れすね。あのとき小学校四年生らったとおもうとほんとにその子の態度は
　　　　　　　「キザ」って感じなのれす。自信たっぷりで、人前で何かするときとか、人が
　　　　　　　しようとかやめようとかするところを一歩すすんでやっちまうのれす。らから、
　　　　　　　とにかく目立つ子らったのれす。頭もよかったし。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんはそのおとこの子が好きだったのれす。恋をするとどういう気持ち
　　　　　　　　になるんれすか？ ふわふわした感じれすか。ともだちをすきなのとどうちが
　　　　　　　　うんれすか？ 小学校四年生の恋は大人の恋とどうちがうんれすか。。。
　　　　　　　　今でもあんまりわからないのに、あのときのののにわかるはずないのれす。
　　　　　　　　あーちゃんがののの知らないところで、誰にもしられないでどんなに苦しんで
　　　　　　　　いたんだろうってののは思うのれす。

保

　

帆

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜おもうんれすけど、あーちゃんがおかあさんに家を追い出されたのはきっと
　　　　　　　　ほんとなのれす。体育とか水泳とかの授業できがえるとき、あーちゃんの
　　　　　　　　体にきずとかあざがあるのをよく見つけたのれす。お兄ちゃんとあそんでそ
　　　　　　　　うなるっていってたのれす。あーちゃん、「痛くないよ」っていっつもいってた
　　　　　　　　のれすけろ、とってもいたそうだったのれす。あんなのころんだって倒れたっ
　　　　　　　　てそんなかんたんにできねーのれす！ ころんでばっかりだったののがそう
　　　　　　　　いうんだから間違いねーのれす。
　　　　　　　　あのとき、ののはバカれ、おやがこどもにそんなことするなんて思えなくて
　　　　　　　　ぜんぜんきづかなかったんれすけろ。。。

＠ノハ＠
（；‘д‘） ＜…
　川;ｏ･-･)

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃん、あーちゃん…あーちゃんはかわいそうなのれす。あーちゃんは
　　　　　　　　恋をしたんれす。おかあさんにぶたれて、家をおいだされて一人で夜の中を
　　　　　　　　さまよってて、恋っていうあったかいあかりを見つけたのれす。

　　　　　　　　あーちゃんがそのおとこの子と話してるとこ、あんまり見たことがねーのれす。
　　　　　　　　――なんれ好きになったのかなんてののにわかるわけねーのれす。かっこ
　　　　　　　　いいから？ みんなにそんけいされてるから？ クラスでいちばんぐらいにげん
　　　　　　　　きがいいから？ 運動神経がいいから？ あたまがいいから？ わかんねーの
　　　　　　　　れす。――れも、あーちゃんはあの男の子を好きになっちまったんれすね。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜三日後か四日後らとおもうのれす。あーちゃんはあのこうえんまでいっしょに
　　　　　　　　いったとき、きゅうに立ち止まったのれす。ほんとに急に止まったからランド
　　　　　　　　セルがガチャって鳴ったのれす。ののがあーちゃんがまたおはなしをしてくれ
　　　　　　　　るのかとおもってどきどきして待ってると、あーちゃんはいったのれす。
　　　　　　　　「のの、わたしのたのみきいてくれる？」
　　　　　　　　ののはたのみってきいて、ﾋﾞｸｯてしたのれす。あーちゃんのたのみ。。。
　　　　　　　　またののがこたえられないたのみだったらどうしよー。れも、あーちゃんの
　　　　　　　　たのみはののにはかんたんなことだったのれす。
　　　　　　　　それはあーちゃんがそのおとこのこ。。。いなぎくんのことをすきだってのの
　　　　　　　　がいってあげることらったのれす。ののはほっとしてむねに手をあててふー
　　　　　　　　っていきをついたのれす。それからののはうれしくてホントさけぶみたいに
　　　　　　　　いったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜「ののにまかせるのれすっ！!」

ho

保

　

保

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんのやくにたてると思うだけで、ののは天国にのぼるきもちだった
　　　　　　　　のれす。あーちゃん、まっててくらしゃい。ののがきねんのしゅんかんをもっ
　　　　　　　　てってあげるのれす！
　　　　　　　　…

ho

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののは明日こくってあげるってやくそくしたのれす。ののはいなぎくんがどの
　　　　　　　　おんなのこがすきかなんて知らなかったけろ、ののにはあーちゃんみたいな
　　　　　　　　きれいなおんなのこがすきだっていったらどんなおとこのこでもコロッといっち
　　　　　　　　まうって自信があったのれす。
　　　　　　　　あーちゃんは「明日でいいよ」っていってくれたのれす。ののはうれしくて次
　　　　　　　　の日がくるのがまちどおしかったくらいれした。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜…

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――前の日の夜はあーちゃんのよろこんだときの顔をいろいろおもいうかべ
　　　　　　　たのれす。黒っぽい、そうれすね、あいぼんみたいな目にきらきらと光がいっ
　　　　　　　ぱいはねかえってくるみたいれした。目って近くで見るとけしきがうつってる
　　　　　　　れしょう？ れも、あーちゃんがよろこんだときの目はそうゆうけしきがホントに
　　　　　　　ぴかぴかにきれいにみがかれてはねかえってくるのれす。いっつもは少しは
　　　　　　　しがきゅってとんがった形の小さい目がうれしくなると、大きくなってはしっこが
　　　　　　　さがるのれす。

　　　　　　　口も目みたいに少しはしっこがとんがってたんれすけろ、笑ったりするとかわい
　　　　　　　らしくチョコンってつりあがるのれす。

＠ノハ＠
（　‘д‘）

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そんれ、すげ〜よろこんだときは、ののの肩に両手をおいてぴょんぴょんって
　　　　　　　　うさぎみたいにとぶんれす！
　　　　　　　　そうゆうときはののもうれしくてうれしくてたまんなくなるのれす。しあわせで
　　　　　　　　しあわせでたまんなくなるのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――れも、それはめったにないことれしたね。だいたいはオーバーにののを
　　　　　　　だきしめたのれす。れも、らからこそそれが出たときののはしあわせなきもち
　　　　　　　になったのれす。

　　　 　∧＿∧
ﾋﾟｭ.ｰ　(　　＾＾ ） ＜これからも僕を応援して下さいね（＾＾）。
　　＝〔~∪￣￣〕
　　＝ ◎――◎ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山崎渉　

.

落ちないでくだされ・・・・

>>253加護同。

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――あーちゃん、よろこんでくれるかな？

　　　　　　　　ののは思い出し笑いみたいに一人でくすくすわらっちまったのれす。
　　　　　　　　ののはあーちゃんがにこにこしてののの肩に手を置いてくれるのを
　　　　　　　　目の前でみてるみたいにそうぞうしたのれす。

test

　

(V)ﾉﾊヽ (V)　　　　　　　　　　　　　　　(V) _, ._　(V)
ヽﾘ*･-･)ノ　　ザリザリ、ガニガニ♪　 ヽ(・e・ )ノ
　（　 　）　　　　　　　　　　　　　　　　　 　（　 　）
　 し｀Ｊ　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 し｀Ｊ

かちゅにしてみたので練習カキコ。

　

◆◇◆◇◆最新情報◆◇◆◇◆<br><a
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target="thinkpink">http://yahooo.s2.x-beat.com/linkvp/linkvp.html</a><br><HR><font
color=tomato face="Arial"><b>218.43.93.95 , p1095-air01kdtoyoshi.nagano.ocn.ne.jp ,
</b></font>

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れ、次の日、ののは二時間目がおわってからこっそりいなぎくんのみみ
　　　　　　　　のそばでいったのれす。「おそうじのとき、ちょっとはなしがあるのれ
　　　　　　　　ついてきてくらしゃい」って。
　　　　　　　　いなぎくんはいったとおりにきてくれたのれす。
　　　　　　　　ののがつれてったのはおんがくしつのすぐそばのかどっこれす。けっ
　　　　　　　　こう人がくるところなんれすけろ、ののはすぐにはなしがおわると思って
　　　　　　　　あんまりかんがえないでそこにしたのれす。いなぎくんはほうきをりょう
　　　　　　　　てにもって、はやくしろよってかんじのかおでののをみてたのれす。

　　　　　　　　ののはかんたんにいったのれす。
　　　　　　　　「しゅんたろうくん、すきな人いるんれすか？」
　　　　　　　　いなぎくんはちょっと目をきょろっとさせてから、じっと動かないでいたの
　　　　　　　　れす。ののはわくわくしながらいなぎくんの答えを待てずにいったのれす。
　　　　　　　　「――いないんれすね。じつはののがよんだのはしゅんたろうくんをすき
　　　　　　　　な人がいるってことをおしえるためなのれす。――それは
　　　　　　　　あーちゃんれす」
　　　　　　　　ていったのれす。
　　　　　　　　いま思うと、じぶんのことなんれすけろ、すごいいいかたれす。そんな
　　　　　　　　いいかたをしといて、ののはいなぎくんがあたまのうえで手をたたいて
　　　　　　　　よろこぶのをまってたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そしたら、とんでもねーこたえがかえってきたのれす。ほんとにとんで
　　　　　　　　もねー。。。いなぎくんはしばらくだまっててからキッてののをみたのれ
　　　　　　　　す。それからいつものきざなかんじをもっときざにしていったのれす。

　　　　　　　　――そんなこといわれてもこまる。だっておれ辻がすきなんだもん


∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ホントにそういったのれす。ホントに――おどろいたのれす。。。
　　　　　　　　こうゆうときっていっしゅん時間がとまったみたいに感じるんれすよね。
　　　　　　　　時間を感じるしょっかくがなんかいもその瞬間に戻ってからそのまま
　　　　　　　　切れてどっかにいっちまうって感じれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そういわれてののはきゅうにはずかしくなったんれすけど、ちょっともじ
　　　　　　　　もじしてたら血が足の下からもれてじめんにすいとられてってたおれそ
　　　　　　　　うになったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (;　´�D｀)＜…
　　　　　　　　あ、あーちゃんにどういえばいいんれすか？

　　　　　　　　

∋oノハヽo∈
　 (;　´�D｀)＜とっても予想外だったのれす。。。

＠ノハ＠
（；‘д‘）
　川;ｏ･-･)　＜…

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、あーちゃんにいうひつようはなかったのれす。らってあーちゃんは
　　　　　　　　すぐそばできいてたんれすから。きっとまどからおんがくしつにはいって
　　　　　　　　おんがくしつのなかからきいてたのれす。

　　　　　　　　ののはいなぎくんのまえからはしってにげたのです。なにもいわないで。
　　　　　　　　いなぎくんはおいかけてこなかったのれす。

　　　／) 　／)
　　/ 　⌒　 ヽ　　 ／￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　 | ●_　●　 |　＜ クソ餓鬼ども！！氏んでこい！！ ぴかぴか〜ピカ〜
　(〇 〜　 〇 |　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　/　　　　　　 |
　|　　　　 |_/

辻の怒涛の告白なんか胸に迫るものがあるね・・

うむ。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはまよったのれす。きょうしつでどんなかおしてまってるんだろうっ
　　　　　　　　ておもうとこわくなったのれす。でも、ののはあんまりよりみちしないで
　　　　　　　　きょうしつにはいったのれす。あーちゃんはきょうしつのすみにいたの
　　　　　　　　れす。めだかがおよぐすいそうがのったロッカーにからだをよっかから
　　　　　　　　せていたのれす。

　　　　　　　　あーちゃんはののをみてたのれす。その目はさっきあったことをみんな
　　　　　　　　しってる目だったのれす。ののは一回めをそらして、またあーちゃんを
　　　　　　　　みて「しまった」とおもったのれす。らってそんなふうにしたら、なんか
　　　　　　　　ののがわるいことしたみたいじゃないれすか。もちろん、ののはあーち
　　　　　　　　ゃんにとってもわるいことをしたんらとおもってたのれす。れも、まさか
　　　　　　　　。。。ねぇ。れんあいのこともわかんないけど、そういうことになったら
　　　　　　　　どんなきもちがするんれしょうか。

　　　　　　　　ののはひきずられるみたいにあーちゃんにちかづいていったのれす。
　　　　　　　　あーちゃんはいったのれす。「だめだったね」って。ののはついうなずいた
　　　　　　　　んれすけろ、すぐなんれあーちゃんがしってんのってあーちゃんの目を
　　　　　　　　みたのれす。
　　　　　　　　「ののがすきなんだってね。驚いちゃった。」
　　　　　　　　あーちゃんは不思議な目をしていったのれす。なんか、きれいなんれ
　　　　　　　　すけろ、いじっぱりでかわいそうな感じの。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜「あーちゃん、いたんれすか」
　　　　　　　　「ごめん、のの。ついていってみちゃったんだ」
　　　　　　　　「そうれすか…」
　　　　　　　　「いいよ、のの。あのコとつきあっても」　　　　　
　　　　　　　　つきあうって？ ののは目をまるくしたのれす。つきあうって何をするん
　　　　　　　　れすか？ ののにはよくわかんねーのれす。
　　　　　　　　「ほんとうはののもすきなんでしょう？」
　　　　　　　　なにをいってるんれすか、あーちゃん。いってるいみがわからねーの
　　　　　　　　れす。ののはいなぎくんをすきもなにもすきだってことがなんなのかも
　　　　　　　　わかんねーのれす。そんなこと、あーちゃんなら、ののを誰よりもしって
　　　　　　　　るあーちゃんならわかることれしょう？ あーちゃんはののをからかってる
　　　　　　　　んれすか？
　　　　　　　　…れも「わたしはあきらめる」ってあーちゃんはいうのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはわけもわからずうなずいていたのれす。あーちゃんがそういうん
　　　　　　　　だったらいいんだってののはおもったのれす。あーちゃんがほんとは
　　　　　　　　どんなふうに感じてるかってこと考えてるよゆうがののにはなかったの
　　　　　　　　れす。
　　　　　　　　それとあーちゃんのわたしはあきらめるってさいごのことばだけにのの
　　　　　　　　はうなずいたんれすけろ、あれってののもいなぎくんのことをすきだっ
　　　　　　　　てことにうなずいてるようにおもわれてもしょうがないタイミングらったの
　　　　　　　　れす。うなずく前もうなずいた後もののはそれに気づかなかったのれす。
　　　　　　　　きっとののはあーちゃんのきげんがわるくなるのをすごくこわがってたの
　　　　　　　　れす。たった何日間かのことなんれすけろ。。。
　　　　　　　　ののはそんなふうになってたのれす。

　

このスレが好き

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜目って不思議れすよね、あいぼん、あさ美ちゃん。目なんてそんなに
　　　　　　　　変わるもんじゃねーのれす。なみだ目になったり、まぶたが腫れたり
　　　　　　　　したら、わかりやすいれすけろ。。。もっとむずかしいこころのおくそこ
　　　　　　　　が見えるときがあるのれす。あれは見てるほうの心でそうみえるんれ
　　　　　　　　しょうか、それとも、ほんとに目からすごいちからが出て、そうみえるん
　　　　　　　　れしょうか。
　　　　　　　　ひょっとしたら、目だけじゃねーのかもしれないれすね。お話をしてたら
　　　　　　　　それまでどんなお話をしてたかとか、運動してたらどんな運動だったか
　　　　　　　　とか、暑いか寒いかとか、そうゆうことも関係あんのかもしれねーれす
　　　　　　　　ね。

　　　　　　　　それと、やっぱりきっとこっちの心も関係あるのれす。らって、まちがっ
　　　　　　　　てるときとかあるのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜一回、おかしかったんれすけど、小学生のとき、たしか3年生らったと
　　　　　　　　おもうんれすけど、ホームルームのときにとってもののはとってもおな
　　　　　　　　かがすいていたのれす。お昼はラーメンとチャーハンらったんれすけ
　　　　　　　　ど、なぜかその日ののののおなかはそれではたりなかったのれす。
　　　　　　　　
　　　　　　　　ラーメンはとうばんの人――その人はクラスで一番からだの大きい、
　　　　　　　　ジャイアンみたいな人だったんれすけどすごくやさしくて、給食とうばん
　　　　　　　　になると、ののがいっぱい食べるの知ってていっつもほかの人よりこ
　　　　　　　　っそり多めにしてくれたのれす。そのときも、ラーメンのチャーシューを
　　　　　　　　二枚いれてくれたのれす！ うまく重なってて見えにくかったんれすけ
　　　　　　　　どののはばれないかとおもってちょっとどっきりしたのれす。れも、その
　　　　　　　　子にののはアイコンタクトしてありがとうって心でいったのれす。
　　　　　　　　残念ながらチャーハンは別の人れふつうらったんれすけろ。。。ああ、
　　　　　　　　とってもいい人だったのれす。今どこにいるんれしょうね〜。あったら
　　　　　　　　一言あのときはありがとうっていいたいのれす。

　　　　　　　　――れも、れものののおなかは満足しなかったのれす。もっとめしを！
　　　　　　　　…ってなんか誰かえらい人がいってたような。

＠ノハ＠
（　‘д‘） ＜ゲーテやな
　川ｏ･-･)　＜ゲ、ゲーテですね。もっと光を…じゃなかったでしたっけ。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜もっと光をれしたか。…あれ？ あいぼん笑ってるんれすか。

　　　　　　　　――-れ、のののおなかはぺったんこになったのれす。あれれす、
　　　　　　　　おなかの皮と背中の皮がひっついたってやつれす。妖怪でいうと、
　　　　　　　　ひだる神にとりつかれたってやつれす。ののは先生のお話も左の耳か
　　　　　　　　らはいって右の耳から出て行く感じで、あさ美ちゃんに借りたまんがの
　　　　　　　　やつみたいにじぶんをたべちゃいそうにまでなっていたのれす。

Σ川ｏ･-･)ﾉ＜ワ、ワンピースのワポルですね！

　

　

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜へい、そうれす。そしたら、となりのおんなのこが心配そうに見てたの
　　　　　　　　れす。ののはすごくはずかしくなったんれすけど、そのおんなのこは
　　　　　　　　手を上げてみんなにいったのれす。
　　　　　　　　
　　　　　　　　「そういうふうに人を傷つけるようなはつげんはかいけつにならないと
　　　　　　　　思います！ そういう言葉はいったほうをきずつけるだけじゃなくて、そ
　　　　　　　　の場にいた人たち、あと、どっちの友達もいやな気分にさせると思いま
　　　　　　　　す。――辻さんもそう思うでしょう？ わたしは、わたしはこういうのやな
　　　　　　　　んです！」

　　　　　　　　その子はそういってから泣き出したのれす。その前のはつげんというの
　　　　　　　　を聞いてなくて、ののはなにがなんだかわからなかったのれす。ののは
　　　　　　　　めちゃくちゃあせったのれす。そのはつげんをしたおとこのこがいった
　　　　　　　　のれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜
　　　　　　　　「なにいってんだ。だって、そういう性格なんだからしかたねーだろう。
　　　　　　　　みんなそう思ってんだから。まず性格なおせっていってんだよ」

　　　　　　　　いわれたのはそのおんなのこらったのれす。「わたし、そんな性格じゃない
　　　　　　　　もん！ あんただって、そういう風に人の気持ちかんがえないでずけず
　　　　　　　　けいう性格なおしたら？」
　
　　　　　　　　そしたら、おとこのこは「はぁ？」っていって、もっとすごいことをおんな
　　　　　　　　のこにいいだしたのれす。もうののはどっちでもよかったんれすけど…
　　　　　　　　…どっちもひきさがらねーのれす。みんなまきこまれるのがこわくて、
　　　　　　　　だまってるのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そしたら、泣いたおんなのこがいったのれす。

　　　　　　　「だからやめてっていってんでしょう？ みんなもなんかいってよ。
　　　　　　　　――辻さん！」

　　　　　　　なんれ、ののなんれすか？！ ののはうつむいて何もいわなかったのれ
　　　　　　　す。らって…はずかしいのれす。
　　　　　　　れも、おとこのこが辻はどうおもうんだよ、っていったのれす。おまえなら、
　　　　　　　ほんとのこといえるだろうとかいうのれす。
　　　　　　　た、たしかにののはその子は苦手れしたけど。。。なんてゆうか、すごい
　　　　　　　仕切りたがりやらったのれす。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜しかたなくののはたったのれす。なんていおうか、かんがえたのれす。
　　　　　　　おんなのこ二人は泣きながら、ののをみてたのれす。おとこのこはすごい
　　　　　　　目、怒りすぎて赤くなった目でののを見てるし。。。――ののはののの
　　　　　　　ほんとのきもちをいうことにしたのれす。れも、そこでののはへなへなっ
　　　　　　　て力がなくなって、いすにケツがおちちまったのれす。そこで、先生が何
　　　　　　　かいったので助かったんれすけろ…
　　　　　　
　　　　　　　帰り際に、その泣いたおんなのこが何人かつれてののに話してきたのれ
　　　　　　　す。そんでいうのれす。

　　　　　　　「辻さん、ほんと中村も神崎さんもああいうところなおしたほうがいいよね。
　　　　　　　わたし辻さんがすごく悲しそうな目してたから、いってやったんだ。目が
　　　　　　　あったとき、辻さんがわたしにいってっていってるみたいだったから。。。
　　　　　　　ああいうのって嫌だよね」

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはその子のおちょぼ口がもっととんがってくちばしみたいになって
　　　　　　　　るのを見て、なんかすごく笑っちゃいそうになったのれす。そんときは
　　　　　　　　もうさっきゆった男の子にお菓子をこっそりわけてもらってたのれ、おな
　　　　　　　　かはすいてなくて余裕があったのれす。なんれ、そんなまちがいするん
　　　　　　　　らろ〜っておかしくて笑いが口からふきだしそうらったのれす。

　∋oノハヽo∈
　　 (　´�D｀)ﾉなにゆってるんれすか、あんときののはおなかがへってただけなのれす!

　　　　　　　　もちろん、いえなかったれすけろね。

  
 　　　　 
  　　　　 
 　　　 
  
  　 
 　　　 
 　　　　  

　

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――それと、ののがさっきいったあーちゃんの不思議な目のたとえは
　　　　　　　　そのときにののがかんじたことじゃないかもしれないのれす。らって
　　　　　　　　あとから話すと、どうなったかしっててあーちゃんのそのときのきもちを
　　　　　　　　かってに考えていってるかもしれねーのれす。らから、ほんとにののが
　　　　　　　　いいたいこと――ってゆうかいえることはそのときのあーちゃんの不思
　　　　　　　　議な目はほんとに不思議であーちゃんがどんなきもちかさっぱりわか
　　　　　　　　んない、はじめてみる目だったってことれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そのつぎの日れす。夏休みのけんきゅうを決める班別の話し合いがあ
　　　　　　　　ったのは。その日、ののはあーちゃんがののを無視しなかったので、
　　　　　　　　すごく安心してたのれす。なんかいっててなさけないれすけろ。。。
　　　　　　　　話し合いはけっこう長く話しててなんだかじかんがきて無理やりきめち
　　　　　　　　ゃったみたいだったのれす。ののは待ち合わせじかんとののがそれま
　　　　　　　　でにしらべておくことをメモしたのれす。

　　　　　　　　れ、いなぎくんれすけど、同じ班だったのれす。すごく気まずかったの
　　　　　　　　れす。ののは一言もはなしたくなかったんれすけろ、いなぎくんはなん
　　　　　　　　にもなかったみたいにはなしてくるのれす。らから、ののもついすまし
　　　　　　　　てこたえちまうのれす。あーちゃんがすぐそばにいるのれ、なんれもな
　　　　　　　　いんだってところを見せたいというのもあったのれす。あーちゃんは笑
　　　　　　　　顔がへったけろ、ののを無視したりはしなかったのれす。
　　　　　　　　らから、ののはあーちゃんはわかってくれたって、やっぱりごうじょうに
　　　　　　　　あーちゃんを信じようとしたのれす。夏休みの何日か前のことらったの
　　　　　　　　れす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜忘れもしねーのれす。とうかいどう線藤沢駅かいさつ口に10時に待ち
　　　　　　　　合わせらったのれす。夏休みになってからしばらくしてたんれすけろ、
　　　　　　　　ののはお母さんにたたき起こしてもらって朝早くおうちをでたのれす。

　　　　　　　　あさなのに太陽とアスファルトがすごく暑くてはさまれてタイヤキみたい
　　　　　　　　にこんがり焼けそうだったのれす。れも、ののは走ったのれす。小さい
　　　　　　　　ころってなんれあんなにげんきで、無駄なことがすきなんれすかね〜。
　　　　　　　　バス停までのみちに、草がぼうぼうに生えてブロックのへいの穴から
　　　　　　　　葉っぱがぴょこぴょこ出てるところがあって、ののはそこを通るとき
　　　　　　　　いつもはたいていくんれすけろ、その日も急いでるのにわすれずに
　　　　　　　　ぱちぱちはたいていったのれす。ののはよくそれをするとき、うたを
　　　　　　　　うたってたのれす。らって、そうすると葉っぱといっしょにうたをうたって
　　　　　　　　るみたいれとってもたのしいのれす。ぼうっきれをもってるときもあった
　　　　　　　　のれすけろ、それらと葉っぱがいたそうなのれ、そういうときは塀とか
　　　　　　　　じめんをたたくのれす。ぱちんぱちんて。たしか、そのときラブソングも
　　　　　　　　うたったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜♪きゃにゅせれぶれ〜ぃ　きゃにゅひあとぅとぅなぁ〜い　うい〜ん
　　　　　　　　うぃろん　ろん　ろんたいん

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはふりをおぼえるのがとっても得意れしたから、ふりももちろん
　　　　　　　　つけてるのれす。その年のおたんじょう会はもりあがったれすね〜。
　　　　　　　　こうやって、

　　　　　　　　♪きゃにゅせれぶれ〜ぃ　きゃにゅひあとぅとぅなぁ〜い　うい〜ん
　　　　　　　　うぃろん　ろん　ろんたいん

あ

∧＿∧ ====
　　　　　

　

　

　

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜。。。？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あれ？ こう。。。こうれしたっけ。
　　　　　　　　――このうたってふりほとんどねーれすね。　　ﾃﾍﾃﾍ

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――とうかいどう線の電車にのってるときはすごくどきどきしてたのれ
　　　　　　　　す。らって、はじめてのる電車らったのれす。のった電車がもし違った
　　　　　　　　らどうしようとか、もう通りすぎてたらどうしようとか、駅につくたんびに
　　　　　　　　どの駅か見てたのれす。電車はすずしかったんれすけろ、ののは
　　　　　　　　じっとりももの下に汗をかいてたのれす。ああいうとき、電車にのってる
　　　　　　　　大人の人がすごくこわくかんじるんれすよね。

　　　　　　　　駅についたのは10分前くらいらったのれす。ののは改札口にいくのに
　　　　　　　　も大冒険をしてるようなきもちだったのれす。電車の外に出ると、むわっ
　　　　　　　　とあつくて夏のあついのに首をつかまれて引きずり出されたみたいに
　　　　　　　　なったのれす。れも、10分前につけたのがうれしくてののはおどっちま
　　　　　　　　いそうらったのれす。改札口にだれもいなかったのが、またののをうれ
　　　　　　　　しくしたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜みんながきたら「おそいれすよ」っていってやるのれす！
　　　　　　　　そうかんがえただけで、ののはおなかのそこがくすぐったいぐらいらっ
　　　　　　　　たのれす。一番にくるのなんてあんまりないからののにはほんとに
　　　　　　　　すごいことらったのれす。

　　　　　　　　……れも、10時になってもだれもこなかったのれす。ののは改札口
　　　　　　　　がべつのところにあると思って、あちこちあるきまわって駅を何周もした
　　　　　　　　のれす。すっごいすっごい不安がののをぶるぶるゆすったのれす。
　　　　　　　　「あれ〜おかしいなぁ」「11時だったかなぁ」とかいっぱいいっぱいひとり
　　　　　　　　ごとをいったのれす。

　　　　　　　　10分ぐらいたったときにあーちゃんのおうちに電話したのれす。
　　　　　　　　あーちゃんのおかあさんはすぐにでたんれすけど、前みたいにとっても
　　　　　　　　冷たいかんじの声で「もう出た」っていうのれす。れ、「どこにいくっつっ
　　　　　　　　てたれすか？」ってきいたんれすけろ、「知らないわ」ってだるそうに答
　　　　　　　　えて電話をきっちまったのれす。
　　　　　　　　ののはおうちに電話したのれす。お母さんに「電話なかった？」ってきい
　　　　　　　　たんれすけろ、ないっていったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはじゅわきをおいたら目がかわいたみたいになったのにきづいて、
　　　　　　　　一回はなをすすって、それから口の中のつばをべろと口の天井の間で
　　　　　　　　動かして、それで口をはりねずみみたいにとがらせたのれす。ののの
　　　　　　　　目にこうしゅう電話のみどりいろと黒いよごれがすごくはっきり見えて、
　　　　　　　　どっかからやってくる車の排気ガスのにおいがはなに入ってきたのれ
　　　　　　　　す。そんれ、のののくちびるがとんがったときに、ののは体と心がひき
　　　　　　　　さかれたようにかんじたのれす。一瞬心がどっかにとんでっちまったみ
　　　　　　　　たいなのれす。「えっ？」て体がきいてたのれす。れも、心はもうのの
　　　　　　　　の体の中になかったのれす。
　　　　　　　　汗がぶわってでてきたのれす。まわりがうそみたいに暑くなったのれ
　　　　　　　　す。汗はひっきりなしに出てあっとゆうまにののの体は水をかぶったみ
　　　　　　　　たいになったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜みんなどこに？ なんれみんなこないんれしょう？ なんれ、なんれ。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜とっても暑くて体だけじゃなくて、心もとかしてしまいそうらったのれす。
　　　　　　　　そのときのののにはそうなっちまったほうがよかったんれすけろ。。。
　　　　　　　　ののはそれでも改札口のむこうをずっと見てたのれす。人がいっぱい
　　　　　　　　とおるんれすけろ、ほんとうに一人も見逃さずに顔を見たのれす。れも、
　　　　　　　　杉田君も青山さんもこねーのれす――あ、同じ班らった人れす。
　　　　　　　　ののは……たちつくしてたんれすけろ、頭の横に二つにしばった髪の間
　　　　　　　　から汗がするする抜け出てくるのが気持ちわるくて、やっと体を動かす
　　　　　　　　ことにしたのれす。そのときの体がどれくらい重かったか、ののはすぐ
　　　　　　　　に思い出せるのれす。ほんとうにいやなきおくなのれす。よくまんがに
　　　　　　　　でてくるさびだらけのロボットみたいらったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののは変なふうに考えないようにしようとしたのれす。よわっちいみたい
　　　　　　　　なんれすけろ、ののはもう人をうたがうのがいやらったのれす。「だれが
　　　　　　　　？」とかかんがえるとじぶんのあたまをぶちたくなったのれす。あさ美
　　　　　　　　ちゃんみたいにロッカーに頭をぶつけたくなるのれす。

　　　　　　　　――れも、れもだれもいないんれす。
　　　　　　　　ののはどこにいきゃいいんれすか？ みんなけんきゅうはどうするの？
　　　　　　　　ののは何がなんだかわからなくなったのれす。かんがえることもやめた
　　　　　　　　くなったのれす。涙もでなかったのれす。らって、何がなんだかわかん
　　　　　　　　なかったんれすから。。。涙をながしていいのかもわからなかったの
　　　　　　　　れす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはこわかったんれす。もうあいぼんもあさ美ちゃんももうわかって
　　　　　　　　るとおもうんれすけろ、それはあーちゃんがやったことれした。あとに
　　　　　　　　なってののはほかの子にきいたのれす。その日の何日かまえにあー
　　　　　　　　ちゃんが何人かと会って少し前の日に決めて、もういっちまってたのれす。
　　　　　　　　のののことはみんなあーちゃんが説明してたのれす。
　　　　　　　　ののはお母さんに電話して電話ばんごうをきいてから、ほかの子のお
　　　　　　　　うちに電話したのれす。そしたらその日、ののはすごいなつかぜをひい
　　　　　　　　たことになってこなかったことになってたのれす。電話した相手の子が
　　　　　　　　大丈夫らった？ってきいたのれ、ののはなんとなくうんってこたえちま
　　　　　　　　ったのれす。
　　　　　　　　――ののがかぜ？
　　　　　　　　ののは思わずいっちまったのれす。「それって、あーちゃんがつたえて
　　　　　　　　くれたんれすよね〜？」って。――あ〜、なんれそんなこと、そんなふう
　　　　　　　　にきいちまったんらろ〜。
　　　　　　　　れも、そしたら、その子はそうだっていったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜なんれあーちゃんはそんなこといったんれしょうか。。。やっぱりあのい
　　　　　　　　なぎくんがすきらったかられす。ののはどんかんらったのれす。あの
　　　　　　　　あともいなぎくんとしゃべってたし、あーちゃんのきもちをこれっぽっち
　　　　　　　　もかんがえてなかったし…むしんけいらったのれす。
　　　　　　　　ののはあーちゃんを傷つけようなんてぜんぜん思ってなかったんれす
　　　　　　　　けろ。。。ほんとにバカれすね。けっきょく、あーちゃんを傷つけてたん
　　　　　　　　れすね。
　　　　　　　　恋っていちばん大事な人ができるってことれすよね。そのときのあーち
　　　　　　　　ゃんのいちばん大事な人はいなぎくんらったんれすね。ののじゃなくて
　　　　　　　　。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、ののはそんなのわからなかったのれす。ののはただ、前みたい
　　　　　　　　に。。。前みたいに。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜。。。

ここのののたんの言葉はすごいね・・・

落ちませんように

>>323
加護同。

　

　

　

ヽ（`Д´）ﾉ ｳﾜｧｧｧﾝ

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜駅でののは改札口の向こうの顔がだんだんぼやけてくるのに気づいた
　　　　　　　　のれす。顔がぐにゃぐにゃになっていってみんなおんなじ顔になりそう
　　　　　　　　なのれす。ののはいっかいきつ〜くまぶたをとじたのれす。泣いちゃい
　　　　　　　　けないって。れも、そしたら涙が二つぶこぼれちまったのれす。
　　　　　　　　おっきいのが。
　　　　　　　　
　　　　　　　　「あ、だめだ」
　　　　　　　　って思ったのれす。ここにいちゃだめだ。

　　　　　　　　ののはいじっぱりになったのれす。……このまま帰ったら、あーちゃん
　　　　　　　　とじぶんにまけたことになるって思ったのれす。なんれそんなふうに考
　　　　　　　　えたのか、あんまりよくおぼえてねーんれすけろ。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんにたいしてムカついてたのはほんとれすね。らって……
　　　　　　　　あんまりれすから。ののはほんとはじらんらふんれ、はぎしりしてくやし
　　　　　　　　がりたかったのれす。目と口から火がふきだして、でっかくなってビル
　　　　　　　　をめちゃくちゃにぶっこわしたかったのれす。
　　　　　　　　あのときのあーちゃんのことばはなんらったんれすか？ 花だんの前で
　　　　　　　　いってくれたことば。。。好きな人のことだとあんなかんじになるんれす
　　　　　　　　か、みんな？ それとも、はじめからののにじぶんのことをコクらせるた
　　　　　　　　めにあんなこといったんれすか？　あの涙はうその涙らったんれすか？
　　　　　　　　だとしたらだとしたら、あーちゃんはそんな――ひどい人らったんれす
　　　　　　　　ね。ののはそんなひどい人をすきらったんれすね。。。
　　　　　　　　
　　　　　　　　――れも！ れもののはあーちゃんをしんじたいのれす。あーちゃん、
　　　　　　　　今ここに来てなんれこんなことをしたのか教えてほしいのれす。なんか
　　　　　　　　りゆうがあったんれしょう？ そうじゃなきゃそんなことできねーはずれ
　　　　　　　　しょう？ ののはあーちゃんの親友れすよね？ そうらよね？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜それとも、やっぱりあの目は…ギリシャのお化けの目みたいな目は
　　　　　　　　あーちゃんの持ち物らったんれすか？ あーちゃんのいってたあくまの
　　　　　　　　ものじゃなくて。あーちゃんがののにそれを向けたんれすか？ あーち
　　　　　　　　ゃんはののを敵にするつもりらんれすか？ ののを…。
　　　　　　　　ｼｮﾝﾅことできるもんなんれすか！？ あーちゃん、ののはどんなこと
　　　　　　　　があったって、きっとすきな人ができたってあーちゃんと仲良くやってけ
　　　　　　　　るのれす。きっと…

　　　　　　　　ののは前にかんじたいかりよりももっとおっきないかりをかんじれたの
　　　　　　　　れす。かんじれたってゆうとなんか変れすけろ…じぶんでもどうにもな
　　　　　　　　んないくらいのいかりれ、目の前がちかちかしたのれす。ぎゅ〜って、
　　　　　　　　あのなみだがいっぱいでてきたときに感じた目のうしろのいたみのとこ
　　　　　　　　ろにののの血があつまって、目の前がちかちかちかちかって。なんか
　　　　　　　　からだがあんまりののがおこってるからたえられないみたいらったの
　　　　　　　　れす。

4

移転＆圧縮の荒波も乗り越えますた。作者様、期待しておりますので今後ともよろしく。。。

落ちなくて良かった・・・・

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、今思い出してみると、そのときのののはそういうきもちをふしぎに
　　　　　　　　おさえつけてたのれす。――じぶんでおこってるのはわかってるんれ
　　　　　　　　すけろ、ののはただかんたんに「まけてらんない！」っておもうようにし
　　　　　　　　たのれす。あらしの前のしずけさみたいなもんなんれしょうか。。。
　　　　　　　　こわいくらいのしずけさらったんれすけろ。。。ぴりぴりしたしずけさと
　　　　　　　　ゆうか……うまくいえねーのれす――ののの心がとんがって、とんがり
　　　　　　　　すぎてあぶないんれすけろ、なにかにあたったらじぶんもかんたんに
　　　　　　　　おれちゃうってかんじれ。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはずんずん藤沢の町を歩いていったのれす。いちおう地図をもって
　　　　　　　　たので、とちゅうですわってじっくり道をしらべたのれす。だいたいの
　　　　　　　　ばしょはその地図にしるしをつけてわかってたつもりらったのれす

　　　　　　　　あつくてくらくらしたのれす。むぎわらぼうしをかぶってたんれすけろ、
　　　　　　　　ぼうしの中で脳みそがとけそうらったのれす。歩いてると汗をめいい
　　　　　　　　っぱいすった服がとってもきもちわるかったのれす。ぼわーってなんて
　　　　　　　　ゆうんれしたっけ、――そうら陽炎、 陽炎がいろんなものをゆらゆら
　　　　　　　　ゆらしてたのれす。せみもすごかったれす。藤沢っていっぱい木が
　　　　　　　　あって、どれぐらいいるんだろうってぐらいのいっぱいのせみに囲まれ
　　　　　　　　て、なんかおこられてるみたいらったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、ののは迷っちまったのれす。なんか川があって、そこに短い橋が
　　　　　　　　かかってたのれす。白いレンガみたいなのがしいてある道があって川
　　　　　　　　と橋と空といっしょになってすごくきれいらったんれすけろ、あつくてのの
　　　　　　　　はそれどころじゃなかったのれす。
　　　　　　　　ののは坂を上ってたのれす。その道がどこにつづいてるのかはもう
　　　　　　　　かんがえなくなってたのれす。ずっとまよってるとむかむかしてきて、
　　　　　　　　まよわせたヤツに文句いうつもりでどこにいったっていいのれすって
　　　　　　　　気にならないれすか？ ののはちょうどそうゆうじかんらったのれす。

壱日壱保。

１hozen/24h

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そういえば、坂にのぼりはじめたとき、坂をおりてく自転車と、
　　　　　　　　のぼっていく自転車がののをよけようとしたんれすけろ、同じほうに
　　　　　　　　よけたせいでぶつかりそうになったのれす。坂を下ってた自転車には
　　　　　　　　おばさんが乗ってて、のぼってくほうは中学生くらいの男の子がのって
　　　　　　　　たのれす。
　　　　　　　　男の子はおばさんをにらんだのれす。れも、おばさんもぜんぜんこわ
　　　　　　　　がらなくて、男の子が「坂なんだからスピード落とせよ、あぶねーだろ」
　　　　　　　　っていったら、おばさんが「落としてたわよ。あなたこそ、ちゃんと前見
　　　　　　　　なさいよ」みたいなこといったのれす。ののはなんとなく悪いな〜って
　　　　　　　　思って二人をぼうっと見てたのれす。だんだん男の子の声が大きくな
　　　　　　　　っていったんれすけど、おばさんはやっぱりぜんぜんまけてなかった
　　　　　　　　のれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜通る人がみんなじろじろ三人を見ていったのれす。二人はのののこと
　　　　　　　　に気づいてないみたいにずっと言い合いしてたのれす。二人からやす
　　　　　　　　らさんみたいに汗がとびちりそうらったのれす。そしたら、おじいさんが
　　　　　　　　一人坂をおりてきて、通り過ぎるときにぼそっといったのれす。
　　　　　　　　「こんな子供の前でみっともない」
　　　　　　　　そんで、ののに向かって「かわいそうにな〜」っていったのれす。男の
　　　　　　　　子は何かおじいさんにいおうとしたんれすけろ、ののの顔を見てから
　　　　　　　　やめたみたいれした。おばさんの顔をみたら、おばさんもののを見てた
　　　　　　　　のれす。二人ともののを見てののをやっと思い出したみたいれした。
　　　　　　　　二人はののを何もいわないでしばらく見てたのれす。ののはだるいし、
　　　　　　　　恥ずかしいしれ、うつむいてスカートのすそをくしゃくしゃにしてたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そしたら、男の子が「気をつけろ」っておばさんにセキするみたいにいっ
　　　　　　　　てから自転車にまたがったのれす。おばさんも、「ごめんね」ってのの
　　　　　　　　にいって恥ずかしそうに坂をおりてったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ここはsageすぎで下がりすぎなのれす

>>351
でもageると一気に荒らされちゃうよののたん

みんな！ごめん　　age

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののは二人をじっと見送ってから、また坂を上りだしたのれす。お湯み
　　　　　　　　たいにあつくなった頭んなかれ二人のいったこととかかおとか、体つき
　　　　　　　　とかちょっとおもいうかべたのれす。れも、そんときのののはそれを何
　　　　　　　　の関係もないことらって思ったのれす。二人の、なんか、あのときの
　　　　　　　　あつさといっしょみたいな、どろどろとけそうなきもちがすごくわかるみ
　　　　　　　　たいなんれすけろ、ののにはどうれもよかったのれす。どうれもいいっ
　　　　　　　　て、それでそのことはのののなかれぜんぶおわっちまったのれす。
　　　　　　　　はじめから何もなかったのれす。

　　　　　　　　ののはどうしてもおはかを見つけなきゃいけなかったのれす。おはかを
　　　　　　　　見つけられなかったら――ううん、そんときそんなことこわくて考えら
　　　　　　　　れなかったのれす。
　　　　　　　　ののがのぼってた坂の先には大きな寺があったのれす。たしかゆ、
　　　　　　　　ゆ――。
　　　　　　　　んーと。。。あさ美ちゃん、わかりますか？

川;ｏ･-･)　＜…

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜うーん。。。

　　　　　　　　あ!　思い出した。ゆぎょう寺れす。ゆぎょう寺にいったのれす。そこは
　　　　　　　　ほんとにおっきな寺らったのれす。こまかい砂利がしいてあって歩くと
　　　　　　　　シャクシャクなって気持ちよかったのれす。入ってすぐ左にくようとうが
　　　　　　　　あるのれす。それが「テキミカタクヨウトウ」なのれす。

＠ノハ＠
（；‘д‘） ＜のの、よくしってんなぁ。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜へへへ。らって、ののは「テキミカタクヨウトウ」の前にあった背中の
　　　　　　　　ところがこわれた、水色のベンチにずっと座って涼んでたんれすから。
　　　　　　　　すごいせみの声らったなぁ。クスの木らったっけ。。。すんごいえだで
　　　　　　　　おっきな影をつくってたのれす。たまにシャクシャク音たてて人が寺に
　　　　　　　　入ってくるのれす。リッパな本堂が入って右のほうにあって。。。たしか
　　　　　　　　カイヅカだかマキらかわかんねーれすけろこいみどりいろの真ん丸
　　　　　　　　い植木があったれすね〜

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あと、「テキミカタクヨウトウ」の前にちっちゃな掘っ立て小屋があったの
　　　　　　　　れす。――うん、たしか、掘っ立て小屋らったのれす。らってそこには
　　　　　　　　そだいごみみたいなせんたく機があって、しょぼくれた犬が一匹つながれ
　　　　　　　　てたのれす。その前に水道があってきっとそこに住んでるおばあさん
　　　　　　　　がまいたんれす、じめんがそこだけめちゃめちゃぬれてたのれす。掘
　　　　　　　　っ立て小屋のいりぐちにはいっぱい植木鉢があるんれすれろ、それは
　　　　　　　　手作りのたなにびっちりのせられてたのれす。

「n日ルール」対策保。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののは汗が少しおさまったんれ、ワンちゃんのところにいったのれす。
　　　　　　　　ワンちゃんはとしとってるみたいれ、毛がごわごわしててつやがなかっ
　　　　　　　　たのれす。なでてあげたんれすけろ、鼻をいっかいのろのろののの
　　　　　　　　手につけただけでもう何も反応しなくなったのれす。
　　　　　　　　ののは「あっついね〜」ってワンちゃんにいったのれす。
　　　　　　　　「かわいそうだね、君わ〜。ずっとつながれてて涼しいところにいけない
　　　　　　　　んらもんね。かわいそうらね」って。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののが飼いぬしらったクーラーのきいた、すずしいおうちの中にいれて
　　　　　　　　やるんれすけろって思ったのれす。れも、ののがじっとワンちゃんを見
　　　　　　　　てたら小屋のおばあちゃんが出てきたのれす。おばあちゃんは目が見
　　　　　　　　えないみたいにゆっくり花とぼんさいのあいだをでてきておうちの反対
　　　　　　　　がわにいったのれす。おばあちゃんはそこにたけぼうきをとりにいった
　　　　　　　　のれす。れ、そのとき、ののはおうちの中を見ちまったのれす。ピンク
　　　　　　　　色のそうじきが玄関をあがったところにあっていろんな色の服がそれ
　　　　　　　　にのってたのれす。そんれ、そのすぐ向こうがわにへやがあって、そ
　　　　　　　　こにあったまどから反対がわのもみじが見えたのれす。黒っぽい緑
　　　　　　　　の葉っぱらったのれす。まどはしまってなかったのれす。へやのな
　　　　　　　　かにはせんぷうきも見えなくてなんかそこらけ夏とか春とかそうゆう
　　　　　　　　のがないみたいれした。
　　　　　　　　たたみにはふとんがしいてあったのれす。ふとんのよこにおぼんが
　　　　　　　　おいてあって、そこにきゅうすと湯のみがあったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜たたみにはふとんがしいてあったのれす。ふとんのよこにおぼんがお
　　　　　　　　いてあって、そこにきゅうすと湯のみがあったのれす。
　　　　　　　　ののはなんでかおうちの中をずっと見てたのれす。そしたら、おばあち
　　　　　　　　ゃんがたけぼうきをもって戻ってきたのれす。ののがおうちの中をのぞ
　　　　　　　　いてるのを見ておばあちゃんは少しいやそうな顔をしたのれす。ウソ
　　　　　　　　みたいにしわくちゃのかおらったのれす。れも、いっぱいのしわは糸が
　　　　　　　　ひもになるみたいに合わさって太いしわになっておばあちゃんの顔を
　　　　　　　　変えたのれす。ののはパッて立ち上がっておじぎしてそれから逃げた
　　　　　　　　のれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはなんにも考えずに走ったのれす。転がるみたいにお寺から出
　　　　　　　　ると、さっき通ったはずのところがなんらか黒いけむりの中にいるみた
　　　　　　　　いに汚かったのれす。ガードレールも水色の歩道橋の柱もすんごく汚
　　　　　　　　かったのれす。お空も晴れてるのに曇ったみたいらったのれす。
　　　　　　　　道がゆらゆら海の水みたいに揺れて、ののは何度もころびそうになった
　　　　　　　　のれす。おぼれるはずはねーのれすけろ、ころんだらおぼれそうらった
　　　　　　　　のれす。だんだんののはじぶんがなんれ走ってるのかわからなくなっ
　　　　　　　　たのれす。ののが走ってるわけとののが藤沢にひとりでいるわけが
　　　　　　　　ごっちゃごちゃになったのれす。
　　　　　　　　――なんれ？
　　　　　　　　ののは走るのをやめたのれす。とぼとぼ歩いたのれす。
　　　　　　　　――ののは何をしてるんらろ〜

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののは白いワンピースを着てたのれす。汚れてて、空気もべちゃっとし
　　　　　　　　てるみたいなところれ、のののワンピースがすごくまぶしかったのれす。
　　　　　　　　そのワンピースはそのときののがあんまり着ないようにしてた洋服らっ
　　　　　　　　たのれす。6月ののののおたんじょう会でののはそれをはじめて着たの
　　　　　　　　れす。あーちゃんもとっても似合うっていってくれたものらったんれす。


∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜……

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののは公園があったのれ、そこにふらふら入ってったのれす。
　　　　　　　　ののはもうそこから早くかえりたかったのれす。ののが一人なのがそこ
　　　　　　　　のせいみたいに思えたのれす。ののは藤沢にののをひとりぼっちにし
　　　　　　　　やがって〜ってどなりつけてやりたかったのれす。

帆。

穂。

ほ

保

ホ

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、そんなことしてもむだなのれす。ののは公園の近くのコンビニに
　　　　　　　　入ってから、アイスをかったのれす。公園にもどってからアイスをいっ
　　　　　　　　しょうけんめいたべたのれす。アイスはとってもおいしかったのれす。
　　　　　　　　とってもあつかったってゆうのと――やっぱりものをたべてるときは
　　　　　　　　ののはいつだってしあわせなのれす。バニラのアイスらったんれす
　　　　　　　　けろ、ののはたべおわってから、「あ〜おいしかった」ってひとりごとを
　　　　　　　　いったのれす。
　　　　　　　　れも、だんだん口の中のしあわせはなくなっていくのれす。そしたら、
　　　　　　　　またいやなきもちがもどってきたのれす。
　　　　　　　　そのきもちはののの心をさらっていじめたのれす。

　　　　　「だれもいないよ」
　　　　　「だれもこないよ」
　　　　　「あーちゃんはののをきらいなんだよ」
　　　　　「あーちゃんはのののことをともだちなんておもってないよ。そんなこといままでだっ
　　　　　　て一度もおもったことないよ」
　　　　　「ののってバカだよね〜」

∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜や、やめてくらしゃい!

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんはなんれこんなことしたんらろ〜。ののがいなぎくんにすき
　　　　　　　　らっていわれたかられすか？ れもそんなのののの、のののせいじゃ
　　　　　　　　ねーのれす。らって、ののはいなぎくんのことすきらっておもったこと
　　　　　　　　ねーのれす。…きらいじゃねーれすけろ、それは恋とかそうゆうのとは
　　　　　　　　かんけーねーのれす。あーちゃんいったじゃないれすか、「わたしには
　　　　　　　　ののしかいなかった」って。あれはほんとのことじゃなかったのれすか。
　　　　　　　　あのときのあーちゃんのなみだをののはしんじたいのれす。あーちゃん
　　　　　　　　のあのときのことばはみんな、なんてゆうか軽かったのれす。ちょうちょ
　　　　　　　　みたいにきれいにふわふわとんでたのれす。れも、つかまえるときっと
　　　　　　　　それはちょうちょの体はなくて、つくりもののにせものなんらってわかる
　　　　　　　　のれす。らから、ののはちょうちょをつかまえないでみてたのれす。
　　　　　　　　ののはあれはちょうちょだってしんじたかったのれす。らってあーちゃん
　　　　　　　　のなみだがちょうちょらってゆうんれすから。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんはののにいっぱいゆめを話してくれたのれす。ほんとに
　　　　　　　　子供の、わたがしみたいに甘いゆめをいっぱいきかせてくれたのれす。
　　　　　　　　ちっちゃいとき、ののは一週間後にはかわっちゃう、あーちゃんのゆめ
　　　　　　　　をおおまじめに聞いてたのれす。らってののにはそんな、両手にいっぱ
　　　　　　　　いってゆう感じのゆめはもてなかったのれすから。。。あんときののの
　　　　　　　　はじぶんが年とることなんてかんがえられなかったくらいなのれす。
　　　　　　　　いつまでもじぶんが子供のままでいるってそんな気がしてたのれす。

　　　　　　　　あいぼんとあさ美ちゃんはどうだったれすか？ いつか大人になるって
　　　　　　　　言われてもピンとこねーのれす。なんか今思い出すとこどものときって
　　　　　　　　ほんとにゆめの国にいるみたいなのれす。おもしろいこと、かなしいこ
　　　　　　　　と、みんなほんとのことばっかりれ、れも、なんでもねがいごとがかな
　　　　　　　　っちまいそうれ。。。いっかいゆめをみたら、そのゆめはほんとにかなっ
　　　　　　　　ちゃったってくらいになっちまうのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――うまくいえねーれすけろ、サンタさんがいるって信じたり、人形とか
　　　　　　　　ぬいぐるみが生きてるって思うのと似てるのれす。それはうそとはちが
　　　　　　　　って、子供たちのせかいではほんとのことなのれす。きっとだれもそれ
　　　　　　　　をうそらってゆうことはできねーのれす。ほんとの童話の世界ってゆう
　　　　　　　　か。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あんときのののはしょうらいのことってゆうと、およめさんとか、お姫さま
　　　　　　　　とかほんとの世界と童話の世界のどっちかわからないようなゆめばっ
　　　　　　　　かり見てたのれす。そのゆめは寝てるときのゆめよりもぼんやりして
　　　　　　　　て、ただ「およめさん」とか「お姫さま」ってゆうなまえのぶんだけのそう
　　　　　　　　ぞうがあるだけみたいな感じれ。。。

ホ

ほ

穂

.

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜らから、あーちゃんが目に見えるくらいにはっきりとくわしくゆめのことを
　　　　　　　　はなしてくれるとののはこころがうきうきしたのれす。ののはゆめをみる
　　　　　　　　ってことがすてきなかことらってこと、あーちゃんにおしえてもらったよう
　　　　　　　　なもんなのれす。あの公園れもあーちゃんは話してくれたのれす。
　　　　　　　　いろんなゆめ。。。保母さん、アイドル、先生。。。
　　　　　　　　スチュワーデスになりたいっていってたこともあったのれす。今思うと、
　　　　　　　　ちょっと前に見たテレビのドラマとかできめてたみたいなんれすけろ。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜陸上のせんしゅになりたいっていわれたときは困ったのれす。らって、
　　　　　　　　ののといっしょに今かられんしゅうするって言うのれす。あんときのの
　　　　　　　　はへとへとになっちまったのれす。一日10キロ走るとかいって、ののに
　　　　　　　　はもうどこらかわかんねーところまでいっちまったのれす。ののはへと
　　　　　　　　へとらし、道もわかんねーしれ泣きそうになったのれす。
　　　　　　　　れも、ふしぎとあーちゃんは絶対に道にまよわねーのれす。ののの手を
　　　　　　　　ひっぱってずんずん歩いて、たまにののを元気付けてくれるのれす。

　　　　　　　　――あんときのけしきはよく思い出したのれす。川の近くで犬の散歩し
　　　　　　　　てるおじちゃんがいて、ジョギングしてるお姉さんがいて、土手に座って
　　　　　　　　大声で話してる若い男の人が二人いたのれす。日がくれかかってて、
　　　　　　　　みんな黒っぽい色をしてたのれす。目がかすんだみたいれみんな
　　　　　　　　はっきりみえねーのれす。そしたら「君たち危ないからすぐ帰りな」って
　　　　　　　　ゆう声が聞こえたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜男の人らったのれす。れも、黒っぽくて顔はよくおぼえてねーのれす。
　　　　　　　　若くて、なんかマスクをしてるみたいにこもった感じの声らったのれす。
　　　　　　　　あーちゃんは――なんて答えたかは覚えてねーのれす、手をおっきく
　　　　　　　　振って大丈夫らってやったのれす。ののはあーちゃんの腕にしがみつ
　　　　　　　　いてたのれす。なんらか怖かったのれす。あーちゃんが手を振ったら
　　　　　　　　男の人は「気をつけるんだよ」ってゆってから土手の下におりてったの
　　　　　　　　れす。土手の下はほんとに光がとどいてないみたいれ、男の人を見て
　　　　　　　　たら、なんか暗いところにすーっととけてくみたいに見えたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜。。。あんときのことをなんれずっとおぼえてるのかよくわかんねーの
　　　　　　　　れす。さびしくなったときにふって感じで思い出すのれす。そうゆうけし
　　　　　　　　きってねーれすか。なんれ、これおもいだすんらろ〜ってゆう。。。
　　　　　　　　ののはあんときのことを思い出すと、とってもさびしくなるのれす。
　　　　　　　　あーちゃんとはいっぱいたのしい思い出があるんれすけろ、なんれ
　　　　　　　　あんなさびしかったときのこと思い出すんらろ〜。これを思い出してさ
　　　　　　　　びしくなって、ののはさびしい気分らったんだってきづくのれす。
　　　　　　　　そうゆうことってねーれすか。

　

チャーリィ・ゴードンですな。
いい加減頭よくなれよ。

ほ

.

.

ﾎ

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜・・・

　　　　　　　　――ねえ、あーちゃん。ののはあーちゃんのゆめが好きらったのれす。
　　　　　　　　あーちゃんはのののあこがれらったんれすから。ゆめをいっぱい持って
　　　　　　　　るあーちゃんはののよりもぜんぜん大人らったのれす。「げんじつ」を
　　　　　　　　ちゃんとわかってる大人らったのれす。れも、ののはあーちゃんをライ
　　　　　　　　バルらと思ってたかもしれねーのれす。ぜんぜんかなわねーと思って
　　　　　　　　たんれすけろ、ライバルらと思ってたかもしれねーのれす。
　　　　　　　　今、ののはめちゃくちゃなこといってるかもしれねーれすけろ――あこ
　　　　　　　　がれとライバルらと思ってる気持ちがののの心のなかにはあったのれ
　　　　　　　　す。あーちゃんはどうらったれすか。
　　　　　　　　ののとぜんぜんぎゃくれすか？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃん、ののにゆめを話してるとき何を思いながら話してたのれす
　　　　　　　　か。ののはただの話相手らったんれすか？ ののがあーちゃんのゆめ
　　　　　　　　をきいて目をきらきらさせてるときに、心んなかれあーちゃんはののを
　　　　　　　　見下してたんれすか？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜……マラソンのれんしゅうして、いっしょに土手あるいてるときあーちゃ
　　　　　　　　んは何をかんがえてたんらろ〜。ののはあれから何回もあんときのこ
　　　　　　　　とを思い出したのれす。やっぱりあれらって大切なののとあーちゃんの
　　　　　　　　思い出なのれす。はっきりいって楽しくはなかったのれす。――ちょっと
　　　　　　　　困っちまったしゅんかんもあったのれす。あーちゃんはわがままらって
　　　　　　　　あたまにきたしゅんかんもあったのれす。
　　　　　　　　れも、ののはあんときあーちゃんがゆめのために走ってて、ののに力を
　　　　　　　　かしてほしいから、ののに元気付けてほしいからののといっしょに走って
　　　　　　　　るんらって思ってたのれす。らから、いっしょに走ったのれす、何キロも。
　　　　　　　　あーちゃんのゆうこときかねーと怒られるから、とかそんなことおもわね
　　　　　　　　ーのれす。そんなのぜって〜ちがうのれす。

ほ！

.

ほ。

.

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはあーちゃんに手をつながれてるとき、あーちゃんの手のひらから
　　　　　　　　いっぱいあーちゃんのきもちを感じたのれす。怒ってるのとか、悲しん
　　　　　　　　でるのとか、うきうきしてるのとか。。。あせってるのとか。それってのの
　　　　　　　　のかんちがいらったんれすか。ののはそんなこと思いたくねーのれす。
　　　　　　　　ねえ、あーちゃん、あんとき。。。あの夕暮れんなかいっしょに土手をあ
　　　　　　　　るいたとき、ののの手から何を感じてたんれすか。ののの手はただの
　　　　　　　　手らったれすか。
　　　　　　　　
　　　　　　　　ののは。。。ののはそんなのいやなのれす！

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののとあーちゃんはしんゆうじゃねーれすか！そんなことわかりきった
　　　　　　　　ことなのれす。だれがなんといったって、のののこころのいじわるなや
　　　　　　　　つがなんといったって、あーちゃんがあのよるにあったあくまやばけもの
　　　　　　　　がなんといったってののとあーちゃんはしんゆうなのれす。あーちゃん、
　　　　　　　　そうおもうれしょう。
　　　　　　　　それなのに、それなのになんれこんなことしたんれすか！

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜まさかのののこときらいらってゆわないれすよね。そんなことあーちゃん
　　　　　　　　がいえるはずねーのれす。ののにもあーちゃんにもそんなこといえる
　　　　　　　　しかくなんてねーのれす。らってののとあーちゃんはおさななじみれ、
　　　　　　　　なかよしれ、しんゆうれ、おねえちゃんと妹みたいれ、あーちゃんが
　　　　　　　　いったみたいにおたがいにだれよりもいなきゃいけねーあいてなのれす。
　　　　　　　　神さまがいるなら、てゆうかののとあーちゃんがあったことが神さまが
　　　　　　　　いる証拠なのれす。ののはほんきれそう思うのれす。ののとあーちゃん
　　　　　　　　があったこと、しんゆうがおなじせかいれ出会うことはそれだけれ
　　　　　　　　きせきなのれす。。。
　　　　　　　　――あいぼんも。。。あさ美ちゃんもわかってくれるとおもうのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――あーちゃんはなんれこんないじわるをしたんらろ〜。
　　　　　　　　まさか。。。まさかのののこときらいになったんれすか？ れも、れも、
　　　　　　　　なんれ？　

∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜そんなことありえねーのれす！ののもあーちゃんもそんなことゆうしかくは
　　　　　　　　もってねーはずなのれす！二人の出会いは神さまがきめてくれた
　　　　　　　　ものなのれす。。。

　　　　　　　　れも――。。。

　　　　　　　　ああ！もうわかんねーのれす。。。

　　　　　　　　――あーちゃんがほんとにのののことをきらいになった…？

ここを楽しみにしてる人は結構いるんだろうな・・・

@

∈

ハ

∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜ののはしんぞうがばくばくいってるのを感じたのれす。ののは怒ってる
　　　　　　　んれすか？ ののはあんまり怒っててそのことがわかんなかったのれす。
　　　　　　　ののは心のなかれあーちゃんを信じてるって叫びながら、あーちゃんを
　　　　　　　といつめてたのれす。これはほんとうにののなんれすか？ ののは体中
　　　　　　　で血がふっとうしてると思ったのれす。暑さのせいもあったんれしょうか。
　
　　　　　　　ののは白いワンピースを着て、やっぱりさっきとおんなじところをあるいて
　　　　　　　るんれすけろ、まるでみんな――まわりのものが全部のののあたまんな
　　　　　　　かに一歩あるくたんびにすいこまれてってるみたいに感じたのれす。
　　　　　　　すいこまれたあとは真っ暗になって、ブラックホールみたいになるのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはふじさわを歩いてるんじゃなくて、どっかべつのばしょをあるいて
　　　　　　　　いたのれす。れもそれはどこれもないのれす。どっかべつの。。。
　　　　　　　　どこにもないけろ、どっかべつの――またののゆってることがおかしい
　　　　　　　　れすねぇ。れも、ののにはこのせかいがぜんぶうそみて〜におもえた
　　　　　　　　のれす。ののはどんどんどんどんののがのののなかにはいってくよう
　　　　　　　　に感じてたのれす。ひょっとしたらののはのののなかをあるいてたのか
　　　　　　　　もしんねーのれす。ゆっててなんのことらかわかんねーれすけろ、そう
　　　　　　　　ゆうのがいちばんあってるきがするのれす。
　　　　　　　　頭にうかぶことがみちれ、ののはそこをあるいてるのれす。ののはのの
　　　　　　　　ひとりじゃなくなって、なんらかわからねーもんになっちまってたのれす。

　　　　　　　　ののはどくんどくんいってる血みてーにみちをすすんでくのれす。ううん、
　　　　　　　　こうゆったら川れす。その川はにょろにょろ蛇みたいにくねくねしてしかも
　　　　　　　　動いているのれす。ののはどんどんながされていくのれす。川はほんと
　　　　　　　　にうみにいくんれしょうか。それはわかんねーのれす。そのまえにのの
　　　　　　　　はおぼれちまうんれすから。。。きっと。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜…

　　　　　　　　――ののにとってあーちゃんってなんらったんらろ〜。あーちゃんは
　　　　　　　　ののにいろんなことおしえてくれて。あーちゃんとののはいつもいっしょ
　　　　　　　　らったのれす。いろんな気持ちがあったのれす。一回だけの気持ち、
　　　　　　　　何回もやってくる気持ち、ず〜っと続いてる気持ち。花火みたいにぱち
　　　　　　　　ぱちする気持ち、森の中にいるみたいにしずかな気持ち、おいしいもの
　　　　　　　　をたべてるときみたいなうれしい気持ち。死んだものをみおくるかなしい
　　　　　　　　気持ち、先生に怒られたあとのなきたい気持ち、お別れするときの
　　　　　　　　さみしい気持ち。。。
　　　　　　　　――いっぱいある気持ち。その中にウソの気持ちとほんとの気持ちが
　　　　　　　　あったってゆうんれすか？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはそんなこと考えたこともねーのれす。あーちゃんといっしょに
　　　　　　　　いるとき、いろんな気持ちを感じるとののはあーちゃんもおんなし気持ち
　　　　　　　　らとおもってきたのれす。みんなのののかんちがいらったんれすか？
　　　　　　　 そんなはずねーのれす。れも、そのなかの何個かはのののかんちがい
　　　　　　　　らとしたら。。。ののはあーちゃんといっしょの気持ちらとおもうとき、
　　　　　　　　たとえばののが笑って、あーちゃんが笑ってるとき、ののとあーちゃん
　　　　　　　　はおんなじことを面白いとおもって笑ってると思うのれす。そうゆうもん
　　　　　　　　じゃねーれすか？ そうゆうときってほんとに――なんてゆうか。。。
　　　　　　　　つながってると思うのれす。ののとあーちゃんの気持ちが。。。
　　　　　　　　そうゆうことが何回も、ずっとあって、ののはあーちゃんのことともだち
　　　　　　　　らっていえたのれす、きっと。れも、そうゆうことが。。。そうゆうふうに
　　　　　　　　おんなじ気持ちらって思うことがそうじゃないかもしれないと思うように
　　　　　　　　なったら。。。――ののは、ののは困っちまうのれす。

　　　　　　　　らって、こんなこと考えることなんていらないくらいにののとあーちゃん
　　　　　　　　は仲がよかったんれすから! ののはほんとにこんなこと考えたこと
　　　　　　　　ねーのれす。このことがなかったら、ずっとそうらったのれす。
　　　　　　　　あーちゃんとののはずっと親友のまんまらったのれす。。。

　

　　 ∧＿∧
　　（　　＾＾ ）＜ ぬるぽ（＾＾）

　　 ∧＿∧
　　（　　＾＾ ）＜ ぬるぽ（＾＾）

（＾＾）

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜。。。

　　　　　　　　――もし、このことがなかったら、あーちゃんはののといっしょにいろん
　　　　　　　　なことをしたはずなのれす。ひょっとしたら。。。あんときもあーちゃんは
　　　　　　　　。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののとあーちゃんが変なふうになるまで、ののにとってあーちゃんは
　　　　　　　　やっぱり親友らったのれす。ののはあーちゃんがののの近くからいなく
　　　　　　　　なるなんて思えなかったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜。。。あーちゃんの誕生日は十二月らったんれすけろ、あーちゃんの
　　　　　　　　おうちはお誕生会とかやらなくて、いっつもみんなあーちゃんに
　　　　　　　　プレゼントをあげるだけれ終わってたのれす。れも、ののだけは学校が
　　　　　　　　おわってもあーちゃんといっしょにいて二人れお祝いしたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そのとしの、――れすからその前のとしなのれす、あーちゃんの
　　　　　　　　お誕生日は朝から雪が降ってたのれす。あーちゃんはまっかっかの
　　　　　　　　ジャンバーを着て真っ白な世界の中で咲いてるおっきな赤い花みたい
　　　　　　　　らったのれす。ののはほっぺたがすぐあかくなっちまうんれすけろ、
　　　　　　　　そんときのあーちゃんは青白いくらいれ、あーちゃんの肌、
　　　　　　　　こおっちまうんじゃないかって心配しちまったくらいらったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜みんな学校れ、あーちゃんにいろんなプレゼントをあげたのれす。
　　　　　　　　文房具とか、ぬいぐるみ、ハンカチ、ブローチとか、小学生なのれ
　　　　　　　　そんなにお金のかかるものはなかったのれすけろ、ののは
　　　　　　　　あーちゃんはお金で買ったもんじゃよろこばねーと思っていつごろ
　　　　　　　　くらいからかあーちゃんに手作りのものをあげるようにしてたのれ、
　　　　　　　　そんときも手作りのものを用意して二人っきりになったときに渡した
　　　　　　　　のれす。ののがそんとき渡したのは――はじめてじぶんでつくった
　　　　　　　　ぬいぐるみれした。今思うと笑っちまうくらいへたくそなものらったん
　　　　　　　　れすけろ。。。白いタオルの生地にわたをつめて、茶色のぼたんれ目を
　　　　　　　　作って、ピンクの毛糸れ口を作ったのれす。かたちはもともとはまん丸
　　　　　　　　に作ろうとしたのがちょっとくずれた感じれ。。。耳は水色のタオルれ
　　　　　　　　作って、それじゃあものたりないとおもったのれ、うまのたてがみみたい
　　　　　　　　にベージュの毛糸を何本かあたまにならべたのれす。れも、それでも
　　　　　　　　じしんがなかったのれ、もうふたつおなじようなのをちっちゃく二つ作った
　　　　　　　　のれす。れ、こんどはそれがちっちゃすぎるのれ、三つを毛糸の糸で
　　　　　　　　つないでやったのれす。――へへ、ほんとにへんなもん作っちまった
　　　　　　　　のれす。

ﾎｾﾞﾑ

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののがそれを袋から出したとき、あーちゃんはほんとに目を丸くしてい
　　　　　　　　たのれす。ののにはあーちゃんの黒のビーだまみたいな目がもっと
　　　　　　　　黒くなっていくみたいに見えたのれす。ののはあーちゃんがプレゼントを
　　　　　　　　見てどんな顔をするのかと思ってすごくどきどきしてたのれす。そうゆう
　　　　　　　　とき、あーちゃんはすごく喜ぶか、ふーん、てゆう顔をするだけれ、
　　　　　　　　あんまりすきくなくてもいらないとかそうゆうことはぜったいにいわない
　　　　　　　　んれすけろ、れも、自信なかったし、やっぱりそれれもほんとに
　　　　　　　　あーちゃんがよろこんでくれてるかとかって気になるじゃないれすか。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはじぶんの手袋の上にのったぬいぐるみをもう一回見たのれす。
　　　　　　　　――あれ、こんなにへたくそらったっけ
　　　　　　　　って思ったのれす。昨日何回も見て目がしょぼしょぼするくらいちぇっく
　　　　　　　　したのにおかしいのれす。ののは袋から出したのをこうかいしたのれす。
　　　　　　　　はじめてつくったもんらったけろ、つくんなきゃよかったかもって思った
　　　　　　　　のれす。ののは手をひっこめてまたぬいぐるみを袋にもどしかけたの
　　　　　　　　れす。
　　　　　　　　れも、あーちゃんがいったのれす。
　　　　　　　　「へえ、かわいいね。ののがつくったの？」
　　　　　　　　って。
　　　　　　　　――うれしかったな。。。ほんとに。雪のあとのキンキンした空気れ、
　　　　　　　　あーちゃんの声は天使みたいにきれいらったなぁ。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そんとき、ののとあーちゃんはがけからおりるかいだんの途中にある
　　　　　　　　ちょっとこうえんみたくなった広場にいたんれすけろ、まだあんまり人が
　　　　　　　　はいってないみたいれ、うすくつもってる雪にはあんまりあしあとが
　　　　　　　　なかったのれす。ちょっとだけあるあしあとはこうえんをつっきって
　　　　　　　　もっと下におりるかいだんにいっちょくせんにむかってたのれす。
　　　　　　　　こうえんにはベンチとブランコと、どうぶつのおもちゃがあるだけれ、
　　　　　　　　ののとあーちゃんはベンチがぬれてたのれ、ブランコをかこんでる
　　　　　　　　てつのさくに座ってたのれす。
　　　　　　　　　。。。さむいけろ。。。しずかれあったかいときらったのれす。そんれ
　　　　　　　　　。。。きれいらったのれす。
　　　　　　　　あんときあーちゃんはいったのれす。
　　　　　　　　「ののがかぞくだったらほんとによかったのにな」
　　　　　　　　あーちゃんの声はかわいてて、ぜんぜんひびかないでののの耳に
　　　　　　　　すーって入ってきたのれす。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜こんな、うれしいことばってねぇってそんとき思ったのれす。あーちゃん
　　　　　　　　にはだれにもきれないうんめいの糸がつながってるって思ったのれす。
　　　　　　　　あーちゃんにはののがいなきゃだめなのれす。ののがいないと
　　　　　　　　あーちゃんがこの世にいないみたいな。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜とゆってもあーちゃんがいなかったらののもいないかってゆうとそうゆう
　　　　　　　　わけじゃねーんれすね。すごくわがままなきもちらし、そんなことかん
　　　　　　　　がえちゃいけねーってわかってて、ちょっと思い浮かんでも笑ってそれ
　　　　　　　　でOKみたいなふうなもんらったんれすけろ。。。そうゆうことってねーれ
　　　　　　　　すか、あいぼん、あさ美ちゃん。すごく恥ずかしいやな気持ち、たとえば
　　　　　　　　誰かをばかにする気持ちなんて、口に出す人もいるけろ、いっしゅん
　　　　　　　　そうゆうのがやなことばになって心に浮かぶことってあるじゃないれす
　　　　　　　　か。れも、何ばかなこと考えてんだろうってそれでじぶんがちょっとや
　　　　　　　　になって笑って首をふって、そんれ、そんなこと考えたのをけろっと
　　　　　　　　忘れちまうのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あれってなんなんれしょうかね〜。ちゃんと考えたらすごくこわい気も
　　　　　　　　するのれす。そうゆうことをかんがえさせるのもじぶんなんれすよねぇ。
　　　　　　　　とってもふしぎなのれす。ののはそうゆう人間じゃないって思ってるから、
　　　　　　　　ばかみたいって思うのれす。れ、すぐに忘れちまうのれす。そんな感じ
　　　　　　　　だから外に出るはずもないし、誰もののがそんなことかんがえるなんて
　　　　　　　　思わないって思ってるのれす。れも、ほんとにそうなのかなって思うとこ
　　　　　　　　わいのれす。そうゆうふうな考え方するのもののれ、ののは気づかない
　　　　　　　　だけれ、しらねーうちに外にそうゆうところを出して、まわりの人はのの
　　　　　　　　がそうゆう人間らってきづいてんじゃないかって。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――あーちゃんのことをそうゆうふうにかわいそうに思うことれ、そんな
　　　　　　　　怖さを感じたことはねーのれす。ぱーって朝の光のなかにほこりが飛ん
　　　　　　　　でるのがみえることがあるじゃないれすか、あの中のほこりのひとつ
　　　　　　　　みたいなもんらったのれす。らってあんまりにもありえないことらったの
　　　　　　　　れ。あと、やっぱりそれもあーちゃんのことすきらってきもちのひとつみ
　　　　　　　　たいに思っちまったのれ。。。れも、そうゆう感じはほんとにあったのれ
　　　　　　　　す。そんれ、まちがってるかもしれないけろ。。。ののの心のおくに。。。
　　　　　　　　心の迷路のおくに役に立ってないこわれたかべがあって、そこにそれ
　　　　　　　　がかかれているのれす。。。

　　　　　　　　あのときはなんでもないことらって思ってたのれす。ほんとに――あれ
　　　　　　　　れす、気の迷いって奴らっておもったのれす。ののはまちがってない
　　　　　　　　ことをしってるから、そんなことを思うのはなんかのまちがいなんらって。
　　　　　　　　らから、気にすることなんていちどもなかったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、あれから――あのことがあってから、ののはそのなんでもなかっ
　　　　　　　　たことがすごく悲しく思えてきたのれす。ののとあーちゃんのつながり。。。
　　　　　　　　ののがそんなふうに思ったのもやっぱりだいじなことらったと思うのれす。
　　　　　　　　ほんとにちっちゃなことなんれすけろ。。。ののとあーちゃんが親友らっ
　　　　　　　　てこと。それをほんとのほんとにするにはのののそうゆうわがままな
　　　　　　　　気持ちをあーちゃんに向けて出してかなきゃいけなかったと思うのれす。
　　　　　　　　それがのののほんとのきもちかろうかはわかんねーれすけろ、それれも
　　　　　　　　ののはあーちゃんといっぱい話してくうちにそうゆうのがちょっとずつ
　　　　　　　　きれいになくなって。。。こわれたかべも迷路のかべもなくなって、のの
　　　　　　　　はあーちゃんをまっすぐに見ることができるようになったと思うのれす。

記念

バラモン　　→最悪。まさに邪悪の化身。 ｜
クシャトリア→たちは悪い。貴族。　　　　　　|
バイシャ　　→まぁ阿保が多い、阿保国民。　　＞こいつら死ね!!
シュードラ　→ちょっと可哀想な童貞だが　　　|
　　　　　　　自分より下がいると調子こく。＿|
ハリジャン　→不幸の法則そものも。
　　　　　　　身体障害者やヒッキーという奴。
モー娘とかなんとか貴様等はごみの分際で調子にのって身分の低いものをこけにしやがって貴様等はまさにバラモンじゃねーか
こいいうやろーは許せねえぶっ殺してやる

　

　

女性板で　男の優しさって　ってひいてくれ
いかに下衆な衆が集まってるかすぐわかるから
必ず来てくれよな　そしてたたいてくれ
君らならもっと強いダメージを与えられるだろ

↑題名は偽善たらしいいかにも【邪悪】って感じが感じられますね。

　　

匚。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――ほんとはそんなこと無理らってわかってるんれすけろ。。。
　　　　　　　　れも、あのころのののとあーちゃんを思い出すとそんなふうに思っちま
　　　　　　　　うのれす。ののはあーちゃんとのこと、つらいことでもかなしいことでも、
　　　　　　　　みんなきれいにおもいうかべちまうのれす。そうれす――あの、きたな
　　　　　　　　く見えた藤沢らってののの心の中ではほんとはあの雪のちょっとだけ
　　　　　　　　つもった誕生日の景色みたいにすごくきれいなのれす。外側が汚くみ
　　　　　　　　えるらけなのれす。らってあんときはののもあーちゃんもちょっと失敗
　　　　　　　　しちゃっらけなんれすから。ちょっところんじまっただけなんれすから
　　　　　　　　。。。あーちゃんが先におきてから、ののの手をひっぱってののを起こ
　　　　　　　　してくれるのれす。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜マラソンのとき、夕暮れんなかれ手をつないれ、お誕生日のときにへ
　　　　　　　　たくそなぬいぐるみを渡したときにいっしゅんだけ指がついて――、
　　　　　　　　ののにはそんなことがとってもだいじらったのれす。ののは大人になる
　　　　　　　　こと、あーちゃんみたいにはっきり考えられなかったれすけろ、親友の
　　　　　　　　ことずっとすきらってきもちはなんかののとあーちゃんがこの世界にい
　　　　　　　　るってこと、手をつないで相手のからだを感じられることと同じくらい
　　　　　　　　はっきり持ってたのれす。あーちゃんが生まれて、ののが生まれて、
　　　　　　　　おさななじみになって同じ学校にいって。。。全部うんめいなのれす。
　　　　　　　　きっと生まれ変わったってののとあーちゃんはすごく近くにいるはず
　　　　　　　　なのれす。あいぼんもあさ美ちゃんもそうゆうきもちわかるれしょ？
　　　　　　　　ののとあーちゃんは何があったって、ずっといっしょじゃなきゃいけねー
　　　　　　　　のれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも――

　　　　　　　　ののはだんだんからだがゆうこときかなくなったみたいれした。
　　　　　　　　あっつい中をずっと歩いてたせいもあるんれすけろ、それとちょっと
　　　　　　　　ののは考えすぎちゃったのれす。むきになって、すんごい怒ってるのを
　　　　　　　　なんかむりやりそうじゃないっていって、大人になったつもりれ
　　　　　　　　れいせいに考えて。。。なんかいっしょうけんめいしんけんに、汗かいて
　　　　　　　　もかんけいなくあるいてるのが、どんなことよりもだいじらって
　　　　　　　　不安をみんなそれれごまかしてるみたいらったのれす。それの
　　　　　　　　げんかいがきたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜……

　

匚。（←これ「ほ」って読むらしい）

　

匚

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののは藤沢にいて、待ち合わせをしたえきに誰も来なくて、一人で
　　　　　　　　ひっしになってお墓をさがしてるのれす。ののはなにをしてるんれすか？
　　　　　　　ぜんぜん知らないところれ…。あっちぃ。。。

∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜…


∋oノハヽo∈
　 (；｀�D´)＜…ののはバカなのれす！！　バカなのれす――！ そんれ、ののは
　　　　　　　　めちゃめちゃまぬけなのれす！ あー、あちぃのれす!! あちぃ!! なんれ
　　　　　　　　こんなにあちぃんれすか？ なんれ、ののはこんなあつい中をバカみて
　　　　　　　　〜にいつまでもあるいてるんらろう？。
　　　　　　　　なんれ。。。誰のせいれこんな…

∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜…


∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜あー、どうすればいいんれすか。ののはどうすればいいんれすか。
　　　　　　　　ののはこんな気持ちもちたくねーのれす。
　　　　　　　　…誰かをすごく――すごくにくむ気持ち。。。こんなのいらねーのれす。
　　　　　　　　そんれ、その相手があーちゃんらなんて。。。そんなの悲しすぎるのれ
　　　　　　　　す！！

∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜あーちゃんは笑ってるんれすか？　今、どこれ何をしてるんれすか。
　　　　　　　　笑ってるんれすか？親友のののは今知らない町れなきそうになってる
　　　　　　　　のに。。。ひどすぎるのれす。あーちゃん、ひどいのれす！
　　　　　　　　それともののがここれ――藤沢れなきそうになってるのをそうぞうし
　　　　　　　　ながら笑ってるんれすか？
　　　　　　　　ののは――あーちゃんを。。。

∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜…

∋oノハヽo∈
��(； ´�D｀)

∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜ののはなかねーのれす。やっぱりなかねーのれす。すごいむかつくの
　　　　　　　　れす。あーちゃん、いなぎくんがｼｮﾝﾅに好きなんれすか？れも、
　　　　　　　　そんなのあーちゃんとののにはかんけいねーじゃねーれすか。ののは
　　　　　　　　いちどだっていなぎくんがすきらってあーちゃんにいったことはねーの
　　　　　　　　れす。ううん、誰にもそんなことはいったおぼえはねーのれす。なんれ、
　　　　　　　　それなのにののがあーちゃんのこんないじわるをうけなきゃいけねーの
　　　　　　　　れすか。。。そうなのれす、いじわるなのれす。あーちゃん、これはいじ
　　　　　　　　わるなのれす。ののはあーちゃんがすこしさめたところがあるのを
　　　　　　　　しってるのれす、れも、人にこんないじわるをするにんげんじゃねーって
　　　　　　　　こともわかってたつもりらったのれす。れも、こんなことされたら、
　　　　　　　　あーちゃんがそんないじわるをする人間らったってののは思うのれす。
　　　　　　　　それれもいいってことれすか。

　　　　　　　　…ののはそれが体からいっぱい血がでるくらいに苦しいことなのれす。
　　　　　　　　あーちゃんはちがうのれすか。今まれのあーちゃんとののの時間が、
　　　　　　　　おもいれがこわれてっちゃうんれすよ。ぼろぼろになっちゃうんれすよ。
　　　　　　　　そんなの苦しいにきまってるじゃねーれすか。ののはそんなのがまん
　　　　　　　　できねーのれす。

　

　　

匚

∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜…

∋oノハヽo∈
　 (；｀�D´)＜あーちゃん！！
　　　　　　　　いやなのれす！！こんなのいやなのれす！今すぐここにきて前みたい
　　　　　　　　にあやまってほしいのれす。ごめんねののっていってほしいのれす。
　　　　　　　　今きてくれたら、ののの心の中のいかりもあーちゃんを許してくれると
　　　　　　　　おもうのれす。あーちゃん、早くここにくるのれす。そんれちょっとでも
　　　　　　　　いいからごめんねって顔して笑ってほしいのれす。

∋oノハヽo∈
　 (； ´�D｀)＜ののはもうがまんできねーのれす。。。もう。。。こんなことかんがえた
　　　　　　　　くねーのれす！。。。

∋oノハヽo∈
　 ( |||´�D｀)＜…

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはおさえつけてたものがあたまをぶちやぶって出てくるのを感じた
　　　　　　　　のれす。それはいろんな色になってて。…ぐちゃぐちゃの、油絵で色がと
　　　　　　　　けてるみたいな感じれ、いっぱいの色がどばって出てきたのれす。
　　　　　　　　ののは吐き気がしたと思ったのれす。れも、それはのののうそれ、吐き
　　　　　　　　気なんてぜんぜんなかったのれす。きっと吐き気のほうがよかったの
　　　　　　　　れす。どうしたら、そのきもちを心からなくせるかって、それだけが
　　　　　　　　前になみだをいっぱいながしたときみたいにのののからだの中に
　　　　　　　　いっぱいになったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――ほんとうにあーちゃんが今、ここにきてごめんねっていったら
　　　　　　　　ゆるせるんれすか？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはそうゆうふうにかんがえたとき、それがむりらってわかってわざ
　　　　　　　　とらしくおどろいたのれす。そんなはずねーのに。あーちゃんのこと
　　　　　　　　親友なんれしょう。そんなはずねーじゃねーれすか。れも、らめなん
　　　　　　　　れす。どうしても。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののの心ん中れときどきピカッていなびかりが光るのれす。そんれ、
　　　　　　　　そのあとゴロゴロ雷がなるのれす。いなびかりはのののまっくろの心を
　　　　　　　　てらしだすのれす。そこにはののがもう一人いるのれす。いなびかりが
　　　　　　　　光ったとき、そのののはじぶんじゃみたことのないすごいこわい顔をして
　　　　　　　　にらんでるのれす。まっくろにもどってからからなる雷はそのののの
　　　　　　　　さけびごえなのれす。ギャーッとかうわーっとかいう声がいっぱい集ま
　　　　　　　　ったきみの悪い、うるさい音なのれす。れも、それはのののだした声
　　　　　　　　なのれす。

　

匚

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　|　/　
　　　　　　　　　　　　　　　∋▼ノハ▼∈
　　　　　ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ　　　　／|＼(　´ Д｀)/|＼　んぁ　510
　　　　　　　　　　　　　⌒⌒ﾉ　つ つ ~ ⌒
　　　　　　　　　　　　　　←/ ＿___|
　　　　　　　　　　　　　　　　(/ (/

このスレ、続いてたのね……すごい…

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜前とおんなじなのれす。ののはまたグロテクスな生き物を心の中に
　　　　　　　　住ませたのれす。れも、それはうそれ、すんでるのはのの一人らった
　　　　　　　　のれす。ののがすごくこわい顔してお化けみたいになってたらけなの
　　　　　　　　れす。

　　　　　　　　ののはほんとはどうしてほしいんらろ〜。ののはこわい顔をしたじぶん
　　　　　　　　をみてそう思ったのれす。
　　　　　　　　こわい顔をしたののいいたいことを知ってののはいっしょうけんめい
　　　　　　　　首をふるのれす。そんなことののはおもわねーのれすって！
　　　　　　　　こわい考えがさけびごえの風の中にいっぱいのってくるのれす。ののは
　　　　　　　　今ここでもそんとき考えたことはいえねーのれす。そんときのこわい顔
　　　　　　　　をしたののが思ったことをいっちまったら、きっとあいぼんもあさ美ちゃん
　　　　　　　　もののをけいべつするにきまってるのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あんとき、あーちゃんが目の前にきてあやまったとしても許す許さない
　　　　　　　　とかゆう前に、ののは別のことをしてたにきまってるのれす。ことばな
　　　　　　　　んてきっとでねーのれす。むしするわけでもねーのれす。ののはもっと
　　　　　　　　ひどいことをしなくちゃいけなかったのれす。　
　　　　　　　　……のののなかのこわいかおをしたののの気がすむのには。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはいっぱいいやなことかんがえたのれす。それまではまだあー
　　　　　　　　ちゃんを信じて、あーちゃんとまたいっしょに仲良くあそぶんらってきも
　　　　　　　　ちがあったんれすけろ、そんなのもう、ほんとにぼおっと燃えて灰に
　　　　　　　　なって風にとんれどっかにいっちまったみたいれした。
　　　　　　　　気づいたら、ののはあーちゃんが泣いて謝ってるところを想像してるの
　　　　　　　　れす。あーちゃんはのののことがすきらってことに気づいて、反省して
　　　　　　　　泣いてるんじゃねーのれす。のののことがこわくて泣いてるのれす。
　　　　　　　　ののがやったひどいことのせいれ。あーちゃん、お願いだから泣かない
　　　　　　　　れくらしゃい!! ――れも、のののあの叫び声を化け物みたいに吐き出し
　　　　　　　　ておこっているのれす。ののはもうにんげんじゃないのれす。ほんとに
　　　　　　　　化け物なのれす。。。

　　　　　　　　――こんなの。。。こんなのほんとはうれしいはずねーのに…

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはなんか、もう東京にはもどれねーって、みんなのところにはもど
　　　　　　　　れねーって思ったのれす。もうののはみんなといっしょにいたところ
　　　　　　　　からずっと遠いところにきちまったみたいれした。電車にのってきたん
　　　　　　　　れすけろ、おんなじ電車にのっても帰れねーような気がしたのれす。
　　　　　　　　おんなじ世界のはずなのに、なんか別の…のののきもちがつながって
　　　　　　　　る世界と、みんなのきもちがつながってる世界の……ああ、わかん
　　　　　　　　ねーのれす！

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――こうゆうこと考えたら、前よりもっとつかれたみたいれした。ののは
　　　　　　　　やっとこわいじぶんからにげられたみたいれ、ちょっとのあいだ何も
　　　　　　　　考えなくなってたのれす。ののは口をよだれがたれそうなくらいあけて、
　　　　　　　　ながれてくけしきをみてるだけらったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、あつさらけはののをみのがしてくれねーのれす。
　　　　　　　　からだじゅうにひるがはってるみたいに汗がながれてるし、あるいて
　　　　　　　　動くたんびにお湯の中におぼれてしずんでくみたいらったのれす。
　　　　　　　　のののあたまがむぎわら帽子のなかからとけだして、めだまが
　　　　　　　　がんばるんれすけろ、たれそうになってるのれす。ののはなんか
　　　　　　　　きもちわるいのかきもちいいのかわかんなくなって、ふらふらしてたの
　　　　　　　　れす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜そしたら、ドンッてののに誰かがぶつかったのれす。見たら、ちっちゃい
　　　　　　　　三才くらいの子供らったのれす。手をよこにしておっきくふってから、
　　　　　　　　いっしょうけんめいみじかい手足れ走ってたのれす。ばんざいして、
　　　　　　　　がにまたでおどってるみたいれす。きゃっきゃっきゃっきゃっ笑いながら
　　　　　　　　横見たり、後ろ見たりしてるからののにぶつかっちまったんれすね。
　　　　　　　　ののはぶつかった相手がちっちゃな子供らってわかって、立ち止まって
　　　　　　　　その子供を見たのれす。子供は男の子らったのれす。ぷくぷくした
　　　　　　　　ほっぺたがクレヨンしんちゃんのほっぺたみたいにふくらんでて、
　　　　　　　　とってもかわいいかったのれす。れも、その子供はののを一回も
　　　　　　　　見ないで走っていっちまったのれす。

　

　

>>530
まだ2番目だから

こういうスレの立て方もあったのか

　　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜子供の後ろにはののよりもお姉さんの女の子が「とまりなさ〜い」って
　　　　　　　　いいながら走ってたのれす。お姉さんはののの前を通りすぎるとき、
　　　　　　　　「ごめんね」ってぱっと手を合わせてから、また子供を追いかけて
　　　　　　　　いったのれす。
　　　　　　　　ののは二人の後ろ姿をぼんやり見てたのれす。ののはなんか、その
　　　　　　　　子たちについていきたくなったのれす。ついていっても全然お友だち
　　　　　　　　じゃないれすけろ、…そうじゃなくて、本当のその子たちについていくん
　　　　　　　　じゃなくて、なんてゆうか、その子たちを見て感じたものにののはついて
　　　　　　　　いきたかったのれす。――すごくなつかしい二人の友だちってゆうのを
　　　　　　　　ののは見たと思うのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜……ののはあーちゃんと別れたいんれすか？

∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜そ、そんなわけねーのれす!

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――もう怒ってたのはおさまってたのれす。反対にすごいさびしい
　　　　　　　　気持ちがしてきたのれす。それはほんとに大波みたいにざぶーんて
　　　　　　　　ののにかぶさってきたみたいらったのれす。

　　　　　　　　ののとあーちゃんが別れ別れになる？
　　　　　　　　――そんときののはじぶんがいまだけ怒ってるだけれ、きっとまた仲良
　　　　　　　　しになるってやっぱりどこかれ信じていたのれす。ののが怒ってるのは
　　　　　　　　他人になっちまったあーちゃんじゃなくて、親友のあーちゃんらったの
　　　　　　　　れす。ののがどんなに怒っても、泣きわめいてめちゃくちゃひどいこと
　　　　　　　　いっても、それは親友らからなのれす。ののがどんなにひどいことを
　　　　　　　　しても、――そんれあーちゃんがどんなにひどいことをしても、ののと
　　　　　　　　あーちゃんは親友同士なのれす。ののはきっとそれはののがこうやって
　　　　　　　　しゃべってて、そんれあいぼんが心配そうに見てて、あさ美ちゃんがそう
　　　　　　　　やってもともとおっきい目をもっとおっきくしてるのが見えるのとおんなじ
　　　　　　　　くらい…ほんとのことらと思ってたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜それが変わるなんてこと…こわくて考えられねーのれす。自分が見て
　　　　　　　　るのとか感じてるのとかがほんとはそうじゃないなんてこわくて誰も考え
　　　　　　　　たくないと思うのれす。ののはそれがぐらぐらしてくるような気がして…
　　　　　　　　そしたら、すんごくさみしくなったのれす。。。

　

　

　

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜親友じゃなくなるなんてありえねーのれす!

ののはさびしされびしょぬれになりながらじぶんにさけんだのれす。
　　　　　　　　あーちゃんにはいっぱいいっぱいいいたいことがあるのれす。れも、
　　　　　　　　あーちゃんとお別れになるってきいたらいやらって答えるしかねーの
　　　　　　　　れす！
　　　　　　　　ののとあーちゃんが別れるなんてそんなこと絶対にあっちゃいけねー
　　　　　　　　のれす！
　　　　　　　　れもれも、ののがあーちゃんのことれ考えたことをあーちゃんが知った
　　　　　　　　ら、あーちゃんはきっともう二度といっしょに遊んじゃくれねーのれす。
　　　　　　　　はぁ……ののはどうしたらいいんれすか？

　　　　　　　　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃん！ あーちゃん!
　　　　　　　　ののの声にこたえてくらしゃい。あーちゃん…。
　　　　　　　　そんれ…そんれ、またののにののが家族だったらよかったのになって
　　　　　　　　いってほしいのれす。。。

∋oノハヽo∈
　 (；´�D｀)＜…


∋oノハヽo∈
　 ( |||´�D｀)＜…


∋oノハヽo∈
　 (　;´�D｀;)

∋oノハヽo∈
　 (　;´�D｀;) ﾋｰﾝ

＠ノハ＠
（；‘д‘）＜のの…大丈夫か。。。

川;ｏ･-･)＜…

∋oノハヽo∈
　 (　;´�D｀;)＜れも、――そんときのののはちょっと泣きそうになってふんばったのれす。

　　　　　　　　ないちゃいけねーのれす。泣いたら…ののの負けになっちまうのれす。
　　　　　　　　――負けに。

∋oノハヽo∈
　 ( ；´�D｀)＜ののはなみだの玉をまぶたでうまく転がしながらあるいたのれす。
　　　　　　　　ののはすぐそばにあーちゃんがいるようにかんじてたのれす。ののが
　　　　　　　　いっつも近くにいてかんじてたあーちゃんのいるかんじ。。。なんなんれ
　　　　　　　　すかね…そうゆうの…よくわかんねーれすけろ、においかもしんねーし、
　　　　　　　　あったかさかもしんねーし…きもちなのかもしんねーのれす。ののは
　　　　　　　　すぐそばにあーちゃんがいて、やさしいかんじでののを見守ってくれて
　　　　　　　　ると思ったのれす。

　

　

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――おかしいれすか？ おかしいれすよね。。。らってさっきまでひどい
　　　　　　　　こと思ってたのに急にそんなふうに思うなんて。。。
　　　　　　　　れも、ののはそんときどれくらいじぶんにとってあーちゃんが大切かっ
　　　　　　　　てわかってたのれす。
　　　　　　　　そんれ、このことはやっぱり何かのまちがいれ、ほんとはあーちゃんが
　　　　　　　　のののことをおもって、何か考えがあってやったんじゃないかって思っ
　　　　　　　　たのれす。ののなんかにはわかんねー、終わってみたらもっと仲良く
　　　　　　　　なってるってゆうことなんじゃないかって。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののはあーちゃんの大笑いしてる顔を思い出したのれす。ちっちゃい
　　　　　　　　目がもっとちっちゃくなるんれすけろ、それがすっごくかわいい顔なん
　　　　　　　　れすね。いつものクールなかんじからはぜったいそうぞうできない顔
　　　　　　　　れす。
　　　　　　　　れも、そんなあーちゃんの大ばく笑なんてあんまり見れるもんじゃなかっ
　　　　　　　　たのれす。ののはそんときほんとにちっちゃかったときのことを思い出
　　　　　　　　したのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜ののとあーちゃんは公園れあそんでたのれす。その公園にはジャング
　　　　　　　　ルジムがあったんれすけろ、ブランコからそっちにいったのれす。のの
　　　　　　　　はあーちゃんにいいところ見せようとしていっしょうけんめい走って、
　　　　　　　　走ったまんまみたいなすごい勢いれジャングルジムにのぼっていった
　　　　　　　　のれす。ののはのぼりきるってところれ、どうら、て感じにうしろを見た
　　　　　　　　のれす。そしたら、れす。ののは手をすべらせてジャングルジムから
　　　　　　　　落ちたのれす。ののは手と足をいっぱい広げてからいろんなところに
　　　　　　　　ぶつかりながら落ちてったのれす。ほんとに死ぬかと思ったのれす。
　　　　　　　　れも、ぱって目があいたら、ののは大の字に横になって空を見てたの
　　　　　　　　れす。手と足がいたかったはずなんれすけろ、生きてるって感じ――
　　　　　　　　らと思うんれすけろ、それにびっくりしていたみは感じなかったのれす。
　　　　　　　　ののはちょっと手を動かしてみて、そんれ手を軽く握って見てみたの
　　　　　　　　れす。――なんともなかったのれす。手も足もどこもおかしくなかった
　　　　　　　　のれす。どんなふうに落ちたのかいまだにわかんねーのれすけろ、
　　　　　　　　きっと落ち方がわるかったらたいへんなことになってたとおもうのれす。

　

　

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜首だけまわしてあーちゃんを探したら、あーちゃんはけっこうはなれた
　　　　　　　　ところでののを見てたのれす。足を出して走ってる感じれ石みたいに
　　　　　　　　固まってたのれす。
　　　　　　　　「あーちゃん、のの落ちちゃっ――」ったってそこまでいったとき、あーち
　　　　　　　　ゃんが笑い出したのれす。さいしょ泣きそうな顔らっておもったんれす
　　　　　　　　けろ、あいた口から出たのは笑い声らったのれす。ちょろちょろって出
　　　　　　　　た感じの笑い声はあっという間におっきな笑い声になったのれす。ホン
　　　　　　　　トに、いつものあーちゃんを知ってるから、ばくはつみたいな笑いらった
　　　　　　　　のれす。ののはさいしょ照れてたんれすけろ、あーちゃんがののをムシ
　　　　　　　　してずっと笑ってるから恥ずかしくてだんだん怒りがこみあげてきたの
　　　　　　　　れす。
　　　　　　　　「あーちゃん、ひどいのれす！」
　　　　　　　　ののはいったのれす。
　　　　　　　　「だって、だって、のの！ アハッ、――アハハ」
　　　　　　　　あーちゃんはおなかを抱えて笑い出したのれす。それはホントにはじめ
　　　　　　　　て見るこうけいらったのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜「ヒー、苦しい！ すごい、すごい落ち方……アハハハ」
　　　　　　　　「あーちゃん、のの、ほんとにいたかったんれすから」
　　　　　　　　「ごめん、のの、ごめん。でも、でも…アハハハ」
　　　　　　　　だんだん、あーちゃんがそうゆうふうに笑ってるのがうれしくなってきち
　　　　　　　　ゃって、そしたらののもおかしくなってきたのれした。
　　　　　　　　「だって手がすべったのれす、こうゆうふうに。はあ、いたかった」
　　　　　　　　「アハハハ…」
　　　　　　　　あーちゃんはののが何をいってもおなかをかかえて笑うのれす。のの
　　　　　　　　はかんちがいれもなんれも、そうゆうあーちゃんがうれしくていっぱい
　　　　　　　　しゃべったのれす。
　　　　　　　　あーちゃんはなんとか笑いがおさまると、フッキンがいたいとかいいな
　　　　　　　　がら、ののの体をさわさわさわったのれす。
　　　　　　　　「なに？」
　　　　　　　　「ううん、体大丈夫？」
　　　　　　　　「――うん！ 大丈夫」
　　　　　　　　いまさららったんれすけろ、ののはとってもその言葉がうれしかったの
　　　　　　　　れす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜…


∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――ののは泣いてたのれす。涙がどんどんわき出してきたのれす。
　　　　　　　　今までがまんしてた気持ちがみんなかなしみになって、そんれみんな
　　　　　　　　涙に変わったみたいれした。もうあつさがなくなったみたいらったんれ
　　　　　　　　すけろ、涙はびっくりするくらいあつかったのれす。そんれすっごくおも
　　　　　　　　くて地面に落ちたらぼとっぼとって音が出るみたいらったのれす

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんの笑顔をののはもう見ることができねえのれすか。。。

nande?

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜・・・・・・・・・・・・・・・・

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――いやらって気もちれ、ののは足がふるえて歩けなくなると思ったの
　　　　　　　　れす。ほんとにくらくらして、うしろにぶったおれそうになったのれす。そ
　　　　　　　　んれ、なんか首だけじゃなくてからだをめちゃくちゃにふっていやいやを
　　　　　　　　したくなったのれす。あーちゃんはそこにいるのれす。ぜったいにあー
　　　　　　　　ちゃんは考えがあってやってるのれす。ののとあーちゃんはまた仲良
　　　　　　　　く、ううん、もっと仲良くなるのれす。ののにはぜったいわからないような
　　　　　　　　さくせんがあるのれす、あーちゃんには。きっと…そうなのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜あーちゃんとともだちじゃなくなること。。。それがやっぱりいちばんいや
　　　　　　　　らったのれす。あーちゃんが「のの」って言って笑ってくれる、それがど
　　　　　　　　んなに幸せかってののはまたかんがえたのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――バカみてーれすね。らって、ののは前におんなじこと考えたんれ
　　　　　　　すから。。。なんれ、ののはおんなじことれなやんでんらろ〜。あんときは
　　　　　　　あーちゃんがののをムシして、そんれ、すごいこわい目でののをにらん
　　　　　　　で…それからののは毎日泣いてばっかりれした。あんときはほんと涙が
　　　　　　　出すぎて自分れもこわかったのれす。あーちゃんを、親友をなくすことが
　　　　　　　こんなにつらいことらってそれれわかったつもりらったのに。。。あーあ、
　　　　　　　なんれこんなことになっちまったんらろ〜。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜はぁ。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜――いなぎくん？ いなぎくんがなんなんれすか？ なんれ急にいなぎ
　　　　　　　　くんがののとあーちゃんの間にわりこんできたんれすか？ ののははっ
　　　　　　　　きりいっていなぎくんよりぜんぜん、ぜ〜んぜんあーちゃんのがだいじ
　　　　　　　　なのれす。はっきりいっちまうのれす。
　　　　　　　　はあ。。。れも、けっきょくあーちゃんはそのせいれののをこうゆう…こと
　　　　　　　　にしたんれすよね？…あーちゃんはののよりいなぎくんのがだいじらっ
　　　　　　　　たってこと？

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜れも、れもそれれもふつうにおともだちでいることはできるじゃね〜んれ
　　　　　　　　すか。ののがいなぎくんのことすきらってごかいしたってこと？　れも
　　　　　　　　なんれ、のののきもちをちっとも聞かないれ。。。
　　　　　　　　ののはあんときうなずいちゃったけろ。。。れも、それ以外れ、ごかい
　　　　　　　　されるようなことはなかったと思うのれす。ののはいなぎくんのことなん
　　　　　　　　てぜんぜんあーちゃんのまえれも、ほかの人のまえれも話したことね
　　　　　　　　ーのれす。たしかにいなぎくんとはあのあと――いなぎくんがのののこ
　　　　　　　　とすきらっていったのをあーちゃんが知ったあと――ちょっと、しゃべっ
　　　　　　　　てたけろ。。。――れも、それはしかたねーじゃねーれすか。いなぎく
　　　　　　　　んがしゃべってくるんれすから。あーちゃんは「あきらめる」っていって
　　　　　　　　たし、ののはなるべく話さないようにはしてたのれす。ののはほんとに
　　　　　　　　なるべくしゃべらないようにどりょくしたんれすよ？ あーちゃんと前みた
　　　　　　　　いにいたいから、がんばったのれす。
　　　　　　　　それとも、いなぎくんがのののことすきらっていったから、もうそのこと
　　　　　　　　だけれのののこといやらっておもったんれすか？それれも、ののと話
　　　　　　　　すことはできると思うのれす。。。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜…ねえ、あさ美ちゃん、あいぼん。人を好きになるってことはどうゆうこ
　　　　　　　　となんれすか。ううん、やっぱりののがバカなんれすか？ 二人はどう
　　　　　　　　思ってるんれすか？ さっきも聞いたけろ、二人はもう恋ってしたことあ
　　　　　　　　るんれすか？ あんまり年下のメンバーれそうゆうの話したことないん
　　　　　　　　れすけろ。。。あいぼんもぜんぜんそうゆうこと話さないからわかんね
　　　　　　　　ーし。前はぜったい同い年がいいってあいぼんはいってたれすねぇ。
　　　　　　　　今もそうなんれすか？ あさ美ちゃんは北海道れ好きな人とかいなかっ
　　　　　　　　たんれすか。
　　　　　　　　ののはぜんぜんそうゆうことがねえからわかんねーのれす。好きにな
　　　　　　　　るってどんな感じか誰かに教えてほしいのれす。あれからもう何年も
　　　　　　　　過ぎたんれすけろ。。。まだ、あーちゃんのきもちがわかんねーのれす。

∋oノハヽo∈
　 (　´�D｀)＜……

　　　　　　　　ののは体がなんてゆうか、悲しみになったのれす。変ないいかたれす
　　　　　　　　けろ、そうゆうしかねえのれす。ののは自分の体がもうあるのかないの
　　　　　　　　かわかんなくなってたのれす。ずっとそうゆう感じがつづいてたんれす
　　　　　　　　けろ、そんときはほんとにからだがなくなったみたいらったのれす。ほん
　　　　　　　　とうにおなかがすいて、おいしいものにかぶりつくときとおんなじような
　　　　　　　　のがもっとすごいってゆうか。ああゆうときって目がぱかってあいてて、
　　　　　　　　手も口もうごいてるんれすけろ、それれも「おいしい」ってことが全部に
　　　　　　　　なるのれす。れも、そんときのののはそれよりもすごかったみたいなの
　　　　　　　　れす。いつぶったおれてもおかしくない、ゆめのなかみたいな。。。

　

羊最古スレ

　

　　　　　　　　　：
　　　　　　　　　：

　　　　　　　　…ののはれも、あるいてはいたのれす。どこをどうあるいたのかわかん
　　　　　　　　ねえれすけろ。。。
　　　　　　　　いつのまにかへんなところにまよいこんでたのれす。じめんがふわふわ
　　　　　　　　の土れ、おっきいもさっとした草とか木がいっぱいあってむしあつくて、
　　　　　　　　れも、ののがでんぐり返しを十回できるくらいの広さがある、草と木が
　　　　　　　　天井とかかべみたいになった部屋みたいなところれした。いっぱいお墓
　　　　　　　　があって、空気が人の息みたいに土から出てるみたいれ気持ちがわる
　　　　　　　　くて、ののはふっと戻ろうかって思って考え事をやめたのれす。そした
　　　　　　　　ら、お墓の赤茶色にさびた柵に一人の男の人が座っているのに気づい
　　　　　　　　たのれす。ののはびくって体がでんきびりびりの罰ゲームの奴をくら
　　　　　　　　ったみたいになったのれす。足が柔らかい土に木みたいにのみこまれ
　　　　　　　　ていってののは前にも後ろにも右にも左にもいけなくなっちまったのれ
　　　　　　　　す。

　　　　　　　　男の人もののに気づいたみたいれ、ゆっくりと顔を上げたのれす。
　　　　　　　　20才か30才くらいの人らったのれす。黒い髪が長くて、目のとなりまで
　　　　　　　　前髪がたれていたのれす。顔はほっそりしてて目が人をつかまえよう
　　　　　　　　としてるみたいなちょっとこわい感じらったのれす。
　　　　　　　　ののはそのお兄さんをビーンて背中をのばしたまんまれじっと見てた
　　　　　　　　のれす。そしたらお兄さんはにやって笑っていったのれす。
　　　　　　　　「君はなんでこんなところにきたの」
　　　　　　　　ののはまたでんきがきたみたいにびくってしたのれす。
　　　　　　　　「あれ、泣いてるの。どうしたの？ こんなところで泣いてるなんて……」
　　　　　　　　そうお兄さんは心配そうな声を出していったのれす。ののは少しからだ
　　　　　　　　の力が抜けた感じれいったのれす。

　　　　　　　　「…なんでもねえのれす」
　　　　　　　　「なんでもないって。お母さんとはぐれちゃったの？ 迷子さんかな？」
　　　　　　　　ののは首をふったのれす。
　　　　　　　　「じゃあ、どうしたの？ なんかなくしちゃった？」
　　　　　　　　「ちがうのれす」
　　　　　　　　「うーん、困ったな。おじさんに何かできることがあるといいんだけど」
　　　　　　　　おじさんという言葉でののはもう一度お兄さんの顔をみたのれす。お兄
　　　　　　　　さんはぜってーおじさんには見えないって思ったのれす。お兄さんは
　　　　　　　　お墓の柵に座ったままらったんれすけろ、ののが顔を見たときには横
　　　　　　　　を向いていたのれす。鼻が高くて、何か外国の絵みたいらってののは
　　　　　　　　思ったのれす。服装は水色の半そでのシャツとジーパンれ、さっきあい
　　　　　　　　ぼんたちが話してた寺男にはちょっと見えなかったのれす。そんれ、
　　　　　　　　このお兄さんこそなにしてんらろーって思ったのれす。

　　　　　　　　「そうだ、何か食べる？ この辺ならいろいろおいしいところ知ってるよ。
　　　　　　　　地元だからね」
　　　　　　　　ののはその言葉にすこしそそられたのれす。食べ物のことになると、
　　　　　　　　やっぱり目がねえののなのれす。れも、やっぱりそんな気分じゃ
　　　　　　　　ねーって思って首をふったのれす。
　　　　　　　　「そう。。。――暑いね、しかし。ここは風も入らないから余計に蒸し暑
　　　　　　　　い。お墓もあるから空気もよどんでるよ。君もそう思わない？」
　　　　　　　　何をいってるんらろーってののはきょとんってお兄さんをみたのれす。
　　　　　　　　「ここは誰のお墓なんだろうね。僕にはわからない。君もここがどこ
　　　　　　　　かって知ってて来たわけじゃないんだろ？ 僕もずっとこの藤沢に住ん
　　　　　　　　でるけど、このお墓が誰のお墓かって知らないんだ。ほら、君の立って
　　　　　　　　るすぐ横に小さな祠があるだろう。弁財天かもね。橋がかかってて。
　　　　　　　　弁天さまは川の神様だからね。そういうつくりになるわけさ。でも、ずい
　　　　　　　　ぶんちっちゃくて汚れた祠だ。誰も掃除なんてしてないんだろう。。。
　　　　　　　　こっちのお墓にしても、草とか木の葉っぱが柵の間からはみ出して墓
　　　　　　　　石に触れちゃってる。――あー、それにしても暑いね。汗が気持ち悪
　　　　　　　　いよ。君もそうだろう？ よく見たら、君の額にも汗の玉がいくつか見え
　　　　　　　　るよ」

どうなっちゃうの・・・・・？

AAは？

д‘）＜別にＡＡなくてもえーえー。

　

　

好き

　　　　　　　　ののはそういわれたのれ、手で汗をぬぐったのれす。ほんとにいつの
　　　　　　　　まにかのののおでこに何個も汗の玉ができてたのれす。
　　　　　　　　「君の汗も、僕の汗も生きてるから出るんだね。生きてない人は汗なん
　　　　　　　　かかかないもんね。暑いって思うのも生きてるからだ。死んでしまったら
　　　　　　　　汗なんかかきっこないよ。僕は、君も生きてる、たしかに。生きてる。。。」
　　　　　　　　お兄さんはぜんぜん表情をかえなかったんれすけろ、その言葉には少
　　　　　　　　し力が入っていたのれす。お兄さんはそれからしばらくしゃべんなかっ
　　　　　　　　たのれす。
　　　　　　　　「だいじょうぶれすか？」
　　　　　　　　「ごめん。――てあれ？ 君に心配されちゃったよ。困ったね、僕も。
　　　　　　　　そうだ、ねえ。アイスでも食べに行こう。アイスなら食べられるんじゃな
　　　　　　　　いか。その辺のコンビニにでもいって、アイスを買おう。もちろん、僕が
　　　　　　　　おごるぜ」
　　　　　　　　ののは何となく、うん、てうなずいちまったのれす。
　　　　　　　　そんれ、ののはお兄さんといっしょにアイスを食べて、なんらかわから
　　　　　　　　ねーうちにお好み焼きの店に入っていたのれす。

　　　　　　　　「ここは地元の人もあんまり知らないところで、けっこううまいんだ。は〜、
　　　　　　　　店の中はけっこう涼しいね。君も少し汗が引いたみたいだ。そうだ、僕
　　　　　　　　の名前は山田明人、明るい人と書いてあきと。ぜんぜん名は体を現し
　　　　　　　　てないわけだけど」
　　　　　　　　ののはその言葉の意味がわかんなかったのれ、首をかしげたのれす。
　　　　　　　　「ののは、辻、辻希美れす」
　　　　　　　　「つじのぞみ。。。いい名前だね。漢字は？」
　　　　　　　　「希望の希に、美しいの美れす」
　　　　　　　　「希望の希と、美しいの美か。。。君の場合は名は体を現すを地でいっ
　　　　　　　　てるね。。。鉄板がだいぶあったまってきた。やっぱり少しあつく感じる
　　　　　　　　ね。だから客も少ないんだよ。君はお好み焼きは何が好きなの？適当
　　　　　　　　に頼んじゃったけど」
　　　　　　　　「えーと――」

　　　　　　　　あいぼんもあさ美ちゃんも、なんれののがこんなはじめて会った人と
　　　　　　　　そうゆうふうにいっしょにアイス食べたり、ご飯食べたりしたのかって不
　　　　　　　　思議らと思ってると思うんれすけろ、ののも変な感じらったのれす。れ
　　　　　　　　もなんてゆうか、変な人ってやっぱり子供れもわかると思うのれす。
　　　　　　　　小学校四年生くらいになったら。ののらってそんな変な人についていく
　　　　　　　　ような子じゃなかったのれす。
　　　　　　　　その人はなんてゆうか、見た感じとか、話し方とか言葉とかがそうゆう
　　　　　　　　んじゃないって思わせたのれす。なんてゆうか、変ないいかたれすけ
　　　　　　　　ろ、空気みたいな感じらったのれす。人間じゃないって感じかもしれ
　　　　　　　　ねーのれす。らから、そのときのののはなんとなくその人の話を聞い
　　　　　　　　てもいいかなって思ったのれす。
　　　　　　　　…れも、やっぱりちょっとおかしくなってたのかもしれねーれすね。

　　　　　　　　お兄さんはのののことはもう聞かなかったのれす。じゅーじゅーお好み
　　　　　　　　焼きとかもんじゃ焼きが音をたてて焼けるのをじっと見てるみたいらっ
　　　　　　　　たんれすけろ、ずっとしゃべり続けてたのれす。さいしょののはののに
　　　　　　　　気をつかってそうゆう風に関係ないことを話してるのかもしれないとお
　　　　　　　　もったんれすけろ、話がずっとつづくうちにそうじゃね〜ってわかったの
　　　　　　　　れす。

ﾌﾑﾌﾑ。

ののさん誕生日おめでと

nono

　

yesyes

　

abakkio

ほ

：
：

人間の生、生きるってことはどういうことなんだろうねぇ。君はまだ小学校…？
そう、四年生だったね。まだまだ未来はわからないけど、僕の場合はもう未来が見え
ているようなんだ。君はそんなことを聞いたって関係ないだろうが。。。僕はもうお先
が見えてるんだよ。まだ生きてるけどね。こうしてほら、手が、ここに僕の肉体があ
る。君も手を出してごらん。

うふふ、小さい手だね。僕の手と君の手をこう鉄板の上にかざして並べてみると、
これは形はほとんどいっしょだけど、大きさ以外にやっぱり細かいところでちがってる
のがわかるね。僕の手は君よりもはるかにしわが多くて、少し黒い毛が生えている。
君は真っ白で毛もなくて、華奢でまるっきり子供の手で…。
おや、小指と人差し指に白いお星様があるね。君はあんなところで一人で泣
いていて、妖精みたいなようで、実は腕白な女の子なのかな。よく見れば、君の手
は少し女の子っぽくない手かもしれないね。指の長さは別に気にならないけど、
指の先端が丸っこくて、爪が若干短くて力強い印象を持ってる。こんな場末のお好
み焼き屋の明かりで比べてみても君と僕の手の違いを語りつくすことなんてできな
いけど、どんなに似た手があったって、それは君の手であり、これは僕の手なんだ。
そうして、僕と君の体はどうあったってやっぱり僕と君の体で、何物にもかえられな
いものだ。

――君は僕がなぜあんなところにいたかわかるかい。僕はよくあそこに行くんだ。
もう僕は22歳になるわけだけど、ほんの子供のころからあそこに行って独りで考え
事をしたんだ。それこそ、あそこの四季の細かい変化を僕は知ってるよ。でもね、
僕はあそこについて調べたことはないんだ、一切。あそこはただあるんだ。もろちん、
誰かがあそこにお墓を作ったに違いない。でも、そんなことが僕と何の関係がある？
それは僕に父親と母親があるけど、それと僕の心臓が今動いてるのと関係ないの
といっしょだ。それは過去のことで、今と直接つながっているわけじゃないんだ。
つながってると思うのは人の自由だよ。ただ、僕はそれがどういう理由でそこにあろう
と知ったことではないということだ。それと同じように僕がいて、君がいるわけさ。

――僕の家は八百屋でね。大正時代にできたから、いわゆる老舗って奴かもしれな
いね。ひいじいさんが創業して、親父がやってるときにつぶれた。つぶれた理由はい
ろいろあったけど、いちばんの理由は近所にスーパーができたことかな。まあ、お袋
がいっていたように、親父に商才がなかったというのもあると思うけど。。。だって、
八百屋では決まってこうしてへらで押しつぶしたような声で、「らっしゃい、らっしゃい」
ってわめいてるもんだけど親父は恥ずかしいのかそういうこと一切しなかったからな
ぁ。で、つぶれてから親父は失踪――蒸発という展開さ。それから僕たち三人の兄
弟を育てるのにお袋は懸命になった。それこそ血眼になってね。

――いろいろやってたみたいだけど、いわゆる夜の仕事はしてなかったなぁ。
お袋は息子の僕がいうのもなんだけど、お世辞にも美人といえるみてくれじゃなかっ
たからね。あ、ごめん、君に夜の仕事っていってもわかんないよね。夜の仕事って
いうのはつまり、大人の男を相手にいろいろおしゃべりをしてあげるお仕事さ。酔っ
払いのおじさんの性質の悪さは君もわかるだろう。親戚に一人や二人はいるだろ
うからね。ああいうおじさんを相手にするわけさ。もちろん、女の色気を振りまいて
ね。でも、そういうところはやっぱり美人の方がいいし、ぱっと華がある感じじゃない
とつとまらないんだ。話もうまくできなきゃいけないし。お袋はそういうところてんで
だめだったから。でね、そういうお仕事は酔っ払いが酔ってどんぶり勘定になるこ
とをいいことにいっぱいお金が入るから、お給料もいいんだよ。だから、手っ取り早
く高い収入を得ようとすると女性はそういうお仕事についちゃうわけさ。まあ、あの酔
っ払いを相手にするからだめな人はだめで、大丈夫でも大変は大変ではあるんだ
ろうね。

もちろん、逆の場合もあるよ。酔っ払った女がかっこいい男にお金を払うパターンが
ね。酔っ払いって不思議だね。

――親父の残した借金は女手一つで返すのはなかなか大変でね。二人でやってい
たものだったから返さないというわけにはいかない。それにお袋はどこがいいのか
親父が戻ってくるのをずっと待っていたみたいだった。それは僕にはほんとうに信じ
られないことだったよ。一年二年はまだわかるけど、三年もたつと子供と妻の心理
の違いなのか、どんどんそうした感情に食い違いが出てくる。

で、兄貴――僕は真ん中だった――はグレるという形でその気持ちが成長に反映さ
れた。兄貴はドラマにあるみたいに家から有り金全部を持っていくような奴だった。
さいしょに兄貴が家から金を盗んだことを知ったときの修羅場は壮絶なものだった
よ。お袋が兄貴の服をつかんでさ、それを兄貴が振り払う。振り払った拍子に手が
お袋の顔面にヒットする。たいした痛みでもなかったろうけど、おとなしいお袋がそ
れでものすごく逆上してね。顔が土気色になって兄貴にむしゃぶりついてた。まだ
中学生だった僕は弟が絵を描くのを手伝ってて、手にクレヨンを持ったまま震えて
いた。ちょうど太陽を書こうとしてるところで赤のクレヨンだった。「これからどうなる
んだろう」って思ってね。弟は僕のひざに顔を当てて泣いちゃってるしさ。

兄貴はそれから一年とたたないうちに家を出てった。兄貴なんて何の役にも立って
ないからいなくなっていっこうに困らなかったし、むしろせいせいしたよ。でも月々の
借金返済額に比べると兄貴がせびるのなんて微々たるものだったから暴力が消え
ただけで、生活はそんなに変わらなかった。

で、僕が働く番さ。僕もいろんなことして働いたよ。新聞配達、ビラくばり、市場の積
み込み作業、建築現場の土木作業、コンビニの店員。もちろん、中学生のころはで
きることなんて限られててそのころは短時間でできる力仕事が多かった。卒業して
からは時間が自由になったから少し開放されたような、何でもできるなんて気分に
もなった。でも、それも最初だけで、半年もすると学生が毎日学校に行くってことが
どんなに楽なことかって思うようになったよ。だって学校に行って授業を受けるのが
つらいって思ってても、そこはだいたい黙って聞いてるだけでよくて、授業によっては
寝られるわけだから最高だよ――まあ、僕の偏見だろうけど――、仕事となるとそう
いうわけにもいかないからね。体使うとなるとなおさらだね。だいいち月一日の休み、
毎日睡眠時間3、4時間なんて生活、普通の人間はやらないよ。僕はこれまで今の
仕事もあわせると三回正社員として働いているんだけど、一回は仕事中に寝ていて
クビになったんだ。うそじゃないよ。一回目は主任、二回目は課長、三回目は部長に
見つかった。自分で言っていて冗談みたいな話だよ。それでも二回まで許されたの
が奇跡というべきか。

僕は漫画とかあまり読まないんだけど、配送の仕事をしていたとき、アルバイト仲間
が読んでいて、暇つぶしに漫画を見た。その中の一つの恋愛漫画を見て僕は愕然と
したんだ。高校生が冗談を言って乳繰り合うというような内容の漫画だった。今思え
ばたわいもない漫画だった。でも、僕は自分がバカにされたような気になった。
そのときはじめて本気で人生というものについて考えたよ。中学を卒業してから数年、
働きづめに働いて、自分の生活のためでもなくて、ただ親の借金を返すために働いて
いる自分の人生っていったいなんだろうってね。もちろん、中学を卒業して立派に
生活して、自分の人生を誇りにできる人はいくらでもいるわけだけど、僕の場合は
違うと思った。ほとんどが何だかわからない借金のために消えてるんだ。

中学を卒業してからはだいたい平均して月25万から30万の金を稼いでいたけど手
元に残るのは2万円から3万円だった。ウソじゃないぜ。本気でこれぐらいありゃ十分
だって思ってたんだ。帰る家があって起き伏しすることができるってことが幸せに感
じられたんだ。そして一日一本だけタバコをすう。このときの幸せは君にはさすが
にわからないだろうね。まあ、毎日一日一枚だけビスケットを食べられる、それ以外
は何も食べられないと考えてごらん。そのビスケットのありがたみが想像できるだろ
う。え？ タバコはそんなにおいしいのかって。――おいしいんだよ。

僕たち親子は昭和四十年ごろにできたというぼろアパートに住んでいたんだけど、
隣の部屋にフィリピン人の夫婦が住んでいて、深夜に奥さんが帰ってくると毎夜の
ようにけんかが始まる。それで何をいっているのかわからない南方の言葉をBGMに
ベランダから夜空を眺めつつ一服するわけさ。春であれば花の匂い、夏であればテ
レビの野球中継の音、秋であればさわやかな風、冬であれば満天の星空。
どう？ 気分よさそうだろ？
――母親と弟の涙に決意した、そのときから僕はがむしゃらに働いたんだ。そのつも
りだった。でも、それが正しかったかどうか。

　

　

ソニー・ホー

――世間は僕を笑うにちがいない。自分と同年代の者がねたましいとかそういうわ
けではない。だって、それが普通で、別にその漫画の世界も普通の感覚に従ってい
るだけだ。僕がおかしいだけで、僕の人生がおかしいだけだ。そのときもそれがわか
っていたんだけど、それから僕は胸にくさくさした変な気分を抱いたんだ。

　しかし、働かないわけには行かなかった。僕が働かなければ家はどうなる。お袋、
弟は生きていけるのだろうか。僕ははじめ使命感で働いていたんだけど、そこに義
務感とか責任感とかが入り込んで負担を感じるようになっていた。弟が高校をやめ
てしまって、お袋が今よりももっと多くの涙を流す、そんなことを想像すると仕事を
投げ出すなんてことできなかった。そうした思いは前から持っていたんだけど、
なんだかちょっと面倒になったんだ。

僕の考え方がそう変化してからの年月はずいぶん長く感じられた。僕は未来を思う
ようになった。それまでだって未来のことを考えてはいたよ。でも、本当にそれが自
分のための未来であるのかと考えたときに、もっと具体的な未来像が僕には見えて
きたようだった。このままではいけないと僕は考えるようになっていた。僕は過去の
自分を振り返って、どれほど自分が自分のために生きてこなかったかと後悔した。

自分のために生きるとはどんなことなのか。僕は必死になって考えた。誰にも何物
にも強要されることのない自由な人生。甘美な想像だ。僕にはその人生を歩む権利
はなかったのだろうか。中学のころからずっと僕は働いていたんだ。いや、もちろん
世界中にそんな境遇の人はいるさ。ただ、そんなことやはり僕には関係ないんだ。
極端な話、誰がどこで餓死しようがね。あ、ごめん、何かきつい言い方だったね。
……餓死っていうのはほら、ものを食べられないで死んでしまうことなんだけど。。。
おそらく君も感じてるだろうけど、僕は自分中心の人間なんだよ、本当に。

あのお墓のことにしたってね。だって、あそこにはきっと死んだ人間が埋まってるん
だぜ。江戸時代だったらあの、体を折り曲げて入れる座棺に入ってるんだろうね。
ひょっとしたら掘ればまだ骨は見つけられるかもしれない。想像したことあるかい？
ないだろう。江戸時代の墓だからね。

普通はそこで手を合わせて南無阿弥陀仏とか唱えるんだろうけど、その人は死ん
だから入れられた、つまり生きて僕たちと同じように話すことができた者たちなんだ
けど、死んでしまったら命あっての物種で「ない」のとかわらない、僕はそう思ってし
まうんだ。だって話すことなんてできないだろう。毎日のニュースで人が死んでいく。
それっきりだ。死人に口なしだよ。その人がどんなに立派な人間だろうとくだらない
人間だろうとそんなことはもう関係ないんだ。それは生きている者の世界の話だか
ら。死して皮を残すとかなんだとかいう諺があったかとおもうけど

――これは中学時代のトロロっていう変なあだ名の先生が教えてくれたのを覚えて
いるんだけど。。。えっ、なんでトロロかって？ それは教室で一回吐いたから。
ひどいのんべえでね。まあ、それでいわれはわかっただろう。

――といって、生きている者がそれほど僕にかかわっているわけじゃない。
僕の歩いてきた年月に僕と本当にかかわった人間なんてほとんどいないと思うん
だ。僕が今死ぬとして感謝する人間はほんの一握りの人間しかいない。でも、それ
もみんな仕事でお世話になった人たちばかりさ。僕は友達といえる人間がいなくて
ね。この年で恥ずかしいだろう？ 本来僕は恐ろしく無口なんだ。友達なんてできる
はずがない。こうしてお好み焼きを食べるのも惜しんで話しているのは――君、そっ
ちのも焼けてるぜ、君はなかなか食べっぷりがいいね、鉄板の熱で涙も蒸発した
みたいだ。君が元気になってくれたみたいで僕はうれしいよ。

――なんだか話がそれてしまったね。僕の悪い癖だ。僕は何事も僕中心に考えて
しまうんだ。

　何を話していたっけ。そうだ、人生を本気で考え出したって話だったね。いったい
どういう流れからそんなくさい話をしてしまったんだろう。こんなことはどうでもいいよ
ね。
　ある出来事のことを話そうと思ってたんだ。まあ、その出来事は今話したことと
無関係ではないが……。
　お袋が一昨年死んだ。別に体が弱いわけでもなくて、死ぬ一週間前まで働いてい
たんだけど、脳の血管がいっちゃって昏倒してそのまま病院で死を迎えることに
なった。その死がまた僕にいろいろ考えさせたわけだけど…とにかく僕は借金から
解放されることになった。そもそも親の借金だから僕が払う義務はないんだ。お袋は
にっちもさっちもいかなくなってサラ金から金をつまむときでも、絶対に僕の名義を
利用しなかった。だから、僕の体は法的には真っ白なものだった。お袋がいったい
どうやって金を借りられたのかとそこばかりは僕にもわからないことなんだけど。
――想像するのも恐ろしくてね。。。
お袋を実家の墓に入れてもらってから、いくら払わなくてもいいといっても債権者の
目もあったから、僕と弟は川崎に引っ越してしばらくいっしょに暮らした。しかし
弟はアルバイトをするから一人暮らしをさせてくれと言い出して家を飛び出し、
僕はひとり取り残されることになった。

　それまでうじうじと考えて願っていたことがかなってみると、僕は自由とは何なのか
なんて考え出した。できる人はそこで勉強なんか始めちゃってすごい資格をとっちゃ
ったりなんかするんだろうけど、僕にはできなかった。とりあえず夜の仕事をやめ
て、昼の運送屋のアルバイトをしながら、長く続けられそうな職を探したんだ。
　運送屋の仕事は瀬谷というところに会社があったんだけど、ある日、僕はこの藤沢
に配達に来ることになった。ちょうどここからあるいて15分とかからないところだっ
た。昼休みになってから、そこの藤沢小学校まで僕は歩いてきた。あまり時間がな
かったから、コンビニでおにぎり二つとジュースを買っておいて、校庭を見下ろせる
ところに腰掛けて食べ始めた。がらにもなく小学校のころのことを思い出してい
た。あのころの自分と今の自分とでは同じ人間かと疑うくらい違っている。少なくと
もいわゆる屈託のない笑顔という奴が僕にはあったんだ。今の僕にはそんなもの
はない。自分の言うのも何なんだけど、今ある笑顔は単なる仮面だよ。仮面をか
えているだけで、心なんてこもってやしない。――ちょっときざだったかな。そんな
きょとんとした顔で見ないでくれるかい。……えっと、まあ、要はそんなに笑わない
ってことさ。

　校庭では小学生たちが授業なのかサッカーをやっていた。僕は小学校のころ、
サッカー部でね。レギュラーで、ポジションはフォワードだった。かっこつけるつもり
はないけど、そのころは女子のファンクラブもあったんだぜ、ホントだよ。今でもサッ
カーは好きでよく見る。あのときも子供たちのサッカーを見てるだけで子供に戻って
いっしょにやりたい気分になったんだ。仕事がなかったらいつまでも子供たちのサ
ッカーを見ていたかもしれない。
　でも、休憩時間はそれだけで終わらなかった。

「あれ？ ひょっとして明人君？」
女の声がした。声の聞こえた方を向くと、若い男女がこちらを見ていた。見たことが
あるという感覚と記憶が一致するまで時間がかかったよ。二人は小学校・中学校と
同じ学校だった人たちだったんだ。女は若井あゆみ、男は平田茂という名で、小学
校のころはよくいっしょに遊んだ仲だった。
　僕が思い出したという表情をしたのか、あゆみは笑顔になって僕に駆け寄った。
茂は照れくさいのか面倒なのか、少ししかめっ面だった。このとき僕はしっかり見て
いたんだけど、あゆみの声を聞いてそちらを見たとき、たしかに彼女の手は茂の腕
に絡まっていたんだ。
――その意味は君もわかるだろう？ 二人は付き合っていたんだ。

――あ、そのお好み焼きはもう焼けてるぜ。ひっくりかえしてくれる？
うん、そう、そうだね。

　

ああどうなるの・・・・

ほ

ホ

ほ

ホ

ほ

ホ

　――僕は二人のそういう関係に感づいて、何となく嫌な気持ちになった。理由はさ
っきもいったとおりさ。
「久しぶり! 覚えてるあゆみと茂だよ。明人君!」
「久しぶり。……」
　僕は言葉を探してみたんだけど結局見つからず何も言わなかった。僕が話すは
ずのスペースに僕の言葉が埋まらなかったからだろうね、あゆみは早口でしゃべり
だした。
「中学校を卒業して、何回か会ったよね。茂は？ ――へぇ、そんなに会ってるん
だ。みんな偶然でほんのちょっとだからさみしかったよ。茂ともよく明人君のこと話
すんだ、今でも。でも、今回も偶然出会うなんて、やっぱり三人は「仲良し三人組」
だね」
僕は彼女のよく回る舌にいきなり辟易した。「ヘキエキ」というのはまあ、ちょっと
たじろいだって感じかな。――それ、イカのおっきいの入ってるよ。
くわしいやりとりを言っても仕方がない、とにかく彼女は最初の勢いを保ったまま
だったし、茂も当惑した表情のままだった。

　僕が仕事中だということを知ってあゆみは僕の携帯電話の番号を聞いた。
僕は言われるままに電話番号を教えた。それから僕は仕事で懐かしい再会を
あっさりと振り切るじぶんに少し恥ずかしさを感じながら彼らに背中を向けた。
二人は大学生だということだった。大学は違うが、三年になったことから多少時間
に余裕ができたという。付き合っているという言葉は言わなかったが、二人でわざ
わざそこまでやってきた理由も言わなかった。
――二人の僕に与えた印象は小さいものではなかった。二人は自分を数年ぶりに
見て感じてどう思ったのだろう。自分は今どんな人間なのか。

茂は僕にはない「若者らしさ」を持っていると僕は思った。活気があって、また世
間を知る必要のない、甘く、しかしどこかさわやかなものが彼のまわりを包んでいる
ようだった。若井あゆみもそうだった。彼女は小学校のころ、一度僕に僕のことが
好きだと言ったことがある。僕はそれが単なる冗談だと思って相手にしなかったが、
小学校の卒業が間近に迫ったとき、彼女は明人のこと好きだったのに、と笑みを
含ませて言った。そのときは僕も冗談で返したが、中学、そして現在にいたる過
程でそれがひょっとしたら本当のものだったんじゃないかと思うようになった。
もちろん、妄想といっしょに生まれた解釈に過ぎなかったが。。。
しかし、こうして現実に会ってみると、長い間止まっていた時計が突然動き出した
かのように感じられる。いや、僕は動いている時計を目にしただけだ。
彼らはもう小学生、中学生の子供ではない。二十歳を過ぎた大人だった。
しかし、年相応の「若者」として、ごく自然に恋愛関係に進んでいるんだ。
――22歳の僕がこんなことを言うのはおかしいかい。そうかもしれない。
でも、僕がさっき言ったことに年齢は関係ないんだ。僕が10代でも、30代でも
同じ思いにとらわれるに違いない。

それから、一週間何の連絡もなく、僕は彼らに会ったことがただの意味のない偶然
と思うようになった。僕にとって中学を卒業してからの年月は結局それで語られるも
のであったし、僕の結論がたった一週間でそう変化するのも無理のないことだった。
しかし、10日ほどたったとき若井あゆみから電話がかかってきた。
彼女ははすっぱな感じの声で僕にあやまった。
「明人君ごめん、電話するって言っておいて電話しなくて。どうですか、調子は」
僕は少なからず心に喜びを感じていた。
「いや、そんなでもないよ」
「またまた。何か中学校のころと雰囲気かわっててびっくりしたよ」
僕はその言葉に抵抗を持った。
「何か大人っぽかった。けっこういい恋愛でもしてきたんじゃない？」
恋愛を？ 僕がまさかそんなことがあるはずがない。
「答えないところを見ると図星だな？ 女の勘は鋭いから。全部わかっちゃうよ。
あそこであったときはこのかっこいい男性は誰だろうって思ったもん」
僕は彼女の言葉を半ばあっけにとられて聴いていた。なんとよく回る舌なんだろ
うってね。
「で、ずっと電話しなくちゃしなくちゃって思ってたんだけど、何か忙しいのに悪いな
って思って。ひょっとしたら今も。。。？」
「いや、全然大丈夫」

「そう、よかった。前は明人君お仕事中だから全然話せなかったでしょう。だから、
こうやって電話ででも話したいと思ってたんだ。明人君にはちょっと迷惑かな」
「迷惑…なわけないね」
「本当？ うれしいなあ、純粋に。明人君覚えてる？ 小学校のころって」
「…小学校のころ？」
「うん。最近、なんかあのころを思い出すんだ。何でか自分でもよくわかんないんだ
けど。わたし、ほら今大学生で、そろそろ就職活動も始めなくちゃいけないんだ。
もうまわりはぼちぼちはじめてるし。一応教職とってるから、教育実習には行くつも
りなんだけど、わたし、その…こうやって再会したばかりで、明人君にこんなことい
うの自分でもどうかと思うんだけど…別にやりたいことってないんだ。すごく学生っぽ
い考え方…だよね。でも、本当になんか気力みたいなのが人より欠けているみたい
なんだ。ごめん、ほんと、いきなりこんな話しなくてもね。へへ。で、考え事とかして
るとふとあのころを思い出すんだよね。。。でも、いきなりこんな話したら、明人君に
怒られちゃうかな。だって明人君はもう社会人だもんね」
僕は突然始まった彼女の告白に例の漫画を思い出していた。自分と彼女のあまり
の違い。僕は選ぶこともできず仕事をすることになったが、彼女はまだ選ぶ自由が
与えられている。
しかし、彼女には特別やりたい仕事はないという。

「――僕は別にただ働いているだけだから」
僕は一言そう言ったのだった。彼女は続けた。
「うん。。。自分でも甘えてるってわかるんだ。大学生にもなって、何を甘えてるん
だって感じでしょう。ごめんね、いきなりはじめてかけた電話でこんな話をしちゃって。
はぁ、何明人君にこんな話。あゆみのバカバカバカ。――ふふ。最近こんなこと
ばっかり考えてるから。明人君だからこんなこと話しちゃうのかな。――だって、
明人君昔からやさしかったから」
「――そうかな…。あんまりそんなこと記憶にないよ？」
「うそ。わたしははっきり覚えてるよ。小学校のころから大人っぽくてほかの男子と
違ってたもんね。でも、中学に入ってから急にもっと大人っぽくなったというか。
友達の真由美――ほら、あの図書委員だった…覚えてるかな？ その子と話したん
だ、大人っぽくなったよね!って」
僕は父が失踪する前後のことを思い出した。あゆみは僕の父が蒸発したことを知
らないのだろうか。いや、そんなはずはない。クラスの者は僕が隠さなかったこと
からほぼ全員が知っていた。クラスが違ったとはいえ、そこまで言うのであれば
知らないはずはない。
その後、あゆみは思い出話を次々と披露していった。僕は相槌ばかりでまともに
言葉を返せなかったが、それは次の思い出話を引き出すきっかけとなったのだった。
「…前、約束してくれたんだから、今度会おうよ、三人で。ね、いいでしょう」
疲れを知らない声で彼女は言った。
「――かまわないよ」
「じゃ、もう今日決めちゃおうよ」
いかにも手際よく彼女は僕の都合を取り入れて日時と待ち合わせ場所を決めた。

　

ほ

。

　

そして、その日、僕の前に現れたのは彼女一人だった。
「何か、茂君は用事ができて来れないんだと。だからわたし一人できちまいました」
彼女はふざけた調子で言った。男女が付き合っていて、そうして別の異性に二人
きりで過ごすことは簡単にできることなのだろうか。無関係の僕の方が彼女と茂
の関係をひとり心配しているようだった。
彼女は水族館に行きたいと子供のようにはしゃぎ、電話で決めた場所をやめにして
そこに向かうことになった。そのときの彼女のはしゃぎぶりは正直、僕を苦笑させっ
ぱなしだった。僕は彼女の本当の気持ちを知りたいと思ったが、彼女がわかりやす
い媚びを見せるのでかえって混乱させられた。彼女の媚びというのは女の子が自
分をかわいく見せようとするときの首をかしげたり、手を猫の足のようにそろえたり
する典型的なそれだった。

　しかし、それが演技であるにせよ演技でないにせよ、なぜ僕に対してそう振舞うの
かという理由がわからない。彼女には茂というれっきとした彼氏がいる。彼女は僕に
一言もそのことをいわない。僕が気づいていないと思っているのだろうか――結局
彼女は最後までそのことを言わなかった――。それに僕は何年も会っておらず、
再会してからまだ一回目に会うに過ぎない。
　茂とうまく行っていないのか？ それとも……。僕は彼女が僕に告白したことを思い
出した。それが今回のこととつながりを持つのだろうか。
　僕の人生にカネ以外のことでそれだけの時間のつながりを許すものがあるという
のだろうか。僕はそうしたことを考えて自分を笑った。ありえないことだった。妄想は
僕には似合わない。

　帰り際になって、彼女は僕に「また遊びに行こうね」といった。僕はそうして半日も
遊び歩くなどほとんどないことだったから、ぐったりしていてうなずくのが精一杯だっ
た。
　しかし、彼女と別れてから、何かに解放されたような気分になっているところへ
電話が鳴った。彼女からだった。
「お疲れ様でした」といった後、彼女は今日一日の出来事の総括を始めた。僕は彼
女の底知れないバイタリティに驚くよりほかなかった。
――え？ バイタリティが何かって？ えーと生命力ってほどの意味じゃないかな。。。

　翌日の仕事に張り合いのようなものが出てきたことは隠しても仕方がないだろうね。
君が思っているとおり、僕は彼女に対してちっとも悪い印象を持っていなかったんだ。
付きまとわれている？ 茂という彼氏がいるのに僕と会うことはおかしい？
……この一連の出来事を僕はむしろ歓迎していたんだ。
　そして、毎日のように彼女から電話がかかってくるようになり、僕が電話をかける
ようになると、彼女の提案でメールを使い出した。僕たちの交わす会話は彼女が話
すことと大差のない、たわいのないことばかりだった。彼女が会話の流れのすべて
を握っているのだから当然だ。どこそこのケーキがおいしいだの、あそこのアトラク
ションがすごいだの、彼女はこともなげに、しかし正確に話す。僕はおそらく彼女に
会っていなければ知ることのなかった多くの事柄を僕は知ることになったんだ。彼女
の言ったことの真偽を二人で確かめに行くこともしばしばだった。そんなとき、僕が
本当に何も知らないと知って、彼女はうれしそうに笑った。

　彼女とのそうした生活は少しずつ僕の日常へとからみついていくようだった。仕事中
に彼女のことを考えてへまをするようなこともあった。半年近くいっしょに働いて親し
くなったバイト仲間から心配する言葉がかかったときはさすがにその自分の状態が
情けなく思えた。
　彼女が僕のいわゆるタイプの女性であったかといえば、そうでもない。見ためもそ
うでもなかったし、しぐさもかわいらしさに達しないような中途半端さがあって、本人
がかわいいと思い込んでいるところが僕からすればかえって神経を使わせるもの
だった。最初の「デート」――言ってて恥ずかしい言葉だなぁ――のときの妙なしぐ
さももともとのものだったんだ。

――えらそうなことを言っているようだけど、それが当時の僕の正直な感想だから
ね。今こうして話すのにそこを隠しても仕方がないと思ってね。僕の本心というのは
もう君もわかっていると思うし。ただ、僕がこうしてあゆみのことをけなすように言うこ
とで君が僕のことを軽蔑するとすれば、それはそれで残念だけど……。

でも、人の気持ちなんてけっして一色じゃないと思うんだ。本当にいろいろなことを
思う。自分の意識として認識するのは一部だし、口に出して語ることができるのは
さらに少ない。

――うん、そろそろ新しいのがいるね。今度はエビとメンタイコというのいってみよう
か。いや、遠慮することはないよ。どんどんたべちゃってよ。いいから、いいから。

　……僕の心に恋愛感情が生まれたかといえば、それがこのときまだはっきりして
いなかった。僕の言ったことを聞いたら、もう僕が好きになっていてもおかしくないと
思えるだろう。ところが、僕はそれまで一度も人を好きになったことがなかったん
だ。だから好きになるという気持ちがわからない。

――え？ 信じられない？そうだね。小学校四年生といえども、女の子だもんね。
女の子はそういうところは早熟らしいからね。

　

　

　

　彼女が僕を好きだったかどうか。それはいっそうわからないことだ。恋愛にう
とそうな僕に対して意地悪をしようとしているかもしれない。ひょっとしたら茂といっ
しょになって。はじめは本気でそう思ったこともあった。それは彼女と会ううちに考え
ること自体ばかばかしいということになったが。
僕とそうして会っているのを茂が知っているかどうか。それも謎だった。
しかし、彼女には聞けなかった。それによって彼女の本心を知りたくなかったから
だ。それでもし彼女と会えないようになったら…？

僕は日常となりつつある彼女との生活を手放したくなかった。それまでの僕は日常
を脱したいと常に思っていた。経済的にがんじがらめにされて――現実には解放さ
れているはずであるのに――、仕事に埋もれている毎日に自分を見つけることはで
きなかった。でも、彼女はそんな僕を見つめていたんだ。彼女が心の中でどう思っ
ていようと、僕は彼女の瞳によってそれまでの日常のぬかるみから救い出された気
がした。
僕がお袋の死に対して思ったことをさっきは言わなかったが、君もわかっているとお
り、僕は人生について考えた。あんな風な人生なんて好きこのんで選ぶ奴なんて
いないよ。お袋は運命から逃れられず悲劇の人生劇場に転落していった。お袋は
運命という奴にがんじがらめにされていたんだ。世間の幸福を手の届かない地の底
からうらやみながら、それでも生き、自分の世界をどうにかこうにか保っていた。
その世界を否定することはできなかったのだろうか。お袋はどの段階だったらその
死から免れたのだろう。

しかし、僕とても同じではないのか。これから？ これからのことをなぜ考えなくちゃ
ならない？ 僕は過去のことをいっているんだ。過去に親父が失踪しなかったら――、
借金が残らなかったら――、兄貴がまじめだったら――ひょっとしたらこんな人間
にはならなかったのではないか。僕はお袋と同じ道をたどっているのではないか…。
すでに死んだ人生にこれからなんてことをいえるだろうか。
こうした想像のなんと恐ろしいことだろう。だが、彼女は僕の作った深い溝をひょいと
飛び越えてきた。その上、どんどんその溝を埋めてしまうんだ。

――あ、君、まだそれ生焼けだぜ。おなかをこわしちゃうよ。いやぁ、本当、食いっぷ
りがいいよ、君は。何というか豪快さがあるね。それとも子供というのはだいたいこう
いうものなのかな。最初僕が感じたのとは違う、また別の…。

……僕と彼女との逢瀬は続いた。一番の謎といえた、恋愛感情のことは心の奥に
そっとしまっておいた。しかし、やがて僕と彼女は一線を越えることになった。――
一線を越えるというのは……つまり、よりいっそう恋人に近づくということかな。違うけ
ど、まあそういうことにしておいて。
　僕はびっくりしていたよ、何せ僕は自分の気持ちがわからないままなわけだった
からね。でも、やっぱり彼女には迷いがないようだった。
　耳元で彼女が言うんだ。
「わたし、幸せだよ」
　虫唾が走るだろう。

　――うん？ 表現がおかしいかい。でも、僕には鳥肌ものだった。僕のたくさんの
未解決の問題を放置して、「幸せ」なんて言葉は一足飛び、いやニ足飛びの言葉
なんだ。怖くなっても仕方がないというものだよ。
　ただ、そこにいたって僕は一つの確信を持つようになったんだ。彼女が僕のことを
好きだってことにね。なぜだかわからないが、彼女は僕のことを好きになったんだ
ね。――正直に言うよ、そのとき僕はそう考えると「幸せ」を感じたんだ。しかし、
あのときは自分の「幸せ」を認められなかった。実際、人の「幸せ」なんて考え方一つな
のかもしれないね。あのときはそれを意識しないようにしていたんだ。。。
おそらく僕は心理的に彼女にぐんぐん近づいていったんだと思う。目に見えて彼女
の態度が自然に映り、僕はやさしくなった。人に近づいていくということが特別に思え
るといったら君は驚くだろうね。僕にはそれがとても大きな意味を持っていたんだ。
さっきもいったように僕には友達と言える存在がいない。君には友達がいっぱいいる
んだろう？ すごく明るそうだし……。今日はたまたま雨が降っただけだろう？

　

ｷﾘｷﾘ

　

しばらくこれない・・・保全

保全

　僕は違った。小学校の時を思い出せばたしかに友達といえる者はあった。
茂もあゆみもそうだった。ただ、もう10年近く友達はいないんだ。それじゃ、いたと言う
ことだってむずかしいよ。そうだろう？ 小学校の友達というのだって本当に友達だっ
たかどうか疑われるというものだ。
　僕の生活は仕事をして、時折会社の飲み会に出るくらいのもので、それ以外に人
との接触なんてなかった。――まあ、会社の人にむりに誘われて遊びに行くという
こともなくはなかったけど、ごくまれのことだったし、あくまで付き合いは浅いもの
だった。だから、僕がそうして何気なくいっしょにいられる存在を得るということは、
少し大げさにいえば、僕の生活に起きた革命的な事件だったんだ。

　僕がそうやって人を一歩はなれたところで見る理由というのに、人と付き合うため
の力が足りなかったというのがあるのだと思う。おかしな話だろう。さっきも言った、
「バイタリティ」という言葉でしか僕には表現できない――それもいまいちしっくり来な
いんだけど、人と顔を向き合わせているとひどく疲れるんだ。だから、人と会っている
時でもなるべく早くその場から離れたいと思ってしまう。それでまともに話なんてでき
るわけがない。人と会っているときはいつも頭の中は「早く帰りたい」さ。
　君には信じられないだろうね。僕のそういう性格を知ってか知らずか、彼女は僕が
どんな不本意な拒絶をしてもめげずにぶつかってきてくれた。それが僕にはとても
ありがたかった。

　僕が彼女を好きかって考えるときにはたと困ってしまうのはそこにも原因があった
んだろう。彼女が男であっても結果は同じだったのではないか。もちろん、女でしか
ありえないことばかりだったさ。しかし、本質的な――言い方が難しいかい、
――うん？ ああ、それももう焼けてるんじゃないか？ ……

　…いずれにせよ、僕は彼女を好きでないかもしれないって思いは僕の頭を常に
悩ませていたのさ。
　そして、もう一つ、僕が悩んでいたことは言わなくちゃならない。茂のことだ。彼
女の心を疑うことはできなかったが、茂がどう思っているか、僕は彼に確認するこ
とができなかった。そりゃ、はじめこそ連絡しようかなんて思ったが、よくよく考えて
みると、彼に教えてあげる理由なんてないんだ。たしかに小学校のころは友達であ
ったといえるかもしれないが、中学を卒業してからその関係は止まったんだ。あゆ
みとはそれをきっかけとしてあたらしい関係が始まっただけだ。
　第一、あの後彼からは一切連絡がなかったんだから。都合のいい解釈かもしれな
いね。ただ、僕もためらってはいた。後ろめたい思いというべきか、僕から彼に教え
る必要はない、しかし、あのわずかな時間でかつての友達として彼は笑みを見せた
のは事実だ、それによって報告するだけの義理は生まれたのではないか……
こんな思いがあった。

　何とかして、うまく事が収まるやり方はないか。僕は彼女の存在に甘えながら考え
続けた。しかし、結局、そのことに僕は何一つ行動を起こさなかった。

――あ、ひっくりかえすの失敗しちゃったね。体から外側じゃなくて、内側にやるん
だよ。一回やってみせようか。…ほら、こうだよ。うまく行ったろう？ …もう焼けすぎ
ちゃっているから、ひっくり返しちゃだめだって？ はは、ごめん、じゃ、君、今のやり
方でひっくり返してみてよ。――おっと、中身が飛んじゃったね。これはたこだな。
食べてしまおう。でも、さっきよりはやりやすいだろう？

　……どこまで話したっけ。ああ、茂のことだ。僕は大して考えもせず、何もしなかっ
たわけだけど、茂とあゆみの関係はどんどん悪い方へ進んでいたんだ。
　僕はついに茂に呼び出された。彼は電話口で慎重に言葉を選んでいるようだった。
「明人……は来週の日曜日とか暇か？ 久しぶりだからやっぱり会いたいなって
思って。いや、仕事があるならそれは全然かまわないっていうか、しょうがないんだ
けど、別におれにいまさら会ってもしょうがないっていうのもあるけどさ。ははは。
でもほら、色々話したいこともあるからさ。酒でも飲まないと話せないこともあった
りしてな。お酒はいけるよね？」

「飲めないわけじゃないけど。そんなに飲まないかな」
「そう。じゃあ、酒はやめとく？ まあ別に飲まなくても、話せないわけじゃないし。
ははは」
「いやいや、そういう意味じゃないんだ。いいよ、酒飲もうよ」
「そうか。渋谷にいいところあるんだけど……、そこで飲む？」
「うん、どこでもいいよ。僕は」
「明人はどこかいいところ知ってる？」
「え？あんまり知らないなぁ。渋谷のそこでいいよ、僕は」
「じゃあ、場所はそこでいいとして後は時間だな。あんまり仕事に差しさわりの出ないような時間にしないと」
「そんなの気にしてくれなくても。たまにはそういう日があってもいいしね」
「ほんと？ じゃ、渋谷のモヤイ像――は…？」
「ああ、知ってるよ、モヤイ像ね」
「ああ、――ああ…。じゃ、そこに5時…いや、4時に」
「うん？ 5時でもいいけど、まあ…4時でもいいか。じゃ、4時で」
「うん、それで…」
「なに？」

「あゆみは来ないけど……」
「――そうなんだ」
「あれから連絡しなくて何か悪いような気がしてたんだけど、こうやって電話してみる
とやっぱり早く電話したほうが良かったって気がするよ」
「……」
「就職活動と卒論があって……。まあ、それは言い訳なんだろうけどさ。色々あるん
だよ、大学生も。別に忘れていたわけじゃなくて、はは。あゆみもあれから全然明人
のこと話さないし。――もちろん！忘れているとかそういうわけじゃないと思うよ、明
人もわかっていると思うんだけど、おれたちつきあってんだ。高校の卒業のときに、
まあ色々あってよ、受験のこととか話し合っているうちに…。――あいつもけっこう大
変でさ、就職のことでも。最近はおれが心配すると思ってかあんまり話さなくなった
けど……悪ぃ、おればっかり話してんな」
「いや、全然」
「ごめん、おれって昔からこうやって一人相撲でいっちゃう奴だよな。明人も今そう
思ってた？」
「はは…」
「ははは。じゃ、ほかに決めておくこともなかったら、さっきの…モヤイ像の前に4
時ってことで」
「うん」

僕は彼の言葉をどきどきしながら聞いていなければならなかった。彼女が僕のこ
とを茂に話していない？ 茂はいったいどこまで知っていてどこまで疑っているのだ
ろうか。僕は彼の言葉に僕の反応を窺っているところがあるような気がしたのだった。
　会って何を話そうというのか。やはり僕から真相を聞きだそうとしているのではない
か。僕は彼女について何と答えればいいのか。僕と彼にウソをつくしかない状況を
考えて憂鬱になった。
「いまさらウソ？」――君は今そう思わなかったかい？ …そうしておいしそうにお好み
焼きを食べながら。。。

　それはそうかもしれない。さっきも言ったとおりだよ。ただ、僕は「何もしていない」と
いう思いがあった。これまた卑怯な言い草だね。でも、当時は真剣に、つまりどういう
風に考えてもその思いに沿った結論が出たんだ。すべて僕の意志と関係なく、いわ
ば「押しかけ女房」みたいな出来事だったんだと。だから、ウソの罪も軽いはずだ。
――変な論理だね。後ろめたさが少ないというべきだろうか。――いや、僕自身に
対してだよ、今後もその関係は続くかもしれない。「押しかけ女房」的に。僕は相変わ
らず何もしていない。僕は本当に卑怯だな。僕が嫌だと思うのは茂に対してウソをつ
くことでなくて、ウソをつくことそれ自体だったんだ。まったく……。
ただ、僕は今も同じ状況に置かれて同じ考えを持つかというと、けっしてそんなことは
ないと思う。あのときの心境というのは本当にあのときの僕にだけ訪れるものだったん
だ。――今さら弁解にしか聞こえないだろうが。

ここのエロビデオ生活にサヨナラできる方法はためになるよ。（´∀｀　）
http://www12.ocn.ne.jp/~carlowen/beautiful/
Ｈなサイトなので、Ｈな人だけ見てみて♪

　__∧＿∧_
　|（　　＾＾ ）|　＜寝るぽ（＾＾）
　|＼⌒⌒⌒＼
　＼ |⌒⌒⌒~|　　　　　　　　　山崎渉
　　 ~￣￣￣￣

保全