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つんくさんのオフィスで、私はただ椅子に座ってつんくさんの話を聞いていました。
「去年から、ハロプロは石井も参加したように童謡をカバーしてきた。オリジナルも出した。正直、
もう童謡はエエと思う。」
始めは「何で私に経営会議みたいな話をするんだろう」と思っていました。
「石井は、童謡すごく頑張ってくれた。ご苦労さん。んでな、すごく頑張ってくれたんだけど、そろ
そろハロプロもやばくなってきてる。やはり子供の進化は早い。ハロプロはそれについていかな
きゃならない。でもな、…その、今のハロプロじゃちょっと体が重すぎるんだよ。…その…」
「邪魔な人間は切りたいと。そういうことですか?」
「じゃ、邪魔だなんてそんな事は言わないよ。でも…」
「子供には向いていないメンバーがいる、と?」
「そうだね。なかなか不得意なメンバーもいると思うから…」
「それが私だと。」
「いや、いやいや石井だけじゃないよ。他にもいる。」
「とりあえず石井は切られるんですか…」
「…そういうことになった。」
オフィスを出て、あてもなく彷徨いました。
せっかくここまで築き上げてきたものが音を立てて崩れ落ちていくのが分かりました。
「今月をもって、石井リカは声楽指導の道を目指すためにHello!Projectを卒業します」
一体誰が考えたのでしょうか。
一体私のどこが悪かったのでしょうか。
いくら考えても分からないことだらけでした。
翌日にはメンバーのみなさんにも伝えられたらしく、私と年の近いメンバーの方々は抗議もしてく
ださったそうです。
しかし、決定は覆ることなく、私は芸能界から引退することになりました。
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