仮面ライダーののX

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596名無し天狗
>592から

一方、所変わって、こちらは某藩のとある城跡。

この城は、相次ぐ戦によって朽ち果て、焼け落ち、だが幕府の「一国一城令」によって
ついに再建されることなく今に至っている。苔や蔦にまみれ、みすぼらしくあちこちが崩れた
石垣のみのこの城には、実は誰も知らない奇怪な秘密が存在しているのである。

そう、地底の奥深くに・・・。

その地底の、ひときわ広大な空洞に一人の男が入ってきた。
その顔は出会う者全てに戦慄を覚えさせる、実に醜悪怪奇な面立ちである。
顔の半分の皮膚が剥け、何と恐ろしいことに頭蓋骨が露わになっているではないか。
皮膚の残った方も、頭蓋骨剥き出しに負けぬ程の醜怪さで、上目蓋が腫れ、
口元も見るからに凶悪であった。「死神」「妖怪」「悪鬼」と言った形容が相応しい面体の男は、
空洞の中央に膝間づくと、闇に向かってこう告げた。

「申し訳ございません。“例の物”は、未だ見つからぬ模様でございます・・・」

男がそう告げた次の瞬間、先程まで漆黒の闇に包まれていた空洞に人魂の如く篝火が点され、
空洞をぐるりと囲むように一斉に次々と内部を照らしていった。
そして、その男のいる位置から遥か先には、西洋の甲冑のような物体が、帝王の玉座風の台座に添えられていた。

だが、その物体は、単なる置物ではなかった・・・突如、どこからともなく怒声が響いたのだ!

「何だと!まだ見つからぬと申すかっ!!」
「ははーっ!面目次第も・・・。」

声は何と、甲冑からのものであった。その声に恐れ戦き、男は平伏し、“失敗”を詫びる。
597名無し天狗:03/03/05 22:03 ID:EFUrXqES
甲冑は、さらに言葉を続ける。

「探索に抜かりはないであろうな。」
「はっ、それは無論のこと。しかしながら美浜の城主めが、なかなか尻尾を出さぬ
 切れ者にございますれば・・・我らの付け入る隙がございません。」

男は、すがるような心境で言葉を返す。
すると・・・驚くことに置物と思われていた甲冑がおもむろに立ち上がり、男に向かって歩を進めたのである!
重々しい金属音を響かせ、男に歩み寄る甲冑、いや、甲冑姿の者の姿が、篝火に照らされて徐々に明らかにされていく。
やがて、頭蓋骨を模したが如き鉄仮面、長いがまとまりのない白髪、胴の中央に「円で囲んだ頭蓋骨を卍の中央に重ねた
奇妙な紋章」を掲げた甲冑にマント姿、といった全容が鮮明なものとなり、手にした槍のような杖を男に突きつけた。
男は、更なる恐怖に言葉を失った。

「・・・・・・骸丸(むくろまる)!!」
「・・・は・・・はっ・・・・・・。」

骸丸と呼ばれた男はすっかり怯え、返事をするのがやっとであった。

「貴様はあの“例の物”がいかなる物であるかをよく知っていよう!
 あれなる物には、我らが長年の夢を成就へと導く重大な秘密が記されておるのだ!!」
「はっ!・・・存じております・・・!!」

骸丸の声は、既に震えていた。

「“例の物”さえあれば・・・この日本国を再び殺戮の乱世に戻し、その時こそ我らの天下!
 そう・・・この国は我ら“血車党”の支配する地獄と化すのだ!!」
「心得ております・・・。」
「ならば・・・この血車魔神斎の名において今一度命ずる・・・。美浜藩の物どもを残らず根絶やしにし、
 “例の物”を何としてでも手に入れるのだ、行けぇ!!」
「ははぁーーーーー!!!!」

かくして甲冑姿の血車党首領・血車魔神斎の再度の命を受け、骸丸は“例の物=秘伝の書”を奪うべく、心機も新たに出陣した。