仮面ライダーののX

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360名無しX
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「え?あんた誰や?訳解からんで。え?中学生くらいの女の子?そんなん家には掃いて捨てるほどおるでぇ。
え?公園に寝かした?あんた何言っとるんや?もしもし、もしも〜し。」

「祐ちゃん、どうしたの?」

無線を前になにやら怒鳴っていた中澤に、矢口が話し掛けた。

「間違い電話みたいやわ。訳解からん事ばっかり言ってるねん。」

「間違い電話って・・それ緊急用の無線だよ。」

「あ、そうか。それじゃ今のは・・・大変や!誰かに何かが起こっとる!」

中澤の話を要約するとこうだ。

聞いたことのない女性の声で、「気を失った中学生くらいの女の子を預かっているから○×公園まで引き取りに来てほしい。
そしてもうひとりの女の子が××ボーリング場で戦っているから助けに行ってあげたほうがいい。」

という連絡が緊急用無線に入ったと言うのだ。
361名無しX:03/01/14 01:01 ID:amd/lPmC
「緊急用無線からの連絡ということはライダーマシンからって事ですね。
という事は、今日ライダーマシンを出動させている人に何かが起こっていると考えていいのではないでしょうか。」

ミカが冷静な対処をみせた。

「そうか、さすがはミカちゃんや。確か今日のパトロールは・・・なっちと高橋か。」

「とにかく、行ってみなきゃ状況が解からないよ。おいらがボーリング場に行くからミカちゃんは公園のほうお願い!」
「ラジャー」

言うが早いか矢口とミカは部屋を飛び出していった。


「ところで・・連絡をくれたのは誰やねん?」

取り残された中澤はひとり呟いた。
362名無しX:03/01/14 01:02 ID:amd/lPmC
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「Xキーック!」

天高く舞い上がった仮面ライダーXは自身最大の必殺技を放った。
それは、高橋にとって、多分最後の一撃になるであろう攻撃だった、それほど状況は切迫していた。

この技を繰り出すまでに、彼女は考えうるすべての攻撃を蜘蛛ナポレオンに対し放っていたが、
その全てが大きなダメージを与えるに至らず、
蓄積された彼女自身のダメージを考えるとこの技でダメなら、もう後が無い事は明白だった。


「蜘蛛の巣ジャングル」


高橋が今まさに天空から降下しようとするその時、蜘蛛ナポレオンは空中に向け白い糸を口から吐き出した。
そう、加護を行動不能に陥れたあの白い糸を。
363名無しX:03/01/14 01:04 ID:amd/lPmC
ジャンプの限界点まで昇っていた高橋にその糸を避ける術はなかった。
空中で白い糸に絡め捕られた高橋はバランスを崩し真逆さまに地上へと落下した。

「ぐわっ」

無防備に落下し悲痛な声をあげる高橋。彼女の下半身には白い蜘蛛の糸が乱雑に絡まっている。


「ここまでのようだな、仮面ライダー。おまえもなかなか頑張ったようだが相手が悪かったな。
なにしろ我輩の辞書には不可能の文字はないのだから。」


「くっ・・」

悔しい。あの公園での戦いで、あんなに悔しい思いをしたのに、また私はこうして地面に這いつくばっている。
これでは死んだあさみにも顔向けなどできない。・・力が欲しい。大切な人達を守れる力が。
しかしそんな思いとは裏腹に体から力が抜けていく。
高橋の思考が働いていたのはここまでだった、そして意識は暗い闇の底へと沈んでいった。
364名無しX:03/01/14 01:06 ID:amd/lPmC
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瞼の裏が明るくなっている気がする。どうやら目を開けたならそこは明るい光が差す場所らしい。
そこにはやはりあさみさんが居るのだろうか、お父さんやお母さんもきっといるのだろう。
大好きだった人達は私を優しく迎えてくれるだろうか、こんなにも無力で不甲斐ない私を。

会いたい。でも目を開けるのが怖い。
こうなってしまった今となっても私はまだ認めたくないのだ、自分が負けた事を。
『悲しみのない世界』という手土産も無しにここに来てしまった事を。

『高橋、高橋、目を覚ましてよ。もう大丈夫だよ。』

とうとう呼ばれてしまった。目を開けなくては・・・・あれ?あさみさんってこんな声やったっけ?

恐る恐る高橋愛は目を開けた。

そこは想像していた場所とは明らかに違う白い空間だった。
かつて洞窟の秘密基地で目覚めたときと同じ手術用無影ライトが目の前で光っている。

「あれ?」

「良かった〜やっと目を開けたよ。ミカちゃ〜ん高橋が目を覚ましたよ〜」
365名無しX:03/01/14 01:07 ID:amd/lPmC
視界に現れた満面の笑顔は矢口真里だった。

「こ、ここは天国じゃないんですか?」
高橋のこの発言に矢口はいつもの笑い声で答えた。

「きゃははは。何言ってるんだよ〜。まぁキュートなおいらが天使に見えるのは仕方のないことだけどね。きゃはは」
366名無しX:03/01/14 01:20 ID:amd/lPmC
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高橋は丸一日眠ったままだったらしい。

蜘蛛ナポレオンが意識のない高橋にその場で止めを刺さず、
本部へと拉致しようとしているところの隙をついて矢口が救い出してくれたのだそうだ。

「私・・まだ生きてるんや・・・あ!加護さん、加護さんは無事なんですか」

「あいぼんも無事よ。愛ちゃんが命をかけて守ってくれたおかげだよ。」
ミカが優しく答える。

加護は公園のベンチに寝かされて居るところをミカに助けられたのだ。
幸い高橋に比べると軽傷で、少しの休養で元に戻ることができた。
そして皆の止めるのも聞かず高橋の仇を討つのだと、辻と共に蜘蛛ナポレオンを探しに出ていた。
367名無しX:03/01/14 01:22 ID:amd/lPmC
「良かった・・・加護さんが無事で本当に良かった・・・」
高橋の目から涙が流れた、自分が助かった事以上に加護の無事が嬉しかった。
もう誰一人失いたくない。それが高橋の何よりの願いだったのだから。

そんな高橋の思いは矢口とミカにも痛いほど伝わった。
そして矢口はおもむろに小さな箱のような物を取り出し高橋に話し掛けた。

「高橋、これはマーキュリー回路って言ってミカちゃんがおいらの為に作ってくれた物なんだ。
でもさっき調べたらおいらよりも高橋の体のほうが適応しやすい事がわかったんだ、これならきっと
高橋に新しい力を与えてくれると思う。」

ミカが話を引き継ぐ。
「ただしこれを取り付ける手術にはかなりの危険が伴うの。成功の確率は5分5分・・・もっと悪いかも
しれない。どう?愛ちゃんそれでもやる?」

突然の二人の申し出に一瞬戸惑った高橋だったが、返事はすぐに決まった。

「力が、力が欲しいんです。もしその機械が私の望む力を与えてくれるならたとえ1%の確率でも
やります。やらせてください。」


矢口とミカは顔を見合わせた。
あまりに強い高橋の思いに驚きつつもそんな後輩を頼もしく思った。

「わかった。失敗してもおいらを恨まないでよ。」
「すぐに始めましょう。梨華美ちゃん達にも応援を頼まないと。」