仮面ライダーののX

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352名無しX
(5)


仮面ライダーXに変身した高橋はすぐさまライドルスティックを取り出し加護が絡められている
蜘蛛の糸を切断した。


「なるほど、貴様らが仮面ライダーか、こんな所でお目にかかれるとはな。
あの女は後で探すとして、とりあえずおまえ達に死んでもらうとするか。」


「そうはいかんがし。加護さんも変身してください。・・・加護さん?」

加護の体を締め付けていた蜘蛛の糸はすでに高橋により切り裂かれている。
しかしなぜか加護は立ち上がろうとしない。

「ごめん、愛ちゃん・・なんや知らんけど体に力が入らへんねん・・」

なんとか立ち上がろうとする加護だが片膝をつくのがやっとで表情にも血の気がない。


「わははは。我が蜘蛛の巣ジャングルはおまえ達のエネルギーを吸収するのだ。それではとても変身などできまい。」


「そんな!加護さん大丈夫ですか。」
353名無しX:03/01/13 04:29 ID:pcliXgdV
辛うじて立ち上がった加護だが足元はおぼつかずとても戦闘に耐えうる状態とは思えなかった。
それでも健気に変身ポーズをとろうとする加護の姿は痛々しく、愛の闘志に火を着けた。


「加護さん、変身は無理です。ここは私にまかせてクルーザーから応援を呼んでください。」


加護に離脱を促した愛は加護の退路を確保すべく怪人に向かって戦闘を仕掛けた。
立ちはだかる戦闘員を蹴散らし蜘蛛ナポレオンに渾身のパンチを繰り出す。
しかし蜘蛛ナポレオンはあろうことかそのパンチを避けようともせず、真正面から受け止めたのだ。


「!」


愛に動揺が走る。そう、蜘蛛ナポレオンは愛のパンチにダメージを負った気配が無いのだ。
矢継ぎ早にパンチとミドルキックを繰り出す愛。
しかし蜘蛛ナポレオンは、まるで幼子をあやすかのごとくパンチを受け止め、キックにひらりと
身をかわすとその繰り出された足を掴み、愛を体ごと放り投げた。


「うわっ。」


高速で投げ出された愛は辛うじて受身をとったが、痛感せざるを得ない実力差に愕然とした。
愛の脳裏にかつて自分の不甲斐なさを心底呪った公園での戦いが蘇える。


「これじゃ、あの時と同じだ。せめて、せめて加護さんだけでも逃がさんと。」
354名無しX:03/01/13 04:31 ID:pcliXgdV
加護はふらつきながらも戦闘員の攻撃に立ち向かっている。
しかしそれも限界に見えた。


「クルーザー!」


愛はリモートコントロールで愛車クルーザーを呼んだ。
クルーザーは一般的に考えられるバイクの性能からは考えられない走破性能で
ボーリング場への階段を駆け上り、入り口のドアをぶち破ると、戦闘員をも蹴散らし、
今にも倒れそうになっている加護の前で停まった。

「加護さん!早く乗って。」

蜘蛛ナポレオンに行く手を阻まれ身動きが取れない愛は大声で叫んだ。

「ありがとう愛ちゃん。でももううち・・動けへん。」

加護はクルーザーをわずか目の前にして気を失って倒れてしまった。
万事休す。
気を失った加護が戦闘員に嬲り殺される事は避けられないと愛が絶望しかかったその瞬間、
天井からクルーザー目掛けて「何か」が降ってきた。

355名無しX:03/01/13 04:34 ID:pcliXgdV
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「この子は私が安全な所まで逃がしてあげる。だからこのバイクちょっと貸してね。」

天井から降ってきたのはなんと、このボーリング場の制服を着た少女だった。
ショートカットがよく似合うその少女は、クルーザーに跨ると右手で加護を軽々と持ち上げ、
自らの背中に担いだかと思うとアクセルを目一杯捻りボーリング場の出口へと猛スピード
で走り出した。


「あ、あの女!あんな所に隠れていたのか!」

蜘蛛ナポレオンが天井のシャンデリアを見ながら叫んだ。
356名無しX:03/01/13 04:35 ID:pcliXgdV
どうやら彼女はあのシャンデリアの上に隠れていたらしい、しかしボーリング場のエントランスに
あたる部分は吹き抜けになっており、そこに吊るされたシャンデリアは床から10メートルは離れている。
どうやってそんな所に隠れることができたのか、そしてそこからクルーザー目掛けて飛び降りるという
離れ業までやってのけた彼女は一体何者なのだろう?
ゼティマに追われているということは彼女も人間ではないのだろうか?
それならこの行動も納得できる。しかしそんなことは愛にとっては、どうでもいいことだった。
加護さえ無事であるならば・・・。


「むぅぅ、あの女め。こうなったらせめて貴様だけでも血祭りにあげねばとても本部には帰れぬ。」

蜘蛛ナポレオンが仮面ライダーXに攻撃の矛先を向けた。

先ほどからの戦闘で力の差は歴然だ。
だが愛は真正面から迎え撃つ構えを見せた。
それが『仮面ライダー』である自分の使命であり誇りだと彼女は思ったのだ。
そう、たとえそれが勝ち目のない戦いだとしても・・・・。