仮面ライダーののX

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328名無しんじー
いんたーみっしょん
       「蘇れ、赤心少林拳!」

地獄谷の死闘から数日後、あゆみは考え込んでいた。
「どうしたの?」
その様子を心配して雅恵が声をかけて来た。
「この前の戦い・・・私、何も出来なかった。しかも人質・・・
 みんなの足を引っ張ってる・・・もっと強くなりたい!」
あゆみの言葉に雅恵は言った。
「そんなの、仕方ないよ。私だってののちゃん達に比べたら力は無いし
 あゆみだって、生身で戦えば私より強いじゃない。」
雅恵とめぐみは訓練の為、あゆみに合気道を習っていた。
「そうだけど、雅恵ねえちゃんはバイクロッサーの力があるじゃない。
 怪人と戦える。私は戦闘員がやっとだよ。」
雅恵には、あゆみの気持ちが痛いほどわかる。自分の力不足が悔しい。
あゆみはいつも「強くなりたい」と言っている。
あゆみのそんな気持ちが一番わかるのは家族である自分達なのだ。
329名無しんじー:03/01/09 17:06 ID:1xGxGdHr
しばらくするとあゆみは、思い立った様に出かけて行った。
あゆみの向かった先は中澤家。あゆみはそこでとんでも無い事を言い出した。
「中澤さん、私も改造して下さい。私も強くなりたいんです。」
あゆみのこの言葉には、中澤家の全員が本気で怒った。
「柴田!お前、自分の言ってる事が解ってるんか?それはみんなに対する
 侮辱やで、そんな事、二度と口にしたら許さへんからな!」
中澤の本気の怒りの前にあゆみは黙りこんだ。
「なあ、柴田、お前の気持ちは、なんとなく解る。自分の力不足が嫌なんやろ?
 でもな、それはうちも同じや、みんなに迷惑かける事もある。そやけど
 改造だけはアカン!誰も柴田がそうなる事を望む者なんかおらへんで。」
中澤の言う事はもっともだった。しかし、今のあゆみには他に道が無いと
思われた。その為ここにやって来たのだ。
「でも・・・」
あゆみが、そう言いかけると
「この話はこれで終わりや。家に帰って頭冷やせ!」
中澤にそう言われ、あゆみは中澤家を後にした。
330名無しんじー:03/01/09 17:26 ID:122XQxwl
しかし、あゆみは家には帰らず、ある場所に向かっていた。
あゆみは自分の最も尊敬する人物に会いに行ったのだ。
「園長先生、私もっと力を付けたいんです。何か知りませんか?」
そう、あゆみの訪れた先は「学園」園長の上原に何か無いか聞いていたのだ。
「力を付けたいか・・・難しい質問じゃのう。合気道だけじゃ、駄目なのか?
 そうなると、柔道、空手・・・他の武道じゃイカンのか?」
「はい、そう言う物じゃ無くって、もっと実戦的な物、何か知りませんか?」
「そうじゃのう・・おっ、待てよ、これなんかどうじゃ?」
上原はそう言ってあゆみに一冊の古い本を渡した。そこには
「赤心少林拳」と書かれていた。
「園長先生、これは・・・」
「うん、これはな、わしがまだ若い頃にある人物から貰った物じゃ。
 この本には、その拳法の基本が書かれている。」
「その人物って誰ですか?どこに行けば会えますか?」
あゆみは聞いた。
「残念じゃが、その人はもうこの世にいない。既に故人じゃ、だからその拳法も
 伝承者はおらんと聞いておるが、その本で勉強してみたらどうじゃ?
 何か掴めるかもしれんぞ」
あゆみは本を受け取ると家に帰った。
331名無しんじー:03/01/09 17:46 ID:I+tzpqrE
あゆみは家に帰ると一心不乱に本を読んでいた。
「・・・・、・ゅみ、あゆみ!」
瞳に呼ばれ、あゆみは我に帰った。
「お茶が入ったよ。なにをそんなに一生懸命読んでるの?」
あゆみは、今日一日の事を瞳に話した。
「そんなの気にする事無いよ、捕まったらまた、みんなが助けてくれるって。」
瞳は、この前の事をあまり気にしていない様だ。
「いいもん、私一人で、かんばるから。」
あゆみはそう言うと、また読書を再開した。
それから数日後、あゆみは近所の公園で、型の練習をしていた。そこに
「おーい、柴ちゃん!」
辻と飯田がやって来た。
「こんにちは、何してるの?太極拳?」
飯田の質問にあゆみは本を見せた。その本を見た飯田の表情が変わった。
「柴田、これ何処で手に入れたの?」
「園長先生に貰いました。」
「園長って学園の?」
「そうです。飯田さん、何か気になる事でもあるんですか?」
あゆみの言葉に飯田は大きく頷いた。
332名無しんじー:03/01/09 18:07 ID:CoGuDqyg
「私ね、この本ずっと探してたんだ。実はこの「赤心少林拳」を習ってたの。
 でもね、その師匠が、亡くなって中途半端だったんだよね。
 それでね、師匠が亡くなる時に、上原袈裟俊って人が本を持ってるから
 後はそれで学びなさい、って、でもその人が見つからなくて・・」
飯田がそう言うと
「それって、園長先生ですよ。」
柴田は言った。すると
「本当に?じゃあやっぱり、この本なんだ。良かったー、これで続きがわかる
 柴田、ありがとう。でもどうして、この本柴田が持ってるの?」
飯田の質問に、柴田は事情を話した。飯田は、柴田が中澤家に言った時
出かけていて、いなかったのだ。
「そっか、そりゃ裕ちゃんも怒るよ。私だってその場にいたら、きっと
 怒ってたと思うよ。みんな好きで改造してる訳じゃないし。」
飯田がそう言うと
「その通りれす。あの時の中澤さんは、すげー怖かったのれす。」
辻は、あの時の中澤を思い出し震えていた。
「でもさ、やっぱり強くなりたいよね。私もそうだし、みんなそう思ってる。
 だったらさ、赤心少林拳、二人で復活させようよ。
 本当は、りんねとやる筈だったけど、りんねはもういない。
 だからさ、こんどは柴田と一緒に、ねっ、がんばろう!」
飯田の言葉にあゆみは大きく頷いた。
「赤心少林拳」の復活はもうすぐだ!

いんたーみっしょん
       「蘇れ、赤心少林拳!」  終わり!