仮面ライダーののX

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31ナナシマン
 一方、こちらは市民球場そばを走る街道。朝のラッシュを縫うようにして
二人の少女を乗せて走る一台のサイドカーの姿があった。

 「・・・銃声?」

 それは紗紀がデスパー軍団の一斉射撃の前に命を落とした、その瞬間だった。
やがて少女は道の脇にサイドカーを止め、銃声のした方向へと耳を澄ます。

 「梨華ちゃんにも聞こえた?」

そう言って少女−ひとみはヘルメットを脱ぎ、周囲を見回す。彼女の言葉
にもう一人の少女、梨華は答えた。

 「うん。あっちからだと思う」

 そう言って梨華は市民球場の方を指さす。異変を察知した二人は市民球場
の方へとサイドカー〜サイドマシンを走らせた。

 「中澤さんから言われた買い出し、間に合わなくなるかも」

そんな梨華の言葉に、ひとみはただ一言だけ言った。

 「大丈夫。多分、みんな判ってくれる」

 程なく二人は市民球場に到着した。入場規制の柵を跳び越え、二人は
球場の中へと入っていった。
32ナナシマン:02/10/30 17:49 ID:B+BArwUU
「総統、この場はデスパーシティにお戻り下さい!」

 反逆者は始末した。命に関わる傷ではないにしても、怪我を負った
総統の身を案じてウデスパー参謀が退却を進言する。

 「やむを得ん・・・」

 そう言うと、傷を負ったガイゼル総統はマントを翻し姿を消した。
その様子を見届けるとウデスパー参謀も一旦戦線を離脱する。

 「ハンマーデスパーU、この場は任せた!」

そう言い残して姿を消した。左腕のハンマーを振りかざし、既に臨戦
体勢のハンマーデスパーUは里沙に言い放つ。

 「死んでしまった者を嘆いたところでどうする。それより俺と決着
をつけようじゃないか」

 敵の吐いたその言葉に、目に涙を浮かべて里沙は決然として
立ち上がる。

 「おじいちゃんも、沙紀さんも死んじゃった・・・。だけど私は
無駄にはしない。これが私の運命なら・・・戦ってやる!最後まで
戦い抜くんだ!」

 戦いに向けての覚悟を決めた里沙。立ちはだかる敵を目の前にして
運命を克服するために天に叫ぶ。

 「見ててね、私の『変転』・・・ゴーリキショーライ!!」
33ナナシマン:02/10/30 17:50 ID:B+BArwUU
 かけ声と共にほとばしる渦状の光。夢で見たイメージそのままに、
里沙の姿は土気色の怪人、サナギマンに変化した。全身を覆う襞状の
皮膚、とても少女の姿から変化したとは考えられない、不気味な姿。
それを見たハンマーデスパーUは兵士達に一斉射撃を命じる。

 「怯むな、撃ち殺せ!」

 「ディー!ディー!!」

 命令とともに銃を構える兵士達。そして、サナギマンめがけて火を
噴く兵士達の銃。みるみるうちに硝煙に包まれるサナギマンの身体。
しかし、サナギマンは決して怯まず、倒れない。全身に銃弾を浴び
ながらも前進してくるその姿に、逆に兵士達が恐れおののいてしまって
いた。
 既にその身に怒りのエネルギーをみなぎらせているサナギマンは、
怒りの形相でデスパー兵士達を次々となぎ倒すと、更に変転を果たす
べく叫んだ。

 「チョーリキショーライ!!」

 ほとばしる稲妻、砕け散るサナギマンの身体。閃光と共に現れた
のは稲妻走る青い戦士、自由の戦士イナズマンだ。
34ナナシマン:02/10/30 17:51 ID:B+BArwUU
 「自由の戦士、イナズマン!沙紀さんの仇、許さない!!」

 身体に漲る怒りのエネルギーが稲妻となって走る。憎き敵を前にして
身構えるイナズマンに対し、ハンマーデスパーUと残るデスパー兵士が
素早く取り囲む。

 「ようやく現れたか。だが、ここが貴様の墓場だ!かかれ!!」

 ハンマーデスパーUの命令が下るや、一斉に襲いかかる兵士達。しかし
彼らは今のイナズマン−里沙の敵ではない。正に鎧袖一触、触れること
すら敵わず次々と吹っ飛ばされていく。イナズマンの拳が、脚が、雑兵
たちを木の葉のように蹴散らしていく。

 「くっ・・・やるな!」

 ばったばったとなぎ倒される兵士達。その様子に顔色を失うデスパー
ロボ。

 「今度こそ・・・逃がさない!!」

 そう言ってイナズマンはハンマーデスパーUに駆け寄ると、たたみ掛ける
ようにパンチ、キックを繰り出す。
35ナナシマン:02/10/30 17:54 ID:86//pyg6
 「稲妻拳法、念力パンチ!念力キック!!」

 一方のハンマーデスパーUはと言えば、強化改造を施されて復活した
にも関わらず、イナズマンが繰り出す怒濤の攻撃に何一つ手が出せない。
里沙の怒りのパワーが敵の実力を上回っているのか、ハンマーデスパーの
素質そのものに問題があったのかは定かではないが、圧倒的な不利を負う
展開である。

 「ぐっ!そんなバカな!!」

 猛ラッシュを凌ぎきれないハンマーデスパーUはそのままごろごろと
スタンド席を転がり落ちていく。やがてかろうじて立ち上がると、
どうにか体勢を整え反撃に転じようとするが、それを許すイナズマンでは
ない。

 「チェースト!!」

 気合いとともに大ジャンプすると、足取りもおぼつかない敵に跳び蹴り
を食らわすイナズマン。電光石火の一撃が、ハンマーデスパーUの身体を
更に吹っ飛ばさんばかりに炸裂する。

 「イナズマンフラッシュキーック!」

 強烈なキックを食らい、もんどり打って倒れるハンマーデスパーU。
既にイナズマンの怒りの連続攻撃を受けて這々の体だったが、左腕の
ハンマーを振りかざして破れかぶれの突撃を敢行する。
36ナナシマン:02/10/30 17:54 ID:86//pyg6
 「死なばもろともよ!覚悟しろイナズマン!!」

 イナズマンめがけて駆けてくるハンマーデスパーU。それを迎え撃つ
かのごとく、イナズマンは腰のベルトから何かを取り出した。それは
五郎老人に授けられたあの「ゼーバー」である。イナズマンはそれを空に
かざすと、声の限りに叫ぶ。

 「ゼーバー!イナズマンフラーッシュ!!」

 かけ声と共に空がにわかにかき曇る。そして次の瞬間、天空から
放たれた雷がハンマーデスパーUを直撃した。

 「グッ・・・グワアアアアア!」

 スタンド席をも巻き込んで轟音とともに爆発四散するハンマーデスパーU。
かくしてイナズマンはデスパー軍団の刺客を退けた。
37ナナシマン:02/10/30 17:55 ID:86//pyg6
 PCのアクシデントにより更新が途中で切れてしまって申し訳
ありません。明日の更新で29話終了となります。気がつけば
前回の倍くらいの長さになってしまいましたが、おつきあい頂き
ありがとうございます。
38ナナシマン:02/10/30 21:19 ID:O2Fpxj5u
ここで訂正です。買い出しを頼んだのは
×中澤さん
○石黒さん
です。実は名無し1号さんの26話掲載と同じ頃書き始めた話
なので、拉致に際しての訂正を忘れたまま書き込んでしまった
んです。すいません。

>>22さん
 前スレからコピペしたんですが、出勤時間前にあわててスレ
立てたらやってしまいました。きちんとテンプレ作っておけば
よかった・・・すいません。