かくしてテラー・マクロ自らが日本にやってくることとなった訳だが、
実は「空飛ぶ火の車」を起動するために必要な黄金の鍵が盗まれていた
ことは数日前まで黒龍会の人間は誰も知らなかった。ドラゴンキングが
その事実を隠していたからだ。
「それにしても、何故師父は空飛ぶ火の車を・・・」
「あれを使って日本各地を破壊することが本来の目的だ。儀式は
あくまで師父の個人的な復讐のためだろう。しかし、私には逆としか
思えぬが」
「では何故ゼティマに隠すのでしょう」
「師父は黒龍会がゼティマに取って代わることを望んでおられる。
空飛ぶ火の車が一度動き出せば止められる者はいない」
サタンホークの言葉に、黙ってうなずくドラゴンキング。
「それから・・・同郷のよしみとはいえ、部下の失態を隠し立てする
とは何事か。舎弟思いなのは結構だが、自分の首まで絞めることになるぞ?」
サタンホークはそう言ってドラゴンキングを一瞬見やると、他の4人と共に
道場を後にした。ドラゴンキングは5人の姿を黙って見送っていた。
皆様、今年もよろしくお願いいたします。
>>名無しんじーさん、名無し天狗さん
早速情報をいただきましてありがとうございます。以前これついて
ネットで調べてみたんですけど有力な情報が全くなくて・・・。
あるサイトでライダーマシンの番外編としてネオショッカー戦車
なんかと一緒に載ってたものも「龍の口から火を吐く」くらいしか
載って無くて。ありがとうございます!
続きは次回、また明日お目にかかります。今回の話は松の開ける7日頃
終了予定です。長丁場ですが、今しばらくおつきあい下さい。
皆様本年もよろしくお願いします。
ナナシマン様
スイマセン、私の持っている本に火の車出てました。
剄文社の全怪獣怪人「下巻」のスーパー1の項です。
もっともかなりマニアックな本だから本屋さんで見つけるの大変かな。
ディテールは名無し天狗さんが書かれている通りですね。
「で、これがその鍵って訳ね?」
雅恵から鍵の事を聞きつけてやってきた斉藤瞳は、当にその実物を手にとって
しげしげと眺めて言った。それをそばにいた柴田あゆみが不思議そうに見つめて
いる。謎の黄金の鍵を目の前にして、少女達は何やら話し合いをしていた。この
鍵が一体何なのか、いつ頃作られた物なのかという話に始まり、果ては売れば
いくらになるか、などという少々下世話な話題も飛び出していた。少女達は
この鍵をどうするか、思案に暮れていた。
「どっかに売っちゃえばいいんだって。ウチらが持ってても仕方ないよ」
何処の何かも判らない物をいつまでも手元に置きたくない雅恵は、そう
言って無造作に鍵を放る。あゆみも出来ればやっかいごとには関わりたくない、
と雅恵の意見に同意した。と、雅恵に放られた鍵をすかさずキャッチして、
めぐみが言う。
「やっぱ鑑定だよ、鑑定♪紳助さんに会いに行こうよ」
3人の意見は聞いた。その上で、瞳は3人にある提案をした。
「せっかくここまで来たなら、その鍵の正体を調べてみようよ。ホラ、力に
なってくれそうな人達がいるじゃない?」
瞳のその言葉に、思い浮かべたのは3人とも同じ事だった。
「持っていってみようよ、中澤さんとこに!!」
「それで朝っぱらからウチに来たわけやな。でも、ウチは考古学とか
詳しくないしなぁ・・・」
4人が訪れた頃、大所帯の朝食は一区切りつき、少女達はそれぞれの
時間を過ごしていた。パトロールに買い出し、アルバイト・・・殆どの少女
達は出払っていたが、裕子と彩、亜依と希美は家に残っていた。
「とりあえず、ブツを見ておいた方がいいんじゃないの?」
洗濯物を物干しに掛けながら彩が言う。うららかな朝の光がリビングに
差し込む。
「彩っぺ、ブツて何やのブツて・・・でも言うとおりやな。ブツ見せて」
どっちもどっちである。
こうして中澤家の面々に黄金の鍵が初めて公開された。
「これ・・・本物の金?純金?」
物珍しさに身を乗り出してのぞき込む。とりあえず第一当事者のめぐみと
雅恵が、事の発端と一部始終を裕子に話した。
「そうか・・・」
そう言いながら、裕子はおもむろにノートパソコンを起動させる。すぐさま
生化学研究所のデータベースにアクセスしてみるが、それらしいものを検索
することは出来なかった。謎の鍵を目の前にして、頭を抱える面々。と、
その時玄関から声がする。
「ただいま〜。今帰りましたぁ」
「ALOHA!おじゃましまース!」
買い出しを終えて帰ってきたあさ美と、スーパーで偶然出会い、そのまま
合流して家にやってきたミカだった。とりあえず、二人にも鍵を見せてみる
ことにした。
「何か鍵の感じが中国っぽいですよね・・・」
あさ美の指摘にうなずく一同。言われてみれば、確かにその鍵には中国の
美術的な様式に酷似するモチーフが見られる。「中国っぽい」という言葉が
一番ぴったりな表現だ。
「古代中国の遺物、って線が一番強いですね。その辺をもう一度当たって
みましょう」
「そやね。材質や作られた年代とか、研究所に持ってって良く調べてみよ!」
ミカの言葉に亜依が応え、かくして鍵はいったん3人に預けられた。その
正体を探るべく、3人は生化学研究所へと向かった。
一方、同じ頃ゼティマ日本支部では、地獄谷五人衆が事の一部始終を居並ぶ
幹部達に説明し、協力を求めていた。
「『空飛ぶ火の車』を起動させるためには、その鍵が必要なわけだな」
「是非とも我ら黒龍会にご協力をいただきたく存じます」
そう言って五人衆は幹部達の前に傅く。その様子を見て、悪魔元帥が言う。
「しかし、肝心の鍵の在処が日本と言うだけでは、すぐに見つけるのは至難
の業よのう・・・どうするか」
その言葉に、彼の傍らにいた一人の女性幹部が応じた。
「元帥、それならば私めにお任せ下さい」
黒髪も美しい妖艶な女。口元を覆うヴェールが更に妖艶さを際だたせている。
「ほほぅ・・・ならばやってみせよ、魔女参謀」
その女性幹部〜魔女参謀は、立ち上がっておもむろに目を閉じると、何やら
呪文を唱え始めた。呪文の詠唱はしばらく続いたが、数分後再び目を大きく
見開いた彼女は、作戦会議用のモニターを指さして念を込めた。すると
どうだろう。
「おおっ!この小娘達は!!」
そこに映し出されたのは、10人からの娘達の姿。それが一人ずつ次々と
スライドショーのように映し出されていく。幹部達にとって、それは見覚え
のある忌々しい顔である。鍵の在処を示した後、魔女参謀は言った。
「うぬら、鍵は一番やっかいな相手に渡ったようだな・・・敵の名は
『仮面ライダー』、心致せ」
「鍵の奪還は一筋縄ではいかぬ。儂が手を貸してやろう」
そう言って立ち上がったのは、黒いマントに身を包んだ老科学者。誰あろう、
死神博士その人である。
「『ゼティマ復讐兵団』、遂にその出番がきたようだ。これを見るが良い」
そう言って死神博士はモニターを指し示す。すると、画面が切り替わって
基地内のとある施設が映し出された。そこには溶液を満たした円筒形のガラス
容器に封入された怪人達が安置されていた。
「これは・・・『怪人墓場』ではないか」
目を見張り声を挙げたのは幹部の一人、地獄大使である。今まで任務に失敗
し落命した怪人達が回収され、収容されているこの施設を人は「怪人墓場」と
呼んでいた。低温環境の元に安置された怪人達が並ぶ様は、確かに墓場か死体
置き場のそれである。それ故組織の人間達に忌み嫌われている場所なのだ。
「ふふふ・・・口の悪い連中は皆そう言うが、墓場ではない。立派な再生
改造施設なのだぞ。まぁ、見ておれ」
そう言って、モニターのそばまで来た死神博士はおもむろにマイクを手に
する。
「ゼティマのために命を捧げた怪人達よ。今こそ復讐の時が来た。さぁ
立ち上がれ!憎き仮面ライダーに恨みを晴らすのだ!」
やがて、死神博士の声に応えるかのように、容器に安置された怪人達の目に
次々と不気味な輝きが宿る。そしてロックが解除され、次々と怪人達が容器の
外へ出て行く。蜘蛛男、蝙蝠男、ゴキブリ男、ナメクジ男、ハサミジャガー、
カメバズーカ、ワニ獣人、クモ獣人、奇戒人ガンガル、ネプチューン、
シーラカンスキッド、オニヒトデ、そしてカナリコブラ。かつてライダーに
倒され、命を落としたと思われた怪人達が「復讐兵団」の名の通り、復讐の
ために甦ったのだ。居並ぶ幹部達のどよめきの声の中、死神博士はその様子を
満足げに眺めていた。