必死の思いで通りを後にし、ペガサスへ逃げ帰っためぐみと雅恵。特に
雅恵は男に無理矢理渡された物が一体何なのか判らないまま、まだ手の中に
握りしめていた。突然の出来事に、雅恵はそのことすらも忘れてしまって
いたのだ。
「ねぇ・・・さっきのアレ、何だったの?」
「あ、そうだ」
未だ息も絶え絶えなめぐみの言葉に、やっと雅恵は自分の手の中にある物
の事を思い出した。ゴツゴツとした感触で、大きさはそれほど大きくない。
金属か何かでできているような、そんな感触を手のひらで感じた彼女は恐る
恐る手を開いてそれを見てみることにした。
だが、気持ちとは裏腹に体が動かない。手の中に握られた物の正体を
おそれるあまり、雅恵の手がなかなか開かないのだ。
「ちょっと、いつまでも握ってたって仕方ないじゃないよ」
「そんなこと言ったってぇ〜。マジでイヤなんだってば」
すっかり涙声の雅恵。必死に顔を背けて手を開こうとするが、思うに
任せない。
「大きさはどれくらい?固いの?生きてるの?」
何を思ったか、形状や強度を尋ねるめぐみ。そんなことを聞いて
どうなるものでもないが、いてもたってもいられずに何かしなければと
思うのは人の常である。その言葉に激しく首を横に振りながら雅恵が
言う。
「100円ライターくらいでね・・・ゴツゴツしてて固くてね・・・
でも、生き物じゃないの」
なんだかんだで、以外と冷静に分析できている。
そしてついに、小指から順番にぎこちなく開いていく雅恵の手のひら。
何かとんでもない物だったら・・・そんな想いが彼女をすっかり萎縮させて
いた。だがそれも無理はない話だ。
やがて、彼女の指の間から金色の光がのぞく。そして、雅恵の手のひら
が完全に開ききったとき、それはその姿を明らかにした。
「これって・・・鍵?」
「ひょっとして・・・金で出来てるとか?!」
それは龍の頭をかたどった、金色に輝く鍵たった。眼球には翡翠が
埋め込まれ、口から吐く炎を模した装飾には珊瑚が用いられていた。
そして、両の手が握りしめた珠はダイヤモンド。素人目にもそれが非常に
手の込んだ装飾であることが見て取れるその鍵は、一見しただけで高価
な、価値のあるものであることが推測できた。
「すごいよこれ。『○でも鑑定団』とかに出してみたら良いかも」
「盗まれた文化財とかだったらどうすんの。私たちが疑われるって」
見事な装飾が施された黄金の鍵。それが尋常ならざる代物であることは
二人にも容易に判ることだった。思いがけず手にした物だが、自分たち
にはあまりに不釣り合いな代物である。出所を疑われ、痛くもない腹を
探られるのは彼女たちにとっても本意ではない。
「どうしよう、これ・・・」
こうして二人はしばらくの間、鍵を見つめたまま途方に暮れていた。
今日はここまでです。明日一日おいて、月曜からの再開を予定してます。
そう言えば「龍騎」終了後もテレ朝ライダーシリーズ続くみたいですね。
「ザ・テレビジョン」でのコメントによると「クウガ・アギト・龍騎を
へてようやく究極のライダーを送り出すことが出来る」とのこと。
期待しましょう。
>>名無しんじーさん
実は最近「アイさが」のDVDを買いまして。それによって更に
具体的なイメージが浮かんできました。
それにしても、インターミッションだけで、っていうのももったいない
お話なので、出来れば今後本編にも絡ませて頂ければ、と一読者として
思う次第です。
>>名無し1号さん
ZXと並んで気になるキャラクターが登場ですね。眠りから目覚めた
01=まいの活躍に期待です。あと個人的には、さらわれた裕ちゃんが
どうなってるのかが気になります。
>>名無しスターさん
>一体この人は何者だろうか。
ホント、ソニンってば何者なんですか・・・?(w
今後の展開も気になります。そう言えばカゲスター役の俳優さんは
「ジャンボーグA」の人だったと思うのですが、覚醒剤所持か何かで
タイーホされてたような・・・ユウキの今後が不安です。(w
それと「保全シリーズ」、あの緊張感が素晴らしいのでネタが出来たら
また是非。
「V3」がまだhtml化しませんね。一応ストーリーを考える上であれは
読んでおきたかったんですが。2chブラウザ入れた方がいいんでしょうか。
>>219 たった今特撮板経由で新ライダー見てきました・・・すげぇデザイン。
龍騎ライダーのファーストインパクトを超えるデザイン・・・なんだか
宇宙刑事みたいですた。自己レススマソ。
白い名無し娘。様
続きが早く見たい、お早いお帰りお待ちしています。
ナナシマン様
カゲスターの俳優さんって立花直樹さんですね、確かにジャンボーグAも
やってますね。
いんたーみっしょん過去編は一応本編とリンクしていると思って下さい。
ただ、最近、他もやってましてこっちは話がまだまとまってません。
名無し天狗さんの言ってた「依頼人」の話を製作中です。
ちょうどその頃、失われた黄金の鍵を求めて暗躍する者達がいた。
世界征服をたくらむ悪の秘密結社「ゼティマ」の下部組織の一つ、
中国系マフィア組織「黒龍会」である。彼らは香港・上海を中心に、
ゼティマの国際的な犯罪行為に荷担している集団である。
本来黒龍会は「ゼティマ拳法」の継承を目的として設立された武術
集団であった。ゼティマ拳法とは、中国武術において禁技とされてきた
手技手法を追求し、屍山血河の果てにその集大成として完成された
暗殺拳である。
道場では選りすぐりの怪人、戦闘員に対してこの拳法の奥義を伝授
していた。創始者テラー・マクロを頂点に選ばれし門弟は100余名。
一流派としては小規模の様な気もするが、プロの暗殺者集団としては
実に恐ろしい人数である。
そして、黒龍会の存在意義は組織拡大に伴って変化していき、暗殺拳
伝承者としての手技を買われてアジア圏で組織の尖兵として活動してきた
彼らはいつしか、同圏での「組織」そのものになっていった。今では
実質的な東南アジア支部と言っても差し支えないほどの存在である。
そして舞台は香港。雅恵とめぐみが黄金の鍵を手渡される数日前に
物語は遡る。
「100万ドルの夜景」と言われた美しいイルミネーションが注ぐ
夜の海。その一角にある港に停泊している、一隻の貨物船があった。
そして、その貨物船に次々と貨物を積み込む、怪しい一団。彼らこそ、
「黒龍会」の構成員達だった。着々と作業が進むその傍らで、数人の男が
集まってなにやら話をしている。その中の一人は、どこかに携帯電話で
話をしていた。
『申し訳ありません兄貴、若いモンも血眼になって捜してるんですが』
電話の向こうの相手にしきりに弁解する男。その風体は黒いダブルのスーツ
に、青いラメのシャツ。繁華街で見かけたら間違いなく道を譲りたくなる
ような、柄の悪い男である。彼の取り巻きもまた絵に描いたようなヤクザ風
の身なりであった。ヤクザ者の風体は日本も中国も、そう大差ないようだ。
『ドラゴンの兄貴のお怒りもごもっともで・・・”鍵”は命に代えても。
はい、本当です!!わざわざ歌舞伎町からお疲れ様です・・・』
電話の主、ドラゴンと呼ばれた人物はどうやら日本にいるようだ。黒龍会
の日本での活動拠点、新宿は歌舞伎町からの電話だった。すると、ラメシャツ
の男のそばで、別の男が携帯を切るなり吐き捨てた。
『クソッタレが、ナメやがって・・・』
彼の様子に、日本に電話を掛けていた男が通話を中断して何事か尋ねる。
『どうした?』
電話を切った男は、忌々しそうな顔で携帯をポケットにしまうと、懐から
たばこを取り出して言った。
『鍵の在処が判ったぜ。先週末送り込んだ連中だ。奴らの一人が持ち逃げ
しやがったんだと!』
その言葉にはたと膝を打つ男。急いで再度電話を取ると、中座していた
日本からの電話に出る。
『・・・もしもし兄貴?・・・判りました。ええ、鍵は日本に!』
やがて、黒龍会の船は港を後にする。次第に遠くなっていく船の灯りを
見ながら、埠頭で先ほどの男達が何やら話をしている。
『ドラゴンの兄貴は何て言ってた?』
そう言って、男は青いラメシャツの男にたばこを差し出す。ラメシャツは
そのたばこを口にくわえ、さっと火をつける。
『日本の連中に先を越されないようにしろ、とは言われたけどな。アレの
ことは日本にはあまり知られたくないみたいだ』
『ゼティマと黒龍会は杯を交わした者同士だ、何故そんなことを気にする
必要がある?それに、改造人間の素体を供給してるのは俺たち黒龍会だぞ?』
彼ら黒龍会は中国各地からだましてつれてきた密入国志望者達を日本にある
ゼティマの施設へと送り込むことをその使命の一つとしている。彼らが
改造人間の素体となる人間全てを賄っているわけではないが、黒龍会が
送り込んでいる人数は、決して馬鹿に出来ない数だった。
『まぁ、兄貴にも事情があるんだよ』
そう言ってラメシャツは相方の男の肩を叩く。やがて港に黒いセダンが
乗り込んでくると、男達の前でゆっくりと停車した。こうして、船が出航
したのを見届けた男達はそれぞれ車に乗り込むと、何処かへと走り去って
いった。